月別:2008年02月

記事一覧
  • 超高層ビルマニアじゃないけど、気づけばベストテンを制覇しつつある

    PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 馬鹿と煙は高いところへ登るというのと、馬鹿は風邪引かないというのが本当だとしたら、高いところへ登れば風邪を引かないことになる。かなり強引な論理だけど、風邪を引いてる人間が高層ビルの展望台から景色を眺めようなんて思わないから、その理屈はまんざらデタラメでもないかもしれない。 どうして馬鹿は高いところへ登るというのか、あなたは知ってるだろうか。私はさっき知った...

    2008/02/29

    横浜(Yokohama)

  • SIGMAの古い400mmはユニークでとらえどころのない不思議レンズ

    PENTAX K100D+SIGMA 400mm f5.6 どんな素性かよく分からなかったのだけど、とりあえず安いというだけの理由でSIGMAの400mm TELEPHOTO F5.6というのを買ってみた。APOタイプの前のものなのか、同時期のものなのか、いずれにしてもかなり古いレンズというのは間違いなさそうだ。 PENTAXのKマウントは昔から規格が変わってないから最新のデジカメにも使えるのがいい。1.5倍になるから35mm換算で600mmの手ぶれ補正レンズのできあがり...

    2008/02/28

    野鳥(Wild bird)

  • 見て触れ合って買える動物園の看板に偽りなし ---ノア最終回<第7回>

    PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di ご無沙汰してます、オオタです。 2日間、自宅からネットにつなぐことができず、ネット難民となってました。2日間のオフライン生活はそれなりに得るところもあり、思うところも多かったのだけど、やはりなんといっても不便極まりないことを実感したのでした。 原因不明ながら復旧したので写真だけでも並べて生存の証しとしておきます。またいつ途切れるか分か...

    2008/02/27

    動物園(Zoo)

  • 安定飛行のはずが不時着サンデーになってレンガ生チョコに話題転換

    Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II 今日は奇をてらわず素直な心で美味しい和食を作ろうと考えた。余計なことはしないから安全飛行、安全着陸になるはずだった。しかし、得てしてそういうときにこそ危険が潜んでいるもの。自分でも思いがけないくらいの失敗サンデーとなった。 今日の料理ははっきり言って美味しくなかった。ここまでの失敗というのはかなり久しぶりだろう。味そのものに対する不満がこれほど大きかったのは初期以来か...

    2008/02/25

    料理(Cooking)

  • 愛すべき(?)マニアックペットたちのディープな世界 ---ノア<第6回>

    PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di ノアシリーズもなんだかんだで6回目となった。ようやく終わりが見えてきたものの、まだ最終回じゃない。もう一回分写真が残っている。 今回は、は虫類やカメなどのマニアックペットを集めてみた。世の中にはいろんなマニアがいて、こういう変わった生き物を飼うのを趣味にしている人もたくさんいる。最初からそんなものと敬遠せずに飼ってみればみんなかわい...

    2008/02/24

    動物園(Zoo)

  • 春を探しにふらりと行った牧野ヶ池でにわか探鳥会に参加することとなる

    Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS / EF-S 17-85mm 今日の名古屋の最高気温は15度。空気が明らかに冬のものとは違うのを感じた。明日以降、また寒さが戻るようだけど、春が近づいてきたきたことは間違いない。来週末はもう3月だ。 3月になれば季節の花が次々に咲き始めて一気に気ぜわしくなる。そうなる前に、もう一度冬鳥たちを撮っておこうと牧野ヶ池へ向かった。鳥に限らず、もしかしたら花も咲いてるかもしれないし、猫も...

    2008/02/22

    野鳥(Wild bird)

  • 見ず知らずの珍獣たちに地球生物の多様さを再認識した ---ノア<第5回>

    PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 今日はノアシリーズ第5回<珍獣編>となる。このシリーズはちょっと飛びとびになっているけど、写真はまだあるから、ジャンル別にして順次出していきたい。 珍獣こそノアの本領発揮ということで、見たことも聞いたこともないやつが次々に繰り出されてくる。名前を初めて聞くというものも多く、何の仲間かさえ分からないやつもいる。動物園で遠くから檻越しに...

    2008/02/22

    動物園(Zoo)

  • よそ者が短時間垣間見た渋谷は尾崎豊ではなくコブクロが似合う街だった

    PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 何度も東京へ行っているのになんとなく行きそびれている場所がいくつかある。渋谷もその中の一つだ。訪れるのが遅すぎた感もある。尾崎豊が「Scrambling Rock'n'Roll」を歌ってからすでに23年近い歳月が流れていた。 Scrambl交差点では心を閉ざし解りあうことがない、と10代で歌った尾崎豊は、生きて40代になっていたら今頃どんな歌を歌っていただろう。彼がこの世を去ってから、もう1...

    2008/02/21

    東京(Tokyo)

  • 20万40万80万、インコって高いんだと思い知るの巻 ---ノア<第4回>

    PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 今日はインナーシティズー・ノアのシリーズ4回目、鳥編をお送りします。 珍獣にばかり目がいきがちの中、鳥の充実ぶりも見逃せない。お値段もまた充実度満点だ。数万円程度で買えるものはほとんどなく、コキサカオウムの税込み84万円にはのけぞった。20万、40万は当たり前の世界がここにある。鳥のラインナップもまた、珍獣ならぬ珍鳥揃いなのであった。 ま...

    2008/02/20

    動物園(Zoo)

  • 白いヤツは人知れずローカルな池で量産型になっていた

    OLYMPUS E-510+Super Takumar 300mm f4 ひょっとしたら今年は来ているかもしれない。おととし初めての遭遇に興奮し、去年はついに再会を果たせなかった白いヤツ。今年も一度は空振りに終わった。でも今度こそ。 淡い期待を抱いて向かった近所の雨池。あ、あれはもしかして!? 白いゴミが浮いてるだけ? いやいや、間違いない、白いヤツだ。静かに近づいて確認してみると、紛れもなくミコアイサのオスがそこに浮いていた。おー...

    2008/02/19

    野鳥(Wild bird)

  • 地図を持たずに飛び出して着地点を見失って胴体着陸サンデー

    Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II こんばんは。設計図を持たない料理人のオオタです。 今日のサンデー料理は最初からイメージ不足だった。旅行に行こうと思い立ったはいいけど行き先が決まらないままとりあえず家を出てしまったときみたいで、ヨーロッパへ行こうか中国へ行こうかやっぱり引き返そうか、フラフラとよろめいて結局着地点が見いだせないまま公海上に胴体着陸したような料理になってしまった。イテテテ、腹打ちした。 ...

    2008/02/17

    料理(Cooking)

  • 冷蔵庫よりも寒い雪の岩屋堂で今年もセリバオウレン撮りの難しさを思う

    Nikon D100+TAMRON SP 90mm f2.8 / SIGMA 17-70mm f2.8-4 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 2月の岩屋堂は冷蔵庫の中よりも寒い。これは比喩ではなく本当だ。瀬戸の冷蔵庫の異名はダテじゃない。冬晴れの名古屋を出発して車で30分走って岩屋堂に着くと、そこは雪が舞い散る白銀の世界だった。ウソみたいだけどホントだ。岩屋堂、恐るべし。 そんな寒い中にノコノコ出向いていくには理由がある。冷蔵庫に入っている肉や野菜の気持ちが知...

    2008/02/16

    花/植物(Flower/plant)

  • いろいろな猫の写真と彼らの物語 ---ノア<第3回>

    PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di ノア・レポート第三弾は、猫特集でいこう。 ひとくちに猫といってもその種類は多く、トラやライオンなどのネコ科まで入れるとかなりの数になる。いろいろあわせて50種類くらいだろうか。ペットとしてのイエネコも、50種類くらいの品種がいて、私たちが知っているのはそれらのほんの一部にすぎない。 珍獣揃いのノアにもいろいろな猫がいた。動物園でも見かけ...

    2008/02/15

    動物園(Zoo)

  • 見ーてーるーだーけーで楽しめるペットショップ ---ノア<第2回>

    PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di インナー・シティ・ズー ノアは横浜にあるのだけど、横浜といっても広くて、鳥浜といってすぐにピンと来る人は少ないと思う。この顔にピンときたら110番なんていわれても、いっこうにピンと来ないのと同じだ。 今日はこれからノアに行こうと思っている人を後押しすべく、ノアの紹介をしたいと思う。行こうかどうしようか考えている人の背中をそっと押して、...

    2008/02/14

    動物園(Zoo)

  • 珍獣を見た撮った触った買わなかった ---ノア<プロローグ>

    PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 横浜にある「インナー・シティ・ズー ノア」に行ってきた。 世界の珍獣を見て触って買えるペットショップとして、たびたびテレビで紹介されているから、知っている人も多いかもしれない。芸能人も多数来店しているようで写真もたくさん飾られていた。 珍獣はとにかく高い。10万、20万なんて安い方で、50万とか80万とかがザラにいる。たまに2万5,000円とかで...

    2008/02/13

    動物園(Zoo)

  • 今日の名古屋は昼から雪国だった

     昼過ぎ、ふと窓を見るといやに白い。ん? 白い? もしかして!? 窓を開けるとそこは雪国だった。なんだこりゃ。ものすごい雪だ。街が真っ白。こりゃ驚いた。 この日、名古屋の積雪は最大13センチだったとか。去年の1月にも一度積もったことがあったけど、ここまで大雪になったのは3年ぶりくらいじゃないか。大粒の雪が絶え間なく降り続いて、夕方までに街は白色に覆われた。 こんな機会はめったにないから写真を撮りにいき...

    2008/02/09

    雨/雪/天候(Weather)

  • 約束されてない発見と出会いがあるところ ---2月の海上の森<後編>

    Canon EOS 20D+EF-S 17-85mm f4-5.6 IS 2月の海上の森後編は、冬枯れの大正池風景から。 夏場は水を満たす大正池も、冬場は水が抜かれてこんな風景が広がる。ここはもともと川の流れる森だったところで、水をせき止めてダムにしたため、木々が水没して立ち枯れてしまった。水があるときは水面から立ち枯れた木がニョキッと顔を出す風景が絵になるけど、こうなってしまうと寒々しい。まるで死の世界のようだ。放射能に汚染されて...

    2008/02/08

    森/山(Forest/Mountain)

  • 冬の森が生み出す光と影の風景 ---2月の海上の森<前編>

    Canon EOS 20D+EF-S 17-85mm f4-5.6 IS 海上の森に最後に行ったのは去年のいつだったろう。確か秋には行ってないから夏だったろうか。調べてみると、6月の終わりだった。そんなに行ってなかったか。毎月とはいかないまでもワンシーズンに1回は行っておきたいところだ。車で30分の距離だし、お金もかからないところなんだから。 というわけで、半年以上ぶりとなった海上の森へ行ってきた。時期的には今の季節が一番見所が少ないこ...

    2008/02/08

    森/山(Forest/Mountain)

  • 小幡緑地の緑ヶ池を半周歩いて撮った鳥と猫と夕焼け

    OLYMPUS E-510+Super Takumar 300mm f4 買ったはいいけど、さっぱり出番のないOLYMPUSのE-510。オリンパス・ズイコー・デジタルの中古レンズが手頃な値段でなかなか手に入らず、せっかくの手ぶれ補正機能も役に立たないとなると、E-510が活躍する場面はない。アダプタでM42マウントのレンズは使えるものの、PENTAXと違ってマニュアルレンズで手ぶれ補正が使えないのは残念だ。古いズイコーレンズを持っている人も悔しがっているだ...

    2008/02/06

    海/川/水辺(Sea/rive/pond)

  • 日常生活で役に立たないセキレイの見分け方 ---矢田川鳥編第二回

    PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di 冬のこの時期、川にはたくさんのハクセキレイがいる。だから、セキレイを見ても興味対象外でカメラを向けることもほとんどないのだけど、うっかりしてるとその中にキセキレイが混じっていることがあるから油断ならない。キセキレイは比較的上流のきれいな川辺にいることが多くて、街中の川で見かけることは少ない。ただ、冬場になると山の方は寒いのか、都市部まで下ってくることがある。...

    2008/02/05

    野鳥(Wild bird)

  • お馴染みの脇役だけでも一本になるもんだ ---矢田川鳥編第一回

    PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di 一本目が軽かったから二本立てでいこう。まだ余力は充分残っていた。 写真を整理してみると、矢田川鳥編は一回に収まらなかったので、二回に分けることにした。使える写真を使わないのは、食べ残しのお菓子を食べないようでもったいないし気になる。見てもらう人のためというより自分のためだけど、ちょっとだけおつき合いください。 鳥偏の一回目は、コサギとスズメしか出てこない。そ...

    2008/02/05

    野鳥(Wild bird)

  • 鳥抜き矢田川冬の河原風景撮り歩き ---矢田川<前編>

    PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di 少し前にちらっと書いたように、今日は家から香流橋あたりまで矢田川沿いを歩きながら写真を撮ってきた。香流川沿いを行けば30分もかからない距離も、矢田川沿いに行くと大回りになってけっこう遠く感じる。写真を撮りながらゆっくり歩いたということもあって、45分くらいかかっただろうか。 それなりに枚数を撮ってきたから、第一弾として鳥抜きの河原風景編としてみた。香流川は河原風...

    2008/02/05

    海/川/水辺(Sea/rive/pond)

  • テレビ塔は名古屋人のためにただそこに建ち続けることでよしとしよう

     名古屋栄にあるテレビ塔が知らない間にリニューアルしていた。2006年の6月というから、1年半以上も知らずにいた。テレビ塔は名古屋の人間にとって近くて遠い存在といえるのではないだろうか。一度や二度は登ったことがあっても普段はほとんど気にかけることはない。 昔ながらのおみやげ屋などを一切取っ払ってオシャレ空間に生まれ変わった。脱昭和を目指したということか。かつてファミリー向けのレストランがあったフロアには...

    2008/02/04

    名古屋(Nagoya)

  • 鬼を作って鬼を食う節分サタデー料理で今年も一年無病息災祈願

    Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II 今週もサンデー料理ではなくサタデーとなった。明日の午後はゆっくり料理をしてる時間がなさそうなので、一日前倒しにした。 今回のサタデー料理は当初、明太子づくしの予定だった。いただきものの明太子を使おうと、レシピを調べている途中、鬼の顔をかたどったキャラ弁のレシピが出てきて、そういえば明日は節分だったなと、はたと思い出して路線変更となった。 今回のサタデー料理のコンセプト...

    2008/02/02

    料理(Cooking)

  • 知らなかったけどマ・メゾンって名古屋では知られた洋食屋さんだったらしい

    Panasonic DMC-TZ1 三越ラシックに入ってるマ・メゾンへ行ってきた。 名古屋では有名な洋食屋らしいのだけど、行く前までそんなことはまったく知らなかった。本店は星ヶ丘で、開業は20年ほど前なんだとか。 ここのことを知ったのは偶然だった。最初はテレビ塔へ行こうと話をしていて、夕飯をどこか適当なところで食べようということで探していてたまたま見つけたのがここだった。テレビ塔の一階に最近オープンした店の他にもい...

    2008/02/02

    名古屋(Nagoya)

  • 鳥ネタの割合が濃すぎるから2倍に薄めるために二本立て更新すべし

    PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di ここのところちょくちょく近所の香流川沿いを歩く機会があって(好きこのんでではなく必要に迫られて)、つい先日も歩いて写真を撮ってきたので並べておこうと思う。この前は夕暮れだったけど、今回は少し早い時間でまだ光があった。まったく同じコースで鳥の顔ぶれもほとんど一緒なのに、光があるとないとでは写真が違ってくる。光がいかに貴重なものかを知る。 今回のデジとレンズは、...

    2008/02/02

    野鳥(Wild bird)

  • 名古屋は日泰寺のことをもっと全国に宣伝してもいいんじゃないか

     日本で唯一、公式にタイ王国から贈られたお釈迦様の骨(仏舎利)が安置されている超宗派のお寺が名古屋にある。千種区の覚王山にある日泰寺(にったいじ)がそうだ。 しかし、この日泰寺、全国的な知名度はかなり低い。名古屋の人でさえ、どういういきさつで建てられたか知らない人が多いんじゃないだろうか。本来なら名古屋人が全国の人々に大いに自慢していいお寺なのに、名古屋名所にさえ入っていない。外国人もほとんど見か...

    2008/02/01

    神社仏閣(Shrines and temples)

超高層ビルマニアじゃないけど、気づけばベストテンを制覇しつつある

横浜(Yokohama)
ランドマークタワー1

PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 馬鹿と煙は高いところへ登るというのと、馬鹿は風邪引かないというのが本当だとしたら、高いところへ登れば風邪を引かないことになる。かなり強引な論理だけど、風邪を引いてる人間が高層ビルの展望台から景色を眺めようなんて思わないから、その理屈はまんざらデタラメでもないかもしれない。
 どうして馬鹿は高いところへ登るというのか、あなたは知ってるだろうか。私はさっき知った。高いと他界を掛けて、馬鹿なやつはわざわざ自分の身を危険にさらすようなことをするものだという意味なんだそうだ。へー、なるほど、そういうことか。煙が馬鹿だといってるわけではない。
 これまであちこちの展望台に登ってきて、肝心の日本一にまだ登っていなかった。横浜ランドマークタワーは、1993年(平成5年)の開業以来、15年間日本で一番高いビルであり続けている。これだけ超高層ビルが乱立する中、15年間というのは大したものだ。設計が優れていたというのもあるだろう(設計はアメリカの建築家ヒュー・スタビンスで実質的には三菱地所が担当)。地震列島の日本は、外国とは事情が違う。世界でいえば、ランドマークタワーは44番目でしかない。
 今後の予定を見ると、2014年予定の近鉄阿部野橋ターミナルビルがランドマークを抜いて日本一になるようだ。三重県出身の私としては近鉄というのは地元の電車という感覚が強いのでちょっと嬉しい。
 ちなみに国内高層ビルベストテンは、2位3位が大阪のワールドトレードセンタービル、 りんくうゲートタワービルで、5位6位に名古屋のミッドランドスクエア、JRセントラルタワーズとなっていて、4位のミッドタウンができるまでベスト5に東京のビルが入ってなかったのだ。7位は東京都庁、8位はサンシャイン60、9位が六本木ヒルズで、10位が新宿パークタワーと、このあたりは納得の顔ぶれだ。
 これで私はベストテンの中では大阪の2つと新宿パークタワーを残すだけとなった。ただし、りんくうゲートタワービルの展望台は低いところにあるようだし、新宿パークタワーは一般の展望台はないので、実質的には大阪ワールドトレードセンタービルだけとなった。もしくは、新宿パークタワーのパークハイアット東京に泊まるという手もあるにはある。そこまでするか。
 ビルの高さベストテンではなく、展望台の高さベストテンということで調べ直した方がいいかもしれない。

ランドマークタワー2

 ビルは70階建てで高さは295.8メートル。展望フロアがある69階は、地上273メートルで、これも日本一だ。東京タワーは高さ333メートルでも、特別展望台は250メートルだから、それよりも更に高い。
 スカイガーデンには日本一の速さを誇るエレベーターで一気に登る。その間、わずかに40秒。最大で分速750メートルに達し、2004年に台北101のエレベーターに記録を破られるまでは世界一だった(今でも下りの速さは世界一)。確かに速いには早いけど、耳がすごいことになる。名古屋テレビ塔の情緒溢れるのんびりエレベーターの方が私は好きだ。テレビ塔のエレベーターをランドマークタワーに導入したら、ものすごく時間がかかってしまうけど。
 名目上は360度の展望となっているものの、一部はショップや壁になっていて完全な全方向ではない。ただし、こういうところにありがちな一番いい一角をレストランなどが占めてしまうというのがないのは良心的だ。何しろ1,000円取るくらいだから、それくらいは当然か。JAF割引で900円でも高い。
 雨の日や視界が悪い日は割引があるというのはちょっと面白い。遠くから行く人は日にちを選べないことも多いから、そういうサービスがあってもいい。
 夜は9時までと、案外早い。土曜と夏休み期間は10時まで延長になる。
 行った日は祝日の夜ということで、まずまずの混み具合だった。フロアは広いから混雑ということにはならないものの、窓際は大部分が占領されているから多少の待ちは発生する。座るところは少ない。

ランドマークタワー2

 大きな観覧車でお馴染みのコスモワールドや、コンチネンタルホテルなど、みなとみらい21を代表する風景の一角だ。こちらが東北ということになるだろうか。
 あの観覧車は去年乗った。桜木町駅から歩くとけっこう遠い。直接遊園地方面に行くなら、横浜高速鉄道みなとみらい線のみなとみらい駅からの方が近い。ランドマークタワーもそっちからの方が近いだろう。
 コスモワールドの向こうには赤レンガ倉庫があって、その更に奥が横浜大さん橋ふ頭だ。山下公園は写真では切れてしまっているけど右手にある。写真右下に写っているのが、汽車道だ。
 晴れた昼間は、東京都庁やサンシャイン60、南西には富士山も見えるという。
 一番いい時間帯は、夕暮れから夜景にかけてだろう。長居できるならもう少し早めに行くと3種類の景色を楽しむことができる。

ランドマークタワー3

 南側は桜木町駅方面。右下に見えているのが動く歩道だ。
 駅前はあまり発展していないことが分かる。超高層ビルが林立するような風景ではない。ただ、駅から出てすぐ左手で大がかりな工事をしていたから、ここに何か建つようだ。大きなビルや新名所などができれば、また桜木町の風景も変わっていくだろう。
 みなとみらい21は、まだできて新しい発展途上の街だ。1980年代までは、三菱重工横浜造船所や国鉄の操車場や貨物駅などがある工業地帯だった。80年代に入って、この好立地の土地を再開発して人を呼ぼうということになり、1983年にみなとみらい21事業は始まった。この名前は公募で決まったそうだ。ランドマークタワーの住所の横浜市西区みなとみらい2-2-1というのは偶然ではないのだろう。
 1989年には横浜市制100周年を記念して横浜博覧会が開催され、そのとき動く歩道も造られた。
 ランドマークタワーが完成した1993年がひとつの大きな節目になり、その後発展が続き、現在に至っている。

ランドマークタワー4

 スカイカフェと、そこから見える夜景。
 椅子があるから座ってしまえと思うと、ここは店のものだったりする。休憩所ではない。座りたければ何か飲み物を注文しろということだ。人が多いときは、窓際はなかなか空きそうにない。

ランドマークタワー7

 一角にタワーショップがあって、記念品やおみやげなどを売っている。金色に塗られたランドマークタワーのミニチュアやペナントは売ってない。おみやげ物にあまり興味のない我々は軽くスルーした。そういうのが好きな人にとっては楽しいところだろう。ここでしか買えないものもいろいろあるようだ。
 そういえば、外国人が少なかった。たまたまだったのか、そういう傾向があるのか、どちらだろう。東京の高いところへ行くと中国語やハングル語やいろんな言語が飛び交っているけど、横浜は外国人観光客が少ないのだろうか。同じ神奈川県でも鎌倉はやたら異人さんが多い。

ランドマークタワー8

 観光客からするとランドマークタワーというと展望台というイメージしか持ってないのだけど、もちろん中には様々な施設や店舗が入っている。
 49階から70階までは横浜ロイヤルパークホテルが占め、1階から49階まではオフィスフロアになっている。意外と商業施設は少なくて、飲食店もあまり多くない。やはり横浜というとみんな中華街の方に流れていってしまうのだろう。
 飲食店や店舗は、タワー本体にコブのようにくっついているランドマークプラザという建物の中に集中している。上の写真がそれだ。
 構造的に少し分かりづらいところがあって、帰りに動く歩道が見つからず迷ってしまった。

ランドマークタワー9

 外は寒いし、ノアで歩き回ったし、中華街まで移動するのは大変ということで、ランドマークの中で食べていくことにした。
 横浜名物って何だろうと考えると、思いつかない。中華街以外というと何になるんだろう。鎌倉名物というのもあまり思いつかなくて、こっち方面に来ると夕飯に何を食べるか迷う。
 ちょっと面白そうで無難そうな「味散歩 横濱文明開館」というところにした。和洋中が揃っていて、古き良き昔ながらの食堂を再現したというのに惹かれた。
 しかし結果的にこれははずした感があった。本気で古いものを再現しようという気概はなく、それなりに体裁を整えてほどほどの料理を手頃な価格で提供するという店だった。

ランドマークタワー10

 私はカツ丼を、ツレは味噌ラーメンにした。
 味はまずまず以上ではない代わりに量は多い。ご飯を食べきれなかった。写真を見るとけっこう美味しそうなんだけど、味にパンチがなかった。
 ちょっと不思議だったのは、喫煙席が景色のいい窓際で、禁煙席が見晴らしの一切ない内側というシステムだ。普通逆じゃないのかなと思うけど、この店では喫煙者が優遇される。オーナーが大の愛煙家とかなんだろうか。

ランドマークタワー11

 タワーを出たところで見上げて一枚。さすがに高い。至近距離からでは上の方が見えない。雲が低くたれ込めると、タワーの頭が雲から出るという。
 外からランドマークタワーの写真を撮るときは、週末よりも平日の方がいい。休みの日はオフィスの明かりが消えているところが多いから暗くて面白くない。これはどの高層ビルにも言えることだ。

ランドマークタワー12

 動く歩道横の通路からも最後に撮っておいた。
 右手前にあるのが日本丸だ。これもみなとみらい21のシンボルの一つになっている。
 この辺り一帯は、日本丸メモリアルパークとして整備されていて、日本丸にも有料で乗り込むことができる。横浜マリタイムミュージアムも隣接する。

 今回はノア行きが最大の目的で、横浜観光はランドマークタワーだけとなった。まだ山手の洋館巡りが半分残っているし、現在閉鎖中のマリンタワーにも登りたい。中華街でもまた美味しいものを食べたい。前回は5月の終わりだというのにやたら寒かった。大さん橋ふ頭では凍え死ぬかと思ったほどだ。次はもう少しいい季節に行こう。
 横浜の街とも少しずつ馴染みになってきた。今後とももっと親交を深めたい街だ。

