月別:2006年03月

記事一覧
  • シマウマは昔も今も縞々模様のワイルド・ハート

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/200s(絞り優先) シマウマの白黒ツートンは正しい。マレーバクに感じた違和感はない。それどころか美しくさえある。シマウマカラーのロングコートを身にまとって夜の錦三丁目あたりを闊歩してみたい。いや、してみたくない。ゼブラーマンじゃないんだから。 写真は子供のシマウマを見守る母親なんだと思う。体が赤っぽいのは、まだ小さいからだ。生まれたばかり...

    2006/03/31

    動物園(Zoo)

  • 春旅立つ前に桜の下で待っているよ、シロハラさん

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+NIKKOR 70-300mm (f4-5.6D), f5.6, 1/12s(絞り優先) 東谷山(とうごくさん)山頂に向かって山道を歩いていると、突然横の雑木林から見知らぬ鳥が前方に飛び出してきた。なんだ、なんだ!? 驚いて立ち止まる私。地面に降りてあらぬ方向を向く鳥さん。とりあえずしゃがんでみた。本物の鳥好きならここで地面に伏せてほふく前進をするところだが、ニセモノの鳥好きの私はコーデュロイのパンツがシワにな...

    2006/03/30

    野鳥(Wild bird)

  • ハロー・グッバイ、ニリンソウ

    Canon EOS D30+TAMRON SP 90mm(f2.8), f3.5, 1/90s(絞り優先) 飯盛山へ行った目的はカタクリだけじゃなかった。他にもいくつか見たことがない野草が咲いているという話だったので、それも撮りに行ったのだった。 これはその中のひとつ、ニリンソウ(二輪草)だ。と思う、たぶん。 パッと見よく似てるキクザキイチゲが少し離れたところに群生していて、最初どちらも同じものだと思いつつ両方撮って、家に帰って確認したら別の...

    2006/03/29

    花/植物(Flower/plant)

  • 春のかげろうカタクリは、ほんのいっときの夢まぼろし

    Canon EOS D30+TAMRON SP 90mm(f2.8), f4.0, 1/180s(絞り優先) 今年こそカタクリの群生を見たいと思って出かけた足助の飯盛山。香嵐渓と言った方がこの地方の人には通りがいいだろう。紅葉で超有名な香嵐渓は、カタクリでも有名な場所なのだった。ヘビセンターはいつの間になくなったんだ?(古っ!)。 いつもとめてる落部の無料駐車場へ行ってみると、しっかり駐車場係のおじさんが立ちふさがっていた。なんてこった。有料な...

    2006/03/28

    花/植物(Flower/plant)

  • オリジナル無国籍料理、ついに完成か!?

    Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/30s(絞り優先) はっきりしたイメージのないまま作り始めた今日のサンデー料理。完成した料理見て思った。 なんだろう、これ? と。 自分ではそんなつもりはなかったのに無国籍料理。まずいか美味しいかといえば美味しい寄りではあったのだけど、和風でも中華でもヨーロッパでもない、かつて植民地だった東南アジアのどこかの国でこれが出てきたら、なるほどこういう料理もあるんだなと...

    2006/03/27

    料理(Cooking)

  • ファイナルファンタジー12始めました~2006年春

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+SIGMA 18-50mm (f3.5-5.6 DC), f5.6, 1/9s(絞り優先) プレイしたいけど時間がない。時間がないけど遊びたい。どうしよう、ファイナルファンタジー12。どうする、私? 一週間迷って、結局買ってしまった。どうせやるんだし、いつかやらないと気が済まないなら早い方がいいじゃん。もしかしたら明日死んでしまうかもしれないんだし。などと自分に言い聞かせつつ。 始めてからまだ2日目、プレイ時間も3...

    2006/03/26

    室内(Room)

  • ツートンの位置って大事だと思うぞ、マレーバクさん

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/180s(絞り優先) その位置でのツートンってどうなんだろう、マレーバクさん。 そんな問いかけを投げかけたくなる彼女だけど、アタシは2,000万年前からこれでやってきたんだから放っといておくれ、キューン、キューンと答えるんじゃないかと思う。薄暗いジャングルの中じゃ、これがカモフラージュになるのさ、と。 でもそうは言われても、この位置でのツートン...

    2006/03/25

    動物園(Zoo)

  • 体はちっちゃくても心は広くて誰とでも仲良しエナガさん

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+NIKKOR 70-300mm (f4-5.6D), f6.7, 1/140s(絞り優先) ちっちゃくて落ち着きがないエナガを撮るのは難しい。これまで何度も挑戦したけど、一度としてまともに写せなかった。慌てすぎてブレてたり、ピントがはずれてたり、場所が遠すぎたりで。このときはたまたま近くで少しの間動かずにいてくれた。それでもオートフォーカスではまったく動きについけいけず、マニュアルフォーカスで連写しまくってやっ...

    2006/03/24

    野鳥(Wild bird)

  • どこかヘンだけど魅力的なマレーグマをよろしく

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f4.8, 1/100s(絞り優先) 世界中にいるすべてのクマが、ヒグマやツキノワグマのように人を襲う凶暴な生き物だと思ったら間違いだ。すべてのサメが人食いじゃないように。クマは暖かい地方で暮らすやつほど体も小さく、性格もおとなしくなる。温暖で食べ物がたくさんあると穏やかな性格になるというのは、人間でいうところの金持ち喧嘩せずや、暖かい地方の方が性格がおお...

    2006/03/23

    動物園(Zoo)

  • 出会いたくないけど遠くから見たい野生のクマ

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/90s(絞り優先) ヒグマと接近遭遇も、動物園のガラス越しとなると互いに緊張感はまるでない。もしこれが自然界だったら、この写真を撮った直後に私は絶命してるだろう。死んだふりも間に合わない。というか、死んだふりってクマには効かないらしいではないか。よっぽど満腹ならともかく、死んだふりで助かる確率は低いと思う。クマの目をじっと見つめて、ミリオ...

    2006/03/22

    動物園(Zoo)

  • 地味な8番バッターのようなナズナは案外寂しがり屋

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f6.7, 1/500s(絞り優先) 初春の野草の中で、もっとも地味な野草と言えるであろうナズナ。ハコベといい勝負で引き分けといったところだ。しかし、これでも春の七草のひとつであるから侮れない。ナズナと聞いてもピンとこない人も、ぺんぺん草と言えばこれがそうだったかと思い出すかもしれない。 かつては地味ながらちびっこの友だったナズナも、近年あまりかえりみられ...

    2006/03/21

    花/植物(Flower/plant)

  • ノルウェイの森をさまよいながら風の歌を聴いた

    Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/30s(絞り優先) 強風で窓がガタガタ揺れる日曜日の夕飯どき、ノルウェーのリダーチーズを使った料理を食べながら私は、高く切り立つフィヨルドに吹く風を感じていた。ノルウェーなんて行ったこともないくせに。 本来今日はギリシャ料理の予定だった。しかし、ダイエーにギリシャのフェタチーズは売っていなかった。ダイエーには荷が重かったか。代わりにどこか外国のチーズで安いものはな...

    2006/03/20

    料理(Cooking)

  • のんきに昼寝しながらカリフォルニアアシカが見る夢は?

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f6.7, 1/470s(絞り優先) お昼寝中のカリフォルニアアシカを激写。決して動物園を訪れてる女の人を隠し撮りしたかったわけではない。アシカの平和な寝顔に心が和む。 野生のアシカはけっこう警戒心が強いというのに、動物園では完全に油断している。人の話し声がしようが、写真を撮られようが、子供が騒いでいようが、少し離れた上の方でホッキョクグマが吠えていようが...

    2006/03/19

    動物園(Zoo)

  • カモだってフラミンゴだって生きているんだ友達なんだ

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/100s(絞り優先) 動物園にいるのは、飼育されている動物だけじゃない。呼ばれてもいないのに勝手にやって来ている野鳥もいる。わりと大きな顔をして、エサなんかも横取りしたりしてる。ハシビロガモくんも、ホシハジロさんも、カルガモっちも、みんな呼んでないですヨ。と、チリーフラミンゴはちょっと不満に思ってるかもしれない。すると、なんでおまえは逃げな...

    2006/03/18

    動物園(Zoo)

  • ジャぱん1000号まで続いて欲しかった

    Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/15s(絞り優先) 毎週楽しみに観ていたアニメ「焼きたて!!ジャぱん」が放送終了になってしまった。なんでじゃよ~と泣きたい気分。でも、「焼きたて!!ジャぱん」が終わったことでホントに泣いてる大人はイヤだ。私もぐっと涙をこらえた。 その代わりということでもないのだけど、少し前ローソンへ行ったとき、ジャぱんが売ってるのを発見して初めて買ってみた。これはアニメの中で出てきた...

    2006/03/17

    食べ物(Food)

  • 登ってよし離れてよしの犬山城は高所恐怖症泣かせ

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f6.7, 1/430s(絞り優先) 木曽川を見下ろす小高い崖の上に建つ犬山城は、戦国時代から今に至るまで、昇る朝日と沈む夕陽を見続けてきた。犬山に住んでいる人にとってはそこにあって当たり前でも、年に一度か二度遠くから見るだけの私にとっては、何度見ても、ああ、いいお城だなぁと思うのだった。広々としてゆったりと流れる木曽川と、その向こうの姿のいい伊木山、断崖...

    2006/03/16

    城(Castle)

  • ライの魂は今、故郷のサバンナを駆けているのかな

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/430s(絞り優先) 去年の今日3月14日、東山動物園のオスライオンのライが老衰で死んだ。推定25歳、人間でいうと80歳くらいにあたるというから、まずまず生きた方と言えるだろうか。その前の月に堀に落ちて動けなくなっていたというニュースがあったあとだったけにそれが原因かとも思ったらそうでもなかったらしい。一時は元気になっていたというから。もしかした...

    2006/03/15

    動物園(Zoo)

  • ヒメオドリコソウで野草オープン戦は終わった

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/120s(絞り優先) 東山動物園で見つけたヒメオドリコソウ。動物園には飼育されている動物だけじゃなく、野鳥もいるし野草も咲いている。動物園にわざわざ野鳥や野草を撮りにいく人もあまりいないだろうけど、けっこうねらい目ではある。 ようやく姫が踊ってるところを見られてすっきりした。これで初春の野草3点セットが完成して、いよいよ春本番だ。春一番は最...

    2006/03/14

    花/植物(Flower/plant)

  • 意外と完成度が高かった名前のないサンデー料理

    Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/30s(絞り優先) 今日のサンデー料理はギリシャ料理に着地する予定だったけど、レシピを調べていると必ず出てくるフェタ・チーズなるものがどうにも見つからず断念となった。他のチーズでも代用できるにしても、フェタ抜きにギリシャ料理とは言えない気がする。一度しか作らないかもしれないものなら、納得のいくものを作りたい。ということでギリシャ料理は延期にした。名古屋のセレブ御用...

    2006/03/13

    料理(Cooking)

  • キリンは高血圧の短距離走者

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/280s(絞り優先) 東山動物園における好待遇動物の第2弾として、今回はアミメキリンにスポットを当ててみた。都会の小学校の運動場よりも広い場所にアミメキリンたちは暮らしている。駆け回るとまではいかなくても、軽く小走りできる広さは充分にある。立地条件もいい。ホッキョクグマの裏手の高台で、隣にはコアラ舎という、スターが集まるビバリーヒルズのよう...

    2006/03/12

    動物園(Zoo)

  • プールのある庭付き一戸建てに暮らすホッキョクグマ

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f6.7, 1/560s(絞り優先) 東山動物園の動物シリーズ一回目はホッキョクグマにした。 いわゆる白クマさんだ。白クマというわりには毛が薄汚れてるなと思ったら、体調がいいときは毛並みが黄色がかるんだそうだ。何日も風呂に入ってないとかいう理由ではない。 ホッキョクグマの居住ゾーンは庭付き一戸建てのように環境がよかった。庭にはプールもあり、室内は冷房完備。...

    2006/03/11

    動物園(Zoo)

  • ひとり動物園デビューで見えた幸福の連鎖反応

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/400s(絞り優先) ふと思い立って東山動物園へ行ってきた。何年ぶりだろう。併設の東山植物園は去年行ったけど、動物園の方は5年ぶりくらいだろうか。平日の夕方となると、さすがに客層は限られている。小さな子供を連れたお母さん、その祖父母、学生のカップルなどがほどんどだ。ごく少数だけど、ひとりで来てる男の人や女の子もいた。そういえば私も今日がひと...

    2006/03/10

    動物園(Zoo)

  • かわいそうなミツバチはハッチだけじゃない

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/140s(絞り優先) 今日3月8日はミツバチの日だ。3がみっつ、8がはち、それでミツバチ。何をするかといえば、ミツバチを大事にしたり、日頃あまりふれ合う機会がないミツバチとふれ合おうとか、そんな趣旨の一日だと思う。まったくの勘だけど(たぶん違う)。 気がつけばミツバチもぶんぶん飛び交う季節になっていた。今日の名古屋は17度。こんなに暖かいからには...

    2006/03/09

    虫/生き物(Insect)

  • 江戸時代の人は見たことがなかったオオイヌノフグリ

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/350s(絞り優先) 他の人が梅を見上げてる横で私は地面を探して歩く。ここにもない、こっちもない、あ、あった。ああ、駄目だ、ここも駄目。こっちもか。何か駄目かというと、しっかり開いているオオイヌノフグリがないことだ。たくさん花はあるのにどれも閉じているか半開きかで、しっかり開いているものが見つからない。それもそのはず、オオイヌノフグリは、朝...

    2006/03/08

    花/植物(Flower/plant)

  • 春は隣の席に座った片思いの相手のように近くて遠い

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-300mm(f3.8-6.3), f6.3, 1/400s(絞り優先) 冬の勢いに負けて出鼻をくじかれる格好となった今年の春も、ここへ来てようやく足取りを早めて遅れを取り戻しつつある。なかなか咲かなかった梅も花を開き始めた。 今日3月6日は二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつ啓蟄(けいちつ)にあたる。地面で寒さをしのいでいた虫たちが暖かさに誘われて起き出してくる時期ということでそう呼ばれる。...

    2006/03/07

    花/植物(Flower/plant)

  • イタリアン・サンデー延長戦は低調に終わった

    Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/20s(絞り優先) 今日のサンデー料理は、先週のイタリアン延長戦となった。食材が余っていたのと、イタリアカラー3色の完成度がもうひとつだったのが心残りだったことがあって。 しかし、結果的に延長戦は失敗に終わった。見た目の再現度は落ち、味まで落ちてしまった。トリノオリンピックも終わって、もうイタリアの風は私に吹かなかった。 3食の中で一番難しいのはなんといっても緑色の...

    2006/03/06

    料理(Cooking)

  • 三度目の藤前干潟は今日も海の底だった

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-300mm(f3.8-6.3), f6.7, 1/350s(絞り優先) 満潮の 藤前干潟 ただの海 今日は川柳から入ってみた。 藤前干潟(ふじまえひがた)へ行ったのは今回で三度目となる。そのいずれも満潮という運のなさ。毎回どこかへ行ったついでに寄ってるだけだから、そう都合良く干潮時に当たるわけではないにしても、三回行けば一回くらい干潮でもいいじゃないかと思うのが人情だ。おお、藤前干潟よ、どう...

    2006/03/05

    名古屋(Nagoya)

  • ポップアップ・トースター選びと値段の話

    Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/20s(絞り優先) 美味しい食パンを買ってもオーブントースターでは美味しい食パンにならないということに今さらながら気づいた。トースターという名前のくせに、実はトーストは苦手というオーブントースター。 食パンはやはりポップアップトースターだろう。食パンを焼くというただひとつの使命のみを背負って生まれてきたポップアップトースター。自分、それ以外のことは何もできません。...

    2006/03/04

    物(Objet)

  • ホトケノザが呼んだ恋の妄想が暴走中

    FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-300mm(f3.8-6.3), f6.7, 1/35s(絞り優先) やっと見つけた春の野草第2弾は、ホトケノザ。なんだか木のベンチに寄り添う恋人同士みたいに見える。そんなふうに見えてしまうのは、もしかして私も久本マチャミと同じ恋愛ノイローゼにかかっているというのか!? だとしたら危険な兆候だ。春だけど恋の妄想が暴走するのは食い止めよう。ストップ・ザ・恋愛妄想。目指せ恋愛事故ゼロ! って、そ...

    2006/03/03

    花/植物(Flower/plant)

  • 名古屋で一番マイナーな展望台アクアタワー

    Canon EOS 650+SIGMA28-200mm(f3.5-5.6)+Kodak GOLD100/ D2400UF フィルム一眼で写真を撮って、ネガをスキャンしたら、何故かこんな写真が出来上がってきた。やけに古めかしいというか、渋みの極地みたいな画質だな。なんでこんなことになってしまったんだろう。昭和40年代の写真っていっても通用しそうではないか。とても平成18年に撮った写真とは思えない。 スキャナの調子が悪かったのかどうかよく分からないけど、こんな味の...

    2006/03/02

    名古屋(Nagoya)

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シマウマは昔も今も縞々模様のワイルド・ハート

動物園(Zoo)
チャップマン・シマウマ

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/200s(絞り優先)


 シマウマの白黒ツートンは正しい。マレーバクに感じた違和感はない。それどころか美しくさえある。シマウマカラーのロングコートを身にまとって夜の錦三丁目あたりを闊歩してみたい。いや、してみたくない。ゼブラーマンじゃないんだから。
 写真は子供のシマウマを見守る母親なんだと思う。体が赤っぽいのは、まだ小さいからだ。生まれたばかりのシマウマは、茶色っぽくて全身縮れ毛に覆われており、しばらくは縞も茶色をしている。はっきりと白黒になるのは大人になってからだ。
 シマウマは、白地に黒なのか、黒地に白なのか、というのはよく言われることだ。あれは、白地に黒が正しい。写真のシマウマの足を見ると分かると思う。黒い縞が薄くなっていて、地肌の白が多く露出している。でも、たまに黒地に白の変わったやつもいるというから油断は出来ない。
 毛を剃ってみると、黒の下は黒で白の下は白だそうで、そういう意味では元から白黒と言った方がいいのかもしれない。
 ではひとつ質問。シマウマの縞は縦縞か横縞か? 当然、縦縞だろうと思うと不正解で、答えは横縞だ。縦に見えてるのは人間の目からで、シマウマの視点から見ると横縞だから。馬のようにヒヒーンと立ち上がった図を想像してみると、あ、横縞だ、と気づく。頭からagnis b.のボーターTシャツを着せると、ほら横縞が縦になる。
 もうひとつ見逃してはならないのは、たてがみもシッポも縞模様が入っているということだ。念が入っている。

 縞模様の話は続く。
 何故シマウマは縞模様をしているのか、という素朴な疑問。こんな白黒じゃ目立ってしょうがないんじゃないか。いやいや、サバンナではこれが目立たない格好なのだ。いつも群れで固まって行動しているシマウマを遠くから見ると、灰色っぽく見えてまわりの木々や草と同化してしまう。特にライオンなんかの肉食獣は色が見えてないので、シマウマも近づかないとよく見えないらしい。縞模様も目がチカチカするとかなんとか(ホントか?)。単にオシャレでこんな模様をしてるわけではない(当たり前)。
 縞模様になっているもうひとつの理由として、仲間同士が相手を見分けるためなんじゃないかという説もある。人間でいうところの指紋のように、ひとつとして同じ模様はないという。なるほど、写真を見るとそうだ。それでも、親兄弟は似るというから、それも面白い。

 シマウマはアフリカのみに生息していて、大きく分けると、ヤマシマウマ、サバンナシマウマ、グレビーシマウマの三種類の亜種がいる。一般的で私たちがよく知っているのは、サバンナシマウマで、日本の動物園にいるのはその中のグラントシマウマとチャップマンシマウマだ。東山動物園のはチャップマンだけど、グラントの方が多いかもしれない。縞模様の違いで区別されている。もうひとつ、クアッガという亜種がいたが、これはすでに絶滅してしまった。
 グラントは、スーダンからタンザニアにかけての東アフリカに、ナミビアやジンバブエなどアフリカ南部にチャップマンが暮らしている。
 通常は1頭のオスと数頭のメス、その子供たちという群れで暮らし、乾期になると水と食料を求めて大移動をするので、そのときは数百頭の大所帯になる。そのときが子供が襲われるピンチなので、なるべくみんなで固まっていこうというわけだ。

 シマウマは、漢字で書くと縞馬で、馬科に属してはいる。けど、実際はロバの方に近いと言われている。
 鳴き声は、馬とは違い、ワンワンと鳴くんだとか。甲高い犬の鳴き声に似てるらしい。一度聞いてみたい。
 食べ物は、イネ科の草の葉や根っこ、木の葉など。喉の渇きに弱く、水がないと長く生きられない。昔の野球部には入れない。
 性格は神経質であると同時に気性が荒くもある。自分より弱い者をイジメ、強い者からは走って逃げる。顔に似合わず性格はヒネている。だから、家畜にはまったく向かない。かつて何度も手なずけようとしてことごとく失敗したという。下手に出ると言うことを聞かず、強く出るといじけて気持ちがダメになってしまう。当然ペットとしても飼えない。ワシントン条約にも引っかかるし。
 でももし人間がシマウマを飼い慣らすことができていたら、今ごろは競馬場で走っているのは馬ではなくシマウマだったかもしれない。何しろシマウマは訓練されたサラブレッドより速く走ることができるのだ。サラブレッドが時速60キロくらいなのに対して、シマウマは時速70キロで走れる。そのへんをうろついてる無名のシマウマでさえ、ディープインパクトより速い。

 草食動物と肉食動物がサバンナを思って見る夢はきっと違うだろう。片や襲う側、片や襲われる側、それぞれ立場が違うから。それでもやっぱりシマウマもサバンナを駆け回る夢を見るのだろうか。走るときは命がけの逃走であったとしても。乾期は喉も渇くし腹も減るけど。
 動物園で毎日を過ごす動物たちが何を思って暮らしているかは分からない。私が彼らにしてあげられることは何もないけど、せめて彼らの代わりにサバンナを自由に駆けている姿を想い描こう。使命を終えて、彼らの魂がサバンナへ帰っていけるように、天の関係者各位にお願いしたい。

春旅立つ前に桜の下で待っているよ、シロハラさん

野鳥(Wild bird)
シロハラさん?

