月別:2008年01月

記事一覧
  • 伊吹おろしの寒風を逃れて駆け込んだ野鳥観察館から鳥までは遠かった

    Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS 鍋田干拓をあとにした我々が次に訪れたのが、稲永公園内にある名古屋市野鳥観察館だった。 庄内川河口の稲永公園内にそれはある。広く言えば藤前干潟に隣接してるとも言えるかもしれない。私の中の藤前干潟のイメージは、日光川の河口付近で、もう少し西側だと思っている。実際どこからどこまでを藤前干潟としているのかはよく分からないのだけど。 ここも前に一度行ったことがある。藤前...

    2008/01/30

    施設/公園(Park)

  • 鍋田といえば猛禽が見られる干拓地としてその筋では有名な探鳥地

     名古屋近郊で猛禽を見られる貴重なポイントとして知られる鍋田干拓は、一般の人は一生無縁の場所かもしれない。 名前くらいは聞いたことがあるとしても、普通はわざわざ行こうとは思わない。何かのついでに立ち寄るようなところではないし、たとえ行ってみたとしても何もない。だだっぴろい農耕地と荒れ地が広がるばかりだ。 住所でいうと、愛知県西南部の弥富市になる。鍋田川を挟んで西は三重県の木曽岬町だ。 計画では一面...

    2008/01/29

    野鳥(Wild bird)

  • たくさんのインコを見て無駄の美しさを思う ---花鳥園新シリーズ第8回

    FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor VR 24-120mm f3.5-5.6 / TAMRON SP 90mm f2.8 花鳥園ネタはまだ残っている。今日はインコ特集としてみよう。 トップは、ズグロインコから。頭が黒いという理由だけのネーミング。他にも特徴はいろいろあるだろうに。体はこんなに派手なのに、一つの要素で決めつけられてしまっては納得できないだろう。人でいえばメガネをかけているだけで、メガネ呼ばわりされてしまうみたいな悲しさだ。 オオ...

    2008/01/29

    動物園(Zoo)

  • トラフズクに会いに行った庄内緑地でフクロウと出会ってびっくり

    Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS / EF-S 17-85mm f4-5.6 IS 2月の庄内緑地といえば、お馴染みになりつつあるのがトラフズクだ。3回目の今年もトラを求めてツレと共に出向いていった。 しかし、残念ながらトラフズクとの出会いはならなかった。その代わり、フクロウを見られたのは大収穫だった。 そのあたりを含めて庄内緑地レポートをしたいところなのだけど、もう眠たくて力が残っていない。今も何を書いているのか、半分...

    2008/01/28

    施設/公園(Park)

  • 鳴いて騒いで飛んでたかってコガネメキシコ ---花鳥園新シリーズ第7回

    FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor VR 24-120mm f3.5-5.6 / TAMRON SP 90mm f2.8 とぎれとぎれになっている花鳥園シリーズの更新は、この先もとぎれがちになる。本編としてはもう終わっていて、あとはつなぎのネタになっているといった方がいいかもしれない。再訪の報告をして、フクロウコレクションも終わったから、あとはノンテーマ、ノンジャンルの写真が残っているだけとなった。 第7回の今回は、テーマ別として最後になりそう...

    2008/01/26

    動物園(Zoo)

  • 急に決まった帰郷は雪降る中の高速ドライブとなった

    Panasonic DMC-TZ1 急に田舎に帰らなくてはいけないことになって、今日日帰りで行ってきた。 三重県に入って突然雪が降り始めて、進むにつれて雪景色になっていったのは驚いた。名古屋を出たときは冬晴れの青空だったのに、1時間走ったら真っ白の世界になってしまうなんて思いもしなかった。 積もるほどの雪ではなかったものの、雪降りの高速走行は初めてだったから、少し緊張した。吹雪のようになって前が見づらいのでちょっと...

    2008/01/26

    雨/雪/天候(Weather)

  • 息抜き夕暮れ香流川模様写真でインターミッション的簡易更新

    Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS 揚輝荘シリーズが終わってちょっと息抜きということで、今日は夕暮れに近所の香流川を歩いて撮った写真をお届けします。 夕暮れ間近でかなり暗くなっていたからブレとの戦いになってしまい、手ぶれ補正のレンズと感度を上げてなんとか生き残ったのが今日の写真だ。高感度ノイズが少ない20DならISO800までは充分実用範囲なので安心して使うことができる。ISO1600もシーンによっては使えると...

    2008/01/24

    海/川/水辺(Sea/rive/pond)

  • 揚輝荘も文化のみちの一員になるといいね ---揚輝荘第6回<最終回>

    PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 長くなった揚輝荘シリーズも6回目でようやく最終回となった。最初は3回くらいのつもりだったのに、調子に乗って写真をたくさん撮ったから。最後は本編に入りきらずにこぼれてしまった写真を集めて並べて終わりとしたい。 この人形はけっこう古そうだ。外国の人形だから、どこか海外へ行ったときのおみやげだろうか。ここの家の娘さんにお父さんが買ってきたものかもしれない。 こちら...

    2008/01/23

    名所/旧跡/歴史(Historic Sites)

  • 揚輝荘ネタもだいぶ引っ張ってラスト前は南庭園 ---揚輝荘第5回

    PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 揚輝荘シリーズもなんだかんだで長引いて、今回が5回目となった。もうそろそろ終わらせようと思って写真をみたら、今日を入れてあと2回分残っていた。少し駆け足で紹介していくことにしよう。 今回は南庭園の聴松閣と揚輝荘座敷の外観の写真が中心になる。 北庭園から行くと、建物の裏手に当たる。かなり古めかしいたたずまいで、昭和の日本家屋の雰囲気を持っていて、ちょっと懐かし...

    2008/01/22

    名所/旧跡/歴史(Historic Sites)

  • 聴松閣の後編はトンネルやら壁画やら内装の話 ---揚輝荘第4回

    PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 昨日は聴松閣の後編を書くことができなかったので、今日はそのつづきを書きたい。今回も写真が中心となる。 上の写真は、聴松閣のミステリーと呼ばれる地下トンネルの出入り口だ。 総延長170メートル、地下30メートルほどの位置に水平に掘られていて、南北の庭園と東の衆善寮を丁字形に結んでいるという。建物と同時進行で工事が行われたらしく、最初からここにトンネルを掘る予定だ...

    2008/01/21

    名所/旧跡/歴史(Historic Sites)

  • 聴松閣の内部を早足で巡る<前編> ---揚輝荘第3回

    PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 揚輝荘シリーズ第3回は、南庭園にある聴松閣(ちょうしょうかく)へと舞台を移す。 前回も書いたように、こちらへは往復ハガキの抽選で当たらないと入ることも外観を見ることもできないので、なかなか貴重な体験になる。北庭園と南庭園を分断しているマンションの問題があるから、今後とも自由な一般の出入りは難しいんじゃないだろうか。南庭園全体の整備が進んでいないという事情も...

    2008/01/21

    名所/旧跡/歴史(Historic Sites)

  • サタデーナイト料理と最近のケーキ事情についての報告

    Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II 他 今週は訳あって、サンデー料理ではなくサタデーナイト料理となった。明日は用事があって夕飯を作ってる時間がないから一日早めた。特に深い理由があったわけではない。 今日は今日とて夕方はバタバタしていたのだけど、簡単な料理にすればいいやと安易に考えていた。しかし、見通しが甘かった。1時間半コースのつもりがしっかり2時間を要してしまう結果となった。自分の料理の実力を見誤った。...

    2008/01/20

    料理(Cooking)

  • 松坂屋は明智光秀が作ったという風が吹けば桶屋が儲かる的な話<揚輝荘2>

    PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di 松坂屋の創始者・15代伊藤次郎左衛門祐民の別邸「揚輝荘」見学レポートが、一回書いただけでそのままになっていた。そのすぐあと花鳥園へ行って、そちらが先行してしまった。もう忘れかけている人も多いと思うけど、ここらで揚輝荘シリーズを再開したいと思う。花鳥園の写真もまだだいぶ残っているけど、それはちょっと置いておいて、まずは揚輝荘を完結させてしまいたい。全部で4回か5...

    2008/01/18

    名所/旧跡/歴史(Historic Sites)

  • フクロウコレクション第三弾<クール編> ---花鳥園新シリーズ第6回

    FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor VR 24-120mm f3.5-5.6 / TAMRON SP 90mm f2.8 フクロウコレクション第3弾で最終回はフクロウたちの凛々しい姿をお送りしたいと思う。 今日登場するのはこれまでに出てきたものがほとんどだと思うので、名前調べはほどほどにして、フクロウのカッコいいところを見てもらうことにしよう。鋭い眼光に揺るぎはなく、立ち姿は威風堂々、飛んでいるところはワシタカに劣らず勇壮なフクロウたち。彼らは...

    2008/01/18

    動物園(Zoo)

  • フクロウコレクション第二弾<お眠編> ---花鳥園新シリーズ第5回

    FUJIFILM FinePix S2 pro+TAMRON SP 90mm f2.8 昼間のフクロウは眠たい。明るいうちは、お眠の時間だ。野生のフクロウのように獲物を捕るために夜起きている必要はないとはいえ、やはり長年の習慣を変えるのは難しいのだろう。ショーを担当しているフクロウはぱっちり目を開けているけど、小屋にいるやるはけっこう居眠りをしがちだ。じ様のようにうつらうつらしている。この寝姿も、フクロウがじじむさいイメージを持たれる要因...

    2008/01/17

    動物園(Zoo)

  • フクロウコレクション第一弾 ---花鳥園新シリーズ第4回

    FUJIFILM FinePix S2 pro+TAMRON SP 90mm f2.8 掛川花鳥園の入り口にフクロウの展示コーナーがあることは前に書いた。そこはまだ無料ゾーンで、たくさんのフクロウを見ることができる。最初に行ったときは時間もなくて少ししか撮れなかったのが心残りとしてあった。だから、今回は全部撮ると行く前から決めていた。 ここは室内で暗い分シャッタースピードが上がらないのと、ガラス越しにので撮影はやや厳しいものがある。場所に...

    2008/01/16

    動物園(Zoo)

  • のんきなS2proで飛ぶ鳥撮りに苦戦するの巻 ---花鳥園新シリーズ第3回

    FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor VR 24mm-120mm f3.5-5.6 / SIGMA 55-200mm f4-5.6 DC / TAMRON SP 90mm f2.8 掛川花鳥園といえば、鳥たちとの触れ合いももちろんだけど、ファルコンショーも忘れちゃならない。写真の撮り所、腕の見せ所でもあり、これがなかなかに難しい。室内は距離が近いものの飛行距離が短いからチャンスは一瞬しかないし、外では飛行速度が速すぎてなかなか捉えきれない。ショーは室内で1回、屋外で2回行われ...

    2008/01/15

    動物園(Zoo)

  • 久々の洋物サンデーは今年のテーマに沿ったバランスのいい仕上がりに

    Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II 去年の秋くらいから和食やら無国籍料理やらが続いて、しばらく洋食系の料理を作っていなかった。今年最初はおせち風料理だったし、久しぶりに洋物でいこうと決めて作ったのが上の3品だ。やはり、作るということでは和食よりも洋食の方が楽しい。食べるなら和食の方が好きなのだけど。 今年のテーマは、彩りと盛りつけだから、その点を少し意識してみた。盛りつけに関してはまだもう一歩、二歩とい...

    2008/01/14

    料理(Cooking)

  • 人がいる写真こそ花鳥園らしい光景 ---花鳥園新シリーズ第2回

    FUJIFILM FinePix S2 pro+TAMRON SP 90mm f2.8 / Nikkor VR 24mm-120mm f3.5-5.6 鳥と人との触れ合いがテーマの花鳥園だから、どんなシーンでも人入り写真であってもおかしくはない。人がいる鳥写真こそが花鳥園には似つかわしい光景だ。だから今日は人のいる花鳥園風景の写真を集めてみた。 一枚目はたまたまいい構図になった。このときは普通にフクロウを撮っていただけで狙いではなかったのだけど。 右の立て札にもあるよう...

    2008/01/13

    動物園(Zoo)

  • 掛川花鳥園再び、鳥アップ写真の世界 ---花鳥園新シリーズ第1回

    FUJIFILM FinePix S2 pro+TAMRON SP 90mm f2.8 / Nikkor VR 24mm-120mm f3.5-5.6 行ってきました、掛川花鳥園再び。約束された鳥の楽園。二回目もまた開園から閉園までの8時間、しっかり堪能してきた。 写真もたくさん撮ってきたのだけど、枚数が多すぎてまだRAW現像がほんの一部しか終わっていない。今日はもう力尽きそうなので、今回のお気に入り写真を10枚並べるにとどめたい。今回のテーマの一つとしてアップ写真を撮るとい...

    2008/01/12

    動物園(Zoo)

  • 早寝のときは明治村写真を並べて簡単更新がお決まり

    PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4 明日はスーパー早起きなので、今日は時間がない。こんなときは明治村の写真を並べて寝てしまうのが最近のパターンとなっている。こういうとき、動物園と明治村の写真が役に立つ。季節とはあまり関係がないし、時間が経っても古びるものではないから、いつでも使える。冷凍保存しておいて食べ物をレンジで解凍するようなものだ。 明治村のシリーズもかなりの回数になった。番外編をあわせると...

    2008/01/10

    施設/公園(Park)

  • 揚輝荘第一回 ---伴華楼の内装は凝り性全開

    PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4 覚王山に松坂屋の創始者が別邸として使っていた古い屋敷が一般公開されていると知ったのは、去年の12月のことだった。名古屋市に寄贈されて、無料で公開されていると新聞に載っていた(名古屋で新聞といえば中日新聞と決まっている)。ただし、いつでも見られるのは庭と建物の外観だけで、内部を見るには往復ハガキで応募して当選しなければいけないらしい。12月のはじめに応募してみたところ...

    2008/01/10

    名所/旧跡/歴史(Historic Sites)

  • 名古屋にラーメンのテーマパークがあるのを初めて知ったらもう終わり

    PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4 観覧車が張り付いてるビル「サンシャイン栄」の中にラーメンのテーマパーク「名古屋麺屋横丁」がある。クリスマスイブの日に観覧車に乗りに行ったとき見つけた。 イブの夜にラーメンはないだろうと思いつつも、名古屋港花火までの時間があまりなかったのと、ラーメンのテーマパークというものにちょっと興味があったので入ってみることにした。 入り口から入ってほどなく、作り物めいた昭和...

    2008/01/08

    名古屋(Nagoya)

  • 鯉とユリカモメがエサに群がり大騒ぎの白鳥庭園の冬模様

    PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4 / DMC-TZ1「こい」をPCで変換したとき、最初に来るのが「故意」か「恋」か「鯉」かでその人の現状をある程度読み取ることができるかもしれない。以前そんな話をしたことがあった。恋と変換しようとして6番目だったとき、ああ、自分はしばらく恋をしてないんだと気づいたとその人は言っていた。そんな会話が印象深く私の中に残っている。あれはもう、7年も8年も前のことだ。 私はといえば、どう...

    2008/01/08

    名古屋(Nagoya)

  • 2008年最初のサンデー正月料理は紅白料理に松崎しげるが紛れ込んだ

    Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II 新年あけましておめでとうございます(今更)。今年もサンデー料理をよろしくお願いいたします。 さあ、2008年も始まりました。今年初の日曜日ということで、サンデー料理の時間がやってまいりました。司会のおりも政夫です。アイドル水泳大会はもう復活しないのだろうか。 サンデー料理を始めて1年半。今年も続くところまで続けようというぼんやりした目標を掲げて再開しようと思う。 新年一回...

    2008/01/07

    料理(Cooking)

  • 名古屋城裏と弥富野鳥でちょこっと撮った鳥写真で抱き合わせ更新

    PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di / Super Takumar 300mm f4 / SIGMA 17-35mm f2.8-4 /DMC-TZ1 今日は名古屋城裏の鳥写真。名古屋城裏といってもほとんどの人は馴染みがないと思うけど、北のお堀と名城公園の間といえば名古屋の人なら分かるかもしれない。週末は路上駐車が可能になるあの道だ。 あそこは私のお気に入りの場所の一つで、よく出かけていっている。お堀の鳥を見たり、名古屋城のライトアップを眺めたり、車...

    2008/01/06

    野鳥(Wild bird)

  • 名古屋を代表する二つの教会にクリスマスイブの日に行ってきた話

     名古屋市最古の教会、カトリック主税町(ちからまち)教会というのがあるのを知ったのはおととしのことだった。一度見に行きたいと思いながらもなかなか機会がなくて延びのびなっていた。ようやく行くことができたのは去年の12月24日、クリスマスイブの日だった。 イブの午後ということで入れるかどうか心配したのだけど、門が開いていたので思い切ってお邪魔することにした。カトリックの教会は一般人が考えている以上にオープ...

    2008/01/06

    教会(Church)

  • 志摩マリンランドは小ネタで笑わせる愛すべき昭和水族館

    FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor 35mm f2D これまた変わった魚だなぁ。って、海女さんじゃん。いきなり何の前触れもなくこの水槽の前に出たら驚く。どうして海女さんが魚たちと一緒に泳いでいるんだと。でもこれは、ただ泳いでいるわけではない。魚のエサやりをショーにしているのだ。1時間に一回くらいという頻度で海女さんによる餌付けショーというのが行われているのだった。 海女さんというと二見というイメージがあった。二...

    2008/01/05

    水族館(Aquarium)

  • 志摩マリンランドのお魚シリーズ第二弾はジミヘン生物特集

    FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor 35mm f2D 志摩マリンランド第二弾は地味生物特集をお送りしたい。地味というか変というか、海の中の多彩さには本当に驚かされる。ある意味あきれる。ここまで地味な生き物が必要なもんなんだろうかと。 次々に繰り出されるショートジャブが私の急所に的確にヒットして、ノックアウト寸前まで追い込まれた。途中からは笑いをこらえるのに必死で、水槽を見ながらニヤついて写真を撮ってる変な男に...

    2008/01/04

    水族館(Aquarium)

  • 志摩マリンランドお魚シリーズ第一弾はキレイな海の生物編

    FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor 35mm f2D 賢島の中でほとんど唯一といっていい観光施設が水族館の志摩マリンランドだ。賢島へ遊びに行こうと思い立って事前にネットで情報を調べると、まずはホテルの情報が出てきて、その次に志摩マリンランドが見つかる。そしてそれ以上は見つからない。他にも何かあるだろうとしつこく探してみても見つからない。だって本当に何もないんだもの。一応、テニスコートやゴルフ場はあるけど、わざ...

    2008/01/03

    水族館(Aquarium)

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伊吹おろしの寒風を逃れて駆け込んだ野鳥観察館から鳥までは遠かった

施設/公園(Park)
名古屋市野鳥観察館-1

Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS



 鍋田干拓をあとにした我々が次に訪れたのが、稲永公園内にある名古屋市野鳥観察館だった。
 庄内川河口の稲永公園内にそれはある。広く言えば藤前干潟に隣接してるとも言えるかもしれない。私の中の藤前干潟のイメージは、日光川の河口付近で、もう少し西側だと思っている。実際どこからどこまでを藤前干潟としているのかはよく分からないのだけど。
 ここも前に一度行ったことがある。藤前干潟の帰りに寄ったのか、別の日に単独で行ったんだったか。風の強い寒い日だったような覚えがある。この日も強風が吹き荒れていて、とてもじゃないけど屋外での撮影は無理だった。歩いていたら涙が風に吹き飛ばされた。もちろん、感動して泣いていたわけではない。
 早々に野鳥観察館に逃げ込むと、そこはぬくぬくの世界だった。駐車場にとめた車から降りて急速冷凍されて、観察館で急速解凍された。これは体によくない。水分が出てしゃびしゃびになってしまいそうだ。
 観察館の中は暖かくていいのだけど、ここからでは鳥までの距離が遠い。海岸沿いの水辺でも100メートル以上ありそうだし、海の上の鳥は数百メートル先だ。備え付けの双眼鏡で見れば個別に確認できるものの、一眼の望遠ではまるで歯が立たない。デジスコの3000mmでさえアップにならない距離感だ。外から撮っても遠いには遠いけど、写真重視なら表で撮るべきだろう。観察だけなら館内からでも楽しめる。
 観察館の中には1階、2階あわせて30台の望遠鏡が備え付けられていて、自由に使って鳥を見ることができる。館の人も常駐しているから、いろいろ教えてもくれるし、話しかけなければ一人でも見ていられる。野鳥検索用のパソコンや、各種鳥の剥製なども置かれている。
 最近はデジスコセットも置くようになったようで、頼めば使わせてもくれる。KOWA提供のスコープはTSN-664とTSN-884、デジはEX-Z1080があった。自分のSDカードを持っていけば鳥撮りのデータも持ち帰ることができる。
 ここは昭和60年にオープンした施設で、一時閉鎖という話があったとかなかったとか。藤前干潟がラムサール条約に登録されたから、当分は大丈夫だろう。藤前干潟の北にもこういう観察館が必要だと思うけど、今のところ予定はなさそうだ。あちらもまったく歓迎ムードがなくて、名古屋市もまるで力が入っていない。

名古屋市野鳥観察館-2

 このときはちょうど干潮を少し過ぎたくらいの時間帯に当たっていて、観察館の前に大きな干潟ができていた。普段ならここにシギやチドリなどが集まってくるところなのだろうけど、この日は強風だったからか、まったく姿がなかった。ユリカモメなどのカモメたちがうずくまるように座り込んでいるだけで。
 他の鳥たちも全体的に少ない印象だった。カモは、オナガ、マガモ、キンクロ、ヒドリといったあたり、ユリカモメはたくさんいた。普段は群れて飛んでいるというハマシギもこのときは見かけなかった。遠すぎて見えていなかっただけかもしれない。
 猛禽も風が強すぎて飛ばなかった。もう少し早い時間には多少飛んだらしい。鳥撮りとしての収穫はあまりなかった。

名古屋市野鳥観察館-3

 キンクロハジロが少々。東京の淡水にはこいつらが大量にいる。名古屋市内では数が少ない。海で見るとちょっと違和感がある。海水でも大丈夫なんだ。
 風の強さは、この海面の波立ち具合で分かってもらえると思う。岸壁と干潟の間でさえこの状態だった。

名古屋市野鳥観察館-4

 観察館の中の様子はこんなふうになっている。Nikonのスコープが並ぶ。
 日曜の夕方前という時間ではあったけど、わりと訪問者があって、7、8人くらいはいただろうか。入れ替わりでもう少しいたかもしれない。みんなが鳥の人ではないにしても、けっこう楽しんでいたようだ。チビたちも親に連れられてきていた。

名古屋市野鳥観察館-5

 ハマシギの舞いは見られなかった代わりにカモメの飛翔は見られた。ユリカモメだったか、セグロカモメなども混じっていたのか。遠すぎて判別不能。

名古屋市野鳥観察館-6

 これはユリカモメじゃない気がする。セグロカモメのような違うような。カモメの見分けも難しい。
 このあたりで見られるカモメとしては、オオセグロカモメ、カモメ、ウミネコ、コアジサシなどがいるようだ。
 年間を通じて100種類以上、冬のカモはあわせて数万羽になるという。
 名古屋市はここにゴミ焼却場を作ろうとして市民の反対にあって断念したという経緯がある。そのとき藤前干潟が注目を集めることになった。それまで市民の大部分は名古屋に野鳥の楽園の干潟があるなんて知らなかったに違いない。結果的にそれがゴミの分別につながっていくのだけど、ここは残されてよかった。全国的に干潟というのもが消えていく中で、わずかでも残していくことに価値はある。

名古屋市野鳥観察館-7

 周辺は典型的な工場地帯で、港の風景が広がっている。名古屋港も埋め立てに次ぐ埋め立てで、自然の海岸線などはほとんど残っていないだろう。
 去年が名古屋港開港100周年だった。100年前とはもはや比ぶべくもなく、ここ20年、30年でも大きく様変わりしているのだと思う。金城ふ頭ができたのが1990年と、まだそんなに昔のことじゃない。
 観光地化することには失敗した。名古屋港水族館やイタリア村だけでは弱い。場所的にどん詰まりに位置していて、他の場所との連絡が悪いのもよくなかった。おそらく、今後とも劇的な発展は望めないだろう。

名古屋市野鳥観察館-8

 藤前干潟は、野鳥観察館から見てちょうど正面右手あたりになる。見えている橋が日光川大橋だろうか。だとすれば、その右側には日光川公園とサンビーチ日光川があるはずだ。
 藤前干潟の方に公共交通機関で行くのは難しい。サンビーチ日光川行きのバスがオールシーズンあるのかどうか。名古屋市野鳥観察館は、あおなみ線が開通して行きやすくなった。野跡駅(のせきえき)を降りて10分も歩かない。車なら駐車場も無料だ。
 このあたりの地名は読みが難しい。野跡は「のせき」と読ませているようだけど、もともとは「のぜき」と濁っていたようだ。稲永の「いなえ」も地名は「いなえい」だからややこしい。

名古屋市野鳥観察館-9

 冬は遠くの景色が本当によく見える。夏場は遠くの山がこれほどくっきりは見えないはずだ。
 ここで吹いていた強風は、この地方特有の伊吹おろしというやつだろうか。見えている山が伊吹山ではないにしても、あっちから吹いてくる風だ。
 冬の富士山も撮りに行きたいところだけど、名古屋からだと近いようで遠い。

名古屋市野鳥観察館-10

 観察館は夕方4時半まで(月曜定休)。日没が近づいたところでぼちぼち帰ることにする。
 防風林も風よけにどれくらい役に立っているのか。なければもっと風が強くなっているのだろうけど。

 ここのベストシーズンは、やはり冬だ。渡りの鳥たちで賑やかになる季節だから。しかし、寒さが強敵になるので、なるべく穏やかな冬晴れの日を選びたい。
 時間は午前の方がいい。というのも、観察館が真西を向いてるから、午後からは逆光になってしまう。それと、当然、干潮時の方が楽しみが多い。満潮のときはただの海だ。
 飲食施設は一切ないからお弁当持参で行きたいところだけど、観察館の中は飲食禁止になっている。隣に建っている稲永ビジターセンターというのも学習施設というからお弁当スポットではないだろう。暖かい日なら、観察館の前の芝生に座って海と鳥を見ながらランチというのもよさそうだ。
 写真に関しては、デジスコじゃないと厳しい。一眼の望遠では限界がある。ここの鳥は人に慣れてなくて、少しでも距離を詰めるとさりげなく逃げていくし。
 次は春の渡りシーズンあたりで行けたらいいなと思っている。

鍋田といえば猛禽が見られる干拓地としてその筋では有名な探鳥地

野鳥(Wild bird)
鍋田干拓のキジ




 名古屋近郊で猛禽を見られる貴重なポイントとして知られる鍋田干拓は、一般の人は一生無縁の場所かもしれない。
 名前くらいは聞いたことがあるとしても、普通はわざわざ行こうとは思わない。何かのついでに立ち寄るようなところではないし、たとえ行ってみたとしても何もない。だだっぴろい農耕地と荒れ地が広がるばかりだ。
 住所でいうと、愛知県西南部の弥富市になる。鍋田川を挟んで西は三重県の木曽岬町だ。
 計画では一面見渡す限りの農地が広がるはずだったのだろうけど、現在は荒れ地になっているところも少なくない。
 にもかかわらずというべきか、だからこそというべきか、ここはたくさんの野鳥が棲みつく自然の野鳥園となっている。特に猛禽が多いことでその筋の人たちの間では有名な場所だ。
 今日あたり鍋田へ行ってみようかといえば、それは鍋田干拓で鳥撮りをすることを意味している。
 昔は、ゼロヨンやドリフトの会場がある走り屋御用達スポットとして知られていたけど、最近はどうなんだろう。

