ブツ撮りの苦手意識克服のために ---明治村で撮る<第四回> - 現身日和 【うつせみびより】

ブツ撮りの苦手意識克服のために ---明治村で撮る<第四回>

明治村ブツ撮り-1

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4



 そろそろ明治村シリーズを再開しないと自分の中で旬の気持ちが色あせてしまうし忘れられてしまいそうだから、ここに再開。今日はブツ撮り編でいこう。ブツ撮りとは言えない写真も混ざっているけど。
 私は写真を撮り始めた頃からブツ撮りに対する苦手意識があって、それは今でも克服できずにいる。ブツ撮りが妙に上手い人がたまにいて、ちょっとうらやましいことがある。ああいうのは大部分センスなんだろうと思うけど、向き不向きというものなのかもしれない。人物写真が上手い人が必ず風景写真も上手いとは限らないように。
 今のところはいろんな人のブツ撮り写真を見て、なんとなくそんなのを真似しながら試行錯誤しているというのが現状だ。確信を持って撮っているわけではない。私が多少なりとも分かって撮ってるのは、人がいる光景の写真くらいなものだ。あれだけは自分がいいと思う光景に確信が持てる。あとは風景も建物もよく分からないまま撮ってる場合が多い。
 そんなわけなので、明治村では意識的にいつもより多めにブツ撮りをしてきた。今日はそんな写真を並べてみたいと思う。

明治村ブツ撮り-2

 シンガーミシンだ。相当使い込まれたようで年季が入っている。
 1号機が発売されたのが1853年だそうで、日本には1900年代になって入ってきた。これは明治の中後期くらいのものだろうか。さすがにここまで古い型のものだと懐かしいというより骨董品だ。私が子ども時代に見たものはここまで旧型ではなかった。もちろん電動でもなかったけど。
 今は、ミシンを踏むなんて言葉も使わなくなった。破れた服は捨ててしまうし、雑巾を縫うなんてこともしなくなった。母親がミシンをする姿というのはなかなかいいものだけに惜しいことだ。
 それにしてもこのミシンはセクシーだ。道具としての美しさがある。明治村を歩いていると、昔の時代の人の方が美意識が上だったんだということをつくづくと思い知る。建物もそうだし、こういう生活用品もそうだ。いつから性能ばかりを追い求めてデザインを置き去りにするようになってしまったんだろう。

明治村ブツ撮り-3

 私は古いものを好む方ではないのだけど、こういう温かみのある暮らしぶりを見るのは嫌いじゃない。昔の家具や生活道具には温もりがある。今は何もかもが冷たい感じがする。味気ないと言ってもいい。
 私も年と共にそういう思いが強くなっているのかもしれない。それが歳を取るということなら、歳を取ることもそんなに悪いことじゃない。

明治村ブツ撮り-4

 懐かしの黒電話だ。最近はまた黒電話がリバイバルブームになっているという話を聞くけど、本当だろうか。それなら、今こそ肩に担ぐタイプの弁当箱スタイル携帯電話を復活させて欲しい。新宿あたりであれを肩に提げて通話してたら人気者間違いなしだ。
 うちの田舎はいまだに黄緑色のような色をしたダイヤル式を使っている。回したダイヤルがジィィィィーといいながらゆっくり戻ってくるから、市外局番の電話番号にかけるとやたら時間がかかるのだ。
 手前のプッシュホンも昔よく見た。一般家庭ではあまり導入されてなかったと思うけど、会社や事務所のようなところはこれが多かった。
 私の年代だと、さすがに交換手につないでもらうというシステムは経験したことがない。けど、子どもの頃は電話を持ってない家庭がまだけっこうあって、アパートなどでは大家さんちの電話にかかったきたものを取り次いでもらうということはよくあった。

明治村ブツ撮り-5

 柱時計はじいちゃんの部屋にあった。じいさんはいろんなものを作るのが趣味で、柱時計も作っていたから、部屋にいくつも時計があった。子供心に、じいちゃん変わってるなと思ったものだ。
 夜中静かな部屋にチクタクチクタク響く振り子の音はけっこううるさかった。時間になるとボーン、ボーン、と鳴る音も。今でもあの音は覚えている。ボーン、ボーン、ボーン。

明治村ブツ撮り-6

 移築された帝国ホテルの内部は、当時の様子が再現されている。食器などはどの程度かつてのものを使っているのだろう。実際に使っていたものではないとしても、時代的には合わせてあるに違いない。
 窓辺の静かなテーブルという感じに写っているけど、実際はこの周りを小学生のチビどもが走り回っていた。まるで帝国ホテルの雰囲気なし。
 明治村と小中学生の相性はかなり悪いと思うんだけどどうだろう。今の時代の小学生に明治時代に興味を持てと要求すること自体に無理がある。行きたくもないのに連れて行かれて、面白くなかったという印象を持ったまま大人になってしまうということも考えられる。家族で行けばいろいろ体験したりして楽しめるだろうけど、学校単位で勉強のためにいくと面白くないところだ。

明治村ブツ撮り-7

 目黒にあった西郷従道の邸宅が明治村に移されて建っている。
 ただし、インテリアはそのままではないようで、このテーブルなどもコーディネーターが資料を参考にしながら作ったものだそうだ。実際にこんな感じだったのかどうかは分からない。
 兄貴の西郷隆盛は無骨な人だったけど、弟の従道はそれなりに洗練された人物だったのだろう。のちに伯爵の位をもらい、伊藤博文内閣では大臣もつとめている。邸宅を見ると、かなり贅沢に暮らしていたようだ。

明治村ブツ撮り-8

 西郷従道邸の書斎。こちらはいたって質素というかすっきりしている。使っていた頃はもっとゴタゴタと混乱していたはずだ。
 この椅子と机は当時のものだろうか。

明治村ブツ撮り-9

 明治時代の薬局の看板だろう。昔の薬の名前や宣伝文句は、すごく大げさだったりまがまがしかったりして、笑えたりのけぞったりしてしまう。疲労がポンと治るからヒロポンという名で普通に覚醒剤が売られていたり。
 かつては大らかな時代であったと同時に、薬に対する信奉心は今よりずっと強かったに違いない。生活程度に対して値段が高かったというのもあるだろうから、あこがれもあっただろう。

 並べた写真をあらためて見てみると、ブツ撮りというほど対象に迫れてないものを感じる。もう少し寄っていかないとブツ撮りでさえないとも言える。やっぱりブツ撮りは苦手なままだ。
 それでも撮っていかなければ上手くなることはないから、今後も少し意識していこうとは思っている。
 明治村の写真はまだだいぶ残っている。ここからはテーマ別というよりも、在庫を順番に出していくということになりそうだ。ネタに困ったときのつなぎとしてもいい。
 明治村というところは建物ばかりが注目を集めがちだけど、内装も被写体としては申し分ないところだ。インテリア写真を得意とする人なら、きっといい写真が撮れる。私のように人がいる写真が好きな人は、ここほど絶好の撮影スポットはないと言える。自分の上達によって撮れる写真も変わってくるから、半年か一年に一度くらい行くといいところだ。
 明治村もそろそろ紅葉が始まった頃だろう。これからの季節もオススメしたい。

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