FUJIFILM FinePix S1 Pro+NIKKOR 70-300mm (f4-5.6D), f5.6, 1/12s(絞り優先)


 東谷山(とうごくさん)山頂に向かって山道を歩いていると、突然横の雑木林から見知らぬ鳥が前方に飛び出してきた。なんだ、なんだ!? 驚いて立ち止まる私。地面に降りてあらぬ方向を向く鳥さん。とりあえずしゃがんでみた。本物の鳥好きならここで地面に伏せてほふく前進をするところだが、ニセモノの鳥好きの私はコーデュロイのパンツがシワになるのを気にしつつ、80年代ヤンキー座りでカメラを構える。
 ところでキミ、誰ですか? どこかで会ったことありましたっけ? 林の中は薄暗く、姿がよく見えない。
 鳥さんは私の存在に当然気づいているに違いないのだけど、こちらを気にせず地面をクチバシでつついて、盛大に枯れ葉を飛ばし始めた。何がそんなに気に入らないんだ? ってくらいの勢いで。どうやら葉っぱの下に隠れている虫か何かを探しているようだ。これはシャッターチャンスとばかりに撮りまくる私。5分くらいの間に30枚は撮っただろうか。これくらい撮れば一枚くらいまともに撮れているだろう、しめしめ、とそのときは思った。
 しばらくしてモデルとしての使命を終えたと感じたのか、キョキョキョーっという声を発してどこかに飛び去っていった。あれは私に向かって何か言い残していったのだと思う。やたら撮ってたみたいだけど、全部ブレブレだぞー、などと言っていたのかもしれない。家に帰ってきてから見てみると、ホントに全部ブレてるかピントが合ってなかった。いや~ん。

 図鑑やネットで調べたところ、どうやらシロハラらしい。確信はないけど、80パーセントくらいそうじゃないかと思う。林の中、地面、葉を掘り返す、キョキョキョという鳴き声、それらがシロハラの特徴を示している。ということで、一応シロハラという前提で話を進めたい。
 腹が白いからシロハラ(白腹)。腹が黒かったらハラグロ(腹黒)という名前になっていたんだろうか。にしても、言われるほど腹は白くない。灰腹くらいだ。こいつとそっくりで腹が赤いのはアカハラというらしい。
 それにしても全体的に地味な鳥だ。いつも暗い林の地面近くにいるっていうし、昔なら根暗呼ばわりされかねない。ただ、陽の当たるところで見ると、羽や背中は濃い褐色で、目の回りは薄く黄色でふちどりされてたりして、ややかわいげがある。
 オスメスは基本的に同色で、オスの方が頭が黒っぽくて、メスはやや灰色、頬と喉に白線があるというから、写真のこいつはメスなんじゃないかと思う。足はオレンジ色。
 大きさは約25センチで、ツグミと同じくらいだ。ツグミ科だし。
 繁殖地はウスリー、アムール。って、どこだよそれ。繁殖地までマイナーか。日本には冬鳥として渡ってくる。雪は苦手で、北には少なく、中部以南に多い。名古屋ではあまり見かけない気がするけど、私が気づいてないだけか。関西より南の九州、四国ではよく見かけるそうだ。

 エサはミミズとかヤスデとかアリなんか。彼をクチバシで飛ばして、地面にいるやつを食べる。手で持つ気がしないものばかり食べてるんだな。木の実もたまに食べるらしい。
 秋に渡ってきたときにはある程度の集団で過ごし、冬場はテリトリーを決めて単独行動することが多い。冬場は食べられる虫が少ないからだろう。春先、4月くらいになるとウスリーやアムールに帰っていく。気になって調べたら、ロシアと中国の国境線近くのハバロフスク地方らしい。そう言われても、なるほど、あそこか! とは思えないけど。
 そんな地方ということもあって、繁殖の詳しいところはよく分かってないようだ。日本でも少数の繁殖例があって、低い木の上に巣を作って4個くらい卵を産むという話もある。

 結局のところ、分かったようでよく分からなかった推定シロハラさん。地味であることだけは間違いない。今度会うときは、陽の当たる明るい場所で会いたいものだ。あなたは私の太陽だったと言いたいし言われたい。私、切り絵はけっこう得意だし。高校の時の自由選択時間で切り絵の授業を選択したという本格派。太陽の切り絵くらい楽勝なのだ。ハハハ!(そんなこと威張ってどうする)
 日陰を好むシロハラさんは、人がたくさん集まる桜でも平気でチョコマカと愛嬌を振りまくメジロなんかをどう見てるんだろう? 野鳥なら野鳥らしくミミズを食いやがれ、などと思ってるのかな。それであんなふうにイラ立った様子で葉っぱを飛ばしまくってるのかもしれない。
 桜の木の下で待ってるから、たまにはこっちへおいでよ、と言いたい。

ハロー・グッバイ、ニリンソウ

花/植物(Flower/plant)
ニリンソウ二輪

Canon EOS D30+TAMRON SP 90mm(f2.8), f3.5, 1/90s(絞り優先)


 飯盛山へ行った目的はカタクリだけじゃなかった。他にもいくつか見たことがない野草が咲いているという話だったので、それも撮りに行ったのだった。
 これはその中のひとつ、ニリンソウ(二輪草)だ。と思う、たぶん。
 パッと見よく似てるキクザキイチゲが少し離れたところに群生していて、最初どちらも同じものだと思いつつ両方撮って、家に帰って確認したら別の野草だった。で、こちらはニリンソウでいいはず。よく見ると花の太さや数が違う。キクザキイチゲは葉の切れ込みがもっと深いし、花の感じも少し違う。
 しかし、ここで油断するのはまだ早い。更によく似たイチリンソウとサンリンソウというものがある。そもそも、一本の茎からふたつの花を咲かせるところからニリンソウと名づけられ、同じように一本にひとつでイチリンソウ、一本にみっつでサンリンソウとなった。花はよく似ていて、区別は難しい。
 更に難しくさせているのは、ひとつしか咲かないニリンソウがあり、ふたつ咲くイチリンソウがあるということだ。ふたつ咲くニリンソウも時間差で咲くから、途中で見るとイチリンソウに見える。
 まったくもって手に負えないニリンソウ問題だけど、見た目の印象として、イチリンソウの方が葉っぱの切れ込みが深くて、花も大きく、おしべめしべがぎゅっと詰まってる感じ、というのがある。一通り出会って自分で写真を撮ることができたら、もう少しはっきり区別がつくようになるかもしれない。
 まったく関係ないけど、サンリンソウは、チャンリンシャンに響きが似ている。チャンリンシャンって何だ? って人は、お父さんかお母さんに訊いてください。って、ややこしいこと言うなよ、私。

 原産は日本と中国。現在は、北海道から本州、四国、九州まで分布していて、それほど珍しい花というわけでもない。ただし、生活圏ではおそらく見ることはないだろう。沖縄はどうなんだろう。
 低地の林から山の中まで、やや湿ったところに群生してることが多い。大きさは2センチと、大きすぎず小さすぎずほどよい感じ。暗い林などでは白い花がよく目立つ。
 いや、花じゃないのだ、これ。実は花びらのように見えるのはガクで、ニリンソウに花びらはない(イチリンソウやサンリンソウも同様)。ガクは通常5枚と言われているけど、写真のように6枚だったり7枚だったりもする。ガクが緑色をしたミドリニリンソウというものもある。
 キンポウゲ科で、学名はAnemone flaccida。アネモネはギリシャ語の風を語源とする言葉で、直訳するとやわらかい風。風に吹かれて顔を伏せる可憐な乙女をイメージさせる。白いガクをよく見ると、ほんのりピンクがかっているから、よけいに。
 ニリンソウの葉っぱや茎はゆでておひたしにして食べられるそうだ。北海道あたりでは山菜フクベラなどと呼ばれていて、けっこう美味しいらしい。ただし、若葉は猛毒のヤマトリカブトの葉っぱとそっくりらしいので注意が必要だ。キンポウゲ科の植物はたいてい毒を持っている。フクジュソウの葉っぱも毒だ。
 知らないだけで食べられる野草もたくさんあるけど、チャレンジ精神だけでむやみに野草を摘んで食べるのはやめておいた方がよさそうだ。

 ニリンソウもキクザキイチゲも、カタクリと同じ時期同じ場所に咲くお友達だ。好みの気候や生育条件が一緒なのだろう。イチリンソウ、サンリンソウも同じく、春にだけ姿を現してすぐに消えてしまうスプリング・エフェメラルだ。5月になれば、あれほど咲き誇っていたものが影も形もなくなってしまう。
 しかしこれはすごく不思議なことに思える。同じ山の同じ場所に、季節ごとに花が咲いては枯れ、枯れてはまた別の花が同じ場所に咲くというサイクル。場所の棲み分けとは違う、時期をずらしたシェア、これが自然界では本当に上手くいっているなと感心する。土の中ではどんな譲り合いが起こっているのだろう。
 みんな、自分が咲く季節を間違えたりもしない。指定券の席に座ろうとしたら誰かが座っていて、おい、おっさん、そこオレの席だぞ、などとモメることもない。花同士の勢力争いで勝ったり負けたりというのがときには起こるけど、基本的に野草の敵は人間だけなのだろう。だからせめて、歩いたり写真を撮るときには花を傷つけたりしないように気をつけている。

 一本の茎からふたつの花が咲くニリンソウ。春の間だけの短い出会いと別れ。そんな彼らには、私から柏原芳恵のハロー・グッバイの歌をプレゼントしたい。なんだその歌、知らねえっての、と平成生まれのニリンソウたちには不評を買ってしまうだろうか。でももしそんなことを言ったなら、紅茶のおいしい喫茶店へ行って葉と茎をジューサーで絞ってハローの文字の入ったカップに入れて銀のスプーンでぐるぐる回しちゃうぞ、こいつぅ~(言い回しも80年代風)。

春のかげろうカタクリは、ほんのいっときの夢まぼろし

花/植物(Flower/plant)
カタクリに集う人々

Canon EOS D30+TAMRON SP 90mm(f2.8), f4.0, 1/180s(絞り優先)


 今年こそカタクリの群生を見たいと思って出かけた足助の飯盛山。香嵐渓と言った方がこの地方の人には通りがいいだろう。紅葉で超有名な香嵐渓は、カタクリでも有名な場所なのだった。ヘビセンターはいつの間になくなったんだ?(古っ!)。
 いつもとめてる落部の無料駐車場へ行ってみると、しっかり駐車場係のおじさんが立ちふさがっていた。なんてこった。有料なのは紅葉の季節だけじゃなかったのか。有料なら近い場所がいいということで引き返して西駐車場にとめる。1回500円。

 駐車場を降り立ってみると、そこには無数のカタクリ……の前にカメラを持った大勢の人々がっ! うわっ、すげぇ、とカタクリを見る前にひるんでしまう私。みんな高そうなレンズ付けて三脚立ててるし。
 私はといえば、中古で買ったばかりのタムロン90mmのみという散歩スタイル。ちょっと軽く考えすぎてたかもしれない。試し撮りもしてないのに、いきなり難しい被写体のカタクリに挑んだのは、結果的に無謀だった。群生してる全景を撮りたかったのに、90mmではまったく入りきらない。ズームも持っていくべきだった。
 ただ、この写真でもある程度雰囲気は伝わるんじゃないかと思う。こんな調子で山肌一面がカタクリのピンク紫で染まっている光景は、ただただすごいという言葉しか出てこない。ただごとじゃない数だ。この花の根っこでかたくり粉を作ったら、一生かたくり粉は買わなくても済むだろう(現在のかたくり粉は、ジャガイモとサツマイモのデンプンで代用されている)。
 飯盛山のカタクリは、北斜面を中心に約0.5haに群生していて、愛知県ではもっとも大きな群生地となっている。東海地方では、岐阜県多治見市の鳩吹山や、豊橋市の西川城跡が有名だ。私が最初に見たのは、犬山市の明治村だった。
 3月下旬から咲き始めて、27日現在ほぼ満開だった。4月の10日くらいまでは見られるだろう。飯盛山のは、見たら一生忘れられないくらいの一生ものなので、近くの方はぜひ一度見に行ってみてください。
 全国的には、四国は少ないそうだけど、九州から北海道まで、生息地は広い。特に北海道の旭川は大群生でロケーションもいいと聞く。いつか行ってみたい場所のひとつだ。
 世界では、アメリカやカナダの高山に咲くキバナカタクリをはじめ、24種類くらいのカタクリ属の花があるらしい。ヨーロッパ原産のものは花が赤いという。
 英名は、Dog tooth violet。犬の歯のスミレ。

 花は下向きで奥ゆかしくもあり、立ち姿は凛々しくもある。色だけじゃなく、その姿に人は何かを感じるから、こんなにも人気者になっているのだろう。春一番で咲くスターのカタクリは、トップバッター・イチローを思わせる。松井稼頭央ではない。
 ハナバチなどが蜜を吸いにやってきて受粉を助け、種をアリが運ぶ。ホトケノザなどと同じように、種にアリが好きなエライオソームが付いている。
 種から花が咲くまでには8年。短い歳月じゃない。最初の5年は葉っぱのみで、8年目から花を咲かせて約15年生きると言われている。
 飯盛山のものは、もともと群生していたものを、人が人工授粉させたりしてここまでに育てたそうだ。だからこんなにもたくさんのカタクリを見られるのだけど、もし誰もいない山の中でこの光景に出会うことが出来たらどんな感動だろうと想像してしまう。日本にはおそらくそんな場所はもうない。もしかしたら、朝鮮半島や中国にはあるのかもしれない。
 
 カタクリは、春に花が咲き終わると、地上の葉っぱも枯れて、跡形もなく姿を消してしまう。そのまま球根で一年のうち10ヶ月を過ごす。こういうふうに春の間だけ姿を見せて消えてしまう植物や昆虫を、ヨーロッパではスプリング・エフェメラルと呼ぶ。春のはかなさ。それはまるでかげろうのよう。
 飯盛山も、初夏になれば普通の山に戻る。訪れる人もめったにない静かな山に。そのときも好きだけど、春の飯盛山もいいもんだ。秋は気絶しそうなほどの道路渋滞で近づく気さえ起こらないけど。
 きちんと管理が行き届いているから、これからも毎年大勢の人を喜ばせ、感動させることだろう。私もまたひとつ、約束の地が増えた。来年また必ず戻ってきます、そう約束してカタクリ咲く飯盛山をあとにした。

オリジナル無国籍料理、ついに完成か!?

料理(Cooking)
無国籍料理

Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/30s(絞り優先)


 はっきりしたイメージのないまま作り始めた今日のサンデー料理。完成した料理見て思った。
 なんだろう、これ? と。
 自分ではそんなつもりはなかったのに無国籍料理。まずいか美味しいかといえば美味しい寄りではあったのだけど、和風でも中華でもヨーロッパでもない、かつて植民地だった東南アジアのどこかの国でこれが出てきたら、なるほどこういう料理もあるんだなと納得できるような感じだった。って、どんな感じだ、それ。
 使った食材はほとんど日本のもの、調味料は西洋のもの、作り方は中華のようなそうでもないような。それらが組み合わさって、結果として無国籍となった。仮に謎の東洋料理としておこう。この謎料理の核心に迫ってみたい方は、以下に紹介するレシピで実際に作って確認してみてください。

 まずはチャーハンもどきから。最初は鮭チャーハンから始まったはずが、気がつけばヘンな方向へ進んでいた。たっぷりのオリーブオイルを温めて、そこに刻んだニンニクとタマネギを入れて炒める。何故か長ネギも投入してしまう。次にバターを入れて、塩コショウしておいた鮭を追加。なんとなく気分でしょう油と塩コショウを振りかけてみる。それでは飽きたらず赤ワインをどくどく注ぐ。この時点でかなり怪しくなっている。
 ボウルに卵を溶く。そのまま入れるのは能がないということで、思いつきで牛乳と赤ワイン、塩コショウ、しょう油も入れてしまい、更に先週買って余っていたノルウェイ産のリダーチーズまで参加させてしまうというハチャメチャさ。でももう引き返せない。溶き卵の色も毒々しい赤茶色。
 そいつを、ええーい、とチャーハンに流し込む。そしてかき混ぜる。卵が固まってきたところで、刻んだパセリも入れる。今書いていても大丈夫だろうかと心配になる。が、味は無国籍ながら案外まともだった。ちょっと濃いけどおかしな味ではない。だけど、中華でも洋風でもない。

 右にあるくちゃっとしたものも、名前のない料理だ。最初はフランス料理風に繊細な感じで仕上げるつもりだったのに、煮詰めていたらやけに品のない色になってしまった。どこで間違えたんだろう?
 まずは鮭と鶏肉を小さく切って塩コショウをしておく。次にオリーブオイルをここでもたっぷり温めて、ニンニク、タマネギを炒める。小さく切ったニンジン、マッシュルーム、トマトも加えて炒める。ここでも赤ワインをどくどく。あ、そうだ、ここで白ワインを使う予定が赤ワインしかなかったのだったもんだから、こんな茶色になってしまったのかもしれない。赤ワインで白ワインの代用は無理があった。
 味付けはチキンスープの素と塩コショウ。だったのだけど、煮詰めてたら食べられないくらい濃くなってしまったので、とっさの判断で牛乳を足した。それで味はまろやかになったものの、見た目の品を更に失う結果となる。もはやフランス料理の面影はなく、味も何料理だこれ、って誰にともなく尋ねてみたくなるようなものだった。いや、まずくはなかったけど。

 奥は豆腐料理。これが今回一番イメージ不足で、作りながら考えてなんとなく出来上がった一品だ。まずは、今回の流れでオリーブオイルとニンニクから始めて、冷蔵庫にあったエビを切って炒めてみた。それと豆腐だけじゃ寂しいっていうんで、トマトも焼いてみた。まだまだ寂しいぞとブロッコリーも足してみた。ここで豆腐を投入するも、絹ごしだったためすぐにバラバラのぐずぐずに成りはてる。こいつまでこの段階で品を失った。なんとか取り繕おうと、小麦粉をドバッと振りかける。もしかしたらバラバラになったものがくっつくんじゃないかと。くっつかなかった。
 味付けは、しょう油大さじ2にオリーブオイルを同じ量、みりんを大さじ1、塩コショウ、やっぱり赤ワインも気休めに入れて、余ったリダーチーズも刻んでみた。これでどうだ!? パセリも振りかけてしまえ。
 けっこうまともだった。しょう油ベースだから違和感はない。チーズも効いていたいし、これはオススメできるかもしれない。

 見た目の品のなさは別として、味としてはそれほど破綻していない。採点は難しいところだけど、70点は超えていると思う。ただし、写真で見る以上に秘めた味は複雑で、国籍不明なのは間違いない。でも、世界は広いから、きっと私のこの料理そっくりな料理が世界のどこかにあって、もしかしたらこれを食べたどこかの国の人は、おふくろの味を思い出して涙する……だろうか? この料理をお弁当箱に詰めて学校に持っていったら、おまえんちの母さんはナニ人だ! とイジメられそうな気がする。
 しかし、今回で思い知ったのは、私は料理の基本が分かってないということだ。どの調味料をどの料理にどれくらい使ったらどういう味になるのか、ということがイメージできてない。赤ワインと白ワインとではどういう違いが出てくるのかとか、長ネギとタマネギでは何が違うのとか、そういうことが感覚として身に付いてない。結果として美味しくなったとしても、それは結果オーライでしかなく、毎回行き当たりばったりではそのたびに出来不出来の差が激しくなる。もう一度レシピ本を見て、基本に立ち返る必要があるだろう。来週は純和食で再出発をはかりたい。
 それはそうと、今回紹介したレシピ、ぜひ試してみてくださいね。説明した通りに作ると、見たことも食べたこともない無国籍料理が出来上がります。貴重な経験としてぜひ。