SIGMAの古い400mmはユニークでとらえどころのない不思議レンズ

野鳥(Wild bird)
ばたつくミコアイサ

PENTAX K100D+SIGMA 400mm f5.6



 どんな素性かよく分からなかったのだけど、とりあえず安いというだけの理由でSIGMAの400mm TELEPHOTO F5.6というのを買ってみた。APOタイプの前のものなのか、同時期のものなのか、いずれにしてもかなり古いレンズというのは間違いなさそうだ。
 PENTAXのKマウントは昔から規格が変わってないから最新のデジカメにも使えるのがいい。1.5倍になるから35mm換算で600mmの手ぶれ補正レンズのできあがりとなる。
 どの程度写るものか、早速近所の雨池へ行ってミコアイサを撮ることにした。
 それほど大きな池ではないものの、ミコアイサはわりと警戒心が強くて、300mmレンズで届かずもどかしい思いをしていた。


パンダガモのオス

 今回一番近かったのがこの一枚だ。これで何メートルくらいだろう。600mmでこの大きさだから肉眼ではかなり小さかったとは思う。目まで写れば上出来だったけど、そこまではいってない。
 パンダガモの別名を持つように、オスは白黒の姿をしている。メスはグレーの体と茶色の頭をしていてあまり人気がない。ミコアイサを撮る大部分の人はオス狙いだと思う。

 写りに関しては、なかなか悪くないというのが第一印象だった。手持ちのTakumarの300mm f4と同等といったところだろうか。
 APOタイプではないものの、色収差はさほど目立たない。絞り開放だとふぬけな写りになるけど、f5.6以上に絞るとそこそこシャープになる。手ぶれ補正の効果も出ているのが分かって、条件次第では使えるレンズだと思う。
 ピントも絞りもマニュアルだけど、使い勝手も上々だ。ピントリングがスカスカなのも慣れればこれはこれで使いやすい。Takumarはトルク感がありすぎてとっさに合わせたいとき合わせきれないことがよくあるから、あれを思うと軽い方がかえっていい。飛びものなんかのときは特に有利に働きそうだ。
 近くのものは絶望的に撮れない。マクロなんてまったく想定してないのだろう。最短のピント距離は2メートルくらいじゃないだろうか。3メートルかもしれない。
 サイズは400mmの中ではコンパクトな方で、Takumar 300mmのミニバズーカより一回り小さくて軽い。これなら手持ちでも充分使える。



ミコアイサのオスとメス

 右の白いがオスで、後ろの2羽がメスだ。日陰で撮ったのでよく見えない。



ミコアイサのペア

 鳥撮りにとっても風は敵だ。風が強いと水面が波立ってしまうから、水鳥撮りには向かない条件となる。まったく風がないと水面が鏡のようになって映り込みなどもあってきれいな写真になる。



飛ぶゴイサギ

 西日の当たる方に飛び去ったゴイサギを追いかけて撮ったら、なんとなく不思議な印象の写真になった。古いフィルム写真のようだ。これもこのレンズの特色なのか、たまたまなのか、これだけは判断ができない。



ゴイサギ

 この写真でSIGMA 400mmが一風変わった描写をすることがはっきりした。ソフトで特殊な加工をしたみたいになっているけど、特別なレタッチはしていない。どうしてこんな写りになったのか不思議だ。もちろん、肉眼で見てもこんなふうな風景ではなかった。
 強い光が当たると何か特殊な描写になるようだ。これはPENTAXの特色でもないし、Takumarとも違う。最近のSIGMAともまったく別ものだ。



飛ぶアオサギ

 飛び去るアオサギの後ろ姿。
 なんとなく変わった特徴の描写をするレンズなので、使い込んでみる価値がありそうだ。



泳ぐバン

 このときは水面がツルッとした感じになった。ザラッとした描写だったり、ヌメッとしたり、なかなか捉えどころのないレンズだ。



コガモ

 コガモかな。この池ではコガモはあまり見かけないのだけど。



逆光の金城学院

 コーティングがデジタル用ではないから、逆光には強くない。
 このときは少し絞りすぎたというのもある。

 短時間使っただけでレンズの良し悪しや特徴を掴みきれるわけではないけれど、ユニークなレンズということは分かった。可もなく不可もない最近の優等生レンズとは違って、なかなか興味深い。
 とびきり高性能ではないものの、400mmでこれくらい写れば必要充分と言える。500mmレンズとなるとサイズも大きくなるし手持ちでは厳しくなるから、このあたりがお散歩望遠レンズとしては限界かもしれない。

 ミコアイサは3月のいつくらいまでいてくれるのだろう。最初にオスが渡って、遅れてメスがいく。
 彼らは警戒心が強いから、近づくと池の反対側に遠ざかり、そっちへ回り込むと逆に離れていく。なかなかに賢い。
 画面いっぱいくらいに撮れたらいいのだけど。
 

見て触れ合って買える動物園の看板に偽りなし ---ノア最終回<第7回>

動物園(Zoo)
ノア最終回-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 ご無沙汰してます、オオタです。
 2日間、自宅からネットにつなぐことができず、ネット難民となってました。2日間のオフライン生活はそれなりに得るところもあり、思うところも多かったのだけど、やはりなんといっても不便極まりないことを実感したのでした。
 原因不明ながら復旧したので写真だけでも並べて生存の証しとしておきます。またいつ途切れるか分からないので、とりあえずつながってる今のうちに更新しておこう。

 今日はノア最終回。結局7回シリーズになった。ペットショップで7回分もネタになるところがノアのすごいところだ。濃さは花鳥園に匹敵する。
 最終回はこれまで登場した珍獣や鳥などが再登場する。捨ててしまうのは残念だなという写真を集めてみた。
 新顔も少し混じっているけど、それは入りきらなかったものや、調べがつかなったものだ。
 最初はお気に入りのカピバラさんから。エサをもらう顔がまたキュート。大きなネズミとは思えないかわいさだ。

ノア最終回-2

 カピバラさんと同居しているのはマーラという動物だ。
 アルゼンチンなどの砂漠や荒野などに暮らすテンジクネズミ科だから、巨大ネズミであるカピバラさんとそんなに遠い関係ではない。ちょっとカンガルーっぽいけど無関係だ。
 カピバラさんとマーラが自然界で出会うことはあるのだろうか。ここでは仲良く過ごして、同じ釜の飯を食っていた。

ノア最終回-3

 ここのリスザルたちはまだ子供なんだろうか。とても人なつっこくて、指を出すと握ってくる。その感覚がすごく肌っぽいので、人間の赤ちゃんに握られているような感覚がする。
 飼えばかわいいに違いないけど、部屋で一日中くっつかれるとうっとうしい。

ノア最終回-4

 ヨウムの赤ん坊。大きいように見えてこれでもまだ2ヶ月ほど。
 子供の頃は黒目くりくりで、大人になるにつれて目が点になっていくんだそうだ。
 また会いにいきたいと思ったら、行った日の次の日に売れてしまった。見られてよかったとも言えるのだけど、やっぱりちょっと寂しい。

ノア最終回-5

 これも珍しいウサギなんだろう。でも、ここにいると感覚が麻痺してきて、普通の動物じゃ面白くなくなってくる。なんだ、ウサギかってなもんだ。
 きっとこのウサギも、ウサギマニアの人にとってみれば、おおーってやつなんだろう。

ノア最終回-6

 どんだけリラックスしてるんだ、フェレット。完全に腹を出して、股も全開になっている。
 こうみると、胴が長くて手足が短くて面白い体型をしている。まあでも、かわいいことはかわいいな。

ノア最終回-7

 この犬はやっぱり笑える。しわくちゃすぎるだろう。きみはクシャおじさんか(古い)。
 頭をなでるとごわごわで、皮も思ったより固い。
 顔つきはヤッターマンの中に出てくるトンズラみたいだ。

ノア最終回-8

 この日見たフェネックが起きていた唯一のシーン。夜行性だから、基本的に昼間は寝ている。
 寝顔も魅力的だけど、起きて遠くを見つめている姿が凛々しくて好きだ。フェネックは広い大地が似合う。

ノア最終回-9

 入り口近くにいたケープペンギン。
 ペンギンの顔って、決してかわいくはない。歩く姿のほほえましさに惑わされているけど、目つきは鋭いし、いつも口を尖らせているし、じっくり見るとけっこう恐いことに気づく。
 そこがまた魅力といえばそうなのか。

ノア最終回-10

 これは正体が分からなかった。ネームプレートを撮り忘れただけかもしれない。
 ネズミのようなリスのような。かなり小さめ。
 小動物も模様が大事と分かる。これで灰色だったらただのネズミ扱いされていただろう。

ノア最終回-11

 最後はカメレオンで締めくくりとしよう。
 このまま図体を大きくしたら、恐竜そのものだ。人がカメレオンに惹かれるのは、恐竜に対するロマンという部分もあるのかもしれない。

 ノア編はこれにておしまいです。
 お近くの方は気軽に、遠くの方は機会があればぜひ一度行ってみてください。楽しいですよ。
 見てふれ合って買える動物園というキャッチコピーに偽りなしです。ただし、高くてなかなか買えないのが難点だ。

安定飛行のはずが不時着サンデーになってレンガ生チョコに話題転換

料理(Cooking)
不時着サンデー

Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II



 今日は奇をてらわず素直な心で美味しい和食を作ろうと考えた。余計なことはしないから安全飛行、安全着陸になるはずだった。しかし、得てしてそういうときにこそ危険が潜んでいるもの。自分でも思いがけないくらいの失敗サンデーとなった。
 今日の料理ははっきり言って美味しくなかった。ここまでの失敗というのはかなり久しぶりだろう。味そのものに対する不満がこれほど大きかったのは初期以来かもしれない。見た目は悪くないから、写真からはどこが悪かったのかは伝わりにくいと思うけど。
 完成したときどれも冷めてしまったというのが一番の致命傷だった。味付けも薄めでパンチに欠けていた。いろんな部分でタイミングが悪くて、それが重なって、悪い結果へとつながった。今日に関しては反省の言葉しかない。悔しくもあり、まだまだ力不足というのを思い知った。一通り作れるようになったといい気になっていたけど、そうじゃなかった。

 左手前は、マグロのあぶり焼きわさびしょう油味なんだけど、まずはこれがよくなかった。
 マグロをあぶり焼きにするところを焼きすぎた。最初は半生で止めたのに、早く作りすぎて、食べる前にもう一度温めたのがよくなかった。味も付けようと、わさびしょう油ダレ(しょう油、わさび、塩、コショウ、レモン汁、一味、酒)を塗って焼いたことでますます焼きが入りすぎた。冷めてもいいから半生にして、しょう油ダレを付けて食べるようにすればよかったのだ。
 大葉との相性はよかったから、そこに可能性は感じた。大葉巻きにして蒸し焼きにしてもよさそうだ。
 右は惜しい失敗だった。ジャガイモをスライスして水にさらしたあと塩を振って、カタクリ粉をまぶす。
 タマネギとウィンナーをオリーブオイルで炒めて、スライスジャガイモとバターも加えて炒める。最後に青のりと粉チーズを振りかけるというアイディアも間違っていなかった。問題は、いくらスライスとはいえ、ダイレクトに炒めたくらいでジャガイモが柔らかくなるものではないということを知らなかった私の無知にある。このあたりが素人の浅はかさで、オレ流ゆえの悲しさだ。
 ジャガイモは、カタクリをまぶして揚げるか、もしくは茹でるか、レンジで加熱するか、何かしなければいけなかった。中途半端にシャキシャキした歯ごたえが不味さにつながってしまった。
 味付けは、マヨネーズ、しょう油、からし、塩、コショウで、これはよかった。ジャガイモさえほくほくしていたら成功だったはずだ。
 奥のナスと豆腐の味噌焼きそぼろ乗せは、今日の中では一番まともな出来だった。
 ナスはやや厚めにスライスして水につけてアクを取る。絹ごし豆腐はペーパーである程度水分を吸わせる。
 味噌ダレは、白味噌、酒、しょう油、みりん、塩、コショウ、一味で作って、それを表面に塗りながら魚焼きグリルであぶり焼きにする。アミだと落ちるのでアルミホイルを敷く。
 途中で2度3度とひっくり返し、味噌ダレを塗ってゆっくり仕上げていく。ナスも同様に焼く。
 そぼろはツナ缶で作った。味付けは、しょう油、酒、みりんで。
 これは失敗しようがない料理なんだけど、魚グリルの中でその存在を忘れていて、食べるときに冷めていたのがなんともはやだった。間の悪さが最後まで続いた。少し焦げ気味だったので、それ以上焼かずに食べることにした。熱々だったらこれも申し分なく美味しくなっていたはずなのに。

 今日の失敗を今後の糧としたい。失敗は成功のマザーだとかつて長嶋監督は言った。鯖のことをさかなへんにブルーとも言ったけど、それはちょっと違う。
 それはともかくとして、やっぱり料理は難しい。出来るということと上手に出来るということはまったく別のものだ。一般人が字を書くことが出来るのと書道家が字を書くのとが別なように。
 私の場合は料理の基本ができてないから、もう一度基本に立ち返る必要がある。ちゃんと料理の本も読んで勉強しないといけない。
 基本の料理を基本通りに作ることは、私の永遠のテーマなのかもしれない。まともなスケッチもできないのにピカソの絵を真似てもデタラメなものになってしまうのは当たり前の話だ。料理もデッサンの段階から出直すべきだろう。
 定食屋の料理と同じものが作れるようになって初めて、レストランで出る凝った料理が作れるのだということを思い知った。

レンガ生チョコ

 口直しに生チョコ写真を載せつつ作り方を紹介して料理の失敗を誤魔化そう。
 バレンタインにもらった手作り生チョコがあまりにも美味しくてあっという間に食べてしまって、もっと食べたくなって自分で作ることにした。そういう男性は世の中では少数派だと思うけど、作ってみれば難しくはないから、ぜひ自力で作ってみることをオススメしたい。
 まずは板チョコ3枚(200g前後)と生クリーム、純ココアを買ってくる。できればバターとハチミツも用意したい。ココアは味付けのものだと甘くなりすぎるから、砂糖の入ってない純タイプの方がいい。
 買ってきた板チョコをこれでもかとみじん切りに切り刻む。これが正直面倒というか、手間と時間がかかる。包丁の切れ味も悪くなるし、手も痛くなってくる。でもこれをやらないとまろやかにならないし、やることで女の人がどれだけ苦労して生チョコを作っているか身に染みるという効果があるので、やらねばならない。一心不乱に刻んで15分か20分かかる。
 でもそこを乗り切ればあとはもう簡単だ。生クリーム100ccとハチミツ小さじ2を鍋に入れて加熱して、沸騰直前で火を止めてコンロからおろす。そこに刻んだチョコを入れて、ちょっとの間かき混ぜずにおいておく。30秒くらい。
 あとは優しくかき混ぜていく。あまりガシャガシャしない。ある程度混ざったところで溶かしたバター10gも加えて、最終的になめらかになったら生チョコの完成だ。
 それを適当な大きさのトレーみたいなのに入れるわけだけど、これが意外とないので困る。買ってくれば済むことだけど、このためだけに買うのももったいないような気もする。大きな角皿とか、タッパーとか、そのあたりで代用してもいい。
 クッキングペーパーか、サランラップを敷いて、チョコを流し入れる。このときのチョコの厚みで完成したときの形も決まってくるので、厚さは好みで決める。レンガ風なら平たく、サイコロ状なら厚く。
 冷蔵庫で2~3時間くらい冷やすと固まるので取り出して、包丁で好きな大きさに切り分ける。時間の余裕があれば一晩置いた方がいい。包丁は温めた方が切りやすい。
 切り分けたものに茶こしなどでココアを振りかけてまぶしていけば完成だ。
 生チョコ作りは、決して難しくはない。ケーキのように失敗することも少ない。手間暇かかるといってもスポンジケーキほどではないから、作ってみる価値はある。
 味はとにかく美味しい。こりゃずるいでしょうっていうくらいだ。柔らかな食感と口溶けは、板チョコだったときからは想像できないほどの変貌を遂げる。チョコの甘さとココアの苦みがマッチして、非常に上品な甘さでもある。チョコが苦手じゃなければ、まず間違いなく美味しいと思うはずだ。
 私が作ったのはまぶしている段階でチョコがあっちこっち移動して不格好な出来になってしまったけど、ちゃんと順列を乱さなければ店売りにも負けないれっきとしたレンガ生チョコになる。
 私はチョコのお返しにホワイトデーにホワイト生チョコバージョンを作る予定だ。男子諸君も作って学校や職場に持っていって人気者になろう。

愛すべき(?)マニアックペットたちのディープな世界 ---ノア<第6回>

動物園(Zoo)
マニアックペット-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 ノアシリーズもなんだかんだで6回目となった。ようやく終わりが見えてきたものの、まだ最終回じゃない。もう一回分写真が残っている。
 今回は、は虫類やカメなどのマニアックペットを集めてみた。世の中にはいろんなマニアがいて、こういう変わった生き物を飼うのを趣味にしている人もたくさんいる。最初からそんなものと敬遠せずに飼ってみればみんなかわいい我が子になるのだろうとは思う。ヘビだってカエルだってコウモリだって、みんなみんな生きているんだ友達なんだ。
 カメレオンというのも一部に熱狂的なファンを持つ生き物だ。一般的には、イグアナもカメレオンもトカゲもどれも大して違わないというかどれがどれだかよく分かってないのが普通だと思うけど、実際はずいぶん違う生き物のようだ。カメレオンは特に飼うのが難しいといわれている。イグアナは、所ジョージなどが飼っていて有名になった。トカゲはペットとしてはややマイナーだ。
 上の写真は、スパイニーカメレオンのオスだと思う。同じ姿をした地味目のやつがいたから、あれがたぶんメスだろう。オスはニッキュッパで、メスはイチキューパと、1万円も差があった。見た目の違いがそのまま値段差になるのだろうか。
 マダガスカルの森林や砂漠地帯にすむ大型のカメレオンで、体長は50センチほどになる。
 名前のスパイニーというのは、背中のトゲからきている。体に丸い模様があることから、日本ではボタンカメレオンと呼ばれることもある。
 野生では昆虫や節足動物なんかを食べているから、飼育するときも生き餌は必須だ。温度や光の管理もしないといけないし、生き餌の調達もあるから、やはり気軽に飼えるようなものではない。健康に育てることもなかなか難しいようだ。ただ、ちゃんと飼えば10年くらい生きるというからペットとしては悪くない。色もきれいだし、見ているとだんだんかわいいような気もしてくる。

マニアックペット-2

 長いトサカが特徴のエボシカメレオン。烏帽子ってのは、平安時代の貴族が被っていた背の高いとんがったあれだ。
 こいつはカメレオン界のエポックメイキングなやつで、飼育が難しいというそれまでの常識を覆す丈夫さで、カメレオン愛好家を一気に増やしたという功績を持っている。
 現地イエメンでの生活環境が、標高1,000~2,000メートルの高地という過酷な環境のため、適応能力が高くて丈夫というのが飼いやすさにつながっているとされる。初心者でも飼えて、なおかつ繁殖までいける場合がある。
 彩りの華やかさからファンも多く、最初にカメレオンを飼うならこいつだ。メスも婚姻色になると体色が変わって美しくなる。
 エサだけはどうしても昆虫などを入手する必要がある。ただ、カメレオンとしては珍しく植物性のエサも食べるから、少しは楽かもしれない。

マニアックペット-3

 カメレオンファンの少年。一人で来ていたわけではないだろうけど、長時間カメレオンの前から動かずに観察を続けていた。かなりのカメレオン好きのようだ。私はウディ・アレン作品の中では『カメレオンマン』が一番好きだ(関係のない情報)。
 この少年は、大人になったら、きっと飼ってしまうのだろう。これはお母さんにねだって買ってもらえるようなペットではないから、まだしばらく我慢だ。
 カメレオンは高価なラインナップのノアの中では比較的安い部類に入る。3万円を安いといっていいのかどうかは微妙だけど。

マニアックペット-4

 最初ヘビかと思ったらトカゲだった。手がちょろっと出ている。でも短いな。ツチノコみたいだ。いや、ツチノコに手はないはずか。
 こいつは何だろう。トカゲには違いないんだろうけど、かなりヘビに近い。プレートを見逃したのか、撮り忘れたのか、名前不明のままだ。マニアックな人なら一発で分かるんだろうけど、トカゲの写真を見て一発で分かる人になっていいものかどうかは迷いどころだ。熱帯魚に詳しいのとはわけが違う。さかなクン並みにトカゲの知識を持ったトカゲクンみたいな人が世の中にはきっといることだろう。

マニアックペット-5

 白い蛇を見るといまだに小柳ルミ子を思い出してしまうのは間違った条件反射だ。
 テキサスラットというと馴染みがないけど、日本で見せ物などになっている白ヘビはたいていこいつだ。
 テキサスラットは普通の姿をしてアメリカ東部の水辺などで暮らしている。民家の近くにもいて、わりとポピュラーなヘビらしい。ペットとして入ってくるのは白いのがほとんどのようだ。ルーシスティックと呼ばれる品種で、写真のプレートにも書かれているように、黒目のやつと赤目のやつがいる。目玉がピンクなのはなかなか神秘的な雰囲気を持っている。
 売られているのはまだチビで小さいけど、大きくなると1メートルを超える。性格も荒っぽいやつが多いというし、なかなか飼うのは大変そうだ。
 エサもカエルとかヒヨコとかネズミとかを与えなくてはいけない。
 このほかにもヘビはたくさん売られていた。でもあまり追求するのはやめておいた。写真もこれだけにしておこう。

マニアックペット-6

 アメリカとエジプトがペットショップで出会って仲良しになった。ミシシッピーアリゲーターの背中に手を回して添い寝をするナイルクロコダイルの姿は、微笑ましいものだった。
 すんでいる場所も、性格も、種類も違うのに、ここでは大事な友達となっているのだろう。ずっと折り重なるようにして離れなかった。
 ワニは、クロコダイルとアリゲーターとガビアルの3つのグループに分けられる。一般的なのはクロコダイルとアリゲーターで、両者の違いは口を閉じたときに牙の見え具合で分かる。見えるのがクロコダイルで、見えないのがアリゲーターとされる。クロコダイルの方が頭がよくて凶暴で、人を襲って食べるのもこいつだ。アリゲーターはおとなしい性格でめったに人を襲うことはない。写真でいうと、左にいて上になっているのがクロコダイルだ。
 古代エジプトでは、ワニは神の使者とされて、人工の池で放し飼いにしていたといわれている。襲ってきた敵をワニに食わせたこともあったようだ。
 現在、その数を減らしつつも現地では人食いワニが問題になっている。80人以上を食べたなんていう連続殺人ワニもいるそうだ。
 個人的にはワニに対してそんなに思い入れはないのだけど、機会があれば一度だけ伊豆の熱川バナナワニ園に行ってみたいとは思っている。どんな施設なのか想像がつかないから見てみたい。

マニアックペット-7

 たぶん売り物じゃないんだろうけど、唐突に和の水槽が置かれてた。金魚にスッポンにドジョウって、こんな組み合わせの水槽初めて見た。本人たちもびっくりしてるんじゃないか。
 スッポンは食べ物というイメージがすっかり固まってしまっていて野生の生き物じゃないような気がしてる人もいるかもしれないけど、もともとは当然自然界で泳いでいた。日本国内をはじめ、中国、韓国、ロシア、東南アジアまでと、その生息域は広い。今でもいるところに行けば見られるはずだ。ただし、養殖ものが放されたりして純粋に野生のものは減ってきているという。
 かみついたら放さないというのは有名な話だけど、かまれたら水の中に入れるとすぐ放すというのはあまり知られていない。いや、そういう話というだけで実際のところは私も知らないのだけど。
 エサは魚や両生類から貝、甲殻類まで、バリバリかめるものは手当たり次第に食べる。
 江戸時代にはすでに食用となっていたようだ。
 ドジョウはすっかり姿を消した。子供の頃は田舎の用水路や田んぼにけっこういたけど、今ではもういなくなった。探せばまだいるんだろうか。たぶん、世界の川などには今でもそれなりにいるのだろう。
 浅草にはどじょうの専門店があるけど、あれは養殖なのか輸入ものなのか。

マニアックペット-8

 何ガエルか知らないけど、水面から半分顔を出してどんよりしていたので撮ってあげた。まったく無反応。
 カエルもたくさん売っていた。きっと珍しいカエルなのだろう。どれも1万円以上はするようだ。

マニアックペット-9

 リクガメコレクションその1。
 カメも取り扱いが多かった。カメマニア御用達といったところだろう。カメはわりと飼っている人も多そうだ。さほど手間もかからないのがいい。うっかり変なものを買ってしまうと巨大化して困ることになりそうだけど。
 昔、大ブームになったミドリガメは、みんな飼いきれずに川や池に放して、結果的にミシシッピアカミミガメの大繁殖につながってしまった。ミドリガメも大人になるとかわいげがない。
 そういえば、「TRICK」の中で山田奈緒子もミドリガメを飼っていた。

マニアックペット-10

 リクガメコレクションその2。
 リクガメは、南米アメリカ大陸、アフリカ大陸、ユーラシア大陸、インドネシアなど、世界中に60種類以上いるといわれている。亜種などの分類があいまいで、やや混乱しているところもあるようだ。
 最大のものは、ガラパゴスゾウガメやアルダブラゾウガメで、甲羅だけで1メートルを超える。

マニアックペット-11

 こいつは水陸両用のカメのようだ。いつも体半分水に浸かっているのだろう、下半分に苔が生えていて上半分は乾いているのがおかしい。
 割り箸の先に何をくっつけてあげていた。何かと思ったら、バナナだそうだ。直接手からやると食いつかれる恐れがあるのだろう。バナナを食べるカメというのも初めて知った。

マニアックペット-12

 オマケ画像はコウモリ。これは売り物じゃないと思う。こんな大きなコウモリ、一般家庭じゃ飼えない。夜ごと部屋の中をバサバサ飛ばれたんじゃおちおち寝てもいられない。
 かなりの大きさだけど、どこか暖かい地方にいるやつだろうか。エサは果物か何かじゃないかと思う。吸血コウモリなんてのは実際ほとんどいない。

