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身の丈にあった料理を作るべし。それが先週の教訓だった。
今日作ったのは1メートル70センチの料理、パスタとスープ。これなら楽勝だろう。
と思ったのだけど、やっぱりそう簡単にはいかないのだった。足りなかったのは私の身長か、それとも料理の腕か?(そりゃ料理の腕だろう)
ちょちょいのちょいで作るはずが、むむむっとうなったり、将棋でいうところの長考に入ったり、鍋をひっくり返して叫んだりしてるうちに月日は流れ、というほど流れてないけど、なんだかんだで1時間10分を要することになったのだった。おかしいな、これくらいならパスタを茹でてる間に作れるはずだったのに。
ひとつ問題なのは、コンロが2つしかないということだ。たいていの家庭でもそうだと思うけど、3ヶ所同時進行で火を使わなければいけないシーンが出てきたときに途方に暮れてしまう私なのですよ。
今日の場合だと、パスタを茹でるのと、スープの下地を作るのとで2つ埋まってしまい、パスタの具材を炒める箇所がなーいのであります。こういうときでも手慣れた主婦の人たちはうまくやってるんだろうなと思いつつ、仕方ないのでスープ作りをいったん中断して具材を炒めることにした。のはいいんだけど、そうこうしてるうちにパスタを茹ですぎたー。あー、やっちゃった!?
アルデンテなんてとっくの昔の通り過ぎて、ふにゃふにゃの腰砕け麺と化していたのだった。お父さんはキミをそんな腰抜けに育てた覚えはありませんっ、と麺に向かって説教してももう遅い。東京から新幹線に乗って名古屋で降りるつもりが、寝過ごしてハッと起きたら京都を過ぎて新大阪の手前だった、みたいな。もはや取り返しがつかんっ。
もうひとつ事態をややこしくしたのは、スープを普通のものじゃなく、焼きおにぎり入りのイタリア風オニオンスープなどというこしゃくなものにしてしまったところにもあった。
おにぎりを握る手がご飯粒だらけでどうした、私? と自問自答してしまったぞ。握れど握れど、わがご飯まるくならざり、ぢっと手を見る、石川啄木、的な。
これはおにぎりを握る前に両手に何か仕掛けを施しておかなければいけなかったらしい。後から知ったところによると、手には水かサラダ油をつけておくんだそうだ。そんなこと学校では習わなかった。知らないことってたくさんあるのね。
お百姓さん、ごめんなさいと思いながら米粒だらけの手を洗い流している間にもパスタが加速度的に冷めてのびていくのをとめるすべはない。もうそこで好きなだけのびていなさい、と放任主義に教育方針を切り替えることにした私であった。
味は例によって、今日も65点といったところか。キノコとトマトのクリーム・パスタが足を引っ張った。焼きおにぎり入りオニオンスープはけっこう美味しかったから、これは自己採点で80点くらいあった。パスタはこれが店で出てきたら、温厚な私でも暴れたかもしれない。
とにかく時間配分を間違えたのが一番の敗因だった。まだまだ料理は私にとって難しいものがある。身の丈にあったものを作るつもりが、これでもまだ背伸びが必要だったようだ。来週は卵かけご飯にしようかな……。
いやいや、ここで弱気になってはいないよ。簡単なものを作っていたんじゃいつまで経っても上達しないからね。難しいものに挑戦するから限界を知り、限界を超えられるようになるのだ。
よし、来週は身の丈2メートルくらいの大男料理を作ってみせる。
ん? それってどんな料理なんだろう?