プールのある庭付き一戸建てに暮らすホッキョクグマ

動物園(Zoo)
ホッキョクグマはもう暑い

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f6.7, 1/560s(絞り優先)


 東山動物園の動物シリーズ一回目はホッキョクグマにした。
 いわゆる白クマさんだ。白クマというわりには毛が薄汚れてるなと思ったら、体調がいいときは毛並みが黄色がかるんだそうだ。何日も風呂に入ってないとかいう理由ではない。
 ホッキョクグマの居住ゾーンは庭付き一戸建てのように環境がよかった。庭にはプールもあり、室内は冷房完備。広さは100坪くらいあったかもしれない。ちょっとした豪邸並みだ。
 2頭はオスとメスだろうか。さかんに吠えたり、階段を駆け上がったり、追いかけあったりして元気だった。これくらい広々としていると好感が持てる。一畳くらいのスペースでうろつき回ってる動物を見ると、かなり残念な気がする。
 東山動物園におけるホッキョクグマは、天下りの会社役員並みの好待遇で迎えられてると言えるだろう。

 北極にいるから北極熊。地図の上の方の狭い地域一帯、アラスカやグリーンランド、シベリアなどに現在2万頭ほどが生息している。
 陸上に生きる四つ足の生き物の中で一番大きいのがこのホッキョクグマだ。ヒグマよりも大きい。オスは2メートルから2メートル50くらい、体重は300キロから最大800キロにもなる。メスはややスマートで体重がその半分くらい。それでも充分に大きくて重い。人間で対抗しようとしたら、小錦が舞の海を肩車するといい勝負になるかもしれない。でも、それでは動きが鈍すぎてやられてしまう。熊は意外にすばしこい。舞の海の猫だましではクマもびっくりしないだろう。
 泳ぎだって得意だ。犬かきならぬ熊かきで時速6キロから10キロくらいで泳ぐ。休まず100キロだって泳げるというから、50メートルしか泳げない私などあっという間にエジキになってしまう。北極圏で泳ぐのはやめておこう(その前に寒さで死んでしまう)。
 鼻がいいのも特徴で、1キロ先の匂いまで分かる。
 好物はアザラシ。氷の穴から息をするために顔を出すのを氷の上に伏せて待ち伏せして、アザラシが顔を出したところを腹ばいダッシュで近づいて前の手で一撃。モグラ叩きのアザラシ版。アザラシ側から見たら、恐るべきやつだ。
 その他、セイウチやときにはクジラなども襲う。ただ、北極圏はそれほどエサが豊富ではないため、魚や貝、海鳥なんかも食べたりする。何もないと海草も食べて飢えをしのぐ。周辺には人間がいないから襲われたというニュースは聞かないけど、人間もいたらエサになると思う。北極にいくときは差し入れを持っていこう。
 こんな肉食獣な彼らだけど、好きなのは肉よりも脂身で、食べ物に余裕があるときは、アザラシの脂だけ食べて赤みは残すらしい。体脂肪が多い人は、あまりホッキョクグマに近づかない方がよさそうだ。
 動物園では何を食べてるかといえば、さすがにアザラシを与えるわけにはいかず、鶏肉や魚を中心にニンジン、リンゴ、ヨーグルトなどをやっているそうだ。アザラシを襲ってるシーンなんか見せた日には、子供やお母さんの悲鳴が飛び交って大変なことになってしまう。

 白クマというからには毛は白いと思いがちだけど、実は筒状の透明で、それが光に当たると白に見えるだけだったりする。地肌は黒というのもちょっと意外だ。
 何しろ寒さに耐えなければいけないんで体脂肪率30パーセントで、乾きやすいたっぷりの毛皮を身にまとっている。足の裏にも肉球が隠れるくらい毛が生えていて、おかげで氷の上でも滑らずに歩くことができる。寒さにはめっぽう強い。マイナス40度でも体温が変化しない。
 ということは逆に言うと暑さには滅茶苦茶弱い。名古屋の夏をどうやって乗り切ってるのか心配になるほどだ。よくニュースで氷の固まりをもらって抱えてるところを見るけど、あんなものは気休めだ。とてもじゃないけど炎天下では耐えられないんで、夏場は冷房がガンガン効いてる室内で過ごす。すごく電気代を食いそうだ。春になってきてそろそろ彼らにしてみたら暑さの限界が近づいてきてるのかもしれない。

 野生のホッキョクグマは、繁殖期以外は単独行動をしている。暮らしてる土地柄なのか、性格なのかは分からない。エサの問題もあるのだろうか。
 出産は真冬。一度に産まれるのは1頭から多くても3頭。極寒の地では子だくさんでは困ってしまう。お母さんは雪の中に穴を掘って、そこで子供を抱えるようにして数ヶ月間、絶食状態で子育てをする。この間はおかなも空いてるし、子育ての大変さもあって、メスがもっともイライラしてる時期だ。うかつに近づいたらやられてしまうので注意が必要だ(そんなところに一般人が迷い込む機会はないけど)。2歳から4歳くらいまで母親と一緒に過ごす。
 動物園での出産はかなり難しいようで、あまり例がない(円山動物園などでの数例あるらしい)。
 寿命は、野生では25年から30年くらい、飼育下での最長は34年だそうだ。長いような短いような。
 飼育そのものがやはり難しいようで、国内の動物園のどこにでもいるというわけではない。北海道、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、和歌山、徳島、愛媛の14ヶ所だそうだ(変動があるかもしれない)。
 旭山動物園に新しくできた「ほっきょくぐま館」は評判がいい。大型水槽の横からガラス越しに泳ぐ姿が見られたりするそうで、迫力満点なんだという。旭川動物園はいつか行きたい。

 東山動物園のホッキョクグマは嬉しいのか悲しいのか、うぉーうぉーと盛んに吠えていた。高いところに登ると、少し離れた隣のカリフォルニアアシカが目に入る。のんきに昼寝してるアシカたちを見て、あれ襲いてぇ~、食いてぇ~と吠えているのかもしれない。なんてことを想像した。あの配置は東山動物園側の狙いなんだろうか。
 動物園の使命のひとつとして、動物をいかに野生の姿に近づけるかというのがあると思う。旭川動物園が成功したのはその点だったんじゃないか。私と同じように動物園が苦手という人の多くは、元気がない動物を見たくないからというのがあると思う。そういうことでいえば、このホッキョクグマは見ていて気持ちがよかった。
 これから暑くなってくるとホッキョクグマの動きがだんだん鈍くなってくるから、暑くならないうちに見に行くことをオススメします。

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コメント
  • 2006/03/11 12:47
    こんにちは~。

    動物園か~、10年は行ってないよな~。
    近くには円山動物園があるのに・・・。
    旭山動物園も旭川に行った時、いこうかなって思うけど、
    すごく混んでるみたいでいつも行かないで終わってしまします。
    実は・・・あのアニマル臭も、ちょっと苦手なんです・・・。

    白くまの地肌が黒いんだ~。なんか意外です。
    これから、動物シリーズの記事楽しみにしてますね。
  • 2006/03/12 02:44
    こんにちは。
    動物園は、のろさんも娘が小さかった頃行ったっきりで、ご無沙汰してますねぇ~
    ホッキョクグマが脂好きなら、のろさんの腹を差し出して、脂だけ食べて頂きたいですv-356
    この頃触ると、ビーズクッションの感触になってきまして・・・v-398
    それはさておき、ホッキョクグマが狩をする時、白い世界で唯一目立った自分の鼻(黒色)を、両前足で隠すって聞いたんですがホントでしょうか?
    何かで聞いたものですから・・
  • 花粉症は動物園へ行こう
    2006/03/12 03:06
    ★kuronekoさん

     こんにちは。
     動物園は行かないとなると行かないですよねー。
     私は長い間、意識的に行かないようにしてたんだけど、久しぶりに行ってみると、そんなに悪くないじゃないかと思うようになったのでした。いや、むしろ楽しいところかもしれない、と。
     だから、kuronekoさんも私に続いて、ひとり動物園デビューしてみてください(笑)。

     円山動物園も大きな動物園なんですよね。
     ここでは確かホッキョクグマの子供が生まれたそうですよ。これは珍しいことなんで一見の価値ありです(今でもいるのかな)。

     旭川動物園はあまりにも有名になってしまって、地元の人はむしろ敬遠してるのかもしれませんね。(^^;
     一時はかなりさびれてたって話だけど、よく持ち直してこんな人気動物園になったものですね。
     kuronekoさん、花粉症じゃないですか? もし花粉症なら、匂いが分からない今が動物園へ行くチャンスですよ(笑)。
  • 素早く逃げられるかが決め手
    2006/03/12 03:18
    ★のろさん

     こんにちは。
     動物園は、行ってみると意外な客層や組み合わせで訪れていて、そのへんのウォッチングも楽しめますよ(笑)。
     コワモテと派手なお姉さんのカップルとか、外国人の団体とか、娘と高校生くらい母親ってパターンもあります。
     のろさんの娘さんはどうでしょうね。のろさんが誘っても一緒に行ってくれないかなぁ。(^^;
     車を出すかどうかでまずモメそうです(笑)。

     ホッキョクグマの脂好きは相当なものらしく、赤みはそっくり残すそうだから、うまくいけばのろさんのおなかは一気に引っ込むかも!?
     でも、そのためにはのろさん、相当素早く逃げないといけません。その動きができるかどうか心配です(笑)。

     ホッキョクグマが鼻を隠すってのは知らなかったけど、それはあり得ますね。オットセイを待ち構えるときは腹ばいのうつ伏せ状態だから、ちょうど手で鼻を隠すのに都合がいい体勢だし。
     また今度調べておきますね。
  • 2006/03/12 18:49
    動物園記事なかなか勉強になりますねぇ、私は愛媛なので人工哺育で有名な白くまピースちゃんのいるとべ動物園があります。家からは1時間ほどです。
    去年はピースちゃんの檻が黒い幕で隠されて見えないようになっていたり発作がでたりして動物園に行ってもなかなか会えませんでした。今年は会えるといいなと思ってますが。。。
  • 散歩の途中で動物園
    2006/03/13 03:36
    ★のら子さん

     こんにちは。
     いらっしゃいませ。

     動物園は、私にとってつい最近まで長らく興味のない場所でした。(^^;
     でも思い直して行ってみたら、いろいろと感じるところも多くて、楽しい場所でした。
     あまりお出かけという感じじゃなくて、ふらっと立ち寄るくらいの感覚で行くといいのかもしれませんね。
     私もこれからはちょくちょく行こうと思ってます。

     とべ動物園、ネットで検索したらよさそうなところですね。
     http://www.tobezoo.com/
     ライブビデオは、絶対いいアイディアだと思う。これは今後もっといろんな動物園サイトが増やしていって欲しいところです。
     とべ動物園は、自然の地形を利用していて広い飼育場ですね。すごくいい感じです。東山動物園はコンクリートむき出しのところが多くて、あれはちょっとと思ってしまうのでした。

     白クマのピースちゃんを見てきたら、またブログで紹介してくださいね。
  • 2006/03/13 23:50
    しかも、しろくまくんは「オープンカフェ」のようで(笑)
  • どれか選ぶならコアラかな
    2006/03/14 03:11
    ★ただときさん

     白クマくんたちは、見られてても平気なのかなぁ?
     私はオープンカフェでお茶なんかしたことないです。(^^;
     もし私が動物園に入ることになったら、人目のない室内にこもって出てこないでしょう(笑)。
     そして人気者にはないれない。(>_<)
     選べるなら、ずっと寝ててもいいコアラでお願いします。
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