名東区の和爾良神社が式内社じゃなくても地域の大切な守り神 - 現身日和 【うつせみびより】

名東区の和爾良神社が式内社じゃなくても地域の大切な守り神

和爾良神社参道

 名古屋市名東区にある和爾良神社を久々に訪ねてみた。前回訪れたのが2009年だから、だいぶ月日が経っていた。
 名東区の神社巡りはちょっとややこしい和示良神社から
『延喜式神名帳』にある山田郡和尓良神社の候補のひとつとなっている神社ではあるけど、個人的にはその可能性は低いと思っている。見た目からしてもそうだし、なにより式内社の匂いがしない。
 候補となっている神社は7つ。
 和爾良神社 春日井市上条町
 朝宮神社 春日井市朝宮町
 両社宮神社 春日井市宮町
 和爾良神社 名古屋市名東区猪高町
 藤森神明社 名古屋市名東区本郷
 景行天皇社 長久手市宮脇
 普通、7社もの論社がある式内社はない。たいていは2社で、あってもせいぜい3社だ。ずばり大胆に予想するなら、すでに山田郡和尓良神社が失われてしまって存在していないのではないか。候補になっているすべてがそれではないような気がするのだけどどうだろう。
 まず春日井市にあるものは候補から外していいと思う。山田郡と春部郡の境についてはいろいろ説があってはっきりしていないのだけど、北は庄内川を境にしているという説に賛同したい。庄内川のすぐ北にある味鋺神社(あじまじんじゃ)が春部郡味鋺神社というのであれば、それより更に北の春日井市はやはり春部郡ということだろう。
 名東区の和爾良神社と藤森神明社は論外だと思う。景行天皇社もどうもそんな感じがしない。可能性としては一番高そうではあるけれど。
 ただ、そうなると春日井の朝宮神社や和爾良神社が式内社とは無関係ということになり、それはそれでちょっと惜しいような気になる。祭神が阿太賀田須命(あたがたすのみこと)と建手和爾命(たけたかにのみこと)ということと、由緒からしても式内社だとしてもおかしくない。
 もし、春日井市が山田郡であるのなら、和爾良神社を摂社として祀ったという両社宮神社というのも有力候補となってくる。長く失われていたのは摂社として合祀されていたからというなら納得がいく。両社宮神社はまだ行ったことがないので近いうちに訪ねたい。

 それにしても、何故、延喜式にある和尓良神社をわざわざ和爾良神社としたのだろう。
「尓」は「爾」の異字で、どちらかというと尓の方が略字だ。音読みで「ニ」、「ジ」、訓読みで「なんじ」、「そ」となり、あなたとか、それとか、そうだといった意味だ。
 読み方も神名帳では「わにら」なのに、春日井市の和爾良神社は「かにら」と読ませている。
 名東区の和爾良神社は、社名の石碑は「和爾良神社」となっているのに、鳥居の額や境内の説明板は「和示良神社(かにらじんじゃ)」になってしまっている。和爾良の略字のつもりだとすれば、示は明らかに間違っている。尓にしなければいけない。
 愛知県神社庁が出している『愛知縣神社名鑑』の中では、和爾良神社(わにらじんじゃ)とある。宮司の引き継ぎのときに上手く伝わらず間違ってしまったのかもしれない。

 現在の出来町通は、江戸時代には山口街道と呼ばれていた。
 戦国時代、往来が多くなった頃、この地で暮らしていた武内宿禰(たけのうちのすくね)の子孫が旅人の安全を願って社を建てたのが始まりとされる。
 祭神は武内宿禰(たけうちのすくね)ということで、その点でも延喜式にある和尓良神社とは言い難い。年代からしても戦国時代では新しすぎる。
 いつどういうきかっけでこの神社が和爾良神社を名乗るようになったのかは分からない。江戸時代などは原の天神様と呼ばれていたという。このあたりの地名である猪子石原(いのこしはら)から来ている。
 式内社がよくてそうじゃなければ駄目と言っているのではなく、無理に式内社を主張しなくてもいいんじゃないかと言いたいだけだ。たとえば創建が江戸時代だったとしても、すでに400年、500年と地域の人々に守られ大事にされてきたということだ。それ以上背伸びする必要はない。式内社を名乗って実はそうじゃないとなったらかえって説得力を失ってしまう。無名な人が真面目に描いた絵に有名画家の印を押すことで偽物になってしまうようなものだ。
 まあ、神社側がそうしているのではなくて周りが勝手にああだこうだと言い争っているだけといえばそうなのかもしれないけど。



和爾良神社

 再訪の主な目的は写真を撮り直すことだった。
 このときは夕方のいい光が差し込んでいた。
 ちょっとこぎれいになっていると思ったら、参道などを整備したばかりだった。



和爾良神社石碑と鳥居




和爾良神社拝殿と狛犬

 1908年(明治41年)に、西ノ切にあった浅間神社(木花開耶姫命)と、欠下にあった山ノ神社(大山祗命)を合祀して村社に列した。



和爾良神社本殿




和爾良神社境内社

 かつて菅原道真像を祀っていたという話があるけど、現在、祭神の中に菅原道真は入っていない。天満宮、天神社のたぐいもない。すでに菅原道真像は失われてしまったのだろうか。



和爾良神社拝殿境内




和爾良神社参拝者

 境内には桜の木がある。花が咲く頃、また訪れることにしよう。

【アクセス】
 ・名古屋市営地下鉄東山線「一社駅」から徒歩約60分
 ・名鉄瀬戸線「小幡駅」から徒歩33分
 ・市バス/名鉄バス「猪子石原停留所」から徒歩約5分
 ・駐車場 あり(無料)
 ・拝観時間 終日
 

スポンサーリンク

関連記事ページ
コメント
非公開コメント

トラックバック

http://utusemibiyori.com/tb.php/4775-afa47c11