 マニアックなペット世界も多様で奥が深い。考えてみると、この地球上には様々な生き物がいるわけで、飼うことが可能なら飼ってみたいと思うのは人間の本能に近いものなのかもしれない。犬や猫や鳥や家畜ばかりがペットじゃない。動物園にいるのが当たり前の動物たちも、飼って飼えなくないものはけっこういる。事情さえ許せば家庭でキリンを飼うことだってできるくらいだ。
 私は今のところは虫類などに目覚める兆候はない。猫と熱帯魚だけでも持て余し気味だから、これ以上はどんな生き物も飼えそうにない。どうしてもというなら、エボシカメレオンにする。一緒にいればだんだん愛着が湧いてきそうな気がしないでもない。
 珍獣や珍鳥だけでなくは虫類などにも強みを見せるノアの懐は深い。客のマニア度が上がれば上がるほど楽しめる場所だ。毎日の暮らしで身も心も疲れたは虫類好きの人にとっては、心のオアシスとなる。もしかしたら、カメレオンの前で張り付いていた少年も、年会員になって毎日のように訪れている近所の子だったのかもしれない。

春を探しにふらりと行った牧野ヶ池でにわか探鳥会に参加することとなる

野鳥(Wild bird)
牧野ヶ池の鳥-1

Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS / EF-S 17-85mm



 今日の名古屋の最高気温は15度。空気が明らかに冬のものとは違うのを感じた。明日以降、また寒さが戻るようだけど、春が近づいてきたきたことは間違いない。来週末はもう3月だ。
 3月になれば季節の花が次々に咲き始めて一気に気ぜわしくなる。そうなる前に、もう一度冬鳥たちを撮っておこうと牧野ヶ池へ向かった。鳥に限らず、もしかしたら花も咲いてるかもしれないし、猫もいるかもしれないと期待しつつ。

牧野ヶ池の鳥-2

 駐車場に車をとめて池の方に向かって歩いていくと、前方にデジスコの人がいるのを発見した。むむむっ。話しかけようか、さりげなく通り過ぎようか迷う。今日の装備は、鳥を想定しながら猫や花にも対応できるような中途半端なものだった。一応、鳥用として300mmの手ぶれ補正付き望遠ズームは持っていたものの、鳥撮りには力不足だから、ちょっと恥ずかしいというのがあった。せめてTakumarの300mmミニバズーカを持っていっていけばよかったと悔やむ。
 そんなことを考えつつ通り過ぎる方を選んだのは、まだこの時点では広角レンズをつけていたということもあった。
 しかし、通り過ぎた先で一般人の鳥好きのおじさんに声をかけられることになる。ここ、カワセミいるよ、と。あー、そうなんですか、それは撮らないといけないですね、などと話していたら、しばらくしてデジスコの人が合流してきた。更に双眼鏡を持ったおばさままで加わって、にわかに探鳥会の様相を呈してきたではないか。ええー、そんなつもりはなかったんだけど。
 デジスコの人は、ここで野鳥ボランティアガイドをしている方で、もう一人は知り合いの人のようだった。せっかくのいい機会なので、一緒に探鳥と撮影をさせてもらうことにする。さすがに毎日通っているだけあって詳しい。情報もたくさんもらってありがたかった。
 スコープの一つは、Nikonの80mmに50倍レンズという強烈なやつで、のぞかせてもらったけど、やっぱりすごいものだ。とても自分じゃ買えない。

牧野ヶ池の鳥-3

 ボランティアガイドさんによると、カワセミは今3羽いるそうで、鳥見をしている間に2羽は来た。オスとメスがいて、上の写真はオスの方だ。メスはクチバシの下が赤いから区別がつく。オスの方が体の色がきれいという特徴もある。
 夕方で光が弱かったからもうひとつきれいに撮りきれなかった。エサ獲りシーンを見ることはできなかったのも残念だった。水面を見て狙っている感じはあったのだけど、捕獲にまでは至らなかった。
 けっこう人慣れしているようで、わりと近くまで来る。ここまで来てくれれば一眼でもなんとか届く。ポイントは決まっているから、30分か1時間粘れば確実に見られるとのことだ。

牧野ヶ池の鳥-4

 これも定番、ジョウビタキのオス。
 やっぱり遠い。300mmレンズの480mm換算では届かないのがもどかしい。フォーサーズの600mm換算でも厳しそう。ここはデジスコ向きのスポットだ。
 そういえばジョウビタキのオスも久しぶりに撮れた。メスはこの前賢島で撮ったけど。

牧野ヶ池の鳥-5

 あ、ウグイスだ。今までさんざん声だけは聞いていて、撮れたのはこれが初めてだった。枝かぶりで写真としては駄目だけど、初物はなんにしても嬉しい。
 ウグイスは鳴き声の美しさに反して姿はいたって地味で目立たない。木の上できえりにさえずるというより、こういう草むらの中で虫などを探していることが多い。
 ウグイス嬢も、実物を見ない方が夢があるのと同じだ。

牧野ヶ池の鳥-6

 ダイサギ、コサギ、アオサギと一緒のところにいて、スリーショットを狙ったけど、一画面に収まるほど近づくことはなかった。大と小のツーショットだけなんとか捉えた。
 こうして並べてみると、体の大きさやクチバシが全然違うのが分かる。本人たちは相手のことをどう思ってるんだろう。同じ仲間という認識はあるのだろうか。でも交配するわけじゃないから、やっぱり別物と思っているのだろう。カモなんかはわりと節操がないところがあるのだけど。

牧野ヶ池の鳥-7

 こういう飛びものや動きがあるものは、デジスコよりもデジイチの方が圧倒的に有利だ。これだけ近いと、よけいにデジスコは取り回しが難しくなる。
 けど、さすがにデジスコ使いの人は慣れている。カワセミでもカモでも小鳥でも、素早くスコープに入れる。いったんフレームアウトしても数秒で入れ直す。50倍でそれをやるから、うーん、やるなとうなった。

牧野ヶ池の鳥-8

 あれ、カラスかな。いや、タカじゃないのって話になって、結局正体は分からなかったのだけど、タカっぽいという結論になった。ミサゴあたりじゃないかという。オオタカではなさそうだとも。
 かなり遠くて夕暮れ時のシルエットなので、写真を拡大しても全然分からない。ただ、牧野ヶ池はけっこうタカ類も出るようなので、注意して見上げていれば見られる可能性は高そうだ。

牧野ヶ池の鳥-9

 水上走り飛び。ときどきカモがこういう飛び方をする。どういう意味があるのだろう。ただ、バシャバシャ飛びたいだけか。
 これは何ガモかよく見えなかった。今日いたのは、オナガ、カルガモ、マガモあたりだった。コガモが1羽いて、ここでは珍しいんだそうだ。キンクロハジロはいたかどうか。今日は見えなかったけど、他ではあまり見ないヨシガモもいるとか。

牧野ヶ池の鳥-10

 エサやりの人が登場して、池はにわかに騒々しくなった。カモたちが一斉に集まり群がる。
 ここは鳥のエサやりの人がけっこういる。前にも何度か見かけたことがある。人間の食べるパンは高カロリーだから、あまり体にはよくなさそうだけど、そろそろ渡りの季節だから、よく食べて体力をつけておかないといけない。3月になればこの池もだんだんカモの数が減って寂しくなっていく。

牧野ヶ池の鳥-11

 これもお馴染みのオオバン。クチバシが赤と黄色のバンもいた。オオバンはクチバシと額が白いからすぐに区別がつく。オスとメスの区別はつかないけど。
 もぐり系としては、カイツブリもいた。カンムリカイツブリもいるらしい。
 なかなか見られないクイナもいるというので驚く。今日も午前中出てきたそうだ。このときは残念ながら見ることができなかった。ポイントを教えてもらったから、次の機会に狙ってみたい。

牧野ヶ池の鳥-12

 ミコアイサのメスがたくさんいた。5、6羽いただろうか。何故かオスの姿はなし。パンダたちはどこへ行っていたのだろう。離れたところにいたのか、どこか他に飛んでいっていたのか。普段はオスも5羽ほどいるそうだ。
 前から牧野ヶ池にはミコアイサがいると聞いていたけど、実際に見たのは初めてだ。ただ、やっぱり見るならオスを見たい。メスはパンダじゃないから。
 大きさの比較としては、近くにいるマガモと比べるとずいぶん小柄だというのが分かる。

 渡りのカモたちは、秋と春先にありがたみが増す。冬になるとそこにいるのが当たり前のようになってしまう。飛んできたばかりは歓迎ムードだし、去りゆく前は名残惜しさから大事に思う。季節でも、人と人との関係でも、そういうところは似ている。
 この冬シーズンはけっこう鳥を見たし撮った。花鳥園で鳥まみれになったというのは別にしても、あちこち行ったし、初顔も撮った。欲を言えば、なんとか春になる前にルリビタキをきっちり撮りたいというのがある。あと、木にとまっている猛禽も撮りたい。
 そうこうしていると、カモに代わってツバメなどの夏鳥などがやって来る。冬だけが鳥シーズンというわけじゃないから、これからも楽しみは続く。春の渡りは見に行けないだろうな。
 結局、猫も花もないまま、にわか探鳥会で日没を迎えることとなった。でも、収穫は多かったから上出来だ。ガイドさんたち、お世話になりました。また遊びに行きます。

見ず知らずの珍獣たちに地球生物の多様さを再認識した ---ノア<第5回>

動物園(Zoo)
ノアの珍獣-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 今日はノアシリーズ第5回<珍獣編>となる。このシリーズはちょっと飛びとびになっているけど、写真はまだあるから、ジャンル別にして順次出していきたい。
 珍獣こそノアの本領発揮ということで、見たことも聞いたこともないやつが次々に繰り出されてくる。名前を初めて聞くというものも多く、何の仲間かさえ分からないやつもいる。動物園で遠くから檻越しに見る動物を間近で見るとまた違った印象を受けるものだ。

 今日最初に紹介するのはナマケモノだ。
 ナマケモノは、ミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科に分類されていて、全部で5種いる。ノアにいたのは動物園などにもよくいるフタユビナマケモノという種類のやつだった。南米のジャングルで暮らしている。
 ほとんど動かないけど、たまにブラブラ揺れたりはするから生きていることは分かる。本人に怠けてる自覚があるのかどうか、ぶらさがりっぱなしだから疲れそうな気もするけど、これが彼らにとっては一番楽な姿勢なのだろう。指の爪がすごい。
 怠けてるかどうかは別にして、ナマケモノは一日24時間のうち15時間ほどを寝て過ごす。でも逆に言うと、9時間は起きていることになるから、怠けっぱなしというわけでもない。起きているのは主に夜で、夜間は多少活発になり、木の上を移動しながら木の葉や果物などを少量食べる。
 食べたものはゆっくり消化して、フンなどは一週間に一度、木から下りて地面でする。それ以外は一生を通じてほぼ樹上で過ごす。
 極力カロリーを消費しないように無駄な動きはしない。いわば半分冬眠しているようなものだ。あまりにも動かないから、雨期には体に藻が生える。
 面白い特質として、ナマケモノはほ乳類には珍しく体温が変化する動物だということだ。暑いジャングルも夜には気温が下がるから、ナマケモノの体温も24度くらいまで下がる。日中は33度くらいまで上がる。
 ほとんど何もしてないようでいてしてることはしていて、年に一度子供を産む。出産も木にぶら下がったまましてしまう。やるときはやるのがナマケモノなのだ。こう見えても泳ぎが得意だったりもする。
 天敵はワシで、見つかると動きの遅い彼らはひとたまりもない。

ノアの珍獣-2

 こんな大型のサルまでいる。メキシコ、ボリビア、ブラジルなどの中米から南米にかけてのジャングルにいるジェフロイクモザルだ。
 体長は大きなもので60センチほど、体重は9キロになる。
 こんな大きなものはさすがに売り物じゃないだろうと思いきや、確か値段がついていたと思う。写真に写った値札をしっかり読み取れなかったのだけど、桁を数えたら7桁のように見える。誰がこんなもの飼えるんだ。室内飼いするには存在感がありすぎる。
 長い手足と、それと同じくらい長くて器用に使いこなすことができる尾っぽを持つ。ほとんど5本足といっていいくらいで、しっぽで枝を掴んだりして高いところでも平気で移動する。力も強く、子供はしっぽだけで母親にぶら下がったりもする。
 故郷のジャングルではオスが複数入った20~30頭ほどの群れで暮らしていて、主に果物や植物などを食べている。
 買い手が見つからないまま、ここで一頭で過ごしているのはちょっと気の毒に思える。

ノアの珍獣-3

 これは前回も登場したコモンリズザルだろうか。
 リスザルは、コモンリズザルの他に、ボリビアリスザルやセアカリスザルがいる。
 かわいいからペットとして飼いたくなる気持ちも分かる。サルの中では飼いやすい種だといわれているけど、サルはサルだから犬猫のようにはいかない。
 よく見ると、口の周りが泥棒メイクだ。

ノアの珍獣-4

 これはまた違う種類のサルだ。何ザルかよく分からなかったけど、シロガオオマキザルあたりだろうか。違うかもしれない。
 サルの表情にはときどき憂いがあって、それが切なさを呼ぶ。故郷で暮らすのが一番なんだろうけど、向こうは向こうでだんだん住みづらい環境になっている。

ノアの珍獣-5

 たぶん、コモンマーモセットだと思う。
 ブラジルのジャングルにいる小型のサルだ。体長は20センチほどで、体重は300グラムくらいしかない。
 白い耳当て(房毛)が特徴で、尾は長くてシマシマ模様になっている。
 これも主な生活の場は樹上で、すばしこく動き回り、果物や昆虫などを食べている。ときには小動物も襲って食べる雑食性だ。
 乳やりはメスがやって、子育てやおんぶはオスがする。家事を分担する偉いサルなのだ。

ノアの珍獣-8

 確信はないけどショウガラゴだという前提で話を進めたい。
 ブッシュベビーの通称で知られるショウガラゴもまた、ガラゴ科に属する夜行性のサルだ。見た目サルっぽくないけど、原始的なサルの仲間だそうだ。
 セネガルからケニア、タンザニアあたりの西中央アフリカの森林などに生息していて、非常に俊敏な動きを見せるという。体重は300グラム以下と身軽で、後ろの二本足で立ち上がったり、木から木へ飛び移ったり、自分の体の10倍も飛び上がることができるという。
 食べ物は、昆虫や樹液、小動物などというから、見た目に似合わず凶暴なところがある。
 大きな耳とつぶらな瞳から、ヨーロッパではペットとしてよく飼われているそうだ。
 ブッシュベビー、森の赤ちゃんのあだ名は、鳴き声が人間の赤ん坊の声に似ているところからきている。

ノアの珍獣-7

 ハイラックスという名前のプレートを見て、サーフかよと突っ込んでいく人が後を絶たないハイラックス。車の名前はこいつから取っているんだろうか。たぶん違うと思うけど。
 ハイラックスなんて名前の生き物がいるなんて初めて知ったけど、イワダヌキ科イワダヌキ目で、他にお仲間はいないとのことだ。
 タヌキの仲間というのでもなく、ネズミやウサギとも違う。かつてはテンジクネズミの仲間と思われていて、研究が進んでそれも違うということで独立種になったという経緯があるようだ。
 足に蹄に似た扁爪があることから、ゾウ目やジュゴン目などの原始的な有蹄類と類縁関係があるとされる。
 中東やアフリカのサバンナなどに点在する岩場を隠れ家にして、30頭ほどの群れで暮らす。草食性で、朝夕はひなたぼっこをして体温を上げてから昼間活動するというトカゲのような生活を送っている。

ノアの珍獣-8

 エジプトマングースはお眠中。
 マングースというと、ハブとマングースの決闘を思い出す。今でもそんなものを呼び物にしているところがあるのだろうか。香嵐渓ヘビセンターが閉鎖して久しい。
 マングースはネコ目に属していて、ネコイタチと呼ばれることもある。マングース科には18属39種類がいて、アジア、アフリカ、ヨーロッパなどで広く生息している。
 日本ではハブ退治のために沖縄などに放たれたやつが野生化してしっかり定着してしまった。実際にはハブよりも違う動物を襲って食べてしまうことで問題になっている。夜行性だからハブと戦う必要がなく、もっと弱い動物を狙う方が楽だからだ。ちゃんと生態調べてから放そうよと今更言っても遅い。
 彼らは知能が高く、組織化されたギャング団のように巧妙な狩りをすることでも知られている。狩り役、見張り役、巣を守る役、若いやつに教育する役など、役割分担が決まっていて、石などの道具さえ使うという。

ノアの珍獣-9

 アラゲアルマジロ。漢字で書くとたぶん、荒毛なんだろうと思う。いや、粗毛か。よく見ると太くて黒い毛がまばらに生えている。ちょっとグロテスクだ。巨大なフナムシを思わせる。いずれにしてもアルマジロはあまりかわいい生き物ではない。アルマジロ好きには申し訳ないけど。
 こいつは南米のアルゼンチン、パラグアイ、ボリビアなどにいるやつで、開けた土地や民家に近いところにもいるそうだ。農地などに穴を掘って悪さをしたところを人間に捕まって、現地の人はこれを食ってしまうらしい。恐ろしい話だ。どう見て食べられそうにないのに。
 けっこう大きめで、体長40センチ、体重2キロくらいになる。
 こいつら自身は、昆虫とか他の動物の死骸の下にいる虫とかを食べる。
 これ以上アルマジロについては追求しない方がよさそうだ。

ノアの珍獣-10

 ハリネズミはハリネズミなんだろうけど、向こうを向いて寝ていて何ハリネズミかまでは分からなかった。ピグミーハリネズミあたりだろうか。
 ハリネズミは、オーストラリアとニューギニアをのぞく世界中に分布しているというのだけど、日本では馴染みが薄い。ペットとして飼っているという話もほとんど聞かない。欧米ではかなりポピュラーなペットだそうだ。
 全部で14種類くらいがいる。
 ハリネズミという名前でありながら、実はモグラの仲間だ。
 ハリは身を守るためで、5,000本くらい生えている。
 でもこれは敵から身を守るためであって、攻撃のための道具ではない。ペットとして優しく接しているとハリを立てることなくコミュニケーションが取れるという。
 長生きするものは10年も生きるというから、短命のハムスターなんかよりもペットとしては向いているかもしれなう。

ノアの珍獣-11

 キミは誰ですか?
 どんな動物か、全然分からない。犬でもなく、タヌキでもなく、キツネでもない。サルとも違うし、何の仲間なのかさえ見当がつかない。
 せっかく写真を撮ったから、ここに載せておこう。いつか判明するかもしれない。そのときは追記として説明をつけることにしよう。

ノアの珍獣-12

 たぶん、コモンツパイじゃないかなと。
 別名リスモドキとか、キネズミなどと呼ばれ、ネズミやリスの仲間のようでありながら実際はまったく別種で、ツパイ類として独立した生き物だ。昔はモグラの仲間とされていた。今ではサルの祖先に近いとされている。
 マレーシアやインドネシアなどのジャングルで家族単位で暮らしている。半分は樹上、半分は地上で、昆虫やミミズ、果物、木の芽などを食べている。
 水が好きで、水浴びしたり、水をよく飲んだりもする。
 大きさは20センチ、150グラムほど。
 夫婦の絆が強く、一緒に子育てをする。現地では森林伐採ですみかを追われているというから心配だ。

 というように、ノアには珍獣が満載なのであった。今日紹介したあたりは触れるようなものではないのだけど、間近で見ることができるのは新鮮な体験だ。まだまだ知らない生き物が地球上にはたくさんいることも思い知る。
 他ではなかなか見られないものもいるから、珍獣ファンは遠くても行く価値ありです。

よそ者が短時間垣間見た渋谷は尾崎豊ではなくコブクロが似合う街だった

東京(Tokyo)
渋谷の夜-1

PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 何度も東京へ行っているのになんとなく行きそびれている場所がいくつかある。渋谷もその中の一つだ。訪れるのが遅すぎた感もある。尾崎豊が「Scrambling Rock'n'Roll」を歌ってからすでに23年近い歳月が流れていた。
 Scrambl交差点では心を閉ざし解りあうことがない、と10代で歌った尾崎豊は、生きて40代になっていたら今頃どんな歌を歌っていただろう。彼がこの世を去ってから、もう15年以上になる。
 2008年の渋谷に、もはやあの頃の熱や感傷はない。きらびやかで乾いているのは同じだとしても、乾きの質が違ってきているように思う。一番変わったのは、私たちは幼いまま若さを失い、昔みたいに無邪気でいられなくなったところかもしれない。渋谷という街が持つエネルギーもまた、変容し続けているのだろう。
 尾崎豊がうろつき駆け回っていた渋谷は、今はもうない。

渋谷の夜-2

 109、パルコ、センター街、道玄坂。表参道に代官山、恵比寿、原宿。代々木公園、明治神宮、甲州街道。ファッションと商業の街、ビジネス街やオフィス街、住宅街などが複雑に入り組んだ多彩な顔を持つ渋谷という街は、空襲の後の戦後復興で大きく様変わりした。
 終戦からほんの10年、昭和30年代には早くも高層ビルが続々と建設され始め、商業地区とオフィス街が両輪のように発達していった。中でも東急の進出が果たした役割は大きかった。昭和29年に東急会館ができ、昭和31年に東急文化会館が建てられると、渋谷は東急の街として発展していくことになる。
 昭和39年の東京オリンピックを機に、道路や鉄道網が整備され、街並みは大きく変貌を遂げる。渋谷は新宿、池袋と共に早くから副都心化が進められた街だった。
 昭和40年代は、東急対西武という図式になっていく。昭和43年に西武百貨店ができると、昭和48年にはパルコ、ロフトと続き、それに対して東急は109、東急ハンズで対抗した。
 渋谷駅、原宿を中心に若者の街としての色合いを強めていったのは、昭和50年代のことだ。原宿の歩行者天国では竹の子族が踊り、渋カジと呼ばれるファッションも記憶に新しい。尾崎豊が青山学院に通いながら青春時代を過ごしていたのもこの頃だ。
 平成になってからの渋谷はどうなのだろう。Bunkamuraができたのが平成元年。それ以降も休みなく変わり続けているのだろうけど、何がどう変わったのかは見えてこない。平成ももう20年になるというのに、この時代は形容が難しい。時代の色や肌触りのようなものは、ずっとあとにならないと分からないものかもしれない。
 歴史をずっとさかのぼれば、この土地は海に浮かぶ島だった。それでも早くから縄文人が住んでいたことが分かっている。先史時代の遺跡が30ヶ所以上見つかっていて一部は保存されているし、初期の古墳跡からはたくさんの遺物や人骨などが発見されている。
 奈良、平安時代はうち捨てられた土地となってほとんど人が住んでいなかったようだ。平安末期になって武家が台頭してくると、源氏の一派が移り住むようになる。
 鎌倉から室町、戦国時代にかけては地方豪族の支配下にあったとされ、鎌倉街道も通るようになっていた。
 江戸時代になるとこのあたりは幕府の直轄地となり、人口も増え、少しずつ賑やかになっていく。武家屋敷が点在し、原宿あたりは早くから開けていたようだ。
 明治時代は、住宅街として発展する。明治17年に山手線が開通し、東京市電、玉川電鉄と連絡したことで住むのに便利な街となった。昭和に入っても、東横線、帝都電鉄、地下鉄の東京高速鉄道が開通し、ますます交通の便がよくなっていく。

渋谷の夜-4

 話は現代に戻る。
 人が賑わう駅前に、緑色の電車が置かれている。かなり唐突な印象を受けるけど、これは何なんだ。待ち合わせの新たなスポットか。
 帰ってきてから調べてみると、昭和29年に製造された通称アオガエルと呼ばれた電車で、ここにモニュメント兼待ち合わせ場所として置かれることになったんだそうだ。2006年というから最近のことだ。
 ただ置かれているだけではなく、中に入ることもできるようで、寒い日などは待ち合わせの人がこの中にたくさん入って満員電車のようになっているとか。なるほど、そういう使い道もあったか。内装はほぼ当時のままというから、電車好きにはたまらない。頼んでもいないのに一人でアナウンスや出発の合図などをしている人もいそうだ。
 この写真は、渋谷の動と静が表現された写真になったと思う。目的地に向かう人と、誰かを待つ人と、そのコントラストが渋谷らしさの特質の一つだ。

渋谷の夜-5

 何気なく撮ったスナップは、いかにも東京というワンシーンになった。地方のどの街でも同じ光景はある。でも、東京は独特の孤独感が支配している。あんなにも無数の人が行き交っているのに、友達同士、恋人同士が楽しそうにしていても、どこか孤独の影が見え隠れする。それは必ずしも悪いことではないけれど。

渋谷の夜-6

 私が抱く渋谷のイメージは、この写真のようだ。夜なのに明るすぎてノイジーで、混沌としたエネルギーが小さく弾けて不協和音が街全体を包み込んでいる。その中に自分が入ってしまえば大音響の音楽の中のように感覚が麻痺してしまい、客観的な場所に身を置くとざわめきが落ち着かない。
 闇には孤独と夢を織りまぜ おびえた心のアクセルふかしても 街からは逃げられやしねえよ、と尾崎豊は歌った。
 ここに集まってくる誰もがみんな自分自身で、他人に対して無関心であることで心地よさを感じているようだ。東京生まれも地方出身者も、みんなここでは主役であり訪問者でもある。渋谷は若者の街だなどという単純な縛りではこの街は捉えきれない。もっと多様で、微妙なバランスを保っている。
 この街は、他のどの街にも似ていない。

 ハチ公が主人の上野英三郎教授の帰りを待っていた頃の渋谷はどんな風景だったのだろう。1925年といえばまだ戦前だ。戦後とはまったく違う、のどかな駅前だっただろう。
 主人の急逝後、ハチはいろいろな家をたらい回しにされている。預けられた先で悪さをしたり畑を荒らしたり、ハチがもとで住人同士のいさかいが起こったりしたからだ。
 ハチが渋谷駅でたびたび見られるようになったのは、預けられた先が駅の近くで、かつてここまで主人を出迎えていたからだった。最初はどこの野良犬だということでいじめられたりもしたそうだ。それをあわれに思った斉藤弘吉という人がハチのことを新聞に投書して、それで世間一般に知られるようになり、それ以来みんなに大事にされるようになったという。
 1935年、普段は行かない渋谷川の稲荷橋付近の路地で死んでいるのが発見された。死因はフィラリアで、13歳だった。葬儀は盛大に行われたそうだ。
 銅像が造られたのは1934年で、そのときはまだハチは生きていた。ハチも銅像の除幕式に参列している。
 第二次大戦でハチの銅像は戦争のため持っていかれて、現在のものは戦後の1948年に作られた二代目だ。1989年の渋谷駅拡張工事で場所も向いてる方角も変わった。駅前広場の中央に位置しているイメージがあったのに、こんな端っこの方に追いやられているのを見てちょっと意外な気がしたのはそういうことだったのか。

