イタリアシミュレーションとしてのイタリア村を堪能する 2006年12月26日(火) - 現身日和 【うつせみびより】

イタリアシミュレーションとしてのイタリア村を堪能する 2006年12月26日(火)

イタリア村外観

PENTAX istDS+Super Takumar 50mm(f1.4), f2.0, 1/13s(絞り優先)



 名古屋人もめったに訪れない名古屋の外れの名古屋港。スターライトレビューと花火だけで帰るのはもったいない。そうだそうだ、もったいない、もったいない、と私の中の貧乏性が合唱を始めたので、それを黙らせる意味でもイタリア村に寄ることにした。
 前々から一度行こうと思いつつ、混雑してるとか、入村料がかかるとかかからないとか、いろいろな情報に惑わされて控えていた(現在は入村無料となっている)。一度だけ車で前を通ったことがあったのだけど、のこのことひとりで行く気にもなれなかった。でも二人なら大丈夫。仮面の忍者青影のだいじょーぶのポーズを二人揃って決めつつ(ホントはそんなことはしてない)、いざイタリア村へ。敵はイタリア村にあり。是非に及ばず。
 ぞろぞろと流れる人波に身を任せて歩くこと4分(くらい)。あっけなくイタリア村の入口が見えてきた。おっかさん、あれがイタリア村だよ(注:ツレは母親ではありません)。ひときわ目立つシンボルタワーの大鐘楼(45メートル)と、ベネチア・サン・マルコ広場の時計塔をモデルにしたと思われる入口が訪れる人々を出迎える。
 ビレジオ・イタリア。ブォナセーラ、イタリアーノ。チャオ、ジローラモ。コメスターイ? ピアチェーレ。ティ・アーモ。NHK教育テレビのイタリア語講座仕込みのイタリア語をかましつつ(心の内で)、嬉し恥ずかしイタリア村はじめまして。

 今ひとつ冴えない名古屋港ベイエリアを活性化しようと、みんなで知恵を出して話し合った結果、この場所にイタリア村を作ることが決定した。1950年代の古き良きヴェネチアの街並みを再現しつつ、ショッピングとレストラン、エンタテインメントの総合アミューズメント施設として、2005年4月にイタリア村は誕生したのだった。
 どうして名古屋にイタリア村なのか? その答えは誰かが知っている。私は知らない。だって名古屋とナポリは姉妹都市じゃん。ん? でも再現したのはヴェネチアでしょ? まさか、名古屋人がナポリとベネチアを混同したということはあるまい。ただ、話の展開はなんとなく分かるような気がする。名古屋港には遊園地や水族館がすでにあるから、ショップとレストラン街を作ろうということになったとき、ノーマルなものでは話題性がない、何かテーマに沿って作ろうということになったのだと思う。アメリカ村はもう大阪にある。中華街は横浜だ。イギリス村ではイメージがわかない。ドイツ村ではブランド品が足りない。となると残るはフランス村かイタリア村しかない。フランスはブランドもレストランもあるけど、エンタテインメント性が弱い、じゃあイタリア村しかないだろう! ということで決まったのだと私は想像する。事件は現場で起きていても、話し合いはたいてい会議室で行われているものだ。ちょっと浮世離れしていてもそれは仕方がないことだ。
 イタリア村の中央には呼び物となっているゴンドラが運河の上を行き交い、運河沿いには花馬車がゴトゴトと音を立てながらのんびり走る。レストランからはいい香りが流れてきて、ベネチアンガラス館ではガラス工芸品がやわらかく光を反射している。遠くからは楽団の生演奏が鳴り響き、イタリア人の陽気なかけ声が村にこだまする。訪れた人々は、市場で食品を買い込み、あるいは運河沿いのテラスでワインを飲み、若い二人は手を繋いでデートをする。大鐘楼からは時を告げる鐘の音が海風に乗って村人たちの耳をなでていく。ここには確かにリトルイタリアがある、ような気がする人もいたりいなかったり、目をギュッと閉じて空想すればまるで1950年代のベネチアにタイムスリップしてきたような気分がぼんやりと味わえるという寸法だ。みなさんも私同様頑張ってイタリア気分を脳内に作り上げて満喫して欲しいと思う。

 かつての日本通運倉庫の跡地3万平方メートルにイタリア村はある。ここの変わっている点は、無料のショッピングモールにもかかわらず、民間企業の独立採算性となっているというところだ。お役所仕事ではないところにここのよさがある。いろいろなアイディアが実行され、宣伝もして、予想を遙かに上回る成功を収めている。去年一年の目標入場者数200万人は4ヶ月であっさりクリアして、結局倍くらいになったようだ。
 ただ、名古屋人というのは新しいものには飛びつくけどすぐに飽きて見向きもしなくなる人種なので、今後は苦しい展開が予想される。個人的には目玉として金鯱号を復活させて欲しい。温故知新、やっぱり名古屋といえばシャチだろう。
 日本初上陸のイタリアブランドショップも多数あり、ショップ数は約70店舗、レストランや食べ物屋関連が約60店、ショップ類が50店舗と、なかなか充実している。全体的にやや高めの設定らしいけど、お金を使う気があればイタリアンを充分満喫できるんじゃないだろうか。
 ベネチアンガラス美術館(大人800円)は興味のある人にはいいし、コスプレ好きにはベネチアの民族衣装というのか仮面舞踏会スタイルに変身して写真を撮ることもできる。ヒラヒラドレスに身を包み、仮面の忍者赤影がつけていたマスクのキンキンキラキラ豪華版みたいなつをはめれば、気分はすっかりめくるめく夜の社交界の花。思わず少年隊の振り付けを体が勝手にしまうかもしれない。

