謎の多い小田井の星神社について - 現身日和 【うつせみびより】

謎の多い小田井の星神社について

星神社全景


 名古屋市西区上小田井に星神社という神社がある。庄内緑地公園のすぐ北側だ。
 珍しい名前かと思ったら、全国に同じ名前の神社がいくつかある。名前からして星に関する神社が多いのだろう。
 小田井の星神社も織姫と彦星の他、星の神とされる天香香背男(アメノカガセオ)を祀っている。
 かつての境内の広さは4町8 反(約4.76ヘクタール)あったという。ナゴヤドームより少し狭いくらいだ。
 秀吉に大部分を取り上げられてしまい、現在は庄内川の堤防沿いにこぢんまりとある。



星神社入り口

 鳥居をくぐると、拝殿の前に蕃塀(ばんぺい)がある。
 不浄除けとされているけど本当のところはよく分かっていないらしい。東海地方の神社特有のものという。



星神社手水舎

 手水舎でヒヨドリが水を飲んでいた。さかんに毛をバタバタさせていたから、水浴びでもしてたのかもしれない。



星神社拝殿

 奥行きのある拝殿と本殿が屋根付きの渡り廊下でつながっている。他ではあまり見ない建築様式だ。



星神社拝殿前

 創建年は不明ながら、「延喜式」にある山田郡坂庭神社の論社のひとつとされる。だとすれば創建は平安時代か、それ以前ということになる。
 小牧市にある坂庭神社も論社とされていて、どちらがそうなのかはっきりしないようだ。名前が同じならそちらじゃないかと思うのだけど、歴史の紆余曲折を考えるとそう単純な話でもない。
 880年頃、大江音人(おおえのおとんど・貴族学者)の子孫によって社殿が建てられ、1280年にこの地方で起こった戦によって全焼し、その60年後、右近中将藤原朝臣実秋によって再建されたという。
 いつどうして星神社という名前になったのかは、よく分かってないようだ。
 坂庭神社の名前の由来としては、古くから行われていた旧暦7月7日の星祭のとき、清めの酒をまいたことから酒庭星社と呼ばれるようになり、やがて字が変わり坂庭神社となったという説がある。
 ただ、こういうときによく言われる字が変わるということだけど、ときどき本当だろうかと疑いたくなることがある。意味もなく変えるとも思えず、この場合、酒と坂では意味が違いすぎるし、変える必然がないと思うのだけどどうだろう。呼び名を当て字で表現していたものを後年変えるというのなら理解できても、酒が坂に転じたというのは納得できる説ではない。
 ただ、この神社が坂庭神社という名前だったというのはあり得る話のようで、戦国時代、この地の城主だった小田又六が掘った井戸が坂庭の坂の字を取って坂井戸と呼ばれ、それが村の名前になったという。更に坂井戸と小田と組み合わせて小田井という地名が生まれたとも。

 祭神は、大国主命(オオクニヌシノミコト)だから、直接星には関係ない。オオクニヌシは、天の神アマテラスに対する地の神の代表で、出雲大社の神としても知られている。スサノオの子供(または子孫)ともいわれ、一般には国造りや農業、商業の神様とされる。
 星と関係があるのは、天香香背男(アメノカガセオ)だ。天津甕星(アマツミカボシ)、星神香香背男(ホシノカガセオ)、香香背男(カガセオ)などとも呼ばれる。
 天の神が天孫降臨して地上を支配下に納めたとき、最後まで抵抗して屈しなかったのがアメノカガセオと言われている。
 この神を祀っているいる地方は限られていて、茨城、千葉などの関東と中部、中国、四国、九州に多く、その他の地域はほとんどない。大和朝廷に抵抗した勢力の象徴ともされ、大和朝廷側からは悪い神とされていたのだとか。
 七夕でお馴染みの牽牛星と織女星がどういう経緯で祀られるようになったのかもよく分からない。後年の作り話かもしれないひとつのエピソードがある。
 この村に住む若者が、庄内川を挟んだ南にあった田幡村の娘と恋に落ちた。川を渡っての行き来が続き、ある日、大雨で増水した庄内川を渡ろうとした若者が川に飲み込まれて命を落としてしまう。その知らせを聞いた娘は川に身を投げた。話を聞いた村人たちが二人を弔うために、彦星、織姫として星神社に祀ったという。
 現在、北区金城と名前を変えたところに多奈波太神社がある。そこにも同じような話が伝わっているそうだ。
 多奈波太神社は七夕と棚機の神社
 毎年、旧暦の7月7日に七夕まつりが行われている。境内には願い事が書かれたたくさんの短冊が吊されるそうだ。



星神社境内社

 お稲荷さんなどの境内社。



屋根の像

 屋根に乗っている像の姿に見覚えがある。ただ思い出せない。獅子が逆立ちしている姿だろうか。



星神社御嶽社

 神社の外には御嶽山をかたどった塚のようなものがあった。御岳信仰の表れなのだろうけど、星神社と関係があるのかどうかは不明。
 星神社の祭神としてオオクニヌシを祀っているから、神仏習合だった時代もあっただろう。

 星神社に関してはいろいろ分からないことがあってすっきりしないのだけど、とりあえず今回はここまでとしたい。あらたに何か分かったらあらためて訪問して書くことにしたい。

【アクセス】
 ・地下鉄鶴舞線「庄内緑地公園駅」から徒歩約10分。
 ・名鉄犬山線「中小田井駅」から徒歩約12分。
 ・駐車場 なし
 ・拝観時間 終日

 星神社webサイト
 
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2018-04-23 19:31 | from -

比良の六所神社はいい



 こんにちは。
 比良の六所神社は個人的に好きな神社です。あれはいい神社だと思います。
 津田正生は式内の大乃伎神社は比良村の天神だといっていますが、その説に惹かれるものがあります。少なくともかなりの古社という印象を受けました。

 そのあたりのことを名古屋神社ガイドの比良六所神社のページに書いてます。

 https://jinja.nagoya/top/nisiku/hira-rokusyo-jinja

2018-04-24 19:37 | from オオタマサユキ | Edit

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