 私の中にある渋谷は、尾崎豊とわかちがたく結びついている。たとえば、「街の風景」などは渋谷の街を強く思わせる。
 けど、あれから時は流れ、この街に合う音楽も変わった。21世紀、平成20年の今、私が思う渋谷のテーマソングは、コブクロの「蕾」だ。あの時代の激しさは失われて、少し優しい曲が似合うようになったと感じた。
 今日の記事は、コブクロの「蕾」をBGMに流したかった。もしよければ、曲を流しながら写真を見てみてください。

20万40万80万、インコって高いんだと思い知るの巻 ---ノア<第4回>

動物園(Zoo)
ノアの鳥たち-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 今日はインナーシティズー・ノアのシリーズ4回目、鳥編をお送りします。
 珍獣にばかり目がいきがちの中、鳥の充実ぶりも見逃せない。お値段もまた充実度満点だ。数万円程度で買えるものはほとんどなく、コキサカオウムの税込み84万円にはのけぞった。20万、40万は当たり前の世界がここにある。鳥のラインナップもまた、珍獣ならぬ珍鳥揃いなのであった。

 まずは雄叫びを上げるミミズクから。これは確か、掛川花鳥園でフクロウショーに出ていたのと同じベンガルワシミミズクだったと思う。
 クチバシは小さいからおちょぼ口のように思わせて、実は口を開けるとその本性が表れる。大きなこの口でネズミや小鳥などを丸呑みにしてしまう。物静かで凶暴という、一番タチが悪いパターンだ。夜の森で小動物たちにとってフクロウほど恐いものはいない。音もなく飛んで近づいて恐怖を感じる間もなく狩られてしまう。
 ペットショップでは視界に入る範囲にたくさんの獲物がいるけど、ミミズクはどう思ってるんだろう。夜になるとあいつら襲って食いてえとか思ってるんだろうか。それとも、人にメシをもらえればそういう衝動は徐々に薄らいでいくものなのか。

ノアの鳥たち-2

 派手な大型インコの代表といえるハルクインコンゴウインコがここにもいた。
 赤、青、黄色、緑、白、黒と、これだけいろんな色を使ってデザインとして破綻してないところが自然のすごさだ。
 いや、これは厳密には自然のインコとはいえるかどうか。もともとはベニコンゴウインコとルリコンゴウインコの交配種だから、純粋種とはいえないのかもしれない。といっても人の手で品種改良をされたとかではなく、アマゾン川の流域に暮らす野生種ではある。
 体長は90センチにもなり、よく人に慣れて言葉も覚える。
 これくらいの大型インコになると寿命も長く、だいたい50年は生きる。飼育下で100年生きた例もあるそうだ。

ノアの鳥たち-3

 今回は名前のメモ撮りをだいたいしたつもりだったけど、これは忘れていたようだ。中にはプレートがついてないやつもあったから、これもそうだったかもしれない。
 ノアのサイトにも鳥の紹介コーナーはあるものの、売り物だからどんどんメンバーが入れ替わっていって、そこまでのフォローができていない。ソールドアウトになったものも多い。こういう高いインコの愛好家もけっこういるもんなんだ。逃げられたりしたら泣いてしまうだろう。

ノアの鳥たち-4

 名前がかわいいキバタン。ノリコという名前の子がのんたんと呼ばれてしまうみたいだ。ギバちゃんの顔を思い出すと一気にかわいくなくなるけど。
 オーストラリアやタスマニアにいるオウムで、体長は50センチくらいになる。
 こいつもやっぱり長生きで、平均で50年、長いと100年生きるという。大きなノッポの古時計でも100年経ったら動かないのに、オウムはまだ動いてるとは。飼うと決めたら相当な覚悟で飼わないといけない。下手したら親子三代で世話しなければならないということになる。100年も生きれば、そりゃあ人の言葉も覚えようってなもんだ。
 オスメスの見分け方は瞳の色で、オスは黒色でメスは赤褐色なんだそうだ。ということは、写真のものはオスということになるだろうか。色の違いは微妙らしいけど。
 キバタンというのは、頭の黄色い冠毛からきていて、いわゆるバタンの一種だ。他にもオオバタン、コバタンなどがいる。そういえば、中学のときのクラスメイトの小林君はコバタンと呼ばれていたっけ。キバタンの中にもオーストラリアキバタン、ホクゴウキバタン、アオメキバタン、アールーキバタン、オオアオメキバタンなどの亜種がいるそうだから、見分けるのは困難だ。
 日本には江戸時代に入ってきていたようで、こいつを飼っていたお殿様とかもいたのかもしれない。

ノアの鳥たち-5

 バタンの仲間であるコバタンの亜種にあたるコキサカオウム。84万円。上のキバタンとほとんど一緒じゃないかと思うんだけど、レア度の違いが値段の違いとなっているらしい。
 オレンジ色の冠羽が名前の由来で、頬もオレンジ色にほんのり染まるのが特徴だ。
 原産は小スンダ諸島。って、どこだろう。世界地図を見たけど見つからない。それもそのはず、小スンダ諸島ってのはインドネシアのヌサ・トウンガラあたりのことで、バリ島もその中に入っているとかなんとか。今ひとつよく分かってない。スマトラとジャワのことを大スンダと呼ぶらしい。
 この地域の地理については、私の頭の中ではほとんど白地図に近い。ユーラシア大陸からアフリカ、北米アメリカくらいはだいたい分かってるつもりだけど、東南アジア方面はまったくもって弱い。近いうちに一度勉強しなくてはいけない。このブログのネタになるようなものが東南アジア関連で何かあるといいのだけど。

ノアの鳥たち-6

 オオハナインコは、花鳥園にもいて、このブログでも前に登場している。大きなクチバシを大きな鼻に見立てて名づけられた。ただし、和名では大花の字が当てられている。大鼻ではちょっと気の毒に思ったのだろうか。
 写真はメスで、オスは同じ鳥とは思えないほどカラーリングが違うというのも前に書いたと思う。オスは緑色の体をしている。
 ニューギニア出身で、こいつらも軽く40-50年生きるそうだ。数十万円といっても寿命で割れば安いものなのかもしれない。コキサカオウムの84万だって、50年ローンと思えば高くない。
 ちなみに、インコとオウムの違いは、一般的に冠羽のあるなしということになっている。冠羽があればオウムで、なければインコというように。一部例外はあるものの、体の大きさで区別されているわけではない。なんとなく大きいものがオウムで小さいものがインコだと思い込んでいるところがあるけど、それは間違いだ。
 ワシとタカの違いはもっと曖昧で、体の大きめのやつをワシ、小さめのものをタカと呼んでいる。両者は基本的に同じ種類で根本的な違いはない。

ノアの鳥たち-7

 ちょっと普通っぽいインコを見て、ホッとするような物足りないような。大型インコと比べると見劣りしてしまうけど、現実的に買える小鳥となるとこのあたりになるだろう。
 これも名前は分からなかった。値段はそれなりにしそうだ。子供の頃、バザーで買ったセキセイインコのつがいは500円くらいだっただろうか。

ノアの鳥たち-8

 動物園などでもお馴染みのワライカワセミ。これは一般の知名度も高い。ケケケケケケとけたたましい声の鳴き声が人の笑い声のようだ。
 オーストラリアを代表する鳥のひとつと言っていいだろう。住宅街にも現れて、朝っぱらに大声で鳴くそうだ。日本でいうところのニワトリのようなものか。ノアの中でも大声で笑っていた。実際は威嚇や縄張りを誇示するために鳴くといわれている。何か面白いことがあって笑っているわけではない。
 日本のカワセミも水中の魚をとらえるハンター能力が高いけど、ワライカワセミは地上の獲物を狙う。昆虫やネズミ、ときにはヘビさえ食べるという。

ノアの鳥たち-9

 ワライカワセミが笑い声なら、こちらは笑い顔で勝負のメンフクロウ。別に笑ってるという自覚はないと思うけど。
 この顔を見ると優しい気持ちになる。起きたときのパッチリ目もかわいいけど、やっぱりこいつは寝顔がキュートだ。

ノアの鳥たち-10

 このヒナフクロウは初めて見るフクロウだ。花鳥園にもいなかった。アフリカヒナフクロウというのはいたけど、顔が違うから別のヒナフクロウなのだろう。世界には、アフリカヒナフクロウの他にもナンベイヒナフクロウ、シロクロヒナフクロウ、クロオビヒナフクロウ、アカオビヒナフクロウと5種類のヒナフクロウがいるそうだ。こいつはその中のどれかだろう。プレートにはヒナフクロウとしか書いてなかった。
 大人になってもヒナみたいな顔をしてるからヒナフクロウ。見た目は子供でも頭脳は大人の猛禽なのだ。

ノアの鳥たち-11

 こいつは名前がなくて分からなかった。日本のキジとかヤマドリとかに似てるから、その仲間だろうか。外国のキジかもしれない。
 頭の後ろの模様がすごい。

ノアの鳥たち-12

 最後はハリーポッターでお馴染みになったシロフクロウだ。あれ以来飼う人が増えたというのもありがちな話として納得できる。
 北極圏のツンドラ地帯で暮らすフクロウだから、日本での飼育には向かない。夏場は暑さでハァハァしてしまうから、エアコンで冷え切った部屋に入れてあげないと持たない。
 寒さに耐え忍ぶために、全身がフカフカの毛に覆われている。足の指まで毛むくじゃらなのはこのフクロウくらいだ。全身の毛を刈ってしまったら、こいつはひどく貧相な体になるに違いない。
 夜行性ではなく、昼間も活発に活動するフクロウとしても知られている。北極圏の夏は夜がない白夜だからそうなったといわれている。
 自殺するネズミとして有名なレミングを主食としていて、レミングが大量発生するときシロフクロウも増える。レミングが少ないとエサを求めて南下してくる。ごくまれに北海道にまで下りてくることもあるそうだ。
 フクロウが笑ったような顔になったときは気をつけた方がいい。あれは笑顔を振りまいてるわけではなく威嚇しているときだからだ。その顔は、竹中直人の往年のギャグ「笑いながら怒る人」を思い出させる。

 他にもいろいろな鳥がいて、特にスミインコやキバネインコなどは指を出すとじゃれてくれてかわいかったので紹介したかったのだけど、写真は上手く撮れてなかった。大型インコは指を差し出すと噛まれそうで恐い。小さいやつはカジカジしてくれてこそばゆ気持ちいい。エサはがやれないのは少し残念だけど、金網越しながら触れ合い体験ができる。どれも高くて気軽に買えるようなものではないから、店の中で遊んでもらうのがよさそうだ。
 鳥好きの人も楽しめるので、その点でもノアをオススメします。

白いヤツは人知れずローカルな池で量産型になっていた

野鳥(Wild bird)
ミコアイサ-1

OLYMPUS E-510+Super Takumar 300mm f4



 ひょっとしたら今年は来ているかもしれない。おととし初めての遭遇に興奮し、去年はついに再会を果たせなかった白いヤツ。今年も一度は空振りに終わった。でも今度こそ。
 淡い期待を抱いて向かった近所の雨池。あ、あれはもしかして!? 白いゴミが浮いてるだけ? いやいや、間違いない、白いヤツだ。静かに近づいて確認してみると、紛れもなくミコアイサのオスがそこに浮いていた。おー、やったね。ホントにいたんだ。よかった。
 ここ数年の雨池は、夏場に浮き草が大量発生して水面が見えないくらいになっていたから、生態系が崩れてしまったのではないかと心配していた。光が入らずに水中の生物にも悪影響が出てしまったんじゃないかと。秋になって水温が下がると浮き草は枯れてしまったけど、もうミコアイサは戻ってこないのではないかと半ばあきらめていた。それがまた戻ってくれたとは嬉しい限りだ。それにしてもどうしてもミコアイサはこの池を選ぶのだろう。
 ユーラシア大陸北部で繁殖した彼らは、冬になると暖かさを求めて南へ下る。日本には冬にやって来て越冬していく。北海道では一部が繁殖するそうだ。
 その数は他のカモと違ってかなり少ない。少し古い調査資料によると、シーズン中に確認できたのは日本全国で2,500羽ほどだったそうだ。それが何故、こんな無名の小さな池を選ぶのか、その理由がよく分からない。他にもカモがたくさん集まる池はいくらでもあるのに。名古屋では牧野ヶ池が有名で、尾張旭の森林公園にもいるらしい。けど、そうめったに見られるものではなく、一般的な知名度はかなり低い。実物を見たことがある人はほとんどいないんじゃないかと思う。もちろん、鳥の人は別にしてだ。
 雨池での報告例は数年前からちょくちょくあるにはあった。ただ、今回更に驚いたのがその数だ。ざっと見たところ、8羽は確実にいた。もしかしたらもう少しいたかもしれない。こんなに一度に見たのは私も初めてだ。おととしは2羽か3羽くらいだった。
 雨池は他のカモには人気がないところだから、ミコアイサにとっては静かに過ごせていい環境なのだろうか。

ミコアイサ-2

 かなり用心深い鳥で、なかなか接近させてくれない。池のちょうど中央付近にいることが多くて、少しでも距離を詰めるとさりげなくすーっと遠ざかっていく。露骨に飛んだり逃げたりはしない。でも、しっかりこちらを見ていて、距離をしっかり保とうとする。
 フォーサーズの2倍換算600mmレンズでもここまで近づくのがやっとだった。できればデジスコを使いたいところだけど、この池で鳥撮りをしている人は皆無なので、持っていても撮れるかどうか自信が持てない。周回コースをたくさんの人が歩いたり走ったり犬の散歩をしたりしているから、写真を撮ってるだけでかなり恥ずかしい思いをするのに。何撮ってるんだこの人みたいな目で見られまくる。鳥に姿を悟られないようにする前に、通行人から身を隠したいくらいだ。迷彩のテントに潜んで鳥撮りなんてしてたら通報されてしまうだろう。

ミコアイサ-3

 まったくアップ写真が撮れなかったんで、少しトリミングした。
 これくらい大きく見えれば、このカモがパンダガモと呼ばれるゆえんが分かってもらえるだろう。白黒ツートンの姿は、鳥の人の間ではパンダガモの方が通りがいい。
 これはオスで、メスはもっと地味な姿をしている。下の写真がそうだ。ただ、冬の始めに渡ってきたばかりの頃は、オスもメスと同じような姿をしているから見分けが難しい。冬が深まるにつれて白黒の羽に生えかわっていく。

ミコアイサ-4

 ミコアイサの魅力はなんといっても白黒のオスなので、メスのことはついおそろかになりがちだ。オスにばかり目がいって、メスを撮るのを忘れていた。帰ってきてから写真を確認したところ、まともに撮れてるメス写真が一枚もなかった。ありがちなことだ。
 手ぶれ写真の中からなんとか救い出したのが上の一枚だ。ちょっとボケていて分かりづらいけど、一番左がメスになる。
 ミコアイサは通常女性上位でメスの数の方が多いというのだけど、雨池の場合は逆になっていた。オスが7羽くらいでメスが1羽か2羽という比率だった。
 普通のカモとは逆に、ミコアイサはメスが先に渡ってきて、遅れてオスがやってくる。そして、オスが先に帰って行って、あとからメスが渡っていく。メスの方にいろいろな決定権があるのかもしれない。日本では小さな群れで行動する。
 体長は40センチちょっとで、ミコアイサの名前は、白い姿を巫女に見立ててつけられた。アイサの意味はいくつかの説があって、秋が去った頃に飛んでくるところから来ているというのが一般的な解釈だ。
 他のカモと違って、ほとんど鳴かないというのも一つの特徴となっている。まれにククッと小さく鳴くらしい。
 他に仲間はおらず、この一種でカモ目カモ科ミコアイサ属を形成する。
 潜水ガモで、甲殻類や貝、魚などを食べる動物性だ。長く潜水することができて、潜水範囲も広い。いったん潜ると思いがけないほど遠くで顔を出す。

ミコアイサ-5

 今回は曇り空の日没前ということで、光の少ない暗めの写真になってしまった。せめて最後に映り込みの彩りがある写真を載せておこう。
 ミコアイサが渡っていく3月まであとひと月。それまでにもう一度撮りに行きたいと思っている。次はもっと条件のいいときを選ぼう。そのときもいてくれるだろうか。まったくいないときもあるというから、どこか他にも飛んでいっているようだ。運が良くないと会えないのは残念ではあるけど、会えたときの喜びも大きい。
 近くの方は一度見にいってみてください。白いヤツは意外なところに出没するのです。

地図を持たずに飛び出して着地点を見失って胴体着陸サンデー

料理(Cooking)
胴体着陸サンデー

Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II



 こんばんは。設計図を持たない料理人のオオタです。
 今日のサンデー料理は最初からイメージ不足だった。旅行に行こうと思い立ったはいいけど行き先が決まらないままとりあえず家を出てしまったときみたいで、ヨーロッパへ行こうか中国へ行こうかやっぱり引き返そうか、フラフラとよろめいて結局着地点が見いだせないまま公海上に胴体着陸したような料理になってしまった。イテテテ、腹打ちした。
 当初は洋食と中華の融合みたいなことを考えていたのだけど、作っているうちにどんどん予定からずれていって、最終的にはまたもや無国籍料理となった。洋食でもなく、中華でもなく、ましてや和食でもない。一般家庭の料理とも違う。自分でも何を作ったのかよく分からない始末だ。明日、何かの間違いで逮捕されて、取り調べで夕べは何をしていたんだと訊かれて、料理をしてましたと答え、何を作ったんだと畳みかけられると口ごもってしまって悪い心証を与えてしまいそう。えーと、肉団子じゃないんだけど白身魚の揚げ物風というか、デミグラスソース崩れのトマトソースのナスと卵かけみたいな、抹茶入り豆腐の失敗作とかです、なんて言ってもすごく嘘っぽくて説得力がない。貴様、いい加減なことを言うなとか怒鳴られて机を叩かれてキューっとなってしまう。あらぬ疑いをかけられないためにも、せめて名前のある料理を作りたい。
 名前はないけどとりあえずどんな材料でどんな料理を作ったかだけは書いておきたい。その説明書きをもって私のアリバイに代えさせていただきます。

 まずは左手前から。基本は豆腐だ。これを緑色にしてやろうと思いついたのが運の尽き。はっきり言ってこれは失敗だった。もう一度作ることはないだろう。
 緑豆腐にするために抹茶を入れるというアイディアは間違ってなかったのかもしれない。ただ、その分量が多すぎた。やけに渋い味になって、薬膳料理のようだった。もっと抹茶の量を減らして、渋みに負けないくらい強いソースをかければよかったのだろうか。
 木綿豆腐をレンジで水切りして、長ネギ、エビ、小麦粉、パン粉、抹茶、しょう油、酒、みりん、塩、コショウをよく混ぜる。
 それをラップに包んで四角形にして、レンジで裏表3、4分くらいずつ加熱する。そのままラップの中で蒸しておく。
 あとは、それに青のり、カレー粉、一味、塩、黒コショウ、ゆで卵の黄身を振りかけて完成となる。
 苦みと辛みが複雑に絡み合って、得も言われぬ味わいだ。今更だけど、もう少しなんとかならなかったものか。単純にしょう油をかけてしまっては面白くない。スープ仕立てにもできないし、何かこれに合うソースがあるようなないような。やっぱり緑色の豆腐にするというのはアイディア倒れだったのか。

 右手前は一見オムレツに見えるけど、そうでもない。卵の下には焼きナスと焼きトマトが隠れている。メイン食材はその二つだ。
 ナスは輪切りにして水にさらしてアクを抜いて、塩、コショウしてオリーブオイルで焼く。トマトも輪切りにして塩を振って焼きを入れる。あと、白ワインを振ったりしてみる。
 溶き卵に牛乳、とろけるチーズ、塩、コショウを混ぜて、フワフワの半熟状にして、それをナスとトマトの上に乗せる。ここまでは簡単。手間暇かかるのはソースだ。
 刻んだタマネギ、ニンジン、鶏肉、エビをオリーブオイルで炒めて、赤ワインをたっぷり注ぎ込む。アルコールを飛ばしたら、ざく切りしたトマトを加え、バター、小麦粉、ケチャップ、しょう油、塩、コショウ、一味、砂糖、コンソメの素で味付けをする。途中で水を足しつつ、味付けを加えてクツクツと2時間ほど煮込んでいく。
 こうしてピリ辛でまろやかで深みのあるソースが完成する。ややデミグラスソース寄りのトマトソースといった感じだろうか。このソースはコロッケなどにも使えるし、そのまま飲んでも美味しい。

 奥のものは、最初の設計図から一番大きく違ってしまったものだ。最初は白身魚を団子にして、あんかけ肉団子風にしようと思っていたのに、完成型はピカタ揚げのようになってしまった。
 肉ではなく白身魚のタラを使う。皮を取って細かく刻み、タマネギ、卵、パン粉、小麦粉、塩、コショウ、しょう油を混ぜて、ある程度練り込む。ただ、肉ではないので団子状にはならない。なので、スプーンですくって、フライパンで揚げ焼きにする。面倒じゃなければちゃんと揚げた方がいいかもしれない。
 そこにしめじを加えて、とろみをつけたタレを絡めて炒める。タレは、しょう油、酒、みりん、めんつゆ、塩、コショウ、一味、ラー油を混ぜてひと煮立ちさせ、水溶きカタクリ粉でとろみをつけた。

 食べる側としては、まずまず満足度の高いサンデーではあった。食べて美味しければそれが何料理であろうとそんなに大きな問題ではない。豆腐さえ足を引っ張らなければ申し分ない夕飯だった。
 作り手の側からすると、時間がかかったわりにはそれに見合うだけの成功を収めることができなかったのが悔しいところだ。当初のイメージから大きく逸脱してしまったのもマイナスポイントだった。頭の中のぼんやりした完成図としては、中華風味付けで見た目は洋食の洒落た料理になるはずだった。赤いトマトソースの浅瀬の中央にオムレツ風の具材が山になって、そこにふわっと繊細に卵が乗っていて、豆腐はカラフルな絵のようで、団子は丸いボールに黄金色のソースが上品にかかっている図が頭の中にあった。どこでどう間違えるとこんなことになってしまうのか。私の場合、調理に入る前に、料理の完成図の絵を描くところから始めた方がよさそうだ。
 味が美味しいのは前提条件として、見た目も同じくらい大事なのが趣味としての料理だ。味と見た目は両輪で、どちらかが遅れたり先走ったりすれば料理は真っ直ぐに進まない。料理人自身がどっちへ曲がるか分からなければ目的地に着けるはずもない。今の私の料理人としてのレベルは、教習所の第1段階の後半で落ちまくっているおばちゃんドライバーくらいだと思っておいた方がいい。まだ仮免ももらえない。このまま路上に出るのは危険だ。
 それでも独学でなんとかここまで来た。あとは自分の中でしっかりしたイメージを作ることと、それに近づけることが課題となる。料理の上手い下手は、作る前の段階で決まっていると言っても言い過ぎではない。完成図さえ頭の中に描ければ、あとはそれを実現させるだけで、技術はあとからついてくる。
 いつか私も、地図を持たない放浪の料理人から脱して、地に足の着いた料理人になりたいと思う日曜日の夜であった。

冷蔵庫よりも寒い雪の岩屋堂で今年もセリバオウレン撮りの難しさを思う

花/植物(Flower/plant)
2月の岩屋堂-1

Nikon D100+TAMRON SP 90mm f2.8 / SIGMA 17-70mm f2.8-4 / SIGMA 55-200mm F4-5.6



 2月の岩屋堂は冷蔵庫の中よりも寒い。これは比喩ではなく本当だ。瀬戸の冷蔵庫の異名はダテじゃない。冬晴れの名古屋を出発して車で30分走って岩屋堂に着くと、そこは雪が舞い散る白銀の世界だった。ウソみたいだけどホントだ。岩屋堂、恐るべし。
 そんな寒い中にノコノコ出向いていくには理由がある。冷蔵庫に入っている肉や野菜の気持ちが知りたくて行くわけではない。2月の岩屋堂にはセリバオウレンが咲くからだ。去年初めての出会いを果たして、今年はもう一度会いに行ってきた。これをもって早春の野草シーズン開幕とするために。

 それにしてもこの日はコンディションが悪かった。日没前の曇天という悪コンディションに加えて雪が舞うという状況で、普通なら出直すところだ。けど、岩屋堂に入って初めてそんなふうになったわけで、その直前までは太陽も出ていたから、そこまで行って引き返すわけにもいかない。
 ただでさえ難しい被写体のセリバオウレンなのに、光の支援を受けられないとなると、今の私の力ではいい写真は望めなかった。去年も力不足で悔しい思いをしたけど、今年ももどかしい思いが残ったのだった。
 撮る前のイメージがどうにも作れない。この花は、上手い人とそうじゃない人との差がはっきり出る被写体だ。これを上手に撮れれば野草写真愛好家としては一人前と言えるだろう。絵作りのセンスが問われる。レンズパワーだけでは押し切れない難しさがある。

2月の岩屋堂-2

 咲いている場所さえ見つけられれば、ぼこぼこ咲いている。1センチほどの白い花で、立っている視点では分かりづらいけど、視点を低くするとたくさん咲いていることに気づく。あっちにもこっちにも無造作に散らばって群生している。咲いている場所は日本全国でも非常に限られているのに、あるところにはあるものだ。ありがたみがないほど咲いていて、知識がなければ雑草と変わらない。
 この花の魅力は、なんといっても接近して見てみて初めて分かる。白い花火が弾けるような可憐さは、早春の妖精と呼ぶのにふさわしい。マクロの世界でのぞき見たとき、人はこの花の美しさに魅せられる。

2月の岩屋堂-3

 今回一つ持っていたアイディアとして、広角マクロで撮るというのがあった。通常のマクロ撮影は、90mmなどで接近して大写しにするというものだけど、28mmなどの広角で被写体に近づいて周りの風景も同時に写し込むというのが広角マクロだ。
 これをやるためにマクロに特化した広角レンズであるSIGMAの17-70mmを持っていった。Nikonなら35mm換算で25.5mmの広角マクロ写真になる。それが上の写真だ。
 うーん、ちょっとイメージと違うな。画角や構図としてはこんなものなんだろうけど、背景がよくない。広角だからf2.8で撮ってもバックのボケが雑然としてしまう。もっと面白いものが写る状況なら絞って奥までピントを合わせるという手もありなんだろうけど。
 ここでは背景としては枯れ草か木の幹かそんなものしか選べないから、広角マクロはあまり向かないかもしれない。雪が積もっているときなら、白バックに白い花というのが絵になっただろう。光があるときなら逆光で狙えば面白い写真になっただろうか。

