クモは糸に乗って旅をするチョコ味(らしい)の節足動物 2006年9月26日(火) - 現身日和 【うつせみびより】

クモは糸に乗って旅をするチョコ味(らしい)の節足動物 2006年9月26日(火)

夏の終わりのクモの巣

Canon EOS 10D+Super Takumar 135mm(f3.5), f4.0, 1/125s(絞り優先)



 行く夏を惜しみつつ、夏が終わってホッとすることがふたつある。蚊がいなくなることと、森歩きでクモの巣が顔にかからなくなることだ。これは本当に嬉しい。
 それでもまだ9月中は、最後の虫たちを狙って巣を張っているクモがいるので油断はならない。私自身、顔にかかるのはイヤだし、彼らにしてもせっかく苦労して張った巣を壊れたんではかなわない。お互いのために、なるべくクモの巣には干渉しないようにと心がけてはいる。
 今日はそんなクモたちについて、基本的なところをおさらいしてみることにしよう。知ってるようで知らなかったクモについてのあれこれ。これを読めば、クモについて知ってるつもり?! と関口宏に言われなくても済むようになるはずだ(番組が古いし、関口宏はそんなこと言わない)。

 まず、クモは昆虫ではない、というところから始めよう。いわゆる虫と呼ばれてはいるけど、昆虫には属しておらず、節足動物門鋏角亜門クモ綱クモ目というグループに所属してる。ええ? なんだそりゃ? と思うかもしれない。私も思った。大きく言うとダニやサソリなんかの仲間になる。昆虫ではない理由として、足が8本であることと、頭と胸の境が明確でないということがある。触角もなく、口にはハサミ状の鋏角(きょうかく)という器官があり、目なんか8つも持っている。なるほど、昆虫とはずいぶん作りが違う。
 世界には3万5,000種類ものクモがいると言われている。その中で毒グモはわずか0.1%の30種類くらいしかいない。もちろん日本にはいなくて、アメリカやオーストラリアにいるだけだ。日本には分かってるだけで1,300種類ほどのクモがいるんだとか。未知のものも多いから1,500種類はいるだろうという話もある。クモの区別は実際難しい。
 その中で巣を張るクモは約半数程度で、歩き回って自分から飛びかかっていくやつや、花の中で待ち伏せするものなど、エサの捕り方は様々だ。巣を張ることが必ずしも効率がいいとは限らない。ただし、すべてのクモは歩くときに必ず糸を引いて歩くんだとか。
 生息地は砂漠から森、都会までと広い。水中で生活してるミズグモなんてのもいる。
 誕生したのは4億年くらい前ではないかと言われている。かなりの古株さんだ。
 エサは肉食。害虫を食べてくれるから本来なら益虫扱いとなってもよさそうなのに、見た目のグロテスクさで大きく損をしている。あの細い足がいけないんだと思う。いや、太くて毛深いやつの方がもっと不気味か。クモの何がいけなんだろうか? と立ち止まって考えてしまいがちだ。けど、家の中のクモはなるべく退治せず共存の道を選んだ方がいいと思う。クモよりもっとイヤな虫なんかを食べてくれている可能性が高いから。
 巣を張るやつは糸に絡め取って、そうじゃないやつは直接飛びかかって獲物をいただくわけだけど、まず鋏角をエサに突き刺して、ここから毒を送り込んで殺したり弱らせたりしてから食べる。たいていのクモは自分と同じ大きさくらいまではいけるようだ。沖縄県の石垣島にいる日本最大のオオジョロウグモは、ネズミやカエル、時には鳥まで食ってしまうというから驚く。そんなクモが家の中にいたら、ちょっと穏やかではいられない。暖かい土地は生き物全般が大きくなるのが難点だ。

 クモの巣の造形美にはいつも感心する。これは6種類もの別の糸で織られているという。ワナ用の糸や、足場を作るための糸、ぶらさがり用の糸、卵を包むための糸など、用途によって使い分けているんだとか。
 クモの糸はカイコのマユなんかよりもずっと強く、自然界では最強と言われている。ただし、なんといっても大量生産がきかない。だから、クモの巣で編んだパンツなどというのは作られることがない。パンツ一丁作るのにどれくらいのクモが必要なのか、見当もつかない。トリビアの種に送ってもいいかもしれない。
 クモはなんで自分の巣に絡まないのかという問いがよくある。あれは、獲物を捕るための粘りがある糸を横糸に使い、自分は粘りのない縦糸を伝って移動するからだ。それと、くっつかないように足から油性の成分を分泌したりもする。
 面白いやつでは、糸を手でもって投げ縄のようにして投げて獲物を捕らえるやつもいる。あるいは、口から糸を吐いて捕まえるやつとかも。
 クモの糸のもうひとつ大きな役割として、旅のお供として欠かせないということがある。卵からかえったクモの子は、しばらく卵のうにとどまり、一回目の脱皮を待つ。それが済むまでは糸を出すことができないからだ。そう、クモは脱皮するというのも意外と知られてない事実ではないだろうか。生涯で10回以上脱皮するんだとか。無事一回目の脱皮を終えた子供グモは、高いところに登り、空に向かって糸を吐き出し、それを風に乗せて飛んでいくのだ。どこにたどり着くのかは風任せ。降り立った場所が子グモにとっての生活の場となる。
 新天地で成長したクモは相手を見つけ、そこで卵を産む。ワンシーズンで死んでしまうものや、大きいものは数年生きるのもいるという。

 以上、クモについて知ってるつもり?! 初級編はどうだったでしょう。少しはクモを好きになってもらえただろうか。そういうお前はクモのどこが好きなんだと訊かれると、いや、別に、と明石家サンタのお約束の受け答えのようになってしまうのだけど、決して嫌いなわけではない。昔からクモだけは殺してはいけないという思いがあって、物心ついてから今に至るまでそれを守っている。クモは家の守り神とさえ思ってるくらいで。
 日本全国、クモに関してはいろいろな迷信がある。朝グモは縁起がいいとか夜グモは悪いとか、朝にクモの巣を見ると人が訪ねてくるとかなんとか。まったく逆の地方があったりして、必ずしも根拠のあるものではないのだろうけど、人の暮らしとクモの関わりは昔から深い。
 そういえば、以前読んだサバイバルの本に、クモはチョコレートの味がする、と書いてあったのを思い出した。ホントかよぉー、と思ったけど、ウソと証明できない以上、信じるより他にしょうがない。よっぽど飢えて食うものに困っても、クモに行き着くまでにはたくさんの段階があって、なかなかクモまではたどり着かないと思うけどどうだろう。クモを食う前に食うものがあるだろうと思うから。洒落や遊び心で食べられるものでもないし。だからきっと、私は一生クモの味を知らず、チョコの味がするらしいというあやふやなサバイバル知識だけで終わることだろう。
 もし、自分ならいけるというチャレンジャーな方がいたら、ぜひ試してみてください。そして、本当にチョコ味なのかどうか私に教えてください。カカオ85%よりも甘いのかそうじゃないのか。くれぐれも、食べるまえに手足をもぐことをお忘れなく。あ、もちろん、食べるときは生ですので。

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