
やっと見つけた春の野草第2弾は、ホトケノザ。なんだか木のベンチに寄り添う恋人同士みたいに見える。そんなふうに見えてしまうのは、もしかして私も久本マチャミと同じ恋愛ノイローゼにかかっているというのか!? だとしたら危険な兆候だ。春だけど恋の妄想が暴走するのは食い止めよう。ストップ・ザ・恋愛妄想。目指せ恋愛事故ゼロ! って、それはそれでよくないだろう。恋の60キロ走行でいきたい。
ホトケノザ。春先の雑草扱いされることもあるこの野の花は、「仏の座」などといういい名前が付けられている。茎を取り巻く2枚の葉の様子が仏様の座る蓮華座を連想させるところから付けられたという。
別名はサンガイグサ(三階草)。葉が段々につくことから付けられた。ただし、やっぱりホトケノザと呼ぶ人がほとんどだと思う。
春の七草のホトケノザは、タンポポみたいな黄色をしたコオニタビラコのことで、こいつのことではない。七草にホトケノザなんて入れた日にはものすごくまずくなるから気をつけたい。ただ、花の蜜は美味しいらしく、昔これを学校帰りにチューチュー吸って帰ったちびっこもいたんじゃないだろうか。私も吸っていたような気がするけど気のせいだろう。
とてもありふれた雑草で、日本ではほぼ全国どこででも見られる。ただし、北海道にはないというから、生まれも育ちも道産子という人は、もしかしたらホトケノザを見たことがないのかもしれない。
世界では、東アジアを中心に、ヨーロッパやアフリカの北あたりに咲いているそうだ。
草の丈は10cm~30cmくらいで、基本的には3月から6月くらいにかけて花を咲かせる。例外的に秋に咲いたり、真冬に咲くこともあるらしい。
帰化植物とはいえ、有史以前にやって来たというから、ほとんど国産と言っていいだろう。聖徳太子も子供の頃はこれをチューチュー吸っていた、という記録はどこにもない。たぶん、そんなことはしてないと思うけど、してたらちょっと嬉しい。
ホトケノザは、したたかな戦略で子孫を増やして繁栄を続ける。まずは花を筒状にして蜜だけを取られないように小さいハチだけを中に招き入れて、背中に花粉がつくような仕掛けをほどこしている。近づいてよく見ると花にオレンジ色の部分があるけど、それがおしべだ。
それだけでは確実とは言えないので次なる手を打つ。花が咲き終わったあとに咲かない小さな花(閉鎖花)を咲かせて、その中で自家受粉をして実をつけるのだ。これが第2作戦。
だめ押しとして種にも細工がしてあって、種の先にアリが好きなエライオソームなる成分を持たせておいて、アリに運ばせるという手も打ってある。アリは何故だかこの種を運びたくなってついつい運んでしまう。しばらくしてエライオソーム成分が消えてしまうと、アリはハッと我に返って、どうしてオレはこんなものを運んでいたんだ? とその場に種を放してしまうというわけだ。
非常に賢いというかしたたかなホトケノザ、私もいい部分は見習いたいと思う。
花の先をよく見ると、唇の形をしてることに気づく。いや、それは私の恋の妄想がそんな連想を生むというわけでは決してない。ちゃんと唇形花冠(しんけいかかん)という呼び名が付いている。しかし、そうやって意識すると蜜も吸いにくくなるなぁ。って、やっぱり吸ってたのか! いやいや、大人になってからはしてませんってば。野草を引っこ抜くなんてことは、もうできない体質になってしまった。
春が深まってくると、公園や道ばたでもでもたくさんこのホトケノザが見られるようになる。場所によってはびっくりするくらい群生してることもある。
道を歩くときは少しだけ空き地なんかに気をつけてみてください。きっと春を待ちわびたホトケノザたちが、首を長くして咲いているところを見ることができるはずです。そのときは、ホトケノオオタこと私のことを少しだけ思い出してくださいね。
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