2月の岩屋堂-4

 通常のマクロ撮影ではこんなふうになる。タムロン90mmの等倍撮影は、被写界深度が薄くてピント合わせがとても難しい。これもしっかり合ってない。この場所では三脚はまったく役に立たないから、安定させるためには地面に肘を立てる姿勢くらいしか選べない。それでもブレとボケは防ぎきれない。せめて光のあるときならシャッタースピードが稼げたけど、このときは感度を上げてもスローシャッターという厳しい条件だった。
 これは背景にきれいな色を持ってこられたから、それなりの写真になった。背景って大事なのだ。グラビアアイドルがわざわざサイパンやグァムへ撮影に行くのは、いい背景を求めてのことだ。背景なんてなんでもよければ、お台場でも九十九里浜でもどこでもいい。

2月の岩屋堂-5

 普通にマクロ撮影するとこんな感じになる。この写真にセリバオウレンの被写体としての難しさがよく表れている。
 花の咲く向きが自分勝手にバラバラで、奥行きもあるから、構図を決めるときに思い通りにならないのだ。どの花をどこに持ってきて、どこにピント合わせてどこをボケさせるかと考えたとき、すべてをコントロールするのはとても困難だ。結果的にいろいろな角度から何枚も撮っておいて、PCで見ていいのを選ぶしかないということになる。絞ってピントの深さを稼ぐと、今度は背景がガチャガチャとうるさくなる。
 やっぱりセリバオウレンは難しい。今年もその思いが深まった。家からもう少し近ければ何日か通って練習を重ねたいところだ。また来年となるとそれまた気の長い話になる。

2月の岩屋堂-6

 ブレボケ写真も使えるものは使おう。無条件に捨ててしまうのはもったいない。少し加工してイメージ画像のように仕上げれば、それはそれで写真として成立する場合もある。
 何事もそうだけど、写真の場合も失敗の中に成功のヒントがある。ありきたりから一歩抜け出すためには何かの工夫が必要で、それはときに失敗から偶然得られたりするものだ。露出のオーバーやアンダーも、自分の中にイメージがあれば意識的にそちらへ持っていくことも一つの表現となる。

2月の岩屋堂-7

 日没が近づいてセリバオウレン撮影も厳しくなった。少しでも明るさが残っているうちに岩屋堂をちょっと散策することにする。
 このときこの場所で、すぐ目の前にルリビタキのオスが現れた。あわてて撮ろうとしたのだけど、暗くなっていて撮れなかったのは残念だった。
 名古屋に雪が降ったのが10日のことだ。15日にしてこの雪の残り具合はどうだ。あれ以降も降ったんだろうか。アスファルトの道路はだいたい溶けてなくなっていたものの、道の両脇やちょっと入ったところはまだしっかり雪が積もっている。あれから晴れが続いてるのにこれだけ残っているということは、やはりここは冷蔵庫の中なのだ。冷蔵庫の中に入った雪はそう簡単に溶けない。
 この日は風もないのに、しんしんと冷えていて体の芯から冷えた。ちょっとやそっと歩いたくらいでは体はまったく温まらない。歩けば歩くほど冷える一方だ。だんだん手の感覚がなくなってきて、持っているデジをうっかりすると落としそうになる。ここは市街地と同じ感覚で行くと痛い目に遭う。

2月の岩屋堂-8

 散策路は全面的に雪模様。ウォーキングシューズでは足を踏み入れるのをためらわれた。冬の岩屋堂へ行くときはトレッキングシューズを履いていかないといけない。瀬戸市内なのに。

2月の岩屋堂-9

 駐車場もこの通り。手前のクランク橋も雪で凍り付いているから、私のインテグちゃんでは進入不能だ。雪のないアスファルトの駐車スペースにとめた。雪上運転の練習をするにはちょうといい場所と言えば言えるかもしれないけど。

2月の岩屋堂-10

 岩屋堂といえばここ。個人的に一番のお気に入りスポットである、ひなびた昭和観光地のなれの果て風情。ここまで来ないと岩屋堂へ行ったことにはならないというほど外せない場所だ。この光景を見ると条件反射のように昭和枯れすすきが頭の中を流れ出す。
 考えてみると、私は岩屋堂がかなり好きかもしれない。世間の人の数倍は岩屋堂を訪れている。お金は一切落としていっていないから、貢献度はゼロなんだけど、このブログでちょくちょく登場してるから多少の宣伝にはなってるかもしれない。
 ただ、人がたくさん訪れる夏休みと紅葉シーズンに一度も行ったことがないというのはよくない。それでは岩屋堂マスターとは言えない。今年こそ夏秋も完全制覇できるだろうか。

2月の岩屋堂-11

 酔いつぶれて街角でぐったりしているサラリーマンのような雪残り。私が作った雪だるまではない。でも、こういう面白雪だるまもありだなと思った。

2月の岩屋堂-12

 この日の夕焼け色は、ピンクパープル。雲が速い速度で流れて、半月が隠れたり顔を出したりを繰り返していた。
 地表近くでは春の息吹も、樹上はまだ春遠し。2月の岩屋堂はまだまだ深い冬の中にある。

いろいろな猫の写真と彼らの物語 ---ノア<第3回>

動物園(Zoo)
ノアの猫たち-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 ノア・レポート第三弾は、猫特集でいこう。
 ひとくちに猫といってもその種類は多く、トラやライオンなどのネコ科まで入れるとかなりの数になる。いろいろあわせて50種類くらいだろうか。ペットとしてのイエネコも、50種類くらいの品種がいて、私たちが知っているのはそれらのほんの一部にすぎない。
 珍獣揃いのノアにもいろいろな猫がいた。動物園でも見かけないような珍しいやつもいる。今日はそんな猫たちを紹介したい。

 まずはオオブチジェネットから。
 名前の通り、大ぶちのヒョウ柄があるジェネットで、故郷はアフリカの森林だ。夜行性で樹上生活をしているため、詳しい生態は分かっていないという。ノアにはどういう経緯でやって来たのだろう。確かこれは売り物ではなくて、子供から育てたやつだったと思う。
 体長は50センチ前後で、尾っぽも同じくらい長い。通常のイエネコよりやや大きいものの、体つきはほっそりしているため、体重も2キロから3キロくらいにしかならない。しなやかな印象を与える猫だ。
 食事は小型のほ乳類から昆虫、果実までと幅広い。現地では人間が出す残飯目当てに民家近くまでやって来るやつもいるというから、そのあたりも猫っぽい。

ノアの猫たち-2

 ソマリはイエネコの品種で野生種ではない。
 アビシニアンから生まれた突然変異種で、1930年代にイギリスで誕生したとされている。その後品種改良と定着が試みられ、1978年にようやく新種として認められた新しい猫だ。近年はけっこうな人気種になっているようで、日本での数も増えているという。
 ソマリという名前はアフリカのソマリアからきているそうだ。どういういきさつでそういう名前になったのかまでは知らない。
 特徴はなんといってもクビ周りのふさふさの毛で、つり上がったアーモンドのような大きな瞳とあいまって、とてもゴージャスなやつだ。六畳一間のアパートには似合わない。尾っぽもキツネのようなフカフカのしっぽをしている。
 活発で利発、用心深いかと思えば飼い主にもよく慣れ、立ち居振る舞いは優雅という、なんとも魅力的な猫だ。目をじっと見てると、意思の疎通さえできそうな気がしてくる。

ノアの猫たち-3

 寝床で丸くなるリビアヤマネコ。最近話題の猫鍋風。
 現在いるすべてのイエネコのルーツをさかのぼると、このリビアヤマネコに辿り着く。昔からそうであろうと言われていた説が、最近になって遺伝子研究で証明された。更にさかのぼると、2万年ほど前のヨーロッパヤマネコに行き着き、そこでリビアヤマネコとステップヤマネコに分化されたというのが定説となっている。
 ただ、どうしてリビアヤマネコだけが飼い慣らされてイエネコになっていったのかとか、リビアヤマネコは独立種なのか違うのかなど、依然として謎は残っているようだ。現在のリビアヤマネコを赤ん坊から育ててもイエネコのようになつかないともいう。
 今から9000年くらい前にはもうペットとして飼われていたようで、古代エジプトでクレオパトラなんかが飼っていたのも、このリビアヤマネコだったであろうとされている。もともとはネズミ退治のために飼い慣らしたといわれているけど、単純に猫を見てかわいいと思う感覚は昔も今も変わらないんじゃないかと思う。ペットを飼うのにそんなに深い理由は必要ない。

ノアの猫たち-4

 リビアヤマネコが起きたところ。こうしてみると、そこらへんに歩いている普通の猫とそんなに変わらない。耳が大きくピンと立っているところが違うくらいだ。
 そうはいっても、アフリカの草原地帯では、草食動物の子供や小動物なんかを襲って食べているというから、やはり猫科の小さな猛獣には違いない。うちのアイが鳩を追いかけていつも逃げられているのとはわけが違う。

ノアの猫たち-5

 手をなめるしぐさもかわいいシンガプーラ。シンガポール生まれの世界最小の猫だ。
 成長しても体重は2キロに満たない。小顔で、耳がとんがっているのが特徴だ。毛並みはグレーがかったアイボリーに微妙な色合いが混じっていて、一見すると地味だけどよく見ると美しい。
 好奇心が旺盛で、飼い主だけでなく見知らぬ人にもよくなつくそうだ。飼い主がいくところに常についてまわる犬のような一面もあるんだとか。

ノアの猫たち-6

 いつからそこにいたのか、どこから来たのか誰も知らないまま、シンガポールの街角に姿を見せるようになったこの猫。あるアメリカ人夫妻が仕事でシンガポールに赴任したときにその噂を聞いて、さんざん探し回ってようやく子猫を発見して飼うことにした。
 3年後、猫は成長して子供を生み、5匹に増えていた。夫妻はアメリカに帰ることになり、猫たちも一緒に海を渡ることとなる。
 それから少しずつ数を増やし、キャットショーに出場するなどして認知されるようになり、1979年に純血種として公認されたのだった。

ノアの猫たち-7

 あ、サーバルキャットってこれか。ちょっと前にNHKの「ダーウィンが来た!」でこれの特集をしていた。観た人もいるんじゃないだろうか。
 アフリカのサバンナや森林に暮らしていて、それまで生態がよく分かっていなかったのが、このときの取材でいろいろ珍しい光景を撮影することに成功して、少し分かってきたようだ。
 一番の特徴としては、最大3メートルもジャンプして獲物を捕らえるというところだ。スピード勝負では小型動物にかなわないということで、空中をジャンプして上から獲物に襲いかかるすべを身につけた。
 テレビでは毒蛇を猫パンチでノックアウトするというシーンもあったりして、なかなか興味深い猫だ。
 サーバルは、猟犬を意味するポルトガル語で、やはり狩りのシーンが印象的でこの名前が付けられたのだろう。
 体は猫と大型の猫の間の中間くらいで、最大で1メートルくらいになる。狭い部屋で飼うのはやや厳しい。体重も大きいもので15キロを超える。

ノアの猫たち-8

 これは名札もなく、ケージに入っていた白猫。やたら人なつっこかった。
 見た目は普通の猫っぽいけど、この店にいるくらいだから何かの品種なんだろう。値段を聞いたらびっくりして、撤退してしまうに違いない。

ノアの猫たち-9

 たぶん、スコティッシュフォールドだと思う。耳が折れてるやつが一般的だけど、耳が立っているやつもいるらしい。
 1961年にスコットランドの小さな農場で飼われていた猫が生んだ子猫の中に、耳が折れている猫がいた。スージーと名づけられた猫が、その後スコティッシュフォールドと名づけられる猫の始まりだった。これは耳の軟骨の形成異常によるものだそうだ。
 そのスージーが生んだ子猫のうちの2匹がまた耳折れだったことから、これは遺伝するということになって繁殖計画が立てられることとなる。
 しかし、繁殖が盛んになったのはアメリカでのことで、純血種として認められたのもアメリカでの功績ゆえだった。スコットランドやイギリスでは奇形遺伝子ということで登録中止になっているそうだ。
 タイプとしては、短毛種と長毛種タイプがいて、折れ耳と立ち耳タイプとに分かれている。折れ具合によっても、シングルフォールド、ダブルフォールド、トリプルフォールドと3段階に区別されているんだとか。

ノアの猫たち-10

 オマケの犬写真。
 ぶちゃいくすぎて愛嬌満点。ダメっぽくて笑える。
 すごく太った人がダイエットして皮のたるみがどうにもならなくなったみたいだ。頭なんて、見ようによっては脳みそっぽい。この犬はなんという品種なんだろう。

 人生いろいろ、猫もいろいろということで、今回紹介したものも、珍しい種類のごく一部だ。まだまだ世界には見知らぬ猫がたくさんいることを、今回あらためて知った。機会があれば、いろんな動物園やペットショップを巡ってマイ猫コレクションを増やしていきたいと思っている。ノアも顔ぶれが変わっていくから、次に行ったときはまた新しい出会いがありそうだ。
 猫は飼っていると日常的に触れ合えるもので特に珍しいともありがたいとも思わなくなるけど、飼ってない人にしたらふと猫を触りたくなったとき、案外身近にいないことが多い。ノラだっていつどこで出会えるか分からない。だから、ペットショップというのは猫を触りにいくというだけでも行く理由になるところだ。ノアなら他にもいろんな珍獣もいる。
 猫好きの人にもノアはオススメできる。

見ーてーるーだーけーで楽しめるペットショップ ---ノア<第2回>

動物園(Zoo)
ノア紹介-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 インナー・シティ・ズー ノアは横浜にあるのだけど、横浜といっても広くて、鳥浜といってすぐにピンと来る人は少ないと思う。この顔にピンときたら110番なんていわれても、いっこうにピンと来ないのと同じだ。
 今日はこれからノアに行こうと思っている人を後押しすべく、ノアの紹介をしたいと思う。行こうかどうしようか考えている人の背中をそっと押して、それでも迷っている人は尻を蹴飛ばすくらいインパクトのある写真を見せないといけない。そんな写真が撮れてたかどうか。まだ現像は半分しか終わってないので、時間稼ぎの意味もあってお店紹介でワンクッション置いてみる。昨日からシリーズが始まったばかりなのに息継ぎが早すぎるぞ。
 東京方面からなら、まずは横浜まで行って、JR根岸線に乗り換えて新杉田という駅まで行く。みなとみらいがある桜木町や、中華街などがある石川町を過ぎると乗客は一気に減って、車窓からの風景も突然郊外の住宅地へと変わる。そんな変化を楽しみつつ、新杉田からは金沢シーサイドラインに乗る。これは横浜新都市交通という名前の乗り物で、モノレールの無人電車だ。愛知県の万博のときに作られたリニモとは方式が違うようだ。詳しいところはよく分からないけど、八景島へ行く場合もこれに乗るから、乗客はけっこう多かった。
 東京都内から1時間前後で鳥浜に到着する。近いといえば近い、遠いといえば微妙に遠い。写真は駅を降りてノアに向かっているところだ。ノアは横浜ベイサイドマリーナの中にあって、ここはアウトレットモールなどが集まった商業施設となっている。近隣の人たちには人気爆発してるようで、駐車場入り待ちの車が長い列を作っていた。敷地内も親子連れを中心に大変な賑わいを見せていて驚いた。まさかこんな人気スポットだとは思わなかった。地図で見る限り、周りは工場地帯なので閑散としているところを想像していたから。

ノア紹介-2

 駅からは徒歩3分と書かれているけど、実際はもう少しかかる。海を見て、マリーナの夏でも口ずさみながらのんびり歩いて5分くらいだろう。16歳だった頃の渡辺満里奈の丸い顔を思い出しながら歩いていると、思えば遠くへきたもんだという感慨を抱かずにはいられない。
 で、実際鳥浜はどのあたりかといえば、横浜の中心からずぅっと南に下った海岸近くで、もうちょっといくと鎌倉市といったあたりになる。このへんも完全な埋め立て地風景で、自然の海岸線は見ることができない。海水浴場なんてのもなさそうだ。鳥浜という名前のくせに、浜もなければ海鳥もいないのである。
 もう少し便利な場所に作って欲しかったと思わないでもないけど、珍獣をたくさん集めて、ある程度の広さが必要で、騒音問題もあるとなると、ここまで外れなければ土地を確保できなかったというのがあったのかもしれない。電車で行けるだけまだよかった。

ノア紹介-3

 トンビが上空に数羽舞っていた。低空飛行をしながら旋回してるやつもいたから、きっと人が食べていたハンバーガーとかを狙っていたのだろう。ただ、地上にはあまりにも人が多かったので警戒して襲うことはなかった。犬連れの人がたくさんいたこともやつらをひるませる要因になったのかもしれない。
 私たちとしてはむしろトンビがエサを奪う瞬間を激写したかったのだけど、それは叶わなかった。自分たちがマックに入ったときには、もう姿が見えなくなっていた。残念、遅かったか。やはり油揚げは常に持参しなければいけないとあらためて思った。

ノア紹介-4

 マリーナというくらいだから、ヨットがたくさん停泊している。これは売り物なのか、預かり物なのか、何なのか。所狭しとぎっちり並んでいて、総額いくらなのか見当もつかない。アウトレットモールに詰めかける庶民と、金持ちの象徴であるヨットが同じ場所で同居しているというというのも、面白いというか皮肉な光景だ。
 鳥浜という街の性格が掴めない。昔からのマリーナとも思えないから、近年急速に発展したところなんだろうか。

ノア紹介-5

 ノアで最初に出迎えてくれるのが、この子馬だ。おとなしいやつで、子供にも頭をなでられていた。馬もいろいろ性格があって、人なつっこいやつは重宝される。それが馬にとって幸せな生活なのかどうかは難しい問題だけど。
 こいつにもエサをあげることができる。ニンジンか何かをもらっていた。

ノア紹介-6

 これはヤギかな。こちらのことはおかまいなしに向こうを向いたまま水を飲んでいた。足下にはフンがたくさん。
 まだ珍獣は出てこない。と思ったら、このすぐ横にはもうワラビーが何気なくいて、反対側にはシロフクロウがいるという異常事態が始まっている。普通、そんなものは日常生活の中で目にするものではない。知らず知らずにうちにワンダーランドに足を踏み入れてしまっていたようだ。

ノア紹介-7

 入り口から入ってすぐに犬がどたーっと寝そべっている。なんだ、なんだ、この行き倒れみたいなやつは。寒さの中でも犬は喜んで庭を駆け回ってこいと言いたくなる。
 しかし、ぬくぬく生活ですっかりぐうたらが身についてしまったようで、人がいくら入ってきて踏まれそうになろうとも、決して起き上がる様子は見せなかった。邪魔だというならおまえがよけていけとでも言わんばかりだ。ここでの主役はあくまでも動物たちで、人間はゲストだ。お邪魔させてもらうという感覚でいかないといけないところが動物園と違うところだ。展示のみの動物もいるけど、基本的にここはペットショップなのだ。

ノア紹介-8

 足下には大きなカメも転がっている。うっかりしてると蹴飛ばしてしまいそうだし、子供はつまづいて転びそうだ。カメにしてみればある程度は慣れっこで、少々のことではビクともしないんだろうけど。
 甲羅がゴツゴツと出っ張ってるこいつは、ケヅメヒョウモンだろうか。違うかもしれない。リクガメはリクガメなのだけど。

ノア紹介-9

 あー、いたいた。こいつらにも会いたかったんだ。「志村どうぶつ園」に出演していたコツメカワウソの子供姉妹。めちゃめちゃかわいいのだ。小さなカゴの中で寝ていてかわいさは半減以下だったけど、見ることができてちょっと嬉しかった。次にテレビで見たときは、もっと嬉しいだろう。
 もう少しいろいろ触ったりできるのかとも思ったのだけど、休日で人も多いこともあって、思ったほどでもなかった。平日の人が少ないときに行けば、店員さんといろいろ話をしながら、ちょっと出してみますから触ってみますかなんてことにもなるのかもしれない。せっかく行くなら平日がオススメだ。

ノア紹介-10

 看板犬なのか、レジカウンターの上に乗っていた。
 店内にはいろんな写真が飾られていて、動物のものあり、芸能人もあり、お客のものもある。このときは本格的に写真を撮ってる人はいなかったけど、普段はどうなんだろう。コンパクトデジで撮ってる人がいるくらいで、一眼は私くらいのものだった。フラッシュは禁止だけど、それ以外で撮影禁止のものはない。オリやアミやガラス越しなので撮るのはかなり困難なんだけど。

ノア紹介-11

 ノアの即日会員は500円で、会員は一週間有効ということになっている。その間は何度行ってもいいし、当日も出入り自由だ。少しくたびれた我々はいったん外に出て休憩することにした。
 アウトレットモールの裏手に飲食店を集めたビルがあったので、そちらへ回ってみる。子供用に機関車バスなども走っていた。
 このときは午後2時すぎだというのに、店はどこも満員御礼で並んでいた。なにしろ人が多い。その割に飲食店が少ないから、とても受け入れきれない。当初はこんなに人が訪れる計算じゃなかったのか。まあ、平日は閑散としたものだろうから、そのあたりの兼ね合いもあるのか。

ノア紹介-12

 結局、カフェには入れず、ノアのある方に戻ってきてマックで並んで食べることにした。昼は済ませてきたので、軽くシェイクとポテトで休憩する。シェイクはたまに飲むと美味しい。中学の頃はロッテリアのシェイクが好きでよく飲んでいたのを思い出す。
 マックはいろんなものが100円になっていて驚く。普段はファーストフードで食べることなどないから、まったく事情に疎くなっている。

ノア紹介-13

 12時前に着いて、なんだかんだで5時くらいまで過ごした。店内を2周プラスアルファして、だいたい見て撮ったところで帰ることにする。
 駅まで戻る頃には空が夕焼け色に染まっていた。

 ノアは午前11時から午後8時までやっているので、もっとゆっくりしようと思えばできる。夜に行くと夜行性の動物が起きだして活発な姿を見られるかもしれない。
 犬や猫などの一般種からは虫類、珍獣まで、400種類以上が展示販売されている。タレント動物もたくさんいて、テレビに出演しているやつもいろいろいるようだ。
 ノアの名前は、Nature Oriented Animal House(自然志向の生き物の家)の頭文字をとってNOAHなんだそうだ。それと、大洪水のとき各種動物を船に乗せて救ったノアの方舟にも引っ掛けているとか。
 インナーシティズーは、都市型動物園という意味で、今後はこういう形の施設が増えていくのかもしれない。ここのように、ペットショップと動物園を融合させるというのはいいアイディアだ。会員費としてちゃっかり500円取るというのも賢いやり方だ。
 リクエストとしては、エサやりの種類をもっと増やして欲しいというのがある。テレビで見ていたらいろんな動物にいろんなエサをあげていたのだけど、あれはタレントがやって来たときのテレビ用だった。実際は野菜カクテルを決められた数種類の動物にあげられるだけだ。触れることができるのは限定されるというのは納得するのだけど、エサくらいはもう少しいろんなやつにやてみたい。
 しかしながら、これだけ珍しい動物たちを間近で見られる場所というのはなかなかないから、動物好きなら楽しめること請け合いだ。匂いのキツさは我慢のしどころだけど、それを乗り越えればウハウハの動物触れ合い体験が待っている。
 シリーズ第3回以降は、撮ってきた様々な動物たちの写真を紹介していきたい。百聞は一見にしかず。ノアの魅力は言葉で説明するよりも写真が雄弁に語ってくれるだろう。

珍獣を見た撮った触った買わなかった ---ノア<プロローグ>

動物園(Zoo)
ノア-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 / TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 横浜にある「インナー・シティ・ズー ノア」に行ってきた。
 世界の珍獣を見て触って買えるペットショップとして、たびたびテレビで紹介されているから、知っている人も多いかもしれない。芸能人も多数来店しているようで写真もたくさん飾られていた。
 珍獣はとにかく高い。10万、20万なんて安い方で、50万とか80万とかがザラにいる。たまに2万5,000円とかで売ってるやつがいると、これ安いから買えるんじゃないのなんて思ったりする。完全に感覚がおかしくなっている。見た中で一番安かったのが、カメの子供で7,500円だった。もはや安いのか高いのかさえもよく分からない。
 ノアについてはおいおい紹介していくとして、今日はプロローグで写真を何枚か並べるだけにしておく。写真はたくさん撮ってきたから順番に出していこうとは思っているのだけど、まだ現像が半分も終わってないので、続きは明日以降ということになる。
 動物たちについても、いろいろ調べて勉強しながら書くつもりでいる。初めて名前を聞いたやつもけっこういた。明日からはしばらくノアネタが続きそうだ。

 一枚目は、以前にこのブログでも登場してるフェネックだ。東山動物園の自然動物館にいたから、そのとき初めて見て、ある程度詳しく書いた。
 ノアでの再会も楽しみにしていたのだけど、残念ながらほとんどの時間を寝ていて、起きている姿はほんのわずかしか見ることができなかった。夜行性だから仕方ない。人がまわりでがやがやしているのにも慣れたのだろう。ぐっすり熟睡しているように見えた。ガラスケースの中にいて触ることができなかったのもしょうがないところだ。
 それにしても寝顔はかわいいなぁ。

ノア-2

 私が好きなカピバラさん。世界最大のネズミなのに、なんともキュート。飼うならカピバラさんがいい。
 ここではエサもあげることができて(200円)、頭をなでることもできる。カピバラさんを触れるところはなかなかない。カピバラファンはそれだけでもノアに行く価値がある。

ノア-3

 とっても人なつっこいイノブタ。なでられてうっとり。後ろ足をぴよーんと伸ばして、なでておくれよと顔を出してくる。なでられている間中気持ちよさそうにしていた。
 こいつにもエサをあげることができて、大喜びでパクついていた。
 イノシシやブタも小さい頃から飼うとよく人に慣れてかわいいというけど、その気持ちが分かった。犬や猫にも劣らない魅力がある。

ノア-4

 表にいたダマワラビー。小さいカンガルーで、黒い瞳が印象的だ。小屋の木の間から顔をのぞかせて、もうちょっとで出られそうなのに出られない。小屋の中でピョンピョン跳ねたりしていた。

