初めて見る花火大会とカップル量に心臓を打たれたイブ 2006年12月25日(月) - 現身日和 【うつせみびより】

初めて見る花火大会とカップル量に心臓を打たれたイブ 2006年12月25日(月)

スターライトレビューのツリー

PENTAX istDS+Super Takumar 50mm(f1.4), f1.8, 1/8s(絞り優先)



 12月24日、午後6時すぎ。地下鉄名港線・名古屋港行の列車内は、カップルの巣窟と化していた。異常なほどのカップル率の高さだ。右を見ても左を見ても前も後ろもカップルだらけ。カップルにあらずんば人にあらず。おごれるカップルも久しからずの世界だ。
 しかし驚くのはまだ早かった。終点の名古屋港駅で降り、階段を登って地上に出てみると、そこにはいまだかつて目にしたことがないほどのカップルがひしめいていた。名古屋中のカップルが一堂に会したのではないかと思えるほどのカップル量に軽いめまいを覚える私であった。
 人波に飲み込まれながら、みんなが歩いていく方へと身を任せてついていくと、なにやら人だかりができている。ほとんど予習もせず、予備知識もなかった我々としては、人の流れが判断基準のすべてだった。そして辿り着いたのが写真のこの場所、大きなツリーのあるところだった。
 名古屋港つどいの広場にある高さ15メートル、電球4万5千のイルミネーションツリーは、おそらく日本でも最大級のものだろう。丸ビルのツリーにも負けてない。様々に色と動きを変えるツリーは、見る者を楽しませ、写真を撮る者を困らせる。今だっと思って撮ると遅れがちになり、パターンを読み切るにはパチプロ並みの必勝法が必要となる(それは大げさ)。
 左奥に見えているのは、イタリア村の塔。後ろではおじさんっぽい男性が、灯油缶らしきものから煙を出して振りまいていた。なんだ、なんだ、カップルに対する嫌がらせか? と思ったら、レーザービームが見えやすいようにするための演出だった。
 そんなこんなの慣れない場所に対する私の戸惑いなど置き去りにしたまま、やがて時刻は7時となり、NHK教育テレビの司会のお姉さんのようなアナウンスが、スターライトレビューの始まりを告げたのだった。

ツリーと花火

 花火の見物人の群れは、大きく二派に別れた。打ち上げポイントの港に近い方へ移動する一派と、少し離れてツリー越しに見ようとする派に。私はツリー越しチルドレンに入ってみた。港の方はもし次の機会があったら、そのとき再チャレンジということで復党したい。
 花火は音楽とアナウンスに乗り、次々と上がっていく。最近はこういう花火ショーのようなスタイルが増えているようだ。メロディ花火という表現もあるんだとか。
「スター☆ライトHA・NA・BI」という、つのだ☆ひろと北野武映画を合体させてヒネリを加えるのを忘れたようなネーミングの花火は、冴えた冬の空を切り裂き、1,200の夢を短く描いて煙と共に消えた。祭りの後、という言葉があるけど、花火の後という言葉を思う。
 ありがとう、磯谷煙火店。靴下やツリーの花火は、いくつかいびつな形をしてたけど、クリスマスらしい花火でちょっとよかった。最後の連発では大きな歓声が上がり、拍手がわき起こった。1,200発ではやや物足りない感もあるけど、冬空の下でじっと見ている打ち上げ花火ということを考えると、30分というのは適度と言えるだろう。
 あと、個人的な感想というか感覚としては、打ち上げ花火というのはすごく心臓に響くものなんだなということを初めて知ったのだった。なんだか心臓マッサージの機械を体の中心に当てられてるみたいな気持ちだった。打ち上がるたびにどーん、どーんと心臓を直撃して、少し怖いような気分もあった。あるいは、いつか遠い昔に聞いた戦場に響く大砲の音にも思えたのだった。