ファイナルファンタジー12始めました~2006年春

室内(Room)
ファイナルファンタジー12、はじめました

FUJIFILM FinePix S1 Pro+SIGMA 18-50mm (f3.5-5.6 DC), f5.6, 1/9s(絞り優先)


 プレイしたいけど時間がない。時間がないけど遊びたい。どうしよう、ファイナルファンタジー12。どうする、私?
 一週間迷って、結局買ってしまった。どうせやるんだし、いつかやらないと気が済まないなら早い方がいいじゃん。もしかしたら明日死んでしまうかもしれないんだし。などと自分に言い聞かせつつ。
 始めてからまだ2日目、プレイ時間も3時間程度で感想もないのだけど、第一印象としては思ったほど悪くない、というものだった。というのも、レビューでの評判があまりにも悪いので、かなり警戒していたのだ。どうやら今のところそれは杞憂に終わりそうだ。
 まとまった時間は取れそうにないから、毎日ちびちびやっていくことになるだろう。ここからは人の批評にとらわれず、自分自身楽しんでプレイしていきたい。出来がよかろうと悪かろうと、自分が楽しめればいいんだから。

 ファイナルファンタジーの第1作目が登場したのは1987年、スーパーではないただのファミコンの時代だった。19年前、もうそんな昔になるのか。当時のことはあまりはっきり覚えていない。FF1は当然リアルタイムでやったはずだけど、印象として残ってないということはそれほど面白いと思わなかったのだろうか。
 翌年のFF2、1990年のFF3と、これもプレイしている。そのときは楽しんでやっていたに違いないけど、どういう内容だったか思い出せない。ただ、みんな大好きなドラクエが私に合わず、FFの方が好きだと思っていたのは覚えている。
 プラットフォームをスーパーファミコンに移して91年に発売されたFF4は記憶に残っている。これはとても面白かった。スーパーファミコンならではの映像や表現に当時は驚いたものだ。
 しかし、最初の頃は1年に1作くらいのペースで発売されていたのか。現在ほど映像に凝っていないとはいえ、今では考えられないことだ。それだけ当時のスクエアにとってこのシリーズには力を入れてもいたんだろうし、命綱でもあったのだろう。
 92年FF5は途中で力尽きて放り出し、94年のFF6はゲームから離れていた時期でやってない。それがいまだに少し心残りとなっている。
 衝撃だったFF7。これは忘れることができない。97年にプレイステーションで発売されたこれを始めてやったときくらい驚いたことはなかった。ゲーム映像もついにここまで来たかと、昔からゲームをやってきた人間にとってFF7は非常に感慨深い作品だった。
 FF8、FF9は、FF10のあとからになる。どちらも割と最近なので内容も覚えている。両方面白かった。
 FF10については、感動が大きすぎて上手く語れない。賛否両論あったけど、私はあのエンディングに完全にノックアウトされた。ゲーム本編はあれを見るための長い前フリだった。FF10は、とにかく大好き。それでいい。
 それだけに、あの感動よ再びと願ったFF10-2は残念だった。
 FF11はオンライン専用ということでやってない。やれば楽しかったんだけろうけど、タイミングを逃した。

 私を育てのは、本と映画とゲームの三本柱だ。それは間違いない。中でもゲームが一番つき合いが長い。本を読むようになったのは大学に入った19歳からだし、映画をちゃんと観るようになったのは24歳から、それに対してゲームは13歳からだ。永遠のライトプレイヤーだけど、これからもこのつき合いは細く長く続けていきたいと思っている。
 私がゲームに求めているものは、本や映画と同じく感動に他ならない。爽快感とかそういうのは求めてる本質じゃない。ゲームには本や映画とは違う、こちらからの働きかけで向こう側の世界が動くという面白さがある。たとえそれが予定調和だったとしても。
 これまで一体どれだけの時間をゲームに費やしてきただろう。それを考えるとちょっと恐ろしくもある。遊んだゲームも、FM-7、X1の時代から数えて数千本になってるだろう。マイベストテンなんていうはっきりしたものはないけど、思いつくままに好きな作品を挙げてみると……。
「クーロンズゲート」、「Noel」、「サクラ大戦」、「FF10」、「PHANTOM OF INFERNO」、「DESIRE」といったあたりが思い浮かぶ。あまり共感を呼びそうにないラインナップだけど、私にとっての感動点はこのあたりにある。

 そんなわけで、春なのにFF12の私。しばらくは写真を撮りに行く時間さえ作れないかもしれない。桜が満開になる頃までには終わらないだろう。
 もし明日以降、ブログの内容が薄くなったなぁと感じたら、さてはこいつ、FF12に夢中になってやがるな、と思ってください。たぶん、その通りです。

ツートンの位置って大事だと思うぞ、マレーバクさん

動物園(Zoo)
マレーバクのツートンって

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/180s(絞り優先)


 その位置でのツートンってどうなんだろう、マレーバクさん。
 そんな問いかけを投げかけたくなる彼女だけど、アタシは2,000万年前からこれでやってきたんだから放っといておくれ、キューン、キューンと答えるんじゃないかと思う。薄暗いジャングルの中じゃ、これがカモフラージュになるのさ、と。
 でもそうは言われても、この位置でのツートンはないなと個人的には思う。もしパンダがこのツートンだったら今の人気はなかっただろうし、ツートンの位置ってけっこう大事だ。パトカーだって、前から見たら黒で、ボンネットの後ろ半分と後ろドアの上だけ白というカラーリングだったら俄然迫力に欠ける。市民から苦情だって来るかもしれない。

 マレーバクは、2,000万年前からほとんど姿が変わっていない、もっとも原始的な有蹄類だと言われている。蹄(ひづめ)があるサイやウマの仲間で、奇蹄目(蹄の数が奇数)に分類される。前足の指は4本、後ろ足が3本で、水中での移動や泥の地面でも動きやすいようにできている。
 伸び縮みするゾウのような鼻と、サイのようなオレンジ色の目も特徴的で、キバも隠し持っている。手足と体のバランスはあまりしっくりいっているような感じがしない。しっぽはこんなもの必要なんだろうかというくらいの短いものが付いている。本人は充分これで気に入ってるのかもしれないけど。
 東南アジアでは、神様が余った動物のパーツを組み合わせて作ったんだと言われているんだそうだ。そう言われても仕方がないところはある。
 ボディサイズは、けっこう大きめ。全長2.5m、高さ1m、体重は300kg、なのにしっぽは10cm。上から見るとくさび形をしているのは、ジャングルの藪の中を駆けるためだ。伸びる鼻は、水中に潜って移動するときシュノーケルのようにして使う。なかなか便利な体だ。天敵のトラから逃げるときに役に立つ。
 性格はおとなしいというより臆病で、だからこんなにも長い歳月を生き延びることができたのだろうと言われている。

 アジアにいるバクはこのマレーバクだけで、ミャンマー、タイ、マレー半島、インドネシア、スマトラなどの原生熱帯雨林に生息している。中南米には、ブラジルバク、ベアードバク、ヤマバクの3種類がいて、こいつらは褐色をしていてたてがみがある。白黒ツートンはマレーバクだけだ。
 夜行性でたいてい単独行動をしている。連れだって行動してるのは母親と子供だ。水辺が好きで、木の実や果実、水草などを食べて暮らしている。動物園では、干し草やリンゴ、ニンジン、イモなどをもらっているそうだ。
 妊娠期間は一年ちょっとと長く、たいていは一人っ子で生まれてくる。お父さんはまったく育児に参加しない。子供は、生まれてから3ヶ月くらいはイノシシの子供のような姿をしている。焦げ茶の縞まだら模様でとってもかわいいのだ。ここから白黒ツートンになるとはとても想像できない。
 寿命は最大30年くらいで、飼育下では20年程度しか生きられてないようだ。動物園の方が長生きする動物と、動物園では長生きしない動物がいる。性格の違いなのか、環境のせいなのか。

 日本の動物園に初めてマレーバクがやってきたのは、明治36年、大阪の天王寺で開催された勧業博覧会だそうだ。初めてこいつを見た日本人は驚いたんじゃないだろうか。バクという動物そのものを知らなかった可能性も高い。
 ところで、バクというと夢を食べる貘を思い浮かべる人も多いかもしれない。あれはこのバクのことではない。貘は中国の伝説上の生き物だ。ただその貘は、ゾウの鼻、サイの目、ウシの尾、トラの足を持っていて、人の悪い夢を食べると言われおり、それに似てるからバクと名づけられた。そういう意味では深い関わりがある。

 東山動物園では、今年の2月、赤ちゃんが生まれた。産んだのは写真のドリー9歳だ。去年オスが死んでしまったから、今回の出産はドリーも関係者も喜んでいるに違いない。子供のマレーバクも公開されている。
 しかし少し前、飼育員が子供の寝床を直そうとしたら、母親のドリーが怒って飼育員に噛みついてケガをさせてしまったという事件があった。ふだんおとなしいマレーバクだからちょっと油断したのかもしれない。子を持つ母は強い。

 現在東南アジアは森林伐採などでマレーバクの生活環境がとても悪化したため、数が激減してるという。とうとう1,000頭以下になって、絶滅危惧種に指定された。なんとか暮らしやすい環境に戻ってくれるといいんだけど、難しいかもしれない。せっかくこれほど長く生き延びたのだから、これからも変わらず長く生き続けて欲しいと思う。人間や他の生き物が絶滅しても、ずっとそのあとまで。
 地球最後の生き物が、このツートンカラーのマレーバクだったとしたら、それはなんだか愉快な話だ。地球にやって来た宇宙人もびっくり。

体はちっちゃくても心は広くて誰とでも仲良しエナガさん

野鳥(Wild bird)
エナガさん

FUJIFILM FinePix S1 Pro+NIKKOR 70-300mm (f4-5.6D), f6.7, 1/140s(絞り優先)


 ちっちゃくて落ち着きがないエナガを撮るのは難しい。これまで何度も挑戦したけど、一度としてまともに写せなかった。慌てすぎてブレてたり、ピントがはずれてたり、場所が遠すぎたりで。このときはたまたま近くで少しの間動かずにいてくれた。それでもオートフォーカスではまったく動きについけいけず、マニュアルフォーカスで連写しまくってやっと一枚まともに撮れた。デジだからいいけど、これがフィルムだったらと思うとぞっとする。36枚撮りでも、へたしたら一枚もまとも撮れてない可能性がある。エナガは銀塩使いの鳥好き泣かせと言えるだろう。

 尾が柄杓(ひしゃく)の柄(え)に似ていて、それが長いから柄長。尾が長いオナガ(尾長)というのもいるからまぎらわしい。ただし、姿はけっこう違うから、一度覚えれば見分けは簡単だ。オナガは頭に黒いヘルメットをかぶっている。
 エナガはその姿格好から、「スプーン」とか「しゃもじ」なんていう愛称で呼ばれることもあるらしい。英名もLong-tailed Tit、長い尾の小鳥とそのままだ。
 体の横と目の上に入った黒い筋、白い腹、脇の薄いワイン色が特徴で、オスメス同じ色なので私には見分けはつかない。
 更にエナガにはふたつの大きな特徴がある。ひとつは体がとても軽いということだ。大きさも14cmくらいとスズメよりひとまわり小さく、体重はスズメの半分以下のの9g程度しかない。これは10円玉2枚の重さに相当する。めったなことではエナガなんか手に持つ機会はないだろうけど、もし持つことができたらちょっと驚くほど軽く感じるんじゃないかと思う。この身軽さゆえに、枝に斜めにつかまったり、木の横に垂直に張り付いたり、逆さになったりできる。足なんてこんなにも細いのに。
 もうひとつは、鳥の中でもっともクチバシが小さいことだ。とってもおちょぼ口。だから鳴き声も大きくない。ジュルジュルとかチュルルチュルルとか細い声で鳴く。

 生息地は、ユーラシア大陸の中ほど、暑くもなく寒くもないところが好みで、あまり高い山にはいない。日本では留鳥(渡りをしない鳥)で全国にいる。沖縄にはいないようだけど、佐渡島や対馬あたりにもいる。北海道には亜種のシマエナガというのがいて、こいつは頭が白色をしている。一度見てみたい。亜種は他に、チョウセンエナガ(対馬)、キュウシュウエナガ(四国、九州、隠岐)がいる。
 春から秋にかけては、低い山や樹林にいることが多いのであまり見かけない。冬場は街の方に下りてくるので目撃する回数が増える。この時期はエサが少ないのと、縄張りを作ってないこともあって、シジュウカラ、ヤマガラ、コゲラ、メジロなんかと群れを作って行動してることが多い。だから、冬にこの中のどれかを見かけると近くに他のやつらがいる可能性が高いと言える。
 エサは、樹木にいる昆虫やクモなどで、虫の幼虫なども食べる。たまに樹液なども飲むようだ。

 繁殖期は4~6月で、一夫一妻。巣作りが凝っていて、蜘蛛の糸と苔で袋状の巣を作り、外に苔を貼り付けてカモフラージュしたり、内側に他の鳥の羽を敷いて居心地よくしたりする。外観は木のコブのようで、探してもなかなか見つからないという。
 巣作りもオスメス共同で、卵を温めるのも一緒にやる。更にペアになれなかった他のエナガまでもが子育てを手伝ったりする、仲良しファミリーなのだ。
 卵は一回に7~12個とけっこう多い。そのわりに巣は小さくて、子供が生まれた巣の中は大混雑になっていると予想される。いろんな意味でエナガは家庭的な鳥だ。
 子供が育って子育てが終わると、またエナガ同士で寄り集まって、群れで過ごす。

 自分たちの仲間とも仲良しで、他の鳥たちとも仲良くできるエナガさん、次に生まれ変わって社宅暮らしになってもうまくやっていけそうだ。仲良し一家が、日曜日に庭でご近所さんと楽しそうにバーベキューをやってる姿が目に浮かぶ。
 私としては、そんなエナガから生まれ変わって人間になったご近所さんは歓迎したいとは思うけど、だからといって毎週ホームパーティーとかに招かれても困る。自分自身、エナガに生まれ変わったとしたら、うまくやっていけるかどうか自信が持てない。エナガは、なるもんじゃなく、見て写真を撮ってる方がいい。

どこかヘンだけど魅力的なマレーグマをよろしく

動物園(Zoo)
舌長マレーグマ

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f4.8, 1/100s(絞り優先)


 世界中にいるすべてのクマが、ヒグマやツキノワグマのように人を襲う凶暴な生き物だと思ったら間違いだ。すべてのサメが人食いじゃないように。クマは暖かい地方で暮らすやつほど体も小さく、性格もおとなしくなる。温暖で食べ物がたくさんあると穏やかな性格になるというのは、人間でいうところの金持ち喧嘩せずや、暖かい地方の方が性格がおおらかになるというのと相通ずるものがあるのかもしれない。
 実際、動物は寒いところにいるやつほど体が大きくなる傾向があるようで、これをベルグマンの法則というらしい。体が大きい方が保温効果が大きくて寒い土地で暮らしていくのに都合がいいのだという。公園の野良猫が妙に大きいのもそれに近い理由なのではないかと思う。

 写真のクマは、マレーグマといって、クマの中で一番小さいクマだ。体長は1メートルから1メートル40センチと小学生並み、体重は60キロ~80キロくらいだから、少年時代の若貴兄弟のようなものだろう。ただし、マレーグマの場合これ以上大きくなって兄弟げんかするようなことはない。
 名前の通り主にマレー半島あたりに生息している。分布としては、中国南部からミャンマー、タイ、スマトラ島、ボルネオ島あたりで、熱帯または亜熱帯の暑いところを好む。あんな暑いところでヒグマのように大きくてはやってられないから、これくらいの小ささでちょうどいいのだろう。毛もいたって短い。熱帯で毛皮なんか着ちゃいられない。
 全身黒色で、目から口のまわりにかけて明るい茶色をしている。胸にはツキノワグマのような黄色がかった三日月模様があるのが、チャームポイント。
 木登りが大好きで、そのために足の裏には毛がなくて、長くて大きな爪を持っている。足の裏はきれいな肌色をしていて、熊というよりチンパンジーみたいな足をしている。
 そしてなんといっても一番の特徴は写真にも写ってる長い舌だ。長っ! 実際はもっと長い。好物のハチミツやシロアリをなめとるためにこんな舌をしている。ハチの巣を壊してハチミツをなめたり、木の皮をむいてシロアリをぺろっとなめとる。この舌で顔をなめられたら気持ち悪いだろうなぁと思う。
 その他、果物や昆虫も食べる。割と雑食性。肉は食べない。動物園では、クマ用ビスケット(そんなものがあるんだ)、ソーセージ、果物、卵なんかをもらってるそうだ。
 行動は基本的に単独で、夜行性。昼間は木の上に枝を折って作った寝床で寝てることが多い。ただしそれは野生の話で、動物園のやつは昼間も落ち着きなくうろつきまわってる感じだった。
 暑い地方にいるので、当然冬ごもりはしない。
 一夫一妻で、たいてい2匹の子供を産む。妊娠期間が100日足らずなので、生まれてくる子供は300グラム程度と非常に小さい。
 性格はおとなしくて、現地ではペットとして飼ってる人もいるんだとか。

 ところでこのクマ、なんかおかしい。おかしいというか、違和感があるというか、面白いというか、クマらしくない。顔はなんだかアホの坂田みたいだし、立ち上がって両手を挙げた姿はちっちゃいおっさんみたいだ。キャッチボールの相手を頼んだらやってくれそうな気さえする。
 その妙なおかしさからこのマレーグマの隠れファンもけっこういるようだ。昔でいうところの南海ファンのようなものだろう。私も嫌いじゃない。本人は落ち込んでるわけではないのに、肩を叩いて、元気出していこうよ、と励ましたくなる魅力がある。
 そんなマレーグマが去年、一躍脚光を浴びることになった。山口県周南市にある徳山動物園のツヨシ君というマレーグマが、メスにエサを取られると、うわぁ~と悲しい叫びをあげながら頭を抱える仕草をするというんで、連日大賑わいになったのだった。CMにもなったそうだから見た人もいると思う。もうブームは去ったのかもしれないけど、マレーグマにスポットライトが当たる日が来ようとは、動物園関係者も、マレーグマ自身も思ってもみなかっただろう。
 東山動物園では、去年子供が生まれて、マーヤと名づけられたという。私が行ったときは姿が見えなかったから、部屋の中に入っていたのだろう。写真で見たら、確かに子供っぽくて、おっさんぽくはなかった。

 見に来るお客さんには、やせてるねこいつとか、なんかクマっぽくないとか、顔がなさけないとか、さんざんな言われようのマレーグマだけど、個人的にはオススメしたい動物ベスト5に入る。動物園に行った際には、ぜひマレーグマを見て、きみはおかしくなんかない、大丈夫、かわいいよ、と応援してやってください。
 でも、見れば見るほどヘンだよなぁ、マレーグマ。思うに、顔と体と手足のパーツの組み合わせを間違えてしまったんじゃないのか。顔の前半分が犬っぽくて、手はサル系、中途半端に足が長いような短いような体型はゾウみたいだ。それに加えて舌がこんなに長いってのは、やっぱりどこかで組み立てを間違えたように思えてならない。ふんっ、おいらはこれでいいのさっ、とマレーグマは自分の容姿に自信を持ってるのかな?