 3年ほど前に一度、一人で訪れたことがある。あれは確か手ぶれ補正の10倍ズーム機C-2100UZを買って、鳥撮りに目覚めて間もない頃だったと思う。漠然と猛禽が撮れたらいいなくらいの軽い気持ちで出向いていって、手ぶらで帰ってきた。
 鍋田干拓といっても400ヘクタールからある広大な干拓地だから、どこが鳥スポットなのかまるで見当もつかず、しばらく呆然と立ち尽くしたのを覚えている。あのときは水路のカモだけ撮って帰ってきた。
 今回は二度目ということで、ある程度あのへんだろうなというイメージを持って出向いていった。しかし、今回も猛禽には出会えず。いても遠すぎて見つけられなかっただけだったのかもしれない。
 一番の収穫はキジだった。鳥の人にとってはキジなんて珍しくないんだろうけど、私は初めて野生のものを見たのでけっこう嬉しかった。こんな冬の田んぼでうろついてるとは思ってなかった。もう少し茂みの中のようなところでコソコソしているイメージだった。
 畑を歩き回ってさかんに地面をつついている。車に対しては無警戒のようで、こちらを気にする様子もなく、エサ探しに夢中だった。



二羽のキジ

 しばらく観察しながら写真を撮っていると、いつの間にか二羽になっていた。と思ったら、三羽になった。全部オスだけだったけど、メスも近くにいたのだろうか。
 調べてみると、キジは毎年全国で10万羽も養殖したものが自然に放たれているんだそうだ。それは知らなかった。主に狩猟用というから、一般にはあまり知らされていないのだろう。そう、キジは日本の国鳥でありながら狩猟対象の鳥なのだ。国鳥になった理由は、狩猟対象として最適で肉が美味しいからなんだとか。そんな理由で?
 放鳥組の一部は野生化しているというから、野生と思って見ているものも実は養殖ものだったりするのかもしれない。ただ、野生化したものも多くは猛禽や動物に食べられてしまうそうだから、なかなか目にしない理由はそのあたりにもありそうだ。
 自然の中で見るキジはかなりの存在感で、初めて見ると驚く。少し違和感もあって、不思議な気もする。ノラニワトリの仲間のような、どこかから逃げ出してきた鳥がうろついているような感じで、野生の鳥のようには見えない。



タゲリ

 これも私にとっては初対面のタゲリだ。
 平安貴族がかぶっていた冠がぴよーんと立っているような冠羽が目印となる。よく見る人にとってはお馴染みの鳥なんだろうけど、街中にいるような鳥ではない。
 飛び上がると白黒ツートンの羽がきれいでよく目立つ。できればタゲリの飛翔シーンも撮りたかった。
 歌舞伎役者の化粧をほどしたような顔と深いグリーンの羽も美しい。
 中国やシベリアなどのユーラシア北部で繁殖して、日本には冬鳥として渡ってくる。
 田んぼなどで小さな群れを作って、地面の中のミミズや虫などを食べている。そのときの様子が足で地面を叩いているように見えることからタゲリと名づけられたとされている。
 チドリ目チドリ科に分類される鳥だけど、チドリよりもずっと大きい。



ケリ

 こちらはお馴染みのケリ。尾張旭の田んぼでもよく見かける。
 今回はどの写真も鳥が小さい。それだけ近づけなかったことを意味している。自然のフィールドでは野鳥園のようにはいかない。
 鍋田干拓では、300mm程度の望遠レンズでは全然届かなかった。車の中に三脚を立てられるなら、デジスコが威力を発揮する。
 ケリの名前の由来は、田んぼを蹴ることからではなく、鳴き声のケリッとかキリッとかいうところからきている。タゲリとは似ているけど名前の由来は違う。分類は同じチドリ目チドリ科となるから、種としては近い。



不明野鳥

 遠目には雀に見えたけど、たぶんそうじゃない。正体は分からなかった。
 飛んでいるのはタヒバリとかだろうか。自信はない。



電線にスズメ

 猛禽は電柱や電線にとまっていることもよくあるそうだから、そのあたりもじっくり探していったのだけど、見つけることはできなかった。



田んぼのモズ

 たぶん、モズ。
 小さな猛禽と出会うことができた。体は小さくても鋭いクチバシを持つ肉食の鳥がこのモズだ。
 獲物を枝などに刺しておく早贄(はやにえ)がよく知られている。昆虫やトカゲ、カエルなどがよくやられている。どうしてああいうことをするのかはよく分かっていないらしい。
 モズは漢字で書くと百舌となる。これは、モズが他の生物の鳴き真似をよくするからで、そこから百の舌という字が当てられた。



たぶんモズ

 これもモズだろうか。後ろ姿しか見えなくてよく分からなかった。
 目の上に黒い線がないから、モズとすればたぶんメスだ。



ハクセキレ

 後半は撮るものがなくなって、目についたハクセキレイでも撮ってみた。
 街の公園や河原などでよく見られるからありがたみはない。
 鍋田はカラスも多いところだった。あれだけ数がいると、単独行動の猛禽では勢力争いに負けてしまうかもしれない。



農耕地

 冬の鍋田干拓は、こんな風景が見渡す限り広がっている。夏に訪れると、もっと青々とした豊かな土地となっているのだろうか。
 干拓地というのは浅瀬の海や池などをせき止めて水を掻き出したり干上がらせたりして陸地にしたものをいう。埋め立てとは違う。
 鍋田干拓の歴史は古く、江戸時代の1835年には八穂新田というのが完成して農耕地となっていた。
 しかしその後、1837年の暴風雨や1842年の洪水など、たびたび水の被害にあい、戦後の食糧難で再開拓されたものの、1957年の伊勢湾台風で大打撃を受けてしまう。海岸の堤防は95パーセントが決壊して、入植者の半数近くが命を落とした。
 1960年に堤防が復旧したあとも農業の先細りなど時代の移り変わりもあり、現在では数戸しか専業農家が残っていないという。近くには東名阪道や伊勢湾岸自動車道などが走っていてインターもあるので、農地以外に利用した方がいいのではないかという声をあるようだ。
 ただ、荒れ地だから猛禽などの野鳥が暮らしやすい土地となっているわけで、こんなふうに遊んでいる土地があってもいいではないかとも思う。



長島スパーランド

 遠くに目をやれば、ナガシマスパーランドの観覧車やジェットコースターが見える。向こうの山脈は三重県の山だろう。
 高くなっているのは木曽川の土手で、この向こう側が葦原となっていて猛禽スポットになっているようだ。車では近づくことができそうになかったので、行くなら歩きということになるのだろうか。干拓地の中は狭い農地があるだけで、どこまで進入していいものやら迷う。下手なところに入っていくと、細い一本道をバックで出ないといけないことになりそうだ。
 結局、猛禽スポットがどこなのかはよく分からなかった。日曜日だし鳥のお仲間がいるんじゃないかという当ては外れた。時間帯がよくなかっただろうか。
 ネットでも、猛禽を鍋田で撮ったという情報はあるものの、詳しい場所までは説明がない。どのあたりと説明しようにも周りに目印となる建物などがないということもある。通っていればそのうち場所も分かるようになるのだろうけど。
 チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ノスリ、ハイイロチュウヒ、ミサゴ、オオタカなどもいるというから、見られるものなら見てみたいし撮ってみたい。夕方にはコミミズクなんかも飛ぶらしい。
 弥富野鳥園は鍋田の東のはずれあたりに位置しているから、セットで行くのもオススメだ。次の機会があれば春に訪れてみたい。

【アクセス】
 ・公共交通機関 路線バスが走っているようだけど車がおすすめ
 ・駐車場 そのへんに
 

たくさんのインコを見て無駄の美しさを思う ---花鳥園新シリーズ第8回

動物園(Zoo)
花鳥園のインコたち

FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor VR 24-120mm f3.5-5.6 / TAMRON SP 90mm f2.8



 花鳥園ネタはまだ残っている。今日はインコ特集としてみよう。
 トップは、ズグロインコから。頭が黒いという理由だけのネーミング。他にも特徴はいろいろあるだろうに。体はこんなに派手なのに、一つの要素で決めつけられてしまっては納得できないだろう。人でいえばメガネをかけているだけで、メガネ呼ばわりされてしまうみたいな悲しさだ。

花鳥園のインコたち-2

 オオハシさんにもいろいろ種類がいて、これはクリハシオオハシ。クチバシがオレンジのやつはオニオオハシで一番大きくて、クリハシは2番目になる。
 私はやっぱりオニオオハシさんの方がいい。あっちの方がかわいい。カラーリングの違いで差が出るものだ。

花鳥園のインコたち-3

 オニオオハシを真正面から撮ったら、ヘンな顔になった。ちょっとおかしい。地底人みたい。悪の手下みたいにも見える。

花鳥園のインコたち-4

 上手に足を使ってエサを食べる、コミドリコンゴウインコ。けっこう賢そうだ。
 ペットとしてもわりとポピュラーなようで、値段は15万円前後らしい。

花鳥園のインコたち-5

 これまで何度も登場している、ヨウムのアンソニー。
 とぼけた顔でいたずら坊主なのに人なつっこくて憎めないやつ。掛川花鳥園のアイドルとしてファンも多い。

花鳥園のインコたち-6

 同じヨウムでもずいぶん顔つきが違う。見慣れてくると違いが分かってくる。
 こいつは温室の中でみんなと一緒に放し飼いにされていた。あまり個性がないのか。顔つきはアンソニーよりも目がパッチリしていて凛々しい感じなのに、アンソニーのような味わいに欠ける。

花鳥園のインコたち-7

 たぶん、ゴシキセイガイインコ。ゴシキは五色から来ていて、個体によって色の違いが大きい。色合いが異なる亜種が20種類以上いるそうだ。
 基本は青い頭と、緑色の背中。青色と緑色を組み合わせて成立させてしまうのが自然のすごさであり面白さだ。人間ではこの着こなしは難しい。

花鳥園のインコたち-8

 オオハナインコのメス。オスは緑地に赤や黄色などが混じり、メスは赤と青のツートンになる。スーパーマンカラーだ。
 オスとメスでここまではっきり違う色のインコはあまりない。昔は別の種類の鳥と思われていたようだ。
 漢字で書くと大花だけど、もともとは大鼻からきている。やや大きめのクチバシを大きな鼻に見立てたのだろう。

花鳥園のインコたち-9

 これは名前の調べがつかなかった。ヨダレカケズグロインコかとも思ったけど、ちょっと違う気もする。それなら頭の上部が黒いはずだ。
 背中のウロコ模様は、お馴染みのセキセイインコを思い出させる。

花鳥園のインコたち-10

 ギニアエボシドリはインコの仲間ではないけど、ここではお仲間に入れてもらおう。分類としては、ホトトギス目エボシドリ科になる。
 頭のトサカがもちろん一番目立つ特徴ではあるのだけど、目のふちどりの赤や、化粧を施したような白い線も印象的だ。

花鳥園のインコたち-11

 ギニアエボシに似ているけど、カラーリングが違う。ツンツンヘアーでもない。でも顔はそっくりだ。ただのエボシドリか、ホオジロエボシドリか。エボシドリは19種類いるそうだ。オウカンエボシドリかもしれない。

 花鳥園にもたくさんの鳥たちがいるけど、野生にはその何百倍もの種類の鳥たちがいることを思うと、今更ながら地球の多様さに驚く。地球の本質の一つは間違いなく、無駄の美学だ。必要不可欠ではないところに美しさが存在している。たくさんの鳥や生き物たちを見ることは、その一端を知るための大事な手がかりとなる。実際に見にいかなければ日常には存在しておらず、普段の生活で意識することもない。自分たち以外の多くの生き物について知れば知るほど、人は謙虚になれるものだ。この地球は決して人間中心に回っているわけではないことに気づく。
 花鳥園新シリーズはまだ終わりが見えてこない。少なくともあと3回分くらいは写真がありそうだ。終わってしまうとまた行きたくなってしまうから、ここからはぼちぼち出していくことにしようか。

トラフズクに会いに行った庄内緑地でフクロウと出会ってびっくり

施設/公園(Park)
庄内緑地風景-1

Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS / EF-S 17-85mm f4-5.6 IS



 2月の庄内緑地といえば、お馴染みになりつつあるのがトラフズクだ。3回目の今年もトラを求めてツレと共に出向いていった。
 しかし、残念ながらトラフズクとの出会いはならなかった。その代わり、フクロウを見られたのは大収穫だった。
 そのあたりを含めて庄内緑地レポートをしたいところなのだけど、もう眠たくて力が残っていない。今も何を書いているのか、半分ハラヒレホロ状態なので、今日のところは写真だけ並べて終わりとしたい。明日、コメントを書き加えることにする。写真だけならなんとかやれそうだ。

 と、ここで昨日はダウンした。今日はその続きを書いていこう。

庄内緑地風景-2

 庄内緑地は、名古屋の北西の端っこにあって、名古屋駅のちょうど北に位置している。だから、高層ビル群がおっと思うほど近くに大きく見える。夜に訪れたことはないけど、公園周囲の土手から見る名古屋駅方面というのはなかなかよさそうだ。
 都市公園では近年、ユリカモメが数を増やしている。名古屋でも知らない間に多くなった。一昔前までカモメなど海のものという思い込みがあって、初めて公園でユリカモメを見たときは何かの間違いかと思った。今では当たり前の風景として見ている。
 エサをやるとギャーギャーうるさく騒いで取り合いをするユリカモメも、ここでは餌付けされていないようで、人を見ても無反応だった。みんな寒そうに固まって体を丸めていた。

庄内緑地風景-3

 ここのところ名古屋も冷えている。確か5日連続で氷点下まで下がったと言っていた。
 この日も冷たい朝で、庄内緑地の池も氷が張ってた。久しぶりに池が凍っているのを見た。近年は温暖化で池も氷を張らなくなっていたのに。
 日陰の芝地では霜柱ができていて、歩くとザクザク音がするあの経験も久々に味わった。寒さゆえの風情や情緒というのもある。

庄内緑地風景-4

 渡りのカモたちもそれなりにいる。マガモ、オナガ、ヒドリガモなどが中心で、特に珍しいやつは見かけなかった。
 ここは鳥までの距離が遠いところなので、300mmの望遠レンズ(480mm換算)ではまるで届かない。フォーサーズ規格の600mm換算でも物足りないくらいだから、ここで鳥撮りを仕様と思えばデジスコに走るしかない。実際、鳥の人のほとんどがデジスコ組だった。
 鳥の種類は豊富で、名古屋市内では屈指の鳥スポットとなっている。

庄内緑地風景-5

 ここはカワセミ確率の高いところで、この日もしっかり見ることができた。鳥の人たちはみんなカワセミ好きだから、自力で探さなくても鳥の人が集まっているところへ行けば、たいていカワセミがいる。
 このときは自力でも見つけたし、鳥の人にも教えてもらった。二度目は、金属の手すりの珍しいところにとまった。池の上を人が歩いてもわりと平気だ。カワセミはいったんとまるとじっとしているから撮るのはやさしい。それほど警戒心が強い方ではない。

庄内緑地風景-6

 更に近づいても逃げることはなかった。4、5人がデジスコのスコープで狙っていても動じないところをみると、かなり人に慣れている。もちろん、近づきすぎれば猛スピードで飛んで逃げてしまうのだけど。
 カワセミの魚キャッチシーンとホバリングをいつか撮れる日が来るだろうか。

庄内緑地風景-7

 今回の目的は、トラフズクに会いにいくことだった。ネットではまったく情報が出てこなくて、今年はまだ来てないのだろうかと思いつつ行ってみた。自力での発見はほとんど不可能なので、デジスコを持った鳥の人に訊いてみたところ、いるにはいるけど奥に引っ込んでいてなかなか出てこないとのことだった。その代わりフクロウがいるという。それはぜひ見たいものだ。
 いつもいるポイントを教えてもらって行ってみると、鳥のお仲間が3人ほど集まっていた。訊ねてみると、さっきまでいたのにどこかへ飛んでいってしまったらしい。しばらく待っても戻ってこないので、いったん離れることにした。
 しばらくしてもう一度行ってみると、さっきの人たちが上を見上げている。どうやら戻ってきたらしい。私たちもいる場所を教えてもらって撮ることができた。運がいいことに、ほぼ全身が見える位置にとまってくれた。風が強くて枝と葉がワサワサ揺れる中、なんとか顔まで撮れたのがこの一枚だ。
 残念ながら目は開かなかったものの、ここまではっきりと野生のフクロウを見ることができたのは感動だった。花鳥園でも見てはいるけど、天然ものはありがたみが違う。
 しかし、まさか名古屋市内の公園にフクロウがいるとは思ってもみない。その事実にむしろ驚いた。いるところにいるもんだ。
 鳥の人はみなさん親切で教えたがり屋さんが多いから、思い切って訊ねてみるのがいい。
 ふと周りを見渡すと10人以上のギャラリーが集まってきていた。けっこうな騒ぎになっているのに、フクロウは知ってか知らずか眠り続けていた。

庄内緑地風景-8

 ツレが作ってくれたロールケーキ。紆余曲折を経て、この完成型で落ち着いた。制作を試みた名古屋ロールは完成品に至らず、幻となった。
 ジャムバージョンも申し分なく美味しかったけど、いつか幻の名古屋ロールを食べてみたい。

庄内緑地風景-9

 日差しは暖かいけど、風は冷たい一日で、ときどき猛烈に寒かった。
 それでも子供たちは全然平気で、サッカーなどをしていた。
 もう菜の花も咲き始めている。いよいよ春は近い。

庄内緑地風景-10

 春の花と思われているタンポポも、1月にはもう咲き始めてくる。今年は例年より早いようだけど、狂い咲きというほどもでもない。花も春を待ちきれないのだろう。

庄内緑地風景-11

 あ、オオイヌノフグリ。これも今年は早い。2月くらいになればどこかで咲いてないかと探すものだけど、1月の終わりにもう咲いてきているとはちょっと意表を突かれた。思っている以上に季節の歩みは早い。
 冬来たりなば春遠からじ。年を越すことを新春という。一年で一番寒い大寒も過ぎて、初春はすぐそこまで来ている。2月4日はもう立春だ。

 今回の庄内緑地も、なかなか収穫の多い訪問となった。いつも言うように、ここの駐車場が無料ならもっと頻繁に訪れているのにと思う。半日も過ごしたらけっこう高価な娯楽施設になってしまう。有料にするにしても、30分まで無料で、1日500円とかでいいじゃないか。なんでこんなところで儲けようとするんだ、名古屋市。
 まあそれはともかくとして、一つ心残りは、やはりトラフズクに会えなかったことだ。3年連続とはならなかった。今シーズン中にもう一度くらいチャンスがあるだろうか。現れたという確実な情報が出てくれば、そのときはまた行ってみたいと思っている。中日新聞に載れば確実なのだけど。
 近所の方はぜひ、フクロウを見に行ってみてください。

鳴いて騒いで飛んでたかってコガネメキシコ ---花鳥園新シリーズ第7回

動物園(Zoo)
コガネメキシコ-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor VR 24-120mm f3.5-5.6 / TAMRON SP 90mm f2.8



 とぎれとぎれになっている花鳥園シリーズの更新は、この先もとぎれがちになる。本編としてはもう終わっていて、あとはつなぎのネタになっているといった方がいいかもしれない。再訪の報告をして、フクロウコレクションも終わったから、あとはノンテーマ、ノンジャンルの写真が残っているだけとなった。
 第7回の今回は、テーマ別として最後になりそうなコガネメキシコインコ編だ。掛川花鳥園を代表する鳥のひとつで、フクロウやタカ、オオハシ、ヨウムなどと並ぶ人気者でもある。花鳥園を紹介する写真では必ずといっていいほど、こいつを肩や頭に乗せた人が写ってるし、それを見て花鳥園へ行きたいと思う人も多いという。
 というわけで、今日はコガネメキシコの写真を集めて並べてみることにする。飛んだり、とまったり、食べたりと、やつらはせわしない。もし、こいつらを10匹家の中で飼っていたとしたら、家に帰るのがイヤになるかもしれない。とにかく、人なつっこくて、落ち着きがなくて、騒がしいやつらなのだ。色も派手だから、見てると目がチカチカしそうになる。でも、どこか憎めないのがコガネメキシコインコというやつで、そこが好きという人が多いのだろう。

コガネメキシコ-2

 どんなキューが誰から出てるのか分からないけど、広い温室の中で突然一斉にコガネメキシコが飛び出すことがある。間欠泉のようにタイミングは一定ではない。しばらくおとなしかったと思うと、何の前触れもなく(実際には何かあるのだろうけど)、ギャーギャーギャーと鳴き騒ぎながら、端から端まで全速力で飛んでいく。何がしたいのかよく分からない。ネットの向こうに何かがあるというわけでもなく、ただ運動不足を解消するかのように飛ぶ。人がいても平気で、けっこう頭の上すれすれを飛んでいくのでびっくりする。理由はなくても、飛びたいから飛んでいるだけといえばそうなのだろう。
 名前はメキシコとついているけど、実際の生息地は、ブラジルやベネズエラなど、南米大陸の北東部の明るい森林地帯だ。野生のものも小さな群れを作って暮らしていて、穀物や果物、花の蜜などをエサとしている。花鳥園でも雑食性で、リンゴやパイナップルを小さくカットしたものや、小鳥のエサらしきものまで両方よく食べる。

コガネメキシコ-3

 迫力ある飛翔シーンを見ると、やはり撮ってみなくなるのが人情だ。ただ、スピードがかなり速いから、ビシッと撮るのは難しい。ハウスの中ということで明るさも充分ではないので、シャッタースピードも稼げない。流し撮りがうまくはまるといい写真になる。
 飛ぶのは人が少ない平日や午前中が多いとのことだ。やっぱり人によるストレスの発散を目的としたものかもしれない。

コガネメキシコ-4

 高速飛行の先でどうなるかというと、こうなる。張られたネットにぶつかるように突っ込んでいって、そのまま引っかかってぶら下がっている。柔らかいネットだから安全なのだろう。
 ひとしきりネットでギャーギャー騒いだあと、また反対側に向かって全速力で飛んでいく。たちの悪い子供みたいだ。

コガネメキシコ-5

 鈴なりとはまさにこのこと。コガネメキシコインコのなる木みたいだ。
 それにしてもこんなに数はいらない。いつからこんな大家族になったのだろう。園のオープン時にこんなに導入したとも思えないし、園内で増えていったのだろうか。
 コガネメキシコはペットとしてもわりとポピュラーな種で、飼っている人もけっこういるそうだ。インコの中では1羽7万円ほどと、そこそこ高価な部類に入る。
 花鳥園では100羽くらいいそうだから、ざっと700万円が飛び交っていることになる。肩の上に5羽乗せたら、それだけで35万円が乗っていることになる。花鳥園の中でしばらく過ごしていると感覚が麻痺していくのだけど、あの中の鳥をお金に換算すると、数千万ではきかない。自覚のないまま、お宝に囲まれていることになる。そういう意味でも、あそこはまさに夢の楽園なのだ。

コガネメキシコ-6

 夕方の閉園間際になると、エサ代が無料となってエサやり放題になる他、通常メニューのエサ箱も置かれ、食事タイムとなる。それに一斉にたかるコガネメキシコたち。
 その頃になると鳥たちもおなかがいっぱいになるので、あまり相手をしてくれなくなる。普通にエサを食べるのに必死で、食べ終わるとおなかがいっぱいになって、お愛想もしてくれない。やつらは人間が好きなのではなく、エサをくれる人間が好きなだけなのだと気づかされる。

コガネメキシコ-7

 手乗り、肩乗り、頭乗りなどお手の物。手からエサを食べるのも平気だ。
 家庭でチビから育ててもここまで手なずけるのには苦労するだろうに、ここのやつはどれもが当たり前のように慣れている。人を警戒していたらメシにありつけないという事情がそうさせるのか。

コガネメキシコ-8

 両肩にマイインコ状態。花鳥園ではごくありふれた光景だ。この格好の人が電車の中にいたら相当おかしいけど、花鳥園の中では何の違和感もない。誰もがマイインコを持っているから。

 そんなこんなのコガネメキシコインコ編でした。
 飼うといってもなかなか高いし、毎日世話をするのも大変だから、花鳥園へ行って一日オーナー気分になるのが手頃で楽しい。両手、両肩、頭と7羽も乗せれば50万円相当だ。ヨウムやオオハシさんをメンバーに加えれば金額は一気に一桁跳ね上がる。そんなひそかな楽しみもある花鳥園なのです。
 花鳥園写真はまだだいぶ残っている。残り回数は未定だ。
 明日は名古屋で鳥巡りなので、また花鳥園シリーズは中断となる。日曜日の明日、名古屋の鳥スポットで張っていると、私がのこのこ現れる可能性大です。トラフの来るところとか、干拓地とか、観察館のあるあそことか、そのあたり。

急に決まった帰郷は雪降る中の高速ドライブとなった

雨/雪/天候(Weather)
雪の帰郷-1

Panasonic DMC-TZ1



 急に田舎に帰らなくてはいけないことになって、今日日帰りで行ってきた。
 三重県に入って突然雪が降り始めて、進むにつれて雪景色になっていったのは驚いた。名古屋を出たときは冬晴れの青空だったのに、1時間走ったら真っ白の世界になってしまうなんて思いもしなかった。
 積もるほどの雪ではなかったものの、雪降りの高速走行は初めてだったから、少し緊張した。吹雪のようになって前が見づらいのでちょっと恐い。写真には雪はあまり写らないから、そのときの状況をお伝えすることはできないのが残念だ。
 走行中の一眼撮影はさすがに無理があるので、今日はコンパクトデジの撮影だけになった。田舎でも雪で濡らすのがイヤで、コンパクトしか使わなかった。今日は写真を撮りにいくような用事でもなかったし。

雪の帰郷-2

 長らく工事をしていた第二名神がようやく完成に近づいて、2月23日に開通するようだ。ただしまだ全体の一部で、まずは亀山と草津田上の間の暫定開通ということになる。神戸までつながるのはいつになることやら、気の遠くなるような話だ。今のところの完成予定は2018年となっているけど、そんなにすんなりいくとも思えない。
 うちは名古屋の北東なのであまり関係ない。大阪への時間が15分短縮するということくらいか。豊田方面に住んでいる人は、伊勢湾岸自動車道から関西方面へ行くのに便利になる。
 渋滞緩和や雪が降りやすいところを避けるなど、いろいろ効果はいわれている。高速道路はあればあるほど便利ではあるけど、必要ないようなところもけっこうありそうだ。昔は、高速道路はいずれ無料になるって話だったのに、今は誰もそんなことを言う人はいなくなった。民主党もそこまでは言わないだろう。
 新名神の愛称は、畿央まほろばハイウェイに決まったそうだ。響きはいいけど、まほろばなんて言葉の意味を知ってる人がどれだけいるか。

