5年後目にするのは未来への希望か終末的光景か - 現身日和 【うつせみびより】

5年後目にするのは未来への希望か終末的光景か

瀬戸デジタルタワー夕焼け

Canon EOS D30+EF35-105mm



 最近しつこいくらいにやっている地上デジタル放送移行告知CM。なんだよまたかよ分かったよと思いつつ軽く見流しているけど、考えてみると2011年なんてそんな遠い未来の話ではない。次のワールドカップ・南アフリカ大会の次の年だ。
 5年後、今のアナログ放送は完全に終わり、否が応でもデジタル機器を買わなければ一切のテレビ番組が見られなくなるという現実。家電の進歩は早いから5年も経てば状況は大きく変わってる可能性もある。けど、今から5年前の2001年を思い出しつつ部屋を見渡してみると、あまり大きな変化はないようにも見える。PCの機種が変わって、ビデオデッキが増えたくらいだ。
 部屋におさまっている3台のテレビと10台のアナログビデオデッキを眺めながら、はてさて、どうしたものかなぁ、とぼんやり考え中の私であった。

 写真は瀬戸にあるデジタルタワーだ。正式名称は、瀬戸デジタルテレビ放送所。なんだか堅い。放送所なんて昭和みたいだ。これが名古屋と東尾張のデジタル放送を一手に担う。
 これまでのアナログ放送は、栄にあるテレビ塔と、中京テレビ内にある東山タワーが担当してきた(東山スカイタワーではない)。しかしながら、デジタル放送を送信するには施設が古すぎるのと、敷地内にあらたな塔を建てるにはスペース不足となり、あらたに瀬戸に建てられたのだった。愛・地球博会場の近くなので、愛知万博へ行った人は目にしていたかもしれない。
 工事は大急ぎで行われ、2003年8月に完成した。近くまで行ったことがないのでよく分からないのだけど、周辺はいまだ完成していないと聞く。
 ひとつ残念なのは、ここはテレビ塔のように観光地にならないということだ。展望台もなく、塔の上まで一般人が登ることはできない。形状を見てもそんな感じだ。なんで観光地にしなかったんだろう。もったいない。瀬戸市デジタルリサーチパークセンターという建物が隣接して作られて、そこからは塔に設置したリモコンカメラに映る風景をモニターで見られるというんだけど、そんなものちっとも嬉しくない。名古屋人は高いところに登るのが好きなのだ。
 高さは245メートルとJRセントラルタワーズとほぼ同じ。標高が108メートルなので、足せば東京タワーより高いことになる。こんなに高いのだけど、肝心の送信部分は上の方にある細い部分のみ。3つに分かれているうちの上の細いのがNHK、真ん中がCBC、東海テレビ、メ~テレ、中京テレビ、下がテレビ愛知となってるらしい。ローカル放送局名なので、東海地域以外の人は何のことかさっぱり分からないと思うけど。

