明治村を素直な気持ちで撮るとこうなる ---明治村で撮る<第六回> - 現身日和 【うつせみびより】

明治村を素直な気持ちで撮るとこうなる ---明治村で撮る<第六回>

明治村外風景-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4



 明治村で撮った写真はまだある。整理にもずいぶん時間がかかって、今日になってようやくRAW現像を終えたのだった。自覚した以上にたくさん撮ったらしい。もうしばらく明治村ネタが続きそうだ。
 今回は明治村の外風景を集めてみた。ここまでの中で最も明治村らしさが出ている写真かもしれない。素直な気持ちで撮るとこういう写真になるという典型と言ってもいい。
 上の写真は帝国ホテル前の芝生広場だ。天気がよくてみんな気持ちよさそうだった。こういうふうに座ってくつろげるスペースが少ない明治村では貴重な場所となっている。お弁当を広げるにもいい。実際、小学生のチビどもはここでお弁当タイムをしていた。
 写真の右側に「食道楽」というスタンド食堂があって、そこの名物の「ひき肉と男爵芋のコロツケー(150円)」を食べたいとずっと思っているのに、いまだに食べられないでいる。一人で行って、コロッケ1個買って、歩きながら食べるってどうなんだという心の葛藤があって、それにいつも負けてしまう。いつの日か、私は明治村のコロッケが食べられるだろうか。

明治村外風景-2

 工部省品川硝子製造所の中には「デンキブラン汐留バー」というのがあって、そこで日本初のカクテル「デンキブラン」を飲むことができる。飲んだらしびれそう。
 その他、ワイン、コーヒー、ジュースなどもあって、オープンテラスが用意されている。ここで絵になる人が何か飲んでいる姿は格好の被写体だ。

明治村外風景-3

 明治の終わりに半田市にあった半田東湯が移築されていて、古い銭湯の姿を見ることができるようになっている。
 中は狭い。これで一体何人入れたのだろう。私たちがイメージするような大きな銭湯は、思っているよりも新しいスタイルのようだ。
 見学だけではなく、100円で足湯を楽しむことができる。冬場は出てから寒そうだけど、夏は気持ちいいだろう。歩き疲れたらここで一服してもいい。私は先を急ぐ。この日は3時間半ほぼノンストップで歩き続けて撮り続けた。

明治村外風景-4

 赤レンガの優美な門は、金沢監獄の正門だったものだ。監獄の門にさえこの造形美というのが明治の偉大なところだ。気持ちに余裕がある。建物というのは機能的でありさえすればいいとうわけではないということがこの門一つ取っても分かる。お金をかけて豪華にするというのではなく、きちんと時代の美意識を持って、100年後まで残したいと思える建物を建てて欲しい。
 手前にとまっているのは村営バスで、これに乗って主要なところを見て回ることもできる。ただ、500円の1日券しかないからちょこっと乗るにはもったいない。途中の建物もだいぶ飛んでしまう。1回乗るのに100円とかにしてくれた方が親切だ。

明治村外風景-5

 このときはまだ紅葉が始まったばかりだった。今頃は村内のあちこちが色づいてきれいになっている頃だろう。何度も行ってるのに、桜と紅葉に当たらない。どちらも絵になりそうなポイントはいくつもある。
 向こうに見えているのは、金沢監獄中央看守所だ。その下が檻房になっている。
 当時の金沢監獄では、この看守所を中心に檻房が放射状に伸びていて、一階にある看視室から廊下の様子がすべて見えるような作りになっていたそうだ。
 現在は監獄内に囚人人形がいて、当時の生活の様子を再現している。布団に入るところだったり、ご飯を食べているシーンだったり、生活感たっぷりでちょっと笑ってしまう。狭いながらも楽しい我が家という感じで、監獄の厳しい日々を再現できていない。

明治村外風景-6

 明治村2丁目のメインストリートであるレンガ通りは私の好きな風景だ。このときは閉園間際で人がほとんどいなくなっていたけど、ここはいつも賑わっている。
 正面の建物は山梨県にあった東山梨郡役所で、事務所や村長室などがある。明治村の初代村長が徳川夢声だったことを覚えている人は少ないかもしれない。2代目の森繁久彌の方が印象が強い。現在は3代目を小沢昭一がつとめている。といってもめったに来るものではなく、何かのイベントくらいにしか顔を出さないのだろう。

