
OLYMPUS E-1+Super Takumar 28mm(f3.5), f8, 1/400s(絞り優先)
9月も半ばを過ぎてなんとなく心がソワソワしてるのは、一年前の今ごろ、愛知万博の終盤に駆け込みで行ったときの記憶がよみがえってきているからかもしれない。私が行ったのが去年の9月22日だったから、あれからほぼ一年経ったということになる。懐かしいような、ひどく遠い出来事のような、甘く切ない記憶がうずく。
2005年の3月25日から9月25日までの半年間に渡って開催された愛・地球博。入場者数はのべ22,049,544人。その中のひとりとして私も間違いなくカウントされている。地元開催ということで行かなくてならないという強迫観念が重荷となり、最後の最後まで行けなかった愛知万博。でも、ようやく終了間際に出向いていったら、思いがけず大きな感動をもらって帰ってきた。行っておいてよかった、行かなかったら一生の不覚だったとまで思えたあの日も、今となっては遠い。
あれから一年、今会場はどうなっているんだろうとずっと気になっていた。今年の7月15日に一部が再オープンして、初日は1万人が訪れたということはニュースで聞いていた。ただ、実際に行こうと思ったのはここ数日のことだ。丸一年ということで、気持ちの中で大きくなってきたのだろう。
今日の夕方、やっとその気になって行ってきた。そしてそこにあったものは、夢の残骸でさえなく、まるで移動サーカスがよそへ移っていたような跡形のなさだった。本当にここがあの愛・地球博の会場だったのかと疑うほど面影がない。悲しいとか寂しいとかの前に唖然、呆然、あっけにとられて立ち尽くす私。まさか、ここまで名残がないとは……。あのときの華やいだ雰囲気も活気も熱気ももはやどこにもなく、解体工事中にあったけだるささえも消えていた。
正式名称「愛・地球博記念公園」は、公募で決まったモリコロパークとして2006年の7月15日に再オープンした。ただし、現在は第一期の工事が終わっただけで、入れるゾーンはごく一部に限られている(公園全体約194ヘクタールのうち約26ヘクタール)。
自然体感遊具の「水のエリア」、「風のエリア」、「森のエリア」や、愛知県児童総合センター(大人300円・中学生以下無料)、愛知国際児童年記念館(童話館の入場料は大人200円・中学生以下100円)などの子供の遊び場がメインとなっている。
大観覧車は開催中より100円値下げして600円。サツキとメイの家は、往復ハガキによる抽選で当選しなければ入れず、当たった上で入場料を500円も取られる(中学生以下は250円)。
今日はサツキとメイの家を遠くから見ようと思っていたら、そこまではバス(無料)でしか行くことができなくて、歩いていくのは禁止だった。なんてこった。一応、観覧に当選しなくてもバスに乗れて、遠くから見ることはできるのだけど、サツキとメイの家自体が午後5時までなので、私が行ったときはすでにバスは終わっていたのだった。その他、有料施設は全部5時で終わる。
駐車場は北駐車場のみで一回(一日)500円(2輪は200円)。一応許容範囲か。まだ設備が整ってないので、駐車料金は入口で係員に前払いの手渡しシステム。ここは海の家か、と心の中でツッコミが入る。
救いとしては、モリコロパークに入ること自体は無料で、夜も7時まで開いているということだ。ただし、冬場は6時半までなのと、有料施設が休みの月曜は5時までなので注意が必要。
現在、一部オープンのまま第二期工事に入っており、ブルドーザーなどが動いている。次は来年の3月、日本庭園の茶室や森林ゾーンの「親林楽園・林床花園」、フィールドセンターや温水プール、アイススケート場などがオープンする予定になっている。工事はその後も何年か続き、迎賓館、野球場、テニスコートなどが作られ、グローバルループも一部を残して歩けるようになるようだ。
閉幕一周年記念イベントとして、今週末9月23日、24日は、「モリコロパーク夜まつり」が開催される。土曜は夜9時まで、日曜は8時まで、夜店が出たり、太鼓が叩かれたり、よさこい祭りが行われるそうだ。モリコログッズも販売されるようだから、そのあたりもねらい目かもしれない。トヨタのクラシックカーやロボットも再集結とかなんとか。

1時間ほど公園内を歩いていたら、すごく涼しいことに気づいた。去年行ったときは汗だくになったのとはまるで別の季節のようだ。入口でペットボトルを取り上げられた私は、会場内で2本もアクエリアスを買って、更に帰りには缶コーヒーまで買ったことを思い出す。今日の愛・地球博会場跡地にあのときの熱はなかった。
愛知万博の興奮と感動よ再び、という期待を胸に秘めて出かけてはいけない。あのときの夢の中にいたい人は特に。今、モリコロパークを訪れると、愛知万博に対する百年の恋も冷めるだろう。
子供連れで子供を半日遊ばせるなら悪くない。それなりに遊べる施設はあるので、子供も退屈しないと思う。ただ、カップルで行くにはあまりにも見どころがなさすぎるし、ましてや私のようにひとりで出かけていくと身の置き所がない。夕陽の観覧車でも撮ってるより他にすることもなく。
ただ、逆に言えば、いまだ愛・地球博の夢覚めやらず元の生活に戻れてないなんて人が行くべきところなのかもしれない。あそこに立って、あの光景を見れば、ああ、ホントのホントに愛・地球博は終わってしまったんだなぁという実感を噛みしめることになるだろうから。
ああ、なんと罪深き、モリコロパーク。いっそのこと青少年公園に戻すか、モリゾーとキッコロをあそこに住まわせて常駐させておいて欲しいぞ。海上の森2005番地から引っ越して。そうすれば、わずかでもあのときの浮き立つ気持ちも戻ってくるに違いない。そして公園内には、DAHLIAの公式イメージソング「I'll be your love」をエンドレスで流すのだ。