夜のゴンドラ

 これがイタリア村名物、短い距離のゴンドラだ。長い待ち時間のあと、600円であっという間に終わってしまうらしい。しかも、観光客の格好の被写体として否が応でも写真を撮られまくってしまう。お忍びで出かけたとき、ゴンドラは非常に危険アイテムとなる。乗ってしまった日にはあちこちのサイトで自分たちの写真が登場するのは避けられない。逆に言えば写りたがり屋さんにとっては夢のような乗り物と言えるかもしれない。
 推定イタリア人のゴンドリエーレたちが、ウォーというかけ声をかけながら、少しやけっぱちな感じで漕ぎまくっていた。ゴンドラはイタリアから直輸入の本物だ。日本人のおっさんが池のボートを漕いでるよりはありがたみがある。
 その他の乗り物としては、後から登場した2頭立ての花馬車がある。大人600円でイタリア村のコースを一周してくれる。ここでも正装したイタリア人御者が馬車を操っている。
 あと、岸壁から毎日3~5回くらい出発するヴェネチアクルージングというのがなかなかよさそうだ。名古屋港を巡る30分の船旅で1,000円ならそんなに高くない。夕焼けデートにもいいんじゃないだろうか。
 どさくさに紛れて、世界の犬たちとふれ合える「ふれあい動物広場」というものもある(500円)。世界から集められた25種の犬や、ヒツジ、ヤギ、ウサギなどとふれ合うことができるというのだけど、イタリアとの関連性についてはやや謎が残る。イタリア中の犬が一堂に会するとかなら分かるんだけど。
 2005年の秋には村内に教会を模した結婚式場クレールベイサイドイタリア村が登場した。これがけっこう人気のようで、多い日は5組も式があるというから、今後名古屋の結婚式スポットとして定着していくのかもしれない。
 更に温泉までわき出したという冗談のような話もある。イタリアでも温泉はあるから、違和感はないといえばない。足湯ガンバテルメがオープンし、ヴェネチアンガラス美術館の2階にはローマのカラカラ浴場のような露天風呂を作るという話だったのだけど、もうできたのだろうか。まだこれからなのか。
 その他、ダビデ像や真実の口のレプリカなどのちょっとした演出などもあり、けっこう頑張ってるなという印象を受けた。
 現在はイルミネーション期間ということで、エントランスや塔の他、光のトンネルなどもあり、村全体が光で彩られている。1月中旬まで続くそうだから、まだこれからしばらく楽しめそうだ。
 正月にはサンマルコ楽団の生演奏やコンサートなどもあるという。

イタリア村運河沿い

 イタリア村はイタリアではない。恋愛シミュレーションと実際の恋愛が別物であるように。けど、それでもいいじゃんと私は思うし、そう思えた人の勝ちだろう。ニセモノっぽいとか、薄っぺらいとか批判することで誰も幸せにはなれない。イタリア村でイタリアと同じ経験をしたいなんて誰も期待しちゃいない。ここにはここのよさがある。
 美味しいイタリア料理を食べて、ショッピング街をぶらついて、ゴンドラや建物の写真を撮って、2時間くらいしてぼちぼち帰ろうかと言って帰るのがいい。恋人同士なら、夕暮れどきから夜にかけてがロマンチックだ。イタリア村だけでは半日持たないから、名古屋港水族館や遊園地のシートレインランドとあわせて行くとちょうどいい感じになると思う。南極観測船ふじとタロとジロの像像を見て涙を流すのもありだ。高倉健さんになりきって犬に抱きついたり。
 イタリア村の未来はどうだろう。地理的に名古屋の行き止まりというのが大きなネックとなる。これが通り道ならもっと広がりが生まれるのだが。中部国際空港と結ぶ計画がある。ただ、それをするにしてもまずはイタリア村を含めた名古屋港ベイエリアが更なる発展をとげる必要がありそうだ。作られることが決まっているアウトレットモールの充実度も大事になる。
 個人的にはけっこう堪能してイタリア村を後にすることとなった。イブの高揚感も手伝ったからだろうか。水辺でやたら寒かったという思いも強かったのだけど。
 次はイタリア村ではなく本物のイタリアへ行きたい。そしていつか本当にヴェネチアへ行ったとき、私は思わずこうつぶやくことになるだろう。お、イタリア村みたいだがや、と。

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コメント
非公開コメント

>事件は現場で起きていても、話し合いはたいてい会議室で行われているものだ

悲しいくらいに、事実です

2006-12-27 23:05 | from ただとき

できるまで誰も気づかない

★ただときさん

 こんにちは。
 世の中にトンチンカンなことってたくさんありますよね。
 それはたいてい、会議室で決まったことなんでしょうね。(^^;
 施設系は、素人が5分考えただけでもこれは絶対ダメだろうってのがあるけど、ああいうのって会議を重ねてる段階でこれはダメだろうって誰か気づかないのかな。気づいても言えないだけなんだろうか。
 ただ、イタリア村は民間企業ってことってけっこう頑張ってるんで、もし機会があったら行ってみてくださいね。

2006-12-28 04:24 | from オオタ | Edit

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