六華苑の和洋合体ぶりは明治の日本そのものを思わせる <桑名3回> - 現身日和 【うつせみびより】

六華苑の和洋合体ぶりは明治の日本そのものを思わせる <桑名3回>

六華苑2-1

PENTAX K10D+DA 16-45mm f4



 今日は六華苑(ろっかえん)の後半、洋館二階部分から再開します。
 六華苑や諸戸清六親子については昨日ほぼ書いたつもりだから、あまり加えることはない。洋館の写真を並べつつ、庭園へと移っていこう。

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 暖炉とマントルピース。
 マントルピースって何だろうと思ったら、暖炉の周りの飾りや上の飾り棚のことらしい。今まで暖炉のことをマントルピースというのかと勘違いしていた。
 洋館部分は主な生活の場ではなかったというから、暖炉もあまり使われなかったのかもしれない。
 言われてみると、生活に必要な施設は揃っているけど、あまり生活感がなかった。生活の場として使われていた洋館は、もっと実用本位に造ってあるし、生活のあとが色濃く残るものだ。
 内装が華美ではないのはコンドルの設計によるものなのか、家主の趣味なのかどちらだったんだろう。
 山県有朋や大隈重信などもこの邸を訪れているというから、そういう賓客をもてなすのが洋館の目的だったんじゃないかと思う。
 それにしても、中央からわざわざ桑名まで大物たちがやって来たということは、二代目諸戸清六もかなりの実力者だったらしい。

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 洋館の前に、ウェディングレストランRoccaというのが建っていて、六華苑も使った結婚式ができるようになっているらしい。
 このときは二階のサンテラスで、結婚式を控えたカップルの写真撮影とリハーサルのようなことが行われていた。
 邪魔にならないようにちょこっとだけ陰から撮らせてもらった。

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 洋館のテラスから隣の和館の屋根を撮ってみる。
 しかし、このギャップは面白い。まったく違う文化のものが合体していて、不自然といえばこれ以上不自然なものはないし、でも当たり前に受け入れられる感覚もある。
 関係はないけど、安土城というのはこういう異文化合体天主だったからみんなが驚いたんじゃないかと思う。
 和洋折衷という言葉があるけど、それとは違う。混合させずに単純合体させているところが明治時代の人間のユニークなところだ。

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 全体はこんな感じになっている。こちら側から見ると、岩崎邸と雰囲気がよく似ている。
 桑名も空襲がひどかったところで、市街地の90パーセントが焼かれたそうだ。名古屋に近い工業地帯で港もあるということで標的にされたのだろう。
 六華苑の建物が一部を除いて焼け残ったのは幸運だった。わざと外したわけではなくてたまたまだろう。

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 当時は周囲を赤レンガで囲っていたようで、一部が今も残っている。
 整備はこちらまで手が回っておらず、かなり傷んでいる。

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 庭園は、洋館前が芝生広場になっていて、和館の前は日本庭園が造られている。ここにも和洋の合体があり、面白い。
 庭園はかなり改修が加えられていて、当時からはだいぶ変わってしまっているようだ。
 以前あった茶室も昭和の改修のときに撤去された。松尾流十世・松尾宗吾の監修だったとか。
 芝生広場の東には、コンドル設計の噴水円形バラ園もあったそうだ。古河庭園にあったようなものだろう。それも今はない。

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 庭園見学ならやはり紅葉の時期が一番よさそうだ。その代わり、今は芝生の緑がきれいだ。それぞれの季節のよさがある。

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 自宅の庭に神社を建てる習慣が廃れたのはいつからだろう。江戸時代に一般的となり、明治時代もけっこう続いていたはずだ。昔の大きな邸宅には、神社があるところが多い。流行らなくなったのは戦後になってからか、それとももっと前からだろうか。
 諸戸家は商売人だから、当然お稲荷さんだ。玉舟稲荷社という名がついている。

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 池沿いを歩いていたら、和館の裏庭の方に出てきた。
 庭全体が回遊式になっていて、ぐるりと一周歩いて回れるようになっている。こちらまで来る人はあまりいないようだけど。

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 左手が旧高須御殿で、右奥が番蔵棟だと思う。
 旧高須御殿は、高須藩の御殿の一部を移築したものだそうだ。
 番蔵棟は、四番蔵から七番蔵が並んだ棟ということでこう呼ばれている。米や衣類、道具類などを収めていたという。

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 ツツジが終わりかけで、アジサイはこれからといったところだ。
 庭の奥はあまり手が行き届いていないところもあって、魅力のある庭園というにはあと一歩という印象を受けた。古河庭園や岩崎邸などはきちんと整備されて洗練されているから、あれらが参考になると思う。
 場所柄、全国的な知名度が低くて、あまり人が訪れず、それほどお金をかけられないというのはあるかもしれない。入園料の300円は良心的だ。個人的にはこれだけのものだから、500円でもいいんじゃないかと思った。諸戸氏庭園の方が500円で、あちらの方が高く感じた。
 両方行くときは、共通券が650円だから、それを買った方がいい。

 ここだけで遠方から桑名を訪れる理由にはちょっと弱いと思うけど、桑名へ行ったときはぜひ立ち寄ることをおすすめしたい。洋館好きなら行って間違いはない。
 諸戸氏庭園は別扱いながら、ネタとしてひとくくりなので、次回は続けてそちらを紹介することにしたい。
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