あっちでネジネジ、こっちでネジネジ、たまにネジネジしない - 現身日和 【うつせみびより】

あっちでネジネジ、こっちでネジネジ、たまにネジネジしない

ネジネジネジバナ

Canon EOS 10D+TAMRON 28-300mm XR(f3.5-6.3), f5.6, 1/400s(絞り優先)



 ネジバナを見ると中尾彬を思い出す。中尾彬はネジバナの存在を知っているだろうか。
 どこにでも生えている花も、興味を持たなければ目に入ってこないもの。私がこの花のことを知ったのは去年の今ごろだった。それまで物心ついて30年以上知らずに過ごしてきたのに、知ったとたんあちらでもこちらでもあらゆるところで目にするようになった。自分の目に映る真実なんてそんなものかもしれない。
 ネジバナは野生のランだと言ったら意外に思うだろうか。ランといえば、大御所芸能人の楽屋にあるものと相場が決まっているという思い込みは間違いだ。元々地球上のあらゆるところで咲いていた。ただ、近年野生のランが減少または絶滅傾向にある中、たくましく生きているネジバナは例外的なランに違いない。完全に雑草扱いで、芝刈りと共にちゅうちょなく刈られてしまう。それでも減らないんだからよほど生命力が強い。
 初夏になって初めて目にするとちょっと嬉しいけど、すぐに飽きて、見つけても、ああ、ネジバナかと相手にしなくなる。人の心ってそんなもの。

 日本では北海道から九州まで広く分布してしているネジバナは、北方領土から中国、ヒマラヤ、インド、マレーシア、オーストラリアまで勢力を伸ばしている。
 沖縄にはないらしいのだけど、その代わりナンゴクネジバナがある。伊豆諸島や奄美大島にあるのもそれで、写真で見ると太めの茎がネジネジしていてその周辺に小さな花がくっついてるような感じだ。通常のネジバナには花序に毛があるのに対して、ナンゴクは毛がないという違いもある。
 生息域は、芝生などの明るい草地から湿地帯までと幅広い。普通、好みの水分量くらいは決まってるものだけど、ネジバナの場合、乾いていてもかなり湿っていても平気らしい。ただ、芝生などでは背丈が5センチから10センチくらいなのに湿地では20センチくらいになるところを見ると、どちらかというと湿ったところの方が好きなようだ。
 花の時期は5月から8月までと長く、秋になって咲いてくるのもいて、そいつは30センチにもなることがある。この一貫性のなさというのもネジバナの特徴で、ネジネジが左巻きのもいれば右巻きのもいて、真っ直ぐのやつさえいる。花色も、薄いピンクから濃いピンクまで多様で、白花もさほど珍しくない。一体ネジバナの設計図はどうなってるんだと思う。巻く方向くらい統一したらどうなんだ。

 名前の由来は文字通りネジネジ咲くからだと想像がつく。漢字では捩花。またの名をモジズリ(捩摺)。これも同じような意味だ。
 百人一首にも採用されている河原左大臣の歌、「みちのくの しのぶもじずりたれ故に 乱れそめにし われならなくに」がよく引用される。ただ、これで歌われているもじずりが花のモジズリかといえばそうでもなさそうだ(一般的にはこの花のことだと言われてるようだけど)。
 ネジリバナとも呼ばれる。

 ネジバナがたくましく生き延びている理由は、花の小ささから虫に受粉してもらうことを半ばあきらめて、自花受粉するようになっているというのがある。そして、種はとても小さくて軽いので、そよ風にさえ乗って遠くに飛ばされる。落ちたところが乾いていようと湿っていようと、自分を環境に合わせて根を張り、茎を伸ばし、花をネジネジ咲かせる。温室で手をかけないと育たないランが多い中、見上げた根性と言えるだ。鈴木啓示の草魂みたい。
 花は下から上に登るように咲いていく。写真でも下の方の花が終わって、上の方にまだ色づいてないつぼみが残っているのが分かる。花が一番上まで咲ききってアガリになると梅雨が明ける、なんてことが言われたりもする。実際にそんな上手いタイミングで咲くわけはないけど、この咲き方は面白い。花が下から上に咲いていく様子をビデオに録画して早回しにしたら、導火線を伝う花火みたいに見えるんじゃないだろうか。最後はポンッと弾けて消えたら面白いんだけど、そんなことはない。
 そうして、ネジバナは今日もあちこちで思うがままにネジネジしている。

