春の先駆けマンサクさん、病気に負けるな、ファイトです

花/植物(Flower/plant)
マンサクって

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-300mm(f3.8-6.3), f6.7, 1/75s(絞り優先)


 西日を浴びるマンサク。マンサクなんていうと、知らない人が聞いたら人の名前かと思うだろう。左門豊作みたいではないか。星くん! とか言いたくなる。
 名前のプレートには「まんさく」とあった。本当にマンサクだろうか? 私にはシナマンサクのように見えた。これまた悩ましいマンサクとシナマンサクの区別。サザンカとツバキのときと同じように。
 よく言われるように、花が咲いている時期に枯れ葉が残っていればシナマンサク、というのを信じればこれはシナマンサクだ。写真には写ってないけどけっこう葉がくっついていた。花もマンサクの方がもっと明るい黄色のような気がする。これはオレンジに近い。
 マンサクでもシナマンサクでもいいじゃないかなどと言うなかれ。マンサクは日本固有種なのに対してシナマンサクは中国原産で、学名も違う別の種類なのだ。マンサクはHamamelis japonica、シナマンサクはHamamelis mollis。Made in JapanとMade in Chinaくらい違う。

 で、結局どっちなんだというと実はよく分からない。シナっぽいなと思うけど、もし違ってたら100万円な! と小学生みたいなことを言われると、とたんに自信がなくなる。
 他に見分けるポイントとしては、中央の赤い部分が明るい赤ならマンサクで黒っぽい赤ならシナ、匂いをかいで生臭い感じならマンサクで甘い香りがしたらシナ、シナの方が萼(がく)が毛深くて花が大きめ、マンサクより先に咲くのがシナ、などがある。ふたつを見比べれば分かるかもしれないけど単独での判別は難しい。更にふたつを掛け合わせた交雑種(Hamamelis intermedia)もあるというかやっかいだ。
 行き詰まったときは、シナそばでも食って心を落ち着けよう。しかし、シナって。今の若者はシナが中国のことだって分かるんだろうか。シナ人とか最近めっき聞かなくなった。と思ったら、何年か前、ばあちゃんが「じいちゃんはシナ人と文通してる」と言っていた。古い世代の人にとって中国はいまだにシナなんだなとそのとき思った。東シナ海とかもあるから、まだ言葉としては生きてると言っていいだろう。

 マンサクを漢字で書くと「満作」、ホントに人の名前みたいだ。シナマンサクだと「支那満作」となり、このまま名前として通用しそう。巨人の星で中国人スラッガーとして登場したとしても違和感はない。
 別名として「金縷梅」というのもある。これは季語になってるようだ。
 名前の由来は、春先に他の花に先駆けて「ま(ん)ず咲く」というのが変化して付いたという説と、花をたくさん付けるところから「満咲く」になり、そこから豊作を願って満作となったなどの説がある。この花がたくさん咲いた年は豊作になるという話もあるそうだ。
 花言葉は、呪文、霊感、魔力、神秘と、何やら恐ろしげ。そんないわくありげな木ではないと思うけど。
 樹の高さは2メートルから5メートルくらい(ときにはもっと大きく)で、シナマンサクの方はあまり高くならないため、公園などで植えられることが多いようだ。マンサクは日本の関東以西に自生している。
 花期は2月から4月にかけて。ごちゃごちゃっとしてるのは、花が2~4個固まって咲くからで、花びら4枚でひとつの花を形成している。
 見てるとなんとなく食べたくなってくるのは、子供の頃ベビースターラーメンをさんざん食べた記憶が呼び起こされるからだろうか。散策していて極限までおなかが空いたら、思わず食べてしまうかもしれない。食べてるところをみかけたら注意してください。それは食べ物じゃありませんよ、と。

 このマンサクが近年、謎の病気にかかっているという。最初に見つかったのは1998年の愛知県で、それから数年間で一気に全国に広まったそうだ。葉っぱが茶色に枯れ始めて、そうなるとなすすべなく数年で枯れてしまう恐ろしい病気なのだという。花もここ何年かでかなり咲かなくなったらしい。原因が分からないだけに心配だ。自生のものも園芸種も同じ症状というのがよく分からない。直接的な接触はないだろうに。
 このまま全滅なんてことにはならないと思うけど、今後も被害は広がっていくことが予想される。原因は病原菌というよりも、地球環境の変化とマンサクとの関係性にあるのかもしれない。どうした、満作、ガンバレ、と声をかけたくなる。キミは6人兄弟の長男じゃないか、と。それは左門豊作だろう。
 公園などでマンサクを見かけたら、声をかけて励ましてやってください。春を告げる先発隊として貴重な戦力なんだから、まだまだしっかり咲いてもらわないと。特に花が寂しいこの時期はマンサクの黄色は欠かせない。いよいよ本当に危なくなったらラジカセでモーツァルトを聴かせてあげた方がいいかもしれない。
 頭に巨大なラジカセを乗せて、モーツァルトを流しながら公園のマンサクの間を歩いてる男がいたら、それはまず間違いなく私です。曲はアイネ・クライネ・ナハトムジークの予定です。

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コメント
  • アイネ・クライネ・ナハトムジーク・・・
    2006/03/01 08:14
    撮影の時にクラシックを聴くのは、私だけでなくて安心しましたぁ~・・・
    四国の松も松食い虫に食い荒らされて銘木や古木が枯れています・・・
    恰好のモデルさんをかっさらっていくイケメン?(例えが悪い???)の様で歯ぎしりしきり・・・
  • 生き物はみんなモーツァルトが好き
    2006/03/02 03:20
    ★我楽多さん

     こんにちは。

     木も放っておけば生きてると思ったら大きな間違いなんですね。そんなことも知らずに過ごしてました。
     手入れしなければ長生きしないってのを知ったのは去年くらいからです。
     花や鳥や虫に興味持つようになったのも去年、おととしくらいからで、すべては写真を撮るようになったおかげです。

     そろそろ桜の季節ですね。ソメイヨシノもいいけど、樹齢数百年とかっていうのも興味が出てきました。
     去年はエドヒガンとかを少し見たけど、今年もそっち方面で見て回りたいと思ってます。

     牛にモーツァルトを聴かせると乳の出が良くなったり、ハウス栽培の果物に聴かせると甘くなったりするらしいですね。
     モーツァルトの音楽が心地いいのは人間だけじゃないって面白いなぁ。
  • 2006/03/02 13:17
    マンサクの花を見かけると、ちょっと幸せな気分になります☆
    黄色の花ってなぜだか元気の素のような気がして。。
    春の便りですね^^
  • 最近黄色が好きになりました
    2006/03/03 02:14
    ★睡蓮さん

     こんにちは。
     睡蓮さんもマンサクさん好きでしたか。
     私もマンサクさんと呼んで、近所の人のいいおじいさんのように親しみを持ってます(笑)。

     春は黄色い花が多いですね。ロウバイにしても、マンサクにしても、菜の花にしても、フクジュソウにしても。
     昔は黄色ってそんなに好きな色じゃなかったんだけど、ここ数年、好きな色の上位に来るようになりました。もしかして、Dr.コパが黄色い財布は金運が上がるって言ってた影響か!?(笑)
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