私の目に映った刈谷の風景

街(Cityscape)
刈谷の町並み-1

PENTAX K10D+PENTAX DA 55-300mm f4-5.8 / DA 16-45mm f4 / 50mm f1.4



 愛知県における刈谷市というのは、決してマイナーな市ではない。けれど、刈谷市に何があるか知っているかと問われると、答えに詰まる。刈谷? 観覧車があるパーキングエリアのハイウェイオアシスって刈谷だよね? といったくらいのものだ。
 刈谷城跡の亀城公園には行ったことがある。あと、刈谷と意識せずに行っていたのが、天然記念物のカキツバタが群生している小堤西池だ。南北に細長い刈谷市の北端にある。
 他に刈谷に何があるのかはよく知らない。逆に言えば、特に有名なものがないわりに刈谷はなんでメジャーな市になっているんだろうと、ちょっと疑問に思った。隣接している豊明市や高浜市を知らない人はいても、刈谷市を知らない愛知県民は少ないはずだ。
 刈谷は尾張と三河の境、西三河の西端に当たる。知多半島の東の付け根で、市の西を流れる境川が、尾張国と三河国との国境だった。
 境川は衣浦湾に流れ込み、逢妻川や猿渡川などが市を東西に流れている。それらの川の周辺には縄文時代から人が住んでいたようだ。貝塚なども多く見つかっている。昔はもっと海に近い土地だった。
 人が増えたのは、戦国時代の前期(1533年)に、刈谷城が建てられてからだ。
 尾張の緒川城(東浦町)を本拠にしていた水野忠政が、三河に進出して刈谷城を築城した。入り江や湿地に囲まれていて、遠くから見ると水に浮かんでいるように見えたことから、亀城とも呼ばれていた。
 この刈谷城で生まれたのが、のちに家康を産むことになる於大の方だった。水野忠政が支配を拡大するために、当時今川傘下にあった岡崎城主の松平広忠に嫁がせ、家康が生まれた。形原城主の松平家広とも娘を結婚させている。
 三河と尾張の国境という重要な位置にあったこともあり、刈谷の城下は発展してゆくことになる。
 ただ、家康の母親が生まれたところにしては、江戸時代はあまり恵まれなかったようで、3万石から5万石程度の小藩にとどまり、明治を迎えることになった。
 基本的には商業の町として発展してきた刈谷だけど、ちょっと意外なことに豊富な地下水を利用した酒造業も盛んだった。明治村にある巨大な酒蔵の菊の世広瀬酒造のあの建物は、もともと刈谷にあったものだ。
 明治の東海道本線開通によって刈谷の町は更なる発展を遂げ、戦中は空襲にやられず、戦後の豊田自動織機の誘致以降は、工業都市としての色合いを強めていった。

 そんな刈谷なわけだけど、刈谷駅で降りたのは初めてだった。街の中心地もまったく知らなくて、風景は新鮮だった。
 刈谷市民総踊りの前後と合間で、少し駅周辺を歩いてみた。今日はそのときに撮った写真を紹介することにしたい。
 これらが刈谷を代表する風景というわけではない。むしろ、刈谷を知っている人にとっては意外に映るかもしれない。私が惹かれた部分だけを切り取って集めているから、とても偏った姿になっている。けど、これもまた、現在の刈谷の姿の一部には違いない。
 一枚目は、空を映すビルの壁面だ。空ビルと名付けた。普段は無機質であろうビルが、このときはメルヘンチックな姿になった。

刈谷の町並み-2

 駅を少し離れたところから見た様子。
 かなり小綺麗で、近代的な町並みになっている。ここ10年以内に再開発されたような姿だ。昔の刈谷駅をまったく知らないから、どんなふうに変わったのかは分からないけど、想像していた以上に都会だった。
 手前の蓋(マンホールではないのか)には、市の花であるカキツバタが描かれている。カキツバタというと、知立にある無量寿寺のイメージが強いけど、刈谷には小堤西池があるから、譲れないところだろう。知立市も市の花はやっぱりカキツバタだ。

刈谷の町並み-3

 市民総踊りが行われた東陽町から新栄町にかけての商店街は、昭和の名残が色濃く、さびれている。近くにできたアピタの影響も大きかったのだろう。
 ここは男子専科の洋品店だ。まだがんばっている。中学の頃に流行った薄手のハイネックとかも売っていそうだ。

刈谷の町並み-4

 喫茶カラオケのNAHA。
 店の前で立っているのは、店主だろうか。
 カラオケというと若者の文化と思いがちだけど、この手の店は違う。昼間からおじいちゃんやおばあちゃんたちが集う店だ。カラオケボックスではなく、昔のカラオケスナックに近い感じなのだろう。

刈谷の町並み-5

 二階の窓から睨みつけるように祭りを眺める中華屋の親父さん。
 古い店の佇まいや風貌が渋い。手の位置がちょっとかわいい。

刈谷の町並み-6

 継ぎ接ぎとはまさにこのことで、手作り感溢れる家だ。
 平行な部分はまだよかったのだけど、屋根の斜めのラインをどう処理していいのか迷って、最後はなし崩し的に板を打ち付けてしまった。とりあえず全面を覆うことには成功している。下からではなく、屋根の方から始めていれば、もう少しきれいに仕上がったかもしれない。

