紅葉よりも暗くて渋い水写真が撮りたいのだ <王滝渓谷・前編>

施設/公園(Park)
王滝渓谷1-1

PENTAX K10D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di + C-PL



 王滝渓谷へは、2004年以来の再訪となった。季節は同じ11月後半。いつかもう一度紅葉を見に行こうと思って5年が経った。あの年は紅葉が遅くて、見頃には遠かった。今年は逆に遅かった。紅葉のタイミングは桜以上に難しい。
 まあしかし、実際のところ紅葉などはどうでもいいのだ。私は水風景が撮りたいのだから。この日も紅葉そっちのけで水ばかり撮っていた。
 ここ最近、水を撮りたいという気持ちが高まっていて、それなら気が済むまで撮ろうと決めた。水は魅力的な被写体だし、一つのテーマともなり得る。まだ撮り切れていないたくさんの可能性も感じる。
 今は広大な風景や派手な写真は撮りたいと思わない。地味で渋い写真を撮りたい。スモールピクチャーとでも呼ぶべき写真を目指している。だから、どこへ行ってもほとんどを70-300mmズームでまかなっている。35mm換算で105mmから450mmに当たるこの画角が今はしっくりきている。
 そのうちまた方向性とか撮りたいものとかも変わっていくのだろうけど。
 そんなわけで、今回紹介する写真は、王滝渓谷の観光案内とか紅葉情報とかの役にはあまり立たない。昔の私なら、どこで撮ったか分からないような写真は駄目だ、と思っただろうけど、現地を撮るから現地で撮るというスタイルに変化した今、これらの写真もまた、王滝渓谷でしか撮れないものに違いない。写真を見てくれた人が、自分も行って撮りたいと思ってくれれば、それが役に立ったことになると思う。

王滝渓谷1-2

 王滝渓谷はその名の通り、仁王川の渓谷のことを指す。豊田市の東にあり、焙烙山と六所山から流れが巴川へ注ぐ全長は1.8キロの渓流で、その間に148メートルの落差がある。
 無料駐車場が何ヶ所かに分散していて、通り沿いの駐車場にとめて、階段を上がるとそれはふくろうヶ城へ続く道だ。よく事情を知らずに罠にはまっていきなり山登りをするはめになったという人も少なくないと思う。
 しかし、これはあまりオススメできるコースではない。道は険しく、得られるものは少ない。駐車場からいったん通りに出て、橋の手前にある入口と書かれたところから歩き始めた方がいい。もしくは、もう少し奥の駐車場まで行ってしまってもいい。
 私は5年前と同じ過ちを繰り返すことになった。この道は違うと経験したのに、またやってしまった。自分の学習能力を疑う。そういえばあのときも、ふうふうぜいぜいいいながら山歩きをしたのを思い出した。今回も11月の終わりだというのに汗をかいた。
 山歩きは山歩きのよさもあって、上の写真のような雰囲気のある道を行くのも悪くないのだけど。

王滝渓谷1-3

 山道を行ってしまった収穫はこれ。石垣ではなく自然石がこんな形になっていて、きれいに苔が覆っている。これを見て、うわー、カッコイイと思うのは少数意見だろうか。
 最近、苔萌えの度合いが増している気がする。

王滝渓谷1-4

 東山魁夷が描いたような木々の風景。
 自分は絵画的な写真を撮りたいらしいことに気づく。
 写真の勉強をするよりも日本絵画を学んでイメージを得る方が上達の早道かもしれない。

王滝渓谷1-7

 これも絵画を意識した一枚。
 冬枯れの枝なんだろうけど、雪景色のように見える。
 根性出して樹氷とかも撮りに行かないといけないか。

王滝渓谷1-5

 モミジの葉を撮るのは、簡単なようで難しい。どれを選んで、どの場所にどれくらい配置するか、センスが問われる。こういう写真が抜群に上手い人がたまにいる。あれは写真の技術ではなく、教えて教えられるものではない天性のセンスだ。真似しようとしてもしきれない。
 けど、少しは近づきたいとも思うから、そのためには練習するしかない。

王滝渓谷1-6

 山の木々の渋い紅葉にも惹かれる。とてもいい感じだ。

王滝渓谷1-8

 山間の日没は早い。4時を回ったらみるみる暗くなった。
 その暗さが幸いした。狙ってアンダーにしたわけではなくて、自然と暗くて雰囲気のある写真になった。三脚の恩恵でもある。
 この日はほぼすべてのシーンで三脚を使っている。最近では手持ちで撮るのが怖いくらいだ。せっかくのいいシーンも手ぶれでマイナスになってしまうのはもったいない。

王滝渓谷1-9

 流れの中から突き出しているのは枝か何かか。そこで流れに変化ができた。
 引っかかっている葉っぱが赤いモミジならもっとよかったけど、そう都合よくはいかない。

王滝渓谷1-10

 渓谷としての魅力で言えば、この前行ったくらがり渓谷の方がよかった。王滝渓谷は、川の流れがそれほど変化に富んでいないし、雑然としている。部分的には面白いところもあるものの、撮りどころは少ないと感じた。
 紅葉後半ということで、落ち葉と絡めて撮りたいと思っていたのだけど、枯れ葉ばかりでいい葉が落ちていない。川沿いにモミジが少なくて、どのタイミングで行ってもモミジが渦に巻かれてぐるぐるなっている写真などは撮れそうにない。

王滝渓谷1-11

 個人的に一番楽しかったのは、奥の宮川散策道だった。
 巨岩がごろごろ転がる中を水が流れ、散策路は岩から岩へ飛び移り、大岩の間をくぐるというスリリングさ。私は岩の上で滑って転んで、あやうくデジもろとも川底に飲み込まれるところだった。どうにか左手で柔道の受け身を取って助かった。高校の授業で柔道を習っていなかったから、私は仁王川の藻屑と消えていたかもしれない。

王滝渓谷1-12

 陽が沈んであたりは真っ暗になった。そうなってもまだ写真を撮り続けている人はあまりいない。ここはライトアップもない。
 暗すぎる紅葉写真だけど、暗すぎていいんじゃないかと思った。これもありだ。

王滝渓谷1-13

 肉眼ではどういう状況なのか見えず、暗すぎてデジもオートフォーカスが利かなくなった。
 どんな写りになるか分からないまま、長時間露光したら面白い仕上がりになった。光が差さない状況でしか撮れない写真もあることを知る。

 今日の写真は全体的に暗かった。これまでの中で最高に暗い。この渋さがいいと思うのは、歳を取ったせいだろうか。
 今回少し見えた部分もあるし、今後とも暗い写真というのも一つのテーマとしていこう。
 後編につづく。
記事タイトルとURLをコピーする
コメント
コメント投稿

トラックバック