
PENTAX K10D+PENTAX DA 16-45mm f4
昨日、9月22日は中秋の名月だった。全国各地で観月会(かんげつえ)が開かれたようだ。私は八事(やごと)の興正寺(こうしょうじ)へ行ってきた。
まずはここで五重塔と月を撮って、それから、徳川園の観月会に移動するつもりだった。しかし、このあとのどしゃ降りの雨によって、予定は大きく変わることになる。
夕方は上の写真のように夕焼け空で、いい月が見られると思っていた。天気予報では6時くらいから小雨が降るかもしれないようなことは言っていたけど、まさか雷を伴う豪雨になるとは思いもよらない。
八事興正寺は、江戸時代前期の1686年に建てられたお寺だ。東海地区唯一の木造五重塔があることでよく知られている。名古屋では京都の寺に最も近い雰囲気を持ったところと言っていいだろう。興正寺については、以前詳しく書いたので、ここでは繰り返さない。
観月会といっても、特に何かイベントがあるわけではない。愛知芸術大学の学生による弦楽合奏が目玉イベントで、それは撮りたいと思っていた。あとは野点とか、屋台が少し出ていたくらいだ。にもかかわらず、けっこうな人が訪れていた。みなさん、お月見をするなら風流な場所でしたいと思ったのだろうか。

中門も雰囲気があっていいのだけど、この日は行事の垂れ幕がかかっていたり、看板が立てかけられたり、コーンが置いてあったりだった。
門から正面に見える五重塔もいいのに、境内の中まで車を入れてしまうのはちょっとよくない。
今、いろいろ工事をしていて、全体的に落ち着かない感じだった。門前に並んでいるはずの灯籠も撤去されてしまっていた。工事が早く終わって、いつもの静けさを取り戻すのを待ちたい。

思いがけない収穫として、五重塔の扉が開けられて仏像が見られたことだ。普段は閉まっていて見ることはできないから、初めて見た。

仏像は四体見えていて、それぞれ四方を守っている。それから、中心にも一体安置されている。
仏像はどれも如来なのだけど、メジャーどころではなく、宝生如来など、ややマイナーな如来となっている。
これは、五智如来(ごちにょらい)といって、密教の5つの知恵を表しているのだそうだ。
中心に大日如来がいて、東を阿●如来(あしゅくにょらい)、南を宝生如来、西が阿弥陀如来で、北が不空成就如来となっている。五重塔はどこもそうなのかどうか、詳しいことは知らない。

学生服の生徒なんかが通ると、とっても修学旅行っぽい絵柄になる。
高さは30メートルと、五重塔としては小振りではあるものの、姿は美しく、品格と風格と備えている。
江戸時代後期の1808年に建立された。国の重要文化財に指定されている。
五重塔は、国宝と重要文化財とあわせて26が現存している。意外と多い。
昔は七重塔も全国にあったけど、現存しているものは一つもない。焼けるか倒れるかして、その後再建されなかった。

本堂は五重塔よりも古く、1750年に建てられた。もとは阿弥陀堂だった。
名古屋らしく、屋根にはシャチホコが乗っている。手前にも守り神がいるけど、これは何だろう。

本堂前には特設ステージが設けられ、弦楽合奏の始まりをみなさん待っていた。これを楽しみに訪れた人も多かったようだ。
まさか、このあと大雨が降ってくるとは、このときは思っていない。

お茶をいただくスペース。
お菓子つきの抹茶が500円というのが、こういうのの相場だ。

少しだけ屋台が出ていた。誘惑に負けるといけないので、見ないようにしている。

弦楽合奏が始まるのが6時で、15分前くらいになって、空がにわかに曇ってきた。本当に雨が降るかもしれないと思っていたら、すぐにポツポツと雨粒が落ち始め、ほどなくして底が抜けたようにどしゃ降りになった。こりゃ、まいったなと思う。

通り雨なのかどうなのか、主催者の側も少し迷っていたようだけど、結局、合奏は室内のホールに場所を移して行われることになった。観客は傘をさして見ていていいにしても、楽器演奏を雨降りの中でやるわけにもいかない。
雨は7時前になっていったんやむことになるのだけど、合奏は予定時間を大幅に遅れ、6時半を回っても始まる様子がなく、私はあきらめることになった。徳川園の入園は8時までで、ここからは自転車で45分くらいかかる。のんびり待つわけにはいかなかった。

雨が降る中、お堂の下で写真を撮る。雨はなかなか写ってはくれない。

灯籠の明かり。電球なんだろうけど、優しい色をしている。
このあと、雨がやんでいるすきに興正寺をあとにして、徳川園へ向かったのだけど、途中で気が変わった。月は雲に隠れたり出たりを繰り返していて、徳川園に行っても撮るものがあるかどうか分からなかった。行き先を栄に変更して、テレビ塔と名古屋城を撮りにいくことにした。それならたとえ月が出ていなくても撮るものはある。
次回はそのときの写真を紹介することにしたい。