10月の海上の森は被写体が少なくて不完全燃焼で一回完結

森/山(Forest/Mountain)
10月の海上の森-1

Canon EOS 20D+TAMRON 90mm f2.8



 今年は2月、4月、7月と、これまで3回海上の森へ行っている。10月の今回のテーマは、秋の里山風景と、あわよくばアサギマダラとの出会いだった。ネットで先週の日曜日にアサギマダラが飛んでいたというのを見て、撮れるものなら是非撮ってみたいと思ったのだけど、その願いは叶わなかった。日没前の夕方に飛ぶはずもなく、今日歩くコースにはおそらくいないだろうというのは最初から予測できたことだった。4月はギフチョウを追いかけて追いつけず、秋もアサギマダラとすれ違ってしまった。まだ見ぬふたつの蝶との出会いは、また来年へ持ち越しとなった。
 10月といえば、初めて海上の森へ行ったのが10月1日のことだった。あれは海上の森が愛知万博開催地の候補になり、市民の反対でとりやめてになることが決まった2004年のことだった。初めての森ということで、懐中電灯や遭難用のチョコレートをバッグに入れ、恐れと不安を抱きながら出向いていったのを覚えている。あれからけっこう時が経ったような気がしていたけど、まだ4年というのは意外だった。もうかれこれ20回近くは行っただろうか。
 万博の前と後とで、海上の森はかなり変わった。それまでは忘れ去れて放置された森だったのが、今や県に管理される森となった。良い面もあり、悪くなった部分もある。立派なトイレが作られたり、案内看板が立ったのは良いことだけど、あちこちを柵で取り囲み、行く手をふさいで遮り、自由に入っていける道が少なくなったのは残念だ。ついには見回りの人まで導入して、森に入る人間を管理し始めた。自由だった頃の森を見ているだけに、今の状況は少し息苦しい。海上の森もずいぶん世知辛くなってしまったものだ。
 それでも、森の中の季節のサイクルというのは変わらず、人の思惑など置いてけぼりにして自然の営みは続いている。森の生き物たちにとっては、人の入れる場所が限定されたことで安心して暮らせるようになったのかもしれない。
 10月後半の海上の森は、だんだん秋も深まって花などは寂しくなっていく時期だ。秋の野草も、よく咲いていたのは9月までだったろう。今日は蝶もトンボも、何も飛び交っていなかった。写真の収穫も少なく、物足りないものとなってしまった。シリーズ化もならず、一回完結となる。時期としては出遅れた。
 今日はそんな海上の森の風景と野草写真をお届けします。里山の秋を少しでも感じてもらえるといいのだけど。

10月の海上の森-2

 うちの田舎の三重県の稲刈りは早く、お盆明けにはもう刈り入れをするのに、名古屋郊外の尾張旭などは10月の半ばを過ぎてようやく稲刈りをする。隣の県で気象条件もさほど変わらないのに、こんなに差があるのはどうしてだろう。
 海上の森のある長久手も遅いようで、森の入り口近くにある田んぼはまだ借り入れが終わっていなかった。海上の森でも稲穂風景が見られるかと思ったら、ここはもう稲刈りが済んでいた。品種によっても違うのだろうし、田植えの時期にもよるのだろう。
 これは「はせがけ」でいいんだろうか。どういう字を当てるのか知らない。地方によって呼び方も違うようだし、かけ方にもいろいろなスタイルがある。
 こうして天日干しをして、ゆっくり乾燥させることで米の旨みが増すらしい。

10月の海上の森-3

 海上の森といっても広大で、実際どこからどこまでが森なのか、私はまったく把握していない。個人的な感覚としては、西の四ツ沢を入り口として、南は赤池、物見山まで、中心部に海上の集落があって、北に大正池と篠田池と、これくらいが行動範囲となっている。実際にはもっと東にも北にも広がっていて、未知の部分がどうなっているのか、まったく知らない。どこまで入っていけるものなのか。
 集落には何軒かの民家がある。その手前にもポツリ、ポツリとあって、家屋としては7、8軒だろうか。住んでいる家は二世帯という話もあり、そのあたりもどうなっているのか謎だ。ときどき住民らしき人が歩いていたり、森の中を車が走っていたりするから、もう少し人は住んでいそうなのだけど。
 海上の森を万博会場として使えなかったのは、自然破壊によって貴重生物が棲む場所を追われるという理由による反対運動と、住民問題があったというのを聞いている。今はモリゾーとキッコロの住民票が海上の森2005番地にある。

