写真ノート<9> ---プリントしなくちゃ始まらない - 現身日和 【うつせみびより】

写真ノート<9> ---プリントしなくちゃ始まらない

空とカラス

OLYMPUS E-M5 + Panasonic LEICA 25mm F1.4



 写真行為において、撮るという作業はインプットに属する。
 では、アウトプットとは何かといえば、レタッチソフトによる現像であり、プリントであり、人に見せるということだ。
 私たちは通常、写真を撮る、という表現をするけど、それは同時に写真を見せるということも暗に意味している。撮っただけではまだ半分でしかない。他人と共有することで写真は成立するものだ。

 今回はプリントについて書いてみたいと思う。
 フィルムカメラで写真を始めた人にしたら写真とはつまりプリントのことだった。フィルムに撮っただけでは他人と共有する以前に自分自身も見ることができない。
 デジタルカメラから入った人は、写真とはモニターの中にあるものという認識が強いはずだ。PCのモニターや、スマホ、デジカメの液晶で見て写真として認識する。
 けど、それらは画像データであって厳密に言えば写真ではない。写真はプリントして初めて存在するもので、この世界に物として実存する写真はプリントに他ならない(印刷物も含む)。
 デジカメで写真をやっている人の中でプリントをする人の割合はどれくらいいるのだろう。私は、写真は絶対的にプリントするべきだと考えている。どうしてと訊かれると説明するのが難しいのだけど、とにかくプリントをしないことには始まらないと思うのだ。
 プリントをしない写真は写真であって写真ではない。モニターの向こう側にあるデータではなく、手に持てる実物としての写真を大切にしたいと思っている。

 写真をプリントすることで見えてくることも多い。画面上ではつぶれている階調が出てくるし、モニターでは気づかなかったことにプリントで気づくこともある。同じ写真でも、モニターとプリントとでは受ける印象が違う。
 プリントを前提にすることで撮影の段階でも意識が変わってくる。モニターではレタッチで誤魔化しがきく部分もプリントではきかなかったりするから、撮る段階でより完成に近いものを撮ることを心がけるようになる。余計なものをなるべく写り込ませないようにするとか。
 プリントは作るものだ。単に画像データを印刷するのとは違う。
 モニターで見るためのレタッチと、プリントにするためのレタッチは、当然ながら別物だ。色合いにしても、明るさにしても、コントラスにしても、プリントにはプリントのやり方がある。選ぶ用紙によってもそれは違ってくる。
 かつては暗室でモノクロプリントを作っていた。今はレタッチソフトとプリンターで写真を作るという行為に代わった。

 プリントをやるためにフォトコンをやるという、一見すると本末転倒的な考え方はありだ。
 自分で眺めたり飾ったりするためだけにプリントを続けるのは意外と難しいかもしれない。フォトコンに応募するためにプリントをするというのは、プリントを続ける動機付けになる。
 毎月、5枚とか10枚とかプリントをしていくと、だんだん力がついてくる。経験値が上がればプリントの質も上がっていく。
 撮影同様、プリントも経験の積み重ねが一番大切だ。自分でデータを取って知識を増やしていくしかない。そのあたりは、ガイドブックやネットの解説を読んでもなかなか実感として分からない部分だ。

 プリントを始めたら、次は組写真をやるのがいい。組写真は写真の理解を深める上でとても役に立つ。
 組写真も、モニター上であれこれやるより、プリントを並べてやった方がイメージも広がるし、組み合わせや並び順に関しても気づくことがある。
 その先には写真集がある。出版どうこうではなく、フォトブックとして一冊にまとめることは重要な意味を持っている。
 人それぞれ考え方はあるだろうけど、私は写真行為の着地点は写真集だと思っている。
 人によっては写真展かもしれない。
 写真集を作るということは、音楽でいうとアルバムを作ることに当たる。始まりがあり、終わりがあり、流れがあり、起伏がある。シングル曲のベスト盤が意外とつまらないように、自分にとってベストの写真を集めて並べただけではいい写真集にはならない。そこには強弱や緩急といったメリハリが必要となる。
 写真集に使うための写真を撮るという考え方をすることで自分の写真世界が広がったり深まったりもする。

 プリンターについて書くと長くなるので簡単に。
 中途半端なものを買うと満足できないだろうから、A3ノビのプリントができるキヤノンかエプソンのプロセレクションを買ってしまうのがいい。
 キヤノンならPRO-100SやPRO-10S、エプソンならSC-PX5VやSC-PX7Vあたり。
 染料インクと顔料インクとどちらがいいかは、好みの問題で結論は出ていない。どちらにもそれぞれメリットとデメリットがある。
 私はいまだにPro9000という4世代前の染料インクのモデルを使っているのだけど、印刷クオリティとしては今でも充分現役で活躍できている。7eインクが安く手に入るから、ランニングコストが低いというメリットもある。最初は中古でもいいかもしれない。
 問題は、置き場所と、インク代ということになる。

 まずはプリントを始めてみませんかというのが私の提案だ。理屈や意味はあとからついてくる。
 プリントをした自分の写真を手に取る喜びというのが必ずある。
 デジタルデータをモニターで見ているだけでは、まだ写真は始まっていないのだ。
 

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コメント
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No title

先日、コンビニの写真プリントサービスですが、猫の写真をプリントしたら、意外な感動がありまして、おっしゃる通り、プリントは大事だなと感じました。

2016-02-28 21:56 | from keiichi_w

大きなサイズで

>keiichi_wさん

 こんにちは。
 プリント、チャンスがあれば大きなサイズにプリントしてみてください。
 A4といわず、四つ切りとか、A3とかに。
 自分の写真が立派な作品に見えますから。

2016-02-29 20:41 | from オオタ | Edit

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