今日下呂があるのはシラサギと林羅山のおかげ <下呂-2>

観光地(Tourist spot)
下呂2-1

PENTAX K10D+DA 16-45mm f4



 下呂、高山への旅は、急ぐならワイドビューひだで、のんびり行くなら高山本線の普通列車でということになる。
 下呂まではそれなりに本数があるものの、その先が厳しい。1時間に1本どころか、朝夕以外は3時間に1本くらいになるから、1本逃すと致命的なことになる。それでも、どうにかこうにか名古屋から下呂、高山への日帰り旅行は可能だ。現地での時間的な余裕はほとんどないけれど。
 この日の旅の目的は、高山へ行くことだった。ただ、直接行っても着くのは午後になるし、その前の列車が下呂止まりだったので、先に下呂へ行ってあとから来る高山行きを待つことにした。下呂では2時間半くらいあったから、ぶらぶら歩いて写真を撮るには充分だった。
 下呂といえば完全に温泉に特化した町で、風光明媚な観光地ではない。なので、ここへ写真を撮りに行く人はあまりいないと思う。実際、これといった観光資源はない。下呂温泉合掌村くらいだ。にもかからわず、かなり写真を撮ったということは、意外にも写真向きの町なのかもしれない。昭和の風情を残す温泉地風景が、私には魅力的に映った。次に行った高山の方が撮った枚数は少なかった。
 2回目の今回は、温泉の歴史なども絡めつつ下呂温泉を紹介しくことにしよう。

下呂2-2

 駅前の風景。
 温泉街は駅裏の川を渡った向こう側に集まっているので、実質的にはこちらが裏と言った方がいいかもしれない。少し歩いてみたけど、みやげ物屋があるくらいで他にはこれといったものはなかった。
 下呂温泉は日本三大温泉の一つを自認し、堂々と公言している。よくある自称三大何々というやつだろうと思っていたら、そこには確かな根拠があった。
 江戸時代初期の儒学者・林羅山が、有馬温泉、草津温泉と並んで下呂温泉を日本三名泉の一つとしたことに由来している。有馬や草津は有名でみんな知っていても、下呂はお湯の効能がすごいのをみんな知らないだろうと書いた(今ふと11PMのうさぎちゃんを思い出した)。
 というのが一般的な説となっているのだけど、実はそれ以前に元ネタがあった。室町時代の五山僧・万里集九(ばんりしゅうく)が「梅花無尽蔵」の中で、天下三名泉は草津、有馬、下呂と歌っているのだ。羅山がそれを知らなかったはずはない。悪く言うとパクった。有馬には行ったようだけど、湯島には行ってないらしいし、下呂もたぶん訪れてはいない。
 林羅山というのは家康から将軍4代に仕えた学者で、政治的にも幕府に対して影響力を持っていた人物だった。のんきに全国温泉めぐりなんてしてる暇はない。
 それでも、三つの温泉にしてみれば、国のお墨付きをもらったようなもので、下呂は特にラッキーだった。下呂温泉が三大温泉を名乗ってはばからないのも無理はない。
 それに納得のいかない全国の有名温泉地は多いはずだ。人気ランキングで下呂がベスト3に入るとは思えない。
 温泉としての歴史は古く、平安時代にはすでに源泉が見つかって知られる存在となっていたようだ。現在の川沿いではなく、湯が峰の山頂近くだったという。
 それが鎌倉時代になって突然枯れてしまう。どうしたものかと困っていとき、傷ついたシラサギが河原に舞い降りてきて水に浸かって傷を癒していたところを村人が見た。しばらくするとサギは元気に飛び立っていき、あとには薬師如来像が残った。そこをよく見てみると、温泉が湧き出していたというのが、下呂では有名な白鷺伝説だ。
 下呂は元々、湯之島(湯島)といっていた。下呂に名前が変わったのは昭和に入ってからのことで、どういうきっかけでそういうことになったのかはよく知らない。律令時代に宿駅の下留駅(しものとまり)がこの地にあって、それがげりゅう、げろ、というふうに転じていったとかなんとか。

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 飛騨川と温泉街の風景。
 河原に低い衝立で囲まれているところがある。噴泉池という露天風呂だ。
 かつては仕切りもなかったようだけど、少し気を遣って軽く囲んでみたらしい。といっても、脱衣所はなく、橋の上からも丸見えには違いない。男女混浴で、無料なので誰でも入れる。入れる人は限られているだろうけど。
 今年からは男女ともに水着着用が義務づけられるようだ。下呂温泉活性化のためには、サクラを雇って入っていてもらった方がいいんじゃないかと思ったりもする。 

