冬枯れの茶色風景を撮りながら春を待つ <第4回>

施設/公園(Park)
東山植物園冬-1

Canon EOS 10D+Canon EF50mm f1.8 II/ EF100mm f2.8



 東山植物園シリーズ最終回は、2月らしい枯れ風景をお届けします。
 冬に春の写真を求めるのはないものねだりで、冬は冬らしい写真を撮ればいい。冬にしか出会えない風景もある。
 とはいえ、これがなかなか難しい。寒風が伝わるような写真は撮れなかった。雨の表現とともに冬の空気感を写真で伝えるのは、春や夏ほど簡単じゃない。頭の中にぼんやりとしたイメージはあるものの、まだそれを形にできないでいる。

東山植物園冬-2

 枯れ草を撮るというのは安易ではあるけれど、冬を表現するには手っ取り早い。
 夏の草が枯れて秋に向かっていくのとは違う寂しさがある。冬の草花が春の訪れとともに暖かさに負けて枯れていく姿は、なんとなく申し訳ないような、今まで大事に思わなくてすまなかったような気持ちになる。陽の当たらない地味な役所をきっちり演じて、静かに去ってゆく脇役俳優みたいだ。冬の間の元気な姿をもっと撮ってあげればよかったとも思う。
 ススキは特に撮らなかった。月にススキなんてのも絵になる風景なのに。

東山植物園冬-3

 花の名残を残しつつ立ち枯れているのを見ると、立ち往生という言葉を思い出す。スタンディングノックダウン。
 花は使命を果たして短い命を終えていくものだけど、人はその姿を見て季節に負けたみたいに感じる。冬を越せない虫たちのように。あるいは、毎年新人が入ってきて、その分退団に追い込まれるプロスポーツ界のベテランを思う。
 生と死は重なりながらつながっていく。死は生のために、生は死のために。
 それは私たちも同じだ。

東山植物園冬-4

 春から秋まで長く咲いているゼラニュームも、2月にはこんな姿になっている。明るい緑色をした葉が紅葉しながら枯れていくのを初めて知った。
 老いて尚美しくあろうとするぎりぎりの抵抗を見るようだ。

東山植物園冬-5

 こんな花を見た覚えがある。何だろう。アキノタムラソウとかに似ている気もしたけど、たぶん違う。中国植物を集めた一角にあったから、中国の野草かもしれない。
 考えたら私の野草の知識は、咲いている状態の花姿に限られている。花の前の様子も、そのあとも、追いかけて見ていない。それでは本当に知っていることにはならない。もう少し花の前後についても興味を持つ必要がありそうだ。

東山植物園冬-6

 水面に映った冬枯れの木と空。
 葉を落とした木の枝は、毛細血管を連想させる。
 こんな姿になった木も、ただ寒さに耐えてじっとしているわけではない。葉を落としたときから次の春の準備が始まっているのだろう。あと2ヶ月か3ヶ月もすれば、また青々と生い茂る。5月の森に入ると、木々の生命力の強さに圧倒される。こいつらはすごいと思う。

東山植物園冬-7

 入り口入ってすぐの風景も、まだまだ冬景色だ。ほぼ茶色が世界を支配している。
 中原中也は戦争を茶色と表現したけど、私の中では冬のイメージが茶色だ。春は緑で、夏は青空の青、秋は紅葉の赤というのは、だいたい共通したイメージカラーだろうか。

東山植物園冬-8

 屋久島の縄文杉レプリカと、母子連れさん。
 この時期の植物園は見所が少ないということで、入園者もまばらだ。園内は閑散としている。私も2月の植物園は初めてだった。
 梅が咲き揃う頃にはもう少し賑やかになるだろう。あとひと月ちょっとで桜も咲いてくる。そう思うと、のんびり構えてはいられない。

東山植物園冬-9

 そういえば竹は一年中変わらず青々としている。冬場は少し黄色がかるのだろうか。
 竹林の美というのも写し取りたくてなかなか思い通りにいかない被写体だ。何度も挑戦しているけど上手くいかない。まだイメージがちゃんと固まっていないのだろう。
 左側に写ってる車は、愛・地球博で使われていたもののようだ。モリゾーとキッコロのステッカーが貼られていた。環境に優しいミニ電気自動車か。
 植物園の中はけっこう広いから、何か移動手段があってもいいんじゃないか。レンタサイクルでもいいし、カートみたいなものがあれば年配の人も助かる。

東山植物園冬-10

 植物園は植物を見るためだけにあるのではない。のんびりまったり過ごすにもいいところだ。まだ今は少し寒いけど、暖かくなれば一日いても500円だから安上がりなものだ。朝から夕方まで粘っても誰にとがめられるわけでもない。
 外国人が座って本を読んだり、昼寝をしたりなんて光景も見られる。
 私は貧乏性だから、そんなことはしてられない。時間いっぱい使って少しでも写真をたくさん撮りたいと思ってしまう。

東山植物園冬-11

 高台のお花畑にある展望台からの眺め。名古屋駅の高層ビル群や、テレビ塔などが見える。左手には中京テレビのタワーが近くに見えた。目の前には天使の像と、その向こうに東山のスカイタワーが建っている。
 できればあと5メートルか10メートルくらい高いところから眺めたい。そうすれば、ナゴヤドームや名古屋城も見られるんじゃないだろうか。
 植物園は5時で閉まってしまうから、一番日が日没が早いときでも夜景は難しいか。4時40分にこの場所にいたら、5時までに門まで行けない。
 夜景を見たければ、素直に東山スカイタワーに登れということだ。

 2月にしては、まずまず収穫があった。次は3月か、4月か。4月になってしまうと間の季節が一つ飛んでしまうから、できれば3月にもう一度行っておいた方がいい。3月に入れば、一週ごとに大きく変化していく。
 これからの花予定としては、もう少し梅を撮って、できれば福寿草も近くから撮りたい。セツブンソウは今年も見られずじまいで終わりそうだ。
 足元の身近な野草も撮りつつ、スミレを待つ。そろそろ早咲きの菜の花が満開になったという便りも届き始めた。
 緑色の季節になるまであともうちょっと。冬の名残を感じながら、春を楽しみに待ちたい。
記事タイトルとURLをコピーする
コメント
  • 2009/02/08 16:53
    1枚目の写真、バックのボケが特徴的ですね

  • 水と光と開放
    2009/02/09 04:12
    ★ただときさん

     こんにちは。
     これは100mmのf2.8開放でした。
     絞るとボケの形が変わってしまうから、キラキラはやっぱり開放ですね。
     水と光を味方につけたい。
コメント投稿

トラックバック