
PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm f2.8-4 Di
馬鹿と煙は高いところへ登るというのと、馬鹿は風邪引かないというのが本当だとしたら、高いところへ登れば風邪を引かないことになる。かなり強引な論理だけど、風邪を引いてる人間が高層ビルの展望台から景色を眺めようなんて思わないから、その理屈はまんざらデタラメでもないかもしれない。
どうして馬鹿は高いところへ登るというのか、あなたは知ってるだろうか。私はさっき知った。高いと他界を掛けて、馬鹿なやつはわざわざ自分の身を危険にさらすようなことをするものだという意味なんだそうだ。へー、なるほど、そういうことか。煙が馬鹿だといってるわけではない。
これまであちこちの展望台に登ってきて、肝心の日本一にまだ登っていなかった。横浜ランドマークタワーは、1993年(平成5年)の開業以来、15年間日本で一番高いビルであり続けている。これだけ超高層ビルが乱立する中、15年間というのは大したものだ。設計が優れていたというのもあるだろう(設計はアメリカの建築家ヒュー・スタビンスで実質的には三菱地所が担当)。地震列島の日本は、外国とは事情が違う。世界でいえば、ランドマークタワーは44番目でしかない。
今後の予定を見ると、2014年予定の近鉄阿部野橋ターミナルビルがランドマークを抜いて日本一になるようだ。三重県出身の私としては近鉄というのは地元の電車という感覚が強いのでちょっと嬉しい。
ちなみに国内高層ビルベストテンは、2位3位が大阪のワールドトレードセンタービル、 りんくうゲートタワービルで、5位6位に名古屋のミッドランドスクエア、JRセントラルタワーズとなっていて、4位のミッドタウンができるまでベスト5に東京のビルが入ってなかったのだ。7位は東京都庁、8位はサンシャイン60、9位が六本木ヒルズで、10位が新宿パークタワーと、このあたりは納得の顔ぶれだ。
これで私はベストテンの中では大阪の2つと新宿パークタワーを残すだけとなった。ただし、りんくうゲートタワービルの展望台は低いところにあるようだし、新宿パークタワーは一般の展望台はないので、実質的には大阪ワールドトレードセンタービルだけとなった。もしくは、新宿パークタワーのパークハイアット東京に泊まるという手もあるにはある。そこまでするか。
ビルの高さベストテンではなく、展望台の高さベストテンということで調べ直した方がいいかもしれない。

ビルは70階建てで高さは295.8メートル。展望フロアがある69階は、地上273メートルで、これも日本一だ。東京タワーは高さ333メートルでも、特別展望台は250メートルだから、それよりも更に高い。
スカイガーデンには日本一の速さを誇るエレベーターで一気に登る。その間、わずかに40秒。最大で分速750メートルに達し、2004年に台北101のエレベーターに記録を破られるまでは世界一だった(今でも下りの速さは世界一)。確かに速いには早いけど、耳がすごいことになる。名古屋テレビ塔の情緒溢れるのんびりエレベーターの方が私は好きだ。テレビ塔のエレベーターをランドマークタワーに導入したら、ものすごく時間がかかってしまうけど。
名目上は360度の展望となっているものの、一部はショップや壁になっていて完全な全方向ではない。ただし、こういうところにありがちな一番いい一角をレストランなどが占めてしまうというのがないのは良心的だ。何しろ1,000円取るくらいだから、それくらいは当然か。JAF割引で900円でも高い。
雨の日や視界が悪い日は割引があるというのはちょっと面白い。遠くから行く人は日にちを選べないことも多いから、そういうサービスがあってもいい。
夜は9時までと、案外早い。土曜と夏休み期間は10時まで延長になる。
行った日は祝日の夜ということで、まずまずの混み具合だった。フロアは広いから混雑ということにはならないものの、窓際は大部分が占領されているから多少の待ちは発生する。座るところは少ない。

大きな観覧車でお馴染みのコスモワールドや、コンチネンタルホテルなど、みなとみらい21を代表する風景の一角だ。こちらが東北ということになるだろうか。
あの観覧車は去年乗った。桜木町駅から歩くとけっこう遠い。直接遊園地方面に行くなら、横浜高速鉄道みなとみらい線のみなとみらい駅からの方が近い。ランドマークタワーもそっちからの方が近いだろう。
コスモワールドの向こうには赤レンガ倉庫があって、その更に奥が横浜大さん橋ふ頭だ。山下公園は写真では切れてしまっているけど右手にある。写真右下に写っているのが、汽車道だ。
晴れた昼間は、東京都庁やサンシャイン60、南西には富士山も見えるという。
一番いい時間帯は、夕暮れから夜景にかけてだろう。長居できるならもう少し早めに行くと3種類の景色を楽しむことができる。

