
Canon EOS 20D+TAMRON SP 90mm f2.8 / Canon EF 70-300mm f4-5.6 IS
毎年6月になると、なんとなくグリーンピア春日井に行ってしまう。6月に何か特別なものがあるわけではないから、5月でも9月でもいつでもいいのに、どういうわけかグリーンピアへ行くのは6月と決まっている。思うに、4月から5月までは花ラッシュで、それを追いかけているからグリーンピアのことなど頭になくて、6月に入ってホッと一息ついたところで、そういえば今年はまだグリーンピアへ行ってなかったなと思い出すんじゃないだろうか。6月のグリーンピアは、花菖蒲が咲いていて、アジサイもそろそろで、もしかしたらカルガモのチビもいるかもしれない。虫にも鳥にも会える。隣の築水池湿地にはトキソウとカキランとササユリが咲く。だから、盛りだくさんでお得な感じがするのだ。それじゃあ、行ってみようかということになる。
ここはネタに困ったとき行くにもいいところで、一年中何かしら撮るものがある。真冬でも池にはカモがいて、温室には花が咲いている。ちょっとしたミニ動物園もある。入園も駐車場も無料というのもいい。家から車で50分という距離がやや微妙なところで、30分以内ならもっとたびたび訪れている。
今日は到着したのが閉園1時間前の5時ということで、やや急ぎ足で一通り回った。動物園だけは4時くらいに閉まってしまうので見ることができなかった。
上の写真は、入り口から入ってすぐのカナールと呼ばれる水のところだ。最近よくこのカナールという言葉を目にする。水の流れのことらしいのだけど、意味はよく分からない。運河や水路を意味するcanalから来ているようで、造園用語らしい。造園用語って何だという疑問はとりあえずそれは置いておいて、静水をたたえた水路をカナールというと覚えておくことにしよう。
似た用語にカスケードというのがある。これは人工的に作った階段状の滝のことなんだとか。

平日のグリーンピアに集う人々は、基本的に暇人たちだ。そんなことを言うと叱られそうだけど、たぶん間違いない。少なくとも、園内で忙しそうにしている人は見かけない。小さな子供を連れたお母さんとか、年配の夫婦さんとかが中心メンバーで、カメラマンやその他の人が少々といった構成だ。
だから、いたってのんきで平和な空気に包まれていて、居心地がいい。特に目的もなく、フラッと訪れるにもいいところだ。
休日になるともっと賑わいを見せて、それなりの活気となるのだろう。私は週末などに行ったことがないから、人がたくさんいるグリーンピアを想像できない。一度クリスマスイルミネーションのときに行ってみたいと思っていて実現できないでいる。

この季節の被写体は、やはりハナショウブということになるだろう。池の周りにセンス良く植えられていて、なかなか情緒があっていい。ノハナショウブをたくさん植えているのも特徴で、そちらの風情の方が私は好きだ。素朴な美しさがある。
去年はフィルムカメラを持っていって撮ったのを思い出した。このハナショウブのところも撮った。けど、結局36枚撮りフィルムを全部使い切れなかったのだった。今日なんかは深く考えず100枚以上撮っているから、フィルムとデジとでは撮る姿勢がまったく違ってくるのが枚数からも分かる。フィルムの場合は無駄打ちができないと思うから、一枚撮るのにえらく悩んで考え込んで時間がかかる。本来、それが写真を撮るという行為のはずで、デジになってから一枚が軽くなった。だから、たまにフィルムを使った方がいいのだと思う。私はいつ以来使ってないだろう。去年の夏、ヤマユリを撮りに鳳来寺へ行ったとき以来かもしれない。ここ最近、何を撮っていいか分からなくなっている部分があるから、久々にフィルムカメラを使ってみよう。

舟は乗れるものではなく、小道具というか風景として浮かべているだけだろう。演出としては間違ってない。写真を撮る立場からすると、嬉しい心遣いだ。
この写真はあれこれ入れすぎて整理できていない。欲張って親子まで入れたのは失敗だった。

うっとり見とれていたのか、頬杖をついて何かを思っていたのか。
昔、『もう頬づえはつかない』という作品があったっけ。主演は確か、桃井かおりだった。調べてみると、1979年公開だ。リアルタイムで観ているはずはないから、テレビ放送で観たんだろうか。内容はよく覚えていない。
大学のとき、哲学の授業で、騒がしい教室に教授が突然怒りを爆発させ、「しゃべっているやつは出て行け!」と怒鳴り、「おい、そこの頬杖をついてるやつ、聞く気がないならおまえも出て行け!」とこっちを見て言うから、周りを見渡したら頬杖をついているのは私一人だった。ええー!? 私ですかぁ? 聞く気はあったのに、頬杖をついてただけで退場処分を食らってしまった私は、それ以降なるべく頬杖をつかないようにしている。
そんな懐かしくもほろ苦いエピソードを、頬杖をついたおばさまに披露してみてもよかったかもしれない。たとえば深夜2時のファミレスで、頬杖をつきながら窓の外をぼんやり眺めている主婦らしき女の人がいたとしたら、何があったんだろうとちょっと心配になる。頬杖というのは、けっこうドラマチックなポーズだ。