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 道端に足湯がある。勝手に入っていいものかどうか、判断がつかない。
 私は温泉に浸かりに行ったわけじゃないので、入る気はなかった。そういえば、手で触ってもいない。触れるところは他にあったから、少しくらいは記念に触っておいてもよかった。
 日帰り温泉でも、湯めぐり手形というのがある。加盟30数軒の旅館の中から好きなところを3つ選んで入れるというものだ。1,200円(6ヶ月有効)だから、泊まらなくても充分楽しめる。高級なホテルや旅館の温泉気分が味わえるというものだ。

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 下呂には温泉神社と温泉寺がある。とにかく温泉に賭けているというのが伝わってくる。温泉が湧き出していなかったから、ここはただのひなびた町だっただろう。
 新しいと思ったら、1988年にできたばかりだった。これまでの繁栄とこれからの発展を願って、出羽三山の湯殿山神社から勧請して建てたそうだ。

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 神社にも温泉が湧き出していて、触ることができる。
 学校帰りの小学生たちは、手水舎の水をひしゃくですくってがぶ飲みしていた。その光景に、ちょっとのけぞったけど、最近できた神社だし、形式どうこうより地元民に親しまれていることはよいことだ。
 ここらの人は、家庭の風呂でも温泉のお湯に浸かっているのだろうか。

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 どういう状況かよく分からない林羅山像。まわりに猿がまとわりついていて、本人は手に何か持って踊っているようにも、猿回しをしているように見える。
 あまり古くない像だと思ったら、1992年製造だった。恩人の林羅山をつい最近まで忘れていたのかと疑ってしまった。
 それにしても、林羅山は本当にこんなお調子者みたいな人だったのだろうか。

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 白鷺橋の羅山像の反対側にはしゃがんだチャップリン像がある。これも現地では謎だった。下呂はチャップリンとは縁もゆかりもないはずだ。
 帰ってから調べてみると、2001年に下呂でチャップリン映画祭があって、そのときの記念として造ったんだそうだ。ハリウッドの造形アーティストに依頼したというから、かなり力が入っている。
 そのあたりの事情を説明に書いておいてくれないと、下呂を訪れた人はぽかんとしてしまう。

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 下呂温泉合掌村は少し距離があって、行ってると他の場所を散策できないからやめておいた。
 温泉寺はそう遠くないので、ここは寄っておいた。
 173段の石段を登った小高い場所にあり、眼下に下呂の町並みを一望できる。

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 温泉寺などいう名前に反してここの歴史は古い。
 例の傷ついたシラサギが残していった薬師如来像が温泉寺の起源とされている。シラサギが薬師如来の化身だったという話もある。
 創建はよく分かっていないらしい。一番古い記録が1507年というから、室町時代のどこかだろうか。その頃は湯島薬師堂といわれていたようだ。
 温泉寺としての創建が、江戸時代の1671年ということは分かっている。羅山の紹介で知名度が上がって、遠くからも湯治客が訪れるようになり、それに合わせて温泉寺としたのだろう。通称ではなく、正式名を醫王霊山温泉寺という。臨済宗妙心寺派。
 湯治客が温泉で病気や怪我を癒しつつ、温泉寺を詣でて願掛けをしていった。病気平癒ならず、この地で果てた人たちの供養などもしたようだ。

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 サギの額もかかっている。さほど古いものではなさそうだ。
 橋のところや、その他いろいろなところにサギは登場している。何の予備知識もないまま下呂を訪れると、サギはやたらいるし、踊ってるような林羅山像や、唐突にチャップリン像があったりして、戸惑うことが多い。

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 そういえばカエルもよく見かけた。なんでだろうと思って、はたと気づいた。下呂だけにゲロ、ゲロゲーロのカエルというわけだ。青空球児・好児を名誉町民にしてあげたい。

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 消火栓の蓋も、サギとカエルが描かれている。

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 これが噂の温泉スタンドか。初めて実物を見た。セルフのガソリンスタンドのようにお金を入れて自分で給油ならぬ給湯するスタイルだ。
 200リットル150円、300リットル200円は安い。
 残念ながら電車で行って、200リットルもおみやげに持って帰ることはできない。2リットルのペットボトルでも持ち歩くのは大変だ。

 下呂編はまだ続きます。
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コメント
  • ゲロゲーロ☆
    2010/01/17 09:05
    おはでーす☆
    下呂って行ってそうで行ってないです、、
    いつもはスキーの時に通過する程度で軽視していましたが、三大温泉だったとは知りませんでしたw (^^;
    高山の雪景色といい魅力的なお写真の数々…
    最近じゃらんで宿を物色中ですw
  • 河原温泉にも
    2010/01/18 00:52
    ★mimiさん

     こんにちは。
     そうなんですよね、下呂って温泉としてはそこそこ近くて魅力的なんだけど、それ以外に用事はないところですもんね。だから、意外と行ってない。
     行ってみるとそれなりに撮るものもあって、面白いところなんで、機会があればぜひ一度。
     河原の露店温泉にも全裸で入ってみてください。恰好の被写体になります(笑)。
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