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コメント
非公開コメント

私も去年知りました。おまけに、アパートの敷地の中にいっぱい咲いてました。朝露に濡れるとまた、いいですよ

2006-07-06 10:06 | from kattyan

オオタ様

ピンクのネジバナ、かわいい!
ネジバナと中尾彬、おもしろ~い!
さすがのネジネジおじさんの中尾彬さんも
ネジバナは知らないのでは!

知ってたら、結構すごいかも。

ネジバナと中尾彬さんをくっつけた、オオタ様に
ざぶとん5枚!!

でも、つくづく、自然って不思議ですよね!
自然を参考にアイディア商品、特許など
取得したものあるみたいですよね。
以前、テレビで放送してました。

沖縄は、梅雨もあけ、夏たけなわです。
毎朝クマゼミの合唱がすごいです!!
我が家の周りでも、3,40個くらい、セミの
抜け殻が有ります。

先日、午前中に偶然、羽化したばかりの
クマゼミに出会いました。
家の庭木で
夜とか夜中とかに狙って待機すれば
羽化するクマゼミの撮影可能です。
そこまで、してませんが。

そちらは、クマゼミは鳴き始めてますか。

2006-07-06 23:15 | from ルナレインボー | Edit

新しい世界

★kattyanさん

 こんにちは。
 kattyanさんもネジバナ去年知ったんですか。偶然ですねー。去年何かきっかけになるようなことが全国的に起こったわけじゃないですよね?(笑)
 今でも知らない野草はもちろんたくさんあるんだけど、おととしくらいまでは野草そのものに興味がなかったから、まだまだ私にとっては新鮮な世界です。こんなにもたくさんの花が自然に咲いてるなんて思いもよらなかった。
 今は野草もちょっと休みに入ってるけど、これからしばらくするとまた夏の野草が出てくるから楽しみです。

2006-07-07 02:41 | from オオタ | Edit

こちらはまだ梅雨まっただ中

★ルナレインボーさん

 こんにちは。
 ルナレインボーさんのところは、ナンゴクネジバナですね。見たことありますか? 普通に道ばたに生えてるのかなぁ。
 写真で見るとけっこう大きそうなんだけど、実際はどうなんだろう。
 どちらも中尾彬に教えてあげたいですよね(笑)。
 あのネジネジが生まれたのは、飛行機の中でイライラしてマフラーをねじっていたらほどけなくなってしまって、そのままにしてたら人におしゃれなマフラーだねって誉められたんで、それ以来するようになったんですって。
 そんな雑学いらんって?(笑)

 自然は偉大な先生ですよね。思いがけないところで思いがけない生き物を参考にしてるのが面白い。
 新型新幹線のデザインはカモノハシをお手本にしたとか、そういうのもあったし。

 沖縄はもう夏が始まってるんですね。台風が近づいてるようだけど、気をつけてくださいね。(^^;
 こちらはまだまだ梅雨のまっただ中です。クマゼミなんて全然。セミの気配もありません。
 セミは毎年アイがたくさん生け捕りにして持ち帰ってくるんで、今年もきっと何匹も捕まえることになるでしょう(笑)。
 セミの羽化は、子供の頃でさえ見たことなかったなぁ。いつも気づくと抜け殻になってて。
 ブログでのひとあし先の夏の便りを楽しみにしてますね。(^^)

2006-07-07 02:50 | from オオタ | Edit

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