
PENTAX K-7 + DA16-45mm F4
14日の日曜日に、濃尾大花火を撮りに行ってきた。
愛知県の一宮市と、岐阜県の羽島市が共同で行っている花火大会で、木曽川に架かる濃尾大橋のたもとから打ち上げられる。
100年以上の歴史がある花火で、1892年(明治25年)に、木曽川東岸の愛知県中島郡起村で始められたものが今に続いている。木曽川の恩恵に感謝するため、水天宮に奉納する川祭りとして始まったのだそうだ。
起町(もとの起村)が朝日村と合併して尾西市となってからは、尾西市市民花火大会として行われていたものなので、そちらの名前に馴染みのある人の方が多いかもしれない。
羽島市と共催になったのが1993年で、尾西市が一宮市に編入された2005年から、現在の濃尾大花火という名称になった。
共催となってから規模が大きくなり、東海地方では珍しい20号(2尺)玉が上がる大会として知られている。
地図を見ると、名鉄尾西線の奥町から歩いていけないことはないことを知る。それで行くことが決まった。
一宮以北の尾西線などというものは、こんな機会でもなければ乗ることはまずない。せっかくなので、尾西線を撮るというのも目的としてみた。
がしかし、本末転倒とはこのことで、奥町駅で降りて、終点の玉ノ井まで歩きながら尾西線風景を撮っていたら、それだけでもう8割方満足してしまった。花火大会が始まるぎりぎりまで撮っていて、花火撮りはついでのようになってしまったのだった。
おかげで、今ひとつ気合いの入らない写真になった。現場に着いてすぐに打ち上がるようでは、花火撮りとしては大遅刻だ。いい場所など残っているはずもない。
その分、尾西線はしっかり撮れたので、充分収穫はあった。そちらの写真も近いうちに紹介できると思う。

五艘のまきわら船が川に浮かぶというのもこの大会の特徴で、ぜひそれを入れて撮りたいと思っていた。
土手沿いに場所を探しながら歩いていたら、まきわら船がいた。ちょっと遠いけどここに決めたと、とりあえず手持ちで一枚撮影して確認した。
それから三脚やレリーズをセットして、さて撮るかと顔を上げたら、ん? まきわら船は?
知らない間に下流に移動してしまって、影も形もなかった。なんたることか。
今更場所も移動できないので、しばらくここで撮ることにして、ある程度撮ったところで場所を変えることにした。
しかし、結果的に、まきわら船にこだわったのが失敗となった。人波の中をじりじり歩いてやっとのことで船を見つけたら、そこは場所取り激戦地域で、とてもではないけど三脚を持って入り込めるような状況ではなかった。人の多さに引き返すにも引き返せず、7時半に始まって8時45分までの大会が、私にとっては8時で終わってしまった。
奥町駅から玉ノ井駅まで沿線を行き、尾濃大橋の東から土手を南下して濃尾大橋まで移動し、東に進路をとって、三条賀交差点を北へ曲がって奥町駅まで戻るという道のりを歩くことになった。土地勘のある人なら分かると思うけど、花火大会でこんなに歩く人はいない。10キロは歩いた。明治村行きの翌々日のことだ。

打ち上げ花火も、ずっと撮っていると飽きてくる。単調で変化がなく、レリーズを5秒前後で機械的に押す作業になるから。
場所とセッティングさえ決まってしまえば、30分でも長いと感じるくらいだ。
今回も実験的に撮ることはしなかった。ずっとまきわら船のことが気になっていた。

やや退屈を感じつつも、ぼぉーっと花火を見ているのはやはりいいもので、なんとなく時間や場所の感覚が麻痺してくる。それがまたいいところだ。

20号玉は、8時に1発、15分に1発、30分に1発で、最後の45分に3発打ち上げられるというプログラムだった。
そんなことは知らないものだから、完全に立ち後れた。
想像以上の高さと大きさに、画面から大きくはみ出してしまい、あわててズームを引いて撮ったときには名残しか写らなかった。
それでも、通常サイズの花火と比べてその大きさが分かると思う。普通のものがミニサイズの花火みたいに見える。
2発目以降は、移動している最中で、目では見たけど撮ることはできなかった。
最後の方のスターマインも、ナイアガラも撮れず。

こんなふうに地味で繊細な仕上げの花火写真も好きだ。

すごく基本的なことなのだけど、打ち上がっていく軌跡を撮らなければいけないということに、あらためて気づいた。今までその部分をあまり意識していなかった。
打ち上がる直前からシャッターを開けて、花開いたら早めに閉じるくらいでいい。状況によってはオーバー露出になるから、絞りもf8からf14くらいまで、状況に合わせて変えていく必要がある。

もう少し川面の反射がよく入るところで撮りたかった。川岸の木なのか、手前の障害物が多くて、視界が完全に開けている場所は少ない。何度も撮りにいっている人はそのあたりのことも分かっている。

最後は重ねまくりの一枚で締めくくりとしたい。
大きな花火大会は、これが今年最後になりそうだ。もっと撮れたはずなのにという心残りもありつつ、また来年の楽しみとしよう。
去年、今年といくつかの花火大会を回って、ある程度状況は掴めた。それを次回に活かしたい。
最高の場所さえ与えられたら最高の写真を撮ってみせるのに、と思っている人は多いはずだ。けど、その最高の場所を取るのが難しいんだよなぁ。