刈谷の町並み-7

 アパートの入り口と、突き抜けた先にあるのは小さな中庭だろうか。
 歴史を感じさせるアパートにも心惹かれるものがある。

刈谷の町並み-8

 商店街のアーケード。
 新旧入り交じって、味わいになっている。
 メモリカードエラー! というのが何を意味しているのか分からなかった。エラーを直してくれるのか、エラーに注意しろということか。

刈谷の町並み-9

 刈谷の町並みには、なんとなく味がある。特にこれといった特徴があるわけではないのに、ところどころに魅力が見え隠れする。
 空襲で焼けずに、歴史がそのまま積み重なっているというのもあるかもしれない。

刈谷の町並み-10

 祭り会場の一本裏手に、こんないい路地があった。最近、たくさん路地を歩いているから、路地を見つけるのが上手くなってきている。
 愛知製銅の工場と住宅地の間にできた細い道が、生活路として残ったようだ。

刈谷の町並み-11

 住人以外がこの道を通る必然性はまったくない。近道でもなく、迂回路のような道で、住人が表で出るためだけの道だ。
 だから、すっかり油断がある。そこがまたいい。この路地は、いい路地だ。

刈谷の町並み-12

 夜に撮ったビル。住宅かもしれない。
 夜になると、また一段と雰囲気が増す。

刈谷の町並み-13

 喫茶カラオケNAHAの夜の顔。
 夜もコーヒーというわけにはいかないから、お酒を出すスナックになっていると思われる。
 NAHAは、那覇から来ているのだろうか。そう思うと、なんとなく沖縄風のような気がしないでもない。

刈谷の町並み-14

 夜の刈谷駅前。近代的だ。
 正面が駅で、右の建物は、みなくる刈谷という複合商業ビルだ。
 この駅前の様子を見ると、刈谷はけっこう潤っているらしいという話が信じられる。

 私が撮った写真が刈谷の本当の姿を伝えているとは思わない。ただ、刈谷の町を撮るのが楽しかったのは間違いない。短時間ではあったけど、収穫も多かった。また機会があれば、再訪したい。
 今回も写真がまだ残っているから、追記に載せておく。写真の在庫が多すぎるから、先を急ぎたい。
刈谷の町並み-15

 フルーツは新鮮さが命。
 お店はフレッシュさを失っただけでなく、持ちこたえることができなかった。
 昔はフルーツ専門に扱う店がやっていけたというのも、今となっては信じられないくらいだ。中途半端な専門店は、ことごとくスーパーや百貨店につぶされた。それらの店はコンビニやドラッグストアに食われ、今はネットがそれに取って代わろうとしている。時代は変遷していく。

刈谷の町並み-16

 TVタックルなどのテレビでおなじみの大村ひであき議員が祭りに来ていた。テレビと同じ顔で、すぐに分かった。
 碧南生まれで、西尾高校を出ている。
 政治家は週末になると地元に帰って挨拶回りをしているというけど、なるほど、こんな祭りにも顔を出しているのか。
 愛知は民主党が強いところで、小選挙区では民主党が全勝だった。大村ひであき議員も小選挙区で落ちて、比例区でやっと復活当選できた。愛知県ではただ一人の自民党衆議院議員となっている。

刈谷の町並み-17

 都コーポが黄昏色に染まる。

刈谷の町並み-18

 何屋さんか分からない前に、字が読めない。
 帰ってきてからネットで調べた。錻力でブリキと読むそうだ。ブリキに漢字があることも知らなかった。オランダ語のblikの当て字らしい。鉄葉という字を当てることもあるとか。
 ブリキのおもちゃも最近は少なくなったけど、スズ(錫)をめっきした薄い鉄板といわれても、今ひとつイメージはわかない。

刈谷の町並み-19

 なんだか、とても昭和っぽいなぁと感じた風景。

刈谷の町並み-20

 この路地はくねくね曲がっているのがいい。

刈谷の町並み-21

 錆びたトタンと、昔ながらの街灯。

 これが私の目に映った刈谷だった。
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コメント
  • 2010/09/09 17:36
    いつもの景色もこうしてみると・・なんとなく違って見えますね。
    メモリカードエラーってデータいれているメモリカードが
    ERRORだったんでしょうね。^^;
    電光掲示板・・パソコンで管理してるから^^;

    今日はいつもは通らない道を歩いてみたんですが
    大通りから一筋はいったところにタイムスリップしたような場所がありました。
    でもそこには確かに日常がありました。
    また行ってみようと思いました。
  • 刈谷再訪なるか
    2010/09/10 03:06
    ★lavieさん

     こんにちは。
     見慣れた風景を他の人が撮ると、やけに新鮮だったり、不思議な感じがしたりしますよね。
     近所をあたらめて撮ろうとは思わないし。
     私があのあたりに住んでいたら、あの写真は撮れなかったはず。
     刈谷もまだまだ奥が深そうだから、また訪れたいと思います。

     メモリーカードエラーは、なるほど、そういうことだったんですね。はは。
     納得しました(笑)。
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