雪の帰郷-3

 雪は御在所から亀山あたりまでだと思っていたら、松阪に入っても降り止むことはなかった。松阪は雪の少ないところだから、こんなに降るのは珍しい。

雪の帰郷-4

 大師前のふれあいの館。
 雪が降ると、案外寒くない。風が吹いて吹雪くと体感的に冷たく感じるのだけど、風がない雪の日はむしろ暖かいくらいだ。今日も、雪が降っていた三重よりもよく晴れた名古屋の方が寒かった。放射冷却もあったのだろう。

雪の帰郷-5

 田舎のノラ。雪が降る中、出迎えてくれて、だみ声でニャーニャー鳴いていた。
 カリカリを投入したらよく食べていた。デカい図体だから、かなり食べるのだろう。アイの倍くらいの大きさがあって、同じ猫とは思えないくらいだ。

雪の帰郷-6

 雪でも見上げていたのか。見慣れないものが空から降ってくるとでも思っていたのかな。
 まだ当分寒い日が続くけど、夏に行くまで元気でいて欲しい。

雪の帰郷-7

 サービスエリアに寄ったら、御福餅(おふくもち)が売っていたので買って食べた。ちょっとお久しぶりです。
 赤福の販売再開は来月の中旬くらいになりそうなことをいっていた。御福餅は短い自粛期間のあと、本店と伊勢で販売再開したのは知っていたけど、サービスエリアまで復活してるとは思わなかった。赤福がいぬ間にたくらん売っておかないと。
 すごく久々に食べた御福餅は、イメージの中にあったものよりずっと美味しかった。昔は、赤福のニセモノで味もだいぶ落ちるといった思い込みがあったのだけど、どうやらそれは間違いだったようだ。御福餅も、これはこれで美味しい。
 赤福と比較すると、御福の方が甘さ控えめのあっさり味で、あんのキメが荒くて粉っぽい。餅は赤福よりも柔らかいかもしれない。赤福ではなく御福餅の方が好きという人の気持ちもようやく分かった。ずっとパチモンだと思っていた御福餅に謝りたい。
 でも、どっちが食べたいかというとやっぱり赤福なのだ。赤福の方が甘いけど美味しいし、あんの舌触りがなめらかだ。営業再開したら、みんなこぞって買いに行くだろう。最初は直営店だけの復活になるようだから、すぐに売り切れてプレミアがつくかもしれない。

 今日はこんな落ち着かない一日だった。そしてこのバタバタ感は来週いっぱい続く。その間、ブログが少し軽めになるかもしれないけど、2月からは落ち着いてしっかり書いていきたいと思っている。
 明日も早寝でのんびり更新してる時間はない。花鳥園の写真になりそうだ。日曜は出かけるから今週のサンデー料理はない。
 2008年も、もうひと月が終わろうとしてるなんて、信じられない。

息抜き夕暮れ香流川模様写真でインターミッション的簡易更新

海/川/水辺(Sea/rive/pond)
夕暮れ香流川-1

Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS



 揚輝荘シリーズが終わってちょっと息抜きということで、今日は夕暮れに近所の香流川を歩いて撮った写真をお届けします。
 夕暮れ間近でかなり暗くなっていたからブレとの戦いになってしまい、手ぶれ補正のレンズと感度を上げてなんとか生き残ったのが今日の写真だ。高感度ノイズが少ない20DならISO800までは充分実用範囲なので安心して使うことができる。ISO1600もシーンによっては使えると思う。
 それでも被写体ブレはどうしようもなく、シャッタースピードが上がらない状況では厳しさもある。やっぱり写真は光があるときに撮りたい。

夕暮れ香流川-2

 コガモさんたちはお昼寝中。日没で本格的な睡眠に入ったところだったかもしれない。
 寒い日だったから丸まっているのかとも思ったけど、それなら水の中には入ってないだろう。そもそも、寒い日は、外と水の中とどっちが体感的に暖かいのだろう。カモたちが寒いと感じているのかどうかもよく分からない。寒さには強いにしても、ユーラシアの北では寒すぎて越冬するために日本などにやって来るわけだから、ものすごく強いわけではなさそうだ。ただ、これ以上は南下しないから、日本の冬を寒すぎるとは思っていないはずだ。
 一年中日本にいるカルガモと渡りのカモと、体の構造も全然違っているのだろうか。

夕暮れ香流川-3

 オナガガモはみんなそろって毛繕い中。
 派手にブレているのは私の手だけじゃなく、オナガたちが激しく動いていたせいだ。

夕暮れ香流川-4

 カルガモの姿も増えていた。渡りのカモたちがいってしまった夏場は、カルガモたちも寂しそうにしてるけど、冬になると仲間が増えて安心してるように見える。
 カルガモだけで小さなグループを作っていることもあり、他のコガモなどと一緒にいることもある。そのあたりも性格だったり個性だったりするのだろうか。

夕暮れ香流川-5

 向こう岸で何か黒いものが動いたと思ったら、ノラらしい黒猫だった。
 大あわてで走っていったと思ったら、上の遊歩道に散歩の犬が歩いてきたからだった。
 ここは猫の多いところで、ノラや半ノラたちがよく歩いている。今うちにいるアイも、しばらくこの川辺でノラ生活を送っていた。

夕暮れ香流川-6

 空飛ぶ猫とまではいかないけど、ジャンプして上の方に駆け上がっていった。
 暗い上に黒猫でシャッタースピードが上がらず、こんなふうにしか撮れなかった。残念。ジャンプする猫をきれいに撮れたら、フォトコンの「そらとぶねこ」に応募しよう。

夕暮れ香流川-7

 この川はいつもどこかで工事をしている。一体何を直していることやら。
 間の悪いことに、花見の時期もやっていることが多い。今年はそれまでに終わるといいけど。
 もうそろそろ1月も終わりに近づいて、春の桜もそう遠くないところまでやって来た。一年が過ぎるのは本当に早いものだ。

夕暮れ香流川-8

 ペンキ塗りたての注意書きを見ると、なんとなく昭和っぽくて懐かしい気がする。ペンキを塗ったばかりのベンチに座るみたいな古典的なコントを思い出して。
 ペンキを塗るっていうこと自体が昭和だ。21世紀的じゃない。時代が進んでもペンキってのは残っていくものなんだろうか。

夕暮れ香流川-9

 飛びものはとりあえず撮る。意味や理由はなくても。
 この飛行機は今でも小牧空港に降りているどこかのマイナー会社のものだ。ほとんどこのタイプしか見ないようになった。主だったところは、みんな知多のセントレアへ行ってしまった。

夕暮れ香流川-10

 すっかり葉の落ちた桜の木は、春に向けてもうつぼみの準備をしている。寒い冬に耐えてこそ、花を咲かせることができる。ソメイヨシノの木を常夏の地に持っていっても花は咲かない。

夕暮れ香流川-11

 ちょっと幻想的な写りになったマガモカップルの後ろ姿。
 適正露出だけが正しい写真の在り方じゃない。

 ここのところバタバタと慌ただしさが続いて散策に行けてない。明日もちょっと田舎に帰らなくてはいけなくなった。今週末の日曜は久しぶりに出かけられそうなので、それを楽しみにしている。
 まだ花鳥園の写真が残っているから、明日から再開しよう。
 最近、神社仏閣ネタがないではないかとお嘆きの方、もうしばらくお待ちください。え? 待ってない? いやいや、きっといるはず。期待に応えるべく、また神社仏閣巡りもしていきたい。
 2008年のブログの目標や方向性としては、特に去年と変わったところはない。継続することを第一の目標と決めている。2005年の開始当初と比べると少しずつ様変わりしてきているけど、それもまた必然だと思っている。個人的な思いとしては、もう少し読み物ネタを復活させていきたいというのはある。ここのところ写真重視に偏りすぎているところがあるから。長くなると書くのも読むのも大変になるのだけど。
 そんなこんなで今年も更新あるのみなのだ。

揚輝荘も文化のみちの一員になるといいね ---揚輝荘第6回<最終回>

名所/旧跡/歴史(Historic Sites)
揚輝荘最終回-1

PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 長くなった揚輝荘シリーズも6回目でようやく最終回となった。最初は3回くらいのつもりだったのに、調子に乗って写真をたくさん撮ったから。最後は本編に入りきらずにこぼれてしまった写真を集めて並べて終わりとしたい。

 この人形はけっこう古そうだ。外国の人形だから、どこか海外へ行ったときのおみやげだろうか。ここの家の娘さんにお父さんが買ってきたものかもしれない。

揚輝荘最終回-2

 こちらには日本人形が置かれていた。
 部屋のふすまや壁紙が古びて、染みなども浮いてきている。ちょっとおどろおどろしい雰囲気。泊まった田舎の古い旅館がこんな部屋だったら寝るのに勇気がいりそうだ。

揚輝荘最終回-3

 このあたりの作りも非常に凝ったものとなっている。
 樹齢数百年だかの巨木から切り出した一枚板で作られているとのことだ。

揚輝荘最終回-4

 揚輝荘の中では伴華楼が一番きれいな状態になっている。応接間もそのまま使えそうなほど整っている。
 暖炉の上にいる置物は猫だったか違ったか。犬だったかもしれない。

揚輝荘最終回-5

 一階から二階へ上がる途中の、床の高さと目の高さが同じになる風景がなんとなく好きだ。家の中をこの水平レベルで見ることは普通ないから、新鮮な景色に映る。

揚輝荘最終回-6

 古い柱と鏡。どちらも年季が入っている。
 古い鏡はちょっと恐い気もする。たくさんの人の顔や、移り変わる部屋の様子を長い年月映し出してきて、何か自らの意志のようなものを持っているような、そんな想像をしてしまう。

揚輝荘最終回-7

 昔ながらの柱時計。すでに時を刻むのをやめていた。

揚輝荘最終回-8

 日曜大工で作ったような机と椅子だけど、これも手が込んでいる。椅子の背もたれには、階段の手すり同様、透かし彫りが施されていて、向こうが透けて見える。手すりの上の部分にも模様が刻まれている。
 家の中の至る所がこういう意匠を凝らしているところはあまりないんじゃないか。高い家具を揃えるとか、派手なインテリアで飾るとか、そういうことではない。こういう工夫もあるんだと参考になるところがいろいろあった。もちろん、使われている素材は高級品で庶民が気軽に使えるようなものではないけれど。

揚輝荘最終回-9

 聴松閣の玄関前には石の虎が構えている。
 当主が中国旅行のとき手に入れたもので、大齊永明六年と刻まれているそうだ。それが本当なら488年に彫られたものということになる。

 これにて揚輝荘見学報告は終わりです。お疲れ様でした。
 建物も庭も、まだまだ整備はこれからで問題も山積みのようだけど、今後に期待したい。名古屋市が金を出すだろうか。古くて貴重なものは残して守っていって欲しいと思うけど、それは部外者の勝手な願望で、実情はなかなか大変のようだ。
 名古屋市も遅ればせながら文化財や古い建築物の保存に力を入れるようになって、「文化のみち」として歴史的な地域一帯を観光コースとして育てようという活動を始めた。現在のところ、二葉館(旧川上貞奴邸)、橦木館、旧豊田佐助邸、故春田鉄次郎邸が指定されて、一般公開されたり使われたりしている。今後は、この輝揚荘もそれに組み入れられるといいんじゃないかと思う。コースとしても大きくは外れていない。
 去年から名古屋観光バス「メーグル」というのも運行されるようになった(ネーミングがまたアレだ)。いくつかのコースがあって、「歴史探訪ツアー」では、名古屋駅から徳川園、徳川美術館、二葉館、市政資料館、名古屋城を、「産業観光ツアー」では産業技術記念館、名古屋テレビ塔、広小路栄、ノリタケの森をそれぞれ巡っている。1回どこまで乗っても250円で、一日乗り放題券も500円だから、ちょっと魅力的だ。バスは金ピカに塗られていて、乗り降りするとき恥ずかしいけど、屋根に金鯱を乗せなかっただけましだ。私も一度乗りたいと思っている。早めに乗っておかないと、いつ廃線になってしまうか知れないし。
 そんなわけで、名古屋にもまだまだ隠れた観光スポットがあるという話でした。また名古屋のマイナー見学ネタでお会いしましょう。

揚輝荘ネタもだいぶ引っ張ってラスト前は南庭園 ---揚輝荘第5回

名所/旧跡/歴史(Historic Sites)
聴松閣3-1

PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di


 揚輝荘シリーズもなんだかんだで長引いて、今回が5回目となった。もうそろそろ終わらせようと思って写真をみたら、今日を入れてあと2回分残っていた。少し駆け足で紹介していくことにしよう。
 今回は南庭園の聴松閣と揚輝荘座敷の外観の写真が中心になる。
 北庭園から行くと、建物の裏手に当たる。かなり古めかしいたたずまいで、昭和の日本家屋の雰囲気を持っていて、ちょっと懐かしい。ただしこちらは裏の顔で、表に回るとずいぶん印象が違う。あえてそういう作りにしたのか、改築を重ねることでそうなっていったのかはよく分からない。こちら側の建物はもともとが古いもので、空襲があったり戦後の変遷をへているので、もとの姿をあまり残してはいないのだろうとは思う。
 かつてここは、揚輝荘座敷、聴松閣、端の寮と3つの建物が横に並んでいて、それぞれが渡り廊下で結ばれていたようだ。現在は、揚輝荘座敷と聴松閣の2つだけとなり、揚輝荘座敷は非公開となっている。
 それでは、表に回ってみることにしよう。

聴松閣3-2

 古い白壁のこれは土蔵だったか。これだけの邸宅だから、土蔵の一つや二つ、ないはずがない。
 全体の整備が進んでいって、詳しい敷地図なども描かれるといいのだけど、そこまでいくかどうか。もう少し体裁が整ったら、観光地として有料にしていく方向で考えてるのだろうか。

聴松閣3-3

 これが揚輝荘座敷で、現在の松坂屋がある場所に建っていた屋敷を移築してきたものだ。矢場町にあったときは、一時期、川上貞奴が住んでいたんだとか。こちらに移築されたとき、貞奴は現在東区の撞木町で公開されている二葉館に移り住むこととなった。二葉館はきちんとした観光地となっていて私も行ったことがある。このブログでは紹介したことがないから、今度もう一度行って写真を撮ってこよう。あそこはきれいな洋館でなかなかのものだ。
 揚輝荘座敷ができた当初は、茶室などの和室の他にサンルームなどもあるモダンな作りになっていたそうだ。
 戦後は米軍によって製パン所にされたり、松坂屋の女性用独身寮として使われたりで、当時の面影は消えてしまったという。周りがフェンスで取り囲まれているのは、敷地内にあった男性用の独身寮から夜中に男が忍び込めないようにするためだったとか。

聴松閣3-4

 こちらが表から見た聴松閣で、やぱり立派な建物だということが分かる。
 日本家屋の三階建ては迫力があるし、横に付いた石造りの煙突は斬新だ。そもそも普通の家に暖炉はない。

聴松閣3-5

 南庭園にも、池泉回遊式庭園があったようで、かつては屋敷からこの風景を楽しんだのだろう。
 今は水も抜かれて枯れ葉に埋もれてしまっているけど、ここも再現して欲しい場所の一つだ。手入れや維持も大変だし、復元そのものが困難だから、昔の姿が蘇ることはないか。庭の隅っこで作業をしていた人たちがいたけど、あの人たちは何をしてたのだろう。

聴松閣3-6

 庭園の周りには土塀があって、ここが屋敷の南端だったことを示している。かつての正門はこちら側にあったようだ。この写真でいうと向かって左側になる。
 今西門として使っているのは勝手口のようなもので、一般のお客は建物の裏手に回ることはなかっただろう。だから作りを手抜きしたというわけではないだろうけど。

聴松閣3-7

 石段の横を見ると、文政の文字が彫られている。1800年代前半だから、江戸時代後期のもののようだ。どの程度の価値があるものかは分からないけど、とにかく古いものであることは確かだ。

聴松閣3-8

 聴松閣の中と庭園の見学を終えたら、ツアーはもう終わりだ。裏手に戻ってきて、再びマンション敷地内の通路を通って、北庭園の入り口でアンケート用紙の記入というのもメニューの中に含まれている。
 あまりゆっくりだとだれるし、これ以上短いと回りきれないから、1時間コースというのはほどよいところだ。実質は1時間半近くになってしまうだろうか。

聴松閣3-9

 強い逆光で撮ったら古いフィルム写真のようになった。面白いからこれも載せておこう。
 こういうレトロな場所だから、フィルムカメラで撮っても面白かったなと帰ってきてから思った。デジで撮るなら、CanonやPENTAXのすっきり画質よりも、NikonやMINOLTAの深い画質の方が味が出そうだ。特にMINOLTAの渋い色調が似合いそうに思う。

 これで私の揚輝荘紹介もほぼ終わりとなった。写真もだいたい巡った順番になってるから、ガイドツアーはこんな感じというのが分かってもらえたと思う。
 あとはこぼれ写真が何枚かあるから、それを番外編として付け加えたら終わりだ。もう1回、つづきます。

聴松閣の後編はトンネルやら壁画やら内装の話 ---揚輝荘第4回

名所/旧跡/歴史(Historic Sites)
聴松閣2-1

PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 昨日は聴松閣の後編を書くことができなかったので、今日はそのつづきを書きたい。今回も写真が中心となる。
 上の写真は、聴松閣のミステリーと呼ばれる地下トンネルの出入り口だ。
 総延長170メートル、地下30メートルほどの位置に水平に掘られていて、南北の庭園と東の衆善寮を丁字形に結んでいるという。建物と同時進行で工事が行われたらしく、最初からここにトンネルを掘る予定だったようなのだけど、どんな目的で作られたのかは分かっていないらしい。揚輝荘では戦前からアジアの留学生をたくさん受け入れていたことや、日中戦争が始まった時期から考えて、身内の避難所と皇族や政財界の要人をかくまうためだったのではないかといわれている。
 現在は一般公開されておらず、中に入ることはできない。2007年の夏の一時期、マンション工事で掘り返したときにトンネルが露出して中の様子を見ることができたようだ。今はまた埋められてしまった。トンネルとしての形が残っているところも少なくて、復元は無理のようだ。
 そんな説明をするボランティアのガイドさんと、それを聞いてほうほうと感心する見学者一行が上の図だ。

聴松閣2-2

 地下のトンネル付近の壁には、ヒンズー教の女神などの宗教画が描かれている。有名な画家の作品だろうと喜んで写真を撮っていたら、戦前のインド人留学生が描いたものだと知ってガクッときた。それなりに価値のあるものなのだろうけど、一般人の留学生の絵ではねと思ってしまうのも無理はない話だ。冷静に見てみると、確かにプロの絵ではないなと思う。
 だいぶ傷みが進んでいるから、残すなら早めに手を打たないといけない。

聴松閣2-3

 いろんなパイプが縦横に走っていて、ちょっと怪しげな雰囲気をたたえている。何が通っているのか分からないけど、やや恐ろしげだ。家の中にこんなにもむき出しのパイプがあったら落ち着かない。パイプ自体古いものだし、壁や天井もはがれかけてきている。

聴松閣2-4

 ピアノが置かれた小さな半円形のステージがあって、向かい側はちょとしたホールのようになっている。このピアノも古いものなんだろうと思う。
 ここでは最近もミニコンサートなどが開かれているようだ。
 戦後はここを接収した米軍兵たちが、このホールでダンスなどをしていたのだろう。
 考えてみると、この建物ができたのが1937年だから、すぐに戦争になってしまって、伊藤次郎左衛門祐民一家がここで優雅に過ごした時間は短かった。戦後もすぐには元の生活に戻らなかっただろうし、あまり使わないまま歳月だけが流れて古びてしまったともいえるだろう。

聴松閣2-5

 ホールの奥はキッチンのようになっていたから、米兵たちはここをカウンターバーのように使っていたんじゃないだろうか。
 伊藤家でもパーティーのとき使っていただろう。
 壁の凝ったレリーフと「火の用心」と書かれた張り紙のアンバランスさが面白い。

聴松閣2-6

 古い写真などを見る一行。いろいろ説明してくれていたのだけど、ものこの頃になるとわりとみんな勝手にあちこち見て回ってバラバラになりがちで、説明を聞く人の数は少なくなっている。
 平均年齢は高い。完全にオーバー60だ。でもみなさん、元気で好奇心がある。夫婦連れの参加者も多かった。若者はあまりこういうものに興味は持たない。当然、名古屋嬢とかのギャルもいない。

聴松閣2-7

 撮る人を撮るシリーズは私の定番だ。
 年配の人も今はみんなコンパクトデジやカメラ付き携帯を持っている。年齢層が高いということで、フィルムカメラ派の人も3人くらいいた。これはかなり高い確率だ。最近はどこへ行ってもフィルムカメラの人はあまり見かけなくなった。

聴松閣2-8

 昭和モダンのルームライト。灯りというのは用途を満たせばそれでいいというわけではないということを再認識する。店で売ってる安い実用品のライトでは、本当の意味で部屋を明るく照らすことはできないのかもしれない。私もインテリアというものに対してもう一度考え直すきっかけになった。

聴松閣2-9

 ここもちょっと変わった小部屋で、何のための部屋か分かってないとのことだ。水が使えるようになっていることから、宗教的な儀式に使われたのではないかと考えられているらしい。ただ、この家にはキリスト色がないから、洗礼とは違うのだろう。
 住むための家じゃないから、実用よりも趣味や遊び心を優先させることができたというのもありそうだ。

 ざっと見て回った聴松閣はこんなところだ。実際に自分の目で見ると、いろいろ感じるところもあるだろうから、近くの方はぜひ応募して見に行ってください。一ヶ月先しか予約できないというのがなんとも悠長な話ではあるのだけど。
 揚輝荘シリーズはもう少し続きます。あと1回か2回。私の中でもだんだん印象が古くなってきてるから、早めに終わらせてしまわないと。明日、あさってには完結させたいと思っている。

聴松閣の内部を早足で巡る<前編> ---揚輝荘第3回

名所/旧跡/歴史(Historic Sites)
聴松閣-1

PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 揚輝荘シリーズ第3回は、南庭園にある聴松閣(ちょうしょうかく)へと舞台を移す。
 前回も書いたように、こちらへは往復ハガキの抽選で当たらないと入ることも外観を見ることもできないので、なかなか貴重な体験になる。北庭園と南庭園を分断しているマンションの問題があるから、今後とも自由な一般の出入りは難しいんじゃないだろうか。南庭園全体の整備が進んでいないという事情もある。
 この建物が建てられたのは1937年(昭和12年)というから、日中戦争が起こった年だ。そんな時期に新たにこんな趣味的な建物を建ててる場合かと思うのは、のちの時代から見てるからだろう。このときはまだ誰も戦争が長く続くなんて思ってなかったはずだ。他の多くの建物が空襲で燃えた中、これは一部が焼けただけで生き残った。
 外観は山荘風で、軽井沢だかどこかのホテルを参考にして設計されたとのことだった。上高地の帝国ホテルだったか違ったか(説明を聞いたのに忘れてしまった)。
 地上3階建てで、地下もある。内装は中国、インドなどのアジアのテイストと和洋が入り交じったちょっと変わった趣になっていた。揚輝荘の主である伊藤次郎左衛門祐民がインドやタイなどを旅して回ったときに受けた影響が建物に反映されているとのことだ。
 見学できるのは、1階、2階と地下で、3階へは行けなかった。それでもなかなか見所があったので、そのあたりを写真で紹介したいと思う。

聴松閣-2

 すでに記憶があやふやになりつつあるのだけど、確か1階はそれほど見るところがなくて、見学は2階と地下に集中していたような気がする。見学コースとしては1時間の予定なのでそれほどじっくり見て回っていられないというのもある(結局1時間半近くかかることになるのだけど)。
 玄関の説明が済むと、一行はすぐに2階に上がることになった(はず)。
 このあたりの吹き抜けというのも、一般家庭にはないものだ。普通はこんな贅沢な空間の使い方はできない。ふと、一作目のバイオハザードを思い出した。

聴松閣-3

 たくさんある暖炉の中でも二階の暖炉は特に凝っていて、珍しい瓦が埋め込まれている。どういうつてで手に入れたのか、古い東寺のものや、飛鳥時代のものまで使われている。
 ちょっとすごいなと感心しつつ、そもそもなんで暖炉に瓦を埋め込む必要があったんだろうと思わないでもない。単なる遊び心といえばそうなのだろう。珍しい瓦を手に入れたものの、他に使い道を思いつかなかったのかもしれない。

聴松閣-4

 確かここは書斎のような感じだったと思う。書棚が壁に並んでいたからそうだろうとは思うけど(本は入っていなかった)、部屋の作りは書斎風ではない。中央にテーブルと椅子が置かれている様子は、食堂のようでもある。
 ここは北向きの部屋だったか。日が差してなくて暗くて寒い印象を受ける。光の大切さとありがたみをあらためて感じる。

聴松閣-5

 こちらは西向きのようで光があって明るい部屋だった。居間か何かだったのだろう。
 使われなくなって久しいこの建物だけど、当時の内装がどこまで残っているのかはよく分からない。あとから演出のように手を加えた部分は少ないにしても、上の写真のような乱雑な椅子の配置などはどう解釈していいのか迷う。生活感があるようでない。

聴松閣-6

 こういう使い道のよく分からない部屋もいくつかある。もしくは、私が説明を聞いてなかっただけかもしれない。
 別宅としての建物で家族が毎日生活していた建物ではないので、全部が使われていたわけではないのだろう。
 それでも床は凝っている。自分の思い描く建物を建てることそのものが目的だったとも言えるだろうか。

聴松閣-7

 高そうな籐椅子だ。狭い部屋に置いたら邪魔そうでもある。
 左の方で壁がむき出しになっているのは、内部の調査をするためにはがしたもののようだ。他にもあちこちでこんなふうになっていて、整備の途中だということが分かる。

聴松閣-8

 天井もなにやらすごいことになっている。元々こんなふうだったわけはなく、ここも設計を調べるためにはがしたのだろう。それ以前に痛んでいて自分で落ちてきていた可能性もある。
 木造建築に興味がある人にとっては面白い教材になりそうだ。

聴松閣-9

 当時の生活が想像できるような部分で、ここはよかった。一度に何人も使える洗面所なんていうのも普通の家にはない。昔の小学校みたいだ。
 タイル貼りの流し台に庶民と同じような昭和を見た。

 聴松閣の内部に関しては、実はあまり書くことはない。見て回ってる分には、へぇーとか、ふーんとかいろいろ感じたり思ったりはするし、写真も撮るところは多いのだけど、言葉で説明するといっても特に何かあるわけではない。写真を並べて、まあ、こういうところですと、そういうことだ。
 まだ写真が残っているから、後編につづくということにしよう。余力があれば今日中に。なければまた明日。

サタデーナイト料理と最近のケーキ事情についての報告

料理(Cooking)
サタデー料理

Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II 他



 今週は訳あって、サンデー料理ではなくサタデーナイト料理となった。明日は用事があって夕飯を作ってる時間がないから一日早めた。特に深い理由があったわけではない。
 今日は今日とて夕方はバタバタしていたのだけど、簡単な料理にすればいいやと安易に考えていた。しかし、見通しが甘かった。1時間半コースのつもりがしっかり2時間を要してしまう結果となった。自分の料理の実力を見誤った。相変わらず料理脳が発達せずに能率が悪い。作っている最中のキッチンもひどいことになっている。
 ただ、振り返ってみると、この料理を今の私が1時間半で作れるはずもなかった。今回はソース作りがないから楽勝だと思っていたら、こねものや刻みものが多くて、いちいち時間を食った。自分がいっぱしの主婦レベルに達したなんて思ったら大間違いだ。まだそんな実力はない。なんてったって月に2度か3度しか料理をしない日曜料理人なんだから。

