鍋田といえば猛禽が見られる干拓地としてその筋では有名な探鳥地 - 現身日和 【うつせみびより】

鍋田といえば猛禽が見られる干拓地としてその筋では有名な探鳥地

鍋田干拓のキジ




 名古屋近郊で猛禽を見られる貴重なポイントとして知られる鍋田干拓は、一般の人は一生無縁の場所かもしれない。
 名前くらいは聞いたことがあるとしても、普通はわざわざ行こうとは思わない。何かのついでに立ち寄るようなところではないし、たとえ行ってみたとしても何もない。だだっぴろい農耕地と荒れ地が広がるばかりだ。
 住所でいうと、愛知県西南部の弥富市になる。鍋田川を挟んで西は三重県の木曽岬町だ。
 計画では一面見渡す限りの農地が広がるはずだったのだろうけど、現在は荒れ地になっているところも少なくない。
 にもかかわらずというべきか、だからこそというべきか、ここはたくさんの野鳥が棲みつく自然の野鳥園となっている。特に猛禽が多いことでその筋の人たちの間では有名な場所だ。
 今日あたり鍋田へ行ってみようかといえば、それは鍋田干拓で鳥撮りをすることを意味している。
 昔は、ゼロヨンやドリフトの会場がある走り屋御用達スポットとして知られていたけど、最近はどうなんだろう。

 3年ほど前に一度、一人で訪れたことがある。あれは確か手ぶれ補正の10倍ズーム機C-2100UZを買って、鳥撮りに目覚めて間もない頃だったと思う。漠然と猛禽が撮れたらいいなくらいの軽い気持ちで出向いていって、手ぶらで帰ってきた。
 鍋田干拓といっても400ヘクタールからある広大な干拓地だから、どこが鳥スポットなのかまるで見当もつかず、しばらく呆然と立ち尽くしたのを覚えている。あのときは水路のカモだけ撮って帰ってきた。
 今回は二度目ということで、ある程度あのへんだろうなというイメージを持って出向いていった。しかし、今回も猛禽には出会えず。いても遠すぎて見つけられなかっただけだったのかもしれない。
 一番の収穫はキジだった。鳥の人にとってはキジなんて珍しくないんだろうけど、私は初めて野生のものを見たのでけっこう嬉しかった。こんな冬の田んぼでうろついてるとは思ってなかった。もう少し茂みの中のようなところでコソコソしているイメージだった。
 畑を歩き回ってさかんに地面をつついている。車に対しては無警戒のようで、こちらを気にする様子もなく、エサ探しに夢中だった。



二羽のキジ

 しばらく観察しながら写真を撮っていると、いつの間にか二羽になっていた。と思ったら、三羽になった。全部オスだけだったけど、メスも近くにいたのだろうか。
 調べてみると、キジは毎年全国で10万羽も養殖したものが自然に放たれているんだそうだ。それは知らなかった。主に狩猟用というから、一般にはあまり知らされていないのだろう。そう、キジは日本の国鳥でありながら狩猟対象の鳥なのだ。国鳥になった理由は、狩猟対象として最適で肉が美味しいからなんだとか。そんな理由で?
 放鳥組の一部は野生化しているというから、野生と思って見ているものも実は養殖ものだったりするのかもしれない。ただ、野生化したものも多くは猛禽や動物に食べられてしまうそうだから、なかなか目にしない理由はそのあたりにもありそうだ。
 自然の中で見るキジはかなりの存在感で、初めて見ると驚く。少し違和感もあって、不思議な気もする。ノラニワトリの仲間のような、どこかから逃げ出してきた鳥がうろついているような感じで、野生の鳥のようには見えない。



タゲリ

 これも私にとっては初対面のタゲリだ。
 平安貴族がかぶっていた冠がぴよーんと立っているような冠羽が目印となる。よく見る人にとってはお馴染みの鳥なんだろうけど、街中にいるような鳥ではない。
 飛び上がると白黒ツートンの羽がきれいでよく目立つ。できればタゲリの飛翔シーンも撮りたかった。
 歌舞伎役者の化粧をほどしたような顔と深いグリーンの羽も美しい。
 中国やシベリアなどのユーラシア北部で繁殖して、日本には冬鳥として渡ってくる。
 田んぼなどで小さな群れを作って、地面の中のミミズや虫などを食べている。そのときの様子が足で地面を叩いているように見えることからタゲリと名づけられたとされている。
 チドリ目チドリ科に分類される鳥だけど、チドリよりもずっと大きい。



ケリ

 こちらはお馴染みのケリ。尾張旭の田んぼでもよく見かける。
 今回はどの写真も鳥が小さい。それだけ近づけなかったことを意味している。自然のフィールドでは野鳥園のようにはいかない。
 鍋田干拓では、300mm程度の望遠レンズでは全然届かなかった。車の中に三脚を立てられるなら、デジスコが威力を発揮する。
 ケリの名前の由来は、田んぼを蹴ることからではなく、鳴き声のケリッとかキリッとかいうところからきている。タゲリとは似ているけど名前の由来は違う。分類は同じチドリ目チドリ科となるから、種としては近い。



