
中川区の北にある国玉神社・八剣社合殿(地図)。
『延喜式』の神名帳にある「海部郡國玉神社」がこの神社ということになっている。
ただ、それを疑うことなく信じている人がどれほどいるだろう。個人的にはここは違うと感じた。
平安以前から平成の現在まで、昔ながらの姿や境内を保っている神社はほとんどない。しかしながら、古社には古社の風格や匂いといったものがある。漠然とした雰囲気だから、自分のその感覚を信じすぎるのも危ういことではあるのだけど、この神社の場合は式内社とされた時期や経緯にも問題が多い。
そのあたりのことについては神社サイトの国玉神社・八剣社合殿のページに書いた。
ここは佐屋街道ができて以降の街道沿いの八剣社ではないだろうか。時代でいうと、室町か、さかのぼっても鎌倉までだろう。
おそらく熱田神宮に関係がある。庄内川を渡った東には、熱田神宮の神田に祀られたとされる御田神社がある。その御田神社も式内・御田神社かどうか怪しい部分があるのだけど、熱田神宮の影がちらついているように思う。
神社としては決して悪い神社ではない。社殿は特に良くて、どっしりと落ち着いた風格がある。
境内の狭さが残念ではある。かつてはもっと大きな神社だったようだ。






式内社ということで期待していくとがっかりする神社が少なからずある。
逆に何も期待せずに訪れた神社が思いがけず良くて驚くこともある。
歳月の持つ重みというのは確かにあるのだけど、もちろんそれがすべてではない。若くてもいい神社はある。
いずれにしても、神社は実際に行ってみないと分からないということだ。予備知識や先入観が邪魔になることもある。
【アクセス】
・地下鉄東山線「岩塚駅」から徒歩約40分
・近鉄名古屋線「伏屋駅」から徒歩約35分
・駐車場 なし