ノア-5

 コモンリスザル。なんとなくポーズが人間っぽいというか、指揮者のようだ。
 小さな猿でかわいいというだけでなく、こいつは手のひらが人間の肌のようで、それが嬉しいような切ないようなだった。指を出すと、子供のようにそれを握ってきて、その感触がすごく暖かくて柔らかだった。

ノア-6

 ミニブタもブタはブタで、その鼻はやっぱりブタだった。こう見るとキュートだけど、手を伸ばすと鼻汁をつけられそうで出した手を引っ込めてしまいがちだ。

ノア-7

 これも出会いを楽しみにしていたヨウムのチビ。生まれてからまだ2ヶ月ちょっとで、ほんの子供ということだった。体はかなり大きいものの、まだ木には止まれず、床で立ち上がったり、寝そべったりしていた。
 チビといえども20万円弱。ほいほい買えるものではない。寿命も50年だから、軽い気持ちで飼うこともできない。寿命勝負で負ける可能性大だ。

ノア-8

 フェレットの販売に力を入れているようで、たくさんの子供たちがいた。みんなで折り重なるようにして寝ている姿がなんとなくおかしくて笑えた。
 これはお手頃価格で、安いのだと4万円くらいだった。いや、安くないか。犬や猫よりも手間がかからず飼えるということでノアではオススメしていた。

 とりあえずノアのプロローグとしてはこんなものとしたい。本編はある程度テーマ別に写真を集めて、その動物たちについて調べて書きたいと思っている。
 明日以降につづく。

今日の名古屋は昼から雪国だった

雨/雪/天候(Weather)
雪の名古屋-1




 昼過ぎ、ふと窓を見るといやに白い。ん? 白い? もしかして!?
 窓を開けるとそこは雪国だった。なんだこりゃ。ものすごい雪だ。街が真っ白。こりゃ驚いた。
 この日、名古屋の積雪は最大13センチだったとか。去年の1月にも一度積もったことがあったけど、ここまで大雪になったのは3年ぶりくらいじゃないか。大粒の雪が絶え間なく降り続いて、夕方までに街は白色に覆われた。
 こんな機会はめったにないから写真を撮りにいきたかったのだけど、明日は東京行きで時間がなかった。
 そんなわけで、今日は家から撮った雪写真を並べるだけとなる。



雪の名古屋-2

 脇道はもちろん、大通りにも雪の影響は出た。名古屋のドライバーは雪に慣れてないから、おっかなびっくりゆるゆる運転してる人が多かった。みんなチェーンを持ってるんだろうか。私は持ってない。雪の日は運転したくない。



雪の名古屋-3

 午後の早い時間はまだ道にも余裕があった。タイヤの跡がくっきり見えて、この上を走れば大丈夫そうな感じもあって。タイヤ跡のラインがきれいだななんて思ったりもした。



雪の名古屋-4

 雪は降り止む気配を見せず降り続き、ますます視界不良となっていく。
 高速道路も次々と通行止めとなり、明日の東京行きが不安になってきた。このままでは名古屋駅にさえ行けない。予定が今日じゃなくてよかった。



雪の名古屋-5

 子供たちは大喜び。公園で雪遊びをしていた。雪だるまや雪合戦などは、昭和の光景そのものだ。人間は道具を使った遊びに関しては進歩してるけど、人工物を持たずに自然の中に出れば大昔からあまり変わってないように思う。
 この頃はまだ雪の積もりが少なかった頃だ。雪だるまの雪が汚い。



雪の名古屋-6

 積雪10センチくらいのとき。ここまで積もると雪合戦の雪に困らない。



雪の名古屋-7

 雪が降っているところを撮るのは意外に難しい。空から絶え間なく落ちてくる雪も、写真にはあまり写らない。シャッタースピードを遅くしたり速めたりしても駄目だった。バックが暗かったり何か色がないと雪が降る様子は写し取れない。



雪の名古屋-8

 雪は夕方前から雨に変わった。しばらくすると道の雪はだいぶ少なくなり、日没となった。雪雲は関東方面へ行ったようだ。
 今日の名古屋の最高気温は2.5度。けど、雪降りの日は案外寒さを感じない。今日は風もなかった。
 明日は東京に行けるんだろうか。とりあえず早起きして状況を見ながら対処するしかない。東京の雪はどんなもんなんだろうか。
 

約束されてない発見と出会いがあるところ ---2月の海上の森<後編>

森/山(Forest/Mountain)
冬の海上の森後-1

Canon EOS 20D+EF-S 17-85mm f4-5.6 IS



 2月の海上の森後編は、冬枯れの大正池風景から。
 夏場は水を満たす大正池も、冬場は水が抜かれてこんな風景が広がる。ここはもともと川の流れる森だったところで、水をせき止めてダムにしたため、木々が水没して立ち枯れてしまった。水があるときは水面から立ち枯れた木がニョキッと顔を出す風景が絵になるけど、こうなってしまうと寒々しい。まるで死の世界のようだ。放射能に汚染されて木が枯れてしまったようにも見える。
 これも冬場に行かないと見られない光景だから、貴重といえば貴重だ。ただ、ここは夕焼けスポットでもあるので、水がないときは夕映えが見られないのが残念ではある。

冬の海上の森後-2

 水が抜かれているとはいっても完全に流れが涸れているわけではなくて、ちょろちょろと小さくは流れている。こんな流れでもせき止めれば大きな池になる。
 これだけ水量の増減が激しいと、魚は棲めない。たぶん、夏の間も大きなやつは泳いでないのだと思う。小魚はどうか分からないけど。だから、このあたりは鳥などの生き物も少ない。周辺には花もあまり咲かない。鳥はこの池の向こうの遠くで鳴いている。
 海上の森で人が足を踏み入れることができるのは、全体の10パーセントか20パーセントくらいだろうか。どこにどんな生き物がいるかは、まだまだ未知の部分が多そうだ。珍しい野草なども人知れず咲いているのだろう。

冬の海上の森後-3

 枯れた風景ばかり見ていると喉が渇きそうだから、水の流れを見て渇きを癒そう。
 ここの水は飲めるのかどうか分からない。飲んで飲めないことはないのだろうけど、相当追い込まれないと私は飲みたくない。大正池や篠田池の上流は大丈夫そうだ。森の中の集落には上下水道が通ってるんだろうか。

冬の海上の森後-4

 夕暮れ近づく冬枯れの木々のシルエット。
 ここで大物とはいかないまでも中物くらいの見慣れない鳥を見た。鳴き声も聞いたことがないやつだったから、ちょっと珍しいやつだったかもしれない。歩いていく先でパッと飛び立って、目の前を横切って奥に入ってしまった。少し離れたところでしばらく鳴いていたけど、正体は結局分からずじまいだった。
 この森の中には、オオタカなどの猛禽類や、フクロウ、サンコウチョウ、サンショウクイなどもいるというし、夜はムササビも飛んでいるらしい。タヌキなんかもたくさんいそうだ。猿はいないだろうけど。見たいけどキャンプを張ってまでとは思わない。

冬の海上の森後-5

 これが集落の中心地。ここだけで3、4軒くらい。少し離れたところにも数軒あって、全部で10軒くらいなんだろうか。きっと昔からここに住んでいる人たちで、野生の生き物が好きでここに住んでいるわけではないのだろうかと思う。海上の森も万博騒動以降、だいぶ知られるようになって、訪れる人も増えた。前より住みづらいと感じているかもしれない。
 相変わらずの風景ではあったのだけど、一つ大きな変化があった。田んぼや畑のある方に一面金網が張られて自由に入っていけなくなったことだ。たぶん、イノシシなどのケモノよけではあるのだろうけど、人も入れないことになったんだろうか。赤池とか湿地帯や物見山へ抜ける道がふさがれるとなると厳しい。一時的なものなのかどうなのか。
 山里の日暮れは早い。太陽が山の向こうに隠れて見えなくなってしまうと急激に暗くなる。ここから駐車場までは20分以上かかるから、こうなると急いで戻らなくてはいけない。

冬の海上の森後-7

 帰りを急いでいたら、茂みの中で鳥がゴソゴソっと動いた。スズメか何かだろうと思ったけど、それよりちょっと体が大きくて動きが重たい。身軽さに欠ける。これはスズメじゃないぞと思い、まずはおさえとして標準ズームで何枚か撮っておいた。だいぶ暗くなっていたこともあって何者かは分からない。ただ、初めて見るやつであることは確かそうだ。
 家に帰ってきてトリミングして見てみると、おー、ルリビタキのメスではないか。これは初めて撮った。見たこと自体が初めてだ。オスは背中全体がルリ色をしていて、日本における青い鳥の代表だ。メスは褐色の羽で、尾っぽだけが青色をしている。幼鳥もそんな感じではあるのだけど、今の季節に若鳥ということもないだろう。
 一年中日本にいる留鳥で、夏場は標高の高い山にいるので目にする機会は少ない。冬になると暖かい地上に降りてくるので冬鳥というイメージが強い。
 冬場も薄暗い林の地面近くにいることが多いので、なかなか撮るのが難しい。

冬の海上の森後-8

 様子を見ながらゆっくり静かに望遠レンズに交換したのだけど、レンズを向けたとたんに飛んだ。ああ、残念。そのあと住人らしき人の車が通ったこともあって、木の上の方にいってしまったまま降りてこなかった。とまった位置も悪くて、こんなふうにしか撮れなかった。
 次のチャンスがいつ訪れるか分からないけど、次こそちゃんと撮りたい。鳥との出会いは突然で撮れる時間は限られるから、常に撮れる体勢を保っていなくてはいけないと、あらためて思い知る。

冬の海上の森後-9

 ここまで暗くなってしまうと、空しか撮るものがなくなる。林道に灯りなどはない。夕方までいるつもりなら、ライトを持っていった方がいいかもしれない。道さえ外れなければ危険なことはないのだけど。

冬の海上の森後-10

 森を後にして、玄関口ともいえる屋戸橋まで戻ってきた。ここまで来れば民家も集まっているし、灯りもあるから安心だ。
 空は夕方から夜に移り変わろうとしていた。

 2月の海上の森は、やはりまだシーズンオフだった。野草は3月からで、ベストシーズンは4月から6月くらいだろう。花と虫と鳥とで、初夏の森は賑やかになる。歩くにもすがすがしくて気持ちいい。暑い夏になるとまた花は寂しくなる。
 個人的には湿地のハルリンドウを楽しみにしている。今年こそギフチョウという気持ちも強い。そんなことを想像していると春が待ち遠しくなる。
 これで海上の森行きは10回くらいになっただろうか。もう少し行ってるかもしれない。歩ける範囲で私が行ったところといえば、3割くらいのものだ。まだまだ知らないところが多い。本当は詳しい人と一緒に行っていろいろポイントを教えてもらうのがいいのだろうけど、本格的に歩くとなれば、5時間、6時間ではきかない。私としてはなんとか3時間コースくらいで勘弁してもらいたい。今回歩いた基本コースなら、写真を撮りながらでも1時間半くらいだから、お手軽コースとしてオススメできる。
 海上の森は、ゆったりしたテンポの長編映画を楽しむような気持ちで楽しむといい。悪く言えば間延びして退屈なところでもある。広さのわりに野草や野鳥の密度が低いから。ただ、逆に言えば発見の出会いの喜びが大きいとも言える。見たいものが必ず見られると約束された場所じゃない。
 だから、自分で行って、自分なりに歩いて、マッピングして、少しずつ攻略していくというのが正しい楽しみ方のようにも思う。行きさえすれば、必ず何かしらの出会いや発見があることだけは保障します。

冬の森が生み出す光と影の風景 ---2月の海上の森<前編>

森/山(Forest/Mountain)
冬の海上の森前-1

Canon EOS 20D+EF-S 17-85mm f4-5.6 IS



 海上の森に最後に行ったのは去年のいつだったろう。確か秋には行ってないから夏だったろうか。調べてみると、6月の終わりだった。そんなに行ってなかったか。毎月とはいかないまでもワンシーズンに1回は行っておきたいところだ。車で30分の距離だし、お金もかからないところなんだから。
 というわけで、半年以上ぶりとなった海上の森へ行ってきた。時期的には今の季節が一番見所が少ないことは分かっていたからちょっと気が向かないところもあった。ただ、行けば何かがあるのが海上の森というところだ。撮るものも何かはある。ここで行っておかないとまたきっかけを失ったまま先延ばしになって、春にさえ間に合わないかもしれない。行こうと思ったときが行きどきだ。
 時間もなかったので、基本コースを歩くことにした。四ツ沢から大正池、集落とプラスアルファくらいを考えて出発する。ただ、いつもとまったく同じでは面白くないということで、今回は真っ直ぐ集落に向かう道ではなく、北海上川沿いの北ルートを選んだ。こちらも以前二度ほど歩いたことがある。
 結果的に収穫はそれほど多くなかったものの、写真の枚数だけは例によって多くなった。一回に収まらなかったので、前後編の二度に分けることにした。今日はその前編をお届けします。写真のテーマは、冬の森の光と影。

冬の海上の森前-2

 海上の森の中には大きな川が3本ほど横断するように流れていて、その支流の小さな流れがいくつも走っている。大正池や篠田池などは、自然の池ではなく砂防堰堤によって出来たダム池だ。ある程度人の手も入っていて、まったくの手つかずというわけではない。それでも、人が歩かない道から一歩入ると迷子必至の深い森であることに間違いはなく、単独で行って道に迷ったまま日没になると出られなくなる可能性もある。あまり甘く見ると危険だ。捜索隊を出されたりすると、その人たちの日当を払うことになって大変だ。携帯の電波は場所によって入るところと入らないところがある。
 清流には川魚がたくさんいてということはなく、意外と生き物の影が少ない。夏場は小さな魚が見えたりするものの、魚釣りができるような深い川はない。ニジマスなんかが泳いでるような川を想像していくと拍子抜けする。沢ガニなども見たことはない。よくよく探せばいるんだろうか。
 こういう水辺に鳥がいるのは朝から午前中だろう。いつも行く夕方にはいない。

冬の海上の森前-3

 自然の竹林。春になるとタケノコ堀の人が出没しそうだ。
 ところで、この森は誰の所有物になってるんだろう。愛知県とかだろうか。万博会場にならずに済んでよかったにしても、この森を今後どうしていくかについてはなんとなく曖昧なままとなってしまった感がある。多少整備もしたし、あとはこのままでということなのか。
 海上の森2005番地に住んでいることになっているモリゾーとキッコロの扱いは今後どうなっていくのか。森の中に木の上の家を造って、そこに着ぐるみを着たバイトを置いておくというのはどうか。いろんな意味で無理な話だとは思うけど。

冬の海上の森前-4

 写真では道に見えないかもしれないけど、道だ。道といったら道だ。大丈夫、人が歩いたあとがついてるから歩くのに問題ない。
 大正池沿いのコースは、多少険しいので、ちゃんとした靴を履いていかないと危ない。すごく高い崖というわけではないにしても、すべって転がり落ちたらタダでは済まない。私は転んでもデジだけは死守するつもりで慎重に歩いた。
 多少靴がどろんこになってもいいなら、この時期は大正池の中を歩くチャンスだ。水量が大きく減って枯れ池になってるから、普段は水の底になっているところを歩くことができる。
 こちらのコースは、年間を通じて野草の少ないところだから、写真向きではない。歩きをメインにする人用だ。野草写真メインなら素直に集落へ向かう道を選んだ方がいい。
 鳥の声は遠くに聞こえるだけで姿は見えず。オオタカなんてどこにいるんだろう。

冬の海上の森前-5

 海上の森では基本的には人に会わない。でも、たまに会うからぼぉーっとして歩いているとギョッとすることがある。誰もいないはずの森で人が出会うと、お互いにびっくりする。それでも平静を装ってこんにちはと挨拶はする。街ですれ違っても挨拶しない日本人も、どういうわけか森とか山とかですれ違うとかなりの高確率で挨拶を交わす。その習性は面白いなといつも思う。

冬の海上の森前-6

 鳥もいないし、野草には早すぎるしで、すぐに撮るものがなくなった。仕方がないので自分の影でも撮ってみる。だいぶ影が長く伸びて日没が近づいていることが分かる。
 大正池のあと、少し時間がありそうだったので篠田池を目指したのだけど、これが失敗。一番遠回りの真ん中コースを選んでしまったのでえらく時間がかかって、そのまま進むと日没になりそうだったので、途中で引き返すことになってしまった。奥まったところにある篠田池で日没を迎えるのは厳しい。森や山では引き返す判断も大切だ。
 篠田池へ行くなら、四ツ沢から北に入って、分かれ道で左方向へ行って道なりに進むのが一番早い。それなら30分もかからないだろうと思う。
 篠田池も特に何があるというわけでもないところなのだけど。

冬の海上の森前-7

 見上げると枯れ木が円陣を組んで何か相談しているようだった。私のことについて何かひそひそ話をしていたのかもしれない。
 それにしても見事な冬枯れだ。葉っぱを一枚残らず落としてしまって、冬の寒さに耐えている。でももう春は近い。新芽の準備は確実に進んでいるのだろう。あと3ヶ月もすれば、空が見えないほど葉が生い茂る。

冬の海上の森前-8

 ヒノキ林に太陽が差し込んで、光の帯を作った。見た目はもっと劇的に美しかったのに、写真に写し取ることができなかった。残念。
 このあたりは植林のような気がするけどどうだろう。木を切ることは必ずしも悪いことではなくて、計画的に伐採していかないと森は荒れる一方になる。適度に切ることで大木の下まで光が差し込むようになって小さな植物を育て、生き物も豊かになる。切った分だけまた植林すればいい。そうやって日本人は昔から里山と持ちつ持たれつの関係を築いてきた。

冬の海上の森前-9

 森の中の太陽は、とても貴重なものに思える。差し込む場所が限られていて、特に冬場はありがたみを知る。日が当たっているところと当たってないところでは、体感温度がまるで違う。
 今日は10度まで上がって暖かい日だったけど、日没後は急激に冷えた。

冬の海上の森前-10

 光が当たるところには色が生まれる。写真は光が生み出すコントラストだ。影がなければ物の存在を知ることができない。
 光が作る影と色でこの世界は成立している。写真もそうだ。人間界も例外ではない。

冬の海上の森前-11

 日没後の空を映す小川の水面。
 光がなくなれば森の中で撮れるものはほとんどない。

 前編はここまで。後編につづく。

小幡緑地の緑ヶ池を半周歩いて撮った鳥と猫と夕焼け

海/川/水辺(Sea/rive/pond)
小幡緑地鳥撮り-1

OLYMPUS E-510+Super Takumar 300mm f4



 買ったはいいけど、さっぱり出番のないOLYMPUSのE-510。オリンパス・ズイコー・デジタルの中古レンズが手頃な値段でなかなか手に入らず、せっかくの手ぶれ補正機能も役に立たないとなると、E-510が活躍する場面はない。アダプタでM42マウントのレンズは使えるものの、PENTAXと違ってマニュアルレンズで手ぶれ補正が使えないのは残念だ。古いズイコーレンズを持っている人も悔しがっているだろう。マニュアルが使えていたら、もっと売り上げが伸びたに違いない。発売されて間もないZUIKO ED 70-300mmはまだ高い。
 このままではE-510が眠ったままになりそうだったので、Takumarの300mmを付けて出かけることにした。OLYMPUSのフォーサーズ規格は35mm換算で2倍になるから、600mmのf4という贅沢なレンズになる。これで手ぶれ補正が効けば言うことはないのだけど、なければブレ写真量産機になってしまうことは使う前から分かっていた。実際、ボツ写真は全体の半分近くと、非常に厳しいものとなった。
 日没前で時間がなかったので、近場の小幡緑地の本園に向かった。短時間で撮りどころが一番多いのはここだ。緑ヶ池の周りを半周歩いてちょこっと撮ってきた。この時期、望遠で狙えるメインの被写体といえば、当然鳥ということになる。なんだけど、まずは猫から。ここは猫が多い公園でもある。
 この茶トラは前回出会ったやつとはまた別のやつだ。前に見たのはもっとかわいかった。顔もまるまるしてたし、体ももっと茶トラ色が濃かった。兄弟か何かだろうか。
 猫おばさまかおじさんにメシをもらったようで、魚をパクついていた。私が近づくとこっちに気づいて顔を上げた。でもレンズは600mm。近づきたくてもこれ以上近づけない。猫との距離、約50メートル。更に接近すると、顔か体のパーツしか入らなくなる。望遠の単焦点はときに持て余す。
 ここの猫たちはいいものをもらっているようだ。毛並みの色つやがいい。ノラは食事状態で見た目が大きく違ってくる。

小幡緑地鳥撮り-2

 一緒に食べていたサビのチビ猫は、あまり人に慣れてないようで、私を見て逃げていった。こいつも初めて見るやつだ。この公園には何匹いるんだろう。
 サビ猫も最近けっこうお気に入りになっている。昔は小汚いような気がしてあまり好きではなかったのだけど、よく見るとかわいい。

小幡緑地鳥撮り-3

 サギ類は警戒心が強い。一年中日本にいて、人の近くで暮らしているからもう少し慣れそうなものだけど、人なつっこいサギというのは見たことがない。
 このときも、遠くから狙っている分にはこちらに気づいてないようなふりをしていて、ちょっとでも合間を詰めるとすっと飛んで逃げていく。遠くまで飛ばずに、一定の距離を保ったところに降りる。なかなかこしゃくなやつだ。でも、それが人と野鳥の幸福な関係を保つ距離感といえばそうなのかもしれない。

小幡緑地鳥撮り-4

 水辺のハクセキレイ。せわしないやつらで、水辺をちょこまか動き回って地面や水面をつつき、ちょっと飛んでは鳴き交わし、尾っぽを振りまくり、止まるということを知らない。ものすごく落ち着きがない。
 OLYMPUSの画質傾向としては、露出を暗めにして深みを持たせた方がムーディーな写真になる。白飛びが早いから、必要に迫られてそうなってしまうというのもあるし、明るくするとノイズが目立ってくるというのもある。

小幡緑地鳥撮り-5

 ときどきハッとする画像を出してくるのがE-510というやつで、実力をまだ測りかねている。トータルではE-1の方が優れているけど、たまにまぐれ当たりのように上質になるのはなんでだろう。こういう質感は、K100Dでも20Dでも出せないような気がする。
 小幡緑地はホシハジロの多いところだ。名古屋の他の池ではあまりこいつらを見かけない。ここが彼らのお気に入りなんだろう。
 頭が茶色ということではヒドリガモと似ていて、遠目では見分けがつきにくい。ホシハジロの頭が茶色の単色なのに対して、ヒドリガモは中央が白くなっているので、ある程度近づくと分かる。腹の色なども違う。

小幡緑地鳥撮り-6

 池の端に近づくと、カモ軍団がワラワラと寄ってきて、ちょっとひるむ。なんだ、なんだ。ザーッと波のように押し寄せて、ある者は飛んできたりもする。周りに人影はない。明らかに私狙いのようだ。完全にロックオンされてしまった。誰かにパンでももらって半ば餌付けされているらしい。ヒドリガモは植物性から昆虫、甲殻類まで幅広い雑食性で、人が与えるパンなども喜んで食べる。
 しばらく私の近くに集まったあと、私が何も持ってないことが分かると、潮が引くようにサァーッと遠ざかっていった。まるで日本のマスコミのようだ。チヤホヤしたかと思うと手のひらを返したように去っていく。何もしてないのに、自分が何か悪いことをしたような気分に陥る。
 次に行くときは、猫エサだけじゃなく、カモ用のエサも持っていこう。

小幡緑地鳥撮り-7

 オナガやマガモたちは、池の真ん中あたりに集まっていて遠かった。600mmを持ってしてもこの小ささ。この池はデジスコ向きだ。デジタル一眼では届かない。

小幡緑地鳥撮り-8

 オナガらしきやつがこっちに向かって飛んできて、シャッターチャンス、と思って慌てて撮ったけど、ピントを合わせきれなかった。しばらくマニュアルフォーカスのTakumarを使ってなかったので勘が鈍った。そういえばここのところオートフォーカスに頼りっぱなしだった。Takumarの300mmは筒が大きくてピントリングも重めなので、とっさに合わせるのは難しいというのもある。
 今度もう一度、もっと明るいときに行って再挑戦したい。

小幡緑地鳥撮り-9

 最後に、近くに寄ってきてくれたオナガを撮って終わりとした。ある程度近い距離ならこれくらい大きく写せる。距離としては10メートル切るくらいだったろうか。
 オナガも冬の深まりと共に見慣れてきて、見てもまたかくらいにしか思わなくなる。けど、近くで見るときれいなカモだ。馴染みになることと鈍感になってしまうことが一緒であってはいけない。いつでもしっかり観察することが大切だ。じっくり見れば新たな発見もある。

小幡緑地鳥撮り-10

 木々の向こうに太陽が沈んで、枝が複雑なシルエットを作った。
 こういう風景も冬ならではのものだ。

小幡緑地鳥撮り-11

 40分ほどの短い撮り歩きは終わった。もう少し光は残っていたのだけど、ここは冬場3月まで駐車場が5時半に閉められてしまう。夏場は7時くらいまで開いてるからいいけど、2月3月の5時半はちょっと早い。3月はせめて6時にして欲しいところだ。
 閉じこめられてはたまらないので、急いで車に戻った。もう少し撮りたかった。

 何年か前、小幡緑地でトラフクズを見たという情報があって、あわよくばと思っていたけど、そう簡単に見つるものではない。他にもいろいろ珍しい鳥もいるようなんだけど、夕方ではなかなかチャンスもないだろう。本気で撮りたければ早朝から午前中に出向かないと。そこまでして撮りたくはないと思ってしまうところが私が鳥の人になれないところなのだろう。鳥の人たちってホントに朝早いのだ。あるいはそこが鳥の人と一般の鳥好きとを分ける最後の境界線なのかもしれない。

