長くて短い夏は終わった <前編>

スポーツ(Sport)
高校野球1-1

PENTAX K10D+PENTAX DA 55-300mm f4-5.8 / DA 16-45mm f4



 しかし、また、派手にやられたもんだな。スコアボードを見て、思う。
 去年の甲子園優勝校では、いかにも相手が悪すぎた。
 一度高校野球を撮ってみたいという思いは去年からあった。ただ、今年になってもなかなか足が向かず、どうしたものかと思っていたところ、出身校が珍しく4回戦まで進み、ちょうどいい時期にいい場所で試合をすることになった。一宮の七夕まつりを見に行く日で、試合も午後12時半から、場所は瑞穂球場ということで、これ以上ないほどのお膳立てを整えてくれた。せっかく行くならまったく関係のない高校同士の試合よりも、出身校の方が観戦する楽しみもあるし、撮るにしても思い入れを持って撮りやすい。ここはもう、行くしかないと、瑞穂球場へ出向いていった。
 結果は5回コールド負けで、こちらはノーヒットと、やられ放題ではあったのだけど、それでも観に行くことができてよかったと思った。球場の雰囲気も味わえたし、写真を撮るのも楽しかった。
 毎年、1回戦や2回戦で負けている高校だから、3回勝って4回戦までいけたのは上出来と言っていいんじゃないか。中京とやって散ることができたのも、選手たちにとってはいい思い出になったことだろう。同じレベルの公立高校に負けるより、甲子園レベルに完敗する方が納得がいくはずだ。その中京は、その後も相手を圧倒して、決勝に進んでいる。おそらく決勝も勝つだろうし、甲子園でもけっこういいところまでいくんじゃないだろうか。
 写真に関しては、なにぶん初めてということで勝手が分からず、やや通り一遍のものとなってしまった感がある。高校野球が持つドラマチックな部分を切り取れたらいいと思っていたけど、そういったシーンはあまりなく、スタンド観戦レベルでの限界も知った。それでも、多少撮れた部分もあったと思う。

高校野球1-2

 練習を見たときから、負けは覚悟した。
 中京の選手は、キャッチボールの球からしてえげつない。各選手の球がものすごく速いし、遠投も強烈だ。ランニングをしている姿は軍隊みたいに乱れがない。
 私もテニスをしていたとき、試合前の相手選手とラリーをしただけで、これは勝てねぇなと悟ったことが何度かあったけど、あの感じを思い出した。フリーバッティングこそなかったものの、ノックの姿を比べても実力差は明らかだった。
 試合になるかどうかは、ピッチャーの踏ん張りにかかっているなと考えた。高校野球におけるピッチャーの役割は大きい。特に実力が劣っているチームの場合、エースが抑えれば試合になるけど、打たれたらもう試合にならない。

高校野球1-3

 高校野球というと、応援団やチアガールを思い浮かべる。しかし、地方予選にそういったものはないようだ。長久手は応援団といったようなものはあっただろうか。あまり覚えていない。チアリーディング部といったようなものもなかった気がする。
 中京の方もそれらしきものはいなかった。予選だから来ていなかっただけかもしれない。応援は控えの野球部員や生徒たちがメガホンを持ってやっていた。太鼓だけは一人いた。

高校野球1-4

 よろしくお願いします、ということで試合が始まった。
 向こうの方が人数が多いように見えるけど、一人ひとりのガタイが違うから、横に詰めて並んでも20人になると一人分の差になる。

高校野球1-5

 さあ、プレイボールだ。
 三塁側のベンチ上あたり、一番上段の席に着いて、そこから撮影することにした。途中で立ち上がっても後ろに迷惑をかけない場所ということで選んだのだけど、300mmズームでちょうど収まりがいい距離感だった。これでまだいっぱいではなく、もう少し寄れる。
 あと5メートルくらい前でもよかっただろうか。そのあたりに撮影慣れしているらしき人が二人いた。仕事っぽい様子だったから、そのあたりがベストポジションということなのだろう。それ以上前に行くと、手前のネットが邪魔になる。

高校野球1-6

 なんだよ、エース温存か。背番号19が先発だった。2番手でもなかったようで、途中から背番号11が出てきた。次の試合のニュースを見たら、また違うピッチャーが先発していたから、中京はピッチャーが4人いるらしい。そりゃあ、勝てない。

高校野球1-7

 背番号19は、荒っぽいピッチャーで、初回からフォアボールを出し、のけぞるような球を連発し、しまいにはデッドボールを2回も当ててきた。それで長久手はすっかり恐れをなして打てなくなったというのもあったかもしれない。
 ただ、四死球で毎回塁を賑わすものの、ヒットが出ないようでは点は入らない。
 荒れ球が持ち味のピッチャーなのか、たまたま制球が定まらなかっただけなのか。
 せっかくだから1イニングでもエースの投げる球を見てみたかった。背番号1は一塁を守っていて、途中から引っ込んでしまった。

高校野球1-8

 デッドボールが当たったところを、スプレーでシューシュー冷やしてもらっているところ。球は速かったから、けっこう痛かったはずだ。

高校野球1-9

 試合は一方的なペースで進むも、ピッチャーがピリッとしない。中京は中京でもどかしい思いをしていたのだろう。何度もマウンドに集まっていた。そのあたりも、きっちりした野球をやっている印象を受けた。

高校野球1-10

 長久手は、エースで4番の中鶴が頼みの綱だった。4回戦まで勝ち上がったのも、彼の存在あってこそだったに違いない。
 なんとか抑えて欲しいというのがチームや関係者の願いだったのだろうけど、それまで戦ってきたチームとは格が一段も二段も違った。

高校野球1-11

 少し慎重になりすぎてストライクが入らず、フォアボールを連発して、ポテンヒットや犠牲フライで点を取られたことでペースが狂ってしまったようだ。
 それにしても、中京のバッターはみんなよく打つ。振りが鋭いし、大振りしないからヒットが続く。相当高いレベルのピッチャーじゃないと一試合抑え込むのは難しそうだ。
 長久手の守りは悪くなかった。内野のエラーもなかったし、ライトが一度目測を誤ってフライを捕れなかったことはあったけど、それ以外はポロポロするようなことなく、守備は鍛えられいる印象を持った。

高校野球1-12

 中京の主力バッターは、足と肘にプロテクターをつけている。昔は誰もそんなものをつけていなかったけど、最近は当たり前になりつつあるのだろう。身を守ることは大切だ。
 長久手ではピッチャーの中鶴がしていた。他に代わりがいないだろうから、怪我をしたら大変だ。

高校野球1-13

 打って出たランナーがヒットでどんどん帰ってくる。
 あっけないほど簡単に点が入っていく。

高校野球1-14

 マウンドで話し合うバッテリー。
 中鶴としても、長久手としても、なすすべがないといった感じだった。
 控えピッチャーはいるのだろうけど、エースで4番の中鶴が打たれたらしょうがない。結局、最後まで投手交代はなく、一人で15点を取られることになった。

高校野球1-15

 スタンド風景。けっこう観客も入っていた。
 上半身裸のおじさんがいたりするのも、高校野球の観戦風景だ。

高校野球1-16

 この日も灼けるように暑い一日だった。選手たちは、この日の暑さを覚えているだろうか。私はずっとあとまで、見上げた空の青さと白い雲を忘れないような気がする。

 後編につづく。
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