
SONY α55 + TAMRON 90mm f2.8 Di
今年もアサギマダラの季節がやってきた。
暖かい間は山の上で過ごしていた彼らは、寒くなると里へ下りてきて、南を目指して旅に出る。遠く千キロ以上離れた南西諸島や台湾まではるばる飛んでいく。彼らは旅をする蝶だ。
小さな体でどうして千キロも飛べるのか不思議なのだけど、そのぶんよく食べる。好物はフジバカマやヒヨドリバナで、移動していない間はほとんど食事に費やしている。花から花へ飛び移り、ひたすら蜜を吸い続ける。
旅の途中、東海地方にも寄っていく。名古屋では東山植物園が確実に見られるポイントだ。三河地方や渥美半島なども旅の通り道に当たり、よく見られる。
このあたりの地方でいうと、9月の終わりから10月の中旬にかけてがシーズンということになる。今年は少し遅かったようだから、ピークは今月の中旬にずれ込むかもしれない。
今年も再会できたことを喜んだ。

蝶の中で、これほど撮りやすい蝶はない。
警戒心が弱く、人を恐れないし、とにかく蜜を吸うことに夢中で、カメラを近づけてもあまり逃げない。
他の蝶のようにすぐに他の場所へ飛んでいってしまうこともなく、花から花へ移っていくものの、長くその場にとどまり続ける。だから、シャッターチャンスは多い。
普通のアゲハチョウを撮る方がずっと難しい。

今年のテーマは、飛翔姿と決めていた。
とにかく飛んでいるところを撮らなければ意味がないと、時間をかけて粘った。
結果的に何枚かは撮れたものの、決定的な一枚は撮れず、再挑戦の意思を固めることになった。
とまっているところを撮るのは簡単でも、飛んでいるところとなると話は別だ。難易度は一気に上がる。
画面をきちんと構成した上で、しかるべき位置に、しかるべき姿で飛んでいるところを捉えるためには、ある程度の運も必要となる。単に浮いているところを撮ればいいという話ではない。



アサギマダラの浅葱(あさぎ)は、青緑色のことで、翅の色から来ている。新撰組が着ていた羽織が浅葱色だったとされている。
マダラは、翅や体のまだら模様からというよりも、マダラチョウ亜科に分類されているところからだ。

翅をあまりバタバタさせず、フワッと飛ぶのも特徴だ。ときどき滑空のような飛行スタイルにもなる。




シーズン中にもう一度行きたいと思っている。
いるときは夕方までいるけど、午前中の方が数は多いようだ。
東山植物園の奥池を奥に向かって坂道を上がっていった途中がポイントだ。カラマツ林の手前といえば分かるだろうか。園内のどこにでもいるわけではなく、フジバカマが咲いているところにしかいない。