一見の価値がある名古屋市市政資料館

名古屋(Nagoya)
名古屋市市政資料館-1

PENTAX K10D+TAMRON 28-75mm f2.8



 一度行かなくてはいけないと思いつつ、なんとなくきっかけがないまま先送りになっていた名古屋市市政資料館。この前、キヤノンギャラリーへ行ったとき、方向がついでだったので、ようやく行くことができた。
 見てきた感想としては、やはりここは一度見ておかなくてはいけないところだったな、というものだった。名古屋の人も、そうじゃない人も、一見の価値がある。
 今日は、その名古屋市市政資料館について紹介することにしたい。

名古屋市市政資料館-2

 
 赤レンガと白い花崗岩の洋風建築は、レトロモダンでハイカラ、重厚さと軽やかさを併せ持っている。
 札幌の人は、これ、うちにも似たようなやつがあるぞと思ったかもしれない。全国に8つ建てられた控訴院庁舎で、現在は名古屋と札幌のみ現存している。
 建てられたのは大正11年(1922年)と、大規模なレンガ造りの建物としては最末期のものだ。1984年には国の重要文化財に指定された。
 工事の主任を務めたのは、ジャズピアニスト山下洋輔氏のおじいちゃんである山下啓次郎だった。
 大正から昭和にかけて、名古屋高等裁判所、地方裁判所が置かれ、長らく名古屋の司法の中心としてこの建物が使われていた。
 昭和54年(1979年)に、裁判所が中区の三の丸に移り、取り壊しの話も出たようだけど、これだけ立派な建物を壊すのはもったいないということになり、保存が決まった。
 文化庁や県の支援を受けて、名古屋市が外観と内部の復元・修繕工事を行い、平成元年(1989年)に、名古屋市市政資料館として一般公開された。名古屋市の公文書館としても使われている。
 場所は、県庁や市庁舎の東の裏手で、名古屋城から見ると南東に当たる。少し奥まったところにあって、やや見つけづらいかもしれない。一応、名城公園の飛び地という扱いになっている。
 東区の白壁地区を中止とした「文化のみち」の起点でもある。名古屋の観光バス・メーグルもちゃんと止まる。
 平成19年に、入館者が100万人を突破したそうだけど、その数字が多いのか少ないのか、よく分からない。近所の学校の社会見学などにも使われているようで、団体の見学も多いのかもしれない。
 個人的には司法関係の建物だから、そんなに面白いことはないだろうと思っていた。それは確かにそうなのだけど、無料で見学できて、内部の写真も撮れるというのはありがたい。
 月曜と第三木曜が定休となっている。

名古屋市市政資料館-3

 入口はあまりにも無防備というか、開放的で、本当に勝手に入っていっていいのかどうか、少し戸惑う。入口に受付の人くらいいるかと思っていたけど、そういった人もいない。ガードマンのような人もいない。
 中ではまだ働いている人たちがけっこういるようで、半分役所のような雰囲気もある。
 完全な観光気分で、カメラをぶらさげて入っていて、パチパチ写真を撮っている自分が、ひどく場違いなような気がした。見学自由には違いないのだけれど。

名古屋市市政資料館-4

 一番の見所は、入ってすぐの中央階段室だ。
 見覚えがあると思った人がいたとしたら、それは勘違いではないと思う。ドラマ「華麗なる一族」や「花より男子2」など、いろいろなロケに使われているからだ。
 この場所をメイン会場として、結婚式も行われている。
 ネオ・バロック様式の内装で、階段の手すりがマーブル塗りになっていたり、ステンドグラスがはめられたりと、非常に豪華で洒落た造りになっている。

名古屋市市政資料館-5

 中央のステンドグラスも見所の一つだ。
 裁判所ということで、デザインは天秤がモチーフとなっている。

名古屋市市政資料館-6

 天井にもステンドグラスが入っている。
 教会以外でこれだけ大きなステンドグラスがあるところはあまりない。その点でもここは貴重な存在といえる。

名古屋市市政資料館-7

 この部屋も重文指定されている会議室で、当時の様子を忠実に再現しているそうだ。
 大きな絨毯やシャンデリアなど、調度品にお金がかかっている。

名古屋市市政資料館-8

 廊下も雰囲気がある。
 蛍光灯で白々と照らすのではなく、窓からの採光というものがちゃんと計算されている。

名古屋市市政資料館-9

 明治憲法での法廷を復元した部屋。
 基本的なスタイルは、今もあまり変わっていないように思う。
 別の部屋では昭和の法廷部屋も復元されている。
 展示室の中は撮影が禁止されていた。資料などを写されては困るということだろうか。
 名古屋の街の古い写真なども展示されていて、見ていくとなかなか楽しめる。
 明治の古い新聞などもあるようで、調べ物をしている人には役に立つ場所なのだろうと思う。

名古屋市市政資料館-10

 愛地球博にあった大地の塔の資料を展示している部屋もある。
 といっても、あのでっかい太陽の塔がここに移されているはずもなく、写真とか万華鏡の動画などを見せている。
 万博のときは並ぶ気力がなくて見られなかったという人も多かっただろうから、映像で見て、あのときを懐かしむというのもいい。

名古屋市市政資料館-11

 昔の建物は、こういうスイッチ一つにしてもデザインに手を抜いていない。日々の暮らしで使うものでも、実用的でありさえすればいいというわけではない。昔は外観にも内装にも、遊び心があった。

名古屋市市政資料館-12

 雑居房や留置場もあって、中に入ることができる。

名古屋市市政資料館-13

 留置場エリアは、1階でありながら地下のように暗い。

名古屋市市政資料館-14

 市政資料館と道一本隔てた向かいに、大きな長屋があり、司法書士の事務所などが並んでいる。今となっては懐かしい寄り合い所帯だ。
 裁判所の向かいということで、地の利があったのだろうけど、裁判所が移転した今も、そのままここで事務所を続けている。

名古屋市市政資料館-15

 この一角だけ唐突に昭和の下町みたいで面白い。

 司法に興味はなくても、建物の外観と内部だけでも見て損はない。
 まだ現役で使われている建物ということで、息づかいが感じられるのもいい。眠りについた明治村の建物とはその点に違いがある。
 名古屋にもちょこちょこ古い建物は残っているけど、これだけ大きな規模のもので、内部を自由に見学できるところは少ない。
 名古屋の人も、名古屋に遊びに来た人も、チャンスがあれば一度訪れてみることをオススメしたい。
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コメント
  • 2010/07/14 22:10
    へぇ~!
    こんなふうになっているんですね、建物内は。
    前は何度も何度も通っているのですが、ただの一度も入ったことありませんでした。こりゃちゃんと拝見しないとダメですね。せっかく保存してくれているのだから。

    成程、深い言葉です。さすが、オオタさん!
    「まだ現役で使われている建物ということで、息づかいが感じられるのもいい。眠りについた明治村の建物とはその点に違いがある。」
  • ぜひ入ってみてください
    2010/07/15 02:09
    ★moumingさん

     こんにちは。
     市政資料館は、入ってみたら思った以上に魅力的な建物でした。
     夜はライトアップもしてるようだから、チャンスがあればそれも撮りたいと思ってます。
     moumingさんも、前を通りかかったら寄ってみてくださいね。
     ざっと見て回るだけなら15分くらいですから。

     建物ってやっぱり人が使ってないと、気の抜けた炭酸飲料みたいなんですよねぇ。
     明治村の建物は、どれも抜け殻みたいで。
     廃墟までなってしまえば、それはそれでまた違った魅力も出てくるのだけど。
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