日常生活で役に立たないセキレイの見分け方 ---矢田川鳥編第二回

野鳥(Wild bird)
矢田川鳥編2-1

PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di



 冬のこの時期、川にはたくさんのハクセキレイがいる。だから、セキレイを見ても興味対象外でカメラを向けることもほとんどないのだけど、うっかりしてるとその中にキセキレイが混じっていることがあるから油断ならない。キセキレイは比較的上流のきれいな川辺にいることが多くて、街中の川で見かけることは少ない。ただ、冬場になると山の方は寒いのか、都市部まで下ってくることがある。そういえばそうだったと、こいつを見て思い出した。ご無沙汰してました、キセキレイさん。
 一般的に、セグロセキレイは水辺、ハクセキレイは地上部、キセキレイは川の上流という棲み分けがなされているといわれている。けど、その境界線は曖昧で、しばしば入り交じり、ちょっとした縄張り争いが起きる。特にキセキレイは縄張り意識が強くて、仲間のオス同士が争ったり、他のセキレイにつっかかっていったりすることが多い。やつらの中では同じセキレイとしてひとくくりにしてくれるなという思いがあるのかもしれない。
 ハクセキレイは仲間同士仲良しで、しばしば緩やかな群れを作って行動している。セグロセキレイとキセキレイは単独行動を好んで群れないとされる。春から夏にかけての子育てのときだけペアで行動する。
 姿は似ていても、はっきり別の種だということがその行動パターンからも分かる。当たり前といえば当たり前なのかもしれないけど、不思議といえば不思議だ。きっと、普段から考えてることも違うのだろう。プライドの高いキセキレイは、ハクセキレイとは違うのだよ、ハクセキレイとは、なんて思ってるんだろうか。

矢田川鳥編2-2

 これまでキセキレイを撮ったことが3回か4回くらいあったと思うけど、ここ最近はしばらくチャンスがなかった。さかのぼって調べてみたら、2006年の6月に海上の森で撮ってる。去年かおととしの秋に岩屋堂でも見た。久しぶりということで、今回はパチパチ撮りまくった。
 夢中でたくさん撮って家に帰ってきて写真を見てみると、やけにブレている。手ぶれ補正のK100Dで、明るさもそれなりにあったのに何事かと思ったら、その直前に太陽のシーンを撮っていて絞りをF10にしたまま戻してなかったからだった。しまった。そりゃブレる。手ぶれよりも被写体ブレが激しかった。
 でもせっかくなので、あと2枚は載せておこう。いいチャンスだったのに、もったいないことをした。このキセキレイも長い時間モデルになってくれたのに。

矢田川鳥編2-3

 どんな構図だ、と思いつつ、キセキレイのポーズが面白かったので捨てがたかった。走り幅跳びの着地のときみたいでもあり、跳び箱を跳ぶ直前のようでもある。
 これは手ぶれではなくピンぼけ。K100DとTAMRON 70-300mm f4-5.6 Diと、両方の遅いオートフォーカスが動きについていけてない。
 若いときは腹の黄色が薄めで、成熟すると黄色が濃くなる。夏はやや薄い。
 オスとメスの見分けるポイントはノド。黒ければオスで、メスは白い。ただ、白に黒が混じるメスもいるので、見分けづらいこともある。写真のやつは熟女といっていいだろうか。

矢田川鳥編2-4

 お馴染みのハクセキレイ。セキレイの中では圧倒的な多数派だから、見かける大多数はこいつだ。
 背中が黒いからセグロセキレイかと思うかもしれないけど、違いは顔における黒と白の面積の差だ。白い部分が多ければハクセキレイで、黒地に白い線が入ってるだけならセグロセキレイとなる。
 冬場はセグロセキレイの背中が黒くなるから区別がつきやすい。夏になると違いがあまりなくなって、パッと見では迷う。幼鳥も似てるから、やはり見分けるのは顔ということになるだろう。

矢田川鳥編2-5

 こっちがセグロセキレイ。こうして並べてみれば明らかに違うのがよく分かる。黒の強さが全然違っている。背中だけでなく顔も大部分が黒色をしている。
 鳴き方や飛び方はみんな似ている。上下に波を打つような特徴的な飛び方や、尾っぽを上下に振るしぐさも一緒だ。
 一番の違いは、ユーラシア大陸を中心に世界中に分布しているハクセキレイと、日本の固有種であるセグロセキレイという点だろう。心情的にセグロセキレイの方に肩入れしたくなるのは仕方がないところだ。

矢田川鳥編2-6

 たぶんコサギのはずだけど、写真を見てたら自信がなくなった。逆光でシルエット気味になっていて、オスの方がよく見えない。でもオナガじゃないから、やっぱりコガモだ。
 コガモも何度も登場してるし、前に詳しく書いてるから、特に追加説明はない。

矢田川鳥編2-7

 メスだけを単独で見て見分けるのはけっこう難しい。日頃、派手な色のオスにばかり目がいっていてメスのことはほとんど見てないから、特徴を覚えていない。男好きとかそういうことではないのだけど。
 これは少し離れたところにマガモのオスがいたから分かった。マガモのメスだ。
 こいつを特別撮りたかったわけではなく、光の加減と水模様に心惹かれて撮った。マガモの背中にも少し哀感のようなものを感じる。

矢田川鳥編2-8

 マガモのカップル。
 おしどり夫婦なんていうけど、実際のオシドリは全然おしどり夫婦なんかじゃなく、毎年相手を変える乱れたやつらだ。それに対して、マガモはペアでいることが多い仲良しカップルという印象が強い。カモは基本的にそうではあるのだけど、特にマガモにそれを感じる。
 ちなみに、スズメやカラスなど、鳥類の90パーセント以上が一夫一婦だといわれている。それを思えば、オシドリは例外であって、仲のいいカップルのことをおしどり夫婦という使い方は正しくないことになる。芸能界のおしどり夫婦だと言われていたのに離婚なんてニュースを聞くと、そこまで見越しておしどり夫婦という言葉を生み出したのかと、深読みしてしまったりもする。

矢田川鳥編2-9

 オマケ写真はホトケノザ。河原にたくさん咲き始めていた。こういう姿を見ると、立春という暦は必ずしも気の早いものではないなと思う。私たちが気づかないところで春は確実に始まっている。
 この前はオオイヌノフグリも見たし、ヒメオドリコソウやハコベなどが出そろえば、いよいよ初春のオールスターそろい踏みとなる。ナズナやタネツケバナなんかも、もうどこかで咲いていそうだ。
 3月になればカモたちも北へ渡っていって、被写体の主役は鳥から花へと交代になる。だからあとひと月は、鳥を撮ろうとあらためて思った。このブログが鳥まみれになってしまったとしてもいい。冬とはそういうものだ。
 実は今日もまた近場で鳥を撮ってきたので、今日、明日と鳥ネタは続くのであった。

お馴染みの脇役だけでも一本になるもんだ ---矢田川鳥編第一回

野鳥(Wild bird)
矢田川鳥編1-1

PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di



 一本目が軽かったから二本立てでいこう。まだ余力は充分残っていた。
 写真を整理してみると、矢田川鳥編は一回に収まらなかったので、二回に分けることにした。使える写真を使わないのは、食べ残しのお菓子を食べないようでもったいないし気になる。見てもらう人のためというより自分のためだけど、ちょっとだけおつき合いください。
 鳥偏の一回目は、コサギとスズメしか出てこない。それぞれ4枚ずつ、お馴染みさんの写真を並べることにする。これまで何度も登場していて飽きてるところではあるけど、毎回多少は違っている。
 見慣れた被写体でも、撮るのは楽しいし、新しい発見もある。10回やそこら撮ったからといって撮りきったわけでもあるまいし、まだまだ可能性はたくさん残されている。いる場所によっては絵になるし、瞬間を捉えればそれは作品にもなり得る。背景も大事だし、光も味方につけないといけない。

矢田川鳥編1-2

 黄色い靴がお気に入りのコサギさん。サギの中で足の指だけが黄色いのはコサギだけだから、足を見ればすぐにそれと分かる。
 魚にしてみたらこの黄色い足は危険信号だ。急いで逃げないといけない。でもコサギはそれを利用する。足を見て逃げ出した魚をパクリといただいてしまう。
 黒い足をしたダイサギやチュウサギは、待ちかまえ型だ。じっと流れを見つめて、泳いできた魚を素早く捕らえる。
 どっちにしても器用なもので、お食事タイムになると次々に捕まえてパクパク食べている。

矢田川鳥編1-3

 いったん飛び上がってもう一度着水する直前のシーン。羽を広げてブレーキとして、スピードを殺しながら水面に降り立つ。サギはふわっとした感じで優雅だ。カモは腹打ちしてガァーガァーわめきながら着水することが多い。体も重さも羽の構造も違っている。
 動きものに弱いK100Dだけど、このときは上手いタイミングで撮れた。

矢田川鳥編1-4

 飛び去って、少し離れた場所に降り立つところ。サギの距離感というのは正確というか、よく分かっている。人とは一定の距離を置いて、つかず離れずがサギの姿勢だ。人の生活の近くで暮らしながら人にこびることがない。エサが小魚だから、人間の投げるパンの耳などには見向きもしない。
 人に慣れているサギなど見たことがない。野生はそれでいいのだ。

矢田川鳥編1-5

 仲良くみんなで並んでいると思いきや、一羽だけ逆方向を見ていた。人間界でもこういうやつはいる。
 スズメは見つけても、なんだスズメかとがっかりして撮らないことがほとんどなのだけど、今回はちょっと撮ってみた。スズメもなかなか奥が深い。

矢田川鳥編1-6

 地面に集まってみんなで餌を探している光景は微笑ましい。スズメの学校みたいだ。
 今でも小学校で「雀の学校」の歌は習うんだろうか。けどあの歌詞、考えるとかなり無茶だ。
 チイチイパッパ チイパッパ、雀の学校の先生は、むちを振り振り、チイパッパ、だものなぁ。ムチなんて振り回す先生がいたら、今どきは即刻クビだ。頭を張っただけで体罰だって言われてしまうのだから。

矢田川鳥編1-7

 逆光でちょうどいい感じに羽が透けてきれいなシーンが何度もあったのに、動作ののろいK100Dではことごとくチャンスを逃した。一回目の前近くを群れで横切った決定的シーンがあったのに、ピントが合わずシャッターさえ切れなかった。あれは残念だった。20Dなら連写で確実に捉えていたはずだ。

矢田川鳥編1-8

 この写真を見て、ああ、やっぱり河原はいいなと思った。何がどうという写真ではないけど、私の中にある矢田川の河川敷のイメージとこの写真の空気感が一致したせいだろうか。

 コサギとスズメだけで一回更新するなんて、なんてお手軽なと思いつつ、脇役だけでもなんとかなるもんだ。ダウンタウンのスペシャル番組で、コンビをシャッフルしてネタをやるという番組があるけど、あの中で私はウド鈴木とガレッジセールの川ちゃんのコンビが一番好きだったのを思い出した。昔で言えばうなずきトリオのようなものだ(それまた古い)。
 そんなわけで、矢田川鳥編一回目はここまでとしよう。明日、鳥編二回目をお送りする予定です。またお馴染みさんだけどちょっとだけ久々登場もいるので、少しだけお楽しみに。

鳥抜き矢田川冬の河原風景撮り歩き ---矢田川<前編>

海/川/水辺(Sea/rive/pond)
矢田川風景-1

PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di



 少し前にちらっと書いたように、今日は家から香流橋あたりまで矢田川沿いを歩きながら写真を撮ってきた。香流川沿いを行けば30分もかからない距離も、矢田川沿いに行くと大回りになってけっこう遠く感じる。写真を撮りながらゆっくり歩いたということもあって、45分くらいかかっただろうか。
 それなりに枚数を撮ってきたから、第一弾として鳥抜きの河原風景編としてみた。香流川は河原風景としては変化に乏しくて面白みがあまりないけど、矢田川は河川敷も広くて撮りどころも多い。人も多いけど広いから散らばっていて、あまり人目を気にせずに済むのもいい。
 子供から年配の人まで、歩いたり走ったり犬と話したりサッカーをしたり川に向かって石を投げたり、みんな思いおもいに過ごしている。オカリナを吹いたり尺八を吹いたりトランペットを吹いたりといったマニアックな人は見かけなかった。矢田川の端から端まで歩けばそんな人たちとの出会いもあるのかもしれない。

矢田川風景-2

 少し雲の多い日で、曇ったり晴れたりとせわしなく空模様は変化した。夕方近くなって天気がよくなったので、写真を撮るにはいい条件となった。
 水辺を吹く風はまだ冷たくても、体感としてはそんなに寒くはない。体が寒さに慣れたというのもある。今が一年で一番冷える時期だとしても、今日はもう立春で、ここから先は暖かくなる一方だ。早く春になって欲しい気持ちと、冬の冴えた空気がぬるくなってしまうのが残念なような気分と、季節の境目はいつもどっちつかずになる。あまりにも早く季節が駆けていってしまうのも困るという思いがあって。

矢田川風景-3

 ちょっと夏を思わせるような雲が浮かんでいた。冬空でもこういう雲は入道雲と呼ぶのだろうか。
 それでも手前の枯れ草が風になびいている様子は冬そのものだ。ちょっと寒々しい。5月になればここも新緑の緑色に染まることは、まだイメージできない。
 人は冬には夏のことを忘れ、夏には冬のことを思い出せないものだ。その季節の中に自分が立たないと分からない。その年の最初に汗をかいたとき、そういえば暑いってこういうことだったんだなとやっと思い出す。

矢田川風景-4

 一斉に飛び立って横切ったスズメの群れを撮ったつもりが、帰ってきてPCで見たら一羽も写ってなかった。あれれ、どこへいったんだ。K100Dのフォーカスとシャッターがトロすぎたか。
 でも、なんとなく冬枯れの河原風情がよく出ていて、これはこれで写真としてはいいかもしれない。ということで、採用してみた。

矢田川風景-5

 前から気になっている謎のオブジェ。用途不明で、設置場所も唐突だ。誰も使っているのを見たこともない。ただの飾りというなら邪魔だ。こんな真ん中にあったら自転車の子供とか危ない。
 ベンチでも遊具でもなく、体を鍛える道具でもなさそうだ。使い方の説明プレートが必要だ。

矢田川風景-6

 ちょうど太陽のところを人が横切ったら撮ろうと思っていたのに、ちょっと焦りすぎた。連写の三枚目でもまだ手前だった。
 K100DはRAWのとき三連写しかできずに、そこから長時間の書き込みに入って撮影できなくなってしまうのがもどかしい。個人的にはこれがK100D最大の欠点だと思っている。買い換えたくなるのはこういうときだ。600万画素でも画質も不満はないけど、K20Dも出たしそろそろK10Dへステップアップしようか。

矢田川風景-7

 自転車で二人組の男を見ると、モルモン教のお兄さんたちを思い出す。私が中学の頃頻繁に出没していたけど、最近はめっきり見なくなった。まだどこかで布教活動をしてるのだろうか。
 アナタはカミをシンジマスカ? とか話しかけられるのが苦手で、見つけると近づかないようにしたものだ。
 写真の人たちはレーサー関係の人だろうか。

矢田川風景-8

 矢田川の河原は、土と雑草風の芝生なので走るのにも歩くのにも犬の散歩にもいい。最近は、こういう軟らかい土の上を歩ける場所が貴重になった。未舗装の道がほとんどなくなってしまったから。田舎でさえそうだ。
 昔は花粉がいくら飛んでも土が吸収してくれた。今はアスファルトに落ちたのが舞って人体に入ってくる。近年は都市の緑化が盛んになりつつあるけど、整備された土の道というのも増やしていったらどうだろう。公園の芝生化ももっと進めていって欲しい。

矢田川風景-9

 レンズの偽色とは別に、RAW現像ソフトの偽色というのもある。この写真でいうと、下の部分の不自然な紫色がそうだ。Photoshop Elements 4.0のRAW現像は、こういう水面や光のキラキラ部分で激しい偽色が発生する。たとえば、RAW現像専門ソフトのSILKYPIXでRAW現像すると、こういう色は出ない。それじゃあ、SILKYPIXをメインにすればいいかといえば話はそう単純でもなく、あれはRAW現像しかできなくてリサイズなどは別の編集ソフトでやらないといけないから二度手間になって面倒なのだ。そもそも無料で手に入るフリー版しか持ってないし。
 最新のPhotoshop Elements 6.0では改善されてるんだろうか。されてるなら買ってもいいんだけど。

矢田川風景-10

 河原の石投げ勝負をする小学生男子たち。懐かしい昭和の光景だ。私たちは水切りをよくやった。平べったい石を水平に投げて何段跳ねるか競争するあれだ。
 けど、考えたら子供の頃って暇だったんだなとあらためて思う。大人になると、こんなのんきな遊びをしてる時間がない。時間があっても気持ちが続かない。子供は1時間でも2時間でも石を投げている。子供と大人の精神性というのは、成長していく中のどこかで知らない間にはっきり切り替わっているらしい。

矢田川風景-11

 もう目的地近く、河原歩きはここまでだ。そろそろ夕陽も沈みかけてきて、建物を夕焼け色に染めた。
 矢田川はこの先で南を流れる香流川と合流して、進行方向を北へ向けながら庄内緑地の手前で庄内川に飲み込まれる。庄内川は南西に方向を変え、名古屋の西端を南に下る。その終点が、この前ここにも登場した名古屋市野鳥館や藤前干潟があるあの河口だ。
 機会があれば、矢田川の別の場所も撮り歩きをしたいと思う。
 今回の矢田川撮り歩きでは鳥も撮っているので、今日このあとか、明日かに第二弾として紹介することを予定している。また鳥か! そう、また鳥なのだ。でも、鳥配合が50パーセントを超えないように、違うネタ探しにも出かけないと。そろそろ早春の野草便りが届き始めた。梅もぼちぼちだ。春になれば被写体も増えるし、日も長くなる。

テレビ塔は名古屋人のためにただそこに建ち続けることでよしとしよう

名古屋(Nagoya)
テレビ塔足元




 名古屋栄にあるテレビ塔が知らない間にリニューアルしていた。2006年の6月というから、1年半以上も知らずにいた。テレビ塔は名古屋の人間にとって近くて遠い存在といえるのではないだろうか。一度や二度は登ったことがあっても普段はほとんど気にかけることはない。
 昔ながらのおみやげ屋などを一切取っ払ってオシャレ空間に生まれ変わった。脱昭和を目指したということか。かつてファミリー向けのレストランがあったフロアにはやや高級志向のレストランが入った。ランチは2,300円から4,500円、ディナーは4,800円からとなかなかのものだ。見晴らしはよさそうだけど、4階ではやや低いか。
 同じフロアにはラウンジもあって、夜が早いといわれる名古屋では珍しく深夜2時まで営業しているのだとか。
 展望台の営業時間も、これまでは土日だけ21時までで平日は18時までだったのを、毎日21時まで営業するようになった。それはありがたいけど人件費と光熱費は大丈夫かと他人事なら少し心配になる。
 その他、ギャラリーや名古屋を紹介するスペースなどが設けられ、1階にはマ・メゾンなどの食事関連の店が入った。オープンテラスもきれいになった。
 これまでは入り口から入ってすぐのところで入場料金を払うシステムだったのが、展望フロアだけ有料となって、1階から4階までは無料となった。展望台の料金も750円だったのが600円に値下がりした。コンビニでチケットを買っていけば500円だし、JAF割引も100円引きなので実質500円となり、これなら安い。実はけっこう頑張っているのだ、テレビ塔。
※こののち再値上げされた。
 今回のリニューアルのもう一つの目玉が、タワーウェディング(THE PARK BANQUET)だ。地上100メートルの吹きさらしで式を挙げることができるという。春夏はいいとしても冬は寒そうだ。披露宴はそのまま4階のレストランを貸し切りで行うことになる。今までどれくらいのカップルが式を挙げたんだろう。



テレビ塔を見上げる

 真下から見上げるテレビ塔は意外と大きくて存在感がある。スタイルはほっそりしている。良く言えばスリムでシャープと言えるだろうか。デザインは古いような新しいような、どっちなんだろう。無骨な鉄骨むき出しというのが逆に新しいようにも見える。時代が一周巡って、周回遅れで先頭に立ってしまったランナーのようなものかもしれない。
 名古屋のテレビ塔は日本で一番最初にできた電波鉄塔だ。東京タワーが昭和33年(1958年)に対して名古屋のテレビ塔は4年前の昭和29年に完成している(札幌のテレビ塔は昭和32年)。
 できた当初に撮られた古い写真を見ると、周りには高い建物がなくて、足下は広場のようになっている。今は周りのビルに囲まれて街に埋もれるような形になってしまっているから、当時の様子を想像するのが難しい。
 180メートルは今となってはちょっと低すぎたかもしれない。おかげで地デジにも対応できず、地上デジタル放送の電波塔は瀬戸に新設されてしまった。テレビ塔は2011年に電波塔としての役割を終えることになっている。ただし、塔自体がなくなってしまうわけではないので心配は無用だ。2005年に国の登録有形文化財に登録されたから、ちょっとやそっとのことで取り壊されることはない。



テレビ塔エレベーター内

 入り口から入ってすぐにエレベーターガールがお出迎えしてくれて、エレベーターで3階まで上がる。
 3階でチケットを買って、もう一度エレベーターに乗ってスカイデッキ(90メートル)を目指す。
 写真は上昇中の様子だ。全面シースルーなので、ちょっと恐怖を感じる。鉄塔の上の方へ行くと細くなるから、狭い筒の中を上昇してるようで不安感が襲う。夜でも恐かったから昼間はもっと恐ろしそうだ。
 テレビ塔にはもう一つの登り方がある。それは、階段を歩いていく方法だ。東京タワーなどでもイベントなどで登れるようだけど、テレビ塔はいつでも行けるようになっているはずだ。435段でそんなに険しい道のりではないらしいから、上りが嫌なら下りだけでも階段を使うというのもよさそうだ。足下が見えて相当恐いらしいけど。
 テレビ塔ができた当初、階段上り競争が行われたのだけど、危険すぎるということで一年で終わってしまったという歴史もある。
 エレベーターはのんびり上昇していく。決して焦らない。1分くらいかかっただろうか。



テレビ塔おしゃれフロア

 オシャレ空間になっていてびっくり。昔のテレビ塔がどんなふうだったかもはや思い出せないのだけど、こんな洗練されてなかったことは確かだ。カップルを意識した椅子やソファーも気が利いている。これならゆっくりくつろいで景色を楽しめる。ここは脱昭和に成功していると言えるだろう。



テレビ塔オープンデッキ

 スカイデッキから階段で上がったところに、オープンデッキのスカイバルコニーがある。ここが一般人が登れる一番上で、地上100メートルだ。
 全面金網張りで金網デスマッチのようになっている。逃げたくても逃げられない。ここに出る扉が手動の横開きというあたりに昭和の名残を見た。
 網にはいくつかの南京錠がつけられていた。渥美や伊良湖にあるような恋人たちの約束のモニュメントだろう。けど、ここにそんな伝説あったっけ。
※のちに恋人の聖地として認定されることになった。
 金網が張ってあるとはいえ、吹きさらしなので何しろ寒い。5分と持たずに室内に逃げ込んだ。夏は暑そうだし、夜景をうっとり眺めながら過ごせるのは季節が限られている。
 以前このスペースは、展望バルコンという名前だったはずだ。バルコンというのはバルコニーのフランス語で、このあたりのネーミングにもエッフェル塔への対抗意識がうかがえる。スカイバルコニーに名前が変わったのもリニューアルのときだったのだろうか。



テレビ塔金網越しの夜景

 見晴らしはなかなかいいけど、金網越しでは写真は厳しい。カメラのレンズを出すための穴なんてのも開いてない。
 見えているのはオアシス21だ。右側に見えているのが、名古屋名物100メートル道路の久屋大通で、その間にセントラルパークがある。テレビ塔は、セントラルパークの北寄りに位置しているから、地下鉄で行く場合は、栄ではなく久屋大通で降りた方が近い。
 最近は高い展望台も増えて、100メートルでは低いくらいに感じる。できた当初は、未体験の高さに名古屋の人たちはさぞかし驚き感動したことだろう。



テレビ塔展望フロア

 一段下の室内に戻ってきた。10メートルの差はけっこう大きい。
 名古屋駅のタワーは西になる。栄は名古屋駅よりも北側にあるのだけど、道が斜め下に伸びているから、それをたどっていくと名古屋駅にぶつかる。
 県外の人は栄と名古屋駅が案外近いと思って歩く人もいるそうだけど、名古屋人にしたらとんでもないことだ。栄から名駅まで歩くやつなんていない。直線距離にしたら3キロくらいだから歩けない距離ではないけど、感覚として歩いていくような位置関係にはないという思い込みがある。



テレビ塔夜景

 こちらは三越などがある栄の中心方面だ。前に紹介したビルに張り付いたサンシャイン栄の観覧車も頭が見えている。
 晴れた冬の日は、遠く御嶽山や中央アルプス、三河湾や知多半島まで見渡せるそうだ。でも同じものは、名駅のミッドランドスクエアのスカイプロムナードからの方がもっとよく見えるわけで、テレビ塔ならではというのはあまりないのかもしれない。



オアシス21

 1時間ほどテレビ塔を堪能して降りてきた。これでもうしばらく登らなくてもいいだろう。あそこは、20年か30年ぶりくらいに行ってこそ感慨が持てる場所だ。そうそう頻繁に行くところではない。
 リニューアルが成功だったかどうかはもう少し時間が経ってみないと分からないかもしれない。ぐっとしゃれた印象にはなっていたけど、それを名古屋人が望んでいたかどうかはまた別だ。いつまでも変わらないテレビ塔であってほしかったと思っている人も少なくないんじゃないか。個人的にもその思いが強い。
 ここは県外の人よりも名古屋人のためにあるものかもしれないとあらためて思った。東京における東京タワーとは明らかに存在意義が違う。子供の頃行って以来長らく行ってなくて何十年ぶりかにいくといろいろと思うところがある。思い入れがないと感動が薄い。単純に展望台からの景色というならミッドランドスクエアの方が見応えがあるし、名古屋へ行ってテレビ塔に登ってきたと言っても自慢にはならない。
 それでもテレビ塔はどこまでいってもテレビ塔なわけで、大切なのはずっとそこに建っているということだ。忘れられたような存在になっていたとしても、名古屋の人間はテレビ塔がなくなることを望んではいないはずだ。誇りにもならず、特に話題にもしなくても、栄に行ったときにいつもの場所に当たり前のように建っているのを確認して、ああ、テレビ塔か、といったぐらいできっといいのだ。

