去りゆく秋の野草たちの撮り納めに森林公園へ行く <前編>

花/植物(Flower/plant)
森林公園秋1-1

Canon EOS 20D+TAMRON SP 90mm F2.8 / Canon EF 75-300mm f4-5.6 IS



 秋は頭の上だけでなく足元にもやって来る。そして、私たちが視線の高さの日常に追われている間に、音もなく早足で駆け抜けていく。あ、そういえば秋の野草、と思い出したときにはもう遅い。秋の野草たちは、短い命を咲かせて散ってゆく。今年も夏から秋にかけての野草をたくさん見逃してしまった。
 10月も終わりということで、今年の野草撮り納めに、尾張旭の森林公園へ行ってきた。そういえばここもずいぶん長く行っていなかった。振り返ってブログを調べてみると、4月の半ばにハルリンドウを撮りに行って以来だ。夏シーズンがすっぽり抜けてしまっている。今年は本当に野草の勉強がおろそかになった。今頃反省してももう遅い。取り戻すためには、来年の春まで生き延びなければならない。
 10月の終盤ともなると、もう咲いている野草は数少ない。いよいよ野草の季節は終わったのだと思い知らされる。最後のいい季節は、10月の始めまでだ。その頃森林公園に行こうという考えはあったのだけど、ヒザ痛でしゃがめず、行けなかったという事情もあった。バッテリー上がりで矢勝川の彼岸花にも出遅れ、ヒザの故障で野草にも致命的な遅刻をした。元を辿れば、今年は長距離歩行の度が過ぎたということもある。あちらはあちらで成果を上げたものの、反動で失ったものも少なくない。何事もそういうものだと言えばそうなのかもしれない。
 上の写真は、シラタマホシクサの残骸だ。頭の白い部分は残って、茎の部分が茶色く枯れてしまっている。9月の元気がいいときは見られなかった。今年はサギソウも見ていない。なんとかダイモンジソウだけはと思っていたけど、これもまた来年の課題になってしまいそうだ。

森林公園秋1-2

 タカサゴユリがひょっこり咲いていた。まだ咲いていたかと驚く。夏の花というイメージで、だいたい9月までだというのに、10月の終わりでこんなにきれいに咲いているのは珍しい。
 大正時代に台湾から入ってきたものが野生化して、今は高速道路の脇などでも咲いている。球根のユリとは違って種子で増えるユリだから、風に飛ばされ全国に広まった。
 ササユリの気品もなく、ヤマユリの優雅さもない。このユリを見てもありがたみを感じない。

森林公園秋1-3

 こういう花の写真を撮って、帰ってきて図鑑を調べて、見分けがつかずに頭を悩ませるということから今年は逃げていたようにも思う。分からないまま放置しておくと、いつまで経っても分からないままだと知りながら。
 春ならジシバリと思っただろうし、夏ならニガナを疑った。秋の今、これを見ても何か分からない。ヤクシソウでなければ、タビラコ類か。それも違う気がする。
 葉っぱを撮るのを忘れたのが致命的。いつものことだ。

森林公園秋1-4

 また難しいのが来た。ノコンギクやヨメナ、ジオンなどは真ん中の部分が黄色だから違う。中央部分が紫色のこんな花は初めて見たんじゃないか。忘れているだけだろうか。
 そんなに珍しい花ではないのだろうけど、早々にギブアップ。春先の花の方が多少知識があって、夏から秋へ進むにつれて知らないものが増えていく。歴史の教科書みたいだ。

森林公園秋1-5

 これは知っている。サワヒヨドリだ。
 白いのがヒヨドリバナで、紫がかっているのがサワヒヨドリと覚えている。もしかして落とし穴があるのかも。
 知っているものが出てくるとホッとするけど、写真を撮るなら見たことがないやつの方が面白い。お馴染みさんはもう撮り飽きたと思ってしまう。