出会いたくないけど遠くから見たい野生のクマ

動物園(Zoo)
ヒグマと接近遭遇

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/90s(絞り優先)


 ヒグマと接近遭遇も、動物園のガラス越しとなると互いに緊張感はまるでない。もしこれが自然界だったら、この写真を撮った直後に私は絶命してるだろう。死んだふりも間に合わない。というか、死んだふりってクマには効かないらしいではないか。よっぽど満腹ならともかく、死んだふりで助かる確率は低いと思う。クマの目をじっと見つめて、ミリオネアのみのもんたに負けないくらい溜めて、クマが逃げたら正解! 襲ってきたら残念~、と言おう。ライフラインは残ってないのか?
 しかし、クマは本来それほど凶暴な動物ではない。人を見たら何が何でも襲うとかそういうことは決してない。警戒心がかなり強いし、向こうだって人間が怖いのだ。襲うときは子供を守るためとか理由があるわけで、襲われる原因は人間の方にもある。
 よくよく顔を見てみるとかわいい顔をしている。つぶらな目にパンダのような耳、舌は猫みたいだし。パンダがかわいいと思えるなら、クマだって同じように思えるはず。ムツゴロウさんなら野生のヒグマにだって抱きつけるだろう(できるだろうか?)。

 日本には2種類のクマがいる。本州にいるツキノワグマと北海道のヒグマだ。写真のクマはヒグマで、北海道にのみ生息している亜種で、正確にはエゾヒグマと呼ばれている。ヒグマとツキノワグマと比べると、ヒグマの方がかなり大きくて、凶暴さは互角、人家の方に下りて家畜や人を襲ったというニュースはツキノワグマの方だ(本州の場合)。
 元々はヒグマも本州にいたことが化石から分かっている。本州から姿を消したのは、地球の温暖化が関係してるのではないかと言われている。クマというと山の中というイメージが強いけど、ヒグマは草原のクマで、寒いところの方が好みらしい。かつては数万頭いたとされるヒグマも、明治以降北海道の開発が進み、近年は2,000~2,500頭くらいになっているそうだ。
 オスは200から350キロ、メスで100から150キロになり、日本の陸上生物の中では最大となる。
 食べ物は肉食オンリーというわけではなく、雑食で肉よりも植物を食べる方が圧倒的に多い。毎日鹿や鮭をとって食べてるわけではない。
 北海道事情にあわせて、11月から4月くらいまで冬ごもりをする。それぞれ単独で。冬眠のように完全に眠ってしまうわけではなく、浅い眠りの中にあってときどき起きたりもするらしい。メスはその間、2年に1度くらい、1頭から3頭の子供を産む。冬ごもりの間は何も食べない。だから、春目覚めたばかりのクマは意外と弱い。このときに襲われた場合は助かる可能性がけっこうあるそうだ。夏から秋にかけてのクマは強すぎて勝ち目がない。5月くらいに子グマを連れている母グマはものすごく凶暴なので近づかないのが身のためだ。

 クマに出会ったときはどうすればいいのか、というのは昔からいろんなことが言われてきた。しかし絶対的な正解はないというのが実情のようだ。やってはいけないこととしては、まず大きな声を出したり音を鳴らせたりしてはいけないというのがある。脅すつもりがかえって興奮させてしまう可能性が高い。背中を見せて逃げるのはもっとよくない。敵に背を向けて逃げるのか臆病者め、とかそういう問題じゃなく、野生は基本的に逃げるものを追いかける習性があるから。クマはいざとなったらものすごく速いし、泳ぎも上手で、若いヒグマは木登りもできるので木に登るのも危険だ。食べ物を投げ与えるといいとも言うけど、これはかえってなついてしまう恐れがある。もっとよこせと来たら逃げ切れない。
 結局どうしたらいいのか私にも分からない。とりあえず、みのもんた戦法でいくしかないだろうと個人的には思う。ダメなら、輪島の蛙跳びを試してみたい。ヒグマに会う確率は北海道へ行かない限りないとしても、山歩きはするからツキノワグマに出会う確率はゼロとは言えない。一生出会わなくて済むものならそう願いたいけど、一方では遠くからなら見てみたいという思いもある。そのときはきっと、恐れよりもまず感動が先に来るんじゃないだろうか。動物園で見るクマと野生のクマは、テレビで見るタレントと実物のタレント以上の差があるに違いない。

 21世紀、これだけ文明も環境破壊も進んだこの日本でも、まだこれほど大きな野生の動物が生きているというのは、すごく嬉しいことだ。今でこそ人は大きな顔をしてるけど、本来は動物と同じように地球に間借りしてる生き物に過ぎなくて、立場の違いはなかったはずだ。それを思うと申し訳ない気持ちになると同時に、それでも生き延びてくれてありがとうとも思う。ようやく人間も地球環境ということに目覚めた今、向こう100年が過去100年のようになることはないと信じたい。
 人間は環境の一部であり、人もまた環境の変化にあわせて生きていくしかないか弱き動物でもある。温暖化が進んでも、氷河期になっても、絶滅の危機にさらされる。繁栄も永遠ではない。今の生態系がどこまで続くかは分からない。ただ、今はまだ絶望するにはあたらない。たくさんの絶滅した生き物に思いを馳せつつも、多くの生き物が共に暮らす今の地球が私は好きだ。生き物たちの大切さに気づいてなかったかつての時代よりも。

地味な8番バッターのようなナズナは案外寂しがり屋

花/植物(Flower/plant)
逆光のナズナ

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f6.7, 1/500s(絞り優先)


 初春の野草の中で、もっとも地味な野草と言えるであろうナズナ。ハコベといい勝負で引き分けといったところだ。しかし、これでも春の七草のひとつであるから侮れない。ナズナと聞いてもピンとこない人も、ぺんぺん草と言えばこれがそうだったかと思い出すかもしれない。
 かつては地味ながらちびっこの友だったナズナも、近年あまりかえりみられることがなくなった。春の七草を自分で採って食べる人もめったにいないだろうし、学校帰りの小学生もこんなものを振り回して遊んだりしない。せいぜい野草好きな人間に写真に撮られるくらいのものだろう。冬野菜を育ててる畑なんかに咲いてしまった日には、雑草として引っこ抜かれてしまう。
 ただ、そうやって人間の関心が低くなったことでナズナとしては暮らしやすくなったとも言える。そこらの道ばたにも普通に咲いてるし、河原なんかでは白い絨毯に見えるくらい咲いてるところもある。春の暖かい風に吹かれながら、両手を広げて嬉しそうに揺れていた。

 原産は西アジアで、日本にはずっと昔、麦と一緒にくっついて入ってきたと言われている。今では北海道から沖縄まで、どこでも咲いてるありふれた野草となった。ただ、民家の近くが好きなようで、人里離れた場所には意外に咲いてなかったりする。人の手の入らない荒れ地なんかに咲いてるからどこでも生きていけるように思いがちだけど、案外寂しがり屋だったりするんだろうか。
 漢字で書くと、薺。読めないし、書けない。
 名前の由来は、夏になると無くなるから夏無、それが転じてナズナとなったとも、撫でたいくらいかわいい菜っ葉で撫菜、それがなまってナズナになったとも言われる。あるいは、切り刻むという意味の「ナズ」に菜が付いてナズナになったという説や、朝鮮ではナジといっていて、それをナジの菜と呼び、やがてナズナになったという説などもあるようだ。
 別名のぺんぺん草は、花の下につくハート型の果実が三味線のバチに似ていて、三味線を弾くペンペンという音から来ているというが一般的な説明となっている。実をさかさにして振るとペンペンという音がするから、というのもある。
 英名のShepherd's purse(羊飼いの財布)も、実の形から来ているのだろう。
 中国では古くから薬として使われていたようで、日本で七草がゆとして食べられるようになったのは室町時代あたりからだそうだ。若葉を熱湯でゆでて刻んで食べる。

 昔はよく、「ぺんぺん草も生えない」という言い回しを使ったものだけど、最近そういえばまったく聞かなくなった。荒れ地でさえ生えるナズナも生えないくらい何も残ってないということをたとえてそう言う。アイツの通ったあとはぺんぺん草も生えない、のように。
 もっと昔は、おまえの家にぺんぺん草を生やしてやる、という脅し文句として使われていたそうだ。それくらい荒れ果てさせてやるという意味だろう。しかし、今これを使っても、相手はキョトンとしてしまって効果はまったくないと思われる。使うときは多少なりとも教養のありそうなちょい悪オヤジに限定しておいた方がよさそうだ。
 花言葉は、「あなたにすべてお任せします」。もし、ナズナの小さな花束をプレゼントされたら、そういう意味なので受け取るときは慎重に。全面的にお任せされても困ってしまうので、私は受け取るのはやめておこう。

 一見するとタネツケバナに似ているので間違えやすい。ポイントは広げた両手の先。ウチワのようなものを持っていたらナズナで、何も持ってない棒状だったらタネツケバナと覚えておけば間違いない。
 ふと思ったけど、ナズナって東北弁っぽい。夏だなや~(なづだなや~)、みたいな響きを感じる。
 こんな地味なナズナだけど、今後ともよろしくお願いします、とナズナに代わって私からのお願いでした。至近距離で見ると白くてけっこうかわいい花なのです。ちょっとなまってますけど(なまってない)。

ノルウェイの森をさまよいながら風の歌を聴いた

料理(Cooking)
ノルウェー風サンデー料理

Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/30s(絞り優先)


 強風で窓がガタガタ揺れる日曜日の夕飯どき、ノルウェーのリダーチーズを使った料理を食べながら私は、高く切り立つフィヨルドに吹く風を感じていた。ノルウェーなんて行ったこともないくせに。
 本来今日はギリシャ料理の予定だった。しかし、ダイエーにギリシャのフェタチーズは売っていなかった。ダイエーには荷が重かったか。代わりにどこか外国のチーズで安いものはないかと探して見つけたのがノルウェーのリダーチーズだった。ということで、今日はノルウェー料理となった。
 調べてみるとノルウェー料理のレシピは思いの外少ない。これという代表的な料理が見当たらず、全体的な料理の傾向が見えてこない。ノルウェー産のサーモンは有名だからこれは使おう。ニシンもよく獲れて食べてるらしいけど、これは私が食べたくないからパス。肉はラム肉をよく食べるようだけど、これは私はダメ。他にはこれといったものがない。肉だんごとか、サラダとかはあるのだけど、主食にはならない。
 一体ノルウェー人は普段何を食べてるんだ!? 毎食バイキングでもあるまいに。炭水化物も何で摂ってるんだろう。ジャガイモあたりだろうか? ご飯はもちろん食べないし、パスタも食べてる感じがない。パンなんだろうか。
 結局いまひとつイメージが掴めないまま、想像でノルウェー料理を作ることになった。でも、行ったこともないし、ノルウェー料理を見たこともないから、正しいノルウェー料理にはなってないと思う。もしかしたら、外国人が作った映画の中の日本料理のようにヘンテコになってるかもしれない。ノルウェー人の人がこれを読んでいたら(それはないだろう!)申し訳ないですとあらかじめあやまっておこう。

 ノルウェー人がマカロニを食べてるとも思えなかったけど、ご飯に代わるものとしてマカロニ・パスタにした。少しでもノルウェーに近づけようとシーフードで。
 ニンニク、タマネギをオリーブオイルで炒めて、シーフードを投入して、白ワインを入れて更に炒める。塩コショウで味を調えたら、湯がいたマカロニと、手作りしたホワイトクリームを入れて絡める。最後に刻んだパスタをまぶして完成。シーフードから出たエキスでけっこう海っぽかった。ノルウェー料理は塩辛いって話もあるので、意外とノルウェーっぽかったかも?
 スープというのか、煮込みというのか、これが一番ノルウェーから遠かった気がする。味付けの段階でしょう油を使ってしまってはもはやノルウェー料理とは呼べない。味は普通に美味しかったけど。
 ジャガイモとニンジンを下ゆでして、しょう油と酒に浸けておいた豚肉を軽くゆでて、あとは白ワイン、チキンスープの素、みりん、しょう油、塩コショウなどと、ゆで汁を少し加えて、その後ブロッコリー、アスパラ、サーモンなどを追加で入れてしばらく煮込めば出来上がり。中華でも和食でもフランスでもイタリアでもない不思議なスープに仕上がった。でもノルウェー風ではないだろう。ラム肉を使えばもう少しそれっぽくなったかもしれない。
 奥のおかず、これが今回一番出来が良かった。というよりも、これまで自分で作ったすべての料理の中でベストな気がする。
 ゆでたジャガイモを輪切りにして、タマネギも輪切り、サーモンの切り身は薄切りにして塩コショウ、トマトも輪切りにして、これをたっぷりのオリーブオイルとバターで焼くところから始める。中弱火くらい。途中で白ワイン、塩、黒コショウを振りかけ、いい感じに色が付いてきたら、ジャガイモ、タマネギ、サーモン、トマト、リダーチーズの順に重ねて、パン粉を振りかけ、オーブントースターで5分焼く。するとチーズがとろりとろけて、パン粉が香ばしくなり、もう見るからに美味しそうだ。
 これも想像上のノルウェー料理なので実際にノルウェーにあるものかどうかは分からない。ただ、サーモンとリダーチーズを使っているから似たようなものはあるだろう。ノルウェー人に出しても違和感はないんじゃないかと思う。これはリダーチーズがすごく効いている。独特の匂いが少し気になるけど、味はとてもフルーティーでまろやか、舌触りもとってもよくて美味しいチーズだ。生で食べてもいいけど、温めることで風味が増して更に美味しくなる。
 ノルウェー風ジャガサーモンチーズと名づけて、私の持ち料理にしよう。これはぜひオススメしたいし、人に作ってあげたくなる一品だ。

 ノルウェー料理としての完成度は作って食べ終えた今でもまだ未知数のままだけど、味という点では大満足だった。とりあえずこのままノルウェーまで持っていって、突撃私の晩ご飯ノルウェー編を敢行したいくらいの気分だ。でもノルウェーは遠すぎるので道行くノルウェー人でまずは確かめたい。ノルウェー人って、どこに行けばいるんだろう? すれ違ったとしても見分けがつかんっ!
 それはともかくとして、だいぶ自分の頭で料理を作れるようになってきて、一歩前進したかなと思う。そろそろ趣味はなんですかと訊かれたとき、料理ですと答えても満更ウソではないところまでは来た。
 今後もまだまだ外国シリーズは続けていきたい。今回のように何かひとつの食材からその国に向かっていくというのも面白い試みだ。チーズというのはいいとっかかりになる。ダイエーにもまだ他にデンマークのチーズとかも置いてあったから、そのあたりもいってみたい。ギリシャのフェタチーズもどこかで手に入れなくては。
 遠い国ノルウェーがちょっとだけ近づいた気がした日曜日の夜だった。

のんきに昼寝しながらカリフォルニアアシカが見る夢は?

動物園(Zoo)
油断するカリフォルニアアシカ

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f6.7, 1/470s(絞り優先)


 お昼寝中のカリフォルニアアシカを激写。決して動物園を訪れてる女の人を隠し撮りしたかったわけではない。アシカの平和な寝顔に心が和む。
 野生のアシカはけっこう警戒心が強いというのに、動物園では完全に油断している。人の話し声がしようが、写真を撮られようが、子供が騒いでいようが、少し離れた上の方でホッキョクグマが吠えていようがおかまいなし。食べ物をとらなくていいとなると、動物も人間もだらけてしまうものだというのがこの顔を見るとよく分かる。野生の動物がギラギラしてるのは腹が減ってイラついてるというのが80パーセントくらいなのかもしれない。

 カリフォルニアアシカは、名前の通り西海岸のカリフォルニア一帯に暮らしている。といっても、サンフランシスコやロサンゼルスのビーチで観光客と一緒に寝そべってるわけではない。もう少し南のメキシコに近いあたりだ。
 地上では短いヒレの手足で歩きにくそうにしてるけど、いったん海に入ってしまえば時速40キロのスピードで泳ぐことが出来る。流線形の体はダテじゃない。
 好物はタコ、イカ、エビで、食欲は旺盛だ。魚も食べる。あげたらあげただけ食べてしまう。回転寿司に連れていったら、店中のネタを全部食べてしまってこちらが破産してしまう恐れがあるので気をつけたい。
 体長は、オスで2メートル半、メスで2メートルくらい、体重はオスが400キロ近く、メスが半分以下の100キロちょっとと、大きさにけっこう差がある。毛並みは水に濡れてると黒っぽいけど、本来は写真のように茶色をしている。メスはやや色が薄い。写真のはメスだと思うけど確信はない。
 一年の大半をオスグループとメスグループに別れて過ごし、5月から6月になると繁殖のためハーレムが作られる。1頭のオスと数頭から十数頭のメスで構成される。嬉しいようなつらいような。私はアシカのオスになる自信がない。
 あぶれたオスはどうしてるかというと、ハーレムのまわりをうろついてオスに追い払われたり、メスを誘惑したり、ときにはメスを強奪したりするという。いずれにしてもアシカのオスは大変そうだ。
 妊娠期間は約1年で、一度の出産で1頭生まれる。授乳は10ヶ月。そう、アシカはほ乳類だったのだ。忘れてた。

 ところで、アシカとアザラシとオットセイとセイウチとトドの区別があなたはつくだろうか? 私は無理。まずアシカとアザラシの違いさえはっきり分かってない。で、少し勉強してみた。
 まずアシカとアザラシの違いは、四つ足で歩くことができるのがアシカで、アザラシは手足が短くて腹ばいでしか進めないというのがある。ゴマちゃんで有名なゴマフアザラシの映像を思い出してみると、確かにゴマちゃんは陸にあがるときもモゾモゾと腹ばいだった。
 他には、写真のようにアシカには耳たぶがついているのに対してアザラシは耳の穴が空いてるだけというのもある。そのポイントを忘れなければ区別できるだろう。
 よく水族館なんで芸をしてるのはアシカだ。アザラシもするそうだけど、前の手が上手く使えるアシカの方が多いはず。
 次にアシカとオットセイの区別だけど、これが案外難しい。アシカの方が顔が大きいと言われても、並んでるわけじゃないから分からない。オットセイの方がシャープな顔をしてるというんだけど、どうだったろう。
 セイウチは牙があって、トドはかなり巨大なので、これは分かりそうな気がする。
 オットセイとアシカの違いについては課題が残った。オットセイエキスを飲んで出直すか(そんなもん飲んでどうするつもりだ?)。

 かつて日本の海にも、ニホンアシカが普通に暮らしている時代があった。九州から北海道まで、太平洋側でも日本海側でも、一年中いたという。残念なことに、それはもう絶滅してしまったと言われている。20世紀の初頭、最後まで残っていたのが島根県だったそうだけど、その姿はもうない。
 動物園にいる動物は、どれも遠い外国から来た珍しい生き物といったイメージがある。でもそういうやつらばかりではない。ほんの数十年前まで日本でも当たり前にいたやつもいる。
 今はもういなくなってしまった動物たちをかわいそうだと思うのは人間のエゴだろうか。だとしても、彼らに思いを馳せることは悪いことではないと私は思う。せめて人の記憶の中で生きられますようにと願う。
 そんな人間の感傷など知るよしもなく、今日もカリフォルニアアシカはのんきに昼寝をしながら西海岸の夢でも見てるのかな。

カモだってフラミンゴだって生きているんだ友達なんだ

動物園(Zoo)
混在カモたち

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/100s(絞り優先)


 動物園にいるのは、飼育されている動物だけじゃない。呼ばれてもいないのに勝手にやって来ている野鳥もいる。わりと大きな顔をして、エサなんかも横取りしたりしてる。ハシビロガモくんも、ホシハジロさんも、カルガモっちも、みんな呼んでないですヨ。と、チリーフラミンゴはちょっと不満に思ってるかもしれない。すると、なんでおまえは逃げないんだ、ガァーガァーとハシビロくんは言うだろう。ホント、なんで逃げないんだろうと私も思う。網も囲いもないのに。たぶん、フラミンゴにとってここは暮らしやすいところなのだろう。オレのうちに無断で入ってくるんじゃねえ、おめえに食わせるタンメンはねえ、などという小競り合いが日々繰り返されているのかもしれない。見たところモメてる様子はなかったけど。
 しかし、自然界では絶対見られない光景だな、これ。

 首が深緑なのがハシビロガモ。一見マガモに似てるけど、体のサイズに似合わない広くて大きなクチバシで見分けがつく。名前はそこから来ている。英名もショベラー(shoveler)だ。
 メスは他のカモ同様、地味な褐色だけど、やはりクチバシが広くて大きいので分かる。
 夏場は繁殖のためにユーラシア大陸や北アメリカ大陸のやや北よりのところで過ごし、秋になると南に下ってくる。そのときはオスもメスそっくりの地味な体をしているのだけど、目だけが黄色いので見分けがつきやすい。メスは黒い目をしている。
 そんなに珍しいカモではないとはいえ、どこにでもここにでもいるというわけでもない。数もさほど多くない。
 くるくる円を描いてるカモがいたら、それはハシビロガモだ。好物のプランクトンを集めるために水面に渦を作って集めてから一気に水ごと飲み込む。クチバシの合わせ目にギザギザの歯のようなものがついていて、そこでろ過して動物性のプランクトンをいただく。他のカモが食べないようなものを狙うためのあのクチバシというわけだ。昆虫や草の種なんかを食べることもあるけど、あまり好きではないらしい。あくまでも狙いはプランクトン。