 今日も例によって3品。テーマは特に決めなかった。前回、来週は肉料理にしようと書いたと思うけど、いざとなったら予定もテーマも飛んでしまった。方向性もないまま、思いついた料理を作っただけになってしまった。メニューを考える時間も、作る時間も足りなかったというのもある。
 右手前はミニハンバーグの何風というんだろう。作った自分もよく分からない。
 ハンバーグは普通に、豚の挽肉、タマネギ、卵、カタクリ粉、パン粉、塩、コショウを混ぜてよく練り合わせて焼いたものだ。普通サイズではなくミニにしたのは、基本的に私は大きい料理よりも小さい料理が好きだからだ。
 水にコンソメの素を溶かし入れて、焼けたハンバーグを軽く煮込む。
 豆腐はレンジで水切りをしたあとサイコロ切りにして、カタクリ粉をまぶしてオリーブオイルで焼く。
 ハンバーグを煮ているところに焼いたサイコロ豆腐とコーンを加えて、しょう油、塩、コショウで味をととのえて、最後に水溶きカタクリ粉を入れてとろみをつけたら完成となる。
 これは当たり前に美味しい。豆腐とカタクリ粉の組み合わせは、つるんとした食感を生んで舌触りがよくなるし、ハンバーグとの相性もいい。
 別バージョンとしては、ミートボールにして揚げてから煮込むというのもよさそうだ。

 右奥はサラダっぽいけどそうじゃない。
 まずジャガイモを適当な大きさに乱切りして塩水で茹でて柔らかくする。そこへタマネギとブロッコリーを加えて、中華の素、塩、コショウ、しょう油で味付けをする。
 取り出して耐熱皿に移して、カニ缶、マヨネーズ、とろけるチーズを乗せて、オーブンで焼く。あらかじめ温めておいたオーブンで10分くらいでいいだろう。
 水分がない分、あっさり味になるから、下茹での段階である程度しっかり味をつけておいた方が美味しくなる。

 右奥の料理は、見た目がとても私の料理っぽい。中身は違えども、外観は一緒のものを何度か目にしていると思う。刻んでこねて焼いた料理だ。こういうのが好物なので、よく作ってしまう。食材の原形が残ってる料理は好きじゃないのだ。
 今回はまた新たな一品を生み出した。使ったのは、レンコンと山芋。レンコンを茹でて柔らかくして、大きめのみじん切りにする。
 山芋をすり下ろして、刻んだレンコンに混ぜて、そこへ小麦粉、カタクリ粉、だし汁、長ネギ、酒、しょう油、塩、コショウを混ぜたら、あとはフライパンで焼くだけだ。味はめんつゆでつける。仕上げに青のりをたっぷりを振ったらできあがりとなる。
 見た目上品な料理とは言い難いけど、味は保障する。美味しい。ふわとろでコリコリの食感もいい。これは追加の一品としてオススメできる。

 全体としての味は申し分ないものだった。和食とも洋食ともつかないような取り合わせとなったけど、バランスも悪くなかった。それぞれがケンカすることなく、3品として成立していた。少し料理に安定感が出てきたかもしれない。自分自身合格点をつけられることが多くなってきた。
 そろそろ次の段階にステップアップすることを考えてもいい時期だろう。盛りつけ、彩りというテーマとは別に、調理方法という点でも何か新機軸を打ち出していきたい。せっかく圧力鍋もあることだし、料理時間短縮のためにもそのあたりも活用していきたいし、ガスコンロだけでなく、魚焼きグリルも、レンジも、オーブン機能もある。それらを上手く組み合わせて同時進行させることで、もっと料理の効率は上がるはずだ。フードプロセッサーも持っていれば料理の幅が広がることは間違いないのだけど、果たしてちゃんと使い続けるかどうかというと自信がない。ミキサーくらいなら一台持っていてもいいのかもしれない。得意のくだき料理がますますエスカレートしそうだけど。
 とにかく料理脳を発達させることが今後の課題だ。これまで使ってこなかった部分の脳だから、鍛えて性能を上げるしかない。イメージトレーニングをするだけで足りなければ、今更だけどDSの脳トレでも買ってやるか。

最近のケーキ-1

 年末年始はケーキを作る機会が増える。普通の男性は特に増えないと思うけど、私は増える。クリスマスから身内の誕生日続きで。
 今日は最近のケーキ事情と題して、続けざまに三回作ったケーキを紹介したいと思う。サンデー料理は少しずつ成長している私も、ケーキに関しては一進一退を繰り返している。なかなか安定飛行にならない。一回成功しても次は失敗するし、新しい試みをしては撃沈している。ケーキは料理以上に難しい。ジーンズが似合う人はどんな服を着ても似合うというけど、ケーキはジーンズに当たりそうだ。ケーキが上手く焼ける人はどんな料理も上手いに違いない。その逆は当てはまらない。

 上の写真は、クリスマスに焼いたケーキだ。ここ最近の中では一番出来が良かった。黒豆ココア入りのスポンジケーキはまずまずふんわり焼けて、一応合格点だった。上の白いのはホワイトチョコを溶かして塗ったものだ。
 実はこのケーキ、去年のクリスマスに初めて作ったケーキと同じものだ。あのときはびっくりするような大失敗で、もう笑うしかなかった。それを臆面もなく持参していった自分が今更ながら恐い。ツレもびっくりしたことだろう。ブログの去年の写真を見ると、あらためてひどいなと思う。ケーキの形をしてないし。
 あれと比べたら一年で格段の成長を遂げた。ちゃんとケーキの形をしてる。ふんわりきめ細かなスポンジにはまだ遠いけど、なんとかぎりぎりのラインまでは達している。でもまだ、道のり半ばといったところだ。理想のスポンジはまだずっと先にある。
 上の飾り付けとクッキーはツレの担当だ。おかげでだいぶクリスマスらしい雰囲気になった。食べているロケーションは、堀川の川沿いのベンチともいえないようなところという、およそクリスマスらしからぬ場所ではあったのだけど。

最近のケーキ-2

 これはツレの誕生日に焼いていったケーキだ。半失敗。というより、これはバースデーケーキじゃない。ただ、高速バスで掛川の花鳥園へ行たときだったから、普通のデコレーションケーキを作って持っていくことができなかったので仕方がない部分はあった。
 完成度は低い。白黒シマシマ模様の三角ケーキというのはよかったのだけど、テクニックがついていかなかった。黒い方の焼きに失敗して、切るときにボロボロになってしまって取り返しがつかなかった。切れ味の悪いナイフで切ったのもよくなかった。
 でもこれは上手く作ればかわいいケーキになるので、私の代わりに誰か上手に作ってみてほしい。
 パウンドケーキの型のようなもので白と黒のスポンジを2つ作って、それをそれぞれ2枚に切り分けて、交互に重ねる。間にクリームか、バタークリームなんかを塗る。今回はカスタードクリームを塗った。あとは重ねたケーキを立てて斜めに切って、三角形にくっつければできあがりだ。
 持ち歩かず家で食べるなら、三角の屋根部分にクリームなどを塗ったり、粉砂糖を振りかけたりしてもよさそうだ。
 ケーキの手前に乗っているのは、ツレのみやげの「神戸ミルクチョコラングドシャ」と、私の賢島みやげ「真珠のたまご」だ。どちらも美味しかった。やっぱりプロの仕事は違う。自分でいろいろ作るようになって市販の食べ物の偉大さを思い知った。

最近のケーキ-4

 これは身内の誕生日ケーキとして作ったデコレーションケーキだ。
 しかし不細工だ。これは言い訳がきかない。デコレーションの失敗は致命的だ。一度走り出したら引き返せないし、やり直しもきかない。途中から波模様がヨラヨラし始めて、脱線したまま戻らなかった。一筆書きみたいにしようとしたのが間違いだった。もっと、チョン、チョン、と区切って模様を描いていけば良かった。ちょっと焦りすぎた。土台の横も上手く平らにならすことができなかった。これも意外と難しい。
 何しろ生クリームがすごいことになっている。こんな生クリームまみれのデコレーションケーキはどの店でも売ってない。けっこう斬新かもしれない。食べるとはっきりした美味しさだ。有無をいわせぬ甘さというか、甘さ控えめケーキが全盛の今、時代に逆行するケーキという言い方もできる。子供の頃食べた甘ったるい不二家のケーキみたいだ。いや、あれさえも超えていた。フルーツの酸味がある程度甘みを打ち消してくれたから食べられたものの、それがなければ胸焼けしそうだ。
 実はこんなにも生クリームを塗りたくったのはスポンジが失敗したからというのがあった。原因はよく分からないのだけど、焼き上がっていったんふくらんだスポンジがプシューと音を立てるようにしてしぼんでしまったのだ。それで、傾いた二階建ての木造家屋のようなスポンジになって、それを隠すために生クリームで誤魔化すことになってしまったのだった。

 スポンジはケーキの基本であり、最終目的地なのだろうと思う。中華料理でいえばチャーハンのようなものだ。シンプルだけど奥が深くて極めるのが難しい。
 自分が思い描くふわふわスポンジへの道のりは遠い。ケーキ屋のケーキなんていう大それたことを考えてはいない。せめてコンビニのケーキくらいのものは作れないものだろうかと思っているだけだ。どんなコツがあるんだろう。
 使う粉、卵、砂糖によっても違ってくるだろうし、粉の混ぜ方や焼き温度と時間など、結果に影響してくる要素がたくさんありすぎて、失敗の原因を特定するのも難しい。レシピ通りにしてるつもりでも毎回結果が違ってくる。こればかりは回数を重ねて自分なりの攻略法を編み出していくしかないのだろう。挫けず続けたいとは思っている。
 料理のように毎週一回やれば上達も早いだろう。曜日を決めて習慣にするといいかもしれない。今後新展開がみられたら、ブログで報告します。

松坂屋は明智光秀が作ったという風が吹けば桶屋が儲かる的な話<揚輝荘2>

名所/旧跡/歴史(Historic Sites)
揚輝荘2-1

PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di



 松坂屋の創始者・15代伊藤次郎左衛門祐民の別邸「揚輝荘」見学レポートが、一回書いただけでそのままになっていた。そのすぐあと花鳥園へ行って、そちらが先行してしまった。もう忘れかけている人も多いと思うけど、ここらで揚輝荘シリーズを再開したいと思う。花鳥園の写真もまだだいぶ残っているけど、それはちょっと置いておいて、まずは揚輝荘を完結させてしまいたい。全部で4回か5回くらいになる予定だ。

 名古屋では一番の老舗デパートとして知らない人はいない松坂屋も、全国的な知名度としてはどうなんだろう。銀座にもあるし、大阪の高槻にもあるから、本州では一応知られた存在ということになるのだろうか。名古屋では絶対的、圧倒的な力を持っている。いや、持っていたというべきか。
 名古屋では昔から五摂家というのがあって、松坂屋、名古屋鉄道(名鉄)、東海銀行(現・三菱東京UFJ銀行)、中部電力、東邦ガスの5社がこの地方での名門といわれ、地元では大きな発言力を持ってきた。あのトヨタでさえこれら5社の仲間に入れてもらえず、豊田市という郊外にとどまったくらいだ。
 この地方のお中元、お歳暮は松坂屋と相場が決まっていて、三越や高島屋などの包装紙にくるまれたものが送られてくると、バカにしてるのかと本気で怒る人もいるくらいだ。中身の問題ではない、格の問題だというわけだ。
 しかしそれも近年、だいぶ様変わりしてきた。松坂屋も大丸と合併、東海銀行もUFJに飲み込まれた。一方ではトヨタが世界のトヨタとなり、名古屋駅の一等地にミッドランドスクエアという超高層ビルを建てた。もはや松坂屋神話は崩れたといってもいいのかもしれない。名古屋でも若い世代では松坂屋の包装紙へのこだわりは消えてなくなりつつある。

 松坂屋の歴史をさかのぼると織田信長に辿り着く。本能寺の変のとき、伊藤蘭丸祐広(すけひろ)・祐道(すけみち)父子は、揃って蘭丸を名乗り(信長は蘭丸という名前が好きで二人の名付け親になっていた)、信長の小姓として仕えていた。そのとき19歳だった息子の祐道の禄が八百石というからかなりのものだ。単純に一石を現在の貨幣価値に換算するのは難しいのだけど、一石10万円としても年収8,000万円ということになる。
 本能寺の後、新たな主君に仕えることなく清洲で浪人生活を送っていた祐道は、1611年、48歳にして突然武士を捨て、商人になることを決意する。妻と次男の祐基を連れて、名古屋の本町に小さな呉服小問物問屋を開業した。これが後のいとう呉服店であり、松坂屋の前身となる。
 祐道は大阪夏の陣で豊臣方について戦死するも、息子の祐基が跡を継ぐこととなる。名古屋の茶屋町にあらたな呉服小間物問屋を開いたのが1659年のことだった。
 その後、江戸上野の松坂屋や、大阪のゑびす屋呉服店を買い取ったりして、商売は順調に伸びていく。店の名前はいろいろ変わったりしつつも最終的に松坂屋に統合されたのは、江戸で一番知名度がある名前だったからという理由のようだ。
 時は流れて初代から数えて15代目の伊藤次郎左衛門祐民(すけたみ)が名古屋の覚王山に建てた別邸が、今回紹介している「揚輝荘」だ。
 最初は、1918年(大正7年)、現在松坂屋本店がある矢場町にあった揚輝荘座敷と、徳川邸から有芳軒をこの地に移築したのが始まりだった。
 それから約20年にわたって増築が繰り返され、最盛期には敷地1万坪の中に30数棟の建物が建っていたそうだ。その当時は、この地方の財界人、政治家、皇族などが多数訪れ、華やかな社交場となっていたという。
 現存するのは南北に分断された3,000坪の敷地と数棟の建物だけで、建物の多くは空襲で焼けてしまって古いものはほとんど残っていない。
 戦時中は焼け残った建物を米軍に接収されたり、戦後は松坂屋の独身寮などに使われたりもした。
 平成18年に名古屋市に寄贈されて、現在は少しずつ整備が進んで一部が一般公開されている。

 前回は伴華楼(バンガロー)の内部を紹介した。今日はその外観などをガイドツアーで回った順にレポートしていくことにしたい。
 上の写真がその伴華楼の外観だ。建物の基本部分は尾張徳川家から譲り受けた茶室付きの和室で、そこに鈴木禎次設計の洋室が増築されている。

揚輝荘2-2

 このあたりまで鈴木禎次の設計なのか、家主の趣味なのか、いろいろと凝った装飾が施されている。貼り付け細工が特に好きだったようで、ここ正面玄関テラスは五色石で飾られている。他にもこの細工はあちこちで見られるから、やはり鈴木禎次設計ということではなさそうだ。
 けど、これは現代でも通用しそうなデコレーションだ。古めかしくなくて、むしろ新しい感じがする。素っ気ないコンクリート剥きだしの塀にするくらいなら、こういう石でも貼り付けておけばセンスがよく見える。石は買うと高いから、河原で拾ってくればいい。逆に貧乏くさいって?
 二階洋間外壁面などはサワラのうろこ壁になっていて、暖炉用の煙突もくっついている。

揚輝荘2-3

 藤棚もただの藤棚では終わらない。隅々まで意志が感じられるのがこの屋敷の特徴だ。何か手を加えないと気が済まない性格だったようで、どこもかしこも何かしている。素材そのままの部分がない。
 凝り性といってしまえばそうなのだろうけど、この精神は商売の方に通じているに違いない。創意工夫というのは、どんな細かいところにも手を抜かないことだというのがここを訪れた人間に対しても教えとなっている。

揚輝荘2-4

 別宅の庭にここまで本格的なお稲荷さんを建てているところはそうはないんじゃないだろうか。
 この豊彦稲荷は、 昭和初期に松坂屋京都店から勧請されたもので、京都仙洞御所にあった御所稲荷(豊彦稲荷)が本社だということが最近分かったそうだ。
 朱色の柱は一般から寄進されたもので、ここの景観とよく合っている。名古屋市に寄贈されたときに、宗教色が強いから取り壊した方がいいのではないかという意見が出たそうだけど、そういうことはしない方がいい。何かよくないことが起きそうだ。それでも、名目上はこの部分をマンションの敷地にしたようだ。市が稲荷さんを所有するのは確かにまずいといえばまずいかもしれない。

揚輝荘2-5

 屋根付き橋(亭橋)の白雲橋。
 北庭園は京都の修学院離宮を模して作られていて、この橋は本家の千歳橋にならったものだ。こちらの方が大きく作られている。
 屋根は緑釉瓦で一部が銅版葺きになっている。千歳橋はこけら葺だから、見た目の印象は違う。
 まだまだ整備されてなくて周囲は荒れた印象だけど、今後整備が進めばここの見所の一つとなるだろう。たまに橋の上を舞台として舞踊などのイベントが行われているそうだ。

揚輝荘2-6

 横から見るとこんな感じ。なかなか立派で美しい姿をしている。石垣風の脚も、全体の形も、写真で見る修学院離宮の千歳橋によく似ている。
 池も周りの木々も草も乱れ放題だから、まだまだ手を加えないといけない。少人数でコツコツ手入れをしてるようだけど、これだけの規模となると市が予算を組んで整備事業にしないとなかなか終わらないんじゃないか。現状では、ようやく建物の一部を見学に耐え得るように整備したといったところだ。

揚輝荘2-7

 白雲橋の向かいには野外ステージがある。石張りの半円型客席が設置された円形ステージで、ここはまだ手つかずのままだ。
 かつてはここでどんなものを演じ、誰が観ていたのだろう。

揚輝荘2-8

 長らく使われていなかったようで、ステージそのものも残っていない。古い写真を見ると、なかなか立派なものだ。大がかりな芝居などはできないにしても、漫才くらいなら充分できる(そんなものはやってないと思うけど)。

揚輝荘2-9

 こんな小さな橋にも石の装飾がなされている。この下にはかつて小川も流れていたようだ。
 左手の竹林には、名古屋では珍しいリュウキュウチクが生えているというし、野生のヒトツバタゴもあるそうだ。この地域ではどちらもかなり貴重なものといえる。
 この右手には信長塀があって、ちょっと驚いた。まさか熱田神宮から持ってきたものだろうか。あるいは、あれをまねて作ったのか。けど、本物であったとしてもここのことだから驚くには値しないのかもしれない。

揚輝荘2-10

 ここから先は、見学ツアーの人間だけが立ち入れる南園に向かうことになる。何しろ間にあるのは高級マンションだ。一般の人間が自由に出入りされては困るということで、鍵のかかった扉で仕切られている。見学ツアーのときだけ許可を得ていて通路を渡れることになっているようだ。静かに歩いてくださいという注意がある。
 億ションは外観からして違う。六本木ヒルズを手がけたところの仕事なんだとか。

揚輝荘2-11

 名古屋人にはお馴染みの松坂屋のロゴマーク。大丸との合併後はロゴも変わったから、旧ロゴマークとなってしまった。1926年から使用されていたデザインらしい。
 これは玄関のアプローチの踏み石だったか、違ったか。自分のところのマークを踏んで家の中には入らないか。かなり大きなものだ。

 このあとツアーは、南園の聴松閣内部の見学へと移っていく。そこがクライマックスということになるだろう。そのときの様子はまた次回ということで、今回はここまでとしたい。あと一回では終わりそうにないから、少なくとも残り2回にはなりそうだ。
 つづく。

フクロウコレクション第三弾<クール編> ---花鳥園新シリーズ第6回

動物園(Zoo)
凛々しきフクロウ-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor VR 24-120mm f3.5-5.6 / TAMRON SP 90mm f2.8



 フクロウコレクション第3弾で最終回はフクロウたちの凛々しい姿をお送りしたいと思う。
 今日登場するのはこれまでに出てきたものがほとんどだと思うので、名前調べはほどほどにして、フクロウのカッコいいところを見てもらうことにしよう。鋭い眼光に揺るぎはなく、立ち姿は威風堂々、飛んでいるところはワシタカに劣らず勇壮なフクロウたち。彼らは獣の風格を備えているといっても大げさではない。実にクールな生き物なのだ、このフクロウというやつは。花鳥園へ行って実際に間近で見てみると、フクロウに対する認識が大きく変わる。フクロウはカワイイだけではないのだ。ヒヨコやネズミだって丸呑みだし。
 上の写真は、たぶんユーラシアワシミミズクだったと思う。両足ですっくと立ち、遠くをにらみつけている姿は、勇猛な武士を思わせる。とてもクールだ。
 大きなものは体長80センチを超えて1メートル近くになるという。体重は3キロにもなるというから猫が空を飛んでいるようなものだ。
 シベリアの北へ行くほど羽は白っぽくなる。北の大陸で吹雪の中でもゆるぎなくじっとしたままオレンジの瞳で一点を凝視している姿を想像すると、日本の温室の中などではぬるま湯生活でまったく物足りないと感じていることだろう。
 エサにつられてとはいえショーもこなすくらいだから、知能もなかなか高そうだ。気が向かないと飼育員さんが呼んでもそっぽを向いてちっとも飛ぼうとしない。

凛々しきフクロウ-2

 険しい目つきというか、意地悪そうにも見えるこの瞳の前では愛想笑いは通用しない。ヘラヘラと笑って誤魔化そうとしても笑顔の途中で固まってしまいそうだ。
 ミミズクの顔がちょっとコミカルでキュートなのは、クチバシが小さいからというのがある。これがおちょぼ口のようだからそんなに凶暴そうに見えないけど、実際の口はこの下に隠れていて、グエェーとだみ声で鳴くと大きな口が開くのだ。それを見ればこいつが紛れもなく猛禽だということが分かる。もしミミズクのクチバシがワシのような立派なものだったら、見た目の印象はもっと恐ろしげに思えたに違いない。目だけでも充分恐いけど。

凛々しきフクロウ-3

 こちらは少し色白なベンガルワシミミズクだ。
 インドなどの山岳地帯に生息しているわりには人によく慣れて、好奇心旺盛でフクロウの中でも知能が高いといわれている。フクロウショー向きな性格といえるだろう。
 そういわれてみると、同じワシミミズクでもこちらの方が目の表情が軟らかく感じる。食べてるエサは結局同じなんだけど。
 ミミズクの耳(羽角)はなんのためについているのかよく分かってないそうだ。もちろん耳としての機能はなく、何かの器官でもないわけだけど、それにしても何か意味があるだろうと思うのは人間の側の勝手な思い込みなんだろうか。仲間のフクロウでもこれを持たないものが半数いるから、なければ絶対困るというものでもなさそうだ。単なるオシャレでもなく、オスだけでもないからメスのためのアピールとかでもない。ミミズク本人にもなんでついてるのか分かってないのかもしれない。

凛々しきフクロウ-4

 そりゃっと飛び出したところ。この大きな体で平行に飛び出して地面スレスレを飛べるというのはすごい能力だ。脚力と翼の羽ばたきがよほど強いのだろう。
 飛び姿もやっぱり格好いい。

凛々しきフクロウ-6

 これは上のワシミミズクとは別のやつだ。上の写真と比べると、顔つきや毛並みが違っているのが分かる。ん? 分かる? ホントに? こっちの方がクチバシの周りの白ヒゲがもしゃもしゃしている。
 小屋の中にいたけど、こいつもショー担当をするやつなんだろうか。ショーのメンバーはその都度呼ばれてる名前が違うから、いろんなやつが交代で担当してるようだ。何度も通っているうちに見分けられるようになるだろうか。

凛々しきフクロウ-5

 これはたぶんアフリカワシミミズクだと思うけどちょっと自信がない。
 掛川はガラス張りの小屋に入ってるやつと、温室の止まり木のようなところにいるやつといて、これは温室の方にいたやつだ。たぶんそれは、人に対する慣れ度合いによって居場所が変わってくるのだと思う。こっちにいるやつは人を怖がらないやつのはずだ。触れられはしないけどかなりかなり近づける。けどまったく恐れている様子はない。写真を撮られていてもまるで平気だ。
 上の方に何か気になるものがいたのだろうか。じっと上を見ていた。こういうところもちょっと猫っぽい。でも猫の何十倍も落ち着きがある。猫の知能とフクロウの知性は根本的に方向性が違う。

凛々しきフクロウ-7

 これはアフリカワシミミズクでいいと思う。
 2羽揃ってどこか遠くを見ている姿になると、またちょっと違った雰囲気になる。
 この顔つきは、キツネザルにちょっと似ている。2羽を見比べるとやはり模様が違っている。特徴を覚えれば一目で区別がつくようになりそうだ。その域に達するためにはあと何度通わないといけないだろう。

凛々しきフクロウ-8

 横顔はこんな感じ。こいつは特に丸っとしている。耳がなければだるまみたいだ。
 こうして横から見ると、左右の視界は人間以上に広そうだ。フクロウは首をぐるりと180度回転させることができるから、体を正面に向けたまま360度を見渡すことができる。フクロウも猛禽とはいえ、他の大型動物に狙われたらやられてしまうわけで、常にあたりを警戒していないといけない。夜起きているのは自分たちだけではないし、昼間寝てるときも身の危険がある。
 フクロウはカラスの天敵の一つとされているから、街の近くにフクロウがもっといれば、今ほどカラスは大きな顔をしてなかっただろう。地方の農家などでは、悪さをするネズミを食べてくれるフクロウはありがたい存在となっている。

凛々しきフクロウ-9

 これもユーラシアワシミミズクだと思うけど、かなりでかい。図体も大きく、態度もふてぶてしくて、森の主のような風格をたたえている。
 同じ種類でも個性があって、それぞれに持っている雰囲気も違う。こいつは強烈な存在感を示していた。

凛々しきフクロウ-10

 前回のお眠編に入りきらなかったのでここに入れてしまおう。見ようによってはカッコいい仲間に入れてもいいかもしれない。
 ウサギフクロウという名前を聞いて、なるほど大きな耳からそうきてるのだねと納得した。ただ、英名はStriped Owlと、縞模様のフクロウという名前になっている。耳よりもおなかの模様を特徴として捉えたようだ。
 中南米のフクロウで、見た目のかわいさとは裏腹にけっこう凶暴な性格をしているらしい。開けた草原の草の上に巣作りをする変わった習性を持っている。
 ぱっちり目を開けるととてもカワイイ顔をしていて、その姿は白っぽいマントを羽織った王子様みたいだ。このフクロウのファンも多いという。

凛々しきフクロウ-11

 最後はケープワシミミズクの凛々しい姿で締めくくろう。
 エチオピアやケニアなどのアフリカの山岳や峡谷に暮らす大型のフクロウで、体長は50センチを超える。ときにウサギなどの小動物も捕らえて食べる。
 他のワシミミズクよりも羽の色が濃いめで、森の中ではなかなか姿を見ることができないそうだ。
 野生のフクロウには珍しく、昼間も活動してハントをする。いつ寝てるんだろう。