 名古屋港のスターライトレビューは、今年で16回目になるのだそうだ。15回目まではその存在自体知らなかった。毎年私のいないところで毎年こんなことがあったのね。
 イルミネーションは11月22日から12月25日まで行われていた。今年はもう終わってしまったので、見逃した人はまた来年。今年はイブだけで17万人からが訪れたそうだ。どこでカウントしてたか知らないけど、私もカウントされてしまっていたのだろうか。こういうところを訪れることができのも愛・地球博を経験したからだ。あれがなかったらこの日にこの場所は避けていたと思う。ひとつの経験は他のいろいろなところにつながっていく。今回の初打ち上げ花火大会もまた別の花火大会などにつながるのかもしれない。
 それから今回もうひとつ感じるものがあったのは、三脚を立ててひとりで花火を撮っていた人たちの存在だ。日常生活であんまり目を丸くするという経験はないのだけど、この日ばかりは西川きよしのような目になっていたと思う。最初に目にしたときは思わず、ええっ!? と小さく声が漏れてしまった。そのあと、うーむ、やるな、と深く感じ入ってしまった。夏の花火大会で三脚本気撮りしてる人は珍しくないのかもしれないけど、クリスマスイブののカップルまみれの中でひとり三脚を立てて花火を撮るという姿勢には私もシャッポを脱いだ(今どき誰もそんな表現しない)。すごい達観だ。私などとうてい及ばない悟りの境地。今年になって初めてひとり水族館を経験して大人の階段を登ったと思っていた私はまだまだ甘ちゃんだった。上には上がいると思い知るクリスマスイブの夜であった。大きなことはできなくても小さなことからコツコツとの精神で、一脚使いから再出発したいと思う。

花火とたまや

 花火が上がるたびに、あちこちから、たまや~、かぎや~のかけ声があがり……。ん? あがらない? まったくあがらない? 耳をすましてみてもそんなことは誰も言ってない。そもそも言いそうなおっさんとかいないし。もしかして、そんなかけ声は過去の遺物となってしまったのだろうか? 花火大会なんて初めて参加したので事情がまったく分かっていない私。

 江戸の花火といえば、鍵屋と玉屋だった。花火のルーツとなったのは、鉄砲の種子島だったと言われている。1612年に徳川家康が日本で初めて花火大会を開いたそうだ(他にもいろいろな説がある)。それは鉄砲を夜空に打ち上げて楽しんだというものだった。
 1733年、両国の大川(今の隅田川)で、日本初の打ち上げ花火大会が開催された。前の年に江戸でコレラが大流行して多数の死者が出て、将軍の吉宗が悪霊退散のため大々的に花火大会を催した。これが現在の隅田川花火大会の起源とされている。
 このとき活躍したのが花火師の鍵屋(六代目弥兵衛)だった。しばらくは大川の花火は鍵屋が独占していた。
 1810年、鍵屋の手代だった清吉が暖簾分けをして、玉屋を名乗るようになった。その後は、両国橋から上流は玉屋、下流を鍵屋が担当して、二大花火師の時代がやってきた。このとき、自分のひいきの花火師を応援するかけ声として生まれたのが、「たまや~」、「かぎや~」というわけだ。
 話は続きがある。本家の鍵屋をしのぐ人気と実力を備えるようになった玉屋だったが、1842年に店から火を出して町を大火事にしてしまう。これによって玉屋は家財没収、江戸追放、仮名断絶という重罪に問われ、わずか一代で消えたのだった。なのにどうして鍵屋ではなく玉屋のかけ声が残ったのか。それは、江戸っ子たちが、パッと咲いた花火がパッと散ったような玉屋の人生に夢の残映を見たからだったろうか。鍵屋の方は現在も続いている。たまやのかけ声を聞くと少し複雑な気持ちになるのかもしれない。