 カルガモについては前に書いたので飛ばして、奥の頭の赤茶色いのがホシハジロ。漢字で書くと星羽白。羽白は分かるけど星はなんだろう? 背中の黒い斑が星みたい、と図鑑には書いてあるけど、それらしいものは見当たらない。
 同じように頭が赤茶色のヒドリガモ(これも前に書いた)とよく似てるから間違うことがある。ヒドリは頭の中央にモヒカンのように白い線が入ってるので区別できる。あと、このホシハジロは目玉が赤色をしてるのでそこを見たら分かる。秋にメスと区別するときもそこを見る。メスは褐色の目玉をしてる。
 こいつらはヨーロッパの真ん中から北あたりで繁殖して、秋になると日本などの南に飛んできて冬を過ごす。本来は海ガモに分類されるもので潜水が得意なのでこんな浅い池なんかには来ないはずだけど、動物園はメシがあるから来てるのだろう。ただし、海ガモでありながら海に行くことはあまりないらしい。キンクロハジロとよく一緒にいる。
 潜水が得意で最大3メートルくらい潜れる。顔を突っ込んで尻だけ半分出して逆立ちしてるオナガガモなどは淡水系のカモに分類される。
 メシは雑食。植物の葉や根や種から、水生昆虫、小魚、軟体動物、甲殻類、両生類等など、そこらにあるものは何でも食べる。
 歩きは苦手なので、あまり水からあがってるところは見かけない。

 最後はフラミンゴについて。フラミンゴと聞いてつい反射的に、背番号1のすごい奴が相手~♪と歌い出してしまったあなたは、きっと30代以上。アイドル歌手の歌詞に登場してしまうプロ野球選手って、考えたらすごいな。なんのことか分からない若手の人は、お父さん、お母さんに訊いてください。
 フラミンゴというのは、フラミンゴ目に属する鳥の総称で、一種類の鳥を指すわけじゃない。ベニイロフラミンゴ、ヨーロッパフラミンゴの2亜種からなるオオフラミンゴや、コフラミンゴ、チリーフラミンゴなどがいる。写真のこいつはチリーフラミンゴだ。灰色の足とピンクの関節が目印。チリ、ペルー、アルゼンチンなどの塩水湖やラグーンで暮らしている。
 とにかく集団行動が大好きな彼ら。ときに数百万匹の群れになるという。孤独が大好きなサギとは大違いだ。運動部向きの性格と言えよう。
 クチバシが、KOされて鼻の骨が折れたボクサーのように曲がっている。一体どうしたんだ!? と驚くかもしれないけどこれで正常な状態だ。たぶん、こうなっている方が水中のプランクトンを食べるのに都合がいいんだろう。
 フラミンゴがピンク色をしてるのは、生活してる湖が塩水で、そこの海草類にカロチンが大量に含まれているからだ。元々ピンクの羽をしてるわけではない。だから、動物園で普通のエサを与えていると体は白くなっていく。でもそれじゃあフラミンゴらしくないので、エサに着色料を混ぜてピンクを保っているようだ。ある意味カラーヒヨコ的?
 野生では、子育てをするとき、ヒナにフラミンゴミルクと呼ばれる赤色の母乳のような液体を口から出して育てる。すると、だんだん体が白くなっていくという。ちょっと感動的な話だけど、人間のお母さんが白い母乳を赤ちゃんにあげているとだんだん黒くなっていたら、それはイヤだなと思う。
 卵は通常1個。ストップ・ザ・少子化! と心配するなかれ。寿命は40年から50年! 長生き! 元々数が多い上に、これといった天敵もいないのに、子だくさんでは困ってしまうから、1個で充分。

 ひとくちに鳥といっても世界には実にいろんな鳥がいるわけで、この無駄こそ地球の一番いいところだと私は思う。花も、動物も、昆虫も、魚も。そして、人間も。どう考えてもこんなに種類はいらないと思うけど、現にいるから面白い。
 動物園というのは、そういうことをあらためて思い起こさせてくれる場所でもある。見るべきものは檻の中の珍しい動物に限らない。野生の鳥もいるし、いろんな人間模様も垣間見える。
 遠い将来、動物の鳴き声翻訳機というものが開発されるかもしれない。犬用、猫用の出来はもうひとつだったみたいだけど、まったく不可能な技術ではない気がする。動物園の動物たちは何を思い、何を言ってるんだろう。そんな翻訳機が発明されるまで長生きしたいと思う。
 でも、チキショー、ここから出しやがれ! もっと旨いメシ食わせ! などの罵詈雑言ばかりだということが分かって翻訳機の持ち込み禁止、なんてことになったりして。

ジャぱん1000号まで続いて欲しかった

食べ物(Food)
ジャぱんじゃよ

Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/15s(絞り優先)


 毎週楽しみに観ていたアニメ「焼きたて!!ジャぱん」が放送終了になってしまった。なんでじゃよ~と泣きたい気分。でも、「焼きたて!!ジャぱん」が終わったことでホントに泣いてる大人はイヤだ。私もぐっと涙をこらえた。
 その代わりということでもないのだけど、少し前ローソンへ行ったとき、ジャぱんが売ってるのを発見して初めて買ってみた。これはアニメの中で出てきたパンを、ヤマザキパンが作ってローソンやジャスコなどで販売している製品だ。けっこう人気らしい。ついでに説明すると、「焼きたて!!ジャぱん」というのは、「少年サンデー」で連載しているコミックをアニメ化したもので、パンの発酵に適した暖かい手(太陽の手)を持つパン作りの天才少年が多くのライバルたちと出会う中で次々と新しいオリジナルのパンを作っていく、というストーリーです。大人でも充分楽しめるので、再放送したら観てみてください。

 まずはビワ&リンゴデニッシュの方からいってみる(といっても、私は少食なので一日に2個も食べられず日を改めている)。ムム! こ、これは!? 思わず、祇園精舎の鐘の声~諸行無常の響きあり~沙羅双樹の花の色~盛者必衰の理をあらはす~、と琵琶をかき鳴らしながら「平家物語」をもの悲しく語ってしまうほどの美味しさ……なのか? それほどでもない? うーむ、黒柳のおっちゃんのようなリアクションは取れないぞ。アフロヘアーにして出直すべきか?
 でも決してまずくはない。ビワの味というのは新鮮で斬新だ。今まで味わったことのない味だと思う。パンもやわらかくてしっとりしていて、並みの菓子パンより美味しい。
 続いてマヨネーズ焼きそば。よろしいんじゃないでしょうか。何故か、体格のいいおばさま料理家(名前が思い出せない)のような口調になってしまう私。カラシマヨネーズなのか、ちょっとピリ辛のマヨネーズと焼きそばのマッチングがよい感じです。おいしゅうございました。 いや、実際、これは今まで食べた焼きそばパンの中で一番美味しかった。やっぱりパンがやわらかくて口溶けがいいのが効いている。焼きそばパンというと、どうしてもパンがパサパサしてて飲み物なしに飲み込めないような印象があったんだけど、これはパンだけでも食べられた。うん、気に入った。これはまた買ってもいい。

 今回このふたつのパンに関しては満足感は高かった。巷の評判はパンによっても人によってもバラツキがあるようだけど、個人的にはアニメを知らない人にも充分おすすめできると思う。ただそれは、他の菓子パンとの比較での話だ。普通に考えたら、こだわりの菓子職人が手作りしたパンと、ヤマザキパンが大量生産したパンでは、手作りの方が美味しいに決まっているわけで、それと比較するのは酷というもの。もし、アニメと同じ材料、同じ作り方で職人さんが手作りしたなら、それはきっと美味しいパンに仕上がることだろう。
 他にも知らない間にたくさんのジャぱんが出ていた。麻の実入りドーナツ、カステラ風蒸しパン、竹炭入りクロワッサン、黒ごまフランス、カレー&ソ-セージ、デニッシュコロネ、フランスサンド、米粉入りピザパン、マンゴーカレーパン、クッキーメロンパン、ミドリ亀パン、ごはんですよ! トーストなどなど。
 名前からして美味しそうなものから、キワモノっぽいものまで、どれも興味深い。できることなら全部食べてみたいけど、たぶんもう作られてないものが多いのだろう。このシリーズに気づくのが遅かった。テレビ放映も終わってしまった今、これはどうなってしまうんだろう。このまま消えてしまうんだろうか。なるべく早いうちに見つけたら買っておいた方がよさそうだ。
 値段は平均130円から150円と、やや高め。個別生産だからある程度は仕方ないし、ファンアイテム的な意味合いもあって、これくらいなら許容範囲。

 菓子パンは物心ついてからこれまで、ほとんど毎日のように食べてきた。少食で食べることへのこだわりが弱い私にとって、菓子パンは手軽な食事として三食の中の一食は菓子パンだった。そのわりには菓子パンに対する思い入れは弱い。ご飯と同じくらい食べてるのにもかかわらず。これではいけないということに最近思い始めて、このジャぱんがその思いを強くしてくれた。これからはもっとちゃんと自分の意志で選んで、好きな菓子パンを積極的に食べていくことにしよう。
 そこではたと思う、私が一番好きな菓子パンってなんだろう? と。
 そんなこと考えたこともなかった。好きな傾向とそうじゃないものはある。基本的にドーナツ系が好きで、ロールパンやコロネはあまり好きじゃない。中に何も入ってないものも損した気分になるから嫌だ。たぶん、チョコがまぶしてある揚げドーナツが一番好きなんだろうけど、そればかりだと飽きるし胸焼けしそう。たまに古典的なクリームパンなどが食べたくなる。
 今はまだ、好きな菓子パンに関する自覚が決定的に足りない。一番好きな菓子パンを見つけるというのも今後の課題になる。
 まずはローソンを回って、他のジャぱんを買って食べてみるところから再出発しよう。もしかしたら、あの世に行けるくらい美味しい菓子パンと出会えるかもしれない。みんなもジャぱんを見つけたら、買って食べるんじゃよ。もし、あなたがコンビニの店員で、新発売のジャぱんを見つけたら、ぜひこう言って欲しい。
 なんやて!? 新製品、出たんかいな! と。

登ってよし離れてよしの犬山城は高所恐怖症泣かせ

城(Castle)
夕焼け犬山城

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f6.7, 1/430s(絞り優先)


 木曽川を見下ろす小高い崖の上に建つ犬山城は、戦国時代から今に至るまで、昇る朝日と沈む夕陽を見続けてきた。犬山に住んでいる人にとってはそこにあって当たり前でも、年に一度か二度遠くから見るだけの私にとっては、何度見ても、ああ、いいお城だなぁと思うのだった。広々としてゆったりと流れる木曽川と、その向こうの姿のいい伊木山、断崖の上の城と、ロケーションもまた素晴らしい。
 そんな犬山城に今日始めて入った。閉まる30分前で焦りつつも天守閣も登ったり、天守の内部も一通り見て写真も撮って、しっかり堪能してきた。なんといっても国宝だけに本物感が違う(国宝の城は、犬山、姫路、松本、彦根の四つ)。城の規模としては小さいものだけど、急な階段や、板張りの廊下、古い柱、大部分が木造りと、戦国野郎や戦国少女にはたまらんものがある(私はそこまでディープではない)。戦国の空気感を持った城は、今となってはとても貴重なものだ。短い時間ではあったけど、満足感は強かった。

 犬山城が現在の位置に建てられたのは、1469年と言われている。斯波義郷の家臣、織田広近がこの地に築いたのが始まりだ。その後、1537年に本丸を現在のところに移築したのが織田信長の叔父織田信康だった。当時このあたりの地は尾張と美濃の斎藤氏が争っており、そのための備えという意味合いが強かったのだろう。天守閣に登ってみると、背後は木曽川と高い崖に守られ、周囲一帯が非常に良く見渡せる位置に建てられていることが分かる。
 その後の犬山城には様々な出来事が降りかかる。信長に攻め落とされたり、小牧長久手の合戦の時に秀吉の本陣になったりもした。城主が戦死したりして何代か代替わりし、関ヶ原の合戦では西軍について負けて家康のものとなり、その家来の成瀬家の居城となってしばらくは落ち着いた。しかし、明治時代になって廃藩置県で廃城、天守を除く大部分が解体されてしまう。それに追い打ちをかけたのが明治24年の濃尾地震。いよいよ城も古くなってもう取り壊してしまうかって話になった。しかし、そこでちょっと待ったと手を挙げたのがかつての城主だった成瀬家家臣の子孫たちだ。修理、保持するという約束で無償で譲り受け、犬山市民の寄付などで補修が行われて存続することとなった。なので、2004年までは日本で唯一の個人所有の城として有名だった(その後さすがに支えきれなくなって財団法人化された)。
 昭和36年から4年かけて解体修理が行われて現在に至っている。

 犬山城は別名、白帝城と呼ばれている。三国志の劉備が最期を迎えた白帝城にちなんで、江戸時代の儒者荻生徂徠が名づけた。白帝城が長江のほとりに建っているということもあったのだろう(本家の白帝城の方は、現在ダムの中で孤島のような姿になってるらしい)。
 犬山城は、天守閣に登っても感じるものが多く、離れたところから見るのがまたいい。もしこれから行くなら、絶対両方を味わって欲しいと思う。特に夕暮れ時がオススメだ。北東の木曽川沿いを歩きながらもいいし、川の対岸からも違った味わいがある。
 春はソメイヨシノ、夏は鵜飼いと花火、秋は十五夜の月とライトアップ、冬には雪景色、どの季節もそれぞれの楽しみがある。
 ひとつ注意事項があるとすれば、天守閣の外側の廊下にはヒザあたりまでの木枠しかなくて、高所恐怖症の人はかなり怖い思いをするであろうことだ。雰囲気を壊す無粋な金網やネットなどというものはない。おっちょこちょいでお調子者の人がそこではしゃいだりすると落っこちる危険があるので、くれぐれも気をつけてください。怖いな、危ないなと思ったときは、四つんばい、または腹ばいになるのがコツです。

ライの魂は今、故郷のサバンナを駆けているのかな

動物園(Zoo)
東山のライオンさん森繁似

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/430s(絞り優先)


 去年の今日3月14日、東山動物園のオスライオンのライが老衰で死んだ。推定25歳、人間でいうと80歳くらいにあたるというから、まずまず生きた方と言えるだろうか。その前の月に堀に落ちて動けなくなっていたというニュースがあったあとだったけにそれが原因かとも思ったらそうでもなかったらしい。一時は元気になっていたというから。もしかしたら自分の最期を感じて、気持ちが遠い故郷に戻っていって足を踏み外したのかもしれない。
 写真はメスのナン10歳。顔がなんとなく森繁久弥に似ている。車いすで人の葬式に必ず現れてしまいそうだ。人間でいうとまだ40前だというのに、なんとなく口元のしまりのなさや腹のたるみが気になる。元気にうろつきまわっていて足取りは軽かったけど。
 現在東山動物園にいるライオンは3頭。前からいる14歳メスライオンのオンと、去年旭山動物園からやってきた4歳のオスのサンと、このナンと。ただ、メス同士はどうにも仲が悪くて一緒にできないのと、オスは若すぎてバランスが悪いのとで、みんなが集まっているところは見られなかった。子供ができるといいんだけど。

 かつてライオンは地球上の広い範囲に暮らしていた。アフリカ、ヨーロッパ、中近東、インドまで。現在はアフリカとインドの一部にしかない。人間との共存が難しい動物だから仕方がないとはいえ残念だ。
 ライオンといってもいくつかの亜種がいる(区別は研究者によっても様々らしいけど)。インド・ライオン、アビシニア・ライオン、セネガル・ライオン、ソマリ・ライオン、マサイ・ライオン、カタンガ・ライオン、カラハリ・ライオン、クルーガー・ライオン、バーバリ・ライオン、ケープ・ライオン。
 生息地やたてがみ、頭骨で区別されるらしいけど、一般的には区別は難しいと思う。アフリカライオンとインドライオンの2系統がいるというくらいは知っておいてもいいかもしれない。
 中にはエジプトのバーバリ・ライオンのように20世紀に入ってから絶滅したものもいる。
 大きさは種によってバラツキがあり、体長1.5~3メートルくらい、体重は150~250キロくらいで、動物園のものはやや肥満気味で400キロを超えてるやつもいる。
 野生のライオンは狩りがあまり上手くないから、慢性的におなかをすかせていてあまり肉付きはよくない。めったに獲れない草食獣だけではおなかがもたないから、は虫類や、昆虫なども食べてる。他の動物が残したものも食べる。
 狩りをするのはメスの役目で、オスはたまに手伝うくらい。あまり働き者のオスライオンというのもイメージが壊れるので、ゆったり構えていて何もしないくらいでちょうどいい。人間のオスがこんなに弱くなった今だからこそ、ライオンのオスくらいは威張っていて欲しい。食べ残しのゴミ捨てをやらされて、地面に埋めてる様子などはあまり見たくない。

 野生のライオンは通常、オス1頭(もしくは2頭)、メス数頭と子供たちという単位で行動している。それはプライドと呼ばれ、その中ではきちんとした秩序と平和が保たれている。
 子供は2歳くらいになると群れから追い出される。オスが増えると何かと問題が出てくるから。追い出されたオスはどうするかというと、1匹または兄弟たちと数年間放浪したあと、別の群れの乗っ取りに出る。乗っ取れなかったらまた放浪を続け、乗っ取ることが出来ればその群れの新しいボスとなる。乗っ取られた老いたライオンは、体力気力が残っていれば別の群れに挑みかかり、それが無理なら引退となる。ライオンのオスも強くなければ生きていけないという意味ではとても厳しい。
 新しいボスが行う子殺しは有名な話だ。前のオスとの間に生まれた子供を次々に全部殺していくのは残酷な話だけど、子供がいる間はメスが発情せずに自分の子孫を残せないから必然なのだ。

 ライオンは百獣の王と呼ばれるだけあって、確かに強い。自然界でトラと決闘するような場面はほとんどなかっただろうけど、人間がやってみたところ、やはりライオンが勝ったという話もある。サーカスなんかでも似たようなことがあったらしい。それなのに何故松島とも子をしとめそこなかったのか? いや、助かってよかったんだけど。
 サーカスといえば、かつてはトラとライオンをかけあわせた子供を作る試みも行われていたようだ。何例かは成功したようだけど、確率はかなり低かったらしい。日本ではヒョウとライオンの混血が生まれたことがあったという。
 動物園では何を食べているかというと、やはり基本的には肉だ。馬肉や鶏の頭などを一日に10キロくらい食べているという。お歳暮でもらう柔らかいしゃぶしゃぶ用の松阪牛を投げて与えたらどんな反応をするんだろう? 美味しそうに食べてくれるのか、それとも歯ごたえがなさすぎてつまらないと思うんだろうか。
 動物園のエピソードでちょっと面白いと思ったのは、人に爪を切ってもらってるということだ。放っておくとどんどん伸びてしまうから、切るというより削っているそうだ。もちろん麻酔をかけて。猫みたいに爪研ぎを与えておいたら自分でガリガリしたりはしないのか。
 寿命は思ったより短く16年くらい。動物園では20年以上生きる。このへんは猫より少し長生きくらいだ。

 動物園のライオンは、子供たちにも大人にも意外と人気がない。だらけてることが多くて、動きが少ないから迫力もない。でもそれは仕方がないことだ、ライオンは夜行性なのだから。夜の動物園というのは、昼とはまったく違った野生の空気感に包まれているのだろう。見てみたいような怖いようなだ。
 夜の動物園に見学者を入れるというのは難しいだろうから、ビデオで撮ってHPで流してくれるといいと思う。なんなら有料でもいい。これだけネットが浸透して通信環境が整ってきたのに、動物園のネット利用はかなり遅れている。動物園とHPを連動して上手く活用すれば人を呼ぶきっかけにもなるし、商売にもなる。ただ、あまりにも野性味満点すぎて子供が泣いてしまうようだと困るだろうけど。

ヒメオドリコソウで野草オープン戦は終わった

花/植物(Flower/plant)
ヒメオドリコソウで3点セット完成

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/120s(絞り優先)


 東山動物園で見つけたヒメオドリコソウ。動物園には飼育されている動物だけじゃなく、野鳥もいるし野草も咲いている。動物園にわざわざ野鳥や野草を撮りにいく人もあまりいないだろうけど、けっこうねらい目ではある。
 ようやく姫が踊ってるところを見られてすっきりした。これで初春の野草3点セットが完成して、いよいよ春本番だ。春一番は最近見かけないけど、元気だろうか。長州小力に取って代わられたな。

 明治時代に日本に入ってきたヒメオドリコソウの原産地はヨーロッパ。明治26年に東京の駒場で最初に見つかったと言われている。最初は本州のみで咲いていたものが四国、九州へも広がっていった。北海道や沖縄はどうなんだろう? たぶんあっちまで広がってるんだとは思うけど、本州の私たちが思うほどポピュラーな野草ではないのかもしれない。アジアや北アメリカでも普通に咲いているようだ。
 元々日本にはオドリコソウがあった。花や葉っぱの形は似てるけど、オドリコソウはややピンクがかった上品な感じで、花の形が笠をかぶって踊っているように見えるところから名前が付けられた。そのオドリコソウに似ていて、あちらよりも小さいということでヒメオドリコソウと呼ばれるようになったというのが流れだ。
 ヒメオドリコソウって言われても踊ってるように見えないぞ、と思っていた人もけっこういるかもしれない。それはこういうわけだったのだ。私もヒメオドリコソウを見ても踊ってるようには見えない。
 このへんはイヌノフグリとオオイヌノフグリとの関係に少し似ている。ただ違うのは、オドリコソウとヒメオドリコソウは好む場所が違うので、ヒメオドリコソウがオドリコソウを駆逐したという図式ではないという点だ。繁殖力はヒメの方が強く、もともとのオドリコソウを見ることは少ない。

