色々な不思議があった名鉄・東名古屋港駅

旅/散策(Stroll)
名鉄大江駅




 碧南をあとにした頃には、もうだいぶ日も傾き始めていた。名鉄の旅も終盤で、あとはセントレアへ行って飛行機を撮るだけだった。
 とその前に、少し気になる駅があった。神宮前と中部国際空港とをつなぐ常滑線の途中、大江駅からちょろりと一駅だけ伸びている線がある。築港線という名前の路線で、駅は終点の東名古屋港駅のみ。
 日没まではまだ少し時間があったので、試しに行ってみることにした。予備知識はほとんどなかったけど、行ってみれば何か分かることもあるだろうと思いつつ。
 大江駅で降りて、隣のホームに移る途中、改札口があって戸惑う。何故、名鉄から名鉄への乗り換えなのに、改札を通らなければならないのか、このときはまだその理由が分からなかった。
 帰ってきてからよくやく理解できたのだけど、東名古屋駅には改札がなく、この線に乗る人は必ず東名古屋港駅で降りることになるから、先に運賃を払ってもらうという先払い方式になっているのだった。逆に東名古屋港駅から大江駅に来たときは、この改札で後払いすることになる。なるほど、そういうことかと納得した。



名鉄列車内

 夕方、大江駅から東名古屋港駅へ向かう人は少ない。ほとんどいないと言ってもいい。
 この路線の時刻表を見たとき、一瞬、見間違いかと思って二度見してしまった。
 一日20本のうち、朝の7時台、8時台に8本あり、その次の列車は16時44分となっている。9時台から15時台はまったく列車が走っていない。17時台、18時台が4本ずつで、最終は19時44分と早い。

築港線時刻表

 単線ひと駅の折り返し運転だから、東名古屋港の時刻表も同じようなものだ。
 土曜になると12往復に減り、休日は7往復になってしまう。
 この時刻表もどういうことなのかさっぱり分からなくて、あとになって納得することになる。
 とにかく、ガラガラの列車に乗って3分ほど揺られていると、あっけなく東名古屋港駅に到着する。



東名古屋港駅ホーム

 東名古屋港駅の風景。
 駅員さんが、タブレットとかいうやつをぶら下げて運転席の方に歩いていった。
 運転士の交代があるのか、あれを持って席を移動するのか、よく見ていなかったから分からない。



東名古屋港駅出入り口家路に就く人たち

 色々と驚くことが多かった築港線だったけど、一番驚いたのが夕方の東名古屋港駅の光景だった。
 行きの列車がほとんど無人に近かったから、利用客はごく少ないんだろうと予想していたら、私が降りるのと入れ替わりに、どこからともなく人がワラワラと湧きだしてきて、みんな一斉にホームへ早足で歩いていく。なんだこれはと、心の中でつぶやく私。
 異様な光景というのは言い過ぎにしても、すごく不思議な光景ではあった。
 見ているうちにも人は更に増えていく。サラリーマン風のスーツ姿の人から、労働者風の人、普段着のような人までいて、統一感がない。年齢層も広く、女性も多い。一体、この集団は何なんだ。そして、どこからやって来たのか。



線路と列車と乗客

 ホームらしきものはあるものの、ホームが終わってすぐに普通の道路になる。少し離れて見てみると、路面電車のようにも見える。
 駅としては東名古屋港駅が終点なのだけど、線路は終わらずに西の海の方に向かって続いている。
 駅前の交差点に横断歩道はなく、車の交通量はかなり多い。列車に乗りたい人は道路を横断できないから、歩道橋から行くしかない。みなさん、慌てて走っていた。毎日のこととなると、なかなかきついし、歩道橋を走っている途中で電車が行ってしまうと虚しい。
 終点の寂しい港風景を想像していたら、良くも悪くも大きく裏切られることになった。



企業ビル

 東名古屋港駅周辺から名古屋港にかけて、工場や事業所がたくさん建ち並んでいる。
 東レの大きな工場があり、三菱関係の会社が多いようだった。写真の時計台がある建物も、三菱自動車の関連会社らしい。
 なるほど、ここらで働いている人たちのための路線だったのかとこのときようやく合点がいった。
 朝夕しかないダイヤも、その時間しか利用者がいないということを意味している。
 けど、遅刻したり早退したいときはどうするのだという疑問も起きる。昼間訪れる業者の人も困るだろうに。
 と思ったら、ちゃんとバスが出ていた。朝夕は人が多くてバスでは運びきれないから、その時間帯だけ列車を走らせているということだったのだ。
 やはり、現地に行ってみないと分からないことは色々あるものだ。



続く線路

 築港線の線路は、東名古屋港駅で終わらず、港の方に向かって伸びている。
 しかし、雑草が生えて、使われている感じではなかった。
 昔は、貨物線として大活躍していたこの路線も、名古屋臨海鉄道が敷かれてからはほとんど使われなくなったということだ。
 名古屋臨海鉄道は東名古屋港のあちこちに伸びていて、JR東海道本線の笠寺駅とつながっている。
 名鉄と交差するところはダイヤモンドクロッシングという90度の交差になっていて、全国でも珍しいんだとか。
 何年か前まで、築港線に沿ってリニアモーターカーの実験線が敷かれていたそうだけど、今は撤去されて跡形もない。
 線路の先がどうなっているか気になったので、線路沿いに歩いてみることにした。