10月の海上の森-4

 里山の秋といえば、柿の木になる柿の実風景というのも一つある。これは渋柿だろうか。収穫されることもなく、鳥に食べられることもなく、ただ落ちるに任せているようだった。
 かつては10世帯くらいが暮らしていたこともあったようで、その頃はこういう柿を採って干し柿にして食べていたことだろう。今は田舎でも軒先に干し柿を干している光景を見なくなった。
 里山は近くに人が暮らしていないと荒れていく一方になる。観光客ではどうすることもできない。

10月の海上の森-5

 ホトトギスには違いない。暗いところに咲いていて、撮りづらいところだったから、ブレてしまった。
 ただのホトトギスか、それ以外のホトトギスか。最近野草の勉強がすっかりおろそかになっていて、ずいぶんいろんなことを忘れてしまった。もう、ヤマホトトギスとヤマジノホトトギスの見分けもできない。
 これは民家の近くで咲いていたから、もしかすると園芸用のタイワンホトトギスかもしれない。この紫色のきつさはそんな気がする。野生のホトトギスはもっと白っぽくて上品だ。
 鳥のホトトギスの胸にある斑点模様に似ているからということで名前がつけられたというのだけど、ホトトギスにこんな模様あったっけ。

10月の海上の森-6

 ん? これはアジサイか? たぶんそうだと思うけど、この時期まで咲き残っているものだろうか。10月の終わりだけに確信が持てなかった。アジサイじゃないのか。

10月の海上の森-7

 これはサザンカでいい? 自信がない。
 サザンカというと晩秋から冬にかけてというイメージがある。この花はかなり花びらを落として終わりかけのものが多かった。この時期にもうそんなに咲いてしまうものだろうか。

10月の海上の森-8

 コスモスももう終盤といった様子だった。海上の森は季節の歩みが街中よりも早いように見えた。今年はここまで暖かい日が続いているから、そんなに先走ることはないだろうに。
 今年はまだコスモスをちゃんと撮っていない。愛知牧場か、モリコロパークへでも行って撮ってこなくては。季節の風物詩として、秋のはじめのコスモスは外せない。

10月の海上の森-9

 これはノコンギクで合ってるはず。それさえ違うと言われると、野草に対する自分の知識を完全に疑ってかからなくてはならなくなる。
 野草が少なくなった今の時期の海上の森では、このノコンギクが主役と言っていい。これくらいしか目につく花がないとも言える。

10月の海上の森-10

 ツリガネニンジンで大丈夫? と、誰にともなく訊いてみる。大丈夫じゃなかったら大丈夫じゃないぞと教えて欲しい。
 ツリガネは釣り鐘で見た目そのままだ。じゃあ、ニンジンはどこから来たのかといえば、根っこが朝鮮人参に似ているからだそうだ。そんなこと分かりっこない。
 美味しい野草として昔からよく知られていたようで、若葉や根っこ、花まで食べられるらしい。食べるものに困ったら、海上の森へ採取しに行こう(採っちゃダメ)。

10月の海上の森-11

 なんだろうな、これ。見たことがあるような気がするんだけど。普通の状態でも見分けられないのに、花びらも半分落ちて、真ん中の部分も実になりかけているから余計分からない。なんというか20年ぶりの同窓会で会った同級生を見るようだ。見覚えあるけど誰だっけという感じ。
 ヨメナのような、サワシロギクのような、どちらとも違うような。思い出せないから見なかったことにしよう。

10月の海上の森-12

 単純に言えばアザミ。引っ掛けとするならタムラソウという可能性もある。トゲがなければタムラソウで、トゲがあればアザミだ。アザミといっても種類が多いから、何アザミかまでは分からない。
 どちらにしても、もう時期はずれだ。

