海上の森は4時間の大作映画をゆったり観賞するように - 現身日和 【うつせみびより】

海上の森は4時間の大作映画をゆったり観賞するように

海上の森の飼い猫

Canon EOS 10D+TAMRON 28-300mm XR(f3.5-6.3), f4.5, 1/13s(絞り優先)



 昨夜から降り続いた雨が午後になってやんだので、夕方少し海上の森(かいしょのもり)を歩いてきた。約ひと月ぶりの森は、すっかり夏の装いになっていた。
 四つ沢から海上集落に向かう途中で猫がお出迎え。森と猫の取り合わせはあるようでない。不思議と思うか当たり前と思うか人によるだろうけど、森に猫はいない。何故なら、日本には野良猫はいても野生の猫はいないから。割と盲点のこの事実。森っぽいところに猫がいたとしても、それは公園か緑地だ。しかも、ほとんどの場合、誰かが食べ物をあげている。
 この猫はどうかといえば、ちゃんとした飼い猫だ。首輪もつけている。最初に見かけたときは、おっと驚いたけど、民家の庭に駆け込んでいったのでなるほどと思った。ここは暮らすのには抜群の環境だ。いくらでも駆け回る場所はあるし、その気になれば何日か森で過ごすこともできる。腹が減れば家に帰ればメシが待っている。
 逃げるでもなく、近づくでもなく、微妙な距離を保ちつつ、写真に撮られてくれたこの猫。白いソックスで、左手だけがハイソックスなのがチャームポイントだ。たまに通る車に気をつけて長生きしなよ。

水かさが増す海上の小川

 全国的に雨の被害が広がっている。愛知県はさほど大雨ではないものの、降り続いた雨であちこちの川が水かさを増していた。普段はチョロチョロと静かに流れている海上の森の小川も、音を立てて流れていた。この森は、飲めるほどきれいな水では決してないのだけど、水は豊かだ。小川や湿地も多い。
 とはいえ、名前の通り海の上にあるからではない。ここは名古屋の奥の山に近いところにあって、海からは車で1時間以上離れている。じゃあなんで海上なのかといえば、ずっとさかのぼって縄文時代、ここは海辺だったらしく、そこから来ているとのことだ。ここまで海だったとはちょっと信じられないけど、そうでもなければこんな名前は付いてないだろう。

 ここ海上の森は、名古屋の中心から約20キロ、車で1時間しか離れていないところにある。何故こんな場所にこれほど広大な森が残ったのか不思議なくらいだ。あやうく愛知万博の会場になって取りつぶされそうになったけど、それもなんとか逃れて元の姿のまま残った。
 海上の森だけで530ヘクタール、広久手の森など周辺一帯をあわせると2,000ヘクタールにもなるんだろうだ。名古屋近郊でこれだけの森が手つかずで残っているところは他にはない。ひとつには、交通の便がすごく悪いということが幸いしたのだろう。周辺には民家もたくさんあるものの、自家用車がないとにっちもさっちもいかない。唯一、愛知環状鉄道が走っているけど、一番近い山口駅で降りても、森の入り口まで徒歩30分もかかってしまう。万博危機が去った今、ここが便利になることは当面期待できそうにない。
 森に散策に行く場合は、やはり車ということになる。少し離れた場所に無料の駐車スペースが50台分くらいあるから、週末でもたぶん大丈夫だろう(週末行ったことがないからよく知らないのだけど)。ただ、そこからでさえ森の入り口まで10ほどは歩かなくてはならない。

