
お昼寝中のカリフォルニアアシカを激写。決して動物園を訪れてる女の人を隠し撮りしたかったわけではない。アシカの平和な寝顔に心が和む。
野生のアシカはけっこう警戒心が強いというのに、動物園では完全に油断している。人の話し声がしようが、写真を撮られようが、子供が騒いでいようが、少し離れた上の方でホッキョクグマが吠えていようがおかまいなし。食べ物をとらなくていいとなると、動物も人間もだらけてしまうものだというのがこの顔を見るとよく分かる。野生の動物がギラギラしてるのは腹が減ってイラついてるというのが80パーセントくらいなのかもしれない。
カリフォルニアアシカは、名前の通り西海岸のカリフォルニア一帯に暮らしている。といっても、サンフランシスコやロサンゼルスのビーチで観光客と一緒に寝そべってるわけではない。もう少し南のメキシコに近いあたりだ。
地上では短いヒレの手足で歩きにくそうにしてるけど、いったん海に入ってしまえば時速40キロのスピードで泳ぐことが出来る。流線形の体はダテじゃない。
好物はタコ、イカ、エビで、食欲は旺盛だ。魚も食べる。あげたらあげただけ食べてしまう。回転寿司に連れていったら、店中のネタを全部食べてしまってこちらが破産してしまう恐れがあるので気をつけたい。
体長は、オスで2メートル半、メスで2メートルくらい、体重はオスが400キロ近く、メスが半分以下の100キロちょっとと、大きさにけっこう差がある。毛並みは水に濡れてると黒っぽいけど、本来は写真のように茶色をしている。メスはやや色が薄い。写真のはメスだと思うけど確信はない。
一年の大半をオスグループとメスグループに別れて過ごし、5月から6月になると繁殖のためハーレムが作られる。1頭のオスと数頭から十数頭のメスで構成される。嬉しいようなつらいような。私はアシカのオスになる自信がない。
あぶれたオスはどうしてるかというと、ハーレムのまわりをうろついてオスに追い払われたり、メスを誘惑したり、ときにはメスを強奪したりするという。いずれにしてもアシカのオスは大変そうだ。
妊娠期間は約1年で、一度の出産で1頭生まれる。授乳は10ヶ月。そう、アシカはほ乳類だったのだ。忘れてた。
ところで、アシカとアザラシとオットセイとセイウチとトドの区別があなたはつくだろうか? 私は無理。まずアシカとアザラシの違いさえはっきり分かってない。で、少し勉強してみた。
まずアシカとアザラシの違いは、四つ足で歩くことができるのがアシカで、アザラシは手足が短くて腹ばいでしか進めないというのがある。ゴマちゃんで有名なゴマフアザラシの映像を思い出してみると、確かにゴマちゃんは陸にあがるときもモゾモゾと腹ばいだった。
他には、写真のようにアシカには耳たぶがついているのに対してアザラシは耳の穴が空いてるだけというのもある。そのポイントを忘れなければ区別できるだろう。
よく水族館なんで芸をしてるのはアシカだ。アザラシもするそうだけど、前の手が上手く使えるアシカの方が多いはず。
次にアシカとオットセイの区別だけど、これが案外難しい。アシカの方が顔が大きいと言われても、並んでるわけじゃないから分からない。オットセイの方がシャープな顔をしてるというんだけど、どうだったろう。
セイウチは牙があって、トドはかなり巨大なので、これは分かりそうな気がする。
オットセイとアシカの違いについては課題が残った。オットセイエキスを飲んで出直すか(そんなもん飲んでどうするつもりだ?)。
かつて日本の海にも、ニホンアシカが普通に暮らしている時代があった。九州から北海道まで、太平洋側でも日本海側でも、一年中いたという。残念なことに、それはもう絶滅してしまったと言われている。20世紀の初頭、最後まで残っていたのが島根県だったそうだけど、その姿はもうない。
動物園にいる動物は、どれも遠い外国から来た珍しい生き物といったイメージがある。でもそういうやつらばかりではない。ほんの数十年前まで日本でも当たり前にいたやつもいる。
今はもういなくなってしまった動物たちをかわいそうだと思うのは人間のエゴだろうか。だとしても、彼らに思いを馳せることは悪いことではないと私は思う。せめて人の記憶の中で生きられますようにと願う。
そんな人間の感傷など知るよしもなく、今日もカリフォルニアアシカはのんきに昼寝をしながら西海岸の夢でも見てるのかな。