南側は桜木町駅方面。右下に見えているのが動く歩道だ。
駅前はあまり発展していないことが分かる。超高層ビルが林立するような風景ではない。ただ、駅から出てすぐ左手で大がかりな工事をしていたから、ここに何か建つようだ。大きなビルや新名所などができれば、また桜木町の風景も変わっていくだろう。
みなとみらい21は、まだできて新しい発展途上の街だ。1980年代までは、三菱重工横浜造船所や国鉄の操車場や貨物駅などがある工業地帯だった。80年代に入って、この好立地の土地を再開発して人を呼ぼうということになり、1983年にみなとみらい21事業は始まった。この名前は公募で決まったそうだ。ランドマークタワーの住所の横浜市西区みなとみらい2-2-1というのは偶然ではないのだろう。
1989年には横浜市制100周年を記念して横浜博覧会が開催され、そのとき動く歩道も造られた。
ランドマークタワーが完成した1993年がひとつの大きな節目になり、その後発展が続き、現在に至っている。

スカイカフェと、そこから見える夜景。
椅子があるから座ってしまえと思うと、ここは店のものだったりする。休憩所ではない。座りたければ何か飲み物を注文しろということだ。人が多いときは、窓際はなかなか空きそうにない。

一角にタワーショップがあって、記念品やおみやげなどを売っている。金色に塗られたランドマークタワーのミニチュアやペナントは売ってない。おみやげ物にあまり興味のない我々は軽くスルーした。そういうのが好きな人にとっては楽しいところだろう。ここでしか買えないものもいろいろあるようだ。
そういえば、外国人が少なかった。たまたまだったのか、そういう傾向があるのか、どちらだろう。東京の高いところへ行くと中国語やハングル語やいろんな言語が飛び交っているけど、横浜は外国人観光客が少ないのだろうか。同じ神奈川県でも鎌倉はやたら異人さんが多い。

観光客からするとランドマークタワーというと展望台というイメージしか持ってないのだけど、もちろん中には様々な施設や店舗が入っている。
49階から70階までは横浜ロイヤルパークホテルが占め、1階から49階まではオフィスフロアになっている。意外と商業施設は少なくて、飲食店もあまり多くない。やはり横浜というとみんな中華街の方に流れていってしまうのだろう。
飲食店や店舗は、タワー本体にコブのようにくっついているランドマークプラザという建物の中に集中している。上の写真がそれだ。
構造的に少し分かりづらいところがあって、帰りに動く歩道が見つからず迷ってしまった。

外は寒いし、ノアで歩き回ったし、中華街まで移動するのは大変ということで、ランドマークの中で食べていくことにした。
横浜名物って何だろうと考えると、思いつかない。中華街以外というと何になるんだろう。鎌倉名物というのもあまり思いつかなくて、こっち方面に来ると夕飯に何を食べるか迷う。
ちょっと面白そうで無難そうな「味散歩 横濱文明開館」というところにした。和洋中が揃っていて、古き良き昔ながらの食堂を再現したというのに惹かれた。
しかし結果的にこれははずした感があった。本気で古いものを再現しようという気概はなく、それなりに体裁を整えてほどほどの料理を手頃な価格で提供するという店だった。

私はカツ丼を、ツレは味噌ラーメンにした。
味はまずまず以上ではない代わりに量は多い。ご飯を食べきれなかった。写真を見るとけっこう美味しそうなんだけど、味にパンチがなかった。
ちょっと不思議だったのは、喫煙席が景色のいい窓際で、禁煙席が見晴らしの一切ない内側というシステムだ。普通逆じゃないのかなと思うけど、この店では喫煙者が優遇される。オーナーが大の愛煙家とかなんだろうか。

タワーを出たところで見上げて一枚。さすがに高い。至近距離からでは上の方が見えない。雲が低くたれ込めると、タワーの頭が雲から出るという。
外からランドマークタワーの写真を撮るときは、週末よりも平日の方がいい。休みの日はオフィスの明かりが消えているところが多いから暗くて面白くない。これはどの高層ビルにも言えることだ。

動く歩道横の通路からも最後に撮っておいた。
右手前にあるのが日本丸だ。これもみなとみらい21のシンボルの一つになっている。
この辺り一帯は、日本丸メモリアルパークとして整備されていて、日本丸にも有料で乗り込むことができる。横浜マリタイムミュージアムも隣接する。
今回はノア行きが最大の目的で、横浜観光はランドマークタワーだけとなった。まだ山手の洋館巡りが半分残っているし、現在閉鎖中のマリンタワーにも登りたい。中華街でもまた美味しいものを食べたい。前回は5月の終わりだというのにやたら寒かった。大さん橋ふ頭では凍え死ぬかと思ったほどだ。次はもう少しいい季節に行こう。
横浜の街とも少しずつ馴染みになってきた。今後とももっと親交を深めたい街だ。