名古屋と近郊で食パンをめぐる旅 ---ル・シュプレーム/メゾン・カイザー - 現身日和 【うつせみびより】

名古屋と近郊で食パンをめぐる旅 ---ル・シュプレーム/メゾン・カイザー

ル・シュプレーム店舗

OLYMPUS E-M5 + Panasonic LEICA 25mm F1.4



 名古屋を代表するパン屋のひとつ、ル・シュプレーム(Le Supreme)。早く行かなくてはいけないと思いつつ、栄生(さこう)という場所柄、なかなか行けずにいた。自転車で行くには遠いし、わざわざバスと鉄道を乗り継いで行く気にはなれず、ついでに寄るようなところもでない。それでも一度は行かなくてはいけないのだからということで、思い切って自転車で向かうことにした。やはり遠かった。
 名鉄栄生駅の南口を出てすぐ目の前に店はある。評判が抜群にいいパン屋ということでどんな店だろうとあれこれ思いをめぐらせていたのだけど、思いがけず地味な店でちょっと驚いた。店の外観も中も小さく、いたって普通の町のパン屋さんという風情だ。この飾らない感じがかえって好印象だったりもしたのだけれど、評判を知らずにたまたま見つけて入った人がいたとしたら、この店が高い実力を持ったパン屋だと気づく人は少ないかもしれない。
 名古屋のパン好きの人にアンケートをとったらおそらくベスト3には入ってくるだろうと思われる。食べログの名古屋版では、スーリープーに続いて2位となっている(3位はテーラテール)。お店のオープンは2007年の春というから今年で10年目ということになる。
 栄生の本店の他、名古屋駅ビルのJR高島屋の地下2階にも支店がある。鉄道を利用している人や県外の人などはそちらの方が買いやすいだろう。パンは本店から日に何度も運び込んでいるそうだから、名駅店でも大きく味が落ちるということはなさそうだ。駅でいうと栄生駅は名鉄名古屋駅のひとつ隣だ。



山食とパン・ド・ミ

 次にいつ行けるか分からないので、山食パンとパン・ド・ミを半分ずつ買った。値段は安くはないけど高くもない。標準的なものだ。
 袋に入れて肩から提げて持ってきたのだけど、家に着いたら形が崩れていた。それだけパンが柔らかいということだ。
 美味しいパンは見た目からして美味しいのが分かる。持った感じや香りからも。
 個人的な好みとしては、山食の方が断然美味しかった。パン・ド・ミはさほど印象的ではなかったのだけど、山食はとても気に入った。
 2口、3口と食べ進みながら、これ旨いなと、思わずパンをしげしげ眺めてしまったくらいだ。美味しい食パンはいろいろあるけれど、ここの山食は半分を過ぎて最後まで旨さが続く。それは他にはちょっとない。マイ・ベストワンのポルカと同等かそれ以上かもしれない。さくっとした食感と口どけの良さ。風味豊かでほのかな甘さと旨みが口に広がる。
 どうして美味しいのかと考えてみると、たぶん全体のバランスが絶妙なのだと思う。物足りなさがなく、過剰でもない。ちょうどいいところでまとまっている。もし自分がパン職人だったとしたら、この食パンを前にして、どうしたらこんなのが作れるんだろうと考え込んでしまうんじゃないだろうか。
 それに対してパン・ド・ミはわりと平凡というか普通の美味しさにとどまっているように感じられた。山食が好きという個人的な好みが大きいのかもしれないけれど。
 口コミの評判が自分にとっても絶対というわけではないにしても、大勢に指示されるには確かな根拠がある。ル・シュプレームの評判の高さには大いに納得した。私としても安心してル・シュプレームはおすすめできる。
 次の機会があれば、食パン以外のパンも買って食べてみたい。問題は家から遠いことだ。

 お店の地図
 8時~19時
 定休日 月曜



メゾンカイザー

 地下鉄東山線の池下駅近くのおしゃれタウン、ナゴヤセントラルガーデンの中にあるパン屋さん「メゾン・カイザー」。
 ある意味ではル・シュプレームと対極にあるパン屋といっていいかもしれない。
 ル・シュプレームが個人商店とすれば、メゾン・カイザーは世界的な大手チェーンだ。皇帝という名前からして威圧してくる。
 本店をパリに持つ有名店で、日本では高輪や神楽坂、東京ミッドタウン、たまプラーザ、あべのハルカスなど、全国のおしゃれな街に支店を展開している(パリのエリック・カイザー氏が直接関わっているわけではなく、ライセンスみたいな形)。名古屋では池下と名古屋駅の高島屋にある。池下の名古屋店のように地上に独立した店舗を持っているところは少ないようだ。
 ナゴヤセントラルガーデンというのがどういう性質の街なのかはよく知らないのだけど、集まっている店の顔ぶれがラ・ベットラ・ダ・オチアイやらフォルテシモアッシュやら賛否両論やら成城石井やらとくれば、名古屋のセレブタウンというコンセプトで作られたものなのだろうと想像がつく。かつてこの場所はJRの社宅が並んでいたそうだ。
 池下はそれほどおしゃれな街という印象がなかったのだけど、近年ずいぶん様変わりした。



メゾンカイザーの食パン

 見よ、この高級感漂う食パンの姿を。見た目だけでまいりましたと降参しそうになる。
 お値段はさすがにそこそこ高い。でも、食パンなのでそれほど高いわけでもない。けっこう大きいので、かえって割安といえなくもない。
 ハードの山食ということで、ざくっとした歯ごたえがある。持つと重量がある。ただ、中は柔らかさとしっとりしている。
 最初、少し物足りないかなという感じがするのだけど、食べ進むうちにあとから旨みが追いかけてくる。これはかなり美味しいかも。かもじゃなくて確かに美味しい。そのあたりは当然ながら計算済みなのだろう。
 王者の貫禄というか、圧倒的なブランド力というか、美味しさにねじ伏せられてしまうような感覚がある。
 表面にまぶしてある白い粉の正体はよく分からない。見た目は粉砂糖っぽいけどもちろん違う。見た目の美味しさという点ではこれも一役買っている。

 メゾン・カイザー名古屋のWebサイト
 メゾン・カイザーのHP 
 お店の地図
 9時~20時
 定休日 不定休


 店構えも、コンセプトも、パンの見た目や思想もまったく違うふたつの食パンだけど、それぞれに美味しさがあって、単純に優劣がつけられるわけではない。どの店にもそれぞれの個性があって面白い。食パンだけでもそうなのだから、他の菓子パンや総菜パンも食べ比べようとすればとりとめがない。
 なにはともあれ、ようやくル・シュプレームに行けてほっとしている。名古屋のパン屋を語る上では絶対に外せない店だから。
 名古屋と近郊で食パンをめぐる旅はまだまだ続く。
 

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