 2003年に東京、大阪、名古屋で始まった地上デジタル放送。3年経った今でも、私としてはまったく他人事だ。BSとWOWOWは導入してるけど、まだ当分地デジに移行するつもりはない。
 2006年までに全国の県庁所在地に広がり、2010年までにはほぼ全国に行き渡る予定だという。しかし、実際のところ2011年までに網羅できるのは95パーセントどまりだろうという予測もある。普通に考えても、離島や山間の過疎地は難しいんじゃないだろうかと思う。「一部の地域をのぞいてこのまま放送時間を延長させていただきます」というのがあるけど、あの場合はまだいいとして、一部の地域はテレビが見られなくなりますというのは大問題だ。地デジなんて言われても何のことやらさっぱり分からない田舎のおじいちゃん、おばあちゃんは、2011年の7月25日の朝、いつものようにテレビのスイッチを入れると、どの局も何も映らず途方に暮れる、なんてことが起こり得る。
 そもそも、一体誰が言い出したんだ、地上波デジタル放送完全移行だなんて?
 地上波デジタル放送自体は個人的には大賛成だ。今の時代、もうアナログでもあるまいし、デジタルにするメリットは画質面でも音質面でも大きい。今後はPCとの融合も進んでいくだろう。ただ、完全移行というのは無茶な話だ。選択の余地のない、国からの完全な押しつけだから。
 テレビを高画質で見たいなんて人は必ずしも多数派ではない。テレビなんて映ればいいんだと思ってる人も大勢いる。これからの5年間で地上デジタルチューナー付きのテレビがどこまで値崩れするか分からないけど、イチキュッパなんかになることはまずない。一番安いもので3万9,800円なんてのがあるかどうか。たぶん、ないだろう。それなりのものはやっぱり10万くらいするだろうし、一家で1台なんてところは今の時代そうはない。更に録画するためのDVD-RやHDDをテレビの台数分揃えるとなると大変なことだ。現実問題として洒落にならん。一台のチューナーで複数番組を同時録画する機能とかあるんだろうか。それがないと私もすごく困ったことになってしまう。5年後、突然金持ちになってる予定もないし。
 2011年が近づくにつれてまだまだいろんな問題が出てくるに違いない。UHFのアンテナがないところは自費で取り付けないといけないとか、ケーブルテレビのところはどうなるんだとか、移動体向け(ワンセグ)における車の運転とか、NHKの受信料問題とか、テレビが映らなくなったところへのフォローとか、他にもまだたくさんクリアしなければならないことがある。
 一方で、使わなくなって処分された大量のアナログテレビや録画機器を、国はどうするつもりでいるだろう? レコードプレーヤーやカセットデッキを集めるマニアはいても、アナログテレビを集めるマニアはそうは出てこない。レコードやカセットはその気になれば一生使えるものだけど、何も映らないテレビは場所を取るだけで何の役にも立たないのだから。

 うち捨てられた無数のテレビやビデオデッキがうずたかく積まれている光景を思い浮かべると、なんだかどんよりとした気持ちになる。もしそれを一ヶ所に集めたとしたら、数百万台、数千万台となる。一体、どれくらいの山になるのだろう。それはもしかしたら、私たちが目にする最も終末的な光景かもしれない。
 本のように燃やすわけにもいかず、埋めるにもそんな場所はない。どこかの海岸沿いにテレビの島でも作るというのか? 外国に送っても役に立たないし、本当にどうするつもりなんだろう。解体して役立てる部品がどれくらいあるというのか。
 地上デジタル放送完全移行は、思ってるより大変なことだ。今さらだけど、やめた方がいいんじゃない? と、私は思う。

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コメント
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部屋に納まっているテレビが3台とデッキが10台という環境がすごいですね。
まあ5年もすればアナログデッキを後生大事に持っている人も相当減るでしょうから
アナログ放送が終了してもいきなりデッキの島はできないでしょう。
テレビの値段も5年後はそれなりになっていると思いますよ。

それをいいことに何もわかってないお年寄りなどに高価なテレビを買わせたり
アンテナは専用のものが必要とかいって騙す業者は許せませんね。

2006-07-19 06:34 | from tomy

これからの5年

★tomyさん

 こんにちは。
 これからの5年って、長いのか短いのか、どっちなんでしょうね。5年も前からこんなにCMしてるのもどうかと思うけど、浸透度はかなり低いとか。(^^;
 迫ってくれば、みんな仕方なく買うことになるんでしょうね。しかし、今のような快適状況に持っていくことはできない私です。(>_<)
 4番組同時に録画して、2台で再生して、1台は巻き戻し専用なんで、7台は必要なんですよ。って、必要なのか、ホントに。(^^;
 半分壊れた中古ビデオを安く買って、修理して使っていたら、いつの間にかこんなに増えてました。

 すでに少しずつ増えているという、地デジ詐欺。今後ますます増えていくんでしょうね。気の毒すぎる。(T_T)

2006-07-20 03:13 | from オオタ | Edit

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