
尾張旭神社巡りの第一弾として最初に行ったのは渋川神社だった。その次に直會神社と一之御前神社を回って、前回が井田八幡宮だったから、今回の多度神社は第四弾ということになる。
始まったのが2007年の4月だから、すでに1年3ヶ月の歳月が流れた。たった5つ回るのにこんなにかかっていていいもんだろうか。尾張旭の主な神社は9つしかないから、当初は半年くらいで軽く終わるはずだった。今のペースでは今年中に終わるかどうか怪しい。神社は待っていてくれるかもしれないけど、歳月は人を待ってくれない。残り4つは少し急いだ方がよさそうだ。
多度神社は、昨日紹介した愛宕山大師(退養寺)から西に300メートルくらいの場所に位置している。城山街道にある多度神社前交差点を北へ折れて少し行った先だ。

普段はあまり人が訪れるようなところではないだろうけど、手水舎はちょろちょろと水が出ていた。水が完全に止まっている神社もけっこうある。

小高い丘の上にあるから、階段はやや長めだ。

神域はしっかり森で守られている。

階段を登り切ると、広めの境内の奥に社殿が建っている。
このときは何かの工事をしていて境内はざわざわしていた。以前訪れたときはしんと静まりかえっていた。

住所でいうと新居町で、ここも昨日登場した水野又太郎良春の領地に属していた。室町時代の1361年、桑名の多度大社から勧請して創建したとされている(異説あり)。
多度大社の創建は5世紀と古く、昔からお伊勢参りとセットでみんなお参りしたところだった。愛知県にもいくつか多度神社はある。海上の森の里にあるのも多度神社だ。
祭神はアマテラスの子・天津彦根命(アマツヒコネ)。
平氏の流れをくむ南北時代の武将である水野良春は、どうして多度山の神を選んだのだろう。その時代のその土地の有力者ならどんな神を自由に選べる気がするけど、実際はそうでもなかったのだろうか。一族の始祖神を祀るというなら理解しやすい。けど、そうでない場合、どんな基準で選んでいたのか。そのへんの感覚というか法則性といったものが上手く理解できない。単なる好き嫌いではないはずだけど。
創建から320年後の1681年に、水野家8代目の重大夫同金左右ヱ門尉が社殿を再建、1920年には本殿を修理するも、拝殿は朽ち果ててしまっていたという。1891年には濃尾地震もあった。
戦争で更に荒れてしまい、なんとかしようではないかという話になって、現在の形に再建されたのは終戦から10年以上経った昭和33年(1958年)のことだった。寄付金や支援だけでは資金が足りず、境内の一部を売ったのだという。
拝殿はかなり立派で、まだ50年しか建っていないから、古びた感じもない。
このとき横の方で工事していた建物は、授与所か社務所だろうか。

拝殿の中をちょっとのぞき見。

本家の多度大社にも別宮としてある、天目一連命(アメノマヒトツノミコト)を祀った一目連社(いちもくれんしゃ)がここにもあった。
天目一連命は、本宮の祭神アマツヒコネの子供で、アマテラスの孫に当たる。
刀や斧などを作って活躍した神ということで、鍛冶の神様ということになっている。多度大社には全国から金属関係の人たちがお参りに行くそうだ。

児社(ちごしゃ)に祀られているのは少彦名命(スクナビコナ)だ。
とにかくちっちゃい神様で、一寸法師の元となったとも言われている。
海の彼方から小さな船に乗り、蛾を身にまとってやって来て、大国主と兄弟の契りを結んで活躍したものの、粟の茎に弾かれて再び海の彼方に飛ばされてしまった。
医薬や酒造りも極めたということで、そのあたりの神様ということにもなっているようだ。

菅原道真が祀られた小さな天神様もあった。
尾張旭はあまり神社が多いところじゃないから、一ヶ所でいろんな神様を取りそろえないといけない。天満宮として独立したところはないから、受験の合格祈願はみんなここに来るのだろうか。

横から見ても拝殿は立派なものだ。本殿は拝殿と塀に囲まれて全体を見ることができない。
多度神社について私が紹介できるのは、これくらいのものだ。
最後に捕捉を少し。
昨日もちょっと出てきた棒の手の無二流は、この多度神社に奉納される。水野良春が棒の手を推奨したという。
尾張旭には5つの流派があって、検藤流は一之御前神社に、残り3つ、直心我流、東軍流、直師夢想東軍流は渋川神社に奉納される。
毎年10月の第二日曜日に行われる秋祭りの一環として行われるもので、その日はこのあたり一帯の神社や街が賑やかになる。
多度神社では大晦日から元日にかけて、厄落としの行事をやっているそうだ。どんど焼きみたいなものだろうか。多い年は1万人の初詣客が参拝に訪れるというから、尾張旭ではしっかり地元の神社として認知されているようだ。私が思っているよりもずっとメジャーな神社なのかもしれない。
【アクセス】
・名鉄瀬戸線「尾張旭駅」から徒歩約13分。
・無料駐車場 あり
・拝観時間 終日
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