温室育ちでも箱入り娘でも深窓の令嬢でもいいじゃない 2006年12月6日(水) - 現身日和 【うつせみびより】

温室育ちでも箱入り娘でも深窓の令嬢でもいいじゃない 2006年12月6日(水)

トウワタは唐の綿

Canon EOS Kiss Digital N+TAMRON SP 90mm(f2.8), f2.8, 1/20s(絞り優先)



 温室育ちは是か非かというテーマが自分の中にある。箱入り娘というと悪いイメージはないのに、温室育ちというとなんだか印象が悪い。箱入り娘は冷やかすときに使うくらいなのに対して、温室育ちというとほとんど悪口に近い。温室で育てられたように大事に育てられた子供は本当に駄目になってしまうものなのだろうか。逆に厳しくしつけられれば立派な大人になれるというのか。
 親や子供の組み合わせや性格によってそれぞれだと言ってしまえば身も蓋もない。アメとムチを上手に使い分けるのが賢いやり方だと言えばそうなのだろう。ただ、私は温室育ちは人が言うほど悪いことではないと思っている。甘やかされたくらいで駄目になってしまうような人間は、厳しくされても駄目だろうから。苦労は買ってでもしろというのも好きじゃない。自分の苦労を売り物にする人もちょっと苦手だ。
 じゃあおまえは温室育ちの人間が好きなのかと問われれば、そういうわけでもないと答える私は救いがたい天の邪鬼。温室育ちを弁護しつつも、自分はそうはなりたくないし、全面的に肯定するつもりもない。結論としては、温室育ちでも別にいいじゃん? ってところに落ち着くのだった。世の中にはそういう人間も必要だし、温室野菜や果物や植物園の温室もあっていいのだ。ビバ! ビニールハウスと叫びたい。いや、叫ばないけど。

 今日は東山植物園の温室で見かけて、ちょっと心惹かれた花3種類を紹介したい。
 まず最初のこれは、トウワタ。赤とオレンジのコントラストと、フレアスカートをはいたような姿がキュートだ。でも、このファッションセンスの女の人と並んで歩くのはちょっと勇気がいるかもしれない。自分もルパン三世の格好をしないと負けてしまいそうだ。
 熱帯アメリカが原産で、日本には江戸末期にやって来たらしい。寒さにやや弱いので、日本では越冬できないのだけど、沖縄あたりで帰化して野生で咲いているらしい。
 漢字で書くと唐綿。果実の中の種子の冠毛が、綿のように見えるところから名づけられた。南蛮綿ではなかったところを見ると、中国経由で入ってきたのだろうか。
 他にも宿根パンヤ、アスクレピアスなどの別名がある。有毒ながら強心作用を持つ成分があって民間薬として使われているとこから、ギリシャ神話に登場する医神アスクレピアスになぞらえられたのだろう。
 よく似たヤナギトウワタ(柳唐綿)との違いは、茎の毛深さと葉っぱの生え方らしいのだけど、区別をつけるのはちょっと難しい。

風鈴仏桑花

 この変わった形をしてる花は、フウリンブッソウゲという。サンゴのような花びらと、下に長くたれ下がった花柄が特徴だ。どういう戦略でこういう姿を選んだのかは分からないけど、こういう花は人間の発想ではなかなか出てこないと思う。特に日本人の感覚ではこんな姿は思いつかないんじゃないだろうか。
 アフリカ東海岸のザンジバル島というところで最初に見つかったそうだ。って、どこだろう、ザンジバル島って。えーと、100円ショップで買った世界地図を見てみると……、あった、タンザニアの沿岸近くだ。まかり間違っても私がこの島に立つことはないだろうけど、フウリンブッソウゲを見たらこの島のことを思い出そう。
 仏桑華はハイビスカスのことだから、やはりハイビスカスの仲間ということになるのだろう。フウリンは形が風鈴のようだからというんだけど、あまり風鈴っぽくは見えない。英名はCoral Hibiscus(珊瑚ハイビスカス)。かんざしに似てるということでカンザシという和名もあるようだ。
 沖縄では民家の垣根とかに普通に咲いてるんだとか。ただ、最近はその姿を消してしまったという話もある。何があったんだろう。沖縄ではアカバナーと呼ぶとか、それはまた別の自生種だとか、このへんの詳しいことは私には分からないさー。シュリオネアには出たくないさー。