 とにかく、この森は歩くところだ。街中の緑地のように、30分やそこら歩いたくらいでは何の収穫も得られない。野草や野鳥の宝庫であることは間違いないのだけど、ものすごく広いスペースに散らばっているから、そう簡単に出会えないのだ。私も行く前は、一歩歩くごとに蝶が舞い、鳥がさえずり、野草があっちにもこっちにもあって目移りしてしまう、なんてシーンを想像していたのだけど、それは大きな間違いだった。悪く言えば、とても間延びしている。1時間半にまとめられた娯楽映画のようなものを期待してはいけない。テオ・アンゲロプロス監督の『旅芸人の記録』やデヴィド・リーン監督の『アラビアのロレンス』をゆったり楽しむくらいの心の余裕が必要だ。もちろん、体力も。
 覚悟と気力さえあれば、森は大いなる喜びと楽しさをもたらしてくれる。野鳥に昆虫、小動物など、数千種類の生き物たちが森であなたを待っている。オオタカやサンコウチョウ、フクロウ、ムササビ、ギフチョウ、ハッチョウトンボ、オオムラサキ、沢ガニ、ヘビにクモの巣、日没後の真の暗闇も。
 初めて行くときは、ネットで地図を印刷して、長袖、長ズボン、しっかりした靴、コンパス、懐中電灯、飲み物など持参で行くことをおすすめします。特にひとりの場合。携帯は森の中では使えないはず。
 初回としては、四つ沢を海上集落方面に向かって、集落を右に曲がって物見山に登って、もう一度集落に戻って、最後に大正池を見る、というのが基本コースとなる。写真を撮ったり休んだりして3時間といったところだろうか。余裕があれば篠田池に行くのもいい。
 別ルートとして、南側の湿地帯、赤池コースというのもある。私はこっちへよく行く。今の時期は顔面への激しいクモの巣攻撃に晒されるけど、花や昆虫の収穫は多い。ただし、脇道に入っていくと迷子になるので注意が必要だ。

光が戻った海上の森

 久しぶりに青空と太陽の光が戻った森は気持ちがよかった。光のある写真はやっぱりいいなとあらためて思う。
 これからますます暑くなって、歩きは厳しくなるけど、月に一度か二度は行きたい。初めて海上の森に踏み込んだのが2004年の10月だった。あれから15回くらいは歩いているけど、まだまだ森の全容を掴むにはほど遠い。基本ルートをやっと3分の2か半分くらい歩いた程度だ。行くたびにあらたな発見があり、探しても見つからないものも増えていく。
 海上の森を後にするときは、いつも決まってこの挨拶を口の中でつぶやく。ありがとう、また来ます。

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コメント
非公開コメント

こんばんは。

この日の差した写真、いいですね、雨で濡れて、余計キラキラしてますね

2006-07-20 02:47 | from kattyan

いつか海上の森へ

★kattyanさん

 こんにちは。
 ちょっと久しぶりに海上の森を歩いてきました。
 kattyanさんにもオススメしたいところなんだけど、ひとりで行くには危険かも。(^^;
 いつか、娘さんを誘って行ってみてくださいね。でも長時間歩きに文句言われそうですね(笑)。

 光差すシーンは、実際はもっとよかったです。ドラマチックで。写真では半分も伝えられず残念。

2006-07-20 03:16 | from オオタ | Edit

多分、無理かも

また、連休取らないと行けませんね。疲れちゃって〔笑〕
写真で伝えきれないことって多いですね。でも、これだけ見た人には、伝わりますよ。

2006-07-20 09:53 | from kattyan

こんにちわ~。
「光が戻った海上の森の写真」いいですね^^
キラキラした光と森林のマイナスイオンがいっぱいで、体に良さそう♪

2006-07-20 15:45 | from kuroneko

近未来の目標に?

★kattyanさん

 こんにちは。
 海上の森行きは、きっといつか実現させてくださいねー。(^^)
 あれだけ本格的な森歩きは、他ではなかなかできないから。
 でも、ちょっと涼しくなってからの方がよさそうです(笑)。

 写真は全部伝わらないけど、雰囲気だけでも伝わればいいなぁと思ってます。
 そして、自分もそこに行きたいって思ってもらえるように。

2006-07-21 03:05 | from オオタ | Edit

森はマウンテンもいける

★kuronekoさん

 こんにちは。
 久しぶりに見た、光らしい光は、なんだか新鮮でした。
 北海道に梅雨はなくても、最近そっちも大雨だったみたいですね。
 そろそろ暑くなってきたのかなぁ。
 こちらは、今年はまだ涼しいくらいです。ちょっと変な感じ。

 森はオススメですよー。森林や水のマイナスイオンがたっぷりです。
 なんといってもタダなのがいいところです(笑)。
 デコボコ道を歩くのも、足裏マッサージになるし、森歩きくらい安上がりなものはないな。
 kuronekoさんも迷子にならない程度に森歩きしてみてくださいね。あ、そうそう、マウンテンバイクもいいですよね。

2006-07-21 03:09 | from オオタ | Edit

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