 今回で知った打ち上げ花火撮影で大切なこと。根性で三脚を立てることはもちろんとして、何よりも場所選定が一番大事だということだ。明るいズームレンズもできれば欲しいところ。単焦点なら、遠すぎず近すぎない位置に陣取ることがすべてと言ってもいい。花火だけだと詰まらないから、風景や建物を入れてアクセントをつけたい。個人的には人の頭も花火大会風景の一部として入れたいところだ。花火自体をきれいに撮れるかどうかはマシンパワーとレンズパワーに左右されるからプロや金持ちには勝てない。
 隣にいる彼女のこともいっとき忘れ、つなごうとする手をふりほどき、一心不乱に花火を撮るべし、撮るべし。それが明日のためのその一。あるいは、隣にいるカレシのことなど放っておいて、話しかけてきたら、ああん、もう、ちょっと黙っててと一喝して、撮るべし、撮るべし。明日のためのその二。電池が切れるまで、メモリーカードが一杯になるまで、撮るべし、撮るべし。明日のためのその三。花火大会が終わったときには、燃え尽きて真っ白な灰になるまで、撮るべし、撮るべし。

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コメント
非公開コメント

もしかして、一人で行ったのですか?そうなら、メッチャ勇気ありますね〔笑〕

2006-12-26 13:34 | from kattyan

>「スター☆ライトHA・NA・BI」という、つのだ☆ひろと北野武映画を合体させてヒネリを加えるのを忘れたようなネーミングの花火

すいません「光GENJI」も入れてください(笑)

2006-12-26 18:27 | from ただとき

めちゃ・・綺麗www
でも・・・ こういう場所に一人で行く勇気ないな~~
  見てみたいけど・・・w

2006-12-26 21:16 | from ゆき

^(*ノ^ー^)ノ☆パチパチ

ちょっとちょっとちょっと~~~!!

綺麗ですね・:*:・(*´エ`*)ウットリ・:*:・
どうして、こんなにイルミネーションが綺麗に撮れるの?w
どうして、花火がちゃんと花火に見えるの?w(笑)

オオタさんの腕でしょうか。。。それともカメラ?
取り捲れば1枚くらい傑作をゲットできるのかなぁ

あ~~一眼レフのデジカメが欲しいなぁ・・・
宝クジ買い忘れたので、まだまだ買えそうにないんですけど(笑)

2006-12-27 00:01 | from もこ | Edit

捨て身の勇気?

★kattyanさん

 こんにちは。
 まさか、ひとりであの場所に行くほど私は捨て身の勇気を持ち合わせてはいません(笑)。
 ちょっと書き方が紛らわしかったですね。(^^;
 書き直しておこう。

 kattyanさんも楽しいクリスマスイブになったようでよかったです。
 娘さんは東京でどうしてたでしょうね。

2006-12-27 03:13 | from オオタ | Edit

まだ隠れてたか

★ただときさん

 こんにちは。
 おー、ホントだ、スター☆ライトHA・NA・BI」の中には光GENJIも紛れてたんですね(笑)。
 気づかなかった。
「STAR LIGHT」も思いっきりそのままですね。(^^;
 いろんなところからいただいて合体させれば、それはもはやマネではない?

2006-12-27 03:16 | from オオタ | Edit

ひとりじゃない

★ゆきさん

 こんにちは。
 完全に私がひとりで花火を見に行ったって話になってるじゃないですか(笑)。
 ちゃんとツレはいましたので。はは。
 でも、思いがけずひとりで花火を撮りに来てる人がいて、カルチャーショックを受けたのは確かです。(^^;
 私も見習わなくてはと思った。
 それに、花火を見ることと花火を撮ることは両立しないかも。撮るなら撮るで集中しないといいシーンを逃してしまうから。

2006-12-27 03:18 | from オオタ | Edit

カメラ8割

★もこさん

 こんにちは。
 もこさんとゆきさんで漫才コンビを組んで、来年はM-1グランプリに出て欲しいです。今年はOLが決勝に残ってたし。

 花火とイルミネーション、少しは雰囲気を味わってもらえたようでよかったです。
 カメラと腕の比率は、カメラが8割、腕が2割ってところかな。
 それなりの一眼レフと明るいレンズを装備すれば、あとは適当にシャッターを切ってもなんとなくそれっぽく写るもんです。
 もこさん、年末ジャンボ買わなかったんですか。とすると、道を歩いていたら宝くじが落ちていて、拾ったやつが一等当選だったという奇跡でも起こらない限り、デジ一への道のりは遠そうですね(笑)。

2006-12-27 03:23 | from オオタ | Edit

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