 3回にわたってお送りしたフクロウコレクションはこれで終わりです。おつき合いいただきありがとうございました。お疲れ様でした。これでもう当分フクロウは見なくていいと思ったことでしょう。
 いやいや、ますます見たくなったという方はぜひ、お近くの花鳥園に出向いていって実物を見てください。どこの花鳥園もへんぴなところにあって、誰にとってもお近くではないと思うけど、頑張って行く価値はありますから。
 私もますますフクロウに対する興味がわいてきたから、今後とも折に触れてフクロウを追いかけていこう。掛川花鳥園でも更にコンプリートを目指したいし、できれば富士国際や神戸、松江まで足を伸ばしたいと思っている。
 フクロウはかつて死の象徴とされていた時代があった。現在では不苦労、つまり苦労しないということで受験生などにも人気なんだとか。今後は知性の象徴というだけでなく、強さのシンボルとしても認識される日が来ることを願おう。メガネ屋のマスコットだけでなく、もっといろんなところでキャラクターとして使われてもいい存在ではないだろうか。
 フクロウはかわいくてカッコいい鳥なのです。

フクロウコレクション第二弾<お眠編> ---花鳥園新シリーズ第5回

動物園(Zoo)
お眠なフクロウたち-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+TAMRON SP 90mm f2.8



 昼間のフクロウは眠たい。明るいうちは、お眠の時間だ。野生のフクロウのように獲物を捕るために夜起きている必要はないとはいえ、やはり長年の習慣を変えるのは難しいのだろう。ショーを担当しているフクロウはぱっちり目を開けているけど、小屋にいるやるはけっこう居眠りをしがちだ。じ様のようにうつらうつらしている。この寝姿も、フクロウがじじむさいイメージを持たれる要因になっているのだろう。
 まあしかし、小屋の中では飛び回るわけにもいかず、おしゃべりするでなく、娯楽があるわけでもないし、エサも時間になったらもらえる。特にやることもないから眠たくないけど寝ておくかってなもんだ。フクロウは無駄に鳴くでもなく、騒ぐでもない。たいていはじっとしていて、何かを考えているのかいないのか。
 今日のフクロウコレクション第二弾は、そんなフクロウの寝顔特集とした。寝てる動物はなんでもかわいいもので、フクロウもそうだ。見ていると自然と顔がほころんでくる。眠たいのを我慢して薄目を開けていたりするのもおかしくて笑える。今寝てたでしょ? って訊くと、いや、寝てないってとムキになって反論する人みたいだ。別に寝てたって認めてもいいじゃん。
 寝姿はかわいいけど、目を見ないと種類を判別するのがますます難しくなるというのがある。見分けるための重要な手がかりを一つ失ってしまうから。上のもの分からずにずいぶん悩んだ。たぶん、アフリカオオコノハズクだろうとは思うけど確信は持てない。
 それが正しいとすると、アフリカのサハラ砂漠の南に暮らす小型のフクロウだ。個人的には、このカラーリングはかなり好きで、お気に入りとなった。

お眠なフクロウたち-2

 フクロウがこんなにもたくさん種類がいるとは知らなかったけど、それにしても似ているものが多くて見分けるのが難しい。ヨーロッパ人がアジア人の国が分からないように、私もフクロウなんてどれも似たものに見えてしまう。あるいは、日本人が中東の人の国名を言い当てるのと同じくらい困難かもしれない。イラン人とイラク人くらいならなんとなく分かりそうな気もするけど、アラブ首長国連邦人とバーレーン人の区別がつくかといえばつきっこない。まあ、フクロウの見分けはそれよりは簡単だろうけど。
 上のフクロウはなんだろう。手がかりとしては、花鳥園グループのサイトにあるフクロウ紹介の写真しかなく、個体差の大きなものは判別が非常に困難となる。こいつはヒガシアメリカオオコノハズクなのかなとも思いつつ、掛川と富士国際の同じ種の写真を見てもずいぶん違っているからややこしい。腹の模様や色で見分けようとすると分からなくなる。やはり目が見えないと厳しい。

お眠なフクロウたち-3

 これもどうもよく分からない。あっちの写真を見て自分の写真を見て、こっちを見てあっちを見比べてとやってると、だんだん間違い探しクイズをしてるような気分になる。合ってるんだか合ってないんだか。
 耳がないタイプでクチバシが黄色となると、オオスズメフクロウということになるのだろうか。掛川の写真は種類を見分けるために使うにはちょっと見づらい。

お眠なフクロウたち-4

 これがヒガシアメリカオオコノハズクなのか。プレートを見てなかったけど、別の小屋に入ってるやつでも同じ種類のフクロウがいたのかもしれない。でもけっこうおなかの色が違っている。体型や頭の形は似てるけど。
 だんだん見分けるのに疲れてきた。こんなことではヒヨコのオスとメスを見分ける名人にはなれない。

お眠なフクロウたち-5

 こういう分かりやすいやつは大歓迎だ。こいつはオオフクロウで間違いない。個性的なカラーリングで、他とは明らかに違っている。顔にも特徴があるけど、おなかの細い横ストライプが特徴だ。頭は坊ちゃん狩りのヘアスタイルみたいにも見える。
 東南アジアの熱帯雨林やネパールの山岳にいて、野生のものはなかなか見られないそうだ。普段は木の陰でじっとしていて、獲物を見つけると素早く飛ぶから見られても一瞬なんだとか。
 自然界では決して出会うこのない世界のフクロウたちが隣り合わせになっていて、彼らは他のフクロウをどう思っているのだろう。ちょっと違ってるけど仲間と思っているのか、似てるけど別のやつと思ってるのか。

お眠なフクロウたち-6

 パッと見は、オオフクロウかと思うけど、おなかのストライプがないから違うことが分かる。これはメガネフクロウだ。目のふちどりが黒メガネをかけてるように見えるところから見ている。黒メガネって最近あんまり言わない? 英名もSpectacledで、メガネをかけているフクロウと名づけられている。
 メキシコなど中南米の森に生息する中型のフクロウで、夜間に活動して小動物や昆虫などをエサにしているから、サングラスはかけていない(当たり前)。
 チビの頃は真っ白な頭巾をかぶった猿みたいな顔をしていて、まったく別の種類に見える。

お眠なフクロウたち-7

 これは個人的に馴染み深いトラフズクだ。毎年1月の下旬に庄内緑地に飛んできてしばらく滞在していくので、おととし去年と2回、野生のやつを見た。今年もまた見に行くつもりでいる。
 小屋の中で横並びになってしまうと特別な感慨はなくなってしまうけど、やはり自然の中で野生を見ると感動する。花鳥園の触れ合えるすばらしさはすばらしさとして、野生のものはまた格別なのだ。
 夏場は本州の北の涼しいところで暮らして、冬になって寒くなると南下してくる。すごく珍しいフクロウというわけではないからそれなりの数がいるのだろうけど、偶然見つけるのはかなか困難だ。情報を頼りに出向いていっても木の高いところで枝に隠れるようにじっとしているから、自分では見つけられない。現地の鳥の人に居場所を教えてもらってやっと見られるくらいだ。
 今年はまだ来たという知らせがない。もうあと1、2週間で来ると思うのだけど。

お眠なフクロウたち-8

 さてこいつは、アビシニアンワシミミズクか、アフリカワシミミズクか。アビシニアンなら眼の色が茶褐色で目の縁取りが赤いというのだけどどうなんだ。うつむき加減ではっきり見えない。
 フクロウは、似ている種類の場合、南へ行くほど体が小さくて黒っぽくなるんだそうだ。アビシニアンは中央アフリカ、アフリカワシミミズクはサハラ南部の北部よりに生息している。
 で、どちらなんだというと、分からない。意外とどちらでもなかったりするのかも。

お眠なフクロウたち-9

 大きくて目立つ黄色いクチバシと、ぴよーんと横に立った耳が目印、たぶんマレーワシミミズクでいいと思う。
 マレー半島やスマトラ、バリ島なんかに生息しているフクロウだ。
 フクロウというのは、もちろん生息地や環境によって違いがあるのだけど、その場所ならこうじゃなければいけないといった特徴はあまり感じない。極寒に棲むシロフクロウのようなのは例外として、寒冷地と砂漠や森林など、環境の大きな差ほど外観に差がない。ジャングルにいるやつでもインコのようにド派手になるわけでもないから、入れ替え可能だ。日本の森にこのマレーワシミミズクがいたとしても違和感はない。逆に言えば、どうしてこんなにも微妙な差のフクロウがこんにもたくさんいるんだろうと不思議に思う。決定的な種類差でもなく、地域による個体差でもない、その中間に位置しているフクロウの多彩さというのも面白い。

お眠なフクロウたち-10

 自信はないけど、マレーウオミミズクと見る。掛川のページには載ってなくて、富士国際の方にだけあって、特徴はその写真と一致する。
 そうだとすれば、名前の通り魚を捕るフクロウのようだ。北海道のシマフクロウもこれと同じウオミミズクの仲間で、川辺の木の上にとまって水面近くに魚が見えた瞬間に急降下して捕らえるんだそうだ。
 その他、甲殻類や両生類なども食べるという。

お眠なフクロウたち-11

 メンフクロウはフクロウ界でも最も夜型で、暗闇での視力が特に優れているんだそうだ。一般的なフクロウでも人間に比べると感度は100倍あるというから、調整はできるにしても昼間の世界は明るすぎるのかもしれない。
 フクロウは耳の性能もすごくて、左右で高さの違うところについているという特徴がある。位置をずらすことで上下の音もどこからしているのか正確に分かるという。人間のように左右同じ高さについていると、平行の音に対しては素早く認識できても垂直の音に対しては頭の角度を変えて音と平行にしないと聞こえづらい。フクロウの場合は、夜間に獲物を捕らえないといけないから、目だけでなく耳の性能も重要になってくるというわけだ。

 フクロウのプレートをメモ撮りしてこなかったせいで、名前を調べるだけでえらく手間取ってしまった。中には分からないものもあるし、次こそ絶対メモしてこようと今度こそ強く決意した。ただ、メモしてこなかった分、調べなくてはいけなくて勉強になったというのはあるからよしとしよう。
 フクロウコレクションはもう一回、クール編を予定している。つぶらな瞳も、寝顔もかわいいけど、なんといっても猛禽、その姿や表情はとても凛々しい。そのあたりが表れている写真を集めて紹介したい。フクロウはキュートさとクールさ、物静かで獰猛という相反する面を併せ持っているところに魅力があるのだと思う。

フクロウコレクション第一弾 ---花鳥園新シリーズ第4回

動物園(Zoo)
フクロウコレクション1-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+TAMRON SP 90mm f2.8



 掛川花鳥園の入り口にフクロウの展示コーナーがあることは前に書いた。そこはまだ無料ゾーンで、たくさんのフクロウを見ることができる。最初に行ったときは時間もなくて少ししか撮れなかったのが心残りとしてあった。だから、今回は全部撮ると行く前から決めていた。
 ここは室内で暗い分シャッタースピードが上がらないのと、ガラス越しにので撮影はやや厳しいものがある。場所によっては光の反射を避けられなかったり、映り込みがあったりして難しい。距離も、90mmでは足りないし、望遠になると暗くて厳しくなる。フクロウの背景もきれいじゃないから、どうしても記録写真的になってしまうのが残念なところだ。背景を森っぽくするとかの工夫があると、写真を撮るのによくなるから、このあたりをリクエストとして出したいと思う。
 そんなわけで今回は一応全種類撮ってきたわけなんだけど、ここでもメモ撮りをしてないので名前は分からない。一番最後、帰る間際の閉園前ということで時間も足りず、メモリも残り少なくなっていた。今回でコンプリート!(Dr.レオン)と思ったのに、そうはならなかった。ここまでもまた次回への課題が残った。
 展示室のフクロウだけで30種類くらいいたから、写真も30枚ほどになった。一気に紹介するには枚数が多すぎるので、3回に分けることにする。今日はフクロウコレクション第一弾として、つぶらな瞳とかわいい系のフクロウを集めてみた。
 フクロウは大きく分けて、キュート系とクール系に分かれる。黒目のみのやつはかわいく見えて、黒目が小さい猫目系のやつは鋭い印象を与える。猫の目も細いときは意地悪そうだし、黒目がちのときは目がくりくりしてかわいく見えるのと同じだ。フクロウの黒目も光の加減で多少大きくなったり小さくなったりするようだけど、猫のように細くなったりはしない。
 フクロウは夜行性だから夜に見えて昼間は見えてないのではないかという考えは間違っている。昼間もしっかり見えているし、人にエサをもらっているフクロウは昼間起きていて夜は眠る。野生のものが夜に狩りをするのは、その方が獲物を捕らるのに有利だからだ。夜更かしが好きなわけではない。
 展示室のフクロウは、半分起きていて、半分は寝ていた。これは種類によるものなのか、個体差なのか、たまたまなだったのか、そこまでくわしくは分からない。
 第二回のフクロウコレクションでは居眠りフクロウ編をお送りする予定でいる。

フクロウコレクション1-2

 瞳以外にもう一つフクロウの分け方がある。それは耳(羽角(うかく))があるやつとないやつだ。一般的に耳がなくてつるんとした頭のものをフクロウ、耳のついてるやつをミミズクとして区別している。ただし、例外もあって、耳のあるウサギフクロウなんてやつもいるし、耳があるトラフズクやコノハズクといった名前のものもいる。見た目も、耳のあるなしでずいぶん印象が違う。
 フクロウは世界で212種がいるとされている。日本にも10種類ほどいるというからちょっと驚く。普通の生活をしていてフクロウを見る機会は一生のうちでも何度もない。鳥に興味のない都会人の多くは、野生のフクロウを一度も見ないままで終わるのではないだろうか。その気になって探せば案外近くにいるのだけど。東京都内でもけっこう生息しているくらいだから。
 上の写真は、アフリカヒナフクロウだと思うのだけど定かではない。もしそうなら、名前の通りアフリカの森にいるやつだ。アフリカとフクロウというのは結びつかないのだけど、フクロウは南極以外のすべての土地にいて、北極にさえいるタフな鳥なのだ。

フクロウコレクション1-3

 こっち系の瞳のフクロウは、目に力と意志を感じる。正面から見つめ合うと射すくめられるようだ。あまりじっと見られるのを嫌うやつもいるけど、一度目が合うとなかなか向こうからはそらさない。逃げるでもなく襲いかかるでもなく、ただじっとこちらを見ている。何か考えているのか、何も考えてないのか、フクロウが何を考えているかはなかなか読めない。
 これは何フクロウか分からなかった。

フクロウコレクション1-4

 北の白い貴公子、シロフクロウ。昨日のブログに登場したシロフクロウは、成長するとこんなふうに真っ白になる。特にオスは真っ白になって、メスは少し黒い斑点が残る。子供の頃は斑点が多いまだら模様だ。
 北極圏に棲むフクロウで、鳥の中では最も寒さに強いといわれている。ただ、それは人間の判断で、シロフクロウからしたら寒くて仕方がないと思ってるのかもしれない。たまたま寒いところに棲んでいるだけで。
 しかし、実際マイナス何十度というところにも耐えられるのだから、耐寒性能は鳥の中でもずば抜けているのだろう。日本の冬などものの数じゃない。逆に夏は相当つらいようで、がんがんに冷房がかかった部屋にいるそうだ。ファルコンショーのシロフクロウも冬期限定だ。

フクロウコレクション1-5

 メンフクロウは本当にお面をかぶってるような面白い顔をしている。お面というか、頭巾をかぶったくのいちみたいだ。ふちどりがハート型になっているのもチャームポイントとなっている。
 オーストラリアをのぞくほとんどの大陸に生息しているポピュラーな種だ。
 フクロウの正式な分類では、メンフクロウ科とフクロウ科の2科に分けられている。

フクロウコレクション1-6

 これも耳がないからフクロウという名前のやつなんだろうけど、調べがつかなかった。掛川花鳥園のサイトにもフクロウの紹介ページがあるものの、毛並みも案外個体差があって、同じ小屋に入っているやつでもけっこう見た目が違っているから分かりづらい。
 コキンメフクロウあたりだと思うけどどうだろう。
 体はやや小型ながら、きかん気そうな顔つきをしている。

フクロウコレクション1-7

 首をかしげると犬でも猫でもかわいいものだけど、フクロウも例外ではない。
 こいつは姿形に特徴があるからすぐに名前が分かった。カラフトフクロウだ。
 アラスカやシベリアなどの寒い地方にいて、そのために分厚い毛で覆われている。毛皮を脱いだら体はやせっぽっちなんだとか。確かに、顔なんかも着ぶくれしてる感じだ。
 なかなか面白い顔をしたユニークなフクロウだ。ちょっと大魔神みたい。

フクロウコレクション1-8

 こいつもまた存在感のあるフクロウだ。顔がどことなく猿を思わせる。若干表情がうつろなのは、きっと眠たいときだったのだろう。普段はもう少し凛々しい顔つきだ。
 毛色からするとこいつも寒冷地仕様かと思いきや、サハラやナミビアなどの砂漠に近いところに生息している。
 けっこう大型のフクロウで、ときには猿さえも襲って食べるのだとか。それで顔が猿っぽくなったのかもしれない。

フクロウコレクション1-9

 体型的には私たちがイメージする一般的なフクロウに近い。
 モリフクロウにも思えるけど、それにしては色がちょっと茶色すぎるか、これも個体差なのか。
 モリフクロウだとすれば、ヨーロッパやアフリカ北部などに生息するやつで、日本のフクロウに近い種のようだ。

フクロウコレクション1-10

 これが日本に昔からいる、いわゆるフクロウだ。うーん、こんなんだったかなぁという気もするけど、そもそも野生のフクロウを実際に見たことがあるわけではないから、前に見たのとは違うとは言えない。イメージとしては、もう少し茶色いと思っていたのだけど。
 木のうろをすみかにして暮らしている。昔は民家の近くにもそんな木がたくさんあったからフクロウも人に近いところで暮らしていたけど、最近は人里離れたところにしかいなくなってしまった。街の近くで手がかりなしにフクロウを見つけるのはかなり難しいだろうと思う。野生のフクロウは夜行性だから、起きているところに遭遇するのは更に困難だ。

 こんな感じのフクロウ第一弾でした。やっぱりフクロウ、かわいいなぁ。大型のものとなると、その存在感は猫以上だ。飼ったら、ペットというより家族の一員になれるだろう。けど、なかなか一般家庭では飼えるものではないから、こういうところで見て楽しむのがいい。
 難点をいえば、ほとんど動かないところだ。コアラもそうだけど、寝てるところばかりでは飽きてしまう。動物はしぐさのかわいさというのも重要な点だから。
 次回もまだまだ違うフクロウが登場するのでお楽しみに。

のんきなS2proで飛ぶ鳥撮りに苦戦するの巻 ---花鳥園新シリーズ第3回

動物園(Zoo)
ファルコンショー1

FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor VR 24mm-120mm f3.5-5.6 / SIGMA 55-200mm f4-5.6 DC / TAMRON SP 90mm f2.8



 掛川花鳥園といえば、鳥たちとの触れ合いももちろんだけど、ファルコンショーも忘れちゃならない。写真の撮り所、腕の見せ所でもあり、これがなかなかに難しい。室内は距離が近いものの飛行距離が短いからチャンスは一瞬しかないし、外では飛行速度が速すぎてなかなか捉えきれない。ショーは室内で1回、屋外で2回行われているから、花鳥園二度目の私は合計で6回もチャレンジしてることになる。それでも苦戦続きで、とうとうこれだという一枚は撮れずじまいで終わってしまった。あとちょっとという写真は何枚かあったのだけど。前回はNikon D100、今回はFUJIFILM S2proと、動作と連写の遅いデジを選んでしまったのも敗因の一つだった。CanonのEOS 20Dならもう少しなんとかなったかもしれない。
 私は持ってないけど、持っていくなら明るい望遠ズームがオススメだ。80-200mmのf2.8なんかがよさそうだ(自分はそんなの持ってないくせに人にすすめしまう)。
 そんなわけで、持っていったデジとレンズで撮れるだけ撮ったのが今日の写真だ。前回と比べれば多少は成長のあとが見られるだろうか。今回は光もあって、条件もよかった。

ファルコンショー2

 かなり近くのいい場所から撮れたのに、ピントを合わせきれなかった。惜しい。少しブレもありそうだ。
 のんびりした性格のS2proでは連写など望むべくもなく、AFスピードもゆっくりしている。発色は抜群でも動きものには弱い。書き込みも決して慌てない。
 中級機で万能デジというのはなかなかないものだ。Canonはトータル性能の優れた優等生だけど、優等生ゆえに面白みに欠けて、使っていて楽しくないところがある。20Dも大きな欠点のないいいデジなんだけど。Nikonの新しく出たD300なんかはいいんだろうな。高くてまだ当分買えそうにない。D200はどうなんだろう。

ファルコンショー4

 室内のショーを担当してるのは2羽のワシミミズクで、どちらもベンガルワシミミズクだったか、片方は違ったか。今回も名前のメモ撮りを忘れてしまった。あそこへ行くと、鳥の名前なんてどうでもよくなってしまって、エサやりやら写真やらについ夢中になってしまいがちだ。
 ただ、いわゆるフクロウとミミズクは別の生き物と考えた方がよさそうだというのは、今回ではっきり分かった。同じ仲間ではあるけど、受ける印象が全然違う。ミミズクは目が据わってるから何を考えてるか分からない。ケンカしたら負けるなと思わせる。

ファルコンショー3

 横から見ると羽の大きさや広さがよく分かる。こんな大きな羽だから羽ばたくとバサバサ音がしそうに思うけど、実際はほとんど無音だ。夜、音もなく獲物に近づいて一撃で捕らえる。捕まる方は捕まるまで気づかないんじゃないだろうか。
 体は大きくて重たいようだけど、実際はけっこう軽い。フカフカの毛で覆われていて、体は細くて容積が小さい。首などokサインを作った親指と人差し指くらいの太さしかないそうだ。ただ、獲物を捕らえるための足は太くて立派だ。

ファルコンショー5

 こちらは屋外での飛行シーン。フクロウとの距離が離れるのと、外だと本気で飛ぶので捉えるのが難しくなる。明るい分シャッタースピードは上がるはずなのに、写真の成功確率は下がる。今回もまともに撮れたものは少なかった。やっぱり手ぶれ補正が欲しい。画質重視なら望遠の単焦点だけど、ショーに関してはズームの方が使い勝手がいい。

ファルコンショー6

 外での主役はハリスホークだ。こいつがまたものすごい速さで飛ぶものだから、近くに来たときに撮るのは至難の業というか不可能に近い。連写スピードがどうこうの話じゃなく、あまりにも一瞬すぎて自分自身に可能性を感じない。ショーの演出で頭の上スレスレに飛ばしてくれたりするけど、それを撮れというのは無理な話だ。せいぜい遠くを飛んでいるときに撮るのがやっとだった。

ファルコンショー7

 ウサギのぬいぐるみの頭と生肉のついたラジコンに襲いかかるハリスホーク。羽を目一杯広げて急ブレーキをかけながら足と爪で獲物を捕まえる。
 ミミズクやタカたちのエサはショーのときにもられるものだけだそうだから、やつらにしても必死だ。ここでしっかり食べておかないと夜中おなかが減ってしょうがない。
 それにしてもハリスホークというやつは変わった体型をしている。頭があってクチバシがあって、首から胸になって、そこからもうごつい太ももがニョッキリ出ている。体の下半分を省略したような格好になっている。獲物を捕らえるのに特化した進化の果てにこの体型を獲得したのだろうけど、こいつは特別だ。ハリスホークはタカの中まで唯一集団で狩りをするのだそうだ。

ファルコンショー8

 ハヤブサも登場する。これはラナーハヤブサだったか。前回行ったときは確かセーカーハヤブサだったと思うけど、はっきり覚えていない。いや、逆かもしれない。メモ撮りと共に説明のメモ書きも必要のようだ。3回目は記録という点を重視しよう(また行く気満々)。

ファルコンショー9

 投げられたエサを空中でキャッチして地面に降り立ったところ。得意顔のハヤブサさんだ。
 ハヤブサは、タカともミミズクとも違って小型な分、ややおとなしそうな印象を受ける。もちろん生きた小動物や小鳥を捕らえて食べるから猛禽類には違いないのだけど、顔つきといい、体型といい、まだ一般の鳥に近い。モモだけが異常に発達してるとかでもないし、クチバシも普通の鳥っぽい。けど、空を飛んでいる姿は、やはりとってもカッコいいのだ。

ファルコンショー10

 生まれて3ヶ月のシロフクロウが最近あらたな仲間に加わっていた。午後2回目のショーで登場して、おおー、と思う。
 まだまだら模様が残る子供なのに、もう立派にショーをこなしていた。鳥の世界にも天才子役がいるらしい。ただ、途中で地面に降り立ってしまったりして、まだまだ子供だと思わせた。
 シロフクロウは大人になるにつれて真っ白になっていく。屋内のフクロウコーナーには白いのもいた。

ファルコンショー11

 イギリスから来ている鷹匠のギャリーさん。掛川名物の一人だ。ファルコンショーの写真ではあちこちに登場してるから、どこかで見たという人もいるんじゃないだろうか。
 この日は午後一回目のとき、半袖Tシャツと半ズボンだった。イギリス人の体温がおかしいのか、ギャリーさんだけが変なのか。でも、午後2回目のときはトレーナー姿になっていたから、やっぱりちょっと寒かったんだと思った。

 こうやって自分の写真を振り返ってみると、またすぐにでも行ってもう一度チャレンジしたくなる。今度こそもっと上手く撮りたいと。花鳥園というのはそういうところがあって、一回行っただけでは自分の中で完結しない部分が残る。そしてまた行きたくなる。今回二度目でもう充分かというとそうではなくて、またもう一度という気持ちになっている。たぶんそれは私だけの感覚ではなく、訪れた人の多くが感じるものなんじゃないかと思う。動物園は一度行くとしばらくは行かなくていいけど、花鳥園は違っている。やはり動物園とは似て非なるものなんだろう。
 まだしばらく花鳥園シリーズは続きそうだ。

久々の洋物サンデーは今年のテーマに沿ったバランスのいい仕上がりに

料理(Cooking)
2008年初洋サンデー

Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II



 去年の秋くらいから和食やら無国籍料理やらが続いて、しばらく洋食系の料理を作っていなかった。今年最初はおせち風料理だったし、久しぶりに洋物でいこうと決めて作ったのが上の3品だ。やはり、作るということでは和食よりも洋食の方が楽しい。食べるなら和食の方が好きなのだけど。
 今年のテーマは、彩りと盛りつけだから、その点を少し意識してみた。盛りつけに関してはまだもう一歩、二歩といったところだけど、彩りについてはまずまずだったんじゃないかと思う。見た目が美味しそうであることも料理には大切なんだということを去年思い知った。名古屋人としては茶色を見ても美味しそうだとは思うのだけど、一般的な感覚としてはそうじゃない。やはりカラフルな方が食欲を刺激するというのがある。色遣いも少ないよりは多い方がいい。
 盛りつけは本を読んだり、上手い人の料理を見て、おいおい勉強していくとしよう。テーブルとライティングも本当はもう少し工夫した方がいい。料理によってテーブルクロスを変えるとか、食器ももう少しバリエーションを増やしていきたいと思っている。ライトの当て方によっても美味しそうに見えたりするから、そのあたりももう少し考えていこう。
 せっかく趣味として料理をしてるんだから、向上心を持ってやっていかないと意味がない。今年は味もそうだし、トータルとしての完成度を上げるという方向でいきたい。プロ並といったものではなくて、料理が上手な奥さんのラインを目指している。
 あとは、食材の新規開拓というのもテーマの一つとなる。その一環としての外国料理もどれだけできるか。まだまだいろんな可能性がある。

