雨の神を祀る二つの貴船社は白い矢が始まり

神社仏閣(Shrines and temples)
貴船社外観



 名東区の神社巡りシリーズ。今回は二つの貴船社編をお送りします。
 名東区内に二つの神明社と、二つの貴船社がある。区別をつけるために、片方を貴船社、もう一方を貴船神社と呼んでいる。貴船社は貴船2丁目にあり、貴船神社は一社3丁目にある。
 どちらが先に建てられたのか調べがつかなかった。どちらかが分祀されたものなのか、両方同じ時期に建ったのか、時代が違うのか、どうもはっきりしない。この神社のもとになった伝説があり、それがどちらを指しているのかもよく分からない。その伝説というのはこうだ。

 ヤマトタケルがまだ登場する前、タケルの父親である景行天皇の時代(100年頃)、伝説の名参謀・武内宿禰(たけうちのすくね)が全国各地を視察している途中、この地に立ち寄った。
 そのとき、この地域は水不足に悩んでいて、住民は作物が収穫できずに困り果てていた。その様子を見た武内宿禰は、白鷹の羽で作った矢を与え、水の神である罔象女神(みつはのめのかみ)を祀るようにと言った。そこで住人がこの白い矢を御神体として祠を建てて祈ったところ、水不足は解消され、作物も穫れるようになったというお話だ。
 その神社はいつしか白い矢の神、矢白神社(やしろじんじゃ)と呼ばれるようになり、この地区も「やしろ」となり、現在の上社(かみやしろ)、下社(しもやしろ)、一社(いっしゃ)などの地名はここから来ているという。
 その矢白神社が今の貴船神社の前身というわけなのだけど、いつどういうきっかけで貴船社となったのかがよく分からない。そもそもこの伝説もあとから付け加えられたお話という可能性もある。
 貴船社といえば、京都にある貴船神社が総本宮で、江戸時代あたりに勧請して建てられたとも考えられる。貴船社の方は、1662年創建というのが一応公式の見解ということになっているようだ。貴船神社の方が古いのだろうか。
 ここでも武内宿禰が登場しているというのは興味深い。名東区神社巡り第一回目に紹介した和示良神社の祭神が武内宿禰だ。あちらは武内宿禰の子孫が秀吉の時代に建てたという伝承が残っている。
 となると、貴船社も江戸時代より以前まで遡ることができるのかもしれない。京都の貴船神社も古くて格式のある神社だから、室町時代あたりに勧請したというのもあり得ることだ。
 ただし、京都貴船神社の祭神は、高淤加美神(たかおかみのかみ)で、水の二大神のもう一方なので、少し流れが違うようにも思う。
 罔象女神はイザナミが産んだ神で、高淤加美神はイザナギが迦具土神(かぐつちのかみ)を斬り殺した際に生まれた神とされている。
 いずれにしても、貴船社は水の神ということでよさそうだ。五穀豊穣祈願を主な目的として建てられ、村人たちに大事にされて現在に至っている。



貴船社境内

 貴船社も名東区の神社らしく高台に建っている。
 なかなかの空気感を持った神社だと感じた。



手水舎

 西日に照らされる手水舎。



朱塗りの鳥居

 朱塗りの両部鳥居。
 厳島神社の鳥居を小型化したような鳥居だけど細部は違っている。京都の貴船神社は両部鳥居ではないはずだけど、どうしてこの鳥居が採用されたのだろう。



拝殿

 社殿はいつのものかよく分からない。それなりに古そうではあるけど、戦後に再建されたものだろうか。



稲荷社の鳥居

 隣にはお稲荷さんもあった。
 朱塗りの鳥居は塗り直して間もないという感じだ。



境内からの眺め

 境内の上から見下ろしたところ。

【アクセス】
 ・地下鉄東山線「本郷駅」または「上社駅」下車。徒歩約30分。
 ・駐車場 あったようななかったような


貴船神社外観

 一社の貴船神社。訪れたのは別の日だ。
 こちらも坂道の途中の高台に建っている。



鳥居前と拝殿

 名前や祭神は同じでも、場所が変われば空気感も変わる。境内に足を踏み入れたときの感じがずいぶん違った。
 最初に訪れた貴船社の方が古い空気感に満ちているように感じた。



蕃塀

 貴船社にはなかった蕃塀(ばんぺい)がこちらにはある。ただ、けっこう新しいものに見える。
 社殿もコンクリート造りで、全体的に最近のものだ。



社務所

 こちらには授与所がある。



おみくじ結び

 おみくじが3つしか結んでない。まだ2月だから初詣のものが残っていてもよさそうだけど、いったん片付けてしまったのだろうか。



境内社

 摂社、末社も、アパートの中みたいな感じになっている。秋葉社とか津島社とか山ノ神社とかだったか。
 こちらの神社は近代化、合理化が進んでいる。

【アクセス】
 ・地下鉄東山線「一社駅」から徒歩約12分。
 ・駐車場 あったようななかったような

 名東区の神社巡りはちょっとややこしい和示良神社から <第1回>
 猪子石の地名の元となった二つの石を訪ねる 名東区神社第2回
 名東区に二つの神明社あり
 日吉と比叡と日枝と秀吉がつながった ~名東区神社巡り<第4回>
 竜神といっても水の神だったり大蛇だったり色々 <第6回>
 高針高牟神社で7プラスアルファの名東区神社巡り完結
 高帝龍王神は陽の気を持った面白い小神社だった
 
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コメント
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    2014/05/13 11:16
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