
KONICA MINOLTA α-7 DIGITAL+MINOLTA 50mm Macro f2.8
先週の沖縄料理からスピンオフした企画、郷土料理サンデーが今日から始まった。ご当地グルメさん、いらっしゃいということで、県特有の料理を作っていこうというものだ。
最初は、一回に一県の料理を三品作って47都道府県を制覇していこうと考えたのだけど、そんなことをやっていたのではそれだけで丸一年かかってしまうことに気づいて思い直した。一県一品で一度に三品作れば、4ヶ月でできる。
まずは全国各地にどんな郷土料理があるのかを知ることから始めた。すると、たくさんあるようで意外とない。特殊な食材を使うものは作れないし、その土地でとれたものを使う料理となると再現は難しい。食べたくないものは作りたくないなんてことになると、選択肢は限られてくる。全国制覇への道のりは思った以上に厳しそうだ。
今回はまず最初ということで、食べたいもので、作りやすそうなものを選んだ。地方別に揃えようとも考えたのだけど、そうするといろいろ難しいこともでてくるので、とりあえず縛りは取り払った。そうやって選んで作ったのが上の三品だ。
まず手前の左側は、北海道の「いもだんご」と呼ばれる料理だ。
どの程度一般的なものなのかは知らない。単純に言ってしまえばジャガイモハンバーグのようなものだから、北海道の郷土料理と呼んでいいのかどうかも微妙だ。
ところで、郷土料理とご当地グルメの線引きというのも曖昧で、どういう扱いにしたらいいのか迷った。昔から食べられていてその土地に根付いている料理が郷土料理で、新興勢力的にあらたにその土地の名物となった料理をご当地グルメと呼ぶというのが一般的な区別のようだ。名古屋でいえば、あんかけスパは郷土料理じゃない。でも、味噌カツはどうなんだというと悩む。
今回のこの企画としては、なるべく郷土料理寄りでいきたいとは思っているけど、場合によってはご当地グルメとなってしまう場合もある。北海道のいもだんごというのも、どっちに属するものなのか、私には判断が難しい。
それはさておき、いもだんごだ。これまでに似たようなものを何回か作ってるから、新鮮味はなかった。どのあたりに北海道のオリジナリティを出せばいいものなんだろうか。
料理としては単純で、ジャガイモ(北海道だから男爵いも)をレンジで加熱するか茹でるかしてつぶして、カタクリ粉を混ぜてハンバーグ状にして焼くというのが基本だ。味付けはバターしょう油が一般的のようだ。ジャガイモに対してカタクリ粉を4分の1ほど混ぜるというあたりが、北海道のいもだんごの特徴と言えるかもしれない。これでかなりもっちりした食感になる。
私の場合は、自分好みに多少アレンジを加えた。刻みタマネギととろけるチーズを加えて、カタクリ粉は少なめにした。上にかかっているのは、青のりとゆで卵の黄身の裏ごしだ。白身はいもだんご本体に混ぜ込んだ。
これは誰が作ってもまずくなりようがない料理で、私としてはお馴染み感が強かった。普通に美味しい。いもだんごを北海道代表にしてくれるなという意見もあるだろう。北海道には美味しい料理が他にもいくらでもあるじゃないかと。私もそう思う。だから、一県一品にこだわらないでいこう。
右手前は、徳島のフィッシュカツというものだ。
徳島ではかなり一般的に認知された料理のようで、一般家庭で作られるだけでなく、スーパーやコンビニでも普通に売ってるらしい。徳島でカツといえばフィッシュカツのことで、豚カツはトンカツというのが常識なんだとか。なんだか、お母さんにだまされてハムステーキをステーキと思い込まされたまま大人になって初めて違うことを知るみたいな話だ。徳島の人たちは本当にフィッシュカツこそ普通のカツと思い込んでいるんだろうか。
これも料理としては非常にシンプルなもので、特徴らしい特徴があまりない一品だ。白身魚をすり身にして、そこにカレー粉で味付けをして、パン粉をつけて揚げるだけだ。
カツというとトンカツを連想するから、なんとなく豚肉を指すような言葉と思いがちだけど、実際はカツレツの略で、それは小麦粉やパン粉などの衣をつけて揚げる料理のことをいうから、フィッシュカツという名前はまったく不自然ではない。フィッシュのカツレツだから、そのままで正しい。
家庭で作る場合は、白身魚をすり身にして粘りを出させるのが難しいところだ。つなぎがないから、白身をつぶしただけでは衣がつきづらくて、揚げるときにバラバラになってしまう。多少はカタクリ粉などでつないで、なるべくこねた方がよさそうだ。
カレー風味というのがありそうでなかったフライと言えるだろうか。更なる味付けとしては、マヨネーズしょう油にしてみた。
付け合わせは、カレー粉と塩コショウで味付けしながら炒めたキャベツだ。これは郷土料理とは関係ない。
一番奥は、宮城県のはっと汁なるものだ。
ある意味、戦時中の料理の豪華版といえるような汁物料理で、類似のものは全国各地に存在している。昔でいうところの、すいとんというやつだろうか。
はっとの語源は、あまりの美味しさに御法度となったからとかなんとか。本当だろうか。
小麦粉に水を加えて練って、伸ばして茹でたものを入れた汁物だ。はっとの形状に各地の特徴があって、ある地域では団子だったり、手でちぎって入れたり、様々のようだ。宮城の場合は、薄くのばしてぺらぺらにする。
汁はしょう油ベースのお雑煮といえばそのものだ。だし汁にしょう油などで味付けをして、具はダイコン、ニンジン、サトイモ、長ネギ、肉などを入れる。
はっと汁が美味しいというか、汁が美味しいわけで、はっとは入れなくても充分成立する。はっとを入れると腹の足しになることは間違いないのだけど。
むしろ純粋にはっと汁を味わおうと思ったら、具は最小限にして、はっとだけを味わうようにした方がよかったかもしれない。はっとと長ネギくらいでよかった。そうなると、ちょっとした戦時中気分が味わえるだろう。白米は高いから、小麦粉というのは今でも腹ぺこ貧乏人の味方と言える。苦学生とかにお勧めしたい一品だ。
全国郷土料理サンデーというのは、思いつきとしてはよかった。全国制覇はなかなか難しそうではあるけど、どうにかして47都道府県料理を作っていきたい。シリーズ化決定だ。
これでとりあえず、沖縄、北海道、徳島、宮城はクリアということにしよう。愛知県と故郷三重県に関しても何度か料理してるから、これも作ったことにしよう。
東北、北陸、九州あたりはそれぞれ特徴のある料理があって、何か一つくらい作れそうなものがありそうだ。問題は関東で、東京の郷土料理って何だろうと考えても思いつかない。江戸名物ということで深川丼あたりだろうか。神奈川とか何かあるんだろうか。
まずはそれぞれの県にどんな料理があるのかを知るところから始めよう。もっといろいろ調べていけば、面白い料理も見つかるだろう。一番いいのは、その県では普通に食べてるのに他の地域の人は全然知らないような料理だ。そういう意味では、徳島のフィッシュカツというのが、今回の一番の収穫だった。