
OLYMPUS E-M5 + Panasonic LEICA 25mm F1.4
Canonが「Which? キャンペーン」というのをやっていて、それに当選した。
画像のデータをアップして抽選に当たると、今度Canonから発売された新型のプリンターでプリントして送ってくれるというものだ。
全部で5回に分かれていて、残りは2回、最後は3月29日が締め切りなので、まだ余裕がある。どれくらいの応募数があるのか見当がつかないけど、合計3,000名だからけっこう当たる確率は高いんじゃないかと思う。抽選というのが本当にランダムなのか、画像データを見て決めているのかは分からないけれど。
今、フォトコンの応募用プリントをするために使っているのは、3、4年前に中古で買ったCanon Pro9000というプリンターだ。
8色の染料インクで、画質的には特に不満もなく、故障もせずに元気に動いている。プリントは月に20枚くらいだろうか。
写真用プリンターには、染料インクと顔料インクの2つのタイプがある。
一般的に染料インクの方が色が鮮やかで見栄えがよく、顔料インクは忠実な色再現とモノクロプリントに向いているといわれる。プロやハイアマチュアは、顔料インクのプリンターを好むことが多い。顔料インクのプリンターはEPSONの一人勝ちのような状態で、Canonはずっと追いつけないでいる。
染料インクは、用紙にインクを染みこませて発色させるのに対して、顔料インクは用紙にインクを吹き付けて色を乗せるという特徴の違いがある。どちらも一長一短がある。
専門的なことはややこしいので省略するとして、私が顔料インクのプリンターにしないのは、ヘッドの目詰まりが多くて故障のリスクが高いのと、頻繁にヘッドクリーニングする必要があるため、そのたびに大量のインクを消費してしまうということがあるからだ。インクの目盛りがみるみる減っていくのを見るのはつらい。ランニングコストでいうとかなりの違いが出る。
Pro9000には後継機のマーク2があって、その後PRO-100にモデルチェンジして、今回マイナーチェンジしたのがPRO-100Sだ。
PRO-100に買い換えようと思いつつなかなか踏ん切れなかったのは、なにしろでかくて重いからというのがある。なんとか場所を確保して、一度鎮座させたらちょっとやそっとのことでは動かしたくない。というかびくともしない。今のを処分して、あらたに置き換える手間を考えると、このまま壊れるまで使おうかということになる。
前置きが長くなった。そろそろ本題に入りたい。

今回使ったのがこの画像。
モノクロに見えるけどカラー写真だ。
周囲を全部焼き込んで、完全に黒くつぶしている。
染料インクと顔料インクでは、こういう場合の黒の出方がどうなのか、そこが一番知りたいところだった。

使用プリンターは、染料インクのPRO-100Sと、顔料インクのPRO-10Sで、用紙はそれぞれ、光沢のハイグレード「プラチナグレード」と、マット系の「プレミアムマット」、そして半光沢の「微粒面光沢ラスター」の3種類。

写真では差は分かりづらいけど、肉眼で見ると用紙による違いは大きい。
モノトーンの画像データなのに、色味がずいぶん違う。こうしてひとつの画像データを違う種類の用紙に印刷して見比べたことがなかったから、ここまで差が出るとは思っていなかった。
単独で見れば、それぞれに成立していて違和感はない。
微粒面光沢ラスターは一度使ってみたいと思っていて、今回実際のプリントを見ることができてよかった。CanonやFUJIFILMの絹目調をよく使うけど、それとはテクスチャの感じが違う。もっと目が細かくて、正面から見るとなめらかに見えるけど、傾けると特有の質感と光沢がある。ピクトリコプロのセミグロスペーパーに似ている。
プレミアムマットは、想像していた以上にいい。Canonのファインアートペーパーは、旧製品のPhotoRagを使ったことがあるけど、あの感じに近い。現行のファインアート用紙ミュージアムエッチングが、一枚約280円に対してプレミアムマットは約63円。安い代替品として使えそうだ。

プラチナグレードは普段からよく使っている。
PRO-100Sは当然ながらPro9000と同じ傾向で、見慣れた感じに映る。
並べて比べたらよくなっているのだろうけど、Pro9000ですでに完成度は高いことが分かる。
PRO-10Sはかなり違いがある。100Sが温黒調なら10Sは冷黒調で、同じ用紙とは思えないくらいだ。
最初に書いたようにこれはカラー写真なので、モノクロ設定にしてプリントしたらまた違った結果になると思う。
黒の締まりは、光の当たる状況で見ると100Sの方が締まりがいいように見えるけど、光が当たらない状況だと10Sの方が締まっているように感じられる。
ディテールも10Sの方が出ている。モノクロプリントは、やはり顔料インクの方が得意のようだ。モノクロ重視なら顔料インクのプリンターしかないということになるだろうか。2台体制でいけるほどの余裕は私にはない。場所的にも。

マット紙でも、温黒と冷黒の傾向は同じだ。
100Sの方は、モノトーンの画像をカラーでプリントしていることで色かぶりを起こしている可能性もある。余白からして、Canonでもカラープリントの設定にしているはずだ。
10Sは白がきれいに出ているけど、黒の締まりが物足りない。ただ、締まりはつまり潰れでもあるわけで、暗部が潰れしまうのはモノクロ写真においてはよいことではない。グレーの階調を求めるなら顔料インクの10Sに分がある。
同じ仕上げの画像データを、染料インクと顔料インクで、違う用紙にプリントすることが乱暴なのは分かっている。今回のキャンペーンでは、ユーザーとして違いを知りたいということと、メーカーとしてそれぞれの特徴を知ってほしいということなので、その目的は果たしていると言える。プリンター選びの参考になることは間違いない。
特にこれまでホームプリントをまだちゃんとやったことがないという人は、いろいろ知ることが多くていいと思う。
個人的にはやはりトータルで考えて、染料インクのプリンターがいいという結論になる。モノクロは月に2、3枚やるくらいで、カラーも発色がいい方がなにかと調整がきく。
100Sを買える日がいつになるかは分からないけど、Canonさん、ありがとうと言いたい。
フォトコンの入選作を見ると、圧倒的にEPSONが占めていて、Canonは肩身が狭いけど、今後ともCanonでがんばりたい。あー、でも、用紙はEPSONのクリスピアが一番好きだったりする。
とりあえず今のところはPro9000が壊れるまで使うことになると思う。