 似ているといえば、花の様子はホトケノザに似ている。ホトケノザが花をびよ~んと伸びているのに対して、ヒメオドリコソウは姫のように恥ずかしそうに少しだけ顔を出しているという違いがある。葉っぱを見ても区別がつく。ヒメオドリコソウの葉っぱはギザギザのハート型をしている。30代以上の人なら、ギザギザハートの子守唄で姫が踊ってる、と覚えれば間違いなし!
 ホトケノザとの共通点でいうと、花の下唇のようなところがハナアブたちの足場になっていて、上にあるおしべがハチたちの背中について花粉を運んでもらうという仕組みも共通だ。
 あと、アリに種子を運んでもらうという方法も一緒で、アリが好きなエライオソームが付いていて、アリはそれを運ばずにいられないようになっている。エライオソームだけ食べたり取れたりしてしまった種はその場で放り出されてしまい、条件がいいとそこで咲く。ときに思いがけないような場所で咲いてるのはそのためだ。

 白いヒメオドリコソウもあるらしいけど、私は見たことがない。
 ヒメオドリコソウの変異またはホトケノザとの雑種ではないかといわれるモミジバヒメオドリコソウというのもある。別名キレハヒメオドリコソウ。これも私は見たことがない。区別はなかなか難しく、キレハの別名通り、葉の切れ込みが強くてギザギザになってるとか、葉が菱形っぽいとか、葉っぱが赤紫にならないとかの特徴があるようだ。これまで見ていて見落としてたかもしれないから、今度から気をつけておこう。

 これからもっと春が深まっていくと、ヒメの集団が出現する。ときどきびっくりするくらい群生してることもある。離れたところから見ても赤紫のじゅうたんのようでよく目立つ。その様子はきれいというよりやや毒々しい感じがしないでもない。オオイヌノフグリとは仲良しで、一緒に咲いていることが多い。そのときのブルーとピンクのコントラスが私は気に入っている。
 ホトケ、オオイヌ、ヒメと3点撮り終えたところで、これから春の野草シーズン本番が始まる。ここまではオープン戦のようなものだ。開幕はこれから。いったん咲き始めたら春の野草は次々に咲いてくる。一週間、二週間でガラッと顔ぶれが入れ替わることがあるから、こちらも油断できない。
 山はカタクリ、湿地はハルリンドウ、野はスミレ。そのあたりがそれぞれのトップバッターと言えるだろう。
 これからますます地面をキョロキョロしながら歩くことになる。あんまり下ばかり見て歩いていると、そのうち1億円でも拾ってしまうかもしれない。もし拾ったら、写真とともにこのブログで紹介します。

意外と完成度が高かった名前のないサンデー料理

料理(Cooking)
無難なサンデー料理

Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/30s(絞り優先)


 今日のサンデー料理はギリシャ料理に着地する予定だったけど、レシピを調べていると必ず出てくるフェタ・チーズなるものがどうにも見つからず断念となった。他のチーズでも代用できるにしても、フェタ抜きにギリシャ料理とは言えない気がする。一度しか作らないかもしれないものなら、納得のいくものを作りたい。ということでギリシャ料理は延期にした。名古屋のセレブ御用達といわれる高級スーパー「ハロードゥ・インターナショナル」にでも行かねばなるまいか!?
 というわけで、今日は急遽メニュー変更となって、結局無難なところに落ち着いた。ただ、取り合わせとしては和洋折衷のやや不思議なトリオとなっている。

 ご飯はなんと表現していいのかよく分からないオリジナルのどんぶりになった。ごま油をたっぷり使ったキノコと卵のあんかけ風というのか、名前はないけど美味しかったのでよしとする。
 ニンニクとタマネギ、キノコ類の順にごま油で炒めたあと、だし汁、酒、みりん、しょう油で少し煮込む。そこへ溶き卵を流し入れて、最後に水溶き片栗粉でとろみを付けたら完成。白髪ネギを乗せるのもポイントだ。味付けをやや濃いめにするとご飯とよくあう。
 右の赤いのもこれまでの応用で作った名前のない料理だ。白身魚に塩コショウを振ってしばらく置いて、その間にカレーとトマトのスープを作る。ニンニク、タマネギ、ニンジンなどを炒めて、粗みじんにしたトマトとトマトジュース、だし汁、白ワイン、チキンスープの素を加えて煮る。そこにカレーのルーを半カケ追加して、あとは塩コショウで味を調えたら、白身の小麦粉をまぶして素焼きしたものを加えて煮込めば出来上がり。カレー味にトマトの酸味が加わって美味しくなった。彩りとして余っていたパセリの刻みも乗せてみた。
 汁物は見た目みそ汁っぽいけどちょっと違う。鶏のもも肉を細めに切って、小麦粉をまぶしてさっとゆでる。それは置いておいて、ゴボウ、ニンジン、長ネギ、シイタケを細切りにしてこちらもゆでる。一方でだし汁を煮立てて、そこにさきほどゆでた鶏肉、ゴボウなどを入れて、しょう油、みりん、酒、チキンスープの素、塩コショウなどで味付けをする。最後に溶き卵を流し入れてそれが少し固まったところで火を止める。チキンスープの素を使ったことでやや洋風寄りになって、今日の他の料理との相性もよかった。

 今日は大きな混乱もなく無事3品を作り終えることができた。でもやっぱり2時間かかった。どこで時間短縮できるのか、いまだにそれは見えてこない。この3品で2時間かかっていては新婚の主婦でもつらい。ダンナさんは待ちきれずにカップラーメンを食べ始めてしまいそうだ。
 時間はともかくとして、味の方は今回非常に完成度が高かった。これまでの中ではトップ3に入るだろう。組み合わせとしては、中華っぽかったり、イタリアン風だったり、和食のようなそうでなかったりでまとまりは欠いているけど、食べていておかしな感じはなく、普通に美味しかった。直前になって考えついたメニューにしては満足度は高い。これならたいていの人に出しても一応の合格点はもらえるんじゃないかと思う。
 料理は一進一退。自信が持てるようになったり失ったり、もっと作りたいと思ったりメニューを考えるのが面倒だと思ったり。趣味で作ってるだけだから気楽なものではあるんだけど、なかなか一気に上達というわけにはいかないようだ。行き詰まり感というのも意外と早くやってくる。

 来週こそはギリシャへの心の旅に出たい。フェタ・チーズはどこに行けば売ってるんだろう。まずはそれを手に入れないと始まらない。
 メニューは、青いエーゲ海に浮かぶ島々と白い家並みに思いを馳せて、一週間かけて考えることにしよう。ジュディ・オングの「魅せられて」を口ずさみながら。
 ♪ウェンデスフェンデスウフ~ンア~ア~ おんなは海~ 好きな男の腕の中でも~ 違う男の夢をみるぅ~~ぅ~♪
 しかし、いまだにあの英語の部分が何を言ってるのかよく分かってない。

キリンは高血圧の短距離走者

動物園(Zoo)
東山のアミメキリン

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/280s(絞り優先)


 東山動物園における好待遇動物の第2弾として、今回はアミメキリンにスポットを当ててみた。都会の小学校の運動場よりも広い場所にアミメキリンたちは暮らしている。駆け回るとまではいかなくても、軽く小走りできる広さは充分にある。立地条件もいい。ホッキョクグマの裏手の高台で、隣にはコアラ舎という、スターが集まるビバリーヒルズのような場所にある。
 現在東山動物園には8頭のアミメキリンがいて、そのうちの3頭は去年産まれた子供たちだ。ぎやかになって、見る側としても楽しいし、キリンファミリーも喜んでいるんじゃないかと思う。
 ただひとつ、やっかいなことがあるとすれば、隣のスペースで間借りした格好になっているダチョウの性格が荒っぽいことだ。とにかく休むことなくうろつきまわり、となりからつついたりしてくる。前は仕切りがなくて自由に行き来できたようだけど、キリンの子供を追いかけたりしたために柵で仕切られてしまったようだ。それでますますストレスがたまったダチョウは落ち着きなく歩き回っていた。
 去年の12月に生まれた子供の名前がこの前ようやく「トリノ」に決まった。ちょっと安易すぎないかとも思うけど、園の人が考えたオグビーやホップなどの候補の中からトリノが来園者の最多得票だったとのことだ。名古屋はトリノと姉妹都市でもあるから、オリンピックだけというわけでもないか。
 写真の2頭は、そのお兄さんとお姉さんのキンタとマリモだと思う。父親はスティービーで、お母さんは全員別の異母兄弟だ。

 代表的なキリンに、写真のアミメキリンとマサイキリンがいる。アミメキリンは模様が編み目のようだからそう呼ばれ、マサイキリンは網目模様のふちがギザギザでタイル模様が整然としてない。動物園で一般的なのはアミメキリンだけど、西日本ではマサイキリンが多いらしい。でもキリンは基本的に1種類で全部亜種だから、大きな違いはない。その他、ウガンダキリン、ナイジェリアキリン、コルドファンキリン、ヌビアキリン、北ローデシアキリン、アンゴラキリン、ケープキリンなどがいる。アミメとマサイの中間のようなロスチャイルドキリンというのもいる。
 他にキリン科の生き物は現在オカピしかいない。かつてはたくさんのキリン科の生き物がいたといわれている。
 キリンは有名な動物だし、多くの人が動物園で目にしてるから案外ありふれた動物のような気がしてるんじゃないだろうか。実際はアフリカの狭い地域にしかいない生き物だ。サハラ砂漠より南のエチオピア南部からケニア北部にかけての山の斜面やサバンナ、半砂漠地帯にのみ生息している。
 陸上でもっとも背高ノッポで、オスは5メートルから5.8メートルくらい、メスは1メートルくらい低い4メートルくらいで、体重は1~1.5トンもある。メスがオスよりも背が低いのは、食べる木の葉や果実の取り合いにならないためらしい。このへんの首の長さについてはよく進化論で語られるところだけど、中間の首の長さの生き物の化石が見つかってないので、実際のところはよく分かってない。
 首は長いけど首の骨は普通のほ乳類と一緒の7つしかない。ひとつひとつの骨が大きいだけで、たくさんの骨がある鳥なんかとは構造が違う。
 心臓よりも2メートルも高いところある脳に血液を送らないといけないから、とっても高血圧だ。人間はだいたい80-120くらいなのに対して160-260もある。人間なら即入院、というか死んでしまう。
 そんな高血圧なのに頭を下げて水を飲むときは頭に血が上って大丈夫なんだろうか、と思ったらちゃんと対策はなされていた。血液逆流防止弁が備わっているのだった。それにしても、これだけ高血圧だと激しい運動は命取りとなる。400メートル走が限界だそうだ。逆に血圧が下がりすぎても危険になる。首が長いということは思った以上に不便なのだった。

 サバンナではたいてい1頭のオスと数頭のメス、そしてその子供たちでひとつの家族として暮らしている。繁殖期になるとライオンなどから子供たちを守るために何家族かで固まる。
 とはいえ、キリンはそれほどやわな生き物ではない。ライオンに襲われるのは小さな子供だけで、大人のキリンは前蹴りの一撃でライオンを倒せるくらい強い。
 それに目がものすごくいい。おまけに耳もいいから、ライオンなんかもそう簡単には近づけない。7キロ離れた仲間ともコミュニケーションがとれるという。地図を見てみたら、7キロというと名古屋駅とナゴヤドームの距離だった。どんだけ目がいいんだ。
 まつげが長いのは、単なるかわいさをアピールするためではなく(当たり前)、サバンナの強い日差しから目を守るためのものだ。すだれのようなものと言ったらいいだろう。
 走るのだって遅くない。最高時速50キロも出せる。スクーター並みだ。走ってるキリンにひかれたら人は死んでしまう。
 妊娠期間は420日~460日くらいと長い。1年と2、3ヶ月おなかの中で育つということだ。だから、生まれたときにはすでに身長1メートル60~2メートルと、かなり大きくなっている。これは赤ん坊のときに少しでも敵から襲われるのをふせぐための知恵だろう。生まれて20分で立ち上がって、数時間後には歩き回ることができる。
 一回の出産で生まれるのはたいてい1匹で、10ヶ月くらいは母乳を飲んで過ごす(ひと月後くらいからは葉なども食べるようになる)。
 寿命はだいたい25年くらいだ。

 ペットして飼うことができる一番大きな動物がキリンだというのは有名な話だ。「トリビアの泉」にも出てきた。キリンはワシントン条約の指定動物ではないから、法律的には飼えるということになる。実際、日本で飼ってる人はいないだろうから、一番乗りのチャンスだ。
 飼育条件としては、30メートル四方の広い場所、乗り越えられない柵、冬場用の建物、この3点は最低クリアしなければならないそうだ。お隣さんと庭が隣り合わせだったりしたら問題があるので、そのへんも考え合わせないといけない。
 エサは広葉樹の葉っぱや、青草、固形飼料などで、1日10~20キロは食べるという。エサ代は大変そうだけど、広い庭を持ってるくらいの家なら大丈夫だろう。散歩も必要なんだろうか? とりあえずうるさく吠えたりしないのが飼いやすさのポイントと言えるだろうか。性格的にもおとなしいし。

 今日はキリンについて勉強してみた。今まで知らないことが多くて面白かった。今後も動物シリーズは続けていこうと思う。また動物園にも行きたい。

プールのある庭付き一戸建てに暮らすホッキョクグマ

動物園(Zoo)
ホッキョクグマはもう暑い

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f6.7, 1/560s(絞り優先)


 東山動物園の動物シリーズ一回目はホッキョクグマにした。
 いわゆる白クマさんだ。白クマというわりには毛が薄汚れてるなと思ったら、体調がいいときは毛並みが黄色がかるんだそうだ。何日も風呂に入ってないとかいう理由ではない。
 ホッキョクグマの居住ゾーンは庭付き一戸建てのように環境がよかった。庭にはプールもあり、室内は冷房完備。広さは100坪くらいあったかもしれない。ちょっとした豪邸並みだ。
 2頭はオスとメスだろうか。さかんに吠えたり、階段を駆け上がったり、追いかけあったりして元気だった。これくらい広々としていると好感が持てる。一畳くらいのスペースでうろつき回ってる動物を見ると、かなり残念な気がする。
 東山動物園におけるホッキョクグマは、天下りの会社役員並みの好待遇で迎えられてると言えるだろう。

 北極にいるから北極熊。地図の上の方の狭い地域一帯、アラスカやグリーンランド、シベリアなどに現在2万頭ほどが生息している。
 陸上に生きる四つ足の生き物の中で一番大きいのがこのホッキョクグマだ。ヒグマよりも大きい。オスは2メートルから2メートル50くらい、体重は300キロから最大800キロにもなる。メスはややスマートで体重がその半分くらい。それでも充分に大きくて重い。人間で対抗しようとしたら、小錦が舞の海を肩車するといい勝負になるかもしれない。でも、それでは動きが鈍すぎてやられてしまう。熊は意外にすばしこい。舞の海の猫だましではクマもびっくりしないだろう。
 泳ぎだって得意だ。犬かきならぬ熊かきで時速6キロから10キロくらいで泳ぐ。休まず100キロだって泳げるというから、50メートルしか泳げない私などあっという間にエジキになってしまう。北極圏で泳ぐのはやめておこう(その前に寒さで死んでしまう)。
 鼻がいいのも特徴で、1キロ先の匂いまで分かる。
 好物はアザラシ。氷の穴から息をするために顔を出すのを氷の上に伏せて待ち伏せして、アザラシが顔を出したところを腹ばいダッシュで近づいて前の手で一撃。モグラ叩きのアザラシ版。アザラシ側から見たら、恐るべきやつだ。
 その他、セイウチやときにはクジラなども襲う。ただ、北極圏はそれほどエサが豊富ではないため、魚や貝、海鳥なんかも食べたりする。何もないと海草も食べて飢えをしのぐ。周辺には人間がいないから襲われたというニュースは聞かないけど、人間もいたらエサになると思う。北極にいくときは差し入れを持っていこう。
 こんな肉食獣な彼らだけど、好きなのは肉よりも脂身で、食べ物に余裕があるときは、アザラシの脂だけ食べて赤みは残すらしい。体脂肪が多い人は、あまりホッキョクグマに近づかない方がよさそうだ。
 動物園では何を食べてるかといえば、さすがにアザラシを与えるわけにはいかず、鶏肉や魚を中心にニンジン、リンゴ、ヨーグルトなどをやっているそうだ。アザラシを襲ってるシーンなんか見せた日には、子供やお母さんの悲鳴が飛び交って大変なことになってしまう。

 白クマというからには毛は白いと思いがちだけど、実は筒状の透明で、それが光に当たると白に見えるだけだったりする。地肌は黒というのもちょっと意外だ。
 何しろ寒さに耐えなければいけないんで体脂肪率30パーセントで、乾きやすいたっぷりの毛皮を身にまとっている。足の裏にも肉球が隠れるくらい毛が生えていて、おかげで氷の上でも滑らずに歩くことができる。寒さにはめっぽう強い。マイナス40度でも体温が変化しない。
 ということは逆に言うと暑さには滅茶苦茶弱い。名古屋の夏をどうやって乗り切ってるのか心配になるほどだ。よくニュースで氷の固まりをもらって抱えてるところを見るけど、あんなものは気休めだ。とてもじゃないけど炎天下では耐えられないんで、夏場は冷房がガンガン効いてる室内で過ごす。すごく電気代を食いそうだ。春になってきてそろそろ彼らにしてみたら暑さの限界が近づいてきてるのかもしれない。

 野生のホッキョクグマは、繁殖期以外は単独行動をしている。暮らしてる土地柄なのか、性格なのかは分からない。エサの問題もあるのだろうか。
 出産は真冬。一度に産まれるのは1頭から多くても3頭。極寒の地では子だくさんでは困ってしまう。お母さんは雪の中に穴を掘って、そこで子供を抱えるようにして数ヶ月間、絶食状態で子育てをする。この間はおかなも空いてるし、子育ての大変さもあって、メスがもっともイライラしてる時期だ。うかつに近づいたらやられてしまうので注意が必要だ(そんなところに一般人が迷い込む機会はないけど)。2歳から4歳くらいまで母親と一緒に過ごす。
 動物園での出産はかなり難しいようで、あまり例がない(円山動物園などでの数例あるらしい)。
 寿命は、野生では25年から30年くらい、飼育下での最長は34年だそうだ。長いような短いような。
 飼育そのものがやはり難しいようで、国内の動物園のどこにでもいるというわけではない。北海道、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、和歌山、徳島、愛媛の14ヶ所だそうだ(変動があるかもしれない)。
 旭山動物園に新しくできた「ほっきょくぐま館」は評判がいい。大型水槽の横からガラス越しに泳ぐ姿が見られたりするそうで、迫力満点なんだという。旭川動物園はいつか行きたい。

 東山動物園のホッキョクグマは嬉しいのか悲しいのか、うぉーうぉーと盛んに吠えていた。高いところに登ると、少し離れた隣のカリフォルニアアシカが目に入る。のんきに昼寝してるアシカたちを見て、あれ襲いてぇ~、食いてぇ~と吠えているのかもしれない。なんてことを想像した。あの配置は東山動物園側の狙いなんだろうか。
 動物園の使命のひとつとして、動物をいかに野生の姿に近づけるかというのがあると思う。旭川動物園が成功したのはその点だったんじゃないか。私と同じように動物園が苦手という人の多くは、元気がない動物を見たくないからというのがあると思う。そういうことでいえば、このホッキョクグマは見ていて気持ちがよかった。
 これから暑くなってくるとホッキョクグマの動きがだんだん鈍くなってくるから、暑くならないうちに見に行くことをオススメします。

ひとり動物園デビューで見えた幸福の連鎖反応

動物園(Zoo)
キリン前のカップル+ちびっこ

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/400s(絞り優先)


 ふと思い立って東山動物園へ行ってきた。何年ぶりだろう。併設の東山植物園は去年行ったけど、動物園の方は5年ぶりくらいだろうか。平日の夕方となると、さすがに客層は限られている。小さな子供を連れたお母さん、その祖父母、学生のカップルなどがほどんどだ。ごく少数だけど、ひとりで来てる男の人や女の子もいた。そういえば私も今日がひとり動物園デビューだ。ふたり連れの女の子も意外と多かったのは少し驚いた。
 植物園と両方入れて500円は安い。東山のスカイタワーとのセットでも800円だ。家から車で20分の近さなんだからもっと行きたいという思いはあるのだけど、4時半に閉まってしまうのでなかなか行く機会がない。せめて夏だけでも6時くらいまでやってくれないだろうか。