【アクセス】
 ・地下鉄名城線/東山線「栄駅」より徒歩約5分。
 ・地下鉄名城線/桜通線「久屋大通駅」から徒歩約4分。
 ・駐車場 有料のみ(テレビ塔入場券で契約駐車場が30分無料になるらしい)
 ・営業時間 10時-17時半 / 18時-21時(季節による変動あり)
 ・展望台料金 1,000円

 名古屋テレビ塔webサイト
 

鬼を作って鬼を食う節分サタデー料理で今年も一年無病息災祈願

料理(Cooking)
節分サンデー

Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II



 今週もサンデー料理ではなくサタデーとなった。明日の午後はゆっくり料理をしてる時間がなさそうなので、一日前倒しにした。
 今回のサタデー料理は当初、明太子づくしの予定だった。いただきものの明太子を使おうと、レシピを調べている途中、鬼の顔をかたどったキャラ弁のレシピが出てきて、そういえば明日は節分だったなと、はたと思い出して路線変更となった。
 今回のサタデー料理のコンセプトは写真を見てもらえれば一目瞭然、節分料理だ。メインディッシュがすべてで、あとの2品は付け足しに過ぎない。メインに力の8割を注ぎ込んだ。
 最初、恵方巻の鬼顔バージョンを考えていたのだけど、手本がなくて難しそうだったので断念。顔の土台とパーツを別々に作ってしまった方が簡単だということで予定を変更して、最終的にこの形となった。
 鬼といわれれば鬼だけど、何かが違うというのは私も自覚している。どこで設計図を間違えたんだろう。随所に盛り込まれたアイディアは我ながら秀逸な部分もあるのだが。たとえば、カップ焼きそばUFOを使ったもじゃもじゃヘアーとか。

 せっかく作るなら食べても美味しくなければ意味がないということで味にもこだわった。土台は、豆腐にすり下ろしたニンジンと明太子を混ぜ込んだものでハンバーグ風にした。赤鬼をイメージしたのだけど、思ったより赤くならなかったのは惜しいところだ。黄鬼というか橙鬼になってしまった。ここをニンジンライスか、ケチャップライスにするともう少し赤くなっただろう。
 豆腐ハンバーグは、塩、コショウ、しょう油で味付けたした以外は余計なものを加えなかった。美味しさ重視なら挽肉入りにした方がいい。
 パーツは、ダイコン、ニンジン、味付けのりで、立体にこだわって制作した。それぞれ、コンソメスープで煮て味付けをして、形に切ったり、のりを巻き付けたりしてある。角はタケノコで作りたかったのだけど、この時期あまり出回ってなくて、ここだけのために買うには高いので断念した。目玉もこだわるなら黒豆を使いたかった。ダイコンのキバが大きすぎたようだ。
 髪の毛のUFOはナイスアイディアだったのだけど、ここももうひと工夫余地があっただろう。ミートスパゲティでもよかったかもしれない。
 これはしかし面白い。子供がいればもっと盛り上がるところだ。福笑いのように顔のパーツを置く位置によっていろいろ表情が違ってくるから、そんなことをしても楽しめる。
 節分の本番は明日なので、これを参考にしてもっと上手に作ってもらいたいと思う。土台はライスの方が自由度が高そうだ。

 鬼バーグにも明太子を使っているけど、他の2品も明太子料理となっている。こちらが最初はメイン料理だった。
 右奥は、白身魚と明太子の挟み蒸しだ。
 白身の切り身に塩、コショウ、白ワインを振ってしばらく置いておく。二枚重ねの下に明太子を塗り、大葉を重ね、炒めたタマネギを乗せて、白身の上を重ねる。それをラップで包んで、レンジで5分ほど加熱して、そのまま放置して蒸しておく。
 ソースは、炒めたタマネギの残りに白ワイン、水少々、コンソメの素、しょう油、塩、コショウ、カラシを混ぜてひと煮立ちさせたものをかける。
 最後に黒コショウ、乾燥バジル、白ごまを振りかけて完成だ。

 左奥は、サトイモとダイコンの明太子とろろがけとなっている。
 皮をむいたサトイモをスライスして水につけておく。ダイコンはいちょう切りにして塩水で茹でたあと、白ワイン、コンソメの素を加えて煮付けていく。あとからサトイモも投入する。
 すり下ろした山芋に明太子を混ぜて、だし汁、塩、コショウ、しょう油で味付けをする。
 あとはサトイモとダイコンに明太子とろろをかけて、刻み長ネギを乗せて、青のりを振ってできあがりとなる。

 鬼バーグの存在感が強すぎて見た目のバランスは悪いものの、トータルの味は悪くなかった。鬼バーグもニンジンの素朴な甘みと明太子の辛さがあわさって美味しく食べられた。子供にしては味がパンチ不足だろうから、ケチャップなどでもう少しはっきりした美味しさに仕上げた方がよさそうだ。
 ただ、明太子というのは他のものを混ぜて脇役に使ってしまうと影が薄くなるものだということを知った。明太マヨネーズパスタなんかならいいだろうけど、明太子はそのままご飯のお供として食べるのが一番美味しいようだ。
 でも、久しぶりにこれまで使ったことがない食材を使えて、その点では楽しめた。新たな食材が新しい可能性を見せてくれる。
 キャラ弁は小さな子供と弁当を作るお母さんだけの楽しみではない。これを夕飯に応用しても全然かまわない。作る方も楽しめる。しかし、必要以上に時間がかかることが難点だ。今回も料理開始から食べるまでに2時間半以上かかってしまった。しばらくキャラものは封印したいと思う。そのうちまた挑戦してみよう。
 今年の節分はこれでやったことにしたい。豆まきは省略してもいいだろう。鬼を食ってやったから、もう大丈夫だ。鬼を外に出すのではなく自分の中に取り込んでしまったんだから、二重に心強い。これで今年一年、無病息災に違いないと喜ぶ私であった。

知らなかったけどマ・メゾンって名古屋では知られた洋食屋さんだったらしい

名古屋(Nagoya)
マ・メゾン-1

Panasonic DMC-TZ1



 三越ラシックに入ってるマ・メゾンへ行ってきた。
 名古屋では有名な洋食屋らしいのだけど、行く前までそんなことはまったく知らなかった。本店は星ヶ丘で、開業は20年ほど前なんだとか。
 ここのことを知ったのは偶然だった。最初はテレビ塔へ行こうと話をしていて、夕飯をどこか適当なところで食べようということで探していてたまたま見つけたのがここだった。テレビ塔の一階に最近オープンした店の他にもいくつも支店があった。セントラルパーク店でもよかったのだけど、駐車場の関係もあってラシックの方に行くことにした。三越ラシックに一度入ってみたいというのもあって。
 店舗は名古屋市と近郊であわせて10店ほどあって、カフェやとんかつ屋なども展開しているようだ。シンガポールにも店を持っている。
 マ・メゾンというのはフランス語で私の家という意味だ。しかし店のコンセプトは英国風。洋食屋の冠がついたところとパブ&レストランをうたっているところとあって、オーナーはイギリス好みのようだ。なんでもイギリスへ行ったとき、おばさんが料理を出して優しくもてなしてくれたことに感動して自分も店を開いたという。それだったらマイ・ハウスかマイ・ホームでよかったんじゃないのか。まあ、店の名前としてはマ・メゾンの方がそれっぽくはあるか。
 私は飲まないからよく分からないけど、ワインやビールなども充実してるそうだ。

マ・メゾン-2

 イギリス風のインテリアがどんなものかさっぱり分からない私としては、店内がイギリスの雰囲気なのかどうかの判断はつかない。とりあえずフーリガンがサッカーを見て暴れてなくてよかった。いろいろネットの情報を読む限り、星ヶ丘の本店と他の店はずいぶん違っているようだ。ラシック店も、イギリスを前面に押し出しているという感じはない。このテーブルクロスとかはそうなのだろうか。
 星ヶ丘店は外観も内装も凝っていて、なかなか評判がいい。インテリアも英国のアンティークを使っているんだとか。会計もムードを壊さないように紙のレシートではなく鍵がテーブルに置かれるらしい。どんな仕組みになっているのかはよく分からない。クロード・ルルーシュ監督の『男と女』からヒントを得たとかなんとか。
 けっこう混んでいて週末は並ぶという情報だったけど、このときは6時過ぎということですんなり座ることができた。それでも座席はほぼ埋まっていたようで、私たちが食べている間にいつの間にか満席になっていた。

マ・メゾン-3

 最初にスープとサラダが出てきた。ライスとのセットメニューで、この日は冷製オニオンスープとかだったろうか。私としては小学校の給食で習って以来、三角食べを信条としているので、メインのハンバーグが出てくるまでじっと待った。しかし、待てど暮らせどハンバーグは運ばれてこない。ツレいわく、スープを飲み干すまで持ってこないつもりかもしれない。仕方がない、じゃあまずスープを飲むか。
 けど、なかなかここから先に進まなかったことは確かだ。混んでいたこともあったのだろう。結局20分くらい待つことになった。ちょっと遅い。注文してすぐに出てくると、それはそれで説得力を欠くのだけど、あまり遅いと間延びしてしまう。
 スープを飲んでほどなくしてハンバーグが出てきたから、ホントに私のスープ待ちだったのか。それは勘ぐりすぎという気もするけど。

マ・メゾン-4

 洋食の基本メニューは一通り揃っていて何を食べるか迷うところだ。しかし、ここの一番の売りが開店当初から変わらない味を保っているデミグラスソースとなると、やはり基本のハンバーグということになるだろう。一番シンプルなマ・メゾンハンバーグにしておいた。
 一口食べて、なるほどと思う。旨いっ! っていうような驚きではなく、ああー、うんうん、そうだよね、と静かに納得する味だ。ハンバーグ自体の質感といい、デミグラスソースといい、家庭のものとは明らかに違うし、ファミレスのインスタントっぽいものとも一線を画している。喫茶店のオヤジが作るハンバーグとも違う。これはなかなかやるねという感じなのだ。
 ツレはとろとろオムライスを注文した。こちらも申し分なく美味しかったようだ。
 どちらも1,000円弱と、街の洋食屋なんかよりも安く、ほとんどファミレス価格だ。もう少し高くてもいいんじゃないかと思うくらいだった。
 この金額設定が名古屋人に受け入れられているというのもあるのだろう。名古屋人は安くて美味しいものが好きだ。お得という言葉に弱い人種だから。
 客層も幅広く、女性が多いというのも特徴の一つといえるだろう。友達同士で来ている女の人が多かった。おばさま一人客もいて、懐の広さを感じさせた。デートにも使えるし、子連れの一家や年配の夫婦でも大丈夫だ。味と金額と店の雰囲気のバランスがいい。

マ・メゾン-5

 店を出たのが7時過ぎで、待ち人が10人ほどいた。並ぶというのは本当だった。ネットからでも一週間以上先なら予約ができるし、電話なら直前でもできるようなので、週末に並ばずに食べたければ予約していった方がいい。
 安心して食べられる洋食屋として貴重な存在なのだろうと思う。何を食べてもハズレがないというのが一般的な評価のようだ。洋食メニュー以外も美味しいようだし、とんかつ屋の方も評判がいい。高級店ではないから、期待しすぎるとたいしたことないじゃないかとなってしまうかもしれないけど。
 私としては、星ヶ丘店の方に一度行ってみたいと思っている。そこで食べてこそ初めてマ・メゾンで食べたということになりそうな気がする。洋食屋さんのクリームコロッケとかも食べたいし、カレーライスも美味しそうだ。4種類のソースで食べるとんかつというのもいけそうだ。そのうち機会を見つけてぜひ行ってみよう。行ってきたら報告します。

鳥ネタの割合が濃すぎるから2倍に薄めるために二本立て更新すべし

野鳥(Wild bird)
香流川風景2-1

PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di



 ここのところちょくちょく近所の香流川沿いを歩く機会があって(好きこのんでではなく必要に迫られて)、つい先日も歩いて写真を撮ってきたので並べておこうと思う。この前は夕暮れだったけど、今回は少し早い時間でまだ光があった。まったく同じコースで鳥の顔ぶれもほとんど一緒なのに、光があるとないとでは写真が違ってくる。光がいかに貴重なものかを知る。
 今回のデジとレンズは、K100Dとタムロンの望遠ズームの組み合わせだった。このレンズは強い光のあるシーンでは激しく偽色が出るのだけど、一般的な条件ではなかなか優秀だ。F値が暗いから背景のボケはきれいじゃないけど、解像感やクリア感は悪くない。画質的には単焦点に分があるのは間違いないにしても、ズームの自由度はそれ以上に価値がある。300mm単焦点では撮りたくても撮れない場面がよくある。画質が落ちるのはマイナスだけど、撮れなければゼロだ。お散歩撮りの場合はやはりズームに限る。

 まずはお馴染みのコサギさんから。この日はそんなに寒くなかったのに、首をすっこめて寒そうに背中を丸めていた。本当に寒いと感じているのかどうかは分からないけど。
 長い首はどこにたたまれているのだろう。背中の方ではなさそうだから、首からおなかにかけてたたんでるんだろうか。この状態と普段首を伸ばしてる状態では、別の鳥に見える。

香流川風景2-2

 飛び姿コサギ。相変わらずの純白だ。これが貴重な鳥だったら、みんなもっとありがたがっただろうに。白さだけならツルにだって負けてない。
 人は白い生き物に対して畏怖感のようなものを抱きがちだ。白馬とか、白ヘビとか。でも、ありふれていたらありがたみは一気に薄れる。白い犬や猫のように。

香流川風景2-3

 オナガさんが横一列に並んで食事中。オスが4羽揃って、仲良しの仲間だったのだろうか。メスはどこへいったんだろう。
 顔を水中に突っ込んでは出し、出しては突っ込んで、また出して。そのリズミカルな動きはどこかコミカルだ。
  このときは水中のコケか何かを食べていたのかな。

香流川風景2-4

 この日もお馴染みさんしかいなかった。これはマガモだ。
 毎年同じ場所には同じようなメンバーしか渡ってこないというのも不思議な話だ。別の場所には普通にいるキンクロハジロやホシハジロなんかもここでは見かけない。ヒドリガモとかヨシガモなんかも。毎日定点観測していればまたには珍しいやつも紛れ込んでくるのだろうか。
 この写真はカモよりも水の模様が面白かった。

香流川風景2-5

 コガモのペア。
 カモを撮っていてもなかなかドラマチックなシーンには出会えないものだとあらためて思う。魚をとるわけでなく、珍しい動きをするでもなく、色がすごくきれいというわけでもない。カモ撮りって、渡ってきた秋には嬉しいんだけど、冬になるとあまり楽しくないことに気づく。光のドラマでもあれば、アクセントとして役だってくれるんだけど。

香流川風景2-6

 夕方の光が、平凡な風景を少しだけ非凡なものに変えてくれる。夕焼け色に染まってなければ撮ろうと思わなかった光景だ。

香流川風景2-7

 夕陽に長く伸びる自分の影と、散歩する人たち。
 この川沿いはやたら散歩する人が多くて、ほとんど30秒に1度くらいの割合で人とすれ違ったり追い抜かれたりする。だから、写真を撮るにも人目が気になって仕方ない。自分の他にカメラを持ってるような人も歩いてないし。
 だから、この風景に見覚えがあって、川に向かってカメラを構えている男がいたら、それは私である確率がかなり高いのではないかと思う。見て見ぬふりしてさりげなくすれ違ってください。

香流川風景2-8

 これといった収穫がないまま30分弱の散歩撮影は終わった。少し日が長くなって日没にはまだ間があったけど、もう帰ることにする。
 写真向きなのは、香流川よりも一本北の矢田川の方だ。あっちの方が変化もあるし、散歩人だけでなくいろいろな人種が集まっていて被写体も多い。カモのメンバーはだいたい一緒だろうか。
 近いうちにもう一度歩かないといけないから、次は矢田川沿いから行くことにしよう。

 ここのところこのブログの鳥ネタ確率が高くなっているのが自分でも気になる。昨日せっかく神社仏閣ネタがきて、やっと鳥から離れたかと思ったら、またすぐに鳥に戻ってしまった。これはよくないんじゃないか。しばらく鳥から離れた方がいいじゃないか。いや、しかし、まだ花鳥園写真が残っているぞ。あれもネタとして古くなってしまう前に使い切ってしまいたい。
 こうなったら鳥と別のネタの抱き合わせ戦法しかない。鳥と他の二本立てにして鳥の割合を薄めるのだ。濃縮ストレートつゆを薄めるみたいに。
 というわけで、このあと二本目に入ります。またちょっとあとで会いましょう。

名古屋は日泰寺のことをもっと全国に宣伝してもいいんじゃないか

神社仏閣(Shrines and temples)
日泰寺門前




 日本で唯一、公式にタイ王国から贈られたお釈迦様の骨(仏舎利)が安置されている超宗派のお寺が名古屋にある。千種区の覚王山にある日泰寺(にったいじ)がそうだ。
 しかし、この日泰寺、全国的な知名度はかなり低い。名古屋の人でさえ、どういういきさつで建てられたか知らない人が多いんじゃないだろうか。本来なら名古屋人が全国の人々に大いに自慢していいお寺なのに、名古屋名所にさえ入っていない。外国人もほとんど見かけないところを見ると、海外の名古屋観光紹介にも出ていないのだろうか。
 そんな日泰寺について、お釈迦様とも絡めて少し書いてみたい。



山門と五重塔

 紀元前5世紀から4世紀頃、釈迦ことゴータマ・シッダッタ(ガウタマ・シッダールタ)は、インドとネパールの国境近くにあるシャーキヤ族の小国、カピラ王国の王子として生まれたとされる。生年については記録が残っておらず、はっきりしない。キリストが生まれる400年も500年も前のことだから、かなりの昔のことだ。誕生日は一応、4月8日ということになっている。
 生まれてすぐに七歩歩いて、右手で天を、左手で地を指して、「天上天下唯我独尊」と言ったというエピソードがよく知られている。
 王子として大切に育てられ、16歳で従姉妹のヤショーダラーと結婚、ほどなく男の子(ラーフラ)が生まれた。
 何不自由なく暮らしていた29歳のシッダールタは、ある日突然、家族を捨てて、出家してしまう。よほど思うところがあったのだろう(出家した年齢は19歳という説もある)。
 各地をさまよい、人々に教えを乞い、修行や苦行を重ね、35歳のとき、菩提樹(ピッパラの樹)の下で悟りを開いたとされている。そしてシッダールタは、仏陀(ブッダ)となった。これは、サンスクリット語で目覚めた人を意味する言葉だ。
 釈迦というのは、釈迦牟尼(しゃかむに)の略で、釈迦族の聖者といった呼び名だ。釈迦は他にも呼び名がたくさんある。日泰寺がある覚王山の地名も、釈迦の別名である覚王からきている。
 悟りを開いたのちの釈迦は、各地で人々に教えを説いてまわり、80歳のとき入滅(死去)した。旅先で食中毒になったなどという話の真偽も今となっては分かるはずもない。
 お釈迦様といえば聖者の中の聖者というイメージがあるけど、キリスト同様実際はとても人間らしい人だったのかもしれない。最期を悟った釈迦は、娑羅双樹(さらそうじゅ)の下で横になり、弟子たちに見守られながら死んだという。
 このとき、頭を北に向けていたことが仏教と共に日本に伝わって、死者の頭を北向きにする習慣となっていったという説がある。いつから北枕が不吉なものとなったのかはよく分からないけど、もともとは縁起が悪いということではなかった。
 今でも神式の葬儀で死者を北枕にするそうだから、あるいは北枕の風習は仏教以前からあったのかもしれない。



本堂と五重塔

 インドがまだイギリスの植民地だった1898年(明治31年)、地方行政官だったイギリス人のウイリアム・C・ペッペは、ネパール国境沿いのピプラハワ村にあった自分の荘園で、大きな石製の櫃(ひつ)を発掘した。
 開けてみると、中からは金銀財宝や装身具などと共に人骨の入った水晶製の壷が出てきた。そこには古代文字が刻まれており、解読してみると、どうやら釈迦の骨らしいという話になった。
 このニュースが伝わると、仏教界や学界は大騒ぎとなった。というのも、その頃、釈迦の存在は伝説上のものでしかなく、その実在は疑わしいという考えが主流だったからだ。最終的には本物だということになり、ようやく釈迦の実在は証明されることになったのだった。
 骨はいったんイギリス本国に持ち帰られたあと、話し合いがもたれ、仏教国のシャム(現在のタイ)の王室に寄贈されることとなった。
 その話を伝え聞いた仏教国は、うちにも分けて欲しいと名乗り出て、ビルマ(現在のミャンマー)、セイロン(現在のスリランカ)、そして日本などに分骨されることが決まった。
 釈迦の生まれ故郷に近いインドやネパールへ行かなかったのは、両国の主な宗教がヒンドゥー教になっていて、仏教徒は少数派だったからという事情がある。
 ついでに言えば、仏教の本場が中国だという思い込みは正しくない。仏教のルーツはインドだ。それが中国を伝わって日本に入ってきたに過ぎない。その中国ももはや仏教国ではなくなっていった。



三門の内側

 日本への分骨が決まったあとが大変だった。誰がどこに寺院を建てるかでモメにモメて、しまいには宗教闘争にまで発展することとなる。いったんは京都の妙法院へ仮安置されたものの、話し合いでは決着がつかず、2年の歳月が流れてしまう。その間も裏では宗派間の激しい駆け引きが続いていた。権謀術策、買収、怪文章などが飛び交ったという。
 そうこうしてるうちに、明治35年、シャム国の皇太子が日本にやって来ることになり、さあ、困った。せめて建設地だけでも決めなければまずい。最終的に京都と名古屋の一騎打ちで決選投票となり、そこでも大混乱が起こり、最後は官民一体で招致に熱心だった名古屋が勝ちを収めることとなる。
 こうして翌明治36年、覚王山日暹寺(にっせんじ)の建造が始まり、37年には仮本堂が建った。
 釈尊の遺骨を安置するための奉安塔は、東京大学の伊東忠太設計で1918年(大正7年)に完成した。これは本堂がある境内から離れたところに建っていて、非公開で見ることができない。
 その後も伽藍の増築が続き、昭和7年(1932年)にシャムの国名がタイに変わったことを受けて、昭和16年に日泰寺と改称されて現在に至っている(泰はタイ国のこと)。
 日泰寺は、どの宗派にも属さない日本で唯一の寺となっている。19宗派が持ち回りで三年ごとに住職を務めている。だから檀家も存在しない。



日泰寺境内

 お寺としての歴史は浅く、建物も明治から昭和にかけて建てられたものだ。しかもそれらは第二次大戦の名古屋空襲で大部分が焼けてしまったため、昭和になってから再建されたものが多い。三門も本堂も五重塔も、すべて鉄筋コンクリート造りとなっている。
 もし、京都にこの規模の寺院が建てられていたらどうだったろう。空襲がなかった京都だから、今頃は修学旅行のコースに入っていて、外国人が大勢やって来る観光名所になっていたかもしれない。名古屋が勝ったことがよかったのかどうなのか。
 敷地は現在でも10万坪の広大さを保っている。
 山門は昭和61年建立、五重塔は平成9年築と、どちらも新しい。現在の本堂も、昭和59年に建てられたものだ。
 釈迦の遺骨を納めた奉安塔は先ほども書いたように非公開となっている。境内の北東の丘の上にあって、わずかに土台の部分を垣間見ることができるのみだ。この建物には扉のたぐいがなく、遺骨を取り出すには塔自体を壊すしかないそうだ。
 鳳凰台、八相苑、草結庵、同夢軒なども非公開で一般人が立ち入ることはできない。



本堂

 本堂では去年、雅楽師の東儀秀樹がコンサートを行っている。父親が商社マンだった関係で、小さい頃をバンコクで過ごしたとのことで、日タイ修好120周年の親善大使を務めているんだとか。
 普段は参拝客がポツリポツリと訪れる程度で、いたってのんびりした空気感に包まれている。境内の大部分が無料駐車スペースなので、ドライバーや営業マンの憩いの場所となっていたりもする。無断駐車1万円と書かれているのだけれど。
 初詣客もそれなりにいるのだろうけど、あまり話題にならないところをみると、大混雑するほどではないのかもしれない。
 名古屋の著名人などで参列者の多い葬儀が行われるのは、ここ日泰寺だ。
 賑わいをみせるのが毎月21日で(弘法大師の入定した日)、そのときは縁日が開かれて様相が一変する。参道には店が建ち並び、押すなおすなの大盛況となるそうだ。実際に自分で見たわけではないのでちょっと信じられないのだけど、見るとかなり驚きの光景らしい。
 4月8日はお釈迦様の誕生日で花祭りが行われるから、そのときも大勢の参拝客が訪れるはずだ。



線香の煙


 そういえば、線香を立てるこれの名前を知らない。どんな意味を持つものなんだろう。ただの線香立てで、供養とかお参りとかそういうことなんだろうか。



本堂内部

 額に書かれた法輪というのは釈迦の教えの一つで、受けた教えを回すように人に伝えることを意味する。
 輪は、古代インドの投てき武器チャクラムのことで、煩悩を破壊するように打ち消すことのたとえらしい。
 本尊は、明治33年に釈迦の遺骨とともにタイ政府から贈られた釈迦金銅仏で、中央に安置されている。両脇には高山辰雄の絵画がかかる。



おみくじガチャガチャ

 おみくじガチャガチャ。
 意外といいアイディアかもしれない。



日泰寺-10

 本堂がある境内はだいたいこれが全景となる。
 敷地は飛び地になっていて、道路を挟んで北東にも広がっている。奉安塔もそちらで、更に東には墓地がある。
 公共交通機関で訪れる場合は、地下鉄東山線の覚王山駅から徒歩10分くらいだろうか。

 こんな貴重で価値のあるお寺なのだから、名古屋はもっと積極的に宣伝していったらどうだろう。仏教の寺は無数にあるけど、公式な釈迦の骨があることになっているのは日本にここだけなのだ。アピール材料としてこれ以上のものはない。今のままでは、京都の人たちに、だからうちにしておけばよかったんだと言われかねない。
 タイからの観光客も増やしたいところだ。
 名古屋を訪れる機会があれば、一度立ち寄ってみてほしい。超宗派だけに、突き抜けたような無味無臭の寺院で、軽やかな感じがオススメなのです。
 
【アクセス】
 ・地下鉄東山線「覚王山駅」から徒歩約10分。
 ・無料駐車場 あり
 ・拝観時間 終日(表門は夕方で閉まるけど脇から入れると思う)

 日泰寺webサイト