明治村外風景-7

 明治5年に日本で初めての鉄道駅「新橋」が汐留にできて、その跡地から出てきた赤レンガで作ったのが汐留レンガ迷路だ。明治時代の人がレンガ迷路で遊んでいたとかそういうことではない。
 この発掘赤レンガは汐留火力発電所の煙突基礎部分にも使われている。
 無料で簡単な迷路なので、入った人は迷わずすぐに出てきていた。私は一人で迷路に興じている場合ではないので写真を撮っただけで終わった。

明治村外風景-8

 江戸末期から明治にかけての開国によって外国船のための灯台が必要となった。この品川灯台は、明治3年(1870年)に建てられた最初期のもので、同時期に観音崎、野島崎、城ヶ島も作られている。一番古かった観音崎灯台がなくなってしまった今では、この品川灯台が現存する日本最古の灯台となった。
 とても小さくて、中に入ったりすることもできない。
 光源の機械部分は左の建物の中に保存展示されている。

明治村外風景-9

 明治村の隣には入鹿池(いるかいけ)が広がっている。夏はブラックバス、冬はワカサギ釣りで有名なところだ。私も中学の頃何度か来たことがある。あのときは早朝の3時頃みんなで集まって、自転車でここまで来たのだった。4時間くらいかかっただろうか。今は4時間も自転車をこぐなんてことは考えたくもない。
 だいぶ水量が減っていたのは季節柄なのか、雨不足だからか。カモたちの姿は見あたらなかった。

明治村外風景-10

 日没が近づくと太陽が雲に隠れてしまった。こういう場所でも光は重要で、光があるとないのとでは写真も全然違ってくる。光がなければつまらない写真になってしまうし、光があることで平凡な風景が非凡なものになる。
 でも、夕暮れ時の聖ヨハネ教会堂はちょっとよかった。引きの美学という言葉があるけど、写真における自分と被写体の距離感というのは大切で、近づいた方がいいこともあれば離れた方がかえって印象的になることもあって、そこが難しいところでもある。私が引いた絵が好きなのは、それが私の世界に対する見方だからなのだろうと思う。

 素直にありのままの明治村の様子を撮ろうとすると、今日のような写真になるのが普通だろう。平凡で面白みはなくても、狙いすぎてない安心感はある。もともと私はこういう写真が好みだった。絵はがき的な写真も嫌いじゃない。
 ただ、ここに戻ってくるには一周してくる必要がある。創意工夫と奇をてらった狙い写真を通過して突き抜けた向こう側からぐるりと回って元の場所に戻ってくればいい。狙ってみないと狙いが何故よくないのかも分からないし、これ見よがしで嫌味な写真というのも撮ってみてこそ駄目なところを理解できる。
 明治村というのは本当に勉強になるところだ。被写体に事欠かなくて、可能性がたくさんある分かえって難しくなる。必ずしも上手く切り取る必要はないけど、平凡じゃない個性的な写真を撮ろうとしたときどうやって撮ればいいのか考えるきっかけになる。
 写真を撮るということは、いい写真というのはどういう写真なんだろうという自問自答を続けることでもあると思っている。その答えは撮りながら探していくしかない。私にはまだ見えない。

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コメント
非公開コメント

すごくきれいな写真ですね・・・

私も来週の土曜日に明治村へ行きます(*´▽`*)

見ていて行くのがさらに楽しみになりました。

行くときはカメラを持っていこうかなと思います(*^▽^*)

2013-09-22 20:56 | from ここあ

何度も明治村

>ここあさん

 こんにちは。
 明治村行かれるんですね。
 暑さも和らいで、村内を歩くにはいい季節になりましたね。
 時期的にはこれといった花もないときですが、彼岸花は咲いているでしょうか。
 写真を撮ると楽しさも倍増なので、ぜひ。
 SLと市電も再開してるので、それもオススメです。
 このエントリー記事は、もう6年の前になるんですね。
 あれから何度も明治村は行ってます。お時間がありましたら、カテゴリーの「美術館・博物館」に明治村の写真がたくさんあります。

2013-09-22 23:55 | from オオタ | Edit

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