10月の海上の森-13

 パッと見て、なんだ、イヌタデかと思って素通りしてしまうのは少し危険だ。オオイヌタデかもしれないし、オオベニタデかもしれない。ニオイタデだったり、サナエタデだったりする可能性もなくはない。タデを完璧に見分けられる人になっても、実生活では何の役にも立たないけど。
「たで」というのは、食べると辛くて口がただれるということから来ている。「蓼食う虫も好き好き」というのは、これらのたでを指した言葉だ。人間にとっては辛くて美味しくも何ともないものでも、好んで食べる虫もいるというところから来ている。

10月の海上の森-14

 ああ、これね、分かる、分かる。あれだよね、あれ。えーと、なんだっけね。完全に老化現象的な物言いに陥った。いや、ホント、なんだったか、思い出せない。何度か見ていて、そのたびに覚え直しているのに。
 野草というより園芸種だっただろうか。そのうちひょんなところから分かったり思い出したりすることもあるから、それに期待しよう。
 などと書いて、別のことでネットを見て回っていたら、この花の写真が出てきた。そうだ、ヒメツルソバだ。なんとなくソバがつくことだけは覚えていた。よかった。これですっきりした。

10月の海上の森-15

 ハナトラノオかなと思ったけど、花の咲き方がバラバラで行儀よく並んでいないから違うような気もしてきた。咲き揃ってないときはこんなものなのか。
 これも保留。

 今回あらためて感じたのは、野草写真の難しさだ。工夫して撮ろうとしても、マクロレンズでいつもと違った撮り方が思いつかない。寄るか引くかしかなくて、角度を変えるにしても、野生のものだから撮れる角度は限られている。余計な写り込みも避けられない。まだまだマクロレンズを使いこなしているとは言い難い。
 もう少し一つの被写体に対して、じっくり時間をかけてさぐりながら撮る必要がある。見つけて構えてファインダーをのぞいて撮る位置を決めてシャッターを切るまで30秒くらいというのは、ちょっと早撮りすぎる。せめて5分くらいかけて、ああでもないこうでもないとやっていると、見えてくるものがあるんじゃないか。もっと写真のデッサンも勉強しないといけない。
 何はともあれ、森にも里にもしっかり秋は訪れていた。私を置き去りにしたまま季節はどんどん進んでいっている。そのことに焦りもし、安心もする。
 今年はたくさんの野草を逃して、勉強も進まなかった。毎年の繰り返しとはいえ、これも積み重ねだから、少しでも怠けると丸まる一年の遅れになる。季節の野草を逃すと来年まで見られないのだから。
 まだ花が残る10月中に、森林公園か東山植物園へ行って、今年最後の野草学習をすべきだろう。11月に入ってしまうと、野草を撮りたくても撮るものがなくなってしまう。ここ数年見たくて見られずにいるワレモコウとダイモンジソウを、今年こそ写真に撮りたい。
 次回の海上の森は、鳥目的になる。木々の葉っぱが落ちる冬になれば、野鳥も見つけやすくなる。今日は声だけで一度もシャッターチャンスがなかった。次は12月くらいになるだろうか。
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コメント
  • 2008/10/22 09:28
    少し前になりますが、地元の写真仲間の方から穴場の野草園
    を教えてもらって行ってみました。
    一人では、ちょっと怖くて行けない様な場所なので旦那を連れて(笑)

    私の場合、予備知識があるともっと楽しかったかも?と反省すること多しです(^^;)
    野生のホトトギスってどんなんだろう?興味津々・・
    ツリガネニンジンは、多分合ってると思いますよ・・
    よく似たソバナの花は口の開いたラッパ形ですもんね(^^)
  • ぜひ海上の森に
    2008/10/23 04:25
    ★mikuさん

     こんにちは。

     また名古屋に来たときは、海上の森も行ってみてください。
     一人で入るとびくびくのドキドキですよ(笑)。
     旦那さんと一緒でも土地勘がないと危ないかも。(^^;

     ホトトギスは、だいぶ昔に一度野生のものを見たことがありました。
     ヤマジノホトトギスとかって、あまり咲いていないですね。あるところにはあるのだろうけど。
     今度見つけたら、写真に撮って紹介します。
     チョコレートコスモスも、未見のままだ。
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