
RICHO Caplio GX100
日曜日、夕方の河川敷。
世界は平和で何事もなかったかのように、普段と変わらない風景が広がっている。
自転車をゆっくり漕ぎながら、河川敷の光景を写し止めた。これも現実。これでいいのだと思った。
夕焼け時間の河川敷には、緩やかな時間が流れていた。

人が多い街中や人目のある店内などで使いやすいコンパクトデジが欲しいと思って、前から探していた。最近はコンデジもものすごく価格が下がって買いやすくなっているのだけど、あまりにも種類が多くて何を買えばいいのか分からない。
そんな中、2007年発売のRICHOのCaplio GX100を選んだ決め手は、ビューファインダーだった。
可動式の外付けファインダーで、90度チルトすることでウエストレベルとはいかないまでも、上からのぞきこむようにして撮ることができる。カメラを顔の正面で構えなくても撮れることのアドバンテージは大きく、顔の前で液晶画面を見ながら撮るスタイルがどうも好きではないので、ビューファインダーだけでも欲しいと思えるデジだった。
広角24mmやRAWが使える点、手ぶれ補正があり、マニュアル操作が充実しているところなど、機能的にも申し分なかった。一眼と同じく3:2のアスペクト比で撮れる点も個人的には必要だった。1:1のスクエアが撮れるというのも面白い。
ここ数日使ってみた感想としては、使い勝手に関してはデジイチに近いものがあって使いやすさを感じた。画質は、デジイチにはさすがに及ばないものの、けっこう使えるレベルにはある。コンデジにしか撮れないものがあることを考えると、被写体によってはデジイチを超える。
悪い点としては、やはりすべてにおいて動作がとろい。ズーム、ピント、シャッター、書き込みなど、のんびりしていてデジイチのようにはいかない。このへんはそういうものと割り切らないとどうしようもない。
あと、粒子ノイズが多い。これはかなり厳しいレベルで、最低感度ISO80でもノイズが気になる。ISO100が限界で、ISO200はもう使う気になれない。いくら手ぶれ補正があっても、夜撮影ではあまり使いたくない。レタッチソフトでなんとかするより他に方法がない。
使っていくことでプラスの面、マイナスの面が更に見えてくるだろうけど、とりあえず当分使ってみようと思っている。後継機のGX200で改善されている点も多いようなので、場合によってはすぐに買い換えということもあるかもしれない。

太陽を正面に捉えると、ビューファインダーに盛大なスミアが発生して、どうなることかと思ったけど、実写には表れていない。紫の縦線は初期のSANYOのコンデジを思い出して、ちょっと懐かしかった。
逆光には弱いという評判ながら、そんなに悪くない印象だ。

ビューファインダーの見え具合は、思ったよりもよくなかった。画面が小さく、荒いので、細かい部分までは確認できない。
視野率100パーセントでも四隅まできっちりした構図を作るなんてことはできそうにないので、適当にこのへんって感じでシャッターを切ることになる。
そのあたりからしても、デジイチの代替にはならない。あくまでもサブカメラの位置づけだ。

自転車に乗りながら、こんなふうにラフにシャッターを切っていくのもコンデジの味かもしれない。
ズームは35mm換算で24mm-72mmで、普段使っている16-45mmレンズの24mm-67.5mmとほとんど変わらないはずなのに、広角は広く、望遠は届かないような感じがする。広角にしたとき、とにかく被写体が遠くて小さく感じる。ビューファインダーの像が小さいからそう感じるだけだろうか。
面白い機能の一つとして、ステップズーム機能がある。24mm、28mm、35mm、52mm、72mmと刻んでズーム位置が決まるという仕様で、その画角の単焦点レンズを使うように撮るというものだ。これはわかりやすくいていいので採用している。

直射日光でフレアというのかゴーストというのが発生している。
これは嫌いじゃないので、あまり気にならない。光線らしくて効果的な場合もある。

自転車からの風景。
左前方にローラースケートの兄妹らしき二人組が前から来て、ほどよいタイミングで撮ったつもりが全然早すぎた。シャッターのタイムラグは思っているほど大きくないかもしれない。

とっさに現れた被写体に対して立ち後れるというのは確かにある。被写体を見つけて、構えてビューファインダーをのぞいて、ピントを合わせて、シャッターを切るという一連の動作に時間がかかる。デジイチにすっかり慣れきってしまっているから、同じように使えるものと考えていると、チェッということがたびたび起きる。

露出はかなり明るく出る傾向にあって、プラスマイナス0では明るすぎるシーンがほとんどだ。-0.7でちょうどいいくらいで、それを基本にしている。
RAWで撮れるから暗めに撮ってあとから明るくすればいいというわけにはいかない。ただでさえ多いノイズがネックとなる。ソフトで明るくするとそれだけノイズも増える。
マイナス補正しつつも、状況に応じた露出補正をしなくてはいけない。
ホワイトバランスは優秀で、ほとんどいじる必要は感じない。

レンズ前1センチまで寄れるマクロ性能に加えて、コンデジ特有のパンフォーカスなので、こういう絵は撮りやすい。

色乗りはおとなしめだ。モードを普通で撮っているからというのもある。硬調にしたり、コントラストを上げたりすると、もう少し色合いが変わってくると思う。
普通で撮って、レタッチソフトで調整した方がコントロールしやすいだろうけど。

写真が逆光ばかりだ。西に向かって走っていたというだけでなく、逆光が好きだから、必然的にそうなる。

河川敷グラウンドの少年野球。
平和な光景に安心する。
そろそろ日没の時間が近づいたので、引き返すことにした。

夕陽を背にしても、やっぱり太陽に向かってシャッターを切りたくなる。
帰りは河川敷の反対側を走った。こちらはあまり来たことがなかったので、風景が新鮮だった。

住宅の向こうに沈みゆく太陽。
夕焼けの河川敷を走る人。

矢田川大橋からの眺め。
橋の欄干に置いて、スローシャッターを切る。

暗くなったところで、この日はおしまいとした。
シャッタースピードは1/4とかだったと思うけど、手ぶれ補正の効果は高そうだ。
次は街撮りでどれくらい撮れるか試してみたい。