 右手前は、ナスのピザになっている。ナスを輪切りにして水にさらしたあと、オリーブオイルで表面に軽く焦げ目がつくまで焼く。塩、コショウで軽く味付けもする。それを取り出したら、刻んだタマネギも炒める。
 250度にオーブンの温度を上げて、ナス、その上にタマネギを乗せ、ケチャップをかけ、別にトマトの半月切り、それぞれにピザ用チーズを乗せて、7分ほど加熱して重ねればできあがりだ。最後に風味付けとして、乾燥バジルを振りかけた。
 これはナスの美味しい食べ方のとしてオススメできる。多少手間はかかるけど、こうすれば野菜嫌いの子供でも喜んで食べるはずだ。トマトも加熱すると生よりも食べやすくなるし、チーズとの相性もいい。

 右奥は白身魚蒸しと野菜のカレー味ホワイトソースがけだ。
 白身魚の切り身に、塩、コショウ、白ワインを振りかけてラップに包む。それをレンジで3分ほど加熱して蒸して、しばらくそのまま放置する。
 お湯に塩とコンソメの素を入れて、そこでニンジン、タマネギの細切りを茹でる。それが柔らかくなったところで、しめじを加え、火を止める少し前に大葉の刻みも入れる。
 ソースは、バター、小麦粉、牛乳、塩、コショウでホワイトソースを作って、そこにコンソメの素とカレー粉を加えて味付けをする。
 カレー味のホワイトソースも美味しくて、いろいろ応用が利く。コロッケなどの揚げ物にもいいし、肉でもいけそうだ。ホワイトソースは作るのに手間と時間がかかるから、一度にたくさん作って冷凍保存しておいてもいい。解凍すればすぐに使えるから、しょう油やソースで味付けするだけの夕飯から脱却できる。

 左奥は外観からはちょっと分かりづらいけど、豆腐揚げ焼きのトマトソースがけだ。
 豆腐をペーパーにくるんでレンジで加熱して水分を飛ばして、しばらく置いておく。その間にトマトソースを作る。
 トマトを直接火であぶって皮をむいて、あとは適当な大きさにざく切りしてへたを取る。
 たっぷりのオリーブオイルで刻みタマネギを炒めて、そこに切ったトマトを投入する。どひゃっと白ワインを投入して、いったん強火にしてアルコールを飛ばしたら、また弱火に戻す。
 味付けは、ケチャップ、塩、コショウ、コンソメの素、砂糖、ソース、タバスコでつけていく。トマトジュースを使ってもいい。
 水切りした豆腐にカタクリ粉をまぶし、溶き卵にくぐらせてパン粉もつける。それをフライパンに多めに入れたオリーブオイルで揚げ焼きにしていく。手間を惜しまないならたっぷりの油で普通に揚げた方がいいかもしれない。仕上げに長ネギの刻みを乗せる。
 揚げ豆腐とトマトソースのコンビは初めての試みだったけど、これはよく合った。とても美味しい。トマトソースもいろいろなものに使えるから便利なソースだ。ソースとして使って、なおかつそのまま飲み物というか食べ物にもなる。

 今日は質、量、味ともにバランスの取れたサンデー料理になった。トータルポイントでは歴代でも5位以内に入るかもしれない。作り手としての満足感と、食べる側での満足度と、両方を満たすことはなかなかない。今日は楽しく作れて、美味しく食べられた。
 先週、今週と成功が2週続いたのは、腕が上がっているのか、たまたま偶然が重なっただけか。こうなると来週が大切になる。次でコケてしまうと、また自分の料理に確信が持てなくなる。それでも無難にまとめるのはやめよう。多少なりとも攻めの姿勢を見せないと進歩はない。
 来週は多少冒険できる要素がある週だから、久しぶりに思い切った料理も作ってみようか。肉料理をメインにしようということだけは決まっている。一週間あるから、その間にメニューを考えておこう。

人がいる写真こそ花鳥園らしい光景 ---花鳥園新シリーズ第2回

動物園(Zoo)
花鳥園と人-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+TAMRON SP 90mm f2.8 / Nikkor VR 24mm-120mm f3.5-5.6



 鳥と人との触れ合いがテーマの花鳥園だから、どんなシーンでも人入り写真であってもおかしくはない。人がいる鳥写真こそが花鳥園には似つかわしい光景だ。だから今日は人のいる花鳥園風景の写真を集めてみた。
 一枚目はたまたまいい構図になった。このときは普通にフクロウを撮っていただけで狙いではなかったのだけど。
 右の立て札にもあるように、このフクロウを腕に乗せることができる。1回200円。エサ代やら触れ合い代やらでどんどん小銭はなくなっていくけど気にしちゃいけない。札しかなくなったら入り口で両替してくれる。昔、ゲームセンターに通っていた頃を思い出した。思わずお札を靴下の中に隠したくなる。

花鳥園と人-2

 フクロウが気になる方が気になる人たち。見上げる先に何があるのかと、ついつられてそちらを見てしまう。あっち向いてホイに負けたような気分になる。
 フクロウの視力は人間の数倍で何キロも先が見えるというから、人には見えてない何かが見えているのだろう。猫のように見えざるものの気配さえ察知するのかもしれない。
 フクロウが背伸びした姿は、ボンタンに長ランの昔のツッパリみたいだ。体型と姿勢が鳥じゃない。

花鳥園と人-3

 エミューはときどきちょっと人気者になるけど、基本的に人気度は低く、エサをあまりもらえない。体の大きさを考えると、カモやインコなんかとは必要量が違う。背丈だけなら人間の大きさくらいあるから、エサの粒を10くらい食べたとしても、人が大豆10粒食べたのと同じくらいとも考えられる。休日はともかく、平日はいつもおなかを空かせているのだろう。夕方、花鳥園からもらったキャベツをやけっぱちのように食べていた。見た感じではお客にもらうエサほど美味しそうにはしてなかった。
 ここの鳥たち全般にいえることだけど、エサの入った白い紙コップを手にすると、たちまち鳥たちが寄ってくる。完全にエサのありかが分かっている。そして、それを持ってないと分かると手のひらを返したように散っていく。持ち上げるだけ持ち上げて突き落とすマスコミのようだ。

花鳥園と人-4

 外の池には相変わらずどこまでが飼われているものか、どこからが野生なのか、区別がつかないカモたちがたむろしている。渡りのカモたちもいそうではあるけど、多くはアヒルか混血だろうか。
 コブハクチョウも10羽ほどいる。これはお城のお堀などによくいるやつだから驚きはしない。
 ここでもエサを買ってあげることができる。カモたちも慣れたもので、やはり白い紙コップを持っているとたちまち集まってくる。やつらもけっこうめざとい。

花鳥園と人-7

 カモたちにエサをあげる人。それに群がるカモども。エサをあげたい人ともらいたいカモとの平和な共存関係が成り立っている。
 カモのエサやりは、地上で遠くに投げるのが面白い。転がるエサを追いかけてヒョコヒョコ走っていくカモの姿がキュートだ。

花鳥園と人-5

 ペンギンのエサやりも楽しめる。わりと大きめの魚を丸呑みしてしまうペンギンたち。4匹で100円なのでけっこうあっけない。4飲みで終わりだ。
 花鳥園は老若男女が楽しめるところだけど、子供の情操教育にもいいところだ。これだけたくさんの鳥たちと触れ合えるところは他ではめったにない。小さすぎて記憶には残らなくても、成長していく過程でこういう貴重な経験は役に立つに違いない。

花鳥園と人-6

 クジャクを囲む人たち。オスのクジャクは誰に向かってアピールしてるつもりか、羽を広げっぱなしだ。羽見せ大サービス。伝家の宝刀をそんなに気安く抜いちゃいけない。
 クジャクの後ろ姿も面白い。

花鳥園と人-8

 インコたちの多くが手乗りだ。手からも直接エサを食べる。家でマンツーマンで飼っていてもここまで慣らすのは大変なのに、花鳥園にいるやつはどうやって育てているんだろう。
 乗ってくるのは手だけじゃなく、肩だったり、頭だったりする。ここは鳥好きにはたまらない楽園だし、鳥が苦手な人には拷問に近い。

花鳥園と人-9

 花鳥園の温室ではお馴染みの光景だ。誰もがマイ・インコを持っている。掃除のおばさまも。

花鳥園と人-10

 売店にて。フクロウの木彫りと、ガラスケースに入ったフクロウを見る親子。売店を囲むように様々な種類のフクロウが入ったケースが並ぶ。ここはまだタダゾーンなのに、太っ腹な掛川花鳥園の加茂さん。このゾーンだけでも、じっくり観察して写真を撮っていたら、1時間は楽しめる。
 おみやげ物も充実していて、フクロウグッズもたくさんある。今回のおみやげは、ふくろう饅頭の黒バージョンにした。前回の白あんバージョンが美味しかったから。

 写真の現像はまだ3分の1も終わらない。花鳥園新シリーズもしばらく続きそうだ。あまり連続すると私も飽きそうだから、途中ちょこちょこ他のネタも挟んでいこう。明日はサンデー料理だし、揚輝荘も途中になっている。
 つづく。

掛川花鳥園再び、鳥アップ写真の世界 ---花鳥園新シリーズ第1回

動物園(Zoo)
花鳥園アップ-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+TAMRON SP 90mm f2.8 / Nikkor VR 24mm-120mm f3.5-5.6



 行ってきました、掛川花鳥園再び。約束された鳥の楽園。二回目もまた開園から閉園までの8時間、しっかり堪能してきた。
 写真もたくさん撮ってきたのだけど、枚数が多すぎてまだRAW現像がほんの一部しか終わっていない。今日はもう力尽きそうなので、今回のお気に入り写真を10枚並べるにとどめたい。今回のテーマの一つとしてアップ写真を撮るというのがあったので、その中で写真を選んでみた。
 持っていったデジは、賢島に続いてFUJIFILMのFinePix S2pro。総天然色の花鳥園と、抜群の発色を見せるS2proの相性はよかった(飛びものでは苦労することになるのだけど)。
 アップ写真のレンズはTAMRONの90mmマクロを主に使った。これはマクロ撮影に特化したレンズと思われがちだけど、ポートレートにも最適で、花鳥園における鳥と人との距離感でも非常に使い勝手がいい。50mmの明るいレンズでは鳥に届かず、暗い望遠レンズでは室内なので手ぶれが強敵となる。タムロン90mmはポートレート的に撮っても背景のボケがきれいだ。

花鳥園アップ-2

 お馴染みの我らがアイドル、オオハシさん。
 今回もたくさんエサをあげて、たっぷり遊んでもらった。写真もよく撮った。このあとも何度か登場することになるだろう。
 やっぱりかわいいよ、オオハシさん。

花鳥園アップ-3

 花鳥園のアイドル、ヨウムのアンソニーくん。
 とぼけた顔のいたずらっこで寂しがり屋さん。近づくとおすましさんなのに、離れるとハローとしゃべって行かないでとうったえる。
 立体水墨画のような毛並みが美しい。

花鳥園アップ-4

 こんなにきれいな羽をしていたらメスにモテモテだろうと思いきや、行き過ぎるメスに手当たり次第をアタックをかけるのに完全に無視されてしまうかわいそうなオスクジャク。人間から見る美しさと、クジャクから見る美しさの基準は違うようだ。
 体を震わせて鳴きながらアピールしていたのに、相手にされず気の毒だった。

花鳥園アップ-5

 ショウジョウトキの赤も鮮やかな赤色だ。いたずらで赤色に塗られたように赤い。
 細く曲がったクチバシでも器用にエサをくわえてひと飲みしてしまう。

花鳥園アップ-6

 エミューはいい。食い意地が張った気のいい奴らで、見た目ほど凶暴じゃない。エサを持って牧場の中に入っていくと、一斉に取り囲んでくるけど襲ったりはしない。奈良公園の鹿の方がよほど恐い。
 エミューはこの壊そうな顔で損しているところがある。顔といい、足といい、恐竜そのものといってもいい。
 今回もエミューまみれになってきた。

花鳥園アップ-7

 ホオジロカンムリヅルのトサカは今日も乱れてなかった。スプレーでがっちり固めたみたいだ。
 後ろ髪はパンクで、全面の黒い部分は往年の嶋大輔のリーゼントを思わせる。

花鳥園アップ-8

 写真は少しボケてるのだけど、こいつが頭をぶるぶるっと左右に回転したから、動きのある写真になった。
 このインコの名前は知らない。

花鳥園アップ-9

 古代エジプト王家御用達のような鳥。こいつの名前はなんだっけ。

花鳥園アップ-10

 動いているところを肉眼で見ても気づかないことをアップ写真で見るとよく分かる。
 このインコも実にたくさんの色が使われている。赤、青、黄色、赤、ぜいたくな色彩だ。グラデーションも凝っている。

 今日はここまで。
 花鳥園新シリーズ開幕ということで、しばらく鳥写真が続きます。
 また明日。

早寝のときは明治村写真を並べて簡単更新がお決まり

施設/公園(Park)
明治村8-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4



 明日はスーパー早起きなので、今日は時間がない。こんなときは明治村の写真を並べて寝てしまうのが最近のパターンとなっている。こういうとき、動物園と明治村の写真が役に立つ。季節とはあまり関係がないし、時間が経っても古びるものではないから、いつでも使える。冷凍保存しておいて食べ物をレンジで解凍するようなものだ。
 明治村のシリーズもかなりの回数になった。番外編をあわせるとこれが第8回ということになるだろうか。一回で10枚以上使ってるから、今日の分を入れて80枚以上ということになる。実際に撮った枚数はその2倍、3倍だけど、使えるものがこれだけ残るというのは、やはり明治村は被写体の宝庫だということが分かる。ネタに困ったときは明治村か動物園に行けばいい。水族館はちょっと高いし、一人で行くのはあまり楽しくない。春夏なら植物園もいい。
 というわけで、今日は明治村の写真だ。一応、室内ものというくくりで集めてみた。
 一枚目の写真は、去年の9月に新しく移築された芝川又右衛門邸の室内だ。阪神淡路大震災で被災して、取り壊されそうになりながら明治村に移築保存されることになった。
 今回中には入れなかったようだけど、そのうちに自由に入れるようになるのではないかと思う。私が行ったときは時間が決められたガイド付きのようなことが書かれていた。

明治村8-2

 これも芝川又右衛門邸だったか。すでに記憶が曖昧になってきている。明治村へ行ったのは10月の終わりだから、もう2ヶ月以上前のことになった。
 民家にもワンポイントのステンドグラスっていいものだ。ステンドグラスの体験制作というのもあるし、機会があれば買うか作るかして家に飾ってみよう。

明治村8-3

 白いカーテンを通して入る光と、西洋式のバスタブ。優雅な午後のひとときといった風情でちょっと憧れたりもするけど、実用という点を考えると、こんな風呂は嫌だ。狭いユニットバスも毎日だとつらいから、やっぱり普通の一般家庭のシャワーとバスタブのある風呂が一番いい。

明治村8-4

 これぞ和式便所。便器を色つきの陶器にしただけでぐんとオシャレ度がアップする。これはいいなと思った。うちの田舎に採用したいくらいだ。ずいぶん気分も違ってくる。
 洋式トイレにしても便器はもっと自由でいいはずだ。白じゃないといけないわけじゃない。

明治村8-5

 明治というと西洋一辺倒のようなイメージがあるけど、もちろん当時の日本人の大半は和のテイストの中で暮らしていた。ただ、日本家屋も江戸時代から明治にかけてずいぶん洗練されて様変わりしたのだと思う。
 そういう部分でも明治村の明治建築は価値が高い。現在とは違っている部分もあるし、変わらないところもある。変わらないのは畳のよさだ。

明治村8-6

 病院ではなく医者の家というのが昔はあって、今はほとんどなくなってしまった。昔ながらの個人の病院というのも最近はめっきり少なくなった。
 明治の医者宅はなにやらおどろおどろしいというかまがまがしいような雰囲気をたたえている。何か人体実験でもされそうな恐怖感を覚える。道具なんかも怪しげだし、薬も何を飲まされるか分からない。

明治村8-7

 第四高等学校の武術道場「無声堂」。竹刀がぶつかる音や、やぁーとかいうかけ声が外まで聞こえていて誰か練習でもしてるのかと思いきや、テープが流されていて中は誰もいない。けっこう簡単にだまされた。
 冬場は相当寒そうだ。

明治村8-8

 三重県庁舎のホールがけっこう好きで、ここで写真を撮るのを楽しみにして行ったら、先客がいてぎょっとする。ここで人に会うとは思ってなかったから。
 どうやら明治村の関係者が何かの準備をしてたようだ。ゆっくり写真を撮れなくて残念。光があるときのこの場所は斜めから差し込む光がとてもきれいなのだ。ちょっと悔しいからこっそり隠し撮りをした。

明治村8-9

 これは内閣文庫の中だったか。
 世界の有名な建物のミニチュア模型が飾られている。豆球の灯りが優しくて惹かれた。

明治村8-10

 東松家住宅の夕暮れ。
 行燈に灯りがともって、そろそろ夜が近づいた。
 明治村も閉村時間が迫る。

明治村8-11

 暗がりの中の写真を撮ったら、闇に浮かび上がる招き猫とフランケンシュタインが写った。
 え? なんでここにフランケンが? よく見たら福助だった。暗がりで福助を見るとフランケンシュタインに見えるという新事実を発見した。

 取り急ぎ今日はここまで。
 読み返しもしてないから誤字脱字がありそう。帰ってきたら直します。
 それじゃ、ちょっと鳥まみれに。

揚輝荘第一回 ---伴華楼の内装は凝り性全開

名所/旧跡/歴史(Historic Sites)
揚輝荘1-1

PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4



 覚王山に松坂屋の創始者が別邸として使っていた古い屋敷が一般公開されていると知ったのは、去年の12月のことだった。名古屋市に寄贈されて、無料で公開されていると新聞に載っていた(名古屋で新聞といえば中日新聞と決まっている)。ただし、いつでも見られるのは庭と建物の外観だけで、内部を見るには往復ハガキで応募して当選しなければいけないらしい。12月のはじめに応募してみたところ(ひと月先しか応募できない)、当たったというハガキが来たので行ってきた。
 内部公開は、毎週土曜日と第2・第4水曜日に限られている。一日4回の時間制で、定員は64名。多いのか少ないのかよく分からない。でも今日あたりでも定員いっぱいだったから、やはり応募数はそれなりにあるのだろう。
 駐車場はないので、すぐ近くの日泰寺の境内にとめさせてもらう。帰りに参拝していけば1時間や2時間くらいは仏心で許してくれるだろう。ちゃんと賽銭も入れてきた。
 日泰寺からは歩いてほんの2、3分だ。表通りからは見えない裏手にあるから、一般にはあまり知られてないところだと思う。
 その邸宅を揚輝荘(ようきそう)という。正確には揚荘と表記するらしい。かつてこのあたりは月見の名所として知られていた場所だったそうで、そこからこの名前が付けられたのだとか。ただし、揚輝荘という建物は存在せず、この敷地にある屋敷や庭園などの総称として揚輝荘と呼ばれているだけだ。ネットで調べると、伴華楼やら聴松閣やらという名前が出てきて混乱しがちだけど、行ってみればなるほどそういうことかと納得した。

揚輝荘1-2

 少し離れてみると、門はこの広さ。これだけでもお屋敷ぶりがうかがえるというものだ。ただ、現在ここはマンションの入り口も兼ねているので、昔の姿とは違っているのだと思う。こんな開放的な屋敷はめったにない。
 かつては1万坪の敷地を誇っていた揚輝荘も、3分の2の土地は売ってしまって、現在は3,000坪に縮小されている。縮小されてこの広さだから庶民感覚とはかけ離れているのだけど、北と南を分断して中央に建っているマンションがまたすごい。外観からして高級そうで、一階にはロビーまである。分譲の部屋がすべて1億円以上だったそうだ。なので、ここの門をくぐれば庶民でも邸宅と億ション両方の気分をちょっぴり味わうことができるのだった。

揚輝荘1-3

 入り口から入って左手に進むとテントがあって、係の人たちが待っている。所有としては名古屋市のものとなっていて(一時、住友不動産が所有したあと名古屋市に寄贈された)、管理はNPO法人揚輝荘の会が行っている。
 今日見た印象ではまだまだ整備はこれからで、広く一般に開放して自由に見てもらうという状態ではない。暫定的な公開は2006年あたりから始まっていたようだけど、まだかなりの時間がかかりそうだ。入場も無料なので厳しいところ。名古屋市がどれくらい予算を出してくれるか。

揚輝荘1-4

 応募見学者だけが入れる伴華楼(別荘ということでバンガローとかけてそう呼ばれた)の中で受付をして、首から札をぶらさげて見て回ることになる。一般の訪問者とごっちゃにならないためだ。
 いわゆる洋館というのとはちょっと違って、和洋折衷のような内装になっている。建物が建てられたのが大正から昭和初期にかけてで、多くが空襲で焼けてしまったので、戦後に立て直されたものが多い。ただ、一部は戦前のものも残っているようで、どこからどこまでが古いものなのかがよく分からなかった。全体に古めかしくなっていることは確かなのだけど。生活感もたっぷり出ている。

揚輝荘1-5

 見学はガイドさんが説明してくれるのを聞きながら集団行動となる。あまり自分勝手な行動は許されない。ときどきどこかへいってしまってるおじさんとかいつつ。
 内装は派手に飾るではなく、細部へのこだわりをみせている。天井にしても床にしても壁にしても扉にしても、ひとつとして手のかかってないものはないくらいで、説明されないと気づかないくらい芸が細かい。模様を刻んだり、彫りを入れたり、編み込んだり。使われている木材も堅いものが多く、そのあたりの材料選びから手を抜いてない。妙なこだわりといえばこだわりだ。

揚輝荘1-6

 誰の趣味だったのか、市松模様がやたら多い。床も壁も天井も、いろいろなところで市松模様の意匠を施している。
 各部屋に暖炉があるのも特徴の一つで、薪代も大変だっただろうと思わせる。華美な装飾は嫌っていたようだけど、お金がかかっている屋敷であることは間違いない。これは維持費も大変だ。お金持ちの個人所有でも支えていくのはしんどい。それで松坂屋も手放してしまったのだろう。

揚輝荘1-7

 伴華楼は地上三階、地下一階建てで、三階以外は見学コースに入っている。二階も主な部分は見て回ることができる。
 昔の家特有の急角度の階段を登って二階に上がる。歳を取るとこういう階段の上り下りは大変になる。けっこう滑り落ちたりもしてたんじゃないか。私も子供の頃、田舎の家の階段から何度か落ちたことがあった。

揚輝荘1-8

 二階は和室になっている。
 昔の家特有の廊下の狭さだ。廊下は人一人が通れる幅があれば充分という考えがあったのだろう。

揚輝荘1-9

 今はもちろん使えないけど、かつて使っていたそのままの姿で暖炉も残されている。
 貼り付けてあるのは古い瓦で、どこから手に入れてきたのか、豊臣家の紋が入ってるものや、飛鳥、平安時代のものなどがある。

揚輝荘1-10

 内装の凝り方は、ほとんど遊び心に近い。実用とはまったく関係ないところもいちいち手が入っている。これは主の指示だったのか、設計者のこだわりだったのか。
 欄間は千年杉を張り合わせて彫られている。
 この揚輝荘は、尾張徳川家(現在の徳川園)にあった茶室付き座敷を昭和4年に移築したもので(明治33年築)、その際に地階と洋室が増設された。
 洋間部分を設計したのは鈴木禎次だ。どこかで聞いた名前だなと思ったら、私はあちこちで縁がある建築家だった。たとえば、鶴舞公園の噴水塔と奏楽堂がそうだし、半田の中埜家別邸では紅茶を飲んだ(紅茶専門店T’s CAFEとして営業している)。夏目漱石の義理の弟にもあたる人で(奥さんと漱石の奥さんとが姉妹)、雑司ヶ谷にある夏目漱石の墓石を設計したのがこの鈴木禎次だった。
 内装は徳川家時代のものだと思うから、そのあたりの経緯はよく分からない。

揚輝荘1-11

 内部をどこまで修繕するかは難しいところだけど、かなりガタが来ていて手入れが行き届いてないのは確かだ。それはそれでかつての面影を知るにはいいものの、もう少し体裁だけでも整える必要がありそうだ。ただ、そこまでやるとなると相当な費用がかかるから、すぐには無理だろう。
 このあたりの壁紙やふすまは珍しく金ピカ趣味だ。お客を招くところだったようだから、それで見栄えを重視したようだ。

揚輝荘1-12

 生活感溢れる台所などもところどころで見て取れる。どこまで今現在使っているものなんだろう。放置されたままというところもあるし、まだ使っていそうなところもある。全部を見学できるわけではないし、説明があるわけでもない。ちらりとのぞくそういうところも興味深い部分ではある。

 このあと見学コースは、外に移り、庭園や別の屋敷を見て回ることになる。ということで、揚輝荘はシリーズ化が決定した。3回でおさまるかどうか。ここぞとばかりにたくさん写真を撮ってきたから、明日以降、少し揚輝荘ネタが続きそうだ。
 今日のところはいったんここまでとしたい。
 つづく。

名古屋にラーメンのテーマパークがあるのを初めて知ったらもう終わり

名古屋(Nagoya)
名古屋麺屋横丁-1

PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4



 観覧車が張り付いてるビル「サンシャイン栄」の中にラーメンのテーマパーク「名古屋麺屋横丁」がある。クリスマスイブの日に観覧車に乗りに行ったとき見つけた。
 イブの夜にラーメンはないだろうと思いつつも、名古屋港花火までの時間があまりなかったのと、ラーメンのテーマパークというものにちょっと興味があったので入ってみることにした。
 入り口から入ってほどなく、作り物めいた昭和の町並が現れた。なんだこれはと最初は戸惑ったものの、なるほどそういう作りになっているのかと納得した。お台場にあった台場一丁目商店街の小規模版みたいなものだ。
 帰ってきてから知ったところによると、オープンしたのは2005年の2月で、手がけたのは「池袋餃子スタジアム」や「自由が丘スイーツフォレスト」などのフードテーマパークを企画している、ナムコのチームナンジャだそうだ。ラーメンのテーマパークとしては名古屋初で、フロア全体は昭和30年代をモチーフにした町を再現したとのことだ。
 確かにこれは、私が知ってる昭和よりも古いものだ。だから、懐かしいというよりもセットとしての面白さだ。
 ラーメン店は全部で7軒と、やや少なめか。でも、全部食べて回ろうとすれば大変だし、気に入ったところが見つかればそこの常連になればいいから、まあこんなものだろう。あまり多くてもどこに入っていいのか分からなくなる。全国の有名店が出店するという形で、これまで入れ替わりでのべ26軒が店を出したそうだ。
 町並も気になるところではあるけど、まずはラーメンを食べよう。7軒の中でどこに入るか迷う。どこが美味しいのかそうじゃないのか、人気があるのかないのかを知る手がかりがまったくないから、思いつきで飛び込むしかない。

名古屋麺屋横丁-2

 入り口から入ってすぐはこんな感じになっている。簡単な店の紹介もあるけど、ここでもう少し詳しい説明が欲しいところだ。唐突に昭和の町並だから、入ってすぐ逃げ出してしまう人もいそうだ。
 でもやっぱりシャチなんだ。名古屋ならなんでもかんでもシャチにしておけばいいというのは安易すぎるぞ、ナムコ。名古屋人はそんなにシャチ好きってわけじゃないし。

