
東山動物園における好待遇動物の第2弾として、今回はアミメキリンにスポットを当ててみた。都会の小学校の運動場よりも広い場所にアミメキリンたちは暮らしている。駆け回るとまではいかなくても、軽く小走りできる広さは充分にある。立地条件もいい。ホッキョクグマの裏手の高台で、隣にはコアラ舎という、スターが集まるビバリーヒルズのような場所にある。
現在東山動物園には8頭のアミメキリンがいて、そのうちの3頭は去年産まれた子供たちだ。ぎやかになって、見る側としても楽しいし、キリンファミリーも喜んでいるんじゃないかと思う。
ただひとつ、やっかいなことがあるとすれば、隣のスペースで間借りした格好になっているダチョウの性格が荒っぽいことだ。とにかく休むことなくうろつきまわり、となりからつついたりしてくる。前は仕切りがなくて自由に行き来できたようだけど、キリンの子供を追いかけたりしたために柵で仕切られてしまったようだ。それでますますストレスがたまったダチョウは落ち着きなく歩き回っていた。
去年の12月に生まれた子供の名前がこの前ようやく「トリノ」に決まった。ちょっと安易すぎないかとも思うけど、園の人が考えたオグビーやホップなどの候補の中からトリノが来園者の最多得票だったとのことだ。名古屋はトリノと姉妹都市でもあるから、オリンピックだけというわけでもないか。
写真の2頭は、そのお兄さんとお姉さんのキンタとマリモだと思う。父親はスティービーで、お母さんは全員別の異母兄弟だ。
代表的なキリンに、写真のアミメキリンとマサイキリンがいる。アミメキリンは模様が編み目のようだからそう呼ばれ、マサイキリンは網目模様のふちがギザギザでタイル模様が整然としてない。動物園で一般的なのはアミメキリンだけど、西日本ではマサイキリンが多いらしい。でもキリンは基本的に1種類で全部亜種だから、大きな違いはない。その他、ウガンダキリン、ナイジェリアキリン、コルドファンキリン、ヌビアキリン、北ローデシアキリン、アンゴラキリン、ケープキリンなどがいる。アミメとマサイの中間のようなロスチャイルドキリンというのもいる。
他にキリン科の生き物は現在オカピしかいない。かつてはたくさんのキリン科の生き物がいたといわれている。
キリンは有名な動物だし、多くの人が動物園で目にしてるから案外ありふれた動物のような気がしてるんじゃないだろうか。実際はアフリカの狭い地域にしかいない生き物だ。サハラ砂漠より南のエチオピア南部からケニア北部にかけての山の斜面やサバンナ、半砂漠地帯にのみ生息している。
陸上でもっとも背高ノッポで、オスは5メートルから5.8メートルくらい、メスは1メートルくらい低い4メートルくらいで、体重は1~1.5トンもある。メスがオスよりも背が低いのは、食べる木の葉や果実の取り合いにならないためらしい。このへんの首の長さについてはよく進化論で語られるところだけど、中間の首の長さの生き物の化石が見つかってないので、実際のところはよく分かってない。
首は長いけど首の骨は普通のほ乳類と一緒の7つしかない。ひとつひとつの骨が大きいだけで、たくさんの骨がある鳥なんかとは構造が違う。
心臓よりも2メートルも高いところある脳に血液を送らないといけないから、とっても高血圧だ。人間はだいたい80-120くらいなのに対して160-260もある。人間なら即入院、というか死んでしまう。
そんな高血圧なのに頭を下げて水を飲むときは頭に血が上って大丈夫なんだろうか、と思ったらちゃんと対策はなされていた。血液逆流防止弁が備わっているのだった。それにしても、これだけ高血圧だと激しい運動は命取りとなる。400メートル走が限界だそうだ。逆に血圧が下がりすぎても危険になる。首が長いということは思った以上に不便なのだった。
サバンナではたいてい1頭のオスと数頭のメス、そしてその子供たちでひとつの家族として暮らしている。繁殖期になるとライオンなどから子供たちを守るために何家族かで固まる。
とはいえ、キリンはそれほどやわな生き物ではない。ライオンに襲われるのは小さな子供だけで、大人のキリンは前蹴りの一撃でライオンを倒せるくらい強い。
それに目がものすごくいい。おまけに耳もいいから、ライオンなんかもそう簡単には近づけない。7キロ離れた仲間ともコミュニケーションがとれるという。地図を見てみたら、7キロというと名古屋駅とナゴヤドームの距離だった。どんだけ目がいいんだ。
まつげが長いのは、単なるかわいさをアピールするためではなく(当たり前)、サバンナの強い日差しから目を守るためのものだ。すだれのようなものと言ったらいいだろう。
走るのだって遅くない。最高時速50キロも出せる。スクーター並みだ。走ってるキリンにひかれたら人は死んでしまう。
妊娠期間は420日~460日くらいと長い。1年と2、3ヶ月おなかの中で育つということだ。だから、生まれたときにはすでに身長1メートル60~2メートルと、かなり大きくなっている。これは赤ん坊のときに少しでも敵から襲われるのをふせぐための知恵だろう。生まれて20分で立ち上がって、数時間後には歩き回ることができる。
一回の出産で生まれるのはたいてい1匹で、10ヶ月くらいは母乳を飲んで過ごす(ひと月後くらいからは葉なども食べるようになる)。
寿命はだいたい25年くらいだ。
ペットして飼うことができる一番大きな動物がキリンだというのは有名な話だ。「トリビアの泉」にも出てきた。キリンはワシントン条約の指定動物ではないから、法律的には飼えるということになる。実際、日本で飼ってる人はいないだろうから、一番乗りのチャンスだ。
飼育条件としては、30メートル四方の広い場所、乗り越えられない柵、冬場用の建物、この3点は最低クリアしなければならないそうだ。お隣さんと庭が隣り合わせだったりしたら問題があるので、そのへんも考え合わせないといけない。
エサは広葉樹の葉っぱや、青草、固形飼料などで、1日10~20キロは食べるという。エサ代は大変そうだけど、広い庭を持ってるくらいの家なら大丈夫だろう。散歩も必要なんだろうか? とりあえずうるさく吠えたりしないのが飼いやすさのポイントと言えるだろうか。性格的にもおとなしいし。
今日はキリンについて勉強してみた。今まで知らないことが多くて面白かった。今後も動物シリーズは続けていこうと思う。また動物園にも行きたい。