人を見たらエサ係と思え。コイはみんなそう思っているフシがある。のそ~っと泳ぎ寄ってきて、エサよこせー、とばかりに水面から口を出してパクパクする。ひとしきりパクパクしてみてエサが降ってこないと分かると、チェッとばかりに泳ぎ去っていく。コイもバカじゃない。エサをくれない人間に愛想を振りまいても無駄ということを知っている。
ごめんよ、持ってるのは猫エサのカリカリだけなんだ。これからは、コイエサと鳩エサは常に持参するよう心がけよう。兼用できるもので、両方にとって健康にいいエサってなんだろう。どちらも雑食性だからたいていのものは食べるにしても、あまりカロリーが高いものは体に悪い。市販されているコイのエサを鳩は食べるのだろうか。

たぶん、ジャコウアゲハのメスだと思うけど、近づいて撮ろうとしたら逃げられてしまって、近くから確認することができなかった。胴体を見て、黒地に赤い模様が入っていれば間違いない。
でもこれ、写真であらためて見ると、クロアゲハのメスかもしれないと思い始めた。胴体に赤い部分が見えない。
ジャコウアゲハもクロアゲハも、黒いアゲハは個体差がけっこうあって、判別が難しい。色が薄いものもいるし、真っ黒なのもいて、ときには青みがかったりもする。虫関係の見分けも、毎年悩ましいところだ。
今年こそ青空をバックに飛ぶ蝶を撮れるだろうか。毎年夏の課題になっている。

白い蝶を見ると自動的に、なんだモンシロチョウかと思ってしまいがちだけど、実はよく見るとスジグロシロチョウだったり、モンキチョウの白型のメスだったりということもあるから油断はできない。ただのモンシロチョウだったとしても、オスかメスか区別するところまではしたい。モンシロチョウのオスメスを言い当てても、誰も誉めてくれないと思うけど。
上の写真はメスだ。前翅の黒い部分が多くて、付け根が灰色をしているから。オスは前翅の黒が薄くて、翅全体がやや黄色っぽい。飛んでいる姿で見分けるのは難しいにしても、とまっている姿を見れば分かる。写真に撮ればなおはっきりする。
3月から10月にかけて3回から多い地域では6回、7回と発生する。夏生まれよりも春生まれの方が白いのはどういう理由なんだろう。
シロチョウの仲間は全世界にいて、日本にはもともといなかったそうだ。奈良時代に野菜の菜っ葉などにくっついて入ってきたとされる。

水たまり写真というのは、一つの分野として可能性を持っている。映画『アジアンタムブルー』の中で、松下奈緒は水たまりの写真ばかりを撮っていた。けっこういい写真がたくさんあったから、私も見習いたい。
今は梅雨だし、水たまりには事欠かない。今年の梅雨シーズンは水たまり写真というのを意識してたくさん撮ってみよう。運も必要だけど、何か面白い写真が撮れそうな気がしてきた。

グリーンピアを植物園と説明すると間違ったイメージを与えてしまう。植物園というには規模も小さいし、草花の種類も少ない。ハウスの中にしても、それなりに花は賑やかに咲いているけど、動物園に付属する植物園のようなものを想像して行くとがっかりしてしまう。だから、ここのことを説明するのは難しい。植物の多い公園くらいに思っておけば、大きな間違いではないだろう。
ハウスの中は温室兼休憩所になっていて、レストラン、フラワーショップ、ソフトクリーム売り場などがある。

窓の外の広場では、社交ダンスの練習中。
反対側に回り込むと、ちょうど西日が当たってシルエットになったところを撮れたとあとから気づいた。せっかくのいいシーンを撮り逃して残念。
社交ダンスは、横浜の大さん橋ターミナルで大会が開かれているのをたまたま見て、かなり面白かった。熱気と興奮は生で見るスポーツの域だった。日本人には似合わないと決めつけて笑いものにしてしまえるようなものではない。またどこかでチャンスがあったら見てみたい。自分もやりたいとまでは思わないけど。

池に浮かぶボートとハゲ山。ものすごい削っていたけど、何をやらかそうというのか。池の南方面だから、道樹山や弥勒山ではなく無名の山だろうけど、山を半分くらい削ってしまうような勢いだった。悲しい光景だ。
こちらの池にもカルガモはいなかった。グリーンピアでも今年はヒナは生まれなかったらしい。遠くの方に浮かんでいたのは、アオクビアヒルだったろう。
おととしこの池で見たバリケンさんはその後見かけない。もういなくなってしまったんだろうか。
グリーンピア春日井第一段はここまでとしよう。第二回の花編、第三回のサボテン編と続く予定です。
築水池湿地も行ったし、神社仏閣も回ったし、一日でけっこうネタが集まった。これで今週いっぱいは雨が続いても大丈夫だ。
ネタの在庫に余裕ができたところで、今一番撮りたいものが何なのかをもう一度よく自問自答して、答えが出たところでフィルムカメラを持って出かけよう。一期一会の瞬間との出会いを求めて。