ブーゲンビリアのピンクと黄色

 最後は上の二つよりはお馴染み感の強いブーゲンビリア。南国に咲く花といえば、ハイビスカスとこれを思い浮かべる人も多いだろうか。
 原産地はやや意外だったブラジル。18世紀に、フランス人の陸軍士官ブガンビルが見つけてヨーロッパに持ち帰ったことで世界に知られるようになった。ブーゲンビリアは、この人の名前から来ている。和名は筏葛(いかだかずら)で、イギリスではペーパーフラワーと呼ばれているそうだ。確かに紙の造花っぽい。
 花びらに見えているのは包葉で、内側にある小さい白いのが本物の花だ。受粉のためのハチドリを呼び寄せる戦略としてこういう姿になったという。
 色はピンクが一般的で、他にも赤、白、オレンジ、黄色などがある。ちょっと面白いのは、ブーゲンビリアは煎じて飲むと風邪の諸症状に効くということで昔から南米では知られていたそうなのだけど、ピンクのものにしか薬効がないというのだ。風邪の症状に会わせてねらい打ちというわけでもない。何かあのピンクの中に秘密があるのだろう。林家ペーパーがピンクしか着ないことよりももっと深い秘密が。

 温室に咲く熱帯の花を見ると、少し複雑な気持ちになる。本当はこんなところで咲く花じゃないのにと思って。動物は動くから狭いところはかわいそうだけど、植物は動かないからどこで咲いても同じじゃないかと思うかもしれない。そういうことでもないと私は思ってしまう。植物園の温室で咲いている花たちもやっぱりかわいそうだ。どれだけ快適でも、やっぱり抜けるような青い空の下で咲きたいだろうし、風を感じたいだろうし、暖かな雨に打たれもしたいだろう。それが何の因果か、こんなところで咲く羽目になってしまった。どうにも馴染めないんだよな、と思ってる花もいるだろう。
 けど、これもまた動物と同じように、私たちにとって植物園でしか見ることができない花というのはありがたい存在なのだ。温室の花は特にそうだ。南国に咲く花というのは、普通の生活をしていたらほとんど見ることがない。一生その存在を知らずに終わるものも多い。それがたとえ温室の中だとしても、実物を自分の目で見られることは意義がある。実人生での体験ではなくても映画を観ることによって得られる疑似体験のように。
 最初の命題に戻ると、温室育ちはやっぱり是なのだと私は思う。人でも花でも温室でしか育たないものがあるなら、それには価値がある。温室には野生にないよさがある。
 私は一度でいいから深窓の令嬢という人種をこの目で見てみたいとずっと思ってきた。白いテラス窓からピアノを弾いている彼女の姿をのぞき見していたら、番犬が吠えながら走ってきて、あわてて塀を乗り越えて逃げようとしたところを執事に捕まってしまい、旦那さんの前に引きずり出されて、すみませんすみません、もうしませんと土下座であやまっているところにお嬢さんがやってきて、お父様、もう許してさしあげて、悪気があったわけじゃないだろうから、はい、そうです、ただ見とれていただけで、ええーい、バカモンがぁ! すぐに立ち去れい! うわー、すみませんー、さようならー、と走って逃げる私であった。
 この物語はフィクションであり、実在の団体、個人、事実とは一切関係ありませんのでご了承願います。

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コメント
非公開コメント

オチワロタwww
どっかで落とすとは思ってたけど
やっぱり前半の知識人のような文面からの
ギャップがあって面白すぎるww

本題ですが、このトウワタの写真
色が鮮やか過ぎてまるで絵みたいですね。
綺麗だなぁ。
フィリピンの子達のショータイムの衣装のようだw

昔はガーデニングなんかしておりまして
ジジくせぇーといわれておりましたが、
最近は花を育てる余裕もなく荒みきっております。

2006-12-07 17:00 | from ビアンキ

植物エネルギー

★ビアンキさん

 オチがないと、どうにも落ち着かないというのはちょっとした病気ですね(笑)。
 たまに普通に終わると、自分でもガクッとして自分に突っ込んでしまいます。そこで終わるのかよ、と。
 落としどころが見つからないこともあったりするんだけど。(^^;

 ビアンキさんはガーデニングしてたんですか。
 じゃあ、花のない暮らしは寂しいでしょうね。
 植物は生態エネルギーを発していて、それが人間にパワーをくれるって言うし、少しでも触れ合えるといいんだけど。
 お店に植物を増やすだけでも少しは違うかも?

2006-12-07 19:43 | from オオタ | Edit

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