
美味しい食パンを買ってもオーブントースターでは美味しい食パンにならないということに今さらながら気づいた。トースターという名前のくせに、実はトーストは苦手というオーブントースター。
食パンはやはりポップアップトースターだろう。食パンを焼くというただひとつの使命のみを背負って生まれてきたポップアップトースター。自分、それ以外のことは何もできません。不器用ですから……。高倉健さん的なカッコよさ。
いざポップアップトースターを買おうと決めて、まず問題となるのが値段だ。値段かよ! 性能よりも、デザインよりも、メーカーよりも、まず値段。そこから出発して最終的な妥結点を見いだしたい。
だいたいこれくらいっていう相場の見当がつかないまま2,000円くらいかなと思いつつ、いつものようにオークションを見て回る。なんだか値段にバラツキがある。安いのはそれこそ500円くらいから、高いものは1万円オーバーまで。これちょっとよさそうだなっていうのは3,000円くらいのものになる。予算的にはそれでもいいんだけど、2、3回で使わなくなってしまう可能性を考えるとちょっともったいないような気もする。
すぐに飛びつくとたいていロクなことにならないので、一週間くらい様子を見て、だいたい相場が掴めたところで買うのを決めた。TESCOMのCT20。TESCOMなんて聞いたことがないメーカーだけど、定価は8,400円とまずまずだったし、性能的にも920Wと670Wの切り替えができて、解凍焼きや焼き色調節ダイヤルなど、ひととおり揃ってるから問題はないだろう。デザインも気に入った。シャッターふたというのも気が利いている。送料合わせて1,500円くらいと格安で買えたし、まずどんなものか試しに使ってみるには申し分ない選択だった。
早速焼いてみる。外はサクっと、中はふんわりといくかどうか。で、いったのか、と私に問いますか? そりゃ問いますよね。うーん、とうなんだろう、たぶん、と答える私。何しろまだ一回しか焼いてないのではっきりしたことは言えないのだ。そもそも食パン自体、ここ最近で4回くらいしか食べてないし。ただ、はっきり分かったことといえば、私は厚切りよりも薄切りでカリカリに焼いた食パンが好きらしい、ということだ。って、それとトースターの性能とは話が別だろう。
もう一回焼けばもう少しはっきりしたことが言えると思うんだけど。ブログに書くのを早まったかもしれない。食パン自体も、前は美味しいパン屋さんで買ったのに対して今回は近所のスーパーの中で買ったものだから、その違いもあったと思う。
同じパンをポップアップトースターとオーブントースターで焼き比べれば分かるのか。今度はそうしてみよう。私は決して味音痴などではないのだということをそのときこそ証明してみせる。
しかし、こうなってくると、気になるのがトースターの性能差だ。聞いたことがないメーカーの定価2,000円くらいのものと、有名メーカーの1万円を超えるものとでは焼き上がりの味に明らかな差が出るものなのだろうか? 更に外国に目を向けると、3万円を超えるトースターなどもある。何々ホテル御用達、なんて言われると、なんだかものすごく欲しくなってしまうではないか。イタリアンのデザイナーズのようなトースターもインテリアとしては最高だ。あれこれ買って使い比べてみたくなってきた。
いろいろ調べていたら、英国製がとても魅力的で私を誘ってくる。食パンはイギリスパンと言われるだけに、やはり英国が本場と見るべきだろう。アメリカにも伝統的なメーカーがあるけど、ここはひとつ英国でいきたい。って、ホントにいくつもりか!?
ラッセルホブスは、イギリスの代表的な家電メーカーで、ここのトースターは欧米のホテルなどでも高い評価を得てるらしい。1万円くらいと、買って買えない金額じゃない。
しかし、上には上がいる。その名もデュアリット。英国の業務用、ホテル用の電気調理メーカーで、一番安いトースターでも2万円、高いものでは4万5,000円もする。何しろ職人さんがひとつひとつ手作りしてるというから値段も高くなろうというものだ。今でも昔のままのデザインのものを、総煉瓦造りの建物で手作業してるらしい。4万5,000円という金額自体は庶民でも買える値段ではあるけど、トースターにその値段となると、心とお金に余裕がないとなかなか手が出せない。私? そんな余裕があったら、デジをもう1台買うぞ。
4万5,000円のデュアリット製トースターで焼いた食パンは一体どんな味がするんだろう? 敷島パンなんて焼こうとしたら、入れたとたんに勝手にポップアップしてパンをはじき出してくるんじゃないかと心配になる。職人の魂が拒絶するかもしれない。よかったら、誰か買ってみてください、デュアリット。そして、どんな味がするのか私に教えてください。使わなくなったら私にくれてもいいです。
その他、トースター選びのコツとしては、やはりワット数が高いほどいいというのがある。パンの中身の水分が飛ばないうちに一気に焼き上げるから、表面はカリッとして中身はふわっとなる。冷凍する人なら解凍ボタンがあるやつにした方がいいし、一枚焼き専用の人は一枚焼きボタンがあると便利だろう。山型の食パンが好きなら、山型用の横向きに入れるトースターもある。焼き色調節もできないよりできた方がいい。
焼く前にトースターをあらかじめ温めておくのがポイントだ。その方が美味しく焼ける。厚切りパンは表面に少し切り込みを入れるといいそうだ。
ポップアップトースターのデメリットはといえば、ピザなんかが焼けないことはもちろんのこと、バターを乗せて焼けないというのもある。これは個人的にちょっと残念だ。焼き上がったパンにバターを伸ばして付けるのは難しい。
あと、銀色はおしゃれでインテリアとしてはいいんだけど、指紋がベタベタつくのがやっかいだ。特に過去に指紋をよくとられた人にとっては苦い思い出がよみがえってしまう恐れがある。あんまり指紋が付くもんだから、しまいには手袋をして持ちたくなってくるほどだ。ハングマンのように指紋を消してしまうかとさえ思う(そこまでは思わないだろう)。
毎朝食パンを食べる人なら、1万円くらいは小さな贅沢として自分や家族のために買ってみてもいいかもしれない。デュアリットはともかく、ラッセルホブスの1万円は高くない。20年は壊れないだろうし。
私は当面、このTESCOMでいこうと思う。まずはオーブントースターとの仕上がりの違いを区別するところから始めよう。目隠しして、皿をシャッフルしたあと、両方食べてどちらがどちらで焼いたか当てるのだ。でもそれ、ひとりでやっても盛り上がらないだろうなぁ。