 東山動物園ができたのは昭和12年。それ以前は鶴舞公園にあった。更にさかのぼると、明治23年に中区前津町で今泉七五郎氏という動物好きで変わり者のおじさん(?)が「浪越教育動物園」というのを作って公開していたのが始まりだ。
 東山動物園は2回の引っ越しを経て今に至っている。その間には戦争の悲しい歴史もあった。終戦のときはゾウ2頭以外すべての動物が姿を消している。戦争の被害者はこんなところにまで及んでいたのだ。
 戦後少しずつ動物の数も増え、昭和20年代終わりには戦前の規模にまで回復し、その後は社会の安定、高度経済成長とともに動物園も成長を続けていくことになる。一番活気があったのは昭和30年代だろう。40年代以降はレジャーの多様化で、動物園そのものが勢いを失っていった。
 これまでに多くのスター動物が生まれた。戦争を生き延びることができた2頭のゾウ、エルドとマカニー。芸をするゴリラのゴン太。初めて日本にコアラがやってきたのもここ東山動物園だった。当時はものすごい人気で長蛇の列ができたものだ。カバの重吉や、雄ライオンのライなど、見たことはなくてもテレビなどで知っている動物も多い。

 そんな歴史やドラマを持つ東山動物園の今はどうかといえば、今日行ってみた印象としては少しさびれてるかなというものだった。何しろ古い。施設もそうだけど、見せ方とか、動物の配置とか、全体に渡って現代的ではない。これは動物園という性格上、そう簡単にいじれるものではなから仕方がないといえばそうなのだろうけど、そろそろ全面的なリニューアルが必要な時期に来ているのは確かだ。大した目玉動物がいない旭川動物園が大成功を収めてるという事実がある以上、古さは言い訳にはならない。今でも上野動物園に続いて第二位の入場者数を誇る全国でもトップクラスの動物園なのだから(旭川動物園に抜かれて三位になったかも)、このままではもったいない。広いし、安いし、コアラや孫悟空のモデルになったキンシコウなどの目玉動物もいる。世界のメダカ館だってある。もっともっと可能性はあるはずだ。実際、リニューアルの話も出てるようなので期待したい。
 改装するときは、ぜひ写真を撮りやすいように工夫して欲しいところだ。網や檻は極力やめてもらって、ガラスにしてももっと透明度の高いものにして欲しい。そういう垣根がなくて済むならそれに越したことはない。今は昔と違ってほとんどの人がなんらかのカメラを持ってる時代だし、若いお母さんだって一眼レフを持っているのだ。珍しい動物をただ見るだけで満足してる時代は終わった。動物園は写真を撮ってなんぼだと個人的には思う。様々な工夫を凝らして、写真撮影に特化した動物園というのを売りにすれば話題にもなるはずだ。

 写真のアミメキリンについても書こうと思ったけど、また長くなったので今度にする。今日はたくさん動物の写真を撮ってきたから、しばらく動物ネタが続くことになる。動物だけでも2ヶ月くらい持ちそうだ。って、それは飽きそうだから、適当に他のことも混ぜないと。
 昔から動物園というのはあまり好きな場所じゃなかった。それは、東山動物園の池のボートにカップルで乗ると別れる、という名古屋の伝説を恐れたわけではない(実際それは当たってしまったのだけど)。狭いところに閉じこめられている動物を見るとかわいそうに思えたからだ。
 でもそれは動物園の一面でしかない。確かにそういう面もあるけど、動物園はそれだけではない。たとえるなら、人が生き物の肉を食べて生きているのに似ているかもしれない。動物園の動物たちが人間に与えてくれるものは小さくない。単純に感動とか楽しさとかだけじゃなく、見て感じて考えるきっかけを与えてくれる場所としての価値がある。動物たちに対してありがたい、ありがとうという気持ちを持つことができれば、動物園というのはとても幸せな空間となる。動物を見て喜ぶ子供、その子供の姿を見て嬉しそうにしてる両親や祖父母、無邪気に感動してる女の子と少し照れている男の子。そんな幸福の連鎖反応があり、そこに悪意はない。
 少し心が疲れたときなんかに行くのもいい。動物たちの目を見て、不幸を共感することで慰められるということもあるかもしれない。

かわいそうなミツバチはハッチだけじゃない

虫/生き物(Insect)
桜にミツバチ

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/140s(絞り優先)


 今日3月8日はミツバチの日だ。3がみっつ、8がはち、それでミツバチ。何をするかといえば、ミツバチを大事にしたり、日頃あまりふれ合う機会がないミツバチとふれ合おうとか、そんな趣旨の一日だと思う。まったくの勘だけど(たぶん違う)。
 気がつけばミツバチもぶんぶん飛び交う季節になっていた。今日の名古屋は17度。こんなに暖かいからにはおまえたち、寝てる場合じゃないよ、働け、働け、蜜を集めな、花粉を持ち帰れ、と巣の中の女王蜂がムチをビシビシたたいていたことだろう(ムチを持ってる女王様は別の生き物)。

 ミツバチの社会は厳しい。ひとつの巣に女王蜂は一匹。あとは少数のオスと無数の働き蜂で構成されている。働き蜂は全員がメスだ。
 働き蜂の寿命は40日しかない。若いうちは巣の中で子育てや巣作りを担当し、中堅になると危険な外勤へと出されて、あとは死ぬまで蜜を集め続ける。1匹の働き蜂が生涯で集める蜜はスプーン一杯分だ。
 オスは一切働かない。だからといって気楽でいいなと思ったら大間違いで、まずはオス同士、女王蜂と交尾をするために命がけで闘わねばならず、もしそれに勝っても、交尾のあとはショック死という過酷な運命。他のオスも自分でメシは取れないから働き蜂のやっかいにならないといけなくて肩身が狭い。春から夏にかけては置いてくれるけど、秋になると巣から放り出されてしまい、寒さと飢えで死んでしまう。寿命は約3ヶ月。
 やっぱり女王様が一番だねと思うかもしれないけど、それはどうだろう。寿命は5年から6年と長い。長いけど、その間、一日に1,000個も卵を産まないといけない。やることは働き蜂が作った女王専用のローヤルゼリーを食べて産卵することのみ。なんの気晴らしもない。
 こうやって見てくると、なんだかんだで働き蜂が一番ましかもしれないと思えてくる。蜜集めは大変だけど、営業の途中で少しは怠けられるし、外の世界も知ることができる。死ぬときは寿命だし。
 ミツバチはどの卵がどのタイプの蜂になるかは決まっていない。たまたま王台に産みつけられた卵が女王蜂になり、それ以外は働き蜂になる。不受精卵がオスになる。完全な女系社会だ。ミツバチのオスにはなりたくないなと思う。

 いい機会なので、ミツバチに関する疑問や知識をまとめてみよう。
 まずはミツバチは何を食べてるの? という素朴な疑問から。当たり前ではあるけど、ハチミツを食べている。あと、花粉を集めて花粉だんごにしたものを食べたりもする( 巣の材料にもする)。女王は特別に作られたローヤルゼリーだけを食べている。だからあんなに寿命が長くなる。人間用でも売ってるけど効果のほどは分からない。人間用といえば、プロポリスというものも聞いたことがあると思う。これは樹木の樹脂とミツバチの唾液中の酵素が反応してできたもので、巣壁に塗られるものだ。防腐剤のような役割をしてると言われている。
 どうやって花の蜜がハチミツになるかということだけど、まずストローのような口で集めた蜜を腹の中の「蜜胃」という一時保管袋に詰めて巣に持ち帰る。そこで内勤の働き蜂に口移しで与えて、巣の保管所に入れる。そこからがすごくて、羽を扇風機のようにブンブン振って蜜の水分を飛ばして濃縮するというのだ。なんだかすごいぞ、ミツバチ。その結果濃縮されたものがハチミツとなる。
 一番好きな花はレンゲだという話がある。本当かどうかは分からない。なんでも一匹のハチミツは、一度取った花の蜜をずっと取り続けるんだそうだ。混ぜものなし。だから、巣によってハチミツの味は違うらしい。
 ミツバチだけが刺すと死ぬというのは、針にかえしが付いていて、体を抜くときに針が引っかかって内臓が取れてしまうからだ。うひょー、残酷な。だから、よほど切羽詰まらないとミツバチは刺したりしない(はず)。
 その他、蜂の巣の話や、ミツバチのダンスについてなど、かき集めた情報はいろいろあるのだけど、これ以上は長くなるので今回はこのあたりにしておこう。また機会があれば。

 写真のミツバチはセイヨウミツバチだ。日本には元々ニホンミツバチという在来種がいた。明治時代に人間がハチミツを取るために飼いやすいセイヨウミツバチを導入したことでニホンミツバチは追いやられてしまった。野生でもセイヨウミツバチが多いと思う。飼われてるのはほとんどがセイヨウミツバチだ。どうしてそうなったかというと、ニホンミツバチは逃亡してしまうからだそうだ。けっこう笑える。セイヨウの方がミツバチに関しては素直で、言うことを聞いて、体格も大きいから蜜もたくさん集めてくれる働き者なのだ。ニホンミツバチは隅っこに追いやられてしまったとはいえ、やれやれと思っているかもしれない。
 見分け方は、全体に黒っぽいのがニホンで、オレンジ色っぽいのがセイヨウだ。ニホンの方がお尻の白黒ツートンが整然としているように思う。

 ミツバチの一生がこんなにも過酷なものだったとは知らなかった。ミツバチにあやまりたい。ハチミツもなんのありがたみもなくなめていた。ひとなめで働き蜂の一生分だとも知らず。これからはミツバチに対する感謝の気持ちを忘れず生きていこう。巣から高価なローヤルゼリーを盗んでやろうかなどという不埒な考えは捨てて。
 こんな気持ちになれたのも、3月8日がミツバチの日だったおかげだ。ありがとう、ミツバチ。これからは仲良くしよう。だから、もう私を刺すのはやめておくれ。2回も刺されたら充分だ。

江戸時代の人は見たことがなかったオオイヌノフグリ

花/植物(Flower/plant)
やっとひとつ見つけたオオイヌノフグリ

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/350s(絞り優先)


 他の人が梅を見上げてる横で私は地面を探して歩く。ここにもない、こっちもない、あ、あった。ああ、駄目だ、ここも駄目。こっちもか。何か駄目かというと、しっかり開いているオオイヌノフグリがないことだ。たくさん花はあるのにどれも閉じているか半開きかで、しっかり開いているものが見つからない。それもそのはず、オオイヌノフグリは、朝日とともに花開いて、夕方には花を閉じてしまう一日花なのだ。私がうろつくのはいつも夕方。だから、全開のオオイヌノフグリが群生してる様子をほとんど見たことがない。早寝早起きの彼らと私とでは生活のリズムが違う。
 そんな中、やっと見つけた開いてるやつがいた。ちょっと閉じかけだけど、どうにか間に合った。のんびりさんは人だけじゃなく花でもいる。夜更かしさんも。オオイヌノフグリはたいてい固まって咲いているのに、こいつはポツンと離れたところで咲いていた。そういう性格だったのか、環境がそんな性格を作ったのか。仲間が夕方になって閉じていることに気づかなかったのかもしれない。

 普通の花は、虫に密を吸わせる代わりに受粉をしてもらう。オオイヌノフグリも例外ではない。ただ、この花は一日で花が閉じて落ちてしまうという特徴があるため、保険をかけてある。虫がやってこなかったときは、自らおしべをめしべにくっつけて自家受粉するという最終手段を持っている。特に虫の少ない早春に咲く花だけにこのシステムは必要不可欠だった。
 だから、去年咲いていた場所に行けばほぼ確実に今年も咲いているというわけだ。その二段構えで今では日本全国だけでなく、広く世界で自生しているという。
 原産はユーラシアやアフリカで、2年草。日本で最初に見つかったのは明治の初期だと言われている。それまで日本に咲いていたイヌノフグリを一気に蹴散らして、大正時代には全国に広まった。逆に言えば、江戸時代の日本人はオオイヌノフグリを見たことがないということだ。
 今では早春のもっともありふれた野草のひとつだけど、日本に定着してからさほど年月は経っていない。
 もともとあったイヌノフグリがどこかへ追いやられてしまったのは残念だ。最近ではめったに見ることができないものとなってしまった。私も見たことがない。江戸時代の人たちは、ピンクがかった白いイヌノフグリをよく見ていたのだろう。

 オオイヌノフグリは漢字で書くと「大犬の陰嚢」という気の毒な名前を付けられている。元々イヌノフグリの実が犬のタマタマに似てることからそう呼ばれていて、そこへあとからやって来たこれをイヌノフグリに似ている大きな花ということでオオイヌノフグリと名づけた。大きな犬のタマという意味ではない。イヌノフグリの実は似てるけど、オオイヌノフグリの実はそれほど似ていない。
 この名前はいくらなんでも気の毒だろうといろんな人がいろんな別名を考えた。瑠璃唐草、天人唐草、星の瞳、などと。しかし、一般的にはやはりオオイヌノフグリとして通っている。
 英語圏では、Birds-eyes、鳥の瞳と呼ばれている。猫の目というところもあるらしい。小さくて可憐なコバルトブルーの花だから、きれいな名前を付けたくなるのはよく分かる。
 学名はVeronica persica。ペルシャのヴェロニカ。ヴェロニカとは、十字架を背負ったキリストの汗をハンカチでふき取った聖女の名前だ。
 花言葉は、神聖、清らか、信頼。和名だけがイメージを壊している。

 やっとオオイヌノフグリを写真に撮ることができて、また一歩春に近づいた気がした。早春の野草3点セットであるホトケノザ、オオイヌノフグリとあとひとつ、ヒメオドリコソウを撮れば完結だ。そこからあとは次から次へと春の野草が咲いてくる。
 小さな小さなオオイヌノフグリだけど、この時期に咲くコバルトブルーの花は他にないので、ちょっと気をつけて地面を見ながら歩けばきっと見つかるはず。見つけたら、しゃがんで一度じっくり見てみてください。とてもきれいな花だということに気づくはず。子供がいたら、一緒に見て教えてあげてください。ただし、人がたくさんいるところで、「ねえ、お母さん! ふぐりって何!?」と大きな声で訊かれるかもしれないので気をつけてくださいね。

春は隣の席に座った片思いの相手のように近くて遠い

花/植物(Flower/plant)
梅一輪

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-300mm(f3.8-6.3), f6.3, 1/400s(絞り優先)


 冬の勢いに負けて出鼻をくじかれる格好となった今年の春も、ここへ来てようやく足取りを早めて遅れを取り戻しつつある。なかなか咲かなかった梅も花を開き始めた。
 今日3月6日は二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつ啓蟄(けいちつ)にあたる。地面で寒さをしのいでいた虫たちが暖かさに誘われて起き出してくる時期ということでそう呼ばれる。啓は「ひらく」、蟄は「土の中で冬ごもりしている虫」のこと。圭子の夢は夜ひらく。そんな歌があったっけ。 ♪十五、十六、十七と 私の人生暗かった 過去はどんなに暗くとも 夢は夜ひらく♪ どんな歌詞だ。
 二十四節気を全部言えるのは相当マニアックな人だと思う。東海道本線の駅名を全部言える人みたいに。でも半分くらいは常識として知っておいてもマニアとは呼ばれないので覚えておいてもいい。立春、春分、立夏、夏至、大暑、立秋、秋分、立冬、大雪、冬至、大寒くらいは(残りは、雨水、啓蟄、清明、穀雨、小満、芒種、小暑、処暑、白露、寒露、霜降、小雪、小寒)。ネプリーグに出題されそうだから、あれに出たときに備えて私も暗記しておこう(いつ出るつもりだ)。

 名古屋の梅はこれからだけど、南の方はもう終わりかけてるんだろうか。今年は後ろから迫ってきている桜に譲らなくてはいけないから、咲いたとたんに駆け足になるかもしれない。うかうかしてると盛りを逃してしまいそうだから気をつけよう。
 愛知県は残念なことにこれといった梅の名所がない。全国的にそうなのだろうか。どこにでも咲いているけど、名所と呼ばれるような場所は案外少ない気もする。天満宮は別にして、知ってるところといえば、水戸の偕楽園や東京の湯島天神、和歌山県の南部梅林くらいだ。そういえば和歌山県は名所と呼ばれるところが多いけど、何か理由があるんだろうか。名古屋では天白の農業センターのしだれ梅が有名だ。あとは、東海市の佐布里池かそれくらいしか知らない。佐布里池は去年行けなかったから今年は行こうと思っている。

 梅といっても、これまたたくさんの種類がある。一般的に私たちが見てるのは観賞用の花梅(はなうめ)と呼ばれるものだ。それとは他に果樹として栽培される実梅(みうめ)もある。登録されてる品種だけでも400種もあるとか。言われてみればたまにかわった梅も見る。色も白や赤だけじゃなくピンク色もある。けど、品種まで分かるようになりたいとは思わないから、梅は梅でいい。
 ひとつ覚えておきたい豆知識としては、野生の系統のものを野梅系(ヤバイケイ)と呼ぶことだ。なんて今どきなネーミングなんだ。もし、ギャル系の女子高生が梅を見ながら、「これ、ヤバイケイじゃない?」と言ってるのを耳にしても、うかつに笑ってはいけない。ホントにヤバイケイかもしれないから。

 梅の原産地は中国と言われている。それを日本に伝えたのが、いまだに女の人と思い込んでいる人がけっこういる遣唐使の小野妹子だ。なんで男なのに妹子なんだ! と私に言われても困る。たいたい響きからしてどうなんだ、いもこ、って。そんな名前をバネに頑張ったのか、それとも自分では気に入っているんだろうか。
 それはともかくとして、今から約1,500年前にやって来た梅を日本人は愛した。かつては「花」といえば桜のことではなく梅を指した。万葉集では桜の3倍も詠われている。今のシンガーはなかなか梅のことを歌にはしない。森山直太朗の「うめ」じゃ売れそうにないものな。う~め~よ~ う~め~よ~♪ では、童謡みたいだし、なんだか、生めよ増やせよ、みたいでもある。梅の復権の日は遠い?