森林公園秋1-6

 この毒々しい色は、タイワンホトトギスだと思う。普通のホトトギスはもう少し色白だ。
 山で咲く野生のホトトギスには、ヤマジノホトトギスとヤマホトトギスなどがある。それらはもっと白くて品がある。花の中央部分にオレンジ色があれば、ホトトギスかタイワンホトトギスということになる。

森林公園秋1-7

 赤い実は種類が多すぎて、始めから見分けがつくようになりたいと思わない。
 ただ、これは葉っぱの様子からして、ガマズミじゃないかと思った。ミヤマガマズミかもしれない。

森林公園秋1-8

 虫の姿もめっきり減って、わずかにいたのはこんなやつくらいだった。ハチではなくアブの仲間だろうか。ハエではない。
 その右には蚊の親玉みたいなやつも写っている。
 みんな残り少なくなった花の蜜を吸いに集まっていた。虫たちにとっても秋は食糧難で、生きるのが難しい季節だ。さすがに蚊もいなくなった。

森林公園秋1-9

 トンボの生き残りがいた。
 赤いから赤トンボで片付けてしまっては進歩がない。赤トンボにもいろいろいて、赤いくせに赤トンボじゃないやつもいる。
 さて、こいつは何だ。マユタテアカネか、マイコアカネか、ヒメアカネか。たぶん、そのあたりのどれかだと思う。
 これ以外にはチョウもトンボも見かけなかった。虫の季節もいつの間にか終わってしまっていたのだ。今年は野草以上に虫を撮れなかった。

森林公園秋1-10

 田んぼや湿地にはカエルがたくさんいて、近づくとピョンピョン跳ねて、一斉に逃げていった。カエルは冬になったら冬眠するから、まだ今の季節はオンシーズンだ。
 これは何ガエルかよく分からなかった。黒っぽい体色だから、ヌマガエルとかツチガエルとかそんなやつだろうか。カエル図鑑も一冊買っておくべきか。
 そういえば最近、芭蕉の「古池や 蛙飛び込む 水の音」のカエルは、トウキョウダルマガエルだという説があるのを知った。トノサマガエルの仲間らしいのだけど、見たことはない。

森林公園秋1-11

 湿地にはたくさんのウメバチソウが咲いていた。これは夏から咲き始めて、花期が長い。
 菅原道真や前田利家の家紋である「梅鉢」に似ているところから名づけられた。天満宮で見かけるあの梅の紋だ。
 離れてみると可憐で清楚、近づいて見ると繊細な花だということが分かる。

森林公園秋1-12

 この日一番見たかったのがこれ、ホソバリンドウだ。今年の森林公園は、ハルリンドウから始まってホソバリンドウで締めくくった。
 曇り空の夕方ということで、ほとんどの花が閉じてしまっていたのは残念だった。開いていたのはわずか数輪しかなかった。

森林公園秋1-13

 ハルリンドウの青が好きで、ホソバリンドウのハッとさせる青も嫌いじゃない。なんだか自然界にはあり得ないような青色をしている。私の中のあり得ない青いバラのイメージは、この青色だ。
 ホソバリンドウを見られたのは、この日最大の収穫だった。

森林公園秋1-14

 おまけはキノコ写真。食べてはいけない典型的な色をしている。こういう分かりやすい色はいい。なんとかもどきというのが危ない。この秋も食べてはいけないキノコを食べてしまう人がたくさんいるんだろうな。

森林公園秋1-15

 キノコとコケ。当然、これも食べてはいけないものと思われる。
 キノコを採って食べるわけではないからキノコに関する知識は必要ないのだけど、キノコ図鑑は欲しい。キノコは笑えるものがけっこう多いから。

 今回、森林公園で出会うことができた野草はこんなところだった。全体の3分の1くらいしか歩いてないから、もっと足を伸ばせばいろいろな花に出会えたのだとは思う。見たかったアキノギンリョウソウを探して見つからなかったのは残念だった。もう終わってしまっていたんだろうか。
 森林公園の写真はもう一回分ある。次回は秋風景と鳥たち編ということでお送りしたい。
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