名古屋麺屋横丁-3

 ちょっと迷って札幌ラーメンの「さっぽろ大心」にした。気分的に博多のとんこつではなく、サッポロラーメンのあっさり系が食べたかったから。
 他の店としては、地元ココイチがやってる「麺屋ここいち」、旭川の「旭川らぅめん青葉」、博多「ちょうてん」、福岡久留米「満洲屋が一番」、下北沢の「玄武」、広島の「廣島つけ麺本舗 ばくだん屋」が入っている。
 私は外でラーメンを食べることはめったにないので、有名店なのかどうかまったく分からない。たぶんどこも有名なところなんだと思う。私が知ってるラーメン屋といえば、スガキヤくらいのものだ。

名古屋麺屋横丁-4

 イブの夕方ということで店内がどんな感じになっているのかやや不安だった。店の人とマンツーマンになってしまうのはつらい。けど、先客としてツーカップルいて安心した。
 ただ、こんな時期なのにというか、こんな時期だからなのか、このラーメン横丁自体にひとけが少なく、活気が乏しいのが気になった。お客もポツリ、ポツリといったところで流行っているとは言い難い。お昼時や普段の週末はもっと混雑してるのか。
 オープン当初はどの店も行列ができていたそうだけど、3年近くも経てば飽きっぽい名古屋人のことだ、こうなるのも必然だったと言えるかもしれない。ナムコはちゃんと名古屋人気質をリサーチしてから作ったのだろうか。
 テーブルがボロボロのガタガタたったのは演出だったのか、単に古びてしまっただけか。
 ラーメン店というのは、あまりにも閑散としてるとわびしいし、逆に混雑しすぎて並ばなくてはいけないくらいになると嫌になる。ほどよい混み具合に調整するなんてことはなかなかできないのが難しいところだ。

名古屋麺屋横丁-5

 私はチャーシュー入り塩ラーメンを、ツレは味噌ラーメンを注文した。
 味はまあ美味しかったと言えるだろう。ただ、私の場合比較対象がスガキヤしかないわけで、本当に美味しいラーメンというのも知らないので比べようがないというのはある。このラーメンも本店の味と比べたらどうなのかも分からないし、ここに入ってる他の店の中でどれくらいのポジションなのかも見当がつかない。
 値段は800円くらいだったか。お安くはない。スガキヤなら300円で食べられて、デザートのソフトを食べてもお釣りが来る。どっちかを選ぶとしたら、私はちゅうちょなくスガキヤを選ぶ。スガキヤは名古屋人のソウルフードだしね。

名古屋麺屋横丁-6

 おなかがいっぱいになったところで町並の散策を再開した。
 当然作り物だから本物っぽくないところは多々あるのだけど、小物類などは昔のものが使われていたりするから、そのあたりは見ていてなかなか楽しい。
 昭和の町並を再現すると、たいていが30年代になるのは、この時代が一番昭和らしいときだったからだろうか。終戦から10年以上経って、日本が復興して新しい町並が作られていくとき特有の猥雑なパワーが溢れていた時代だ。私たちが知っている昭和40年代後半になると、やや近代化も進み始めて昭和のカラーも様変わりしていく。私が知っている昭和は、落ち着きを取り戻してからの昭和でしかない。

名古屋麺屋横丁-7

 再現された店舗のたたずまいも、私たちが知らない時代のものだ。
 置かれている市電は本物で、この市電の中もラーメン店になっている。ここは展示だけにして自由に中に入れるようにしてほしかった。
 名古屋市の市電の記憶はまったくなくて、幼少の頃親と一緒に乗ったことがあるのかどうかも定かではない。親が覚えてないというくらいだから私が覚えてないのも仕方がないことだ。

名古屋麺屋横丁-8

 オート三輪は確か見たことがあるはずだ。展示されてるのはトラックタイプで、私が知ってるのはもっと小型の白っぽい車体のものだ。ダイハツ・ミゼットとかだったか。
 今これに乗っていたら格好いいけど、何しろ走らないから迷惑な話ではある。時速60キロとかは出るのだろうか。
 はっきり覚えている古い車といえば、スバル360だ。あれも見なくなってから久しい。
 昭和の車は、スポーツカーにしてもファミリーカーにしてもセダンにしても、それぞれしっかりした個性があった。今はみんな同じようになってしまって面白くない。普通の大学生までが高級車に乗れるというのは逆に夢がない。おんぼろのカローラしか乗れないサラリーマンのお父さんが、いつかクラウンを買うんだと思っていたときの方が夢があった。

名古屋麺屋横丁-9

 テーラーにバーバーにパーラーに、昭和はカタカナ文化が花開いた時代でもあった。外国に対する憧れが今より強かったというのもあった。今はハイカラなんて言葉も使われなくなった。きみ、ハイカラだなぁ、なんて言ったら今の方が新鮮に聞こえる。
 ここができて間もない頃は、交番に昔の婦人警官の格好をした女の人がいたりしたらしいけど、今ではそんな演出はなくなってしまったようだ。活気がないと感じたのは、店以外に人がいなかったからというのもある。ラーメン屋だけでなく、他の店もあればもっと賑やかになっただろうに。ラーメン屋の店員も普通の格好をしていて、そこまで演出は徹底されていない。

名古屋麺屋横丁-10

 ラーメン神様が祀ってある祠があって、これは面白いと思った。これだけ日本人はラーメンを食べてるのだ、ラーメンを供養して、ラーメン神様をたたえて祀ってもバチは当たらない。
 鳥居の奥はぱちんこ大明神だった。名古屋といえばパチンコ発祥の地だから、ということか。

名古屋麺屋横丁-11

 古い映画のポスターや写真が飾られていて、それが小林旭と浅丘ルリ子のものだったので、おっと思って足が止まった。白黒写真を見ると、東山動物園でロケをしているときの様子が写っていた。古い日活映画はたくさん観ているけど、この『嵐が俺を呼んでいる』は観てない。機会があれば観てみたいものだ。
 映画館の名前はコーチン座。そうきたか。

名古屋麺屋横丁-12

 指で弾くパチンコ台は懐かしい。子供の頃父親に連れて行ってもらったことがある。ダイヤルの自動式と違って少ない玉でも長く遊べるのがよかった。
 でも自分でパチンコをやろうとは思わなかった。大学の頃、同級生はよくやってたけど、トータルではどう考えても損してたし、自分も勝てそうな気がしなかったから。
 高校のとき、校外実力テストの帰りに、クラスメイト何人かでパチンコ屋に入ったことがあった。たまにはやってみるかと玉を買って台に座って、何気なく隣を見たら担任の先生だったときはのけぞりそうになった。顔をそむけてすごくそおっと席を立って、パチンコ玉をポケットに入れて店から逃げたのも、今となっては懐かしい思い出だ。

 店によってラーメンの味のバラつきがどれくらいあるのか私にはなんとも言えないし、美味しいという保障はできないのだけど、一度くらい話のタネに行ってみるのはいい。行くならなるべく急いで行かなくてはいけない。
 というのも、この2月3日で、名古屋麺屋横丁は閉鎖になるという発表があったからだ。なんてこった。知らなかった。この手のフードパークは全国的にも人気があって、こんな短期間で営業終了になってしまうのは異例のことだそうだ。なんとなく元気がないと感じた私の感覚は正しかったらしい。売り上げが伸びなくなっていたのだろう。それで全国のラーメン店が出店したがらなくなったというのもありそうだ。
 どうやら私はこの前が最初で最後になりそうだ。他の店のラーメンも気になるところではあるけれど、一度でも行っておいてよかったということにしよう。ラーメン自体が食べられなくなってしまうわけではないし、名古屋にはスガキヤがある。スガキヤと共に世界の果てまで。
 一回、本当に美味しいラーメンというのも食べてみたいと思う。これを食べてしまったら、もうスガキヤなんて食べられないってくらいのラーメンはどこへ行けば食べられるんだろう。いや、スガキヤってC級グルメで、そんなに美味しいわけじゃないんだけど。

鯉とユリカモメがエサに群がり大騒ぎの白鳥庭園の冬模様

名古屋(Nagoya)
白鳥庭園-1

PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4 / DMC-TZ1



「こい」をPCで変換したとき、最初に来るのが「故意」か「恋」か「鯉」かでその人の現状をある程度読み取ることができるかもしれない。以前そんな話をしたことがあった。恋と変換しようとして6番目だったとき、ああ、自分はしばらく恋をしてないんだと気づいたとその人は言っていた。そんな会話が印象深く私の中に残っている。あれはもう、7年も8年も前のことだ。
 私はといえば、どうしたことか、変換の先頭は「来い」だった。おかしいな、私はそんな居丈高な人間ではないのだけど。
 今日の話は鯉というわけではない。白鳥庭園の話だ。名古屋の熱田区にある日本庭園へ行ってきたときの様子を紹介したいと思う。
 ここのコイがあまりにも強烈だったので、最初にコイの写真を持ってきてみた。写真でもけっこう衝撃的だけど、実際はこの何倍もインパクトがあった。コイがエサを食べる様子は微笑ましいものだけど、これだけの量となるとちょっと恐い。こんなにたくさん飼わなくてもいいと思う。
 ちなみに、白鳥庭園の白鳥は、「しろとり」と読むのが正式だ。「しらとり」と読みがちだけど、熱田区のあのあたりの地名が「しろとり」なんだと思う。庭園にハクチョウがいるわけでもない。

白鳥庭園-2

 芋を洗うようとはまさにこういう状態をいう。ただし、これはエサを投げ入れた直後の様子で、普段からこんなふうに大暴れしているわけではない。コイの養殖をしてるわけではないから。
 ここでは紙コップ1個50円のコイのエサを売っていて、それを買ってコイにエサをあげることができる。普段エサをやってないのか、食い付きが異常にいい。みんなかなりおなかが空いているようだ。
 この日は休日ということでそこそこお客がいたから、コイたちもたくさんエサをもらっていた。平日は訪れる人も少なくてもらえるエサも少なそうだ。まあでも、池の鯉は藻とか草とか食べて生きていけるから心配することはない。自然の川でもコイは生息してるわけだし。
 ここのコイは色鮮やかなのがいい。カラフルで賑やかだ。これが黒ばっかりだったらかなり不気味だっただろう。それこそ養殖場のようになってしまう。

白鳥庭園-3

 白鳥庭園の冬の風物詩はユリカモメだ。こいつらもコイのエサを狙っている。ユリカモメは騒がしくて凶暴で賢い。エサをかすめ取るのも得意だ。勝負したらコイに勝ち目はない。
 エサやりとしてはコイよりもユリカモメの方が面白い。クワァークワァーいいながら跳ねるように飛んだり、水面から垂直ジャンプをしたり、人間の方にもけっこう寄ってくる。さすがに手乗りとまではいかないけど。そのへんが花鳥園とは違うところだ。

白鳥庭園-4

 エサを投げると、一歩でも先んじようと、ジャンプしてエサを取ろうとする。ユリカモメはコイのようにおなかを空かしているわけではないだろうに。きっとライバルに対する意地の気持ちが強いのだろう。性格がキツくて負けず嫌いなのだ。

白鳥庭園-5

 何かに驚いて一斉に飛び上がった。食い意地は張っていても警戒心までゆるんでいるわけではないらしい。
 ひとしきり上空を飛んだら満足したのか、またすぐに降りてきた。食い気が勝ったか。

白鳥庭園-6

 日本庭園というとおばさま、おじさまの場所というイメージだけど、ここは親子連れが多い。大人300円で、中学生以下は無料だから、近所の人にしたらお手軽なお出かけスポットとなっているのだろう。
 けど、何年か前までは200円だったはずだ。いつの間にか値上がりしていた。できた当初は駐車場も無料だったのに今は300円になった。街中にあるから、無料駐車場にしたら訪問者以外の車に占拠されてしまったのだろう。

白鳥庭園-7

 上の池に映る影絵。このあたりはコイも少なくて穏やかだ。
 白鳥庭園は中部地方の地形をモチーフに造られている。築山を御嶽山(おんたけさん)、そこから始まる水の流れを木曽川、池を伊勢湾にそれぞれ見立てて、いわば中部の自然のミニチュア版のようになっている。言われなければ気づくはずもないけど、なかなか面白い発想だとは思う。

白鳥庭園-8

 遊んだり見学したりするような施設が特にあるというわけではない。上の写真に写ってる清羽亭は、茶会などに使われる数寄屋造りの建物で、もうひとつある汐入亭(しおいりてい)は喫茶室のようになっていて、500円で抹茶をいただくことがきる。
 あとは庭園を散歩するくらいしかやることはない。芝生広場で遊ぶか、水琴窟の音を聞くか、そのくらいだ。
 季節としては紅葉シーズンがベストなのだろう。名古屋市内のちょっとした紅葉名所となっていて、その時期になると大勢の人が写真を撮りにやって来る。春から秋にかけては季節の花々も咲くから、そのあたりも見所となる。

白鳥庭園-9

 奥に写ってるのが汐入亭で、手前は汐入の庭と名づけられている。ここは装置によって水量を変化させて、それを潮の満ち引きにたとえている。1時間ごとに満潮と干潮を繰り返す演出だ。
 抹茶を飲みながらぼーっと見てるのも贅沢な時間の過ごし方かもしれない。

白鳥庭園-10

 高台の方には滝も造られている。御嶽山にはこんな滝もあるのだろうか。
 水際はモミジが多かったから、紅葉の時期は絵になるポイントなのだろう。このときはもう、葉も落ちきって、落ち葉も茶色くなってしまっていた。

白鳥庭園-11

 このあたりは上流の表現だ。やがて木曽川のゆったりした流れとなり、伊勢湾へと流れ込む。そう説明されれば、この地方の人間ならなんとなくイメージができると思う。地形的にはそのまま再現されているわけではないけど、どうせやるならジオラマのようにいろんな小物を置いたりしても面白そうだ。あまりやりすぎると日本庭園じゃなくなるから、そういう施設を他に作ったらどうだろう。立体名古屋模型とか愛知模型とかを作れば、この地方の地形とか位置関係とかが分かって観光の参考にもなる。

白鳥庭園-12

 こちらは駐車場側の出入り口。クリスマスイブだったけど、早くも門松が飾られていて、正月気分満々だった。
 もともとこの場所は、1989年(平成元年)に開催された世界デザイン博覧会の白鳥会場があった場所で、その跡地を整備して、1991年(平成3年)に白鳥庭園として開園したのだった。
 名古屋市内の本格的日本庭園といえば、ここと徳川園くらいのはずだから、そういう意味でもなかなか貴重な場所だ。
 強くオススメできるほどこれだという要素はないのだけど、熱田神宮のすぐ近くだし、お参りのついでに寄っていくにはいいところだ。近くにはかなり大きな前方後円墳である断夫山古墳や、源頼朝の生誕地といわれる誓願寺など、ちょっとした見所も点在している。すぐ横には名古屋を代表する川の一つ、堀川も流れている。貯木場などはかつての面影を残しているし、少し足を伸ばせば東海道で唯一の水路だった七里の渡し跡もある。
「あつた蓬莱軒」でひつまぶし(2,520円)をご馳走してくれるなら、私がガイドをしてもいいです。ガイドが必要ない場合は自力で行ってみてください。コメダさんの和風甘味処「おかげ庵」も近くにあるのでそちらも寄ってみるといいでしょう。抹茶シロノワールもありますよ。

2008年最初のサンデー正月料理は紅白料理に松崎しげるが紛れ込んだ

料理(Cooking)
正月サンデー

Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II



 新年あけましておめでとうございます(今更)。今年もサンデー料理をよろしくお願いいたします。
 さあ、2008年も始まりました。今年初の日曜日ということで、サンデー料理の時間がやってまいりました。司会のおりも政夫です。アイドル水泳大会はもう復活しないのだろうか。
 サンデー料理を始めて1年半。今年も続くところまで続けようというぼんやりした目標を掲げて再開しようと思う。
 新年一回目ということでおせち料理も考えたのだけど、今年はここまでずっとおせちが続いていてもう飽きていたので、今自分が食べたいものを優先的に作ることにした。ただ、あまりにもノーマルなメニューでは芸がないということで、一つテーマを持たせた。それが紅白料理というものだった。赤白の彩りを取り込めば少しは正月らしくなるだろうというもくろみだった。
 そんなわけで日曜の午後4時、私は正月サンデー料理に取りかかることになる。そして予定通り2時間半後、食卓に並んだのが上の写真の料理というわけだ。正月っぽい? あー、今になって気づいたけど、皿も紅白にすればよかった。

 今回のメインは赤身のマグロと白身のカレイのツートンカラーだった。写真でいうと左手前がそれだ。
 しかし結果は無惨にも名古屋カラーの茶色となり果てた。紅白料理としては大失敗だ。他の料理とのバランスを壊してしまった。お嬢様学校にガングロが一人混じってるみたいだ。
 軽くあぶるだけなら赤身と白身がそれぞれ色を残すんじゃないかという考えは甘かった。しょう油味にしたところでどうやっても茶色になる運命だったのだ。これはいけなかった。
 生でマグロと白身の刺身しておけばよかったのだけど、私は何年か前に刺身を食べて救急車を呼んだことがあった。あれ以来精神的に生ものが食べられない体になってしまっているので、生は駄目なのだ。けどなぁ、今回だけはここも紅白のカルパッチョくらいにしたかった。そしたらトータルとして成功だったのに。惜しいことをした。
 味は問題ない。しょう油、酒、みりん、わさび、塩、コショウ、酢、マヨネーズを混ぜたタレに漬け込んでしばらく置いたあと、オリーブオイルとバターで軽く焼く。タマネギも同じように味を付けて焼いて上に乗せればできあがりだ。黒ごまと白ごまを振りかけるつもりだったのに忘れてた。

 右手前は、ダイコンとニンジンで紅白を作った。
 それぞれを輪切りにして、だし汁で柔らかくなるまで煮込んで、その上からそぼろをかけるというシンプルなものだ。
 通常は挽肉を使った方が美味しくできる。今回はマグロと白身の余ったものと、タマネギの刻みで作った。しょう油、酒、みりんで味付けをして、水溶き片栗粉でとろみをつける。
 左奥の紅白は、ジャガイモとカニかまで作っている。
 ジャガイモは食べやすい大きさに切り分けて、だし汁で煮る。カニかまも少し茹でる。
 取り出したらマヨネーズ、からし、一味、塩、コショウで絡めて、最後に青のりを振る。

 右奥は花カマボコとだし巻き卵の巻かないバージョンだ。
 去年はカマボコを凝った飾り切りにして異常に時間がかかったので今回は簡単なのにしておいた。白い土台の中央に切り込みを入れて、赤いカマボコを2枚薄く切ってくるくる巻いて白いカマボコの切れ目に差し込むだけだ。真ん中にはチーズを挟んでみた。
 これはちょっとした手間で食卓が華やぐからオススメだ。ぶきっちょな人でも10分あればできる。
 伊達巻き卵の巻かない卵は、オーブンレンジで作った。
 本来は平たい皿に乗せて薄焼きにして、焼き上がったところを巻くのだけど、適当な皿がなくて、パウンドケーキ用の型で焼いたのでこんなことになってしまった。食感としては伊達巻きなんだけど。
 溶き卵に混ぜるのは、白身魚やエビのすり身か、もしくははんぺんをすったものでもいい。今回はエビにした。だし汁、塩、コショウ、砂糖、酒、みりん、長ネギを入れて、オーブンで20分ほど加熱する。なかなか固まらなくてちょっと焦ったけど、半固まりくらいで止めて余熱で固めた方が中身がふんわりするはずだ。今回はちょっと焼きすぎた(30分くらい焼いてしまった)。
 オーブンで作るメリットが今ひとつ分からないけど、ガスコンロが他の料理で埋まっているときなどは有効な調理法かもしれない。

 正月一回目ということでちょっと張り切って作りすぎた。4品プラス1品は多かった。一度に食べきれなくて少し残った。また明日食べよう。
 全体的な味も申し分ないもので、まずは成功だったといっていいと思う。魚の失敗が残念だったけど、私の料理にしてはいつもより華やかだった。こいつぁ春から縁起がいい。
 2008年サンデー料理のテーマは2つ。一皿の上の彩りを工夫することと、美味しそうな盛りつけをマスターすることだ。それは持って生まれた料理のセンスの問題ではあるのだけど、もう少し見た目という点で上達したい。料理は目でも楽しむものだから、食べて美味しければいいというものでもない。盛りつけの本を買って勉強しようと思っている。
 味はだいぶ安定感が出てきた。大きくコケたりよろめいたいすることは少なくなったから、それなりに成長してるのだろう。あとは料理時間の短縮という課題もある。手際よく作ることで暖かいものが食卓に並ぶことになって結果的に美味しさも増すことになる。モタモタしてると最初に作ったものが冷めてしまう。
 まだ見ぬ外国料理へのチャレンジ精神も失ってはならない。所さんのダーツの旅をパクって、世界地図にダーツを投げて刺さったところの国の料理を作る、なんて遊び心があってもいい。
 まだまだやれることはたくさんある。単純にもっと美味しい料理を作りたいというのもある。今はまだ料理が趣味で作れるというレベルだ。得意と言えるところまではいってない。
 今年は突撃!私の晩ご飯もあるかもしれない。少し自信がついて、人に食べてもらいたいという気持ちも出てきた。自分の料理が他の家庭で通用するのかどうかも知りたいところだ。
 料理は楽しいものだと今日あらためて思った。その気持ちがある限り、サンデー料理は続いていく。

名古屋城裏と弥富野鳥でちょこっと撮った鳥写真で抱き合わせ更新

野鳥(Wild bird)
名古屋城裏-1

PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6 Di / Super Takumar 300mm f4 / SIGMA 17-35mm f2.8-4 /DMC-TZ1



 今日は名古屋城裏の鳥写真。名古屋城裏といってもほとんどの人は馴染みがないと思うけど、北のお堀と名城公園の間といえば名古屋の人なら分かるかもしれない。週末は路上駐車が可能になるあの道だ。
 あそこは私のお気に入りの場所の一つで、よく出かけていっている。お堀の鳥を見たり、名古屋城のライトアップを眺めたり、車をとめてまったりしたり、たまに名城公園の方へも行ったりする。
 クリスマスイブも主税町教会のあと、ちょっと鳥を見るために寄った。この時期は渡りのカモやユリカモメがわんさとたむろしているから、空振りに終わることはない。その様子はこのブログでも過去に一、二度登場している。

名古屋城裏-2

 普段のお堀の様子はこんなものだ。水に浮いているツブツブが渡りのカモたちで、一見平和な光景に見える。しかしそれの平穏はエサを投げ入れることで一変する。試しに投げてみよう。すると下の写真のようになる。

名古屋城裏-3

 なんじゃこりゃー。
 オナガガモの大群が押し寄せてきて、一瞬のうちにものすごい混乱状態に陥る。バーゲン会場か、タイムセールのスーパーのようだ。押すなおすなの大盛況。
 掘にはコイもたくさんいて、口を開けてパクパクしてるのだけど、オナガの速さにはまったく歯が立たず、一口もありつけない。コイの口元に落としてもササッと早業でオナガがかすめていく。コイは背中を踏まれ、頭を突かれ、ひどい目に遭う。
 ここはエサやりスポットとなっているからカモたちも慣れていて人間を見ても逃げていかない。それどころか何も持っていなくても寄ってくる。この秋に渡ってきたばかりだというのに、もう野生を失ったのか、おまえたち。パンなどは自然界の食べ物に比べたらカロリーが高いからあまり食べない方がいいと思うのだけど。

名古屋城裏-4

 オナガガモのメスの顔アップ。目が影になって失敗。モデル撮影ならレフ板を使わないといけないところだ。
 TAMRONの70-300mmはクリアでパッと見の印象はいいけど、解像感がもう一つだ。シャキッとしない。こういうアップ写真になるとそれがよく分かる。上の写真ではかなり盛大に偽色(パープルフリンジ)が出ている。これでは光の強いところでは厳しい。
 軽量コンパクトな300mmでK100Dと組み合わせれば手ぶれ補正付きの望遠レンズになるから使い勝手はいいのだけど、荷物を減らしたいとき以外はあまり使いたくない。

名古屋城裏-5

 もうエサがもらえないと分かると、みんなそそくさと散らばっていく。中には飛んでいってしまうやつらもいる。現金なやつらめ。金の切れ目が縁の切れ目ということわざを思い出す。私とカモとをつなぐのはエサのパンしかないのかと思うとちょっと寂しい。

名古屋城裏-6

 名古屋城裏や名城公園は野良猫がとても多いところで、ちょくちょく出会う。ホームレスの人さえ世話してるくらいだから、あのあたり一帯で大事にされてるのだろう。
 常に持参しているカリカリをやったら、最初はちょこっと食べてすぐにやめてしまった。どうやら普段からもっと美味しいものをもらっているらしい。安いカリカリでは手なずけられなかった。顔つきはいかにもノラといった趣だったのに。

名古屋城裏-7

 そのうちゴロゴロ転がって体の掃除を始めた。その前に地面は枯れ葉だらけだから、転がったりするだけで体がすごく汚れてしまうんだけど、そこまで猫の頭は回らない。猫は本能的に転がるのが好きだからしょうがないか。うちのアイもよく外で転がっている。汚れるから転がるのはやめておこうというふうには考えないようだ。汚れたらなめてきれいにすればいいという建設的な考え方に学ぶところがあるのかもしれない。

弥富野鳥園-1

 時と場所が変わってこちらは弥富野鳥園。11月の終わりに弥富野鳥園で開催されたデジスコ教室に参加しときに撮った写真をまだ出していなかったので、ここでついでにくっつけてしまう。鳥つながりということで。
 このときはデジスコについての説明会と実地練習というメニューだったので自分のデジではほとんど写真を撮らなかった。教室が終わってから少し撮っただけで。あとになって、教室の様子とかを撮っておけばよかったと思ったのだけど、そのときはそんな気持ちの余裕がなかった。
 弥富野鳥園はまたあらためて行きたいと思っているから、行ってきたら詳しく紹介をしたいと思う。近くの鍋田干拓は、名古屋地区では猛禽のメッカとして有名なところだ。今回は写真をちょっとだけ並べておくことにする。
 上の写真に写ってるのが本館で、この中の2階と3階に高性能望遠鏡が設置されていて、誰でも無料で鳥を観察することができる。手前は公園スペースで、本館の向こうがサンクチュアリとなっていて普段は立ち入ることができない野鳥の楽園となっている。

弥富野鳥園-9

 鳥に近づけないから、野鳥たちはすっかりリラックスしていて自然な姿を見ることができる。しかし、何しろ鳥までの距離が遠い。300mmレンズくらいではまったく届かない。ここの最大の欠点がそれだ。これはいかんともしがたい。
 近くで見たければ、野鳥園が開催する探鳥会に参加するしかない。そのときは中まで入っていくことができる。デジスコ教室のときもサンクチュアリから少しだけ入れてもらった。一瞬オオタカが遠くを横切ったけど、瞬間では撮れるはずもなかった。でも確かに大物もいそうだ。
 しかし、すごい数のカワウだ。これだけ数が多いと不気味にさえ思える。カモたちも蹴散らされてしまった。
 このカワウたちが何のきっかけがあったのか、一斉に飛び立った。その様子もすごいものがあった。

弥富野鳥園-10

 コンパクトデジの10倍ズーム機のデジタルズーム併用40倍の写真だ。35mm換算で1400mmはデジスコ並だけど、画質がいただけない。これでは実用にはならない。アオサギとの距離は100メートルくらいあっただろうか。画質さえまともなら、1000mmオーバーは別世界を見せてくれる。
 デジスコもチャンスがあれば買おうと思いつつ、なかなか踏ん切れないでいる。思い切って買ってしまえば楽しいに違いないけど。

弥富野鳥園-11

 最後は日没と閉園時間が迫ってここまでとなった。

 どちらでも鳥の収穫はあまりなかったけど、一応撮れたことで少し満足だった。鳥撮りには鳥撮りの楽しさがある。釣れても釣れなくても釣りが楽しいように。
 冬は鳥撮りの季節だ。花もなく、空の青も光も少ないこの時期、野鳥という格好の被写体がいてくれるのはありがたい。木々の葉も落ちて樹上の鳥も多少は撮りやすくなった。ただ、寒いからじっとして待つのは大変だ。特に水辺は風が冷たい。
 正月も明けて、明日からはまた新しい一年の本格的なスタートとなる。去年はいい一年だったけど、今年は今年で別のいい一年にしたい。写真に関してもまだまだ撮りたいものがたくさんあって、もっともっと上手くなりたい。
 この冬の間に、まだ見たことがない鳥と一種類でも二種類でもいいから出会いたいとも思っている。

名古屋を代表する二つの教会にクリスマスイブの日に行ってきた話

教会(Church)
主税町教会入り口




 名古屋市最古の教会、カトリック主税町(ちからまち)教会というのがあるのを知ったのはおととしのことだった。一度見に行きたいと思いながらもなかなか機会がなくて延びのびなっていた。ようやく行くことができたのは去年の12月24日、クリスマスイブの日だった。
 イブの午後ということで入れるかどうか心配したのだけど、門が開いていたので思い切ってお邪魔することにした。カトリックの教会は一般人が考えている以上にオープンハートだ。門戸は開かれている。イブのミサは夜だったのだろうか、教会はひっそりと静まりかえってひとけがない。
 場所は主税町三丁目で、清水口の交差点を南に41号線沿いを行った左手に教会はある。
 いきなり車で乗り付けるのもどうかと思い、路上に少しとめておくことにした。



主税町教会の外観

 左奥が教会堂で、明治37年(1904年)に士族の屋敷を改造して建築されたものだ。一部は昭和60年(1985年)に改修されたものの、教会建築では名古屋市最古のものとなっている。
 日本家屋の屋根に十字が乗っかっていて、玄関の三連アーチは洋風だ。建築された当時は鬼瓦の上に十字架が立っていたという。
 大正11年(1922年)の改築で現在の姿になった。
 内部も和洋折衷で、壁は漆喰塗りなのに床はかつて畳敷きになっていたらしい。平成15年(2003年)にフローリングの床にしたそうなのだけど、畳敷きの教会というのは一度見てみたかった。
 右手前は平成2年(1990年)に復元された鐘楼で、まだ新しい。中の鐘は明治23年(1890年)にフランスのマルセイユで製造されたものだそうだ。今でも日曜日のミサのときは鐘を鳴らしているという。
 主税町教会の歴史は明治20年(1887年)までさかのぼる。名古屋や岐阜でカトリックの布教活動をしていた井上秀斎という人物が、フランス人宣教師のデュルパン神父とともに教会を作ったのが始まりだった。
 以降この地方のカトリック教会の中心となり、大正末期まで名古屋で唯一のカトリック教会でもあった。
 明治21年には敷地内に小学校が建設され(明治35年廃校)、現在は幼稚園が併設されている。



主税町教会の全体像

 教会堂の裏手には司祭館もある。明治23年(1890)年に建てられたものを昭和5年(1930年)に改築した。
 高さ19メートルの大きなケヤキの木があり、落ちた葉が屋根に降りつもって西日が照らしていた。



ルルドの洞窟

 庭の一角に、ルルドの洞窟を模したものがあって、マリア様もいる。
 明治42年(1909年)にフランスのルルドに聖母マリアが出現したという伝説を再現したもので、日本でもあちこちの教会で作られている。多治見のカトリック修道院と、東京のカテドラル聖マリア大聖堂でも見た。
 この主税町のものは日本で2番目に古いもので、当時のフェラン神父が富士山の溶岩を使って作ったものだそうだ(日本最古のものは長崎五島列島のひとつ福江島の井持浦教会にある)。



教会内部

 教会堂の扉をおそるおそる開けてみると誰もいなかったので、中に入らせてもらうことにした。
 しんとした空気に満たされている。この空気感は現役の教会特有のものだ。ここのところの教会めぐりで、ある程度馴染みのものとなりつつある。
 募金箱と絵はがきが置いてあったので、お金を入れて絵はがきを記念にいただいてきた。
 中に入っていいものかどうか確信が持てなかったのと、路上の車が心配になったので、早々においとますることにした。せっかくだからもう少しゆっくりしたかったのだけど。

【アクセス】
 ・名鉄瀬戸線「大手町駅」下車。徒歩約15分。
 ・地下鉄名城線「市役所前駅」下車。徒歩約約20分。
 ・駐車場 たぶん無し
 


南山教会外観

 主税町教会をあとにして次に向かったのは、昭和区南山町にある南山教会だった。
 南山教会の歴史などについては前回書いた。

 教会の空気には森や川や海よりも高い浄化作用がある ~南山教会



入り口と信者さん

 私たちが着いたときは、ちょうどクリスマスコンサートが終わったところで、中からゾロゾロと大勢の人が出てくるところにぶつかった。事前に電話で訊ねてミサは4時からというのは知っていたのだけど、駐車場が満車で何事だろうと驚いたらそんなことだった。
 中に入ると、コンサートの居残り組とミサ待ちの人でそこそこの賑わいとなっていた。静かな教会もいいけど、クリスマスらしい華やいだ雰囲気を知ることができたのはよかった。



教会内部

 普段は上がれない二階に行くことができたのも収穫だった。ここからの眺めは一階とはまた違った趣がある。教会の祭壇というのはたいていは高いところにあって見上げるようにできているから、こうして見下ろしたのは初めてだ。



ステンドグラス

 二階にはパイプオルガンがある。
 色とりどりのステンドグラスを通して差し込む光が美しく神々しい。

 教会を一日に二つも行ったので、すっかり浄化された気分になった。教会はやっぱり効く。浄化作用は海にも劣らず、神社仏閣よりも効果がある。信者でなくても、たまに行くのはいいことだ。
 これで布池教会とあわせて名古屋を代表する3つの教会を回ったことになる。他にも小さな教会はたくさんあるのだけど、どこまで入っていけるかの判断は難しい。あまりこぢんまりしたところだと観光気分で入っていくのはためらわれるし、見とがめられないまでも何かご用ですかなどと訊かれたら言葉に詰まってしまう。あ、いや、見学で、とは言いづらい。名古屋ハリストス教会あたりも興味はあるのだけど。
 それでも今後とも教会巡りは続けていきたいと思っている。名古屋に限らずどこかへ遠出したときは教会も調べて行ってみたい。あまり一般に開いているとは思えないプロテスタントの教会も入れるものなら入ってみよう。カトリックとの違いも知りたい。
 そんなクリスマスイブの教会巡りの話でした。チャンスがあれば教会を訪ねていってみることをおすすめします。

【アクセス】
 ・地下鉄鶴舞線「いりなか駅」下車。徒歩約5分。
 ・駐車場 一応あるけど近隣の有料駐車場が無難。

 カトリック南山教会webサイト
 

志摩マリンランドは小ネタで笑わせる愛すべき昭和水族館

水族館(Aquarium)
志摩マリンランド3-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor 35mm f2D



 これまた変わった魚だなぁ。って、海女さんじゃん。いきなり何の前触れもなくこの水槽の前に出たら驚く。どうして海女さんが魚たちと一緒に泳いでいるんだと。でもこれは、ただ泳いでいるわけではない。魚のエサやりをショーにしているのだ。1時間に一回くらいという頻度で海女さんによる餌付けショーというのが行われているのだった。
 海女さんというと二見というイメージがあった。二見浦での海女さんショーは名物の一つとなっていて、私も子供の頃に見た。伊勢志摩ではどこでも海女さんが海に潜ってアワビなんかを獲っているのだろう。だから驚くことはない。
 志摩マリンランドの海女さんは専属なのか、ヘルプなのか、交代制なのか、そのあたりの詳しい事情まではよく分からない。けっこう大変そうだけど、一般的な海女さんの仕事と比べたら、一日に5回だか6回くらい水槽でエサやりをするのは楽かもしれない。かといって引退したおばさま海女ではショー向きとはいえない。このときの女の人もわりと若手のようだった。案外、水族館の飼育員が海女さんに扮しているだけだったりするのか。水槽の中からときどきこっちに向かって手を振ってくれるのでちょっと照れる。

志摩マリンランド3-2

 回遊水槽の中では、ブリやマダイ、カンパチなんかがぐるぐる止まることなく泳ぎ続けている。サメまでいるけど、きっとおとなしい性格のやつなのだろう。凶暴なやつなら海女さんがピンチだ。サメvs海女さんのショーなど誰も見たくない。コブラとマングースの決闘じゃないんだから。
 エサは何種類かあるようで、魚によって与えるものを変えていた。ショーとはいえ、魚の健康管理を考えなくてはいけないわけだから、適当にやっていいというわけではないだろう。ちゃんとまんべんなく行き渡るように気遣う必要がある。やっぱり仕事の種類としては海女さんよりも飼育員のやることだ。

志摩マリンランド3-3

 みんなはこんなふうな感じでベンチに座って見学している。ガラス面に張り付いて見ていると海女さんとの距離が近すぎて、お互いに恥ずかしい。
 光の加減もあるのだろうけど、回遊水槽はやっぱりきれいなもんだ。ぐるぐる泳いでる魚は泳ぐことに飽きそうなものだけど、魚はどんなものだと思っているのだろう。どこまで泳いでも辿り着けないような感覚はあるのだろうか。

志摩マリンランド3-4

 何しろこのときはお客さんが少なくて、人が入った写真を撮るチャンスがほとんどなかった。これは数少ないシャッターチャンスの一つだった。
 女の子二人組でけっこう盛り上がっていて、ちょっとうらやましかった。やっぱり水族館は一人で行くと寂しい。動物円以上に一人向きのスポットではないとあらためて思い知る。

志摩マリンランド3-5

 こちらは親子二人組。冬休みということで子供連れのお客さんが何組かいた。長期休みではない期間の平日はこれ以上に少ないはずで、一体どんな感じなのだろうと思う。
 入館料の1,250円は高いと思うけど、これ以上安くしてもお客は増えないだろうし、これでも赤字なのかもしれない。近鉄株主優待券の招待券が100円以下でたくさん出回っているので志摩マリンランドとしてはますます苦しいところだ。

志摩マリンランド3-6

 熱帯魚が泳ぐ水槽も少しだけある。これらは入り口付近にあって、中に進むほど地味になっていく。
 館内は螺旋状になっていて、それはアンモナイトの貝をイメージして作られているんだそうだ。でも、そんなものは入ってしまえば分からないし、上から見られる場所もないので、ほとんど意味はない。スペースの有効利用としては理にかなっていそうだ。

志摩マリンランド3-7

 地味水槽を過ぎて奥へ進んでいくと、この水族館最大の売りであるマンボウがようやく現れる。おー、マンボウか! と驚く人はあまりいないと思う。マンボウってそんなにインパクトのある魚じゃないし。むしろコミカルな風貌が笑いを誘って脱力感に襲われる。マンボウはマンボウで何の不満があるのか、常に口を尖らせて何か言いたげだ。まったくとぼけたやつだ。
 マンボウの体はまん丸かと思っていたら、思いのほか細身だ。横から見ると四角くて太っているようだけど、正面から見ると妙に平べったい。なんかおかしい。
 きょとんとした目と口はフグの仲間であることを表している。でも何故かこんな平べったい体になってしまった。おちょぼ口はエサを捕るのに向かなくて、それも水族館には向かない理由の一つとされている。
 マンボウは人工飼育が難しい魚で、だから全国的にも少なくて、志摩マリンランドが自慢したくなる気持ちは分かる。5頭くらいいただろうか。エイとの混泳は悪くないんだろうか。
 メスは一度に3億個の卵を産むらしい。産みっぱなしなのでほとんどが海に漂って他の魚に食べられてしまう。生き残るためには大いなる幸運が重なる必要がある。自然界で稚魚の姿は誰も見たことがないとか、マンボウの生態はいろいろ分からないことが多いという。

志摩マリンランド3-8

 この時期の特別展示として、今年の干支にちなんで「ネズミコーナー」というのが設けられていた。ネズミの名が付いた魚やら、ネズミに似てるやつやらが強引に集められている。淡水の熱帯魚であるミッキーマウスプラティなんかも応援として呼ばれていた。確かに一応ネズミといえなくもない。
 壁には凧も飾られていてお正月気分を演出していた。新年に伊勢志摩へ観光に行った人を呼び寄せることに成功しただろうか。福田首相や小沢一郎もここに寄っていって欲しかった。

志摩マリンランド3-9

 館内の一角には、クレーンゲームなどを置いたゲームコーナーがある。子供たちに楽しんでもらおうという気持ちは理解できるけど、この発想は昭和だ。機関車の乗り物とか、古いゲーム機に昭和の名残を感じる。
 これだけのスペースがあればもっと水族館らしい展示水槽が置けるのに。こんな使い方はもったいない。水族館へ行ってゲームをしようと考える人はほとんどいないと思うし、子供のことを思うなら、タッチ水槽でも置く方がよほど有意義だ。

志摩マリンランド3-10

 これまた中途半端な娯楽施設だ。いまどきデパートの屋上でもこんなものは置いてない。名古屋港のシートレインランドでは見たけど、あそこは例外だ。
 まあ、懐かしいといえば懐かしいから、お父さんやお母さんの方が喜びそうだ。
 このあたりのちょっとピントがずれているあたりも、志摩マリンランドの愛すべきところといえるのかもしれない。

志摩マリンランド3-11

 外のペンギンプールの近くに、干潟を再現したところがあった。どれどれ何がいるのかなとのぞき込んだら、「ただいま冬眠中」というプレートが出ていた。なるほど、そういうこともあるか。みんな砂の中に潜っているようで、何一つ見ることができない。

志摩マリンランド3-12

 志摩マリンランドを楽しむためには、まず好意的である必要がある。ここに最新式の水族館と同程度のクオリティを求めてはいけない。イルカのショーもないし、天井の上をペンギンが飛ぶなんてこともない。ここはじっくり噛みしめてしみじみとした味わいがある水族館だ。地味生物の充実度はなかなかのもので、他では見られないようなやつもいる。そういうのを楽しめる人なら、ここまで足を伸ばす価値があると思う。小ネタをたたみかけて笑わせるコメディ作品のような水族館という言い方もできるかもしれない。
 三重県のこのあたりには、全国区のメジャーな鳥羽水族館と二見シーパラダイスもあるから、それらをはしごして見比べてみるのも面白そうだ。私も二見シーパラダイスはまだ行ったことがないから、いつか機会を見つけて行きたいと思っている。鳥羽水族館も。
 そんなこんなの志摩マリンランド紹介でした。機会があれば一度行ってみてくださいと言いたいところだけど、くれぐれも期待しすぎないようにと念を押しておきます。

志摩マリンランドのお魚シリーズ第二弾はジミヘン生物特集

水族館(Aquarium)
志摩マリンランド2-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor 35mm f2D



 志摩マリンランド第二弾は地味生物特集をお送りしたい。地味というか変というか、海の中の多彩さには本当に驚かされる。ある意味あきれる。ここまで地味な生き物が必要なもんなんだろうかと。
 次々に繰り出されるショートジャブが私の急所に的確にヒットして、ノックアウト寸前まで追い込まれた。途中からは笑いをこらえるのに必死で、水槽を見ながらニヤついて写真を撮ってる変な男になってしまっていた。誰かに目撃されてなければいいのだが。
 今日はそんな生き物たちの写真を並べてみる。私と同じように脱力感に襲われて共感してくれる人がいるだろうか。

志摩マリンランド2-2

 子供の頃、鳥羽水族館でタツノオトシゴを見て以来ファンになった。あのときばあちゃんに買ってもらった木彫りのタツノオトシゴはどこへやってしまったのだろう。もう一度鳥羽水族館を訪れたら忘れずに買おう。焦げ茶色でテカテカとした光沢のあるやつだ。よく覚えている。今でも売ってるだろうか。
 大人になってから水族館でタツノオトシゴを見ても、相変わらず嬉しくなって、わー、と思う。変な魚だけど、なんとなく好きだ。かわいいかかわいくないかといえば、あまりかわいくはないけど。
 タツノオトシゴは世界で30種類くらいが生息しているそうだ。日本ではこういう格好をした魚の総称として使われる場合と、特定のタツノオトシゴをいう場合とある。写真のこいつは、ブラックナイトかオオウミウマか。
 こんな姿をしていてもヨウジウオ科の魚だ。エラや背びれ、胸びれなどもちゃんと持っている。一体どうしてこんな姿形になってしまったんだろう。

志摩マリンランド2-3

 海底の砂に潜り込む性質がある生物がたくさんいる。写真のこいつもそうだ。上半身だけ出して、危険が迫ると砂に潜って隠れるのだろう。
 白と黄色のコントラストがかわいい。よく見ると、模様の間隔などが違っている。
 写真は少しピンぼけか、ブレている。ガラス面に映り込んだデジと私の手が亡霊のように写っている。

志摩マリンランド2-4

 どこに何が写ってるか分からないかもしれないけど、岩の隙間から顔を出している黒と黄色の頭が魚だ。これ以上出てこなくて全身がどうなっているか私にも見えなかった。かなり警戒心が強い魚のようだ。天敵のいない水槽の中でも本能に支配されるらしい。

志摩マリンランド2-5

 これまた何が何だかよく分からない。岩にへばりついた黒いのが魚だ。地味ですなぁ。
 ピンク色のイガイガのやつも、もしかしたら生物だったかもしれない。貝か何か。

志摩マリンランド2-6

 地味魚攻撃はとどまるところを知らない。脱力感に襲われる。
 魚というと水中を華麗に泳ぐものという頭があるけど、そうじゃないやつもたくさんいるんだということを水族館は教えてくれる。一日中海底に沈んでるやつや岩にへばりついてるやつ、岩場の穴にすっこんでるやつなど、全然泳いでないやつも多い。水の中では泳がなくてはいけないと決まっているわけではないから、それでいいのだろう。エサさえ捕れれば問題ない。

志摩マリンランド2-7

 海底の地味生物でもこれくらい大きいと存在感というか説得力がある。それにしてもなんだおまえは。もうちょっとどうにかよく作ってもらえなかったのか。自分がこの生き物だったら、泣き言の一つも言いたくなる。こりゃあないよ、神様と。でも、海には鏡がないから自分の姿を知らないまま一生を終えることになるのか。
 こいつは何を食べてどんなふうに日々を過ごしているのだろう。こんな姿をしていても幸せに生きていけてるのだろうか。

志摩マリンランド2-8

 色合いは少し華やかだけど、存在としては地味であることに変わりない。ほとんど動かず、やる気が感じられない。
 どこが目でどこが口なんだろう。なんというか、手抜きで作ってしまった生物のようだ。子供の落書きをそのまま生き物にしてしまったみたいにも見える。

志摩マリンランド2-9

 こいつはまた悪そうな顔をしている。死んだ魚の目という言葉があるけど、これは全身が死んでるようだ。でもちゃんと生きていて、調子が悪いという状態ではなく、これがこいつの普通なのだと思う。
 こんなだらけた生活態度では他の魚にすぐに食われてしまいそうだけど、魚も善人面と悪人面を見分ける力があるとすれば、こいつにはうかつに近づかないはずだ。食べても美味しくなさそうだし。

志摩マリンランド2-10

 これはタコか。模様がちょっと派手だ。ややグロテスクでもある。
 しかしタコという生物も、よくよく見るとヘンテコリンな生き物だ。こんなものを食べる気がしないという世界の人の気持ちも分かる。日本人はどうしてタコを食べる気になったんだろう。

志摩マリンランド2-11

 この画面の中にいろいろな生物がいる。岩に擬態していてよく見えないけど、確かにいる。エビだけじゃなく他にも2、3種類入っていたはずだ。写真で見ると区別がつかないほど擬態している。

志摩マリンランド2-12

 地味魚は沈んでるだけなく浮いてるやつもいる。弱って水面に浮いてきたわけではなく、こいつの生きる場所はここなのだろう。ずっとプカプカ浮いて、ときどき思い出したように泳いでいた。
 どこまでも地味だ。

 いかがだったでしょう。地味魚特集は楽しんでいただけたでしょうか。
 志摩マリンランドの水槽の中には、こんなやつがまだまだたくさんいた。ここに紹介したのはごく一部にすぎない。それでも、この水族館の展示の地味さ加減はだいたい想像がついたと思う。基本的に彩り鮮やかな熱帯魚はごく一部で、どこからかき集めてきたのか見たこともないような地味生物ばかりだ。子供はあまり喜ばないかもしれない。でも、水族館好きならこのマニアックさがたまらない魅力と映るんじゃないだろうか。すごく好意的に解釈すればだけど。
 明日は志摩マリンランドの最終回ということで施設や大型展示を紹介したいと思っている。ここの一番の売りであるマンボウも登場する。マラカスを準備して待っててください。うーーー、マンボウっ!

志摩マリンランドお魚シリーズ第一弾はキレイな海の生物編

水族館(Aquarium)
志摩マリンランド1-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor 35mm f2D



 賢島の中でほとんど唯一といっていい観光施設が水族館の志摩マリンランドだ。賢島へ遊びに行こうと思い立って事前にネットで情報を調べると、まずはホテルの情報が出てきて、その次に志摩マリンランドが見つかる。そしてそれ以上は見つからない。他にも何かあるだろうとしつこく探してみても見つからない。だって本当に何もないんだもの。一応、テニスコートやゴルフ場はあるけど、わざわざあんなところまで行ってテニスやゴルフをしようというのは少数派だろう。
 しかもこの志摩マリンランドというのは、あまり期待できそうもない。マンボウを目玉として全面的に押し出してきているものの、マンボウってそんなに見たいものじゃない。館内マップを見ると狭そうだし、魚の種類も多くなさそうだ。行く前に格安で無料招待券が手に入ったから、時間があればついでにちらっと見ていくかくらいに考えていた。
 けど、実際に行ってみたら、これがなかなか悪くないのだ。確かに中は狭いし、魚の種類も多いとは言えない。ものすごく地味だし、昭和だし、マンボウだってかわいくない。にもかかわらず、なんだか好きだなここと思ったのは、展示されてる魚がユニークだったからかもしれない。魚というより海の生物と言い直した方がいいか。
 水族館の魚写真に関しては今回あまり気合いも入っていなかったこともあって、ラフにパチパチとシャッターを切って、名前のメモ撮りもしてこなかった。目に付いたやつだけ適当に撮って、流し見して終わらせてしまったものもいた。ただ、そのわりには写真がよく撮れていて自分でもちょっと意外だった。何も考えずに撮った方が出来がいいというのも考え物だ。
 S2proは高感度ノイズも少なめで、手ぶれ補正なしの35mm F2Dとの組み合わせだったのでISO400で撮っている。それであらためて35mm F2Dの実力の高さを知った。あまり使ってないレンズだけど、今後はもう少し積極的に使っていきたい。
 帰ってきて写真を整理してみたらけっこう使えるものがあったので、3回に分けて紹介したいと思う。まず第一弾はキレイな生物編ということでお送りします。写真としての写りがよかったものも優先させている。名前は分からないから、そのへんの説明は抜きで。

志摩マリンランド1-2

 おなじみのミズクラゲだ。これは何度か撮っている。やっぱり水槽の中のこいつは神秘的だ。海では嫌われ者だけど水族館では人気者となる。
 海中世界は宇宙と共通するものがあるというのを、この写真を見ると思う。惑星のはるか上空をただよう宇宙船を思わせる。

志摩マリンランド1-3

 ものすごく繊細な手足だ。手足ではないのかも分からないけど、極細の線が無数に体から出ている。しかもそれが長い。
 どうしてこんな体になる必要があったんだろう。

志摩マリンランド1-4

 これもクラゲの一種だったか。
 水槽の中が暗くて、こいつらもよく動くから止めきれなかった。
 それにしてもきれいなブルーだ。自然の生命体が持つ色だとは思えない。

志摩マリンランド1-5

 海にいるのは魚だけじゃない。こんなやつもいる。およそ必要とは思えない生物だけど、海には変わった生き物もたくさんいる。そういうのをなんでもかんでも受け入れるのが海の深さだ。
 これは形が変わってるだけじゃなく色も不思議だ。紫色の部分は何なんだろう。

志摩マリンランド1-6

 これも貝なんだか何なんだか。
 グロテスクにも見えるし、よくよく見ているときれいでもある。
 志摩マリンランドのよさがだんだん分かってきてもらえただろうか。

志摩マリンランド1-7

 最近よく話題になっていて知名度も上がっているクリオネ。実物を見たのは初めてだった。かなりかわいい。でも撮るのは難しい。シャッタースピードが上がらずにちょっとブレた。
 これでも巻き貝の一種で、和名をハダカカメガイという。流氷の天使なんて呼ばれたりもする。

志摩マリンランド1-8

 ウミウシの一種だろうか。気持ち悪いといえば気持ち悪いし、鮮やかといえばそう言えなくもない。
 ウミウシもたくさんの種類がいて、それぞれ色や形が違っているから、追求していけば面白い存在となる。世の中にはウミウシファンの人もいるそうだ。

志摩マリンランド1-9

 1980年代に大ブームとなったウーパールーパーと久々にご対面した。しかし、あの頃とは色も違って、成長したなれの果ての姿となっていた。ここまで大きくなってしまうとかわいくない。
 ウーパールーパーはペットとしての日本での商標名で、実際はアホロートルという名前だ。たぶんそのままの名前だったらブームにはなっていなかった。今どきの若い人は、ウーパールーパーもエリマキトカゲも知らないかもしれない。

志摩マリンランド1-10

 四角い顔をしてるからハコフグかなと思うけど定かではない。ハコフグといってもいろいろいて、一つの種類を指す名前ずあない。
 こんなに目が離れていて正面は見えるんだろうか。

志摩マリンランド1-11

 これは確かイトウだったと思う。淡水の王様とも呼ばれ、きれいな川にしか棲めないという。イトウというと「釣りキチ三平」で幻の魚として登場していた遠い記憶が蘇る。どの程度幻なのかは知らない。水族館にいるくらいだから、本当に幻というわけではない。

 発色のいいS2proは水族館向きでもあったことを発見した。手ぶれ補正じゃなくてもけっこう撮れてる。こんなことならもっと真剣に撮っておけばよかったと少し後悔した。
 ただ、それでもあと2回分は写真が残っているから、それらも出していくことにしよう。全種類撮ってたら7回シリーズくらいになってしまっていた。
 最初は見所の少ない地味水族館だろうと侮っていたけど、これがなかなか捨てがたい独自の魅力を持ったところだった。期待していかなかったのがよかったという部分もある。ざっと見るだけなら所要時間は30分とかからない。だから、生物を1種類ずつ写真を撮るには面白い水族館という限定した言い方の方がよさそうだ。
 それでは、志摩マリンランドのお魚シリーズ第二弾地味編でまたお会いしましょう。
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