 梅干しが一般に食べられるようになったのは江戸時代からで、それまでは薬用だったりおやつだったりしたそうだ。戦国時代には戦場でも食べられていたとか。
 江戸時代には冬が近づくと梅干し売りが回ってきて、それが季節の風物詩になっていたという。
 明治時代になると病気の予防などの意味合いが強くなり、今に至っている。
 私は梅干しを食べるときは、梅干し食べてスッパマンのことをよく思い出す。これは世代的に仕方がない条件反射と言えよう。

 啓蟄とはいえ、虫たちが活発に活動するのはもう少し先になる。例年名古屋では3月27日あたりにモンシロチョウが観測されるそうだ。そういえばもう半年くらい蝶の姿を見てなかったんだった。平均10度を超えると虫たちも本格的に活動を再開すると、お天気の寺尾くんがテレビで言っていた。
 春は近づいてからがなかなか遠い。すぐそこにある気がして手を伸ばすけど届かない。春には楽しみが多いから、そんなふうに感じるのだろうか。梅に桜に野草に昆虫、これからは撮るものに事欠かない。またたくさんの新たな出会いがあるといいな。

イタリアン・サンデー延長戦は低調に終わった

料理(Cooking)
イタリアン延長戦

Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/20s(絞り優先)


 今日のサンデー料理は、先週のイタリアン延長戦となった。食材が余っていたのと、イタリアカラー3色の完成度がもうひとつだったのが心残りだったことがあって。
 しかし、結果的に延長戦は失敗に終わった。見た目の再現度は落ち、味まで落ちてしまった。トリノオリンピックも終わって、もうイタリアの風は私に吹かなかった。

 3食の中で一番難しいのはなんといっても緑色の出し方だ。左がそれで、今回はモロヘイヤジュースでリゾットにしてみた。だけど、それだけではまったく色が付かず、刻みパセリで誤魔化すことになった。モロヘイヤジュース自体はけっこういい緑色をしてたからいけるんじゃないかと思ったら甘かった。ついでに味も甘かった。飲むとマスカットのような味付けがしてあって、これはご飯にはあまり合わない味だ。コンソメで味付けしても甘ったるさが残った。野菜ジュースのようにはいかなかった。
 緑色を作るには、手打ちパスタをこねる段階でほうれん草を練り込むのが一番だと思う。それにバジルソースを絡めれば緑色の再現度は高くなるだろう。
 白は手製のホワイトソースにマカロニを絡めてみた。ただ、これも白色とは言えず、クリーム色になってしまった。味はホワイトソースなので無難に仕上がっている。
 右の赤はなんだかキムチみたいに見える。もちろん違う。メカジキとシーフードをホールトマトで煮込んだものだ。トマトベースにチキンスープの素で、味としては悪くなかった。トマトの酸味がイタリアンらしさを出していてよかった。

 今回は残念なことに、終始盛り上がりに欠けるサンデー料理だった。作っているときも、出来上がりを見たときも、味わったときも。二週連続同じ観光地を訪れてしまったときのような盛り上がりのなさ。味が前回を上回ればまだよかったけど、それさえも落ちたのはいただけない。前回は85点あったのに今回は68点、これでは人に喜んではもらえないだろう。自分自身喜べなかった。今日は気分的に低空飛行で、それが料理にも表れてしまったかもしれない。勢いが感じられなかった。
 こういう日もある。仕方がない。これに懲りず、来週に向けて気持ちを高めていくことにしよう。更なる高みを目指すなら、未知なるものへの好奇心と冒険心が必要だ。こぢんまりと和でまとまろうとせず、見知らぬ外国への旅に出よう。サンデー料理に美味しさを求めてはいけない。
 来週はラクダに乗って月の砂漠をいくか、陽気にバンジョーをかき鳴らしながらサボテンをバックに歌い踊るか、はたまたガンジス川の流れに身を任せてスパイスの香りに酔うか。頭の中ではすでに放浪が始まった。日曜日に心が辿り着いた先の料理を作ろう。それがたとえスカンディナヴィア半島の先端だったとしても。

三度目の藤前干潟は今日も海の底だった

名古屋(Nagoya)
満潮藤前干潟

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-300mm(f3.8-6.3), f6.7, 1/350s(絞り優先)


 満潮の 藤前干潟 ただの海

 今日は川柳から入ってみた。
 藤前干潟(ふじまえひがた)へ行ったのは今回で三度目となる。そのいずれも満潮という運のなさ。毎回どこかへ行ったついでに寄ってるだけだから、そう都合良く干潮時に当たるわけではないにしても、三回行けば一回くらい干潮でもいいじゃないかと思うのが人情だ。おお、藤前干潟よ、どうしておまえは満潮なんだ?
 干潟の定義、それは内湾の河口に広がる遠浅の海のことをいう。干潮になると海底が顔を出し、カニやゴカイがはい出してきてエサを探し、それらを狙って鳥たちがやってくる。そしてその鳥を狙ってカメラを持った人々が集まってくるという自然のサイクル。しかし、満潮時の干潟でカメラを手に持って、ヌーボーとしてる人間は私だけであった。自然のサイクルからはみ出したやつ。

 愛知県民なら記憶に残っているだろう、何年か前、ここはゴミ処理場になる予定だった。しかし、市民の強い反対運動が起こり、国まで巻き込んだ騒動を経て、最終的には埋め立て中止となり、今に至っている。自然を守るという理由だったのだけど、このへんの経緯は万博と海上の森のケースと似ている。
 そんなゴタゴタはあったものの、自然環境を守ることの大切さを考える上でいいきっかけになったと捉えたい。
 現在名古屋市は日本一ゴミ分別が厳しい市となっている。それはこの藤前干潟を守るためだったということを知っている人は案外少ないかもしれない。それまで名古屋(愛知県)はゴミに関してあまりにもルーズすぎて、処理場がパンク寸前だった。それでここにあらたなゴミ処理場建設の計画が持ち上がったわけだけど、作れなくなったからには分別してゴミを減らすしかないということで始められたのが新しい分別システムだった。
 全国的にだんだん厳しくなってきてるようだけど、名古屋がその先駆けだったんじゃないかと思う。出すゴミは13種類に分けなくてはいけない。プラスチック容器包装、紙製容器包装、ペットボトル、空きびん、空き缶、紙パック、新聞・雑誌類、可燃ごみ、不燃ごみ、スプレー缶、粗大ごみ、リサイクル家電製品、リサイクル家庭用パソコン、と。
 始まったのは2000年で、最初は大変だった。どれがどのゴミになるかさっぱり分からず、ゴミ置き場には指導者のような人が見張っていて間違えてると説教を食らったりした。違う日に違うゴミを出すと持っていってくれなかったり。あれから6年経って、確かに面倒ではあるけど、もう慣れた。愛・地球博でもたくさんのゴミ箱が置かれていて分別してたのを覚えてる人もいるだろう。
 おかげで名古屋はピーク時の3分の2くらいまでゴミが減ったというから効果はしっかりと表れている。やればできる。多少面倒でもこうやって干潟を守っていると思えばなんてことはない(と思えない人もいるだろうけど)。

 守られることが決まった藤前干潟は、2002年ラムサール条約登録地になった(水鳥にとって貴重な生息地である湿地を開発から守るための条約で、イランの都市ラムサールで締結されたのでそう呼ばれる)。これでひとまずは安心だ。現在ここは日本最大の渡り鳥飛来地となっている。面積250ヘクタールの干潟には、春と秋にたくさんのシギやチドリたちが立ち寄って、栄養補給をしていく。長い渡りに備えて。一番多かったときは1万羽以上がやって来たという。
 一年を通してもさまざな鳥がここで暮らしている。私が行ったときは、写真のように遠くの方でカモっぽいやつらがプカプカ浮いていた。って、遠っ! あんなところはフィールドスコープでもなければまったく届かない。大声で叫んでも1羽たりとも逃げ出さないほどの距離。満潮のバカヤローと叫びたかった。

 愛知県には海上の森と藤前干潟がある。これは県民として喜ばしいことだし、日頃から積極的に関わって友好関係を築きたいところだ。愛・地球博の記憶とともに、今後とも守っていかなければならない場所でもある。
 ただ、藤前干潟はもう少しまわりの環境を整備してもいいんじゃないかと思う。行ってみると分かるけど、完全な工業地帯で、観光気分で行くと自分がひどく場違いなところに迷い込んでいるように感じられて不安になる。案内看板もないし、歓迎ムードもない。それこそ満潮時なら普通の海辺の工業地帯としか思えず、初めて訪れた人はそのまま帰ってしまう可能性がある。堤防沿いの土地も遊んでるし、公園や駐車場を作ったりするスペースは充分ある。そのへんは環境破壊にはつながらないだろうから、もう少し歓迎ムードを作っていったらどうだろう。学校の野外学習にもいい場所なんだし。
 これから行こうとしている人へ。
 なんといっても潮見表を調べて、干潮のときに行ってください。満潮のときに行っても、楽しくもなんともないです。干潟に入るつもりなら、裸足覚悟で。サンダルは埋まって歩けず、脱げたやつが行方不明になります。
 私も今度こそ干潮のときに行ってみたい。

 カメラ持つ 男がひとり 工業地帯
 字余り……。

ポップアップ・トースター選びと値段の話

物(Objet)
ポップアップトースターを買ってみた

Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/20s(絞り優先)


 美味しい食パンを買ってもオーブントースターでは美味しい食パンにならないということに今さらながら気づいた。トースターという名前のくせに、実はトーストは苦手というオーブントースター。
 食パンはやはりポップアップトースターだろう。食パンを焼くというただひとつの使命のみを背負って生まれてきたポップアップトースター。自分、それ以外のことは何もできません。不器用ですから……。高倉健さん的なカッコよさ。
 いざポップアップトースターを買おうと決めて、まず問題となるのが値段だ。値段かよ! 性能よりも、デザインよりも、メーカーよりも、まず値段。そこから出発して最終的な妥結点を見いだしたい。
 だいたいこれくらいっていう相場の見当がつかないまま2,000円くらいかなと思いつつ、いつものようにオークションを見て回る。なんだか値段にバラツキがある。安いのはそれこそ500円くらいから、高いものは1万円オーバーまで。これちょっとよさそうだなっていうのは3,000円くらいのものになる。予算的にはそれでもいいんだけど、2、3回で使わなくなってしまう可能性を考えるとちょっともったいないような気もする。
 すぐに飛びつくとたいていロクなことにならないので、一週間くらい様子を見て、だいたい相場が掴めたところで買うのを決めた。TESCOMのCT20TESCOMなんて聞いたことがないメーカーだけど、定価は8,400円とまずまずだったし、性能的にも920Wと670Wの切り替えができて、解凍焼きや焼き色調節ダイヤルなど、ひととおり揃ってるから問題はないだろう。デザインも気に入った。シャッターふたというのも気が利いている。送料合わせて1,500円くらいと格安で買えたし、まずどんなものか試しに使ってみるには申し分ない選択だった。

 早速焼いてみる。外はサクっと、中はふんわりといくかどうか。で、いったのか、と私に問いますか? そりゃ問いますよね。うーん、とうなんだろう、たぶん、と答える私。何しろまだ一回しか焼いてないのではっきりしたことは言えないのだ。そもそも食パン自体、ここ最近で4回くらいしか食べてないし。ただ、はっきり分かったことといえば、私は厚切りよりも薄切りでカリカリに焼いた食パンが好きらしい、ということだ。って、それとトースターの性能とは話が別だろう。
 もう一回焼けばもう少しはっきりしたことが言えると思うんだけど。ブログに書くのを早まったかもしれない。食パン自体も、前は美味しいパン屋さんで買ったのに対して今回は近所のスーパーの中で買ったものだから、その違いもあったと思う。
 同じパンをポップアップトースターとオーブントースターで焼き比べれば分かるのか。今度はそうしてみよう。私は決して味音痴などではないのだということをそのときこそ証明してみせる。

 しかし、こうなってくると、気になるのがトースターの性能差だ。聞いたことがないメーカーの定価2,000円くらいのものと、有名メーカーの1万円を超えるものとでは焼き上がりの味に明らかな差が出るものなのだろうか? 更に外国に目を向けると、3万円を超えるトースターなどもある。何々ホテル御用達、なんて言われると、なんだかものすごく欲しくなってしまうではないか。イタリアンのデザイナーズのようなトースターもインテリアとしては最高だ。あれこれ買って使い比べてみたくなってきた。
 いろいろ調べていたら、英国製がとても魅力的で私を誘ってくる。食パンはイギリスパンと言われるだけに、やはり英国が本場と見るべきだろう。アメリカにも伝統的なメーカーがあるけど、ここはひとつ英国でいきたい。って、ホントにいくつもりか!?
 ラッセルホブスは、イギリスの代表的な家電メーカーで、ここのトースターは欧米のホテルなどでも高い評価を得てるらしい。1万円くらいと、買って買えない金額じゃない。
 しかし、上には上がいる。その名もデュアリット。英国の業務用、ホテル用の電気調理メーカーで、一番安いトースターでも2万円、高いものでは4万5,000円もする。何しろ職人さんがひとつひとつ手作りしてるというから値段も高くなろうというものだ。今でも昔のままのデザインのものを、総煉瓦造りの建物で手作業してるらしい。4万5,000円という金額自体は庶民でも買える値段ではあるけど、トースターにその値段となると、心とお金に余裕がないとなかなか手が出せない。私? そんな余裕があったら、デジをもう1台買うぞ。
 4万5,000円のデュアリット製トースターで焼いた食パンは一体どんな味がするんだろう? 敷島パンなんて焼こうとしたら、入れたとたんに勝手にポップアップしてパンをはじき出してくるんじゃないかと心配になる。職人の魂が拒絶するかもしれない。よかったら、誰か買ってみてください、デュアリット。そして、どんな味がするのか私に教えてください。使わなくなったら私にくれてもいいです。

 その他、トースター選びのコツとしては、やはりワット数が高いほどいいというのがある。パンの中身の水分が飛ばないうちに一気に焼き上げるから、表面はカリッとして中身はふわっとなる。冷凍する人なら解凍ボタンがあるやつにした方がいいし、一枚焼き専用の人は一枚焼きボタンがあると便利だろう。山型の食パンが好きなら、山型用の横向きに入れるトースターもある。焼き色調節もできないよりできた方がいい。
 焼く前にトースターをあらかじめ温めておくのがポイントだ。その方が美味しく焼ける。厚切りパンは表面に少し切り込みを入れるといいそうだ。
 ポップアップトースターのデメリットはといえば、ピザなんかが焼けないことはもちろんのこと、バターを乗せて焼けないというのもある。これは個人的にちょっと残念だ。焼き上がったパンにバターを伸ばして付けるのは難しい。
 あと、銀色はおしゃれでインテリアとしてはいいんだけど、指紋がベタベタつくのがやっかいだ。特に過去に指紋をよくとられた人にとっては苦い思い出がよみがえってしまう恐れがある。あんまり指紋が付くもんだから、しまいには手袋をして持ちたくなってくるほどだ。ハングマンのように指紋を消してしまうかとさえ思う(そこまでは思わないだろう)。

 毎朝食パンを食べる人なら、1万円くらいは小さな贅沢として自分や家族のために買ってみてもいいかもしれない。デュアリットはともかく、ラッセルホブスの1万円は高くない。20年は壊れないだろうし。
 私は当面、このTESCOMでいこうと思う。まずはオーブントースターとの仕上がりの違いを区別するところから始めよう。目隠しして、皿をシャッフルしたあと、両方食べてどちらがどちらで焼いたか当てるのだ。でもそれ、ひとりでやっても盛り上がらないだろうなぁ。

ホトケノザが呼んだ恋の妄想が暴走中

花/植物(Flower/plant)
春の野草第2弾ホトケノザ

FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-300mm(f3.8-6.3), f6.7, 1/35s(絞り優先)


 やっと見つけた春の野草第2弾は、ホトケノザ。なんだか木のベンチに寄り添う恋人同士みたいに見える。そんなふうに見えてしまうのは、もしかして私も久本マチャミと同じ恋愛ノイローゼにかかっているというのか!? だとしたら危険な兆候だ。春だけど恋の妄想が暴走するのは食い止めよう。ストップ・ザ・恋愛妄想。目指せ恋愛事故ゼロ! って、それはそれでよくないだろう。恋の60キロ走行でいきたい。

 ホトケノザ。春先の雑草扱いされることもあるこの野の花は、「仏の座」などといういい名前が付けられている。茎を取り巻く2枚の葉の様子が仏様の座る蓮華座を連想させるところから付けられたという。
 別名はサンガイグサ(三階草)。葉が段々につくことから付けられた。ただし、やっぱりホトケノザと呼ぶ人がほとんどだと思う。
 春の七草のホトケノザは、タンポポみたいな黄色をしたコオニタビラコのことで、こいつのことではない。七草にホトケノザなんて入れた日にはものすごくまずくなるから気をつけたい。ただ、花の蜜は美味しいらしく、昔これを学校帰りにチューチュー吸って帰ったちびっこもいたんじゃないだろうか。私も吸っていたような気がするけど気のせいだろう。
 とてもありふれた雑草で、日本ではほぼ全国どこででも見られる。ただし、北海道にはないというから、生まれも育ちも道産子という人は、もしかしたらホトケノザを見たことがないのかもしれない。
 世界では、東アジアを中心に、ヨーロッパやアフリカの北あたりに咲いているそうだ。
 草の丈は10cm~30cmくらいで、基本的には3月から6月くらいにかけて花を咲かせる。例外的に秋に咲いたり、真冬に咲くこともあるらしい。
 帰化植物とはいえ、有史以前にやって来たというから、ほとんど国産と言っていいだろう。聖徳太子も子供の頃はこれをチューチュー吸っていた、という記録はどこにもない。たぶん、そんなことはしてないと思うけど、してたらちょっと嬉しい。

 ホトケノザは、したたかな戦略で子孫を増やして繁栄を続ける。まずは花を筒状にして蜜だけを取られないように小さいハチだけを中に招き入れて、背中に花粉がつくような仕掛けをほどこしている。近づいてよく見ると花にオレンジ色の部分があるけど、それがおしべだ。
 それだけでは確実とは言えないので次なる手を打つ。花が咲き終わったあとに咲かない小さな花(閉鎖花)を咲かせて、その中で自家受粉をして実をつけるのだ。これが第2作戦。
 だめ押しとして種にも細工がしてあって、種の先にアリが好きなエライオソームなる成分を持たせておいて、アリに運ばせるという手も打ってある。アリは何故だかこの種を運びたくなってついつい運んでしまう。しばらくしてエライオソーム成分が消えてしまうと、アリはハッと我に返って、どうしてオレはこんなものを運んでいたんだ? とその場に種を放してしまうというわけだ。
 非常に賢いというかしたたかなホトケノザ、私もいい部分は見習いたいと思う。

 花の先をよく見ると、唇の形をしてることに気づく。いや、それは私の恋の妄想がそんな連想を生むというわけでは決してない。ちゃんと唇形花冠(しんけいかかん)という呼び名が付いている。しかし、そうやって意識すると蜜も吸いにくくなるなぁ。って、やっぱり吸ってたのか! いやいや、大人になってからはしてませんってば。野草を引っこ抜くなんてことは、もうできない体質になってしまった。
 春が深まってくると、公園や道ばたでもでもたくさんこのホトケノザが見られるようになる。場所によってはびっくりするくらい群生してることもある。
 道を歩くときは少しだけ空き地なんかに気をつけてみてください。きっと春を待ちわびたホトケノザたちが、首を長くして咲いているところを見ることができるはずです。そのときは、ホトケノオオタこと私のことを少しだけ思い出してくださいね。

名古屋で一番マイナーな展望台アクアタワー

名古屋(Nagoya)
アクアタワー昭和40年代風

Canon EOS 650+SIGMA28-200mm(f3.5-5.6)+Kodak GOLD100/ D2400UF


 フィルム一眼で写真を撮って、ネガをスキャンしたら、何故かこんな写真が出来上がってきた。やけに古めかしいというか、渋みの極地みたいな画質だな。なんでこんなことになってしまったんだろう。昭和40年代の写真っていっても通用しそうではないか。とても平成18年に撮った写真とは思えない。
 スキャナの調子が悪かったのかどうかよく分からないけど、こんな味の写真は狙って撮れるもんじゃないからこのまま採用してしまおう。笑えるシーンじゃないけど笑える。なんだこりゃ、と思わず独り言をつぶやいてしまった。

 中央左寄りに移ってるタワーがなければ、相当古い写真に見えるだろう。私が子供の頃見た写真に雰囲気が似ている。しかも色あせてセピア色になったやつに。けど、タワーがあるから古い写真ではないことが分かる。これは平和公園の一角にあるアクアタワーだ。
  2002年に完成したこのタワーは、名古屋市で最新の配水場で、市の東一体の地区に水道水を配給している。千種区のこのあたりは丘陵地帯が多いため、パワーの強い給水塔を必要としていた。600立方メートルの貯水タンクにいったん汲み上げて、そこから落下させることで水圧を生み出しているという。これができて以来、この地区の民家の水の出が良くなった、のかどうかはよく知らない。たぶんなってると思うけど、住人ではないのではっきりしたことは言えない。
 高さは公称約50メートル。なんで約なんだろう? 49メートルと45センチとかなんだろうか? でも、設計の段階でそのへんの数字は合わせるだろう、普通。50メートルのつもりで作って、完成したらぴったりにならなかったとでもいうんだろうか。できることならはっきりした数字を聞いてすっきりしたい。
 高台にあるので、標高でいうと約130メートルになる。

 これは給水塔だけでなく展望台でもある。入場無料で、出来た当時は月曜定休以外はいつでも登れたのに、最近は土日と祝日しか入れないようになってしまった。それでも訪れる人は少ないという。名古屋一のマイナー展望台と言えるだろう。入れる時間も午前10時から午後4時までと、いまひとつやる気が感じられない。営業用ではなく市のサービスなんだろうから多くを望む方が間違いか。中には飲食店などは一切なく、もちろんおみやげ屋さんもない。あるのはちょっとした資料展示くらいだ。自動販売機くらいはあるかもしれない。
 展望はというと、とりあえずお墓はたくさん見えるらしい。平和公園だけに。らしい、というのはまだ私は登ったことがないことを意味している(登ろうよ)。
 一方向は壁になっていて三方向しか見えないというのも軽い脱力感を誘う。見える景色もここからではほとんど面白いものは見えない。名古屋の街並み自体が低くて見どころが少ないうえに、名古屋城やテレビ塔、名古屋駅のタワーなどは距離的に遠すぎる。夕方も4時に閉まってしまうから、真冬でも夜景は見られない。人気の出る要素が見当たらない。給水塔なんだからいいじゃないかとも思うけど、せっかく展望室を作ったんだから、もう少し何らかの存在価値が欲しいところだ。土曜日だけでも夜景デーとして夜8時頃まで開けるとか。ただ、夜はまわりがお墓だらけってことで好んで行きたい場所とは言えないかもしれない。
 一大イベントとしては、春分の日と8月8日の2日間、東山給水塔と同様、名古屋の水道水を缶に詰めた「なごやの水」がタダでもらえる、というものがある。価値があるかどうかは別として、珍しいものではあるのでここはひとつ、ぜひとも手に入れてください。私は特に欲しくないです。

 あなたもぜひ、アクアタワーに登ってたくさんの墓石を見下ろしませんか? 何か感じるところがあるかもしれません。平和公園好きの私としても一度は登っておかねばなるまい。でも、どうせ行くなら「Noel」のアクアタワーの方がいいな。佐野倉恵壬に会いたい。
 何の話かって? いや、こっちの話です。気にしないでください。

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