不明野鳥

 遠目には雀に見えたけど、たぶんそうじゃない。正体は分からなかった。
 飛んでいるのはタヒバリとかだろうか。自信はない。



電線にスズメ

 猛禽は電柱や電線にとまっていることもよくあるそうだから、そのあたりもじっくり探していったのだけど、見つけることはできなかった。



田んぼのモズ

 たぶん、モズ。
 小さな猛禽と出会うことができた。体は小さくても鋭いクチバシを持つ肉食の鳥がこのモズだ。
 獲物を枝などに刺しておく早贄(はやにえ)がよく知られている。昆虫やトカゲ、カエルなどがよくやられている。どうしてああいうことをするのかはよく分かっていないらしい。
 モズは漢字で書くと百舌となる。これは、モズが他の生物の鳴き真似をよくするからで、そこから百の舌という字が当てられた。



たぶんモズ

 これもモズだろうか。後ろ姿しか見えなくてよく分からなかった。
 目の上に黒い線がないから、モズとすればたぶんメスだ。



ハクセキレ

 後半は撮るものがなくなって、目についたハクセキレイでも撮ってみた。
 街の公園や河原などでよく見られるからありがたみはない。
 鍋田はカラスも多いところだった。あれだけ数がいると、単独行動の猛禽では勢力争いに負けてしまうかもしれない。



農耕地

 冬の鍋田干拓は、こんな風景が見渡す限り広がっている。夏に訪れると、もっと青々とした豊かな土地となっているのだろうか。
 干拓地というのは浅瀬の海や池などをせき止めて水を掻き出したり干上がらせたりして陸地にしたものをいう。埋め立てとは違う。
 鍋田干拓の歴史は古く、江戸時代の1835年には八穂新田というのが完成して農耕地となっていた。
 しかしその後、1837年の暴風雨や1842年の洪水など、たびたび水の被害にあい、戦後の食糧難で再開拓されたものの、1957年の伊勢湾台風で大打撃を受けてしまう。海岸の堤防は95パーセントが決壊して、入植者の半数近くが命を落とした。
 1960年に堤防が復旧したあとも農業の先細りなど時代の移り変わりもあり、現在では数戸しか専業農家が残っていないという。近くには東名阪道や伊勢湾岸自動車道などが走っていてインターもあるので、農地以外に利用した方がいいのではないかという声をあるようだ。
 ただ、荒れ地だから猛禽などの野鳥が暮らしやすい土地となっているわけで、こんなふうに遊んでいる土地があってもいいではないかとも思う。



長島スパーランド

 遠くに目をやれば、ナガシマスパーランドの観覧車やジェットコースターが見える。向こうの山脈は三重県の山だろう。
 高くなっているのは木曽川の土手で、この向こう側が葦原となっていて猛禽スポットになっているようだ。車では近づくことができそうになかったので、行くなら歩きということになるのだろうか。干拓地の中は狭い農地があるだけで、どこまで進入していいものやら迷う。下手なところに入っていくと、細い一本道をバックで出ないといけないことになりそうだ。
 結局、猛禽スポットがどこなのかはよく分からなかった。日曜日だし鳥のお仲間がいるんじゃないかという当ては外れた。時間帯がよくなかっただろうか。
 ネットでも、猛禽を鍋田で撮ったという情報はあるものの、詳しい場所までは説明がない。どのあたりと説明しようにも周りに目印となる建物などがないということもある。通っていればそのうち場所も分かるようになるのだろうけど。
 チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ノスリ、ハイイロチュウヒ、ミサゴ、オオタカなどもいるというから、見られるものなら見てみたいし撮ってみたい。夕方にはコミミズクなんかも飛ぶらしい。
 弥富野鳥園は鍋田の東のはずれあたりに位置しているから、セットで行くのもオススメだ。次の機会があれば春に訪れてみたい。

【アクセス】
 ・公共交通機関 路線バスが走っているようだけど車がおすすめ
 ・駐車場 そのへんに
 

スポンサーリンク

関連記事ページ
コメント
非公開コメント

キジは私も一度だけ野生のを見たことがあります。
祖母の家の近くの竹藪を歩いていたら遭遇しました。
子供心に飼いたかったです。捕獲しようとしてましたから・・

2008-02-05 16:30 | from ビアンキ | Edit

もっと近づきたかったキジ

★ビアンキさん

 そうそう、キジってそういう竹藪とか林とか、人目を避けるように薄暗いところにいるってのが私のイメージだったんですよ。
 まさか、田んぼの真ん中で歩いてるもんだとは思わなかった。
 こちらが車の中ということで、人目も気にせず堂々と歩き回ってました。
 出て行っていたらもっと近づけたのかなぁ。
 でも、捕まえるところまではいかないと思う(笑)。

2008-02-06 04:54 | from オオタ | Edit

トラックバック

http://utusemibiyori.com/tb.php/871-00b9e34a