
SONY α55 + TAMRON 180mm f3.5 Di
唐突にアイスホッケーの話なのである。
来たる夏に、岐阜県で国体が開催される。それに先だって、冬季国体が1月28日から2月1日までの5日間、岐阜と愛知で行われた。
ゆめリンク愛知国体と名付けられ、愛知では、アイスホッケー、ショートトラック、フィギュアスケースの各競技があった。
愛知県で冬季国体が開催されるのは初めてとのことで、ぜひ行きたいと去年から楽しみに待っていた。こんな機会でもなければ、アイスホッケーやショートトラックを撮影するチャンスはない。女子のフィギュアは残念ながら撮影禁止ということで行かなかった。さすがに人気の競技ということで観客も多く、並ばないと入れないという話も聞いていた。
アイスホッケーは、モリコロパークが会場になっていた。自転車でいつも行っているところだから、できれば2回、3回と行きたかったのだけど、都合がつかず1回しか行けなかったのが少し心残りだ。
見にいった日は、順位決定戦で、決勝とか準決勝とかではなかった。愛知はこの日敗れて、順位決定戦に回ったようだった。地元チームの試合はお客も多かったようだ。
私が観た試合も、そこそこ観客がいた。やはりみなさん珍しいものが観られるというので会場にやってきたのだろう。国体は基本的に入場料はすべて無料だ。
ところで国体というのは、学生の大会とばかり思っていたら、それは勘違いだった。プロはどうか分からないのだけど、オリンピックに出るような社会人選手も参加しているのだった。フィギュアも地元開催で呼ばれたのだろうけど、鈴木明子と小塚が出て、それぞれ貫禄の優勝をしていた。ショートトラックも有力選手が多数出ていたようだった。アイスホッケーはよく分からないのだけど。

アイスホッケーはまったく知らないわけではないとはいえ、細かいルールとかはほとんど知らないに等しい。
日本ではマイナースポーツでもあり、自分でやる機会はまずない。マンガやドラマの題材になることもほとんどないし、外国映画やオリンピックでちらっと見るくらいのものだ。
本場はやはりカナダということになる。起源はいろいろのようだけど、現在のようなスタイルが定着したのは19世紀のカナダというから、わりと最近のことだ。
日本でも北海道へ行くと、けっこうメジャーなスポーツらしい。学校の授業であったりするのだろうか。

今ひとつルールが分からないから、撮影するにも最初は戸惑った。撮りどころのポイントが分からない。
なんだかひっきりなしに選手が入れ替わるし、何かというとペナルティで選手が退場になる。
当たりの激しさを撮ろうと考えていたのだけど、致命的な失敗として、500mmレンズをバッグに入れたつもりが、何故か180mmマクロが入っていたのには、自分でも驚いた。リンクまでの距離はさほど遠くなかったとはいえ、180mmでは届かずもどかしい思いをした。
ただ、リンクは思った以上に暗く、ISO感度を上げても苦しかったから、暗い500mmではもっと苦戦していたに違いない。

なにやらもめ事が起こった様子。
氷上の格闘技といわれるくらい激しいスポーツだという知識はあった。
国体の順位決定戦では、それほど熱くなるシーンというのはなかったのだけど。

アイスホッケーというのは、ゴールの予感があまりしないスポーツだ。
そのくせ、入るときは前置きもなくあっけなく入る。サッカーにもラグビーにも、ハンドボールやバスケットボールにも似ていない。
なんというか、終始ガチャガチャしていて、パックは右へ左へ行ったり来たり、偶然性も強く、華麗なプレーというのは少ない。サッカーのようにサイドをドリブルで駆け上がってセンタリングからシュートみたいなシーンもなかった。
カメラのファインダーをのぞきながらというのもあるけど、パックの位置を追いかけていると状況を見失いがちで、選手たちが手を上げて喜んでいる姿を見て、初めてゴールが決まったことに気づく。こんな調子ではなかなか決定的なシーンなど撮れるものではない。

日曜日に、テレビで全日本の決勝戦が放映されたので、観てみた。
さすがに国体よりはレベルが高かったものの、やはり試合の展開などは同じだ。ガチャガチャして、点がなかなか入らず、入るときはあっけない。
解説のおかげでルールはだいぶ分かった。激しい運動で長時間プレイを続けるのが難しいから、選手は1分間隔くらいで次々に交代していくものらしい。試合は止まらずそのまま流れ、審判に告げることなく勝手に入れ替わる。
1チームはキーパーを入れて6人で、フィールドプレーヤーがセットになって変わっていく。
軽い反則は2分の退場で、1人少なくなるとピンチ、逆に多いとチャンスで、そのときをパワープレイと呼ぶ。
試合時間は20分を3ピリオドやり、間で15分の休憩がある。
あとはオフサイドもあり、パックをスティックで入れないと点として認められないとか、あれこれある。

最初に観たのは北海道と東京の試合で、第三ピリオドが終わっても決着がつかず、延長戦となり、それでも点が入らず、ゲームウイニングショットというサッカーでいうところのPK戦に入った。
しかし、キーパーと1対1でも入らない。アイスホッケーというのは、キーパーの存在がとても大きいことを知る。
3人ずつがやって一人も入れられず、サドンデスの延長になり、やっと一人が決めて勝負が決した。

北海道が負けて、東京が勝った。

せっかくなのでもう一試合観ていくことにした。
続いては、栃木と大阪の試合だった。

この試合は、見るからに大阪の攻撃力の方が上で、栃木が押し込まれる展開が続いた。

審判は氷上に4人。リンクの外に2人で、6人もいる。たまに邪魔になる。

ロングシュートを決めたところ。
スタンドからアイスホッケーを撮る難しさは、選手に寄ると状況が分からないし、引くと説明的になりすぎて面白くないところだ。シュートを打った選手と、キーパーと、ゴールと、パックと、全部がきれいに収まった写真を撮るのは相当難しいと見た。
迫力のある写真を撮るには、リンクと同じ高さのゴール裏から正面で撮ることだと思う。もちろん、一般人はそんなところに入れてもらえない。

この日撮れた唯一の決定的瞬間といえるシーン。

立て続けに大阪のゴールが決まり、試合はやや一方的になった。
夜も遅くなり、ここらで切り上げることにした。
500mmを持っていってもう一度撮ったらどんなのが撮れただろうと思いつつ、その機会は持てなかった。再びアイスホッケーを撮るチャンスがあるかどうか。二度目はもう少し上手く撮れそうな気がするのだけど。
スポーツ写真は面白い。動きがあって、難しい方がより楽しい。生で観たことがないスポーツもたくさんあるし、またどこかに撮りにいきたい。