名古屋港行き止まり

 線路は道路を横切り、港の方へと続いている。その手前で、鉄の扉が閉まっていて、そこから先は分からない。

※コメント欄で教えていただきました。よければ参照されてください。



名古屋港埠頭

 遠くに名港トリトンが見える。左の青いのが名港東大橋で、右の白いのが名港中央大橋だ。更に右に赤色の名港西大橋がある。
 角度からすると、手前にブルーボネットがあるんじゃないだろうか。



ポートビルとイタリア村

 右に目を移すと、今はなきイタリア村の残骸が見える。あの建物群はどうなってしまうのだろう。このまま放置されて廃墟のようになってしまうのだろうか(2015年に解体)。
 名古屋港ポートビルもよく見える。
 夕焼け時間なら、なかなか素敵な光景が見られそうだ。
 名古屋港の花火も、ここからよく見えそうだ。けっこう知られているポイントなんだろうか。



名古屋港夕景

 日没時間が近づいてきた。こんなところでのんびりしているわけにいかない。夕焼け時間の前までにはセントレアに行かないといけない。
 セントレアについては、第一回目でお送りした。名鉄電車の旅はそこで終わりとなったのだけど、この名鉄シリーズは、ここで完結ということになる。なかなか楽しくもあり、収穫の多い旅となった。身近な鉄道の旅でも知らないところはたくさんある。名鉄の旅第二弾は、秋に予定している。

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コメント
  • 2010/07/06 06:54
    おはです

    > 扉の先
    さまぁ~ずの番組(なんだっけなぁ・・・)で’新しいのや古い列車の積み下ろしをするところ’のような紹介をしてましたが、そこなのかな?・・
    恥ずかしながらクロッシングもそれで知りました。

    > リニアモーターの実験の跡
    あぁ・・・、そういえば・・・、港のほうであったとか無かったとかだったような・・・、うーん・・・。やっぱそうだったのか。見てみたかった。
  • 未知のエリア
    2010/07/07 00:53
    >⑦さん

     こんにちは。
     扉の先は、もう少し線路が続いていて、どこかの建物があって、立ち入り禁止でした。
     少しだけ進入して写真を撮ったんだけど。
     東名古屋港は、まったく未知のエリアだったんで、新鮮で面白かったです。
     名鉄の路線も、まだまだ知らないところがたくさん。
  • No title
    2016/01/13 00:26
    どうも、毎日利用してる人間です。
    あの線路の扉の先には埠頭がありまして、車両を輸出する時の船積み場所や、近くの三菱重工や東レの大物部品輸送(例えばH-2ロケットの部品を種子島まで運ぶ時とか)の船積み場所に使われたりしてます。
    乗客の殆どが三菱や東レの社員なので、例えば三菱重工の工場が休日に振替出勤でフル稼働なんてことになると名鉄に要請が行って、時刻表では休日ダイヤなのに、平日ダイヤで運行するなんてこともありますよ。
  • また東名古屋港駅へ
    2016/01/13 21:27
    >名無しの工員さん

     こんにちは。
     あの線路の先がどうなっているか気になってました。
     詳しく教えていただきどうもありがとうございます。
     なるほど、そんなことになっていたんですね。
     それだけでも知っていると知っていないとではあの線路を見たときの気持ちが違ってきます。いいことを教えていただきました。

     あの変則ダイヤは、そういうこともあるんですね。
     あんなにすっぽり真ん中が抜けていてもいいんだろうかと思ったのですが、昼間に走らせても乗客がいないんでしょうね。

     また機会があれば東名古屋港駅を訪れたいと思います。
  • No title
    2016/01/18 06:53
    返信ありがとうございます。

    時計塔のある建物と、奥の方の敷地は現在はほぼ全て三菱重工と三菱航空機の敷地になってまして、現在は三菱重工大江工場(https://www.mhi.co.jp/company/organization/nagoyaaerow/index.html)の一部になってます。

    実はあの時計塔のある建物はかつて堀越二郎氏率いる三菱設計班があの「ゼロ戦」を設計した建物の一つだったりします。(風立ちぬの舞台の工場も同じ場所にありました。作中の時期的に時計塔はギリギリ建設前でしたけど。)
    今も現役でMRJ等、国産航空機の設計に使われてますよ。

    時計塔の奥に見えている青色の巨大な工場はボーイング社のB787型旅客機の複合材主翼を製造するための工場で、世界最大の一体成型複合材製品を作れる唯一の工場でもあります。
    このB787の主翼も、線路の先の扉の奥の東名古屋港埠頭から船積みされてセントレアに運ばれ、そこから専用輸送機のドリームリフターでアメリカの最終組立工場に運ばれます。

    上に書いたことは検索すると三菱重工の公開プレスリリースとかに乗ってますよ~。決して機密漏洩とかでは無いです。(笑
    http://www.mhi.co.jp/news/story/1212195298.html
  • あの線路の先
    2016/01/18 22:20
    >名無しの工員さん

     こんにちは。
     更に詳しく教えていただきありがとうございます。
     それは外から見ているだけでは分からないことですね。
     三菱重工について詳しく知ろうと思わないというのもありますが。(^^;

     ドラマ「下町ロケット」のライバル会社のモデルが三菱重工らしいですね。
    「風立ちぬ」も観ました。
     へー、そうなんだと感慨を新にしてます。
     B787がセントレアで初飛行するとき見にいきました。ドリームリフターもいました。
     あの線路の先はそんなことになっていましたか。
     ふとした思いつきで行った東名古屋港駅でしたが、いろいろ知ることができてよかったです。
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