PENTAX K10D+PENTAX DA 55-300mm f4-5.8 / PENTAX-M 50mm f1.4
今日(18日)、「小牧山お月見まつり」というのにちょっと行ってきた。ちょっとといっても自転車で片道16キロ、1時間半かかったので、体力的にはちょっととは言えない遠距離だったのだけど。
お月見まつりというからには中秋の名月を観賞しようという祭りなのだろうけど、写真のように今日はまだ満月ではない。これは十夜の月(月齢9.7)で、満月は来週の水曜日(22日)だ。たぶん、中秋の名月に近い土曜日に毎年開催しているのだろうと思う。平成9年に始まったこのお祭りは、今年で14回目となった。
特に撮りたいものがあったわけでもなかったのだけど、野外舞台で薪能(たきぎのう)が見られるというので、それを楽しみにしていた。舞台は撮影禁止というのは行く前から知っていて、それがなんとも残念ではあった。
祭りは4時半から始まり、着いたのは6時少し前だった。薪能が始まるのが6時からだったので、ちょうどよかった。
舞台で能などを見にいくとかなり高い。タダで見られるなら一度どんなもんか見てみようじゃないかと集まった人が多かったことだろう。中にはここで魅力を知って、毎年楽しみに訪れいているという人もいるだろうか。
観客も集まり、火も入って、始まるのを待つばかりとなっていた。
薪能以外には、月見団子汁を無料で配ったり、模擬天守にタダで登れたり、望遠鏡で月を見たりとか、そんなところだった。何を目当てに行けばいいのかが、ややはっきりしない。近所の人が夜の明かりにつられて自転車でやって来るお祭りといったふうでもあった。
目玉としては薪能くらいなので、もう一つくらい何か魅力的なイベントが欲しいところだ。去年は武将隊が来て演舞などをしたようだけど、今年はそういうのはなかった。名古屋城のおもてなし武将隊は他のイベントに参加していて呼べなかったのだろうか。
小牧山城といえば、信長が居城にしていた城で、家康と秀吉が小牧で戦ったときは、家康が本拠にしたところでもある。そのあたりの歴史をダシにしてもっと観光地にしたいところだ。犬山のように城下町の風情が残っていないのが厳しい。
3つほど露店が出ていたけど、ちょっと寂しかった。
名古屋コーチンを使った月見団子汁は、やはり人気が高く、長蛇の列ができていた。1,000食では並んでも食べられなかった人も多かったことだろう。
街中と小山がセットになっている小牧山だから、カラスのねぐらとしては最適なのだろう。いつ行っても、たくさんのカラスがいる。この日も夕暮れ空にカラスの大群が飛んでいた。
山頂の模擬天守まで、道の両脇に新型灯篭ドリームロケッ灯が並んでいる。
地元の子供たちが絵を描いて並べたもので、子供たちは自分の灯籠を探しながら登っていた。
この提灯の明かりをたどっていくと、あちらの世界へ行ってしまいそうなほどもの悲しい感じだ。
山道は暗く、ちびっこたちの灯籠はありがたい。これで足元を照らしてもらわないと、暗すぎて歩けない。幻想的というより実用的だ。
模擬天守から見る夜景。こちらは名古屋方面。遠くに名古屋駅のビルが見えている。
能舞台は撮影禁止だけど、会場全体を俯瞰で撮るのはいいだろうということで、かなり遠く離れた高台から撮る。
屋内で行われる舞台が撮影禁止なのは理解できるけど、屋外の薪能はいいんじゃないかと思う。撮影可能にすると三脚を立てたりフラッシュを使ったりする人がいるというので禁止にしてるのだろうか。
マナーの問題で禁止になっているのだとしたら、それはお互いにとって幸せなことじゃない。能や狂言などというものはいくら伝統や格式のあるものといっても、今の時代ではすっかりマイナーな芸能だ。少しでも客を増やし、ファンを育てていくには、露出を増やしていくしかない。閉鎖した状況の中で、いくら演じ手の側が伝統を守ったところで、客が来なければ衰退してしまう。客が少ないから舞台は高い金額に設定せざるを得ず、ますますコアなファン層しかいなくなる。売れない伝統工芸の職人がいなくなるのと同じだ。
無料の屋外舞台でやれば、地方のマイナーな祭りでもこれだけの人が興味を持って見に来る。時代に合わせて演じる側の妥協や迎合も必要だと思う。マナーの問題はあるにしても、写真をネットで見れば、自分も撮ってみたいと思う人は少なくないはずだ。こんな時代だからこそ、小さな波紋は、やがて大きな波になる可能性を秘めている。
美術品だとか、国宝の仏像だとかにも言えることだけど、日本は特にもったいぶりすぎるところがある。もっと積極的に露出していけばあらたなファン層は開拓していけるはずなのだ。
ところで、能や狂言はどうだったかといえば、まあ、見ていて楽しいものではない。すごくテンポが遅いし、何を言っているのか、よく分からない。雰囲気を楽しむものだと理解した方がいいかもしれない。そのためには、舞台の近くで見る必要がある。
鱗雲がかかって、秋月の風情になった。
少し離れたラピオ会場では、鳴子踊りや和太鼓の演奏が行われた。
帰りに寄って、少しだけ写真を撮った。かなり暗くて、狭いスペースで踊っているので、撮影は厳しかった。
祭りは夜の9時まで続いた。
私は一通り雰囲気も味わったし、見たいと思っていたものも見たので、早めに切り上げた。帰り道も、自転車を1時間半漕がなくてはいけなかった。
多少なりとも興味を持ったものは見ておくべきで、一度見ればそれで気が済む。行かないと気になってモヤモヤが残る。買い物は迷ったときはしないようにしているけど、写真に関しては迷っても行くべきだということを経験的に学んだ。行けば何か撮るものはある。行って損はしない。
祭りは夏祭りから秋祭りへと移っていく。