
あれ? こんなところにオシドリがいる!?
東山動物園の水たまりにオシドリ発見! と喜んだものの、どうもヘンだ。春が深まったこの時期、こんな場所でのんきに泳いでるはずがかない。よくよく見るとカラーリングも違っている。なんだよ、ニセモノかよ! と、横のプレートを見ると、「アメリカオシ」と書かれている。なるほど、そういうことか。オシドリのアメリカ版だったんだね。言われてみると、なんとなくバタ臭い感じもする(バタ臭いって、もう通用しない言葉か?)。
オシドリであってオシドリでない、オシドリではないけどオシドリであるという、ややこしいこの鳥。しかし、最大の謎は、なんでこんな小さな水たまりの中に浮いているのかということだ。オリも柵もないから、その気になればどこへでも飛んでいけるのに、よほどここが気に入ってるんだろうか。
アメリカオシについてネットで調べたら、向こう産の鳥ということで情報が少ない。詳しい生態はよく分からなかった。野生のものが日本にやって来ることはないことだけは確かなようだけど。
生息地は北アメリカの中部から南部、中央アメリカにかけて。北のものは少し南に下がって越冬するが、海を越えて渡ったりはしない。
オシドリは日本にやって来るいわゆる普通のオシドリと、このアメリカオシの2種類しかいないそうだ。ニセモノ呼ばわりして申し訳なかった。これはこれで本物のオシドリだった。
体長は40-50センチくらい。オシドリに比べると足が短くて胴体がずんぐりしている。
オスは写真のように派手に着飾っているけど、メスは他の鳥同様いたって地味な装いをしている。全身灰褐色で、チャームポイントは白ブチのサングラスをかけたような目元。
大好物はドングリで、その他、木の実や種なんかを食べる。
他のカモとの違いは、オシドリと同じく木の穴に巣を作ることだ。オシドリもそうだけど、こんな派手で大きいのが木の上にとまっているとちょっとびっくりするだろう。
日本に来るオシドリは決してオシドリ夫婦などではなく相手をとっかえひっかえのやつだけど、このアメリカオシは生涯つがいで暮らすのだそうだ。オシドリについてのうんちくを言ってくる相手に対しては、このアメリカオシのエピソードで反撃するといいだろう。

今日は動物園の鳥シリーズでいってみよう。
どこかで見たような顔つきだなと思ってプレートを見たら、ワライカワセミとあった。あー、そうか、青い宝石カワセミと顔つきやクチバシがそっくりだ。しかし、キミ、でかいなぁ。カワセミの5倍くらいはあろうかという巨大さ。顔もかわいげがない。ちっとも笑ってないぞと思ったら、鳴き声がけたたましい人間の笑い声のようなんだとか。名前もLaughing Kookaburra。オーストラリアにすんでるやつだ。
体長は50センチ近くあるというから、ちょっとした猛禽類くらいの大きさだ。ミミズやトカゲ、ネズミ、ときには小さなヘビまで食べるという。ヘビなんかはくわえて木にパシパシたたきつけるというから、なかなかに凶暴だ。そういう目で見ると、すごく悪そうな顔つきに見えてくる。
でも、家族の絆は強く、オス、メス協力して子育てする他、お兄ちゃんやお姉ちゃんまでチビの面倒を見る。
かつて、オーストラリアの原住民であったアボリジニたちは、森から聞こえてくるこいつの笑い声を聞いて、どんな恐ろしいケモノがいるのかと想像を巡らして恐れていたんだそうだ。もしかしたら、オーストラリア旅行へ行ったとき、この鳴き声にびっくりしたという人もいるかもしれない。

タカやワシに関してはまったく詳しくない私は、このハクトウワシを見ても、それほど心動かされることはなかった。日本にもどこかの森にいるんじゃないの、くらいに思っていた。家に帰ってきてから調べたら、それは大きな勘違いで、日本になんてまったくいないワシだったのだ。そんな珍しいやつならもっと感動して見ておけばよかった。
空の王者と呼ばれるハクトウワシは、北アメリカ大陸の海や川、湖などの沿岸部に生息している。
体長は70-90センチ、翼を広げると2メートルにもなるというから相当な大きさだ。
エモノも大きく、魚だけでなく、カモやネズミ、リスなどの小動物まで鋭いツメでしっかり掴んで捕らえるという。湖のまわりをのんびり散歩なんかしてたら、私も頭を捕まれてもっていかれてしまうかもしれない。もしそんなことになったら、わー、タケコプターだー、などとのんきに喜んではいられない。
外見の特徴はなんといっても目立つ白い頭だ。ここが体と同じ茶色だったら迫力は半減していただろう。あえて銀髪に髪を染めている不良のように気合いが入っているのを感じさせる。眼光もとても鋭い。視力なんか人間の8倍もいいというから、4.0のサンコンさんでも子供扱いだ。
王者好きのアメリカ人としては、当然のごとくこのハクトウワシを国の鳥と定めている。
このように動物園にはいろんな鳥もいて、思いがけない発見などもあるので、機会があれば見てみるといいと思う。派手なインコばかりが動物園の鳥じゃない。
他にもいろいろいて撮りたかったんだけど、鳥カゴのアミアミが邪魔してうまく撮れなかった。このへんもうひと工夫欲しいんだけど、動物園側の都合としては鳥さんまでは資金が回らないだろうか。もう少し動物園の鳥たちの待遇がよくなればいいと願う。コアラ資金の100分の1でも回してあげたい。
