
今日3月8日はミツバチの日だ。3がみっつ、8がはち、それでミツバチ。何をするかといえば、ミツバチを大事にしたり、日頃あまりふれ合う機会がないミツバチとふれ合おうとか、そんな趣旨の一日だと思う。まったくの勘だけど(たぶん違う)。
気がつけばミツバチもぶんぶん飛び交う季節になっていた。今日の名古屋は17度。こんなに暖かいからにはおまえたち、寝てる場合じゃないよ、働け、働け、蜜を集めな、花粉を持ち帰れ、と巣の中の女王蜂がムチをビシビシたたいていたことだろう(ムチを持ってる女王様は別の生き物)。
ミツバチの社会は厳しい。ひとつの巣に女王蜂は一匹。あとは少数のオスと無数の働き蜂で構成されている。働き蜂は全員がメスだ。
働き蜂の寿命は40日しかない。若いうちは巣の中で子育てや巣作りを担当し、中堅になると危険な外勤へと出されて、あとは死ぬまで蜜を集め続ける。1匹の働き蜂が生涯で集める蜜はスプーン一杯分だ。
オスは一切働かない。だからといって気楽でいいなと思ったら大間違いで、まずはオス同士、女王蜂と交尾をするために命がけで闘わねばならず、もしそれに勝っても、交尾のあとはショック死という過酷な運命。他のオスも自分でメシは取れないから働き蜂のやっかいにならないといけなくて肩身が狭い。春から夏にかけては置いてくれるけど、秋になると巣から放り出されてしまい、寒さと飢えで死んでしまう。寿命は約3ヶ月。
やっぱり女王様が一番だねと思うかもしれないけど、それはどうだろう。寿命は5年から6年と長い。長いけど、その間、一日に1,000個も卵を産まないといけない。やることは働き蜂が作った女王専用のローヤルゼリーを食べて産卵することのみ。なんの気晴らしもない。
こうやって見てくると、なんだかんだで働き蜂が一番ましかもしれないと思えてくる。蜜集めは大変だけど、営業の途中で少しは怠けられるし、外の世界も知ることができる。死ぬときは寿命だし。
ミツバチはどの卵がどのタイプの蜂になるかは決まっていない。たまたま王台に産みつけられた卵が女王蜂になり、それ以外は働き蜂になる。不受精卵がオスになる。完全な女系社会だ。ミツバチのオスにはなりたくないなと思う。
いい機会なので、ミツバチに関する疑問や知識をまとめてみよう。
まずはミツバチは何を食べてるの? という素朴な疑問から。当たり前ではあるけど、ハチミツを食べている。あと、花粉を集めて花粉だんごにしたものを食べたりもする( 巣の材料にもする)。女王は特別に作られたローヤルゼリーだけを食べている。だからあんなに寿命が長くなる。人間用でも売ってるけど効果のほどは分からない。人間用といえば、プロポリスというものも聞いたことがあると思う。これは樹木の樹脂とミツバチの唾液中の酵素が反応してできたもので、巣壁に塗られるものだ。防腐剤のような役割をしてると言われている。
どうやって花の蜜がハチミツになるかということだけど、まずストローのような口で集めた蜜を腹の中の「蜜胃」という一時保管袋に詰めて巣に持ち帰る。そこで内勤の働き蜂に口移しで与えて、巣の保管所に入れる。そこからがすごくて、羽を扇風機のようにブンブン振って蜜の水分を飛ばして濃縮するというのだ。なんだかすごいぞ、ミツバチ。その結果濃縮されたものがハチミツとなる。
一番好きな花はレンゲだという話がある。本当かどうかは分からない。なんでも一匹のハチミツは、一度取った花の蜜をずっと取り続けるんだそうだ。混ぜものなし。だから、巣によってハチミツの味は違うらしい。
ミツバチだけが刺すと死ぬというのは、針にかえしが付いていて、体を抜くときに針が引っかかって内臓が取れてしまうからだ。うひょー、残酷な。だから、よほど切羽詰まらないとミツバチは刺したりしない(はず)。
その他、蜂の巣の話や、ミツバチのダンスについてなど、かき集めた情報はいろいろあるのだけど、これ以上は長くなるので今回はこのあたりにしておこう。また機会があれば。
写真のミツバチはセイヨウミツバチだ。日本には元々ニホンミツバチという在来種がいた。明治時代に人間がハチミツを取るために飼いやすいセイヨウミツバチを導入したことでニホンミツバチは追いやられてしまった。野生でもセイヨウミツバチが多いと思う。飼われてるのはほとんどがセイヨウミツバチだ。どうしてそうなったかというと、ニホンミツバチは逃亡してしまうからだそうだ。けっこう笑える。セイヨウの方がミツバチに関しては素直で、言うことを聞いて、体格も大きいから蜜もたくさん集めてくれる働き者なのだ。ニホンミツバチは隅っこに追いやられてしまったとはいえ、やれやれと思っているかもしれない。
見分け方は、全体に黒っぽいのがニホンで、オレンジ色っぽいのがセイヨウだ。ニホンの方がお尻の白黒ツートンが整然としているように思う。
ミツバチの一生がこんなにも過酷なものだったとは知らなかった。ミツバチにあやまりたい。ハチミツもなんのありがたみもなくなめていた。ひとなめで働き蜂の一生分だとも知らず。これからはミツバチに対する感謝の気持ちを忘れず生きていこう。巣から高価なローヤルゼリーを盗んでやろうかなどという不埒な考えは捨てて。
こんな気持ちになれたのも、3月8日がミツバチの日だったおかげだ。ありがとう、ミツバチ。これからは仲良くしよう。だから、もう私を